説明

デジタルカメラ

【課題】カメラ使用に必要な要件を報知することで、要件満たしていないことによる不都合を防止する。
【解決手段】ユーザが旅行のスケジュールとカメラ使用条件の入力を行うと、カメラは入力情報に基づいて電源電池と記録媒体の必要数を演算し、表示する。ユーザは、上記の表示に従い、出発当日までに電源電池と記録媒体を確保する。その後、入力された出発日の前日の所定時刻になると、カメラは、必要な数の電源電池と記録媒体が揃っているか、カメラが正常に動作するか、レンズ1が汚れていないかなどの確認を要請する表示を行う。ユーザは、この表示に従って確認を行い、不備や不足があればそれに対処する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデジタルカメラに関し、予想外の電池切れや記録容量不足などを極力回避できるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラは、電源電池から給電を受けて作動し、撮影によって得られたデジタル画像データをメモリカードなどの記録媒体に記録する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
撮影に出かける際は、撮影途中での電池切れや画像記録媒体の容量不足に留意する必要がある。しかし、ユーザが十分と思える数の電源電池や記録媒体を確保したとしても、カメラの使用条件(例えば、使用環境)によって予想外の電池切れや記録容量不足に見舞われることがあり、途中で撮影を断念しなければならないことも少なくない。これに対処するには、電源電池や記録媒体をより多めに持参すればよいが、それらを用意するのに費用がかかり、また荷物がかさばるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係るデジタルカメラは、カメラの使用条件を入力する入力手段と、入力された使用条件に基づいて、その条件でのカメラ使用に必要な要件を推定する推定手段と、推定の結果を報知する報知手段とを具備することを特徴とする。なお、使用条件の入力は、使用者の操作による入力の他、他の装置で入力された情報の読み込み、カメラに設けた検出装置の検出結果の入力をも含む。
カメラの使用日時に関する情報を更に入力し、入力された使用日時に基づく所定日時が到来したことを内蔵時計によって確認すると、要件が満たされているか否かの確認を使用者に要請するようにしてもよい。
実際の撮影状況に基づいて上記要件を再度推定し、使用条件に基づく推定結果と、実際の撮影状況に基づく推定結果との差に基づく警告を行うようにしてもよい。
報知を禁止する時間帯に関する情報を更に入力し、その時間帯には報知を禁止するようにしてもよい。
カメラ使用に必要な要件としては、例えば電源電池の必要容量または数が挙げられる。この場合、使用条件は撮影枚数を含んでいてもよいし、更に撮影時の気温を含んでいてもよい。
他の要件としては、例えば画像記録媒体の必要容量または数が挙げられる。この場合、使用条件は撮影枚数を含んでいてもよい。
動画撮影の有無、画像記録媒体や電源電池が撮影場所で調達できるか否かの情報を使用条件に含めてもよい。
要件の確認要請に加えて、カメラ動作が正常かおよび/またはレンズが汚れていないかの確認要請を同時に行ってもよい。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、カメラ使用に必要な要件を報知することで、要件を満たしていないことによる不都合を防止でき、また過剰な準備も不要となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1〜図3により本発明の一実施の形態を説明する。
図1は本実施形態におけるデジタルカメラの制御ブロック図である。なお、デジタルカメラは、デジタルカメラ機能を持つ機器全般を指す(例えば、カメラ機能付き携帯電話機も含む)。
【0007】
図1において、撮影モード設定時、撮影レンズ1を透過した被写体光束は、撮像素子2で撮像され、その撮像信号は画像処理部3に入力される。画像処理部3を構成する画像処理回路3aは、入力された撮像信号に種々の処理を施して画像データを生成し、画像データは記録/再生回路3bを介してメモリカード等の記録媒体4に記録される。本実施形態のカメラは、静止画撮影に加えて動画撮影も可能とされる。
【0008】
一方、再生モードでは、記録媒体4に記録された画像データ(静止画、動画)を記録/再生回路3bにて読み出し、画像処理回路3aおよび表示回路3cによる処理を経て液晶モニタ5に表示することができる。
【0009】
CPU6は、操作部7からの入力に応答して画像処理部3や不図示の回路を制御する。操作部7は、電源ボタンやレリーズボタン、再生操作や情報入力等で用いる各種操作部材を含む。CPU6、画像処理部3、内蔵時計10、および図示しない各種回路は、電源電池8から直接あるいはDC/DCコンバータ9を介して給電され作動する。
【0010】
背景技術でも述べたように、カメラ使用の際には予想外の電池切れや記録容量不足に留意する必要がある。特に数日間に渡る撮影旅行に出かけるような場合は、撮影枚数も多くなるため電池切れが起こり易く、また記録媒体4の空き容量がなくなってしまうことが多い。本実施形態のカメラは、以下に示すように、旅行のスケジュールおよびカメラの使用条件に基づいてユーザに適切な警告等を行うことで、かかる不都合を回避する。
【0011】
ユーザは、旅行のスケジュールが決まると、カメラのメニュー画面から所定の入力モードを選択し、スケジュールおよびカメラの使用条件を入力する。例えば、液晶モニタ5に表示される案内に従って順に入力できるようにすると便利である。スケジュールは、例えば、出発日、起床時刻、移動開始時刻、第1目的地到着時刻、第1目的地出発時刻、第2目的地到着時刻、第2目的地出発時刻、宿泊地到着時刻、就寝時刻、起床時刻、・・・・第**目的地出発時刻、帰宅時刻のように細かく入力することができる。
【0012】
カメラの使用条件としては、各日の予定撮影枚数、現地の予想気温、動画撮影の有無などを入力する。このほか、各目的地や宿泊地に対し、電源電池8や記録媒体4を調達できる場所か、あるいは電源電池8の充電が行える場所か否か(二次電池使用の場合)を入力することができる。なお、上記全ての項目に対して入力を強制されるわけではなく、ユーザが入力項目を選ぶことができる。
【0013】
その後のカメラ動作について図2のフローを参照して説明する。この処理は、電源スイッチのオン・オフに拘わらず実行されるものとする。
ステップS1でスケジュールと使用条件の入力完了操作が確認されると、CPU6は、ステップS2で入力情報に基づいて電源電池8と記録媒体4の必要数を演算するとともに、その結果を液晶モニタ5に表示する。演算に用いる情報は、予定撮影枚数の日数分の合計と、現地の予想気温、動画撮影の有無である。撮影枚数が多いほど電力使用量および必要な記録領域は増加し、また気温が低いほど電池寿命は短くなり、さらに動画撮影は静止画撮影よりも多くの電力量および記憶領域を必要とするため、上記の3情報から、旅行の全行程で必要な電源電池8および記憶媒体4の数を推定できる。推定結果は、メモリ11に記憶される。
【0014】
記録媒体4の必要数は、記録媒体の容量、画質モード、画像サイズによって異なるので、表示にあたっては、これらの項目別に一覧表示することが望ましい。ユーザはこの表示を見て、自分のカメラ設定で自分の使用する記録媒体が何枚必要かを把握できる。必要数に変えて必要容量を表示してもよい。また、複数種類の電源電池が使用可能なカメラであれば、電池8の種類別に必要数を一覧表示する。ユーザはこの表示を見て、自分が使用しようとしている電池8の必要数を把握できる。
【0015】
ここで、目的地や宿泊地に電源電池8や記録媒体4が調達できる場所、あるいは電源電池8の充電が行える場所が含まれる場合は、旅行の全行程に必要な電源電池8と記録媒体4とを最初から持参する必要はなく、最初の調達可能地に到着するまでに必要な数を最低限確保すればよい。そこでCPU6は、上記入力情報から調達可能地に到着するまでの撮影枚数を予測し、その場所に到着するまでに必要な電源電池8と記録媒体4の数とを求める。そして、これらの数を最小限必要な数として別途表示する。
【0016】
ユーザは、上記の表示に従い、出発当日までに電源電池8と記録媒体4を確保する。旅行の全行程に必要な数を予め確保するのが安全であるが、荷物を減らしたい場合は最小限必要な数のみ確保すればよい。
【0017】
その後、入力された出発日の前日の所定時刻になると、CPU6は液晶モニタ5に確認表示を行う(ステップS3→S4)。ここでは、必要な数の電源電池8と記録媒体4が揃っているか、カメラが正常に動作するか、レンズ1が汚れていないかなどの確認を要請する。ユーザは、この表示に従って確認を行い、不備や不足があればそれに対処する。これによれば、旅行当日になって不備が発覚して慌てるようなことはない。
【0018】
なお、上記の確認表示を行う時刻は、ユーザが予め設定できるようにしてもよい。また、表示だけではユーザが見逃すおそれがあるので、同時にブザー音や音声等でユーザの注意を引きつけることが望ましい。これは以下の確認/警告表示でも同様である。
【0019】
出発日、入力された起床時刻になると、CPU6は目覚ましアラーム(音)を発するとともに、再度の確認表示を行う(ステップS5→S6,S7)。表示内容は、ステップS4と同様でよい。その後、ステップS11で移動開始時刻を待つ。
なお、一度入力したスケジュールや使用条件はいつでも変更できる。変更が確認されると、改めて電源電池8および記録媒体4の必要数が演算され、表示される(ステップS8→S2,ステップS9→S10,ステップS12→S13)。
【0020】
移動開始時刻になると、CPU6は旅行開始と判断し、以下の処理を行う(ステップS11→S14以降)。
撮影者が撮影操作を行うたびに撮影(撮像)を行い、得られた画像データを記録媒体4に記録する。また、撮影された枚数(実撮影枚数)を常に把握し、時間に対する実撮影枚数から旅行の全行程における撮影枚数を予測し、その枚数の撮影を実現するための電源電池8および記録媒体4の数を求める。(ステップS14→S15,S16)。ユーザが頻繁に撮影を行うほど必要数が多くなることはいうまでもない。
【0021】
さらにCPU6は、ステップS2などで求めた当初の必要数と、ステップS16で求めた必要数とを比較し、後者が前者を上回ると、電源電池8および/または記憶媒体が足りなくなるおそれがあることと、追加すべき数とを表示する(ステップS17→S18)。この場合も「目的地で電源電池8や記録媒体4が調達できるか否か」、「電源電池8の充電が行えるか否か」の情報を加味した表示を別途行う。ユーザは、この表示を見て次の調達可能目的地までもたないと判断した場合は、撮影回数を減らすとか、画像サイズや画質を落とすとか、動画撮影を控えるなどの措置をとる。一方、次の調達可能目的地まではもつと判断した場合は、これまでのペースで撮影を続け、次の調達可能目的地で調達を行う。調達数は、上記表示に従えばよい。これによれば、不所望な電池切れや記録容量不足を回避できる。
【0022】
ここで、旅行開始後もスケジュールや使用条件の変更はいつでも可能であり、変更された場合は変更後の情報に基づいて上記演算がなされる(ステップS19→S16)。また、就寝時刻から翌起床時刻までは何らの確認/警告表示も行わず、起床時刻になると、目覚ましアラームとともに、ステップS4のような確認表示を行う(ステップS20〜S23)。これによれば、就寝中に無駄な表示が行われることがない。なお、就寝時刻の所定時間前にも上記確認表示を行うようにしてもよい。
【0023】
上記ステップS14以降の処理は、帰宅日の帰宅時刻になるまで繰り返され、帰宅時刻になると終了する(ステップS24→エンド)。なお、ユーザの操作により途中で処理を中止させることもできる。
【0024】
以上では現地の気温予想をユーザが入力するようにしたが、カメラに温度センサを設ければ、現地での温度検出結果に基づいて演算(推定)を再度行い、その結果を改めて表示することができる。また、GPS受信機を備えたカメラであれば、現在位置の正確な時刻を取得して内蔵時計7の時刻を修正し、正確な時間管理が行える他、現地の気温予測にも用いることができる。インターネット等のネットワーク接続が可能であれば、現地の気象情報(特に気温情報)を入力して役立てることができる。
【0025】
また、スケジュールやカメラの使用条件を別の装置(例えば、パーソナルコンピュータ)で入力し、その情報をカメラが読み込んで利用するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】一実施形態におけるデジタルカメラの制御ブロック図。
【図2】カメラ動作を説明するフローチャート。
【図3】図2に続くフローチャート。
【符号の説明】
【0027】
1 撮影レンズ
2 撮像素子
3 画像処理部
4 記録媒体
5 液晶モニタ
6 CPU
7 操作部
8 電源電池
10 内蔵時計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラの使用条件を入力する入力手段と、
前記入力された使用条件に基づいて、該条件でのカメラ使用に必要な要件を推定する推定手段と、
前記推定の結果を報知する報知手段とを具備することを特徴とするデジタルカメラ。
【請求項2】
前記入力手段は、カメラの使用日時に関する情報を更に入力し、
前記入力された使用日時に基づく所定日時が到来したことを内蔵時計によって確認すると、前記要件が満たされているか否かの確認を使用者に要請する確認要請手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のデジタルカメラ。
【請求項3】
前記推定手段は、実際の撮影状況に基づいて前記要件を再度推定し、前記報知手段は、前記使用条件に基づく前記推定結果と、実際の撮影状況に基づく前記推定結果との差に基づく警告を行うことを特徴とする請求項1または2に記載のデジタルカメラ。
【請求項4】
前記入力手段は、報知を禁止する時間帯に関する情報を更に入力し、
前記時間帯には前記報知手段の作動を禁止することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のデジタルカメラ。
【請求項5】
前記要件は、電源電池の必要容量または数であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のデジタルカメラ。
【請求項6】
前記使用条件は撮影枚数を含むことを特徴とする請求項5に記載のデジタルカメラ。
【請求項7】
前記使用条件は、撮影時の気温を更に含むことを特徴とする請求項6に記載のデジタルカメラ。
【請求項8】
前記使用条件は、撮影場所で前記電源電池の調達または充電が可能か否かの情報を更に含むことを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載のデジタルカメラ。
【請求項9】
前記要件は、画像記録媒体の必要容量または数であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のデジタルカメラ。
【請求項10】
前記使用条件は撮影枚数を含むことを特徴とする請求項9に記載のデジタルカメラ。
【請求項11】
前記使用条件は、撮影場所で前記画像記録媒体の調達が可能か否かの情報を更に含むことを特徴とする請求項9または10に記載のデジタルカメラ。
【請求項12】
前記使用条件は、動画撮影の有無を更に含むことを特徴とする請求項6または10に記載のデジタルカメラ。
【請求項13】
前記確認要請手段は、前記要件の確認要請に加えて、カメラ動作が正常かおよび/またはレンズが汚れていないかの確認要請を同時に行うことを特徴とする請求項2に記載のデジタルカメラ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−182579(P2009−182579A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−18909(P2008−18909)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】