説明

デジタルカメラおよび撮影レンズ

【課題】 光軸位置を変更可能な撮影レンズを使用する際において、適切なシェーディング補正を行うことのできるデジタルカメラを提供する。
【解決手段】 デジタルカメラ1aは、カメラボディ2と、カメラボディ2に着脱可能な撮影レンズ3とから構成される。撮影レンズ3は、光軸位置を変更可能なシフト機構およびティルト機構を有する。撮影レンズ3内に設けられるROMには、撮影レンズ3の種々の光軸変更量に応じたレンズ特性データが登録された射出瞳位置テーブルおよび口径食テーブルが格納されており、これらは、カメラボディ2に送信される。カメラボディ2においては撮影時における光軸変更量に対応するレンズ特性データが選択的に使用されて、画像データに対するシェーディング補正が行われる。これにより、光軸変更量に応じて適切なシェーディング補正を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、画像データに対してシェーディング補正を行う技術に関する。
【0002】
【従来の技術】デジタルカメラにより画像データを取得した場合、取得された画像データにおいては、周辺光量が低下する現象、いわゆるシェーディングが発生する。このシェーディングは、主として以下に示す要因によって発生する。
【0003】1)入射角度によるCCDの感度低下微細な受光素子の集合であるCCDでは、一般にオンチップマイクロレンズが各受光素子に配置されているが、主光線の入射角度が設計角度から離れるにつれて、マイクロレンズで集光する箇所が受光素子の中心から周辺に移動し、さらには受光素子の外にへと移動する。これにより、CCD周辺部における受光素子の感度低下が生じる。
【0004】2)レンズに関する口径食(ビネッティング)
絞りを挟んで前後にレンズがある場合は、斜めにレンズに入射する光線の一部がレンズを保持する保持枠等で遮られることにより周辺部の光量が不足する現象(口径食)が発生する。
【0005】3)コサイン4乗則による光量低下CCDの受光面において、光軸とCCDのある受光素子に入射する主光線との角度のコサイン4乗に比例して、入射光の光量の低下が生じる。
【0006】このようなシェーディングは、取得される画像データに対して不自然さを与えることとなるため、従来よりシェーディングの補正を行う技術が提案されている。例えば、シェーディングは上記のようにCCDの特性や撮影レンズの特性に起因して発生することから、予め測定された画素ごとの光量低下率を記憶しておき、得られた画像データを画素ごとの光量低下率に基づいて補正することで、周辺光量の低下が補正された画像データを得ることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、撮影レンズとして、入射光の光軸位置を変更可能なティルト・シフト機構を有するティルト・シフトレンズを用いた場合は、光軸位置に応じてシェーディングの発生箇所が変化する。すなわち、変更された光軸位置に応じて画素ごとの光量低下率が変化することとなる。
【0008】しかしながら、従来のデジタルカメラにおいては、画素ごとの光量低下率は固定的に用いられていたため、このように光軸位置が変化する場合はシェーディングの補正を適切に行うことができなかった。
【0009】本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、光軸位置を変更可能な撮影レンズを使用する際において、適切なシェーディング補正を行うことのできる技術を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、請求項1の発明は、画像データを取得する撮像手段を有するカメラボディと、前記撮像手段への入射光の光軸位置を変更可能な撮影レンズと、を備えたデジタルカメラであって、前記撮影レンズの特性に依存した光量低下に関しての、複数の光軸位置にそれぞれ対応する複数のレンズ特性データを記憶するレンズ特性データ記憶手段と、前記撮像手段の特性に依存した光量低下に関しての撮像特性データを記憶する撮像特性データ記憶手段と、前記複数のレンズ特性データから、前記撮像手段において画像データを取得する際の前記撮影レンズの光軸位置に応じたレンズ特性データを選択する選択手段と、選択された前記レンズ特性データと前記撮像特性データとに基づいて、前記撮像手段において取得された画像データに対してシェーディング補正を行うシェーディング補正手段と、を備えている。
【0011】また、請求項2の発明は、請求項1に記載のデジタルカメラにおいて、前記撮影レンズと前記カメラボディとは着脱可能に構成され、前記撮影レンズは、前記レンズ特性データ記憶手段を備え、前記カメラボディは、前記撮像特性データ記憶手段を備えている。
【0012】また、請求項3の発明は、請求項1または2に記載のデジタルカメラにおいて、前記撮影レンズの光軸位置の変更設定を受け付ける光軸設定手段と、前記光軸設定手段により設定された位置に前記光軸位置が移動された場合に、前記シェーディング補正の補正率が所定率を超えるときは、前記補正率が前記所定率以下となる範囲内に前記光軸位置の移動を制限する光軸位置制限手段と、をさらに備えている。
【0013】また、請求項4の発明は、請求項3に記載のデジタルカメラにおいて、前記光軸位置制限手段によって前記光軸位置の移動が制限された場合において、前記光軸設定手段により設定された位置に前記光軸位置が変更された場合に取得されるべき画像データを、前記撮像手段によって取得された画像データから生成する画像生成手段、をさらに備えている。
【0014】また、請求項5の発明は、画像データを取得する撮像手段と、前記撮像手段の特性に依存した光量低下に関しての撮像特性データを記憶する撮像特性データ記憶手段と、前記撮像手段において取得された画像データに対してシェーディング補正を行うシェーディング補正手段とを備えるデジタルカメラに装着可能であり、かつ、前記デジタルカメラの前記撮像手段への入射光の光軸位置を変更可能な撮影レンズであって、前記撮影レンズの特性に依存した光量低下に関しての、複数の光軸位置にそれぞれ対応する複数のレンズ特性データを記憶するレンズ特性データ記憶手段と、前記レンズ特性データを前記デジタルカメラに送出する送出手段と、を備えている。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
【0016】<1.第1の実施の形態><1−1.デジタルカメラの構成>図1は、本発明の第1の実施の形態に係るデジタルカメラの主たる構成を示す断面図である。図に示すように、デジタルカメラ1aは、主としてカメラボディ2と、撮影レンズ3とから構成される。
【0017】カメラボディ2のレンズマウント部Mtには種々の撮影レンズ3を装着することが可能である。レンズマウント部Mtに設けられるコネクタ24と、撮影レンズ3側に設けられるコネクタ341とが接触することにより、撮影レンズ3とカメラボディ2との間で各種データや信号の伝送が可能とされている。本実施の形態においては、撮影レンズ3として、入射光の光軸位置Lを変更可能なシフト機構およびティルト機構を有するティルト・シフトレンズが装着される。
【0018】カメラボディ2内の後部上方の枢支部21には、回動可能に枢支されたクイックリターンミラーM1が配設される。また、このクイックリターンミラーM1の後方にはフォーカルプレーンシャッター22が配置され、さらにその後方にはCCD23が配置されている。
【0019】CCD23は、オンチップマイクロレンズがそれぞれ設けられる微細な撮像素子(画素)の集合として構成され、撮影レンズ3によって結像された被写体の光像を、RGBの色成分を有する画像信号(各画素で受光された画素信号の信号列からなる信号:以下適宜、「画像データ」あるいは「画像」ともいう。)に光電変換する。
【0020】クイックリターンミラーM1の上方には、光学ファインダーとなる光学部位25が形成されている。この光学部位25には、クイックターンミラーM1からの反射光がフォーカシングスクリーン251を介して入射されるペンタ形プリズム252が設けられている。さらに、このプリズム252とファインダー窓254との間には、接眼レンズ253が配置されている。また、接眼レンズ253の上方には、プリズム252からの反射光を受光する測光センサ27が設けられ、この測光センサ27により被写体の輝度が測光データとして測定される。
【0021】クイックリターンミラーM1には、サブミラーM2が固設されている。サブミラーM2は、クイックリターンミラーM1の中央部分に設けられるハーフミラー部を透過した入射光を位相差センサ26へ向かわせる。位相差センサ26は、プリズム(図示省略)により分離された光を受光して、分離された光の波形位置を比較し、その比較結果を位相差データとして取得する。
【0022】カメラボディ2の上部には、画像データの取得の開始指示を受け付けるシャッターボタン211が設けられている。クイックリターンミラーM1は、シャッターボタン211が押下されるまでは、撮影レンズ3を介して入射される入射光をフォーカシングスクリーン251へと向かわせる定常位置(図1に示す位置)にあり、シャッターボタン211が押下されると、枢支部21を中心として略水平位置まで上方に回動し、撮影レンズ3からの入射光の光路を開放するようになっている。
【0023】カメラボディ2の背面側(図において右側)には、各種設定メニューを表示するLCD28が設けられ、同様にカメラボディ2の背面側に配置される操作ボタン212(図12参照)を操作することにより、各種設定を行うことが可能とされている。また、カメラボディ2内には、各種データを記録するメモリカード9(図12参照)を挿入して装着することが可能であり、取得された画像データはメモリカード9に記録される。
【0024】図2は、撮影レンズ3の概略構成を示す図である。撮影レンズ3は主として、カメラボディ2に固定されるマウント部材34と、光軸と直交する上下方向(図中の矢印AR1方向)に直線的に移動可能にマウント部材34に連結されるシフト部材33と、図中の矢印AR2方向に揺動可能にシフト部材33に連結されるティルト部材32と、ティルト部材32に固定されるレンズ保護部材31とから構成される。シフト部材33とティルト部材32とは、その接触面が同一の曲率中心となる凸面と凹面としてそれぞれ形成されている。
【0025】レンズ保護部材31の内部には、撮影レンズ3の光軸を中心として絞り37が配置され、絞り37を挟んで前後(図において左右)にレンズ群36が配置されている。レンズ群36は保持枠36Vにより保持されるが、斜めに入射する光線の一部がこの保持枠36Vによって遮られることにより口径食が生じることとなる。
【0026】レンズ群36はレンズ駆動部361によって駆動され、被写体の距離に応じた合焦位置に移動される。また、絞り37は絞り駆動部371によって駆動され、その開口径(絞り値に相当)が調整される。レンズ駆動部361および絞り駆動部371は、レンズ保護部材31内に設けられるレンズ制御回路35からの駆動信号に基づいて、それぞれレンズ群36および絞り37を駆動する。
【0027】レンズ制御回路35は、撮影レンズ3にとって必要な機能をワンチップ化した回路で構成され、カメラボディ2からコネクタ341を介して送信される信号に基づいて撮影レンズ3内の各部材の駆動を制御するとともに、カメラボディ2に対して撮影レンズ3に関する種々のデータをコネクタ341を介して送信する。レンズ制御回路35には、レンズ駆動部361および絞り駆動部371の他、シフトダイヤル331、ティルトダイヤル321、ティルトシフト駆動部352およびティルトシフトエンコーダ353が接続される。
【0028】シフトダイヤル331は、シフト部材33に設けられるダイヤル式のスイッチであり、撮影レンズ3の光軸位置Lの上下方向の直線的な移動量をユーザから受け付ける。シフトダイヤル331で設定された移動量はレンズ制御回路35に入力され、移動量に基づいた信号がティルトシフト駆動部352に送信されることにより、ティルトシフト駆動部352がシフト部材33を移動させる。
【0029】図3は、撮影レンズ3のマウント部材34に対してシフト部材33が上向きに移動した状態を示す図である。図に示すように、シフト部材33が移動するのに伴って、レンズ保護部材31およびティルト部材32も移動している。これにより、撮影レンズ3の光軸位置Lが、元の基準位置L0から、符号L1に示す位置に移動する。本明細書においては、このように光軸位置Lを上下方向に直線的に移動させることを「撮影レンズ3をシフトさせる」という。また、この移動量Sを光軸位置Lのシフト量(単位:mm)とし、基準位置L0と直交する上下方向(鉛直方向)をY軸方向として、基準位置L0より上向きのシフト量をプラス、下向きのシフト量をマイナスで示す。
【0030】一方、ティルトダイヤル321は、ティルト部材32に設けられるダイヤル式のスイッチであり、撮影レンズ3の光軸位置Lの揺動量をユーザから受け付ける。ティルトダイヤル321で設定された揺動量はレンズ制御回路35に入力され、揺動量に基づいた信号がティルトシフト駆動部352に送信されることにより、ティルトシフト駆動部352がティルト部材32を揺動させる。
【0031】図4は、撮影レンズ3のシフト部材33に対してティルト部材32が下向きに揺動した状態を示す図である。図に示すように、ティルト部材32が揺動するのに伴って、レンズ保護部材31も揺動している。これにより、撮影レンズ3の光軸位置Lが、元の基準位置L0から、符号L2に示す位置に移動する。本明細書においては、このように光軸位置Lを揺動させることを「撮影レンズ3をティルトさせる」という。また、基準位置L0と移動後の位置L2とのなす角度Tを光軸位置Lのティルト量(単位:deg)とし、上向きのティルト量をプラス、下向きのティルト量をマイナスで示す。
【0032】実際に移動されたシフト量あるいはティルト量は、ティルトシフトエンコーダ353により検出されレンズ制御回路35に入力される。これにより、物理的に移動したシフト量あるいはティルト量が取得される。
【0033】ここで、図5を参照して、撮影レンズ3をシフトさせた場合の効果について説明する。
【0034】例えば、被写体5aが高層ビルのように高い建物である場合において、図5(a)のように撮影レンズ3をシフトさせずに、被写体5aに対してCCD23の撮像面を傾斜した状態で撮影したとすると、取得される画像データ71における被写体像71aは遠近感のある歪んだ状態で描画される。
【0035】一方、図5(b)のように撮影レンズ3をシフトさせ、被写体5aとCCD23の撮像面とが平行となる状態で撮影したとすると、取得される画像データ72における被写体像72aは、歪みのない状態で描画される。すなわち、撮影レンズ3をシフトさせることによって、遠近感の歪みを補正することができることとなる。
【0036】次に、図6を参照して、撮影レンズ3をティルトさせた場合の効果について説明する。
【0037】一般に、撮影レンズ3は被写体からの反射光線を平面であるCCD23の撮像面上に結像させることから、被写界深度DFは撮影レンズ3の光軸に垂直に発生する。したがって、図6(a)のように、例えば、近景から遠景にかけて被写体5bが存在する場合においては、いずれかの一つの距離の被写体5bにのみピントが合う(合焦)状態となり、他の被写体5bはピンぼけ(非合焦)状態となる。
【0038】一方、図6(b)のように、被写体5bに応じて撮影レンズ3をティルトさせることにより、被写界深度DFが発生する領域が傾斜して、全ての被写体5bにピントを合わせることができる。すなわち、撮影レンズ3をティルトさせることによって、深い被写界深度を得ることができるわけである。
【0039】図2に戻り、レンズ制御回路35はROM351を備えており、ROM351には、撮影レンズ3の特性に依存したシェーディングに関してのレンズ特性データを登録した各種データテーブルが格納されている。
【0040】図7および図8は、このようなデータテーブルのうち、絞り37の開口部の中央を通過した主光線を逆に延長して光軸と交わる点にできる虚像の位置、すなわち、射出瞳位置に関するデータを登録した射出瞳位置テーブル381の例を示している。
【0041】射出瞳位置テーブル381には、CCD23の受光面の種々の画素位置から見た場合の射出瞳位置までの距離(以下、「射出瞳距離」といい、記号PZを用いる。単位:mm)が登録されている。本実施の形態において、CCD23の画素位置は、CCD23の中心を原点、上下方向をY軸、水平方向をZ軸とする直角YZ平面座標系における座標位置(単位:mm)で表す。射出瞳位置テーブル381においては、原点(Y,Z=0)、Y軸上(Y=+18,+12,−12,−18)およびZ軸上(Z=±=18,±12)の画素位置それぞれに対しての射出瞳距離PZが登録される。
【0042】このような画素位置に応じた射出瞳距離PZは、撮影レンズ3のシフト量あるいはティルト量に応じて変化する。このため、図7の射出瞳位置テーブル381sでは、シフト量(−10,−5,0,+5,+10)に応じた射出瞳距離PZが登録され、図8の射出瞳位置テーブル381tでは、ティルト量(−10,−5,0,+5,+10)に応じた射出瞳距離PZが登録されている。
【0043】また、図9ないし図11は、ROM351に格納されるデータテーブルのうち口径食に関するデータを登録した口径食テーブル382の例を示している。
【0044】口径食テーブル382には、CCD23の受光面の種々の画素位置における口径食による光量低下量(以下、記号RLを用いる。)が、APEX表示の値で登録されている。例えば、設定された絞り値(APEX表示におけるAV値)が「3」である場合において、ある画素位置への光量が、口径食に起因して絞り値が「5」に設定された場合に相当する光量に低下するときは、この画素位置における光量低下量RLは「−2」として登録される。すなわち、設定された絞り値をAVtとすると、ある画素位置における光量は、実質的に絞り値がAVt−RLに設定された場合に相当する光量となる。なお以下、設定絞り値AVtに対して、実質的な絞り値「AVt−RL」をAVsで表し、「実質絞り値」AVsという。
【0045】口径食テーブル382においても、原点(Y,Z=0)、Y軸上(Y=+18,+12,−12,−18)およびZ軸上(Z=±=18,±12)の画素位置それぞれに対しての光量低下量RLが登録される。また、光量低下量RLもシフト量あるいはティルト量に応じて変化するため、射出瞳位置テーブル381と同様にシフト量(−10,−5,0,+5,+10)あるいはティルト量(−10,−5,0,+5,+10)に応じた光量低下量RLがそれぞれ登録される。
【0046】また、口径食による光量低下量RLは、設定絞り値AVtによっても変化する。このため、口径食テーブル382は、設定絞り値AVtに応じて複数のテーブルが用意されている。絞り値の開放値をAV0で表すと、図9は設定絞り値AVt=AV0である場合における口径食テーブル382aを示し、図10は設定絞り値AVt=AV0+1である場合の口径食テーブル382bを示し、図11は設定絞り値AVt≧AV0+2である場合の口径食テーブル382cを示している。
【0047】なお、図9ないし図11はシフト量に応じた光量低下量RLを登録した口径食テーブル382を示しており、ティルト量に応じた光量低下量RLを登録した口径食テーブル382の図示は省略しているが、同様のものがROM351に格納される。
【0048】以上のROM351に格納されるデータテーブルは撮影レンズ3に固有のものであり、予め測定により求められて登録されている。異なるタイプの撮影レンズにおいては、このようなデータテーブルに登録されるレンズ特性データは相違する。
【0049】次に、デジタルカメラ1aの機能構成について説明する。図12は、デジタルカメラ1aの主たる機能構成を機能ブロックとして示す図である。
【0050】図12に示す構成のうち、CCD23、A/D変換部231、シャッターボタン211等が画像データを取得する機能を実現する。すなわち、シャッターボタン211が押下されると、撮影レンズ3により結像された被写体の光像がCCD23に受光され、CCD23からの画像信号(アナログ信号)がA/D変換部231によりデジタル信号に変換される。
【0051】シェーディング補正部232は、A/D変換部231から入力される画像データに対してシェーディング補正を行う。シェーディング補正部232から出力された画像データは画像メモリ233に一旦格納され、必要に応じて所定の処理が行われた後、メモリカード9に記録される。
【0052】全体制御部220は、CPU221、RAM222、ROM223を有しており、デジタルカメラ1aの各部と有機的に接続して、上述したような各部の処理を統括制御する。全体制御部220には、上述した各部の他、測光センサ27、位相差センサ26、操作ボタン212およびLCD28等も電気的に接続され、これら処理部の動作を制御するとともに、これら処理部からの各種信号を受信する。さらに、コネクタ24を介して撮影レンズ3のレンズ制御回路35と通信を行い、各種データや信号を送受信する。
【0053】全体制御部220の各種の機能は、予めROM223内に記憶される制御プログラムに従ってCPU221が演算処理を行うことにより実現される。図12において、露出制御部241、AF制御部242および補正制御部243は、制御プログラムに従ってCPU221が演算処理を行うことにより実現される機能の一部を模式的に示している。
【0054】露出制御部241は、シャッタースピードと、絞り37の絞り値とを調節する露出制御を行うものである。露出制御部241は、測光センサ27から入力される測光データに基づいて露出値を決定し、決定した露出値に基づいてシャッタースピードおよび絞り値を決定する。なお、デジタルカメラ1aにおいてシャッタースピードはCCD23の積分時間に相当し、フォーカルプレーンシャッター22は通常開放状態とされ、CCD23の画像信号の読み出し時のみ閉じられる。
【0055】AF制御部242は、主被写体に対してピントが合うように、撮影レンズ3内のレンズ群36を移動させるオートフォーカス(AF)制御を行うものである。デジタルカメラ1aにおいては、AF制御を行う手法として位相差検出方式が用いられる。位相差検出方式は、位相差センサ26で検出される位相差データが0となる位置にレンズ群36を移動させるものである。位相差データから直接的にレンズ群36の移動すべき合焦位置を決定できることから、比較的高速にレンズ群36を合焦位置まで移動させることが可能である。
【0056】補正制御部243は、シェーディング補正部232によるシェーディング補正に関する制御を行う。補正制御部243およびシェーディング補正部232による処理の詳細については後述する。
【0057】また、全体制御部220のROM223には、カメラボディ2の特性に依存したシェーディングに関しての撮像特性データを登録した光量低下率テーブルが格納されている。図13は、この光量低下率テーブル281の例を示す図である。
【0058】CCD23の各画素には、口径食により実質絞り値AVsで入射光が入射することとなるが、さらに、主光線の入射角度に依存してCCD23の感度低下、および、コサイン4乗則による光量低下が生じる。光量低下率テーブル281では、これらのCCD23の感度低下およびコサイン4乗則による光量低下を考慮した最終的な光量低下率(0〜1の値:以下、記号QYを用いる)が登録される。換言すれば、シェーディングの影響が一切無いときにCCD23において取得される値を「1」とし、この値に対する相対値が光量低下率QYとして登録される。
【0059】CCD23の感度低下およびコサイン4乗則による光量低下の双方は、光軸に対する主光線の入射角度に依存する。このため、光量低下率テーブル281では、行方向に主光線の入射角度(0,10,18,23,28,31,34,37,40…単位:deg)が、列方向に口径食による光量低下を示す実質絞り値AVs(AV0,AV1,AV2・・・・AVE)がそれぞれ項目として設定され、これらの項目に対応する光量低下率QYがそれぞれ登録される。これらのデータは、予め測定により求められて登録される。
【0060】<1−2.デジタルカメラの動作>次に、デジタルカメラ1aの動作について説明する。図14は、デジタルカメラ1aの撮影時における動作の流れを示す図である。
【0061】デジタルカメラ1aの電源が投入されると、まず、デジタルカメラ1aの全体制御部220が撮影レンズ3と通信を行い、撮影レンズ3のROM351に格納されているデータテーブル(射出瞳位置テーブル381および口径食テーブル382)を受信する。受信したデータテーブルは、全体制御部220のRAM222に記憶される(ステップS1)。その後、ユーザによりシャッターボタン211が押下されるまで(ステップS4にてNoの間)は、撮影待機状態となる。
【0062】この撮影待機状態において、撮影レンズ3のシフトダイヤル331あるいはティルトダイヤル321が操作され光軸位置が変更される(ステップS2)と、撮影レンズ3から、変更後のシフト量あるいはティルト量(以下、総称して「光軸変更量」ともいう。)が送信される。送信された光軸変更量は、全体制御部220により受信されRAM222に格納される(ステップS3)。
【0063】シャッターボタン211が押下されると(ステップS4にてYes)、次に、AF制御部242によりAF制御が行われる。すなわち、位相差センサ26において検出された位相差データに基づいてAF制御部242によりレンズ群36の合焦位置が決定されるとともに、レンズ群36を駆動させる駆動信号が撮影レンズ3に送信される。これにより、レンズ群36が被写体に応じた合焦位置まで移動される(ステップS5)。
【0064】続いて、測光センサ27からの測光データに基づいて、露出制御部241によりシャッタースピードおよび絞り値が決定される。決定された絞り値、すなわち、設定絞り値AVtは撮影レンズ3に送信され、絞り37が設定絞り値AVtに応じた開口径に調節される(ステップS6)。
【0065】続いて、クイックリターンミラーM1が上方に回動され、CCD23への入射光の光路が開放される。そして、設定されたシャッタースピードだけCCD23の積分が行われ、被写体の画像データが取得される(ステップS7)。取得された画像データは、A/D変換部231によりデジタル信号に変換された後、シェーディング補正部232に入力されてシェーディング補正が行われる。
【0066】シェーディング補正を行うにあたっては、まず、シェーディング補正に使用するシェーディング補正テーブルが補正制御部243により生成される(ステップS8)。以下、このシェーディング補正テーブルの生成手法について説明する。
【0067】まず、撮影レンズ3の光軸変更量および設定絞り値AVtに基づいて、RAM222に格納されたデータテーブルが参照され、CCD23の所定座標位置、具体的には、原点位置(Y,Z=0)、Y軸上の座標位置(Y=+18,+12,−12,−18)およびZ軸上の座標位置(Z=±=18,±12)における射出瞳距離PZおよび光量低下量RLがそれぞれ取得される。例えば、シフト量が「+5」であり、設定絞り値AVtが「AV0+1」である場合は、図7に示す射出瞳位置テーブル381sから所定座標位置それぞれの射出瞳距離PZが取得され、図10に示す口径食テーブル382bから所定座標位置それぞれの光量低下量RLが取得される。なお、例えば、シフト量が「+7」であるなど、光軸変更量がデータテーブルにない場合は、その光軸変更量に対する射出瞳距離PZおよび光量低下量RLが直線補間により取得される。
【0068】続いて、取得された射出瞳距離PZと光軸変更量とから、所定座標位置それぞれに対する主光線と光軸とのなす角度が求められる。すなわち、所定座標位置それぞれに入射する主光線の入射角度が求められる。その一方で、取得された光量低下量RLと設定絞り値AVtとから、所定座標位置それぞれにおける実質絞り値AVs(=AVt−RL)が求められる。
【0069】そして、求められた主光線の入射角度と、実質絞り値AVsとに基づいて、光量低下率テーブル281(図13参照)が参照されることにより、所定座標位置それぞれにおける光量低下率QYが求められる。さらに、求められた所定座標位置それぞれにおける光量低下率QYに基づいて多項式補間が行われ、Y軸上およびZ軸上の全ての座標位置における光量低下率QYが求められる。
【0070】図15および図16は、所定座標位置それぞれにおける光量低下率QYをプロットしたグラフの例を示す図であり、それぞれ縦軸は光量低下率QYを示し、図15の横軸はY軸上の座標位置を、図16の横軸はZ軸上の座標位置を示している。また、図15に示す曲線61は多項式補間により求められたY軸上における光量低下率QYを示しており、図16に示す曲線62は多項式補間により求められたZ軸上における光量低下率QYを示している。
【0071】撮影レンズ3の光軸位置の変更が合った場合は、図15の例に示すように、Y軸上の光量低下率QYを示す曲線61の重心位置CGは、原点からズレた位置となる。一方、撮影レンズ3の光軸位置はY軸に沿って変更されるため、図16の例に示すように、Z軸上の光量低下率QYを示す曲線62は、原点位置を中心として線対称となる。
【0072】図15の曲線61の重心位置CGは、CCD23の受光面における光量低下率QYの分布の重心位置に相当する。図17は、CCD23の受光面23aを含む平面上における光量低下率QYの分布を示す図である。図に示すように、光量低下率QYの分布が一定となる曲線SA1〜SA5は、Y軸上の重心位置CGを中心とした円形(または、楕円形)となる。この分布曲線SA1〜SA5は、Y軸上およびZ軸上の光量低下率QYから求められる。CCD23の受光面23aにおける任意の画素の光量低下率QYは、この分布曲線SA1〜SA5と、重心位置CGからの相対座標位置とによって求めることができる。
【0073】この画素ごとの光量低下率QYの逆数は、シェーディング補正における補正率を示すこととなる。すなわち、画像データの画素値に対して、この光量低下率QYの逆数をそれぞれ乗算することによって、光量の低下が補正されてシェーディングの補正を行うことができるわけである。以下、この光量低下率QYの逆数を、記号WVIを用いて「シェーディング補正率」WVIという。
【0074】画素ごとに求められたシェーディング補正率WVIは、図18に示すようなテーブルにそれぞれ登録される。これにより、シェーディング補正テーブル282が生成される。シェーディング補正テーブル282において各画素の位置は、左上の画素を(1,1)として、縦位置i(i=1,2,…,m)と、横位置j(j=1,2,…,n)とによって与えられ、シェーディング補正テーブル282には、行方向を縦位置i、列方向を横位置jとしたマトリクス状に、全画素のシェーディング補正率WVIが登録される。
【0075】以上のようにしてシェーディング補正テーブル282が生成されると(図14:ステップS8)、生成されたシェーディング補正テーブルがシェーディング補正部232に入力される。シェーディング補正部232においては、取得された画像データの各画素値と、シェーディング補正テーブル282に登録された各画素ごとのシェーディング補正率WVIとが乗算されて、シェーディング補正が行われる(ステップS9)。シェーディング補正が行われた画像データは、画像メモリ233に格納された後、圧縮などの所定の処理が行われてメモリカード9に記録される(ステップS10)。画像データが記録されると、ステップS2に戻り、再度、撮影待機状態に移行することとなる。
【0076】以上、第1の実施の形態について説明を行ったが、デジタルカメラ1aにおいては、シフト量あるいはティルト量に応じての射出瞳距離PZ、および、口径食による光量低下量RLが登録されたデータテーブルが用意されているため、ティルト・シフトレンズを用いて光軸位置を変更した場合であっても、適切にシェーディング補正を行うことが可能である。
【0077】また、このようなデータテーブルは撮影レンズ3の特性に依存するが、撮影レンズ3内に記憶されるため、撮影レンズ3を交換した場合であっても、撮影レンズ3の特性を反映して適切にシェーディング補正を行うことが可能である。
【0078】<2.第2の実施の形態><2−1.デジタルカメラの構成>次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。図19は、本発明の第2の実施の形態に係るデジタルカメラ1bの主たる構成を示す図である。
【0079】本実施の形態のデジタルカメラ1bは、第1の実施の形態のデジタルカメラ1aと類似するため、同一の機能を有するものに関しては同一記号を付して詳細な説明は省略し、主として相違点に関して説明を行う。デジタルカメラ1bは、第1の実施の形態と同様に、主としてカメラボディ2とカメラボディ2に着脱可能な撮影レンズ3とから構成される。
【0080】撮影レンズ3は図2に示すものと同様の構成であるが、シフトダイヤル331によりシフト量が変更設定されたときは、設定されたシフト量を含むシフト変更信号がカメラボディ2に送信される。そして、シフト変更信号に応じてカメラボディ2から返信される駆動信号に基づいて、シフト部材33が駆動されるようになっている。
【0081】また、レンズ制御回路35内のROM351には、第1の実施の形態と同様の射出瞳位置テーブル381および口径食テーブル382の他、図21に示す伸張比率テーブル383が格納されている。
【0082】前述したように撮影レンズ3をシフトさせた場合においては、被写体像の遠近感の歪みが補正されることとなるが、伸張比率テーブル383は、この被写体像の歪みの補正は被写体像の伸張に相当すると見なして(詳細は後述)、その伸張する割合を伸張比率(以下、記号RTを用いる。)として登録したものである。伸張比率RTは、画素位置の高さ(Y方向の値)およびシフト量に応じて変化するため、伸張比率テーブル383においては、行方向に画素位置の高さ(Y=+18,−18)、列方向にシフト量(+5,+10,+15)がそれぞれ項目として設定され、これらの項目に対応する伸張比率RTがそれぞれ登録される。
【0083】カメラボディ2の内部には、第1の実施の形態のクイックターンミラーM1の替わりに、撮影レンズ3を介して入射する入射光を、そのまま直進する透過光と下方向に向かう反射光とに分けるビームスプリッタBSが設けられる。ビームスプリッタBSからの透過光はCCD23に受光され、ビームスプリッタBSからの反射光は位相差センサ26に受光される。したがって、CCD23には入射光が常に入射されることとなり、CCD23は常に画像データを取得できるようになっている。
【0084】また、カメラボディ2の上部には、光学部位25の替わりに、電子ビューファインダ(EVF)ユニット29が設けられている。EVFユニット29内部には、液晶ディスプレイで構成されるEVF表示部291が配置され、さらに、このEVF表示部291とファインダー窓293との間には、接眼レンズ292が配置される。EVF表示部291には、撮影待機状態において所定時間ごとにCCD23で取り込まれた画像データが表示(ライブビュー表示)され、これによりユーザは被写体の像を確認することができる。
【0085】図20は、デジタルカメラ1bの主たる機能構成を機能ブロックとして示す図である。
【0086】本実施の形態のデジタルカメラ1bにおいては、A/D変換部231で変換された画像データは、シェーディング補正部232の他、コントラスト演算部234および測光演算部235にもそれぞれ入力される。
【0087】コントラスト演算部234は、画像データ中の隣接する画素の輝度値の差分を演算し、コントラストデータとして取得する。また、測光演算部235は、画像データ中の画素の輝度値の平均値を測光データとして取得する。取得されたコントラストデータおよび測光データは、全体制御部220に入力される。
【0088】本実施の形態のデジタルカメラ1bにおいては、AF制御を行う手法として位相差検出方式とコントラスト方式との2つの方式が用いられ、AF制御部242により必要に応じてこれらの方式が切り替えられる。
【0089】コントラスト方式は、レンズ群36を駆動させながらコントラスト演算部234で取得されるコントラストデータを監視し、コントラストデータが最も高くなる位置をレンズ群36の合焦位置とするものである。レンズ群36を駆動させつつ、その合焦位置を決定するため、レンズ群36の合焦位置までの移動は、位相差検出方式と比較すると低速となる。
【0090】EVF表示部291は全体制御部220に電気的に接続され、全体制御部220によってEVF表示部291の表示制御がなされる。
【0091】図20に示すレンズ制御部244および画像変形部245は、制御プログラムに従ってCPU221が演算処理を行うことにより実現される機能の一部を模式的に示している。レンズ制御部244および画像変形部245の処理内容については後述する。
【0092】また、全体制御部220のROM223には、第1の実施の形態と同様に、カメラボディ2の特性に依存したシェーディングに関しての撮像特性データを登録した光量低下率テーブル281が格納される。
【0093】<2−2.デジタルカメラの動作>次に、デジタルカメラ1bの動作について説明する。デジタルカメラ1bは、撮影レンズ3において変更されるシフト量を撮影待機状態において監視し、そのシフト量を制御するようになっている。このため、以下では、撮影レンズ3のシフト量が変更される場合について説明する。
【0094】図22および図23は、デジタルカメラ1aの撮影時における動作の流れを示す図である。デジタルカメラ1aの電源が投入されると、まず、撮影レンズ3からのデータテーブル(射出瞳位置テーブル381、口径食テーブル382および伸張比率テーブル383)が受信され、RAM222に記憶される(ステップS21)。そして、ユーザによりシャッターボタン211が押下されるまで(ステップS31にてNoの間)は撮影待機状態となるが、デジタルカメラ1bではこの撮影待機状態においてEVF表示部291に被写体の画像データを表示するライブビュー表示を行う。
【0095】すなわち、CCD23においてライブビュー用の画像データを取得し(ステップS22)、取得された画像データはシェーディング補正部232によりシェーディング補正されて(ステップS24,S25)画像メモリ233に格納され、ライブビュー画像としてEVF表示部291に表示される(ステップS30)という一連の動作が所定時間ごとに繰り返される。
【0096】また、ライブビュー用として取得される画像データは測光演算部235にも入力され、測光演算部235により求められた測光データに基づいて、露出制御部241がシャッタースピードおよび絞り値の設定を行う(ステップS23)。この設定動作も撮影待機状態において繰り返され、設定されたシャッタースピードと絞り値は、ライブビュー用の画像データを取得する際にリアルタイムに反映される。
【0097】なお、ステップS24,S25におけるシェーディング補正は、第1の実施の形態と同様の手法によって行われる。このとき、設定絞り値AVtとしては、ステップS23において設定される絞り値が用いられ、光軸変更量は後述する物理シフト量(初期値0)が用いられる。
【0098】このような撮影待機状態において、撮影レンズ3からシフト変更信号を受信した場合(ステップS26にてYes)は、レンズ制御部244により撮影レンズ3に対して駆動信号を送信するレンズ駆動処理が行われる(ステップS27)。図24は、このレンズ駆動処理の流れの詳細を示す図である。
【0099】まず、シフト変更信号に含まれる設定されたシフト量(以下、「設定シフト量」という。)が、RAM222に格納される(ステップS51)。
【0100】次に、第1の実施の形態と同様にしてシェーディング補正テーブル282が生成される(ステップS52)。このとき、設定絞り値AVtとしてはステップS23において設定される絞り値が用いられ、光軸変更量は設定シフト量が用いられる。
【0101】続いて、生成されたシェーディング補正テーブル282内の各画素のシェーディング補正率WVIのうち、いずれかのシェーディング補正率WVIが予め決められた所定率を超えるか否かが判定される(ステップS53)。
【0102】シェーディング補正は、画像データ中の画素値に対してシェーディング補正率WVIを乗算して画素値を上昇させるものである。しかしながら、ある所定率を超えるシェーディング補正率WVIを乗算すると、画像データに含まれるノイズまでもが強調されてしまい、却って画質の劣化が生じるおそれがある。
【0103】このため、シェーディング補正率WVIが所定率を超えた場合(ステップS53にてYes)は、シェーディング補正率WVIが所定率以下となるシフト量(以下、「制限シフト量」という。)が逆算して求められる(ステップS54)。そして、求められた制限シフト量まで駆動するための駆動信号が撮影レンズ3に送信される(ステップS55)。
【0104】この駆動信号は、撮影レンズ3のレンズ制御回路35に受信され、撮影レンズ3は制限シフト量までシフトされる。撮影レンズ3のシフトが終了すると、ティルトシフトエンコーダ353により検出されるシフト量、すなわち、実際の物理的なシフト量(以下、「物理シフト量」という。)が、カメラボディ2に返信される。そして、この物理シフト量は、レンズ制御部244により受信されて、RAM222に格納される(ステップS56)。
【0105】このようにすることで、撮影レンズ3の物理シフト量が制限される。画像データに対してのシェーディング補正においては、光軸変更量として物理シフト量が用いられるため、シェーディング補正率WVIは所定率以下となり、ノイズの強調による画像の劣化が防止される。
【0106】撮影レンズ3がシフトされると、撮影レンズ3のシフト量が制限されている(設定シフト量と物理シフト量とが相違する)ことを示す内部フラグであるシフト制限フラグがONとされる(ステップS57)。
【0107】一方、シェーディング補正率WVIが所定率以下の場合(ステップS53にてNo)は、撮影レンズ3を設定シフト量までシフトさせても問題はないため、設定シフト量まで駆動するための駆動信号が撮影レンズ3に送信される(ステップS58)。これにより、撮影レンズ3は設定シフト量までシフトされる。
【0108】撮影レンズ3がシフトされると、撮影レンズ3から返信される物理シフト量が、レンズ制御部244により受信されてRAM222に格納される(ステップS59)。そして、撮影レンズ3のシフト量の制限は無い(設定シフト量と物理シフト量とは一致する)ため、シフト制限フラグはOFFとされる(ステップS60)。
【0109】図22に戻り、撮影待機状態において、シフト制限フラグがONとなった場合(ステップS28にてYes)は、さらに、画像変形部245により画像メモリ233に格納された画像データに対して変形処理が行われる(ステップS29)。
【0110】シフト制限フラグがONとなっている場合は、撮影レンズ3のシフト量が制限され、設定シフト量と物理シフト量とが相違している場合であるため、撮影レンズ3が設定シフト量までシフトされた場合において補正されるべき被写体像の歪みが補正されず、ユーザにとって所望の効果は得られていないこととなる。
【0111】図25は、高層ビルなどを主被写体として撮影された画像データ中の主被写体像の例を示す図である。図において、符号73aは撮影レンズ3のシフトが無いときの主被写体像を示し、符号73bは制限シフト量まで撮影レンズ3がシフトされたときの主被写体像を示し、また、符号73cは設定シフト量まで撮影レンズ3がシフトされたときの主被写体像を示している。また、この図において、主被写体像73a上の位置P1a、主被写体像73b上の位置P1bおよび主被写体像73c上の位置P1cは、同一の被写体位置を示している。同様に、位置P2aと位置P2bと位置P2cとは同一の被写体位置であり、位置P3aと位置P3bと位置P3cとは同一の被写体位置である。
【0112】ユーザは、設定シフト量まで撮影レンズ3をシフトさせ、符号73cで示すように歪みが補正された画像データを所望しているはずであるが、実際には撮影レンズ3のシフト量が制限されることにより、符号73bで示すように歪みの残った画像データがCCD23により取得される。
【0113】このため、画像変形部245は、CCD23において取得される画像データに対して変形処理を行うことにより、撮影レンズ3が設定シフト量までシフトされた場合において取得されるべき画像データを生成する。
【0114】この変形処理は、取得された被写体像73bが被写体像73cのようになるように変形を行うものであり、単純には、位置P1b,P2b,P3bにある画素(正確には、その画素値)を、それぞれ位置P1c,P2c,P3cで示す位置にそれぞれ移動させるという処理に相当する。以下、この画素の移動先の位置を決定する手法について説明する。
【0115】まず、RAM222に格納された伸張比率テーブル383が参照され、2つの画素位置の高さ(Y=+18,−18)のそれぞれにおいての、設定シフト量に対応する伸張比率RT(以下、記号RTsを用いて「設定伸張比率」RTsという。)、および、物理シフト量に対応する伸張比率RT(以下、記号RTpを用いて「物理伸張比率」RTpという。)が取得される。なお、設定シフト量あるいは物理シフト量が伸張比率テーブル383に無い場合は、直線補間により伸張比率RTが取得される。また、設定シフト量および物理シフト量がマイナスの場合は、2つの画素位置の高さ(Y=+18,−18)に対応する伸張比率RTが入れ替えられる。
【0116】設定伸張比率RTsと物理伸張比率RTpとが取得されると、相対伸張比率(記号RTrを用いる。)が、RTr=RTs/RTpの演算により求められる。この相対伸張比率RTrは、2つの画素位置の高さ(Y=+18,−18)それぞれに対して得られる。
【0117】次に、画像データ中の一の画素(以下、「注目画素」という。)が注目され、注目画素の位置が、CCD23の受光面における距離(mm)に換算されて、直角YZ平面座標系におけるY座標値とZ座標値として求められる。そして、注目画素のY座標値における相対伸張比率RTrが、2つの画素位置の高さ(Y=+18,−18)における相対伸張比率RTrに基づいて直線補間により求められる。
【0118】ここで、例えば、注目画素が位置P1bの画素である場合においては、図25において、設定伸張比率RTsは(距離C/距離A)に、物理伸張比率RTpは(距離B/距離A)に、相対伸張比率RTrは(距離C/距離B)にそれぞれ相当する。
【0119】注目画素に対する相対伸張比率RTrが求められると、注目画素のY座標値およびZ座標値のそれぞれの絶対値に、相対伸張比率RTrが乗算される。そして、この乗算により求められたY座標値(Z座標値)には、元のY座標値(Z座標値)が正なら正、負なら負の符号が与えられる。このY座標値およびZ座標値が、注目画素の移動先位置となる。すなわち、注目画素の移動先となる位置は、原点から注目画素位置に向かう直線方向で、かつ、原点からの距離が「原点から注目画素までの距離」×「相対伸張比率RTr」となる点の位置となる。
【0120】以上のようにして、一の注目画素について移動先位置を決定すると次の画素が注目画素として決定され、上記と同様にして移動先位置が決定される。そして、同様の処理を繰り返すことにより、最終的に画像データ中の全ての画素の移動先位置が決定される。
【0121】全画素の移動先位置が決定されると、各画素の画素値がそれぞれの移動先位置に移動されることにより、画像データの変形が行われる。変形後の画像データ(以下、「変形画像データ」ともいう。)においては、移動元となる画素を有さない画素が存在することとなるが、このような画素の画素値は、近傍画素の画素値に基づいて補間により求められる。
【0122】図22に戻り、画像データの変形処理が行われ変形画像データが生成された場合(ステップS29)は、生成された変形画像データがライブビュー画像としてEVF表示部291に表示される(ステップS30)。すなわち、撮影レンズ3が設定シフト量までシフトされた場合に取得されるべき画像データを、撮影待機状態においてユーザは確認することとなる。これにより、撮影レンズ3のシフト量が制限された場合であっても、ユーザは通常通りの操作感覚で扱うことができるとともに、撮影指示後に記録される画像データの態様を撮影待機状態において把握することができる。
【0123】以上のような撮影待機状態において、シャッターボタン211が押下されると(ステップS31にてYes)、デジタルカメラ1bは記録用の画像データを取得する動作に移行する(図23)。
【0124】記録用の画像データを取得する際には、まず、撮影レンズ3の光軸位置が変更されたか否かが判定される(ステップS32)。光軸位置が変更されていない場合は、AF制御部242は、位相差センサ26からの位相差データに基づく位相差検出方式によってAF制御を行う(ステップS34)。
【0125】一方、光軸位置が変更されていた場合は、AF制御部242は、コントラスト演算部234からのコントラストデータに基づくコントラスト方式によってAF制御を行う(ステップS33)。
【0126】一般に、AF制御は高速に行うことが要求されることから、位相差検出方式とコントラスト方式とでは、高速な位相差検出方式を用いることが好ましい。しかしながら、光軸位置が変更されていない場合には位相差センサ26には光軸近傍の入射光が入射するが、光軸位置が変更された場合には位相差センサ26には光軸近傍の入射光ではなく周辺光が入射することとなる。したがって、位相差検出方式では、口径食等による光量低下により必要となる位相差情報が得られない可能性や、主被写体以外の被写体に対してピントを合わせてしまう可能性がある。
【0127】このため、光軸位置が変更された場合は、CCD23で受光される入射光に基づいてAF制御を行うコントラスト方式に切り替えることにより、精度の高いAF制御が可能となる。
【0128】AF制御が終了すると、測光演算部235からの測光データに基づいて、露出制御部241によりシャッタースピードおよび絞り値が決定され(ステップS35)、CCD23により記録用の画像データが取得される(ステップS36)。
【0129】取得された画像データに対しては、第1の実施の形態と同様の手法によってシェーディング補正が行われる。このとき、設定絞り値AVtとしてはステップS35において設定される絞り値が用いられ、また、シェーディングは物理シフト量に応じて発生することから光軸変更量は物理シフト量が用いられる(ステップS37,S38)。シェーディング補正が行われた画像データは画像メモリ233に格納される。
【0130】続いて、シフト制限フラグがONであるか否かが判定される(ステップS39)。シフト制限フラグがOFFの場合は、画像を変形させる必要はないためそのまま得られた画像データがメモリカード9に記録される(ステップS41)。
【0131】一方、シフト制限フラグがONとなっている場合は、撮影待機状態と同様の手法によって画像変形処理が行われて、変形画像データが生成される(ステップS40)。そして、生成された変形画像データがメモリカード9に記録されることとなる(ステップS41)。画像データが記録されると、ステップS22に戻り、再度、撮影待機状態に移行することとなる。
【0132】以上、第2の実施の形態について説明を行ったが、デジタルカメラ1bでは、シェーディング補正率WVIが所定率以上となる場合は、シェーディング補正率WVIが所定率以下となるように、撮影レンズ3のシフト量を制限する。このため、得られる画像データにおいてノイズの強調を抑制することができる。
【0133】また、撮影レンズ3のシフト量を制限した場合であっても、画像変形処理が行われるため、ユーザが設定したシフト量まで撮影レンズ3がシフトされた場合に取得されるべき所望の画像データを生成することができることとなる。
【0134】<3.変形例>以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0135】例えば、上記デジタルカメラ1a(1b)は、カメラボディ2と撮影レンズ3とが着脱可能に構成されていたが、これらは一体的に構成されていてもよい。このような場合、撮影レンズ3の特性に依存した各種データテーブル(射出瞳位置テーブル381、口径食テーブル382等)は、カメラボディ2内のROM223等に予め格納しておいてもよい。
【0136】また、上記デジタルカメラ1a(1b)のように、カメラボディ2と撮影レンズ3とが着脱可能に構成されいた場合であっても、撮影レンズ3の特性に依存した各種データテーブルを、種々の撮影レンズ3の種類に合わせてカメラボディ2内のROM223等に準備しておくようにしてもよい。このようにしても、撮影レンズ3を交換した場合であっても、撮影レンズ3の種類に応じたデータテーブルを用いることで適切にシェーディング補正を行うことができる。
【0137】また、上記実施の形態においては、撮影レンズ3の特性に依存した全てのデータテーブルを撮影レンズ3からカメラボディ2に送信し、カメラボディ2内で必要となるレンズ特性データを選択していたが、必要となるレンズ特性データを撮影レンズ3内で選択し、選択されたレンズ特性データのみをカメラボディ2に送信するようにしてもよい。この場合は、カメラボディ2で設定された設定絞り値AVtを撮影レンズ3に送信するようにする。これによれば、撮影レンズ3からカメラボディ2に送信するデータの総量を抑えることができる。
【0138】また、上記第1の実施の形態においては、測光センサ27からの測光データをそのまま利用して、シャッタースピードおよび絞り値を決定していたが、光軸位置が変更されていた場合は、厳密には測光センサ27に入射される入射光においても光量低下が発生しているはずである。このため、測光センサ27への入射光に対応する位置の光量低下率を求め、測光データを補正するようにしてもよい。これによれば、より正確な露出制御を行うことが可能である。
【0139】また、上記実施の形態では、CPUがプログラムに従って演算処理を行うことにより各種機能が実現されると説明したが、これら機能の全部または一部は専用の電気的回路により実現されてもよい。特に、繰り返し演算を行う箇所をロジック回路にて構築することにより、高速な演算が実現される。また逆に、電気的回路によって実現されるとした機能の全部または一部は、CPUがプログラムに従って演算処理を行うことにより実現されてもよい。
【0140】◎なお、上述した具体的実施形態には以下の構成を有する発明が含まれている。
【0141】(1) 請求項1ないし4のいずれかに記載のデジタルカメラにおいて、前記レンズ特性データは、前記撮影レンズの射出瞳位置に関するデータ、および、前記撮影レンズの口径食に関するデータを含むことを特徴とするデジタルカメラ。
【0142】これによれば、射出瞳位置および口径食に関するデータに基づいてシェーディング補正を行うため、高精度に補正を行うことができる。
【0143】(2) 請求項1ないし4および上記(1)のいずれかに記載のデジタルカメラにおいて、前記撮像特性データは、前記入射光の入射角度に対するデータであることを特徴とするデジタルカメラ。
【0144】これによれば、入射光の入射角度に対する光量低下に関してのデータに基づいてシェーディング補正を行うため、高精度に補正を行うことができる。
【0145】(3) 請求項1ないし4ならびに上記(1)および(2)のいずれかに記載のデジタルカメラにおいて、前記レンズ特性データは、前記撮像手段の受光面上の画素位置に対するデータであることを特徴とするデジタルカメラ。
【0146】これによれば、レンズ特性データおよび撮像特性データが、撮像手段の受光面上の画素位置に対するデータであるため、画像データの画素位置に応じて適切なシェーディング補正を行うことができる。
【0147】(4) 請求項4に記載のデジタルカメラにおいて、前記画像生成手段によって生成された画像データを、撮影待機状態において表示する表示手段、をさらに備えることを特徴とするデジタルカメラ。
【0148】これによれば、撮影待機状態において生成された画像データが表示されるため、撮影指示後に記録される画像データの態様を事前に把握することができる。
【0149】(5) 請求項1ないし4ならびに上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のデジタルカメラにおいて、前記撮影レンズの光軸位置が基準位置である場合の前記入射光の光軸近傍の位相差に基づいて前記撮影レンズの合焦位置を決定する第1合焦手段と、前記画像データのコントラストに基づいて前記撮影レンズの合焦位置を決定する第2合焦手段と、前記撮影レンズの光軸位置が基準位置である場合は前記第1合焦手段を能動化させて前記第2合焦手段を非能動化させる一方、前記撮影レンズの光軸位置が基準位置から変更された場合は前記第1合焦手段を非能動化させて前記第2合焦手段を能動化させる制御手段と、をさらに備えることを特徴とするデジタルカメラ。
【0150】これによれば、光軸位置に応じて撮影レンズの合焦位置を決定する手段を切り替えることにより、正確に撮影レンズの合焦位置を決定することができる。
【0151】
【発明の効果】以上、説明したように、請求項1ないし4の発明によれば、画像データを取得する際の撮影レンズの光軸位置に応じて、適切なシェーディング補正を行うことができる。
【0152】また特に、請求項2の発明によれば、撮影レンズにレンズ特性データを記憶させ、カメラボディに撮像特性データを記憶させることにより、撮影レンズを交換した場合であっても撮影レンズの特性を反映して適切なシェーディング補正を行うことができる。
【0153】また特に、請求項3の発明によれば、光軸位置の移動を制限することでノイズの強調を抑制することができる。
【0154】また特に、請求項4の発明によれば、光軸位置の移動が制限された場合においても、光軸設定手段により設定された位置に光軸位置が変更された場合に取得されるべき所望の画像データを得ることができる。
【0155】また、請求項5の発明によれば、撮影レンズの特性に依存したレンズ特性データを撮影レンズ内に記憶させることで、デジタルカメラにおいて撮影レンズの特性を反映して適切なシェーディング補正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るデジタルカメラの主たる構成を示す断面図である。
【図2】撮影レンズの概略構成を示す図である。
【図3】撮影レンズをシフトさせた状態を示す図である。
【図4】撮影レンズをティルトさせた状態を示す図である。
【図5】撮影レンズをシフトさせた場合の効果を説明するための図である。
【図6】撮影レンズをティルトさせた場合の効果を説明するための図である。
【図7】シフト量に応じた射出瞳位置テーブルの例を示す図である。
【図8】ティルト量に応じた射出瞳位置テーブルの例を示す図である。
【図9】口径食テーブルの例を示す図である。
【図10】口径食テーブルの例を示す図である。
【図11】口径食テーブルの例を示す図である。
【図12】第1の実施の形態のデジタルカメラの主たる機能構成を機能ブロックとして示す図である。
【図13】光量低下率テーブルの例を示す図である。
【図14】第1の実施の形態のデジタルカメラの撮影時における動作の流れを示す図である。
【図15】Y軸上の光量低下率を示す図である。
【図16】Z軸上の光量低下率を示す図である。
【図17】CCDの受光面を含む平面上における光量低下率の分布を示す図である。
【図18】シェーディング補正テーブルの例を示す図である。
【図19】本発明の第2の実施の形態に係るデジタルカメラの主たる構成を示す図である。
【図20】第2の実施の形態のデジタルカメラの主たる機能構成を機能ブロックとして示す図である。
【図21】伸張比率テーブルの例を示す図である。
【図22】第2の実施の形態のデジタルカメラの撮影時における動作の流れを示す図である。
【図23】第2の実施の形態のデジタルカメラの撮影時における動作の流れを示す図である。
【図24】レンズ駆動処理の流れを示す図である。
【図25】画像データ中の主被写体像の例を示す図である。
【符号の説明】
1a デジタルカメラ
2 カメラボディ
3 撮影レンズ
26 位相差センサ
27 測光センサ
32 ティルト部材
33 シフト部材
35 レンズ制御回路
352 ティルトシフト駆動部
353 ティルトシフトエンコーダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 画像データを取得する撮像手段を有するカメラボディと、前記撮像手段への入射光の光軸位置を変更可能な撮影レンズと、を備えたデジタルカメラであって、前記撮影レンズの特性に依存した光量低下に関しての、複数の光軸位置にそれぞれ対応する複数のレンズ特性データを記憶するレンズ特性データ記憶手段と、前記撮像手段の特性に依存した光量低下に関しての撮像特性データを記憶する撮像特性データ記憶手段と、前記複数のレンズ特性データから、前記撮像手段において画像データを取得する際の前記撮影レンズの光軸位置に応じたレンズ特性データを選択する選択手段と、選択された前記レンズ特性データと前記撮像特性データとに基づいて、前記撮像手段において取得された画像データに対してシェーディング補正を行うシェーディング補正手段と、を備えることを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項2】 請求項1に記載のデジタルカメラにおいて、前記撮影レンズと前記カメラボディとは着脱可能に構成され、前記撮影レンズは、前記レンズ特性データ記憶手段を備え、前記カメラボディは、前記撮像特性データ記憶手段を備えることを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項3】 請求項1または2に記載のデジタルカメラにおいて、前記撮影レンズの光軸位置の変更設定を受け付ける光軸設定手段と、前記光軸設定手段により設定された位置に前記光軸位置が移動された場合に、前記シェーディング補正の補正率が所定率を超えるときは、前記補正率が前記所定率以下となる範囲内に前記光軸位置の移動を制限する光軸位置制限手段と、をさらに備えることを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項4】 請求項3に記載のデジタルカメラにおいて、前記光軸位置制限手段によって前記光軸位置の移動が制限された場合において、前記光軸設定手段により設定された位置に前記光軸位置が変更された場合に取得されるべき画像データを、前記撮像手段によって取得された画像データから生成する画像生成手段、をさらに備えることを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項5】 画像データを取得する撮像手段と、前記撮像手段の特性に依存した光量低下に関しての撮像特性データを記憶する撮像特性データ記憶手段と、前記撮像手段において取得された画像データに対してシェーディング補正を行うシェーディング補正手段とを備えるデジタルカメラに装着可能であり、かつ、前記デジタルカメラの前記撮像手段への入射光の光軸位置を変更可能な撮影レンズであって、前記撮影レンズの特性に依存した光量低下に関しての、複数の光軸位置にそれぞれ対応する複数のレンズ特性データを記憶するレンズ特性データ記憶手段と、前記レンズ特性データを前記デジタルカメラに送出する送出手段と、を備えることを特徴とする撮影レンズ。

【図18】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図6】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図15】
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【図16】
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【図12】
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【図14】
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【図17】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2003−244526(P2003−244526A)
【公開日】平成15年8月29日(2003.8.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−40041(P2002−40041)
【出願日】平成14年2月18日(2002.2.18)
【出願人】(000006079)ミノルタ株式会社 (155)
【Fターム(参考)】