説明

デスクトップパネル付き机における配線装置

【課題】天板上の執務スペースを広く確保しうるとともに、デスクトップパネルが、配線カバーの開閉や配線作業を妨げることがないようにした、デスクトップパネル付き机における配線装置を提供する。
【解決手段】デスクトップパネル5の下方における前後の天板2、2間に、配線挿通用の開口15を形成し、この開口15を、基端部をデスクトップパネル5の下方位置において左右方向を向く枢軸20をもって、天板2を支持する天板支持体Aに枢着した前後1対の配線カバー23により覆うようにし、さらに、デスクトップパネル5の下部前面または後面に、配線カバー19を上向き回動させて、開口15を開いたとき、配線カバー19を収容するようにした凹部22を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天板の後部上面にデスクトップパネルを設けた机における配線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
オフィス等の執務空間で使用される机には、天板上で使用する照明や、電子機器のための配線を、天板の下方に設けた配線ダクトに導くための開口を設けたものが多い。
【0003】
このような開口を、常時開放しておくと、天板上の執務スペースを縮小することになるとともに、体裁も悪いため、このような開口を閉塞する配線カバーを設けたものがある(例えば、特許文献1〜4参照)。
【特許文献1】実開平03−098634号公報
【特許文献2】特開2000−287758号公報
【特許文献3】特開2006−149554号公報
【特許文献4】特開2006−06771号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、机の天板の後部には、着座者の前方視野を遮り、執務に集中できるようにするため、デスクトップパネルを取り付けることが多く、これを取り付けると、配線カバーの開閉や着脱、および配線作業が妨げられることがある。
そのため、配線用の開口を、デスクトップパネルの手前側に設けると、天板上の執務スペースが狭められ、天板としての使い勝手が悪くなる。
【0005】
本発明は、従来の技術が有する上記のような問題に鑑み、天板上の執務スペースを広く確保しうるとともに、デスクトップパネルが、配線カバーの開閉や配線作業を妨げることがないようにした、デスクトップパネル付き机における配線装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、上記課題は次のようにして解決される。
(1)天板の後部上面に、デスクトップパネルを取り付けたデスクトップパネル付き机における配線装置であって、天板における前記デスクトップパネルの下方に、配線挿通用の開口を設け、この開口を、基端部を前記デスクトップパネルの下方位置において左右方向を向く枢軸をもって前記天板、または天板を支持する天板支持体に枢着した配線カバーにより覆うようにし、さらに、前記デスクトップパネルの下部前面に、前記配線カバーを上向き回動させて、前記開口を開いたとき、前記配線カバーを収容するようにした凹部を設ける。
【0007】
(2)前後に対向する天板間の境界部に、デスクトップパネルを配設した対面型のデスクトップパネル付き机における配線装置において、前記デスクトップパネルの下方における前後の天板間に、配線挿通用の開口を形成し、この開口を、基端部を前記デスクトップパネルの下方位置において左右方向を向く枢軸をもって前記天板、または天板を支持する天板支持体に枢着した前後1対の配線カバーにより覆うようにし、さらに、前記デスクトップパネルの下部前面または後面に、前記配線カバーを上向き回動させて、前記開口を開いたとき、前記配線カバーを収容するようにした凹部を設ける。
【0008】
(3)天板の後部上面に、デスクトップパネルを取り付けたデスクトップパネル付き机における配線装置において、前記天板の後部上面に、配線挿通用の開口を設け、この開口を、着脱自在の配線カバーにより覆い、かつ前記デスクトップパネルの下端と、前記天板の上面の延長面との間に、前記配線カバー着脱用の空間を形成し、前記デスクトップパネルの下端に、前記空間を閉塞する閉塞板の上端部を、左右方向を向く支軸をもって、枢着する。
【0009】
(4)前後に対向する天板間の境界部に、デスクトップパネルを配設した対面型のデスクトップパネル付き机において、前記デスクトップパネルの下方における前後の天板間に、配線挿通用の開口を形成し、この開口を、着脱自在の配線カバーにより覆い、前記デスクトップパネルの下端と、前記天板の上面の延長面との間に、前記配線カバー着脱用の空間を形成し、前記デスクトップパネルの下端に、前記空間を閉塞する閉塞板の上端部を、左右方向を向く支軸をもって、枢着する。
【0010】
(5)上記(3)または(4)項において、閉塞板を、下方を向く閉塞位置と、前後方向を向く開放位置とにおいて、弾圧保持する保持手段を、デスクトップパネルに設ける。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、次のような効果を奏することができる。
請求項1記載の発明、および請求項2記載の発明によると、配線カバーを上向き回動させて、配線挿通用の開口を開いたとき、配線カバーが、デスクトップパネルの下部前面に設けた凹部に収容されるので、配線カバーの開閉や配線作業が、デスクトップパネルにより妨げられることがなく、しかも、配線挿通用の開口を、デスクトップパネルに接近させて設けることができるので、天板上の執務スペースを広く確保することができる。
【0012】
請求項3記載の発明、および請求項4記載の発明によると、閉塞板を、配線カバー着脱用の空間を開放する位置まで回動させておくことにより、配線カバーの着脱や配線作業を、デスクトップパネルにより妨げられることなく、上記空間を通して、容易に行うことができ、しかも、配線挿通用の開口を、デスクトップパネルの直下に設けたり、または接近させて設けることができるので、天板上の執務スペースを広く確保することができる。
また、配線カバーを、デスクトップパネルの直下に配設することができるので、配線挿通用の開口の天板側への突出寸法を小さくすることができる。
さらに、付随的な効果として、閉塞板を、開放位置まで回動させておくことにより、デスクトップパネルの下方に形成された空間を通して、机の後方を視認することができ、請求項4記載の発明においては、机を挟んで対向する着座者間で、書類の授受等を行うことができる。
【0013】
請求項5記載の発明によると、閉塞板を、保持手段によって、閉塞位置と開放位置とにおいて弾圧保持ることができるので、配線カバーの着脱や配線作業を行うときに、閉塞板を開放位置に片手で保持しておく必要がなく、作業性向上する。
また、閉塞板を閉塞位置に位置させているとき、閉塞板が、振動等により、妄りに揺動することが防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1〜図3は、本発明の第1の実施形態を示す。
図1に示すように、机1は、4枚の天板2を、前後左右に突き合わせて連結した平面視田の字状とし、左右1対の側板3、3と、それらの間に配設した中間脚部4と、それらを連結する左右方向を向くビーム(図示略)を備える天板支持体Aにより支持した、対面型の連結机である。
【0015】
前後に対向する天板2、2の間には、各天板2に対応させて配置した椅子6の着座者の前方視野を遮るためのデスクトップパネル5が立設されている。
各天板2の下方には、想像線で示すサイドワゴン7が配設され、天板2の上面には、ノート型パソコン8,蛍光灯スタンド9等が配設されている。それらの電源コードや接続ケーブル等の配線は、デスクトップパネル5の下方において、前後の天板2、2間に形成された配線挿通用の横長の開口15を通って、その下方の配線ダクト16(図3参照)から引出されている。
【0016】
図2および図3に示すように、各デスクトップパネル5は、下端に取付ベース10を設けた左右1対の縦フレーム11、11と、両縦フレーム11、11の上下の端部同士を連結する横フレーム12、12と、両フレーム11、11、12、12により枠組みされた内部に組付けられた前後1対のパネル本体13、13と、下方の横フレーム12の下端における前後方向の中央部より垂設された薄肉の垂下片14とを備えている。
【0017】
各デスクトップパネル5における左右の縦フレーム11、11の下端部は、上記開口15の前後方向の中央部を通って、天板2の下方に進入し、下端の取付ベース10を、天板支持体Aにおける側板3、中間脚部4、またはその他の部材に、固定ねじ10aをもってねじ止めすることにより、天板支持体Aに強固に取付けられている。
【0018】
前後の天板2、2の対向部分の下面には、上向コ字状をなす配線ダクト16の前後の側縁の上部が、ねじ16a、16aをもって固着されており、配線ダクト16の底面には、中仕切兼用の複数のカバー受け17が、左右方向に所要の間隔をもって、その下端に設けた水平の取付片17aを、配線ダクト16の底面に、ボルト・ナット18をもって締着することにより、取り付けられている。
【0019】
開口15は、合成樹脂の成形体からなる前後1対の配線カバー19により閉塞しうるようになっている。配線カバー19は、基端部下面に設けた左右方向を向く枢軸20を、カバー受け17の上端前後部に設けた軸支部21に嵌合して枢支させることにより、図3に実線で示すように、上面が天板2の上面と整合するほぼ水平の閉止位置と、同じく想像線で示すように、ほぼ真上を向く開放位置とに、枢軸20を中心として回動しうるようになっている。
【0020】
配線カバー19の下面側には、閉止位置としたとき、カバー受け17の上部より枝状に延出する係止部17bに弾性係合する係止突起19aが設けられている。したがって、配線カバー19を、開放位置から閉止位置まで回動させたとき、係止突起19aが係止部17bに弾性係合して、配線カバー19は、閉止位置に弾圧保持されるようになっている。
【0021】
また、各配線カバー19を、開放位置まで上向きに回動させて、開口15を開いたとき、各配線カバー19は、デスクトップパネル5の下端部を薄肉の垂下片14としたことにより形成された凹部に収容され、これによって、開口15を大きく開けることができ、配線ダクト16への配線の引込みや取出しを容易に行うことができる。
【0022】
さらに、開口15を、デスクトップパネル5に接近させて設けることができるので、天板2上の執務スペースを広く確保することができる。
【0023】
図4は、本発明の第2の実施形態を示す。なお、上記第1の実施形態におけるのと同一の部材には同一の符号を付し、異なる部材にのみ異なる符号を付して、説明する。
【0024】
第2の実施形態においては、デスクトップパネル5を、第1の実施形態におけるデスクトップパネル5より垂下片14を排除したものと同様の構造とし、デスクトップパネル5の下端と、天板2の上面の延長面との間に、配線カバー23着脱用の空間24を形成し、デスクトップパネル5の下端に、上記空間24を閉塞する閉塞板25の上端部を、左右方向を向く支軸26をもって枢着してある。
なお、空間24は、デスクトップパネル5の下端部を、横長の方形に切り欠くことにより、形成してもよい。
【0025】
配線カバー23は、水平とした鋼板の前後の縁を下向きにコ字状に折り返して形成したもので、前後の天板2、2の対向部分の下面間に架設した左右1対(または3個以上)の支持板27の前後方向の中央部に載置することにより、開口15の前後の縁に、配線挿通用の間隙28を残して、開口15の中央部を、天板2の上面と同一面となるように閉塞するようにしてある。
【0026】
支持板27の中央部には、配線カバー23を中央部に位置決めするための前後1対の上向突片27a、27aが設けられている。
【0027】
第2の実施形態によると、閉塞板25を、図4に実線で示すように、下方を向いて、空間24を閉塞する閉塞位置から、同じく想像線で示すように、前後いずかの方向を向く開放位置まで回動させておくことにより、配線カバー23の着脱や配線作業を、デスクトップパネル5により妨げられることなく、上記空間24を通して、容易に行うことができ、しかも、配線挿通用の開口15を、デスクトップパネル5の直下に設けたり、または接近させて設けることができるので、天板2上の執務スペースを広く確保することができる。
【0028】
また、付随的な効果として、閉塞板25を、開放位置まで回動させておくことにより、デスクトップパネル5の下方に形成された空間24を通して、机1の後方を視認することができ、机1を挟んで対向する着座者間で、書類の授受等を行うことができる。
【0029】
なお、閉塞板25を、閉塞位置と開放位置とにおいて、弾圧保持する適宜の保持手段(図示略)を設けておくと、配線カバーの着脱や配線作業を行うときに、閉塞板を開放位置に片手で保持しておく必要がなく、作業性向上する。また、閉塞板を閉塞位置に位置させているとき、閉塞板が、振動等により、妄りに揺動することが防止される。
このような保持手段は、関係技術者にはよく知られている任意のものでよいので、その図示および説明は省略するが、例えば、閉塞板25を枢支する支軸26の外周面、またはデスクトップパネル5における下方の横フレーム12の下面に設けた弾性係合突起(図示略)を、閉塞板25の上端の軸受部分の内面または外周面に設けた係合溝(図示略)に弾性係合させるようにしたものとすることができる。
【0030】
本発明は、上記の実施形態のみに制限されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で、変形した態様での実施が可能である。
例えば、第1および第2の実施形態においては、いずれも、机1を、対面型の連結机としてあるが、1個の天板2のみを有する机にも適用することができる。
この場合には、デスクトップパネル5を、天板支持体Aだけではなく、天板2に直接取り付けることもある。また、開口15は、天板2の後部に横長孔として、または天板2の後端より前方に向かって方形に切り欠いて形成することもある。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第1の実施形態を備えるデスクトップパネル付き机の全体を示す斜視図である。
【図2】デスクトップパネルの中間部を省略して拡大して示す斜視図である。
【図3】図1の要部拡大縦断側面図である。
【図4】本発明の第2実施形態を備えるデスクトップパネル付き机の要部拡大縦断側面図である。
【符号の説明】
【0032】
A 天板支持体
1 机
2 天板
3 側板
4 中間脚部
5 デスクトップパネル
6 椅子
7 サイドワゴン
8 ノート型パソコン
9 蛍光灯スタンド
10 取付ベース
10a固定ねじ
11 縦フレーム
12 横フレーム
13 パネル本体
14 垂下片
15 開口
16 配線ダクト
16aねじ
17 カバー受け
17a取付片
17b係止部
18 ボルト・ナット
19 配線カバー
19a係止突起
20 枢軸
21 軸支部
22 凹部
23 配線カバー
24 空間
25 閉塞板
26 支軸
27 支持板
27a上向突片
28 間隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板の後部上面に、デスクトップパネルを取り付けたデスクトップパネル付き机における配線装置であって、
天板における前記デスクトップパネルの下方に、配線挿通用の開口を設け、この開口を、基端部を前記デスクトップパネルの下方位置において左右方向を向く枢軸をもって前記天板、または天板を支持する天板支持体に枢着した配線カバーにより覆うようにし、さらに、前記デスクトップパネルの下部前面に、前記配線カバーを上向き回動させて、前記開口を開いたとき、前記配線カバーを収容するようにした凹部を設けたことを特徴とするデスクトップパネル付き机における配線装置。
【請求項2】
前後に対向する天板間の境界部に、デスクトップパネルを配設した対面型のデスクトップパネル付き机における配線装置であって、
前記デスクトップパネルの下方における前後の天板間に、配線挿通用の開口を形成し、この開口を、基端部を前記デスクトップパネルの下方位置において左右方向を向く枢軸をもって前記天板、または天板を支持する天板支持体に枢着した前後1対の配線カバーにより覆うようにし、さらに、前記デスクトップパネルの下部前面または後面に、前記配線カバーを上向き回動させて、前記開口を開いたとき、前記配線カバーを収容するようにした凹部を設けたことを特徴とするデスクトップパネル付き机における配線装置。
【請求項3】
天板の後部上面に、デスクトップパネルを取り付けたデスクトップパネル付き机における配線装置であって、
前記天板の後部上面に、配線挿通用の開口を設け、この開口を、着脱自在の配線カバーにより覆い、かつ前記デスクトップパネルの下端と、前記天板の上面の延長面との間に、前記配線カバー着脱用の空間を形成し、前記デスクトップパネルの下端に、前記空間を閉塞する閉塞板の上端部を、左右方向を向く支軸をもって、枢着したことを特徴とするデスクトップパネル付き机における配線装置。
【請求項4】
前後に対向する天板間の境界部に、デスクトップパネルを配設した対面型のデスクトップパネル付き机において、
前記デスクトップパネルの下方における前後の天板間に、配線挿通用の開口を形成し、この開口を、着脱自在の配線カバーにより覆い、前記デスクトップパネルの下端と、前記天板の上面の延長面との間に、前記配線カバー着脱用の空間を形成し、前記デスクトップパネルの下端に、前記空間を閉塞する閉塞板の上端部を、左右方向を向く支軸をもって、枢着したことを特徴とするデスクトップパネル付き机における配線装置。
【請求項5】
閉塞板を、下方を向く閉塞位置と、前後方向を向く開放位置とにおいて、弾圧保持する保持手段を、デスクトップパネルに設けた請求項3または4記載のデスクトップパネル付き机における配線装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2008−119115(P2008−119115A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−304225(P2006−304225)
【出願日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】