データ処理装置
【構成】記録媒体42に記録された画像データは、転送モードが選択されたとき、CPU32の制御の下で通信I/F50によって外部PCに転送される。CPU32は、カメラ筐体の温度を参照してデータ転送処理の中断/再開を制御し、データ転送処理が中断されている状態でのカメラ筐体への外力の付加に応答して未転送データの存在を報知する。CPU32はまた、画像データの転送が完了する前に電池電圧が基準電圧を下回ったとき、未転送データを識別するマーカをレジスタRGST1に保存する。レジスタRGST1に保存されたマーカによって識別される未転送データは、電源投入操作を受け付けたとき、CPU32によってデータ転送処理の対象として指定される。
【効果】データ転送性能が向上する。
【効果】データ転送性能が向上する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、データ処理装置に関し、特にディジタルカメラに適用され、対象データを外部に転送する、データ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置の一例が、特許文献1に開示されている。この背景技術によれば、電源コードのACジャックがAC電源端子に挿入されて交流電源とディジタルカメラとが接続されると、内蔵されている2次電池の充電が開始される。ディジタルカメラ内のメモリカードに記録されている画像データは、この充電の開始を受けて外部のパーソナルコンピュータに送信される。パーソナルコンピュータは、送信された画像データをバックアップのためにハードディスクに記録する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−81945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、背景技術では、長時間のデータ転送に起因するカメラ筐体の温度上昇や、交流電源とディジタルカメラとの接続が解除された状態でのデータ転送を想定していない。このため、背景技術では、データ転送性能に限界がある。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、データ転送性能を高めることができる、データ処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に従うデータ処理装置(10:実施例で相当する参照符号。以下同じ)は、対象データを外部に転送する転送手段(S91)、装置本体の温度を参照して転送手段の処理の中断/再開を制御する制御手段(S87, S101, S109~S111)、転送手段の処理が制御手段によって中断されている状態での装置本体への外力の付加に応答して未転送データの存在を報知する報知手段(S105~S107)、転送手段による対象データの転送が完了する前に電池電圧が基準電圧を下回ったとき未転送データを識別する識別情報を保存する保存手段(S89, S97, S103, S113)、および電源投入操作を受け付けたとき保存手段によって保存された識別情報によって識別される未転送データを転送手段の対象として指定する指定手段(S71, S81~S83)を備える。
【0007】
好ましくは、装置本体の振動を検知する検知手段(38)、および装置本体に設けられた操作キー(34)をさらに備え、報知手段は検知手段の検知および/または操作キーの操作に応答して報知処理を実行する。
【0008】
好ましくは、データ転送モードを含む複数の動作モードのうち登録モード情報に対応する動作モードを選択する選択手段(S1)、およびモード切り換え指示が発行されたとき登録モード情報を更新して選択手段を再起動する更新手段(S21)がさらに備えられる。
【0009】
好ましくは、対象データは着脱自在の記録媒体(42)に保存されたデータに相当する。
【0010】
好ましくは、制御手段は、転送手段の処理の中断に関連して動作状態を省電力状態に遷移させる遷移手段(S101)、および転送手段の処理の再開に関連して動作状態を通常状態に復帰させる復帰手段(S111)を含む。
【0011】
この発明に従うデータ処理プログラムは、データ処理装置(10)のプロセッサ(32)に、対象データを外部に転送する転送ステップ(S91)、装置本体の温度を参照して転送ステップの処理の中断/再開を制御する制御ステップ(S87, S101, S109~S111)、転送ステップの処理が制御ステップによって中断されている状態での装置本体への外力の付加に応答して未転送データの存在を報知する報知ステップ(S105~S107)、転送ステップによる対象データの転送が完了する前に電池電圧が基準電圧を下回ったとき未転送データを識別する識別情報を保存する保存ステップ(S89, S97, S103, S113)、および電源投入操作を受け付けたとき保存ステップによって保存された識別情報によって識別される未転送データを転送ステップの対象として指定する指定ステップ(S71, S81~S83)を実行させるための、データ処理プログラムである。
【0012】
この発明に従うデータ処理方法は、データ処理装置(10)によって実行されるデータ処理方法であって、対象データを外部に転送する転送ステップ(S91)、装置本体の温度を参照して転送ステップの処理の中断/再開を制御する制御ステップ(S87, S101, S109~S111)、転送ステップの処理が制御ステップによって中断されている状態での装置本体への外力の付加に応答して未転送データの存在を報知する報知ステップ(S105~S107)、転送ステップによる対象データの転送が完了する前に電池電圧が基準電圧を下回ったとき未転送データを識別する識別情報を保存する保存ステップ(S89, S97, S103, S113)、および電源投入操作を受け付けたとき保存ステップによって保存された識別情報によって識別される未転送データを転送ステップの対象として指定する指定ステップ(S71, S81~S83)を備える。
【0013】
この発明に従う外部制御プログラムは、メモリ(48)に保存された内部制御プログラムに従う処理を実行するプロセッサ(32)を備えるデータ処理装置(10)に供給される外部制御プログラムであって、対象データを外部に転送する転送ステップ(S91)、装置本体の温度を参照して転送ステップの処理の中断/再開を制御する制御ステップ(S87, S101, S109~S111)、転送ステップの処理が制御ステップによって中断されている状態での装置本体への外力の付加に応答して未転送データの存在を報知する報知ステップ(S105~S107)、転送ステップによる対象データの転送が完了する前に電池電圧が基準電圧を下回ったとき未転送データを識別する識別情報を保存する保存ステップ(S89, S97, S103, S113)、および電源投入操作を受け付けたとき保存ステップによって保存された識別情報によって識別される未転送データを転送ステップの対象として指定する指定ステップ(S71, S81~S83)を内部制御プログラムと協働してプロセッサに実行させるための、外部制御プログラムである。
【0014】
この発明に従うデータ処理装置(10)は、外部制御プログラムを取り込む取り込み手段(50)、および取り込み手段によって取り込まれた外部制御プログラムとメモリ(48)に保存された内部制御プログラムとに従う処理を実行するプロセッサ(32)を備えるデータ処理装置であって、外部制御プログラムは、対象データを外部に転送する転送ステップ(S91)、装置本体の温度を参照して転送ステップの処理の中断/再開を制御する制御ステップ(S87, S101, S109~S111)、転送ステップの処理が制御ステップによって中断されている状態での装置本体への外力の付加に応答して未転送データの存在を報知する報知ステップ(S105~S107)、転送ステップによる対象データの転送が完了する前に電池電圧が基準電圧を下回ったとき未転送データを識別する識別情報を保存する保存ステップ(S89, S97, S103, S113)、および電源投入操作を受け付けたとき保存ステップによって保存された識別情報によって識別される未転送データを転送ステップの対象として指定する指定ステップ(S71, S81~S83)を内部制御プログラムと協働して実行するプログラムに相当する。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、未転送データの存在は、データ転送処理が装置本体の温度に起因して中断され、この状態で装置本体に外力が付加されたときに、報知される。これによって、操作者による未転送データの誤消去を回避することができる。また、未転送データを識別する識別情報は、データ転送処理が完了する前でかつ電池電圧が基準電圧を下回ったときに保存される。電源投入操作を受け付けると、保存された識別情報によって識別される未転送データがデータ転送の対象として指定される。これによって、電源の遮断前に転送されるデータと遮断された電源の投入後に転送されるデータとの間で連続性が確保される。こうして、データ転送性能が向上する。
【0016】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の一実施例の基本的構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の一実施例の構成を示すブロック図である。
【図3】図2実施例のフラッシュメモリに設けられたレジスタの構成の一例を示す図解図である。
【図4】転送モードにおいて図2実施例のLCDモニタに表示されるファイルメニューの一例を示す図解図である。
【図5】図2実施例によって実行されるデータ転送処理の一部を示す図解図である。
【図6】図2実施例に適用されるCPUの動作の一部を示すフロー図である。
【図7】図2実施例に適用されるCPUの動作の他の一部を示すフロー図である。
【図8】図2実施例に適用されるCPUの動作のその他の一部を示すフロー図である。
【図9】図2実施例に適用されるCPUの動作のさらにその他の一部を示すフロー図である。
【図10】図2実施例に適用されるCPUの動作の他の一部を示すフロー図である。
【図11】図2実施例に適用されるCPUの動作のその他の一部を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
[基本的構成]
【0019】
図1を参照して、この実施例のデータ処理装置は、基本的に次のように構成される。転送手段1は、対象データを外部に転送する。制御手段2は、装置本体の温度を参照して転送手段1の処理の中断/再開を制御する。報知手段3は、転送手段1の処理が制御手段2によって中断されている状態での装置本体への外力の付加に応答して未転送データの存在を報知する。保存手段4は、転送手段1による対象データの転送が完了する前に電池電圧が基準電圧を下回ったとき未転送データを識別する識別情報を保存する。指定手段5は、電源投入操作を受け付けたとき保存手段4によって保存された識別情報によって識別される未転送データを転送手段1の対象として指定する。
【0020】
未転送データの存在は、データ転送処理が装置本体の温度に起因して中断され、この状態で装置本体に外力が付加されたときに、報知される。これによって、操作者による未転送データの誤消去を回避することができる。また、未転送データを識別する識別情報は、データ転送処理が完了する前でかつ電池電圧が基準電圧を下回ったときに保存される。電源投入操作を受け付けると、保存された識別情報によって識別される未転送データがデータ転送の対象として指定される。これによって、電源の遮断前に転送されるデータと遮断された電源の投入後に転送されるデータとの間で連続性が確保される。こうして、データ転送性能が向上する。
[実施例]
【0021】
図2を参照して、この実施例のディジタルカメラ10は、ドライバ18aおよび18bによってそれぞれ駆動されるフォーカスレンズ12および絞りユニット14を含む。これらの部材を経た光学像は、イメージャ16の撮像面に照射され、光電変換を施される。
【0022】
電源ボタン44によって電源オン操作が実行されると、バッテリ46の電力がCPU32を含むシステム全体に供給される。これによって、ディジタルカメラ10の状態が電源オフ状態から電源オン状態(=通常状態)に移行する。
【0023】
電源オン状態に移行すると、CPU32はメインタスクを実行する。メインタスクではまず、フラッシュメモリ48に設けられたレジスタRGST1からモード情報が読み出され、読み出されたモード情報に対応するタスクが起動される。読み出されたモード情報がカメラモードを示していれば撮像タスクが起動され、読み出されたモード情報が再生モードを示していれば再生タスクが起動され、そして読み出されたモード情報が転送モードを示していれば転送タスクが起動される。
【0024】
キー入力装置34に設けられたモード切り換えスイッチ34swが操作されると、起動中のタスクが停止される。レジスタRGST1に登録されたモード情報は、モード切り換えスイッチ34swの操作によって選択された動作モードを示すように更新される。起動すべきタスクは、更新後のモード情報を参照して変更される。
【0025】
撮像タスクが起動されると、CPU32は、動画取り込み処理を実行するべく、ドライバ18cに露光動作および電荷読み出し動作の繰り返しを命令する。ドライバ18cは、周期的に発生する垂直同期信号Vsyncに応答して、イメージャ16の撮像面を露光し、かつ撮像面で生成された電荷をラスタ走査態様で読み出す。イメージャ16からは、読み出された電荷に基づく生画像データが周期的に出力される。
【0026】
信号処理回路20は、イメージャ16から出力された生画像データに白バランス調整,色分離,YUV変換などの処理を施す。これによって生成されたYUV形式の画像データは、メモリ制御回路22を通してSDRAM24に書き込まれる。LCDドライバ26は、SDRAM24に格納された画像データをメモリ制御回路22を通して繰り返し読み出し、読み出された画像データに基づいてLCDモニタ28を駆動する。この結果、撮像面で捉えられたシーンを表すリアルタイム動画像(スルー画像)がモニタ画面に表示される。
【0027】
信号処理回路20はまた、YUV変換によって生成されたYデータをCPU32に与える。CPU32は、与えられたYデータにAE処理を施して適正EV値を算出し、算出された適正EV値を定義する絞り量および露光時間をドライバ18bおよび18cにそれぞれ設定する。これによって、スルー画像の明るさが確保される。CPU32はまた、信号処理回路20から与えられたYデータの高周波成分を参照してAF処理を継続的に実行する。これによってフォーカスレンズ12が合焦点近傍に継続的に配置され、スルー画像の鮮鋭度が確保される。
【0028】
キー入力装置34に設けられたムービボタン34mvが操作されると、CPU32は、動画記録処理の実行をメモリI/F40に命令する。メモリI/F40は、新規の画像ファイルを着脱自在の記録媒体42に作成し(作成した画像ファイルはオープンされる)、SDRAM24に格納された画像データをメモリ制御回路22を通して繰り返し読み出し、そして読み出された画像データをオープン状態の画像ファイルに収める。
【0029】
ムービボタン34mvが再度操作されると、CPU32は、動画記録処理の停止をメモリI/F40に命令する。メモリI/F40は、SDRAM24からの画像データの読み出しを終了し、オープン状態の画像ファイルをクローズする。これによって、撮像面16で捉えられたシーンを継続的に表す動画像がファイル形式で記録媒体42に記録される。
【0030】
再生タスクが起動されると、CPU32は、記録媒体42に記録された最新の画像ファイルを指定する。ここでキー入力装置34に設けられた送り/戻しボタン34frが操作されると、後続の画像ファイルまたは先行する画像ファイルが指定される。こうして所望の画像ファイルが指定された状態で再生ボタン34plyが操作されると、CPU32は、指定画像ファイルに注目した動画再生処理の実行をメモリI/F40およびLCDドライバ26に命令する。メモリI/F40は、指定された画像ファイルの画像データを記録媒体42から読み出し、読み出された画像データをメモリ制御回路22を通してSDRAM24に書き込む。
【0031】
LCDドライバ26は、SDRAM24に格納された画像データをメモリ制御回路22を通して読み出し、読み出された画像データに基づいてLCDモニタ28を駆動する。この結果、指定画像ファイルの画像データに基づく再生動画像がLCDモニタ28に表示される。
【0032】
転送タスクが起動されると、CPU32は、記録媒体42に記録された画像ファイルを示すファイルメニューをLCDモニタ28に表示するべく、対応する命令をLCDドライバ26に与える。ファイルメニューは、図5に示す要領でLCDモニタ28に表示される。
【0033】
キー入力装置34に設けられたファイル選択ボタン34selによって所望の画像ファイルが選択されると、CPU32は、メモリI/F40を通して記録媒体42にアクセスし、選択された所望の画像ファイルをオープンする。CPU32はさらに、オープンされた画像ファイルの画像データを既定サイズずつ指定し、指定された既定サイズの画像データの転送をメモリI/F40および通信I/F46に命令する。メモリI/F40は指定された画像データを記録媒体42から読み出し、読み出された画像データを通信I/F46に与える。通信I/F46は、与えられた画像データを外部PCに向けて送信する。オープンされた画像ファイルは、ファイルに収められた全ての画像データの転送が完了した後にクローズされる。
【0034】
カメラ筐体(=本体)の温度つまり筐体温度は、温度センサ36によって検知される。CPU32は、温度センサ36によって検知された温度およびバッテリ46の端子電圧を上述のデータ転送処理と並列して監視する。
【0035】
筐体温度が閾値THtsd以下でかつバッテリ46の端子電圧が閾値THbttを上回れば、カメラ筐体は十分に冷たく、かつバッテリ46の電力は十分に残っているとして、データ転送処理が継続される。なお、“tsd”は“thermal shut down”の略である。
【0036】
一方、筐体温度は閾値THtsd以下であるものの、バッテリ46の端子電圧が閾値THbtt以下の電圧にまで低下すると、データ転送処理が中断され、オープンされている画像ファイルのファイル名と未転送データの先頭位置を示す位置情報とがマーカとして図3に示すレジスタRGST1に登録される。図5を参照して、画像ファイル“MV0002.mpg”に収められた画像データが転送されている途中でバッテリ46の端子電圧が閾値THbtt以下に低下したときは、ファイル名“MV0002.mpg”と図5に矢印で示す位置を示す位置情報とがレジスタRGST1に登録される。オープンされた画像ファイルはクローズされ、転送タスクはその後に終了される。なお、ディジタルカメラ10はバッテリ46の残量不足によって電源オフ状態に移行する。
【0037】
他方、バッテリ46の端子電圧は閾値THbttを上回るものの、筐体温度が閾値THtsdを上回る温度にまで上昇すると、CPU32は、ディジタルカメラ10の状態を通常状態から省電力状態(CPU32,キー入力装置34,温度センサ36,ジャイロセンサ38および報知発生器30のみが起動した状態)に遷移させる。これによって、ディジタルカメラ10の冷却が開始される。
【0038】
省電力状態において電池電圧が閾値THbttを上回るうちは、カメラ筐体に外力が加えられたか否かが、キー入力装置34の出力および/またはジャイロセンサ38の出力に基づいて繰り返し判別される。さらに、筐体温度が閾値THtsd以下でまで停止したか否かが、温度センサ36の出力に基づいて繰り返し判別される。
【0039】
カメラ筐体に外力が加えられると、CPU32は、未転送データが存在することやディジタルカメラ10が冷却中であることを操作者に報知するべく、報知発生器30を駆動する。これによって、操作者が誤って記録媒体42をディジタルカメラ10から抜去する事態ひいてはオープン状態の画像ファイルが破壊される事態が回避される。
【0040】
省電力状態の継続によってディジタルカメラ10が冷却され、筐体温度が閾値THtsd以下にまで低下すと、CPU32は、ディジタルカメラ10の動作状態を省電力状態から通常状態に復帰させる。データ転送処理は、通常状態への復帰の後再開される。
【0041】
これに対して、筐体温度が閾値THtsd以下にまで低下する前にバッテリ46の端子電圧が閾値THbtt以下となると、オープンされている画像ファイルのファイル名と未転送データの先頭位置を示す位置情報とがマーカとしてレジスタRGST1に登録される。オープンされた画像ファイルはクローズされ、その後に転送タスクが終了される。なお、ディジタルカメラ10はバッテリ46の残量不足によって電源オフ状態に移行する。
【0042】
未転送データの存在を示すマーカがレジスタRGST1に登録されている状態で、バッテリ46の充電を経て電源オン操作が実行されると、レジスタRGST1に登録されたモード情報に基づいて転送タスクが起動される。このときは、レジスタRGST1に登録されたマーカによって識別される画像ファイルがオープンされ、かつオープンされた画像ファイルに収められた画像データがマーカによって識別される位置を先頭位置として既定サイズずつ指定され、そして既定サイズ毎のデータ転送処理が上述の要領で実行される。なお、レジスタRGST1に登録されたマーカは、未転送データの先頭位置が特定された後に削除される。
【0043】
CPU32は、図6に示すメインタスクを動作モードに関係なく実行し、カメラモードが選択されたときに図7に示す撮像タスクを実行し、再生モードが選択されたときに図8に示す再生タスクを実行し、そして転送モードが選択されたときに図9〜図11に示す転送タスクを実行する。なお、これらのタスクに対応する制御プログラムは、フラッシュメモリ48に記憶される。
【0044】
図6を参照して、ステップS1では、レジスタRGST1に登録されたモード情報を読み出す。ステップS3では読み出されたモード情報が示す動作モードがカメラモードであるか否かを判別し、ステップ5では読み出されたモード情報が示す動作モードが再生モードであるか否かを判別し、そしてステップS7では読み出されたモード情報が示す動作モードが転送モードであるか否かを判別する。
【0045】
ステップS3の判別結果がYESであればステップS9で撮像タスクを起動し、ステップS5の判別結果がYESであればステップS11で再生タスクを起動し、ステップS7の判別結果がYESであればステップS13で転送タスクを起動する。なお、現時点の動作モードがカメラモード,再生モード,および転送モードのいずれでもなければ、ステップS15で他の処理を実行する。
【0046】
ステップS9,S11,S13またはS15の処理が完了すると、モード切り換えスイッチ34swが操作されたか否かをステップS17で繰り返し判別する。判別結果がNOからYESに更新されると、起動中のタスクをステップS19で停止する。ステップS21では、レジスタRGST1に登録されたモード情報を、モード切り換えスイッチ34swの操作によって選択された動作モードを示すように更新する。更新処理が完了すると、ステップS1に戻る。
【0047】
図7を参照して、ステップS31では動画取り込み処理を実行する。この結果、スルー画像がLCDモニタ28に表示される。ステップS33ではAE処理を実行し、ステップS35ではAF処理を実行する。この結果、スルー画像の輝度および鮮鋭度が適正に調整される。ステップS37ではムービボタン34mvが操作されたか否かを判別し、判別結果がNOであればステップS33に戻る一方、判別結果がYESであればステップS39に進む。
【0048】
ステップS39では動画記録処理が実行中であるか否かを判別し、判別結果がYESであればステップS41で動画記録処理を開始する一方、判別結果がNOであればステップS43で動画記録処理を中止する。ステップS41またはS43の処理が完了すると、ステップS33に戻る。ステップS41およびS43の処理の結果、ムービボタン34mvの1回目の操作から2回目の操作までの期間に作成された画像データがファイル形式で記録媒体42に記録される。
【0049】
図13を参照して、ステップS51では記録媒体42に記録された最新の画像ファイルを指定する。ステップS53では、送り/戻しボタン34frが操作されたか否かを判別し、ステップS55では動画再生処理が実行中であるか否かを判別する。ステップS53の判別結果がNOであるか或いはステップS55の判別結果がYESであれば、そのままステップS59に進む。これに対して、ステップS53の判別結果がYESでかつステップS55の判別結果がNOであれば、ステップS57で次の画像ファイルまたは前の画像ファイルを指定してからステップS59に進む。
【0050】
ステップS59では再生ボタン34plyが操作されたか否かを判別し、判別結果がYESであれば動画再生処理が実行中であるか否かをステップS63で判別する。ステップS63の判別結果がNOであれば、ステップS657で指定画像ファイルに注目した動画再生処理を開始する。一方、ステップS63の判別結果がYESであれば、ステップS69で指定画像ファイルに注目した動画再生処理を終了する。ステップS67またはS69の処理が完了すると、ステップS53に戻る。
【0051】
ステップS59の判別結果がNOであれば、動画再生処理が実行中であるか否かをステップS61で判別する。動画再生処理が停止中であればステップS53に戻り、動画再生処理が実行中であればステップS65に進む。ステップS65では再生フレームが末尾フレームに到達したか否かを判別し、判別結果がNOであればそのままステップS53に戻る一方、判別結果がYESであればステップS69の処理を経てステップS53に戻る。
【0052】
図14を参照して、ステップS71では、未転送データの存在を示すマーカがレジスタRGST1に登録されているか否かを判別する。判別結果がNOであれば、ファイルメニューをLCDモニタ28に表示するべく、対応する命令をステップS73でLCDドライバ26に与える。この結果、ファイルメニューが図5に示す要領でLCDモニタ28に表示される。
【0053】
ステップS75ではファイル選択ボタン34selによって所望の画像ファイルが選択されたか否かを判別し、判別結果がNOからYESに更新されるとステップS77に進む。ステップS77では、メモリI/F40を通して記録媒体42にアクセスし、選択された所望の画像ファイルをオープンする。ステップS79では、オープンされた画像ファイルに収められた画像データのうち先頭位置から始まる既定サイズの画像データを指定する。
【0054】
一方、ステップS71の判別結果がYESであれば、ステップS81に進む。ステップS81では、メモリI/F40を通して記録媒体42にアクセスし、マーカによって識別される画像ファイルをオープンする。ステップS83では、オープンされた画像ファイルに収められた画像データのうちマーカによって識別される位置から始まる既定サイズの画像データを指定する。ステップS85では、レジスタRGST1に登録されたマーカを削除する。
【0055】
ステップS79またはS85の処理が完了すると、筐体温度が閾値THtsd以下であるか否かをステップS87で判別し、判別結果がYESであればステップS89に進む一方、判別結果がNOであればステップS101に進む。
【0056】
ステップS89では、バッテリ46の端子電圧が閾値THbttを上回るか否かを判別する。判別結果がYESであればステップS91に進み、ステップS79,S83または後述するステップS95で指定された画像データの転送をメモリI/F40および通信I/F50に命令する。メモリI/F40は指定画像データを記録媒体42から読み出し、読み出された画像データを通信I/F50に与える。通信I/F50は、与えられた画像データを外部PCに送信する。
【0057】
ステップS93ではオープンされた画像ファイル内の全ての画像データの転送が完了したか否かを判別し、判別結果がNOであればステップS95に進む一方、判別結果がYESであればステップS99に進む。ステップS95では後続する既定サイズの画像データを指定し、その後にステップS87に戻る。ステップS99では、オープンされた画像ファイルのクローズをメモリI/F40に命令し、その後に処理を終了する。ステップS89の判別結果がNOであればステップS97に進み、オープンされている画像ファイルのファイル名と未転送データの先頭位置を示す位置情報とをマーカとしてレジスタRGST1に登録する。登録が完了すると、ステップS99のファイルクローズを経て処理を終了する。
【0058】
ステップS87の判別結果がNOであるときに移行するステップS101では、ディジタルカメラ10の状態を省電力状態(CPU32,キー入力装置34,温度センサ36,ジャイロセンサ38および報知発生器30のみが起動した状態)に遷移させる。
【0059】
ステップS103では、バッテリ46の端子電圧が閾値THbttを上回るか否かを判別する。また、ステップS105では、カメラ筐体に外力が加えられたか否かをキー入力装置34の出力および/またはジャイロセンサ38の出力に基づいて判別する。さらに、ステップS109では筐体温度が閾値THtsd以下であるか否かを温度センサ36の出力に基づいて判別する。なお、これらの判別処理は、バッテリ46の端子電圧および筐体温度がそれぞれ閾値THbttおよびTHtsdを上回る限り、繰り返し実行される。
【0060】
ステップS103の判別結果がNOであれば、ステップS113〜S115で上述したステップS97〜S99と同様の処理を実行し、その後に処理を終了する。ステップS105の判別結果がYESであれば、ステップS107で報知発生器30を駆動する。この結果、未転送データが存在すること或いはディジタルカメラ10が冷却中であることが操作者に向けて報知される。ステップS109の判別結果がYESであれば、ステップS111でディジタルカメラ10の動作状態を省電力状態から通常状態に復帰させ、その後にステップS89に移行する。
【0061】
以上の説明から分かるように、記録媒体42に記録された画像データは、転送モードが選択されたとき、CPU32の制御の下で通信I/F50によって外部PCに転送される(S91)。CPU32は、カメラ筐体の温度を参照してデータ転送処理の中断/再開を制御し(S87, S101, S109~S111)、データ転送処理が中断されている状態でのカメラ筐体への外力の付加に応答して未転送データの存在を報知する(S105~S107)。CPU32はまた、画像データの転送が完了する前に電池電圧が基準電圧を下回ったとき、未転送データを識別するマーカをレジスタRGST1に保存する(S89, S97, S103, S113)。レジスタRGST1に保存されたマーカによって識別される未転送データは、電源投入操作を受け付けたとき、CPU32によってデータ転送処理の対象として指定される(S71, S81~S83)。
【0062】
未転送データの存在は、データ転送処理がカメラ筐体の温度に起因して中断され、この状態でカメラ筐体に外力が付加されたときに、報知される。これによって、操作者による未転送データの誤消去を回避することができる。また、未転送データを識別するマーカは、データ転送処理が完了する前でかつ電池電圧が基準電圧を下回ったときに保存される。電源投入操作を受け付けると、保存されたマーカによって識別される未転送データがデータ転送の対象として指定される。これによって、電源の遮断前に転送される画像データと遮断された電源の投入後に転送される画像データとの間で連続性が確保される。こうして、データ転送性能が向上する。
【0063】
なお、この実施例では、通信I/F50を用いて画像データを外部PCに転送するようにしているが、無線通信機能を備える記録媒体を図2に示す記録媒体42に代えて採用するようにしてもよい。また、この実施例では、画像データの転送を想定しているが、この発明は音声データなどの他のデータの転送にも適用できる。
【0064】
さらに、この実施例では、ステップS97またはS113の処理を経て転送タスクが終了された後の電源オン操作に応答して速やかに転送タスクを起動するようにしている。しかし、転送タスクの起動時に未転送データの存在を報知するようにすれば、使い勝手が向上する。この場合、好ましくは、報知発生器30を駆動するステップを図9に示すステップS85の前段または後段に追加される。
【0065】
また、この実施例では、マルチタスクOSおよびこれによって実行される複数のタスクに相当する制御プログラムは、フラッシュメモリ48に予め記憶される。しかし、一部の制御プログラムを内部制御プログラムとしてフラッシュメモリ48に当初から準備する一方、他の一部の制御プログラムを外部制御プログラムとして外部サーバから取得するようにしてもよい。この場合、上述の動作は、内部制御プログラムおよび外部制御プログラムの協働によって実現される。
【0066】
また、この実施例では、CPU32によって実行される処理を上述の要領で複数のタスクに区分するようにしている。しかし、各々のタスクをさらに複数の小タスクに区分してもよく、さらには区分された複数の小タスクの一部を他のタスクに統合するようにしてもよい。また、各々のタスクを複数の小タスクに区分する場合、その全部または一部を外部サーバから取得するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0067】
10 …ディジタルカメラ
16 …イメージャ
20 …信号処理回路
24 …SDRAM
30 …報知発生器
32 …CPU
46 …バッテリ
50 …通信I/F
【技術分野】
【0001】
この発明は、データ処理装置に関し、特にディジタルカメラに適用され、対象データを外部に転送する、データ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置の一例が、特許文献1に開示されている。この背景技術によれば、電源コードのACジャックがAC電源端子に挿入されて交流電源とディジタルカメラとが接続されると、内蔵されている2次電池の充電が開始される。ディジタルカメラ内のメモリカードに記録されている画像データは、この充電の開始を受けて外部のパーソナルコンピュータに送信される。パーソナルコンピュータは、送信された画像データをバックアップのためにハードディスクに記録する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−81945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、背景技術では、長時間のデータ転送に起因するカメラ筐体の温度上昇や、交流電源とディジタルカメラとの接続が解除された状態でのデータ転送を想定していない。このため、背景技術では、データ転送性能に限界がある。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、データ転送性能を高めることができる、データ処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に従うデータ処理装置(10:実施例で相当する参照符号。以下同じ)は、対象データを外部に転送する転送手段(S91)、装置本体の温度を参照して転送手段の処理の中断/再開を制御する制御手段(S87, S101, S109~S111)、転送手段の処理が制御手段によって中断されている状態での装置本体への外力の付加に応答して未転送データの存在を報知する報知手段(S105~S107)、転送手段による対象データの転送が完了する前に電池電圧が基準電圧を下回ったとき未転送データを識別する識別情報を保存する保存手段(S89, S97, S103, S113)、および電源投入操作を受け付けたとき保存手段によって保存された識別情報によって識別される未転送データを転送手段の対象として指定する指定手段(S71, S81~S83)を備える。
【0007】
好ましくは、装置本体の振動を検知する検知手段(38)、および装置本体に設けられた操作キー(34)をさらに備え、報知手段は検知手段の検知および/または操作キーの操作に応答して報知処理を実行する。
【0008】
好ましくは、データ転送モードを含む複数の動作モードのうち登録モード情報に対応する動作モードを選択する選択手段(S1)、およびモード切り換え指示が発行されたとき登録モード情報を更新して選択手段を再起動する更新手段(S21)がさらに備えられる。
【0009】
好ましくは、対象データは着脱自在の記録媒体(42)に保存されたデータに相当する。
【0010】
好ましくは、制御手段は、転送手段の処理の中断に関連して動作状態を省電力状態に遷移させる遷移手段(S101)、および転送手段の処理の再開に関連して動作状態を通常状態に復帰させる復帰手段(S111)を含む。
【0011】
この発明に従うデータ処理プログラムは、データ処理装置(10)のプロセッサ(32)に、対象データを外部に転送する転送ステップ(S91)、装置本体の温度を参照して転送ステップの処理の中断/再開を制御する制御ステップ(S87, S101, S109~S111)、転送ステップの処理が制御ステップによって中断されている状態での装置本体への外力の付加に応答して未転送データの存在を報知する報知ステップ(S105~S107)、転送ステップによる対象データの転送が完了する前に電池電圧が基準電圧を下回ったとき未転送データを識別する識別情報を保存する保存ステップ(S89, S97, S103, S113)、および電源投入操作を受け付けたとき保存ステップによって保存された識別情報によって識別される未転送データを転送ステップの対象として指定する指定ステップ(S71, S81~S83)を実行させるための、データ処理プログラムである。
【0012】
この発明に従うデータ処理方法は、データ処理装置(10)によって実行されるデータ処理方法であって、対象データを外部に転送する転送ステップ(S91)、装置本体の温度を参照して転送ステップの処理の中断/再開を制御する制御ステップ(S87, S101, S109~S111)、転送ステップの処理が制御ステップによって中断されている状態での装置本体への外力の付加に応答して未転送データの存在を報知する報知ステップ(S105~S107)、転送ステップによる対象データの転送が完了する前に電池電圧が基準電圧を下回ったとき未転送データを識別する識別情報を保存する保存ステップ(S89, S97, S103, S113)、および電源投入操作を受け付けたとき保存ステップによって保存された識別情報によって識別される未転送データを転送ステップの対象として指定する指定ステップ(S71, S81~S83)を備える。
【0013】
この発明に従う外部制御プログラムは、メモリ(48)に保存された内部制御プログラムに従う処理を実行するプロセッサ(32)を備えるデータ処理装置(10)に供給される外部制御プログラムであって、対象データを外部に転送する転送ステップ(S91)、装置本体の温度を参照して転送ステップの処理の中断/再開を制御する制御ステップ(S87, S101, S109~S111)、転送ステップの処理が制御ステップによって中断されている状態での装置本体への外力の付加に応答して未転送データの存在を報知する報知ステップ(S105~S107)、転送ステップによる対象データの転送が完了する前に電池電圧が基準電圧を下回ったとき未転送データを識別する識別情報を保存する保存ステップ(S89, S97, S103, S113)、および電源投入操作を受け付けたとき保存ステップによって保存された識別情報によって識別される未転送データを転送ステップの対象として指定する指定ステップ(S71, S81~S83)を内部制御プログラムと協働してプロセッサに実行させるための、外部制御プログラムである。
【0014】
この発明に従うデータ処理装置(10)は、外部制御プログラムを取り込む取り込み手段(50)、および取り込み手段によって取り込まれた外部制御プログラムとメモリ(48)に保存された内部制御プログラムとに従う処理を実行するプロセッサ(32)を備えるデータ処理装置であって、外部制御プログラムは、対象データを外部に転送する転送ステップ(S91)、装置本体の温度を参照して転送ステップの処理の中断/再開を制御する制御ステップ(S87, S101, S109~S111)、転送ステップの処理が制御ステップによって中断されている状態での装置本体への外力の付加に応答して未転送データの存在を報知する報知ステップ(S105~S107)、転送ステップによる対象データの転送が完了する前に電池電圧が基準電圧を下回ったとき未転送データを識別する識別情報を保存する保存ステップ(S89, S97, S103, S113)、および電源投入操作を受け付けたとき保存ステップによって保存された識別情報によって識別される未転送データを転送ステップの対象として指定する指定ステップ(S71, S81~S83)を内部制御プログラムと協働して実行するプログラムに相当する。
【発明の効果】
【0015】
この発明によれば、未転送データの存在は、データ転送処理が装置本体の温度に起因して中断され、この状態で装置本体に外力が付加されたときに、報知される。これによって、操作者による未転送データの誤消去を回避することができる。また、未転送データを識別する識別情報は、データ転送処理が完了する前でかつ電池電圧が基準電圧を下回ったときに保存される。電源投入操作を受け付けると、保存された識別情報によって識別される未転送データがデータ転送の対象として指定される。これによって、電源の遮断前に転送されるデータと遮断された電源の投入後に転送されるデータとの間で連続性が確保される。こうして、データ転送性能が向上する。
【0016】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の一実施例の基本的構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の一実施例の構成を示すブロック図である。
【図3】図2実施例のフラッシュメモリに設けられたレジスタの構成の一例を示す図解図である。
【図4】転送モードにおいて図2実施例のLCDモニタに表示されるファイルメニューの一例を示す図解図である。
【図5】図2実施例によって実行されるデータ転送処理の一部を示す図解図である。
【図6】図2実施例に適用されるCPUの動作の一部を示すフロー図である。
【図7】図2実施例に適用されるCPUの動作の他の一部を示すフロー図である。
【図8】図2実施例に適用されるCPUの動作のその他の一部を示すフロー図である。
【図9】図2実施例に適用されるCPUの動作のさらにその他の一部を示すフロー図である。
【図10】図2実施例に適用されるCPUの動作の他の一部を示すフロー図である。
【図11】図2実施例に適用されるCPUの動作のその他の一部を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
[基本的構成]
【0019】
図1を参照して、この実施例のデータ処理装置は、基本的に次のように構成される。転送手段1は、対象データを外部に転送する。制御手段2は、装置本体の温度を参照して転送手段1の処理の中断/再開を制御する。報知手段3は、転送手段1の処理が制御手段2によって中断されている状態での装置本体への外力の付加に応答して未転送データの存在を報知する。保存手段4は、転送手段1による対象データの転送が完了する前に電池電圧が基準電圧を下回ったとき未転送データを識別する識別情報を保存する。指定手段5は、電源投入操作を受け付けたとき保存手段4によって保存された識別情報によって識別される未転送データを転送手段1の対象として指定する。
【0020】
未転送データの存在は、データ転送処理が装置本体の温度に起因して中断され、この状態で装置本体に外力が付加されたときに、報知される。これによって、操作者による未転送データの誤消去を回避することができる。また、未転送データを識別する識別情報は、データ転送処理が完了する前でかつ電池電圧が基準電圧を下回ったときに保存される。電源投入操作を受け付けると、保存された識別情報によって識別される未転送データがデータ転送の対象として指定される。これによって、電源の遮断前に転送されるデータと遮断された電源の投入後に転送されるデータとの間で連続性が確保される。こうして、データ転送性能が向上する。
[実施例]
【0021】
図2を参照して、この実施例のディジタルカメラ10は、ドライバ18aおよび18bによってそれぞれ駆動されるフォーカスレンズ12および絞りユニット14を含む。これらの部材を経た光学像は、イメージャ16の撮像面に照射され、光電変換を施される。
【0022】
電源ボタン44によって電源オン操作が実行されると、バッテリ46の電力がCPU32を含むシステム全体に供給される。これによって、ディジタルカメラ10の状態が電源オフ状態から電源オン状態(=通常状態)に移行する。
【0023】
電源オン状態に移行すると、CPU32はメインタスクを実行する。メインタスクではまず、フラッシュメモリ48に設けられたレジスタRGST1からモード情報が読み出され、読み出されたモード情報に対応するタスクが起動される。読み出されたモード情報がカメラモードを示していれば撮像タスクが起動され、読み出されたモード情報が再生モードを示していれば再生タスクが起動され、そして読み出されたモード情報が転送モードを示していれば転送タスクが起動される。
【0024】
キー入力装置34に設けられたモード切り換えスイッチ34swが操作されると、起動中のタスクが停止される。レジスタRGST1に登録されたモード情報は、モード切り換えスイッチ34swの操作によって選択された動作モードを示すように更新される。起動すべきタスクは、更新後のモード情報を参照して変更される。
【0025】
撮像タスクが起動されると、CPU32は、動画取り込み処理を実行するべく、ドライバ18cに露光動作および電荷読み出し動作の繰り返しを命令する。ドライバ18cは、周期的に発生する垂直同期信号Vsyncに応答して、イメージャ16の撮像面を露光し、かつ撮像面で生成された電荷をラスタ走査態様で読み出す。イメージャ16からは、読み出された電荷に基づく生画像データが周期的に出力される。
【0026】
信号処理回路20は、イメージャ16から出力された生画像データに白バランス調整,色分離,YUV変換などの処理を施す。これによって生成されたYUV形式の画像データは、メモリ制御回路22を通してSDRAM24に書き込まれる。LCDドライバ26は、SDRAM24に格納された画像データをメモリ制御回路22を通して繰り返し読み出し、読み出された画像データに基づいてLCDモニタ28を駆動する。この結果、撮像面で捉えられたシーンを表すリアルタイム動画像(スルー画像)がモニタ画面に表示される。
【0027】
信号処理回路20はまた、YUV変換によって生成されたYデータをCPU32に与える。CPU32は、与えられたYデータにAE処理を施して適正EV値を算出し、算出された適正EV値を定義する絞り量および露光時間をドライバ18bおよび18cにそれぞれ設定する。これによって、スルー画像の明るさが確保される。CPU32はまた、信号処理回路20から与えられたYデータの高周波成分を参照してAF処理を継続的に実行する。これによってフォーカスレンズ12が合焦点近傍に継続的に配置され、スルー画像の鮮鋭度が確保される。
【0028】
キー入力装置34に設けられたムービボタン34mvが操作されると、CPU32は、動画記録処理の実行をメモリI/F40に命令する。メモリI/F40は、新規の画像ファイルを着脱自在の記録媒体42に作成し(作成した画像ファイルはオープンされる)、SDRAM24に格納された画像データをメモリ制御回路22を通して繰り返し読み出し、そして読み出された画像データをオープン状態の画像ファイルに収める。
【0029】
ムービボタン34mvが再度操作されると、CPU32は、動画記録処理の停止をメモリI/F40に命令する。メモリI/F40は、SDRAM24からの画像データの読み出しを終了し、オープン状態の画像ファイルをクローズする。これによって、撮像面16で捉えられたシーンを継続的に表す動画像がファイル形式で記録媒体42に記録される。
【0030】
再生タスクが起動されると、CPU32は、記録媒体42に記録された最新の画像ファイルを指定する。ここでキー入力装置34に設けられた送り/戻しボタン34frが操作されると、後続の画像ファイルまたは先行する画像ファイルが指定される。こうして所望の画像ファイルが指定された状態で再生ボタン34plyが操作されると、CPU32は、指定画像ファイルに注目した動画再生処理の実行をメモリI/F40およびLCDドライバ26に命令する。メモリI/F40は、指定された画像ファイルの画像データを記録媒体42から読み出し、読み出された画像データをメモリ制御回路22を通してSDRAM24に書き込む。
【0031】
LCDドライバ26は、SDRAM24に格納された画像データをメモリ制御回路22を通して読み出し、読み出された画像データに基づいてLCDモニタ28を駆動する。この結果、指定画像ファイルの画像データに基づく再生動画像がLCDモニタ28に表示される。
【0032】
転送タスクが起動されると、CPU32は、記録媒体42に記録された画像ファイルを示すファイルメニューをLCDモニタ28に表示するべく、対応する命令をLCDドライバ26に与える。ファイルメニューは、図5に示す要領でLCDモニタ28に表示される。
【0033】
キー入力装置34に設けられたファイル選択ボタン34selによって所望の画像ファイルが選択されると、CPU32は、メモリI/F40を通して記録媒体42にアクセスし、選択された所望の画像ファイルをオープンする。CPU32はさらに、オープンされた画像ファイルの画像データを既定サイズずつ指定し、指定された既定サイズの画像データの転送をメモリI/F40および通信I/F46に命令する。メモリI/F40は指定された画像データを記録媒体42から読み出し、読み出された画像データを通信I/F46に与える。通信I/F46は、与えられた画像データを外部PCに向けて送信する。オープンされた画像ファイルは、ファイルに収められた全ての画像データの転送が完了した後にクローズされる。
【0034】
カメラ筐体(=本体)の温度つまり筐体温度は、温度センサ36によって検知される。CPU32は、温度センサ36によって検知された温度およびバッテリ46の端子電圧を上述のデータ転送処理と並列して監視する。
【0035】
筐体温度が閾値THtsd以下でかつバッテリ46の端子電圧が閾値THbttを上回れば、カメラ筐体は十分に冷たく、かつバッテリ46の電力は十分に残っているとして、データ転送処理が継続される。なお、“tsd”は“thermal shut down”の略である。
【0036】
一方、筐体温度は閾値THtsd以下であるものの、バッテリ46の端子電圧が閾値THbtt以下の電圧にまで低下すると、データ転送処理が中断され、オープンされている画像ファイルのファイル名と未転送データの先頭位置を示す位置情報とがマーカとして図3に示すレジスタRGST1に登録される。図5を参照して、画像ファイル“MV0002.mpg”に収められた画像データが転送されている途中でバッテリ46の端子電圧が閾値THbtt以下に低下したときは、ファイル名“MV0002.mpg”と図5に矢印で示す位置を示す位置情報とがレジスタRGST1に登録される。オープンされた画像ファイルはクローズされ、転送タスクはその後に終了される。なお、ディジタルカメラ10はバッテリ46の残量不足によって電源オフ状態に移行する。
【0037】
他方、バッテリ46の端子電圧は閾値THbttを上回るものの、筐体温度が閾値THtsdを上回る温度にまで上昇すると、CPU32は、ディジタルカメラ10の状態を通常状態から省電力状態(CPU32,キー入力装置34,温度センサ36,ジャイロセンサ38および報知発生器30のみが起動した状態)に遷移させる。これによって、ディジタルカメラ10の冷却が開始される。
【0038】
省電力状態において電池電圧が閾値THbttを上回るうちは、カメラ筐体に外力が加えられたか否かが、キー入力装置34の出力および/またはジャイロセンサ38の出力に基づいて繰り返し判別される。さらに、筐体温度が閾値THtsd以下でまで停止したか否かが、温度センサ36の出力に基づいて繰り返し判別される。
【0039】
カメラ筐体に外力が加えられると、CPU32は、未転送データが存在することやディジタルカメラ10が冷却中であることを操作者に報知するべく、報知発生器30を駆動する。これによって、操作者が誤って記録媒体42をディジタルカメラ10から抜去する事態ひいてはオープン状態の画像ファイルが破壊される事態が回避される。
【0040】
省電力状態の継続によってディジタルカメラ10が冷却され、筐体温度が閾値THtsd以下にまで低下すと、CPU32は、ディジタルカメラ10の動作状態を省電力状態から通常状態に復帰させる。データ転送処理は、通常状態への復帰の後再開される。
【0041】
これに対して、筐体温度が閾値THtsd以下にまで低下する前にバッテリ46の端子電圧が閾値THbtt以下となると、オープンされている画像ファイルのファイル名と未転送データの先頭位置を示す位置情報とがマーカとしてレジスタRGST1に登録される。オープンされた画像ファイルはクローズされ、その後に転送タスクが終了される。なお、ディジタルカメラ10はバッテリ46の残量不足によって電源オフ状態に移行する。
【0042】
未転送データの存在を示すマーカがレジスタRGST1に登録されている状態で、バッテリ46の充電を経て電源オン操作が実行されると、レジスタRGST1に登録されたモード情報に基づいて転送タスクが起動される。このときは、レジスタRGST1に登録されたマーカによって識別される画像ファイルがオープンされ、かつオープンされた画像ファイルに収められた画像データがマーカによって識別される位置を先頭位置として既定サイズずつ指定され、そして既定サイズ毎のデータ転送処理が上述の要領で実行される。なお、レジスタRGST1に登録されたマーカは、未転送データの先頭位置が特定された後に削除される。
【0043】
CPU32は、図6に示すメインタスクを動作モードに関係なく実行し、カメラモードが選択されたときに図7に示す撮像タスクを実行し、再生モードが選択されたときに図8に示す再生タスクを実行し、そして転送モードが選択されたときに図9〜図11に示す転送タスクを実行する。なお、これらのタスクに対応する制御プログラムは、フラッシュメモリ48に記憶される。
【0044】
図6を参照して、ステップS1では、レジスタRGST1に登録されたモード情報を読み出す。ステップS3では読み出されたモード情報が示す動作モードがカメラモードであるか否かを判別し、ステップ5では読み出されたモード情報が示す動作モードが再生モードであるか否かを判別し、そしてステップS7では読み出されたモード情報が示す動作モードが転送モードであるか否かを判別する。
【0045】
ステップS3の判別結果がYESであればステップS9で撮像タスクを起動し、ステップS5の判別結果がYESであればステップS11で再生タスクを起動し、ステップS7の判別結果がYESであればステップS13で転送タスクを起動する。なお、現時点の動作モードがカメラモード,再生モード,および転送モードのいずれでもなければ、ステップS15で他の処理を実行する。
【0046】
ステップS9,S11,S13またはS15の処理が完了すると、モード切り換えスイッチ34swが操作されたか否かをステップS17で繰り返し判別する。判別結果がNOからYESに更新されると、起動中のタスクをステップS19で停止する。ステップS21では、レジスタRGST1に登録されたモード情報を、モード切り換えスイッチ34swの操作によって選択された動作モードを示すように更新する。更新処理が完了すると、ステップS1に戻る。
【0047】
図7を参照して、ステップS31では動画取り込み処理を実行する。この結果、スルー画像がLCDモニタ28に表示される。ステップS33ではAE処理を実行し、ステップS35ではAF処理を実行する。この結果、スルー画像の輝度および鮮鋭度が適正に調整される。ステップS37ではムービボタン34mvが操作されたか否かを判別し、判別結果がNOであればステップS33に戻る一方、判別結果がYESであればステップS39に進む。
【0048】
ステップS39では動画記録処理が実行中であるか否かを判別し、判別結果がYESであればステップS41で動画記録処理を開始する一方、判別結果がNOであればステップS43で動画記録処理を中止する。ステップS41またはS43の処理が完了すると、ステップS33に戻る。ステップS41およびS43の処理の結果、ムービボタン34mvの1回目の操作から2回目の操作までの期間に作成された画像データがファイル形式で記録媒体42に記録される。
【0049】
図13を参照して、ステップS51では記録媒体42に記録された最新の画像ファイルを指定する。ステップS53では、送り/戻しボタン34frが操作されたか否かを判別し、ステップS55では動画再生処理が実行中であるか否かを判別する。ステップS53の判別結果がNOであるか或いはステップS55の判別結果がYESであれば、そのままステップS59に進む。これに対して、ステップS53の判別結果がYESでかつステップS55の判別結果がNOであれば、ステップS57で次の画像ファイルまたは前の画像ファイルを指定してからステップS59に進む。
【0050】
ステップS59では再生ボタン34plyが操作されたか否かを判別し、判別結果がYESであれば動画再生処理が実行中であるか否かをステップS63で判別する。ステップS63の判別結果がNOであれば、ステップS657で指定画像ファイルに注目した動画再生処理を開始する。一方、ステップS63の判別結果がYESであれば、ステップS69で指定画像ファイルに注目した動画再生処理を終了する。ステップS67またはS69の処理が完了すると、ステップS53に戻る。
【0051】
ステップS59の判別結果がNOであれば、動画再生処理が実行中であるか否かをステップS61で判別する。動画再生処理が停止中であればステップS53に戻り、動画再生処理が実行中であればステップS65に進む。ステップS65では再生フレームが末尾フレームに到達したか否かを判別し、判別結果がNOであればそのままステップS53に戻る一方、判別結果がYESであればステップS69の処理を経てステップS53に戻る。
【0052】
図14を参照して、ステップS71では、未転送データの存在を示すマーカがレジスタRGST1に登録されているか否かを判別する。判別結果がNOであれば、ファイルメニューをLCDモニタ28に表示するべく、対応する命令をステップS73でLCDドライバ26に与える。この結果、ファイルメニューが図5に示す要領でLCDモニタ28に表示される。
【0053】
ステップS75ではファイル選択ボタン34selによって所望の画像ファイルが選択されたか否かを判別し、判別結果がNOからYESに更新されるとステップS77に進む。ステップS77では、メモリI/F40を通して記録媒体42にアクセスし、選択された所望の画像ファイルをオープンする。ステップS79では、オープンされた画像ファイルに収められた画像データのうち先頭位置から始まる既定サイズの画像データを指定する。
【0054】
一方、ステップS71の判別結果がYESであれば、ステップS81に進む。ステップS81では、メモリI/F40を通して記録媒体42にアクセスし、マーカによって識別される画像ファイルをオープンする。ステップS83では、オープンされた画像ファイルに収められた画像データのうちマーカによって識別される位置から始まる既定サイズの画像データを指定する。ステップS85では、レジスタRGST1に登録されたマーカを削除する。
【0055】
ステップS79またはS85の処理が完了すると、筐体温度が閾値THtsd以下であるか否かをステップS87で判別し、判別結果がYESであればステップS89に進む一方、判別結果がNOであればステップS101に進む。
【0056】
ステップS89では、バッテリ46の端子電圧が閾値THbttを上回るか否かを判別する。判別結果がYESであればステップS91に進み、ステップS79,S83または後述するステップS95で指定された画像データの転送をメモリI/F40および通信I/F50に命令する。メモリI/F40は指定画像データを記録媒体42から読み出し、読み出された画像データを通信I/F50に与える。通信I/F50は、与えられた画像データを外部PCに送信する。
【0057】
ステップS93ではオープンされた画像ファイル内の全ての画像データの転送が完了したか否かを判別し、判別結果がNOであればステップS95に進む一方、判別結果がYESであればステップS99に進む。ステップS95では後続する既定サイズの画像データを指定し、その後にステップS87に戻る。ステップS99では、オープンされた画像ファイルのクローズをメモリI/F40に命令し、その後に処理を終了する。ステップS89の判別結果がNOであればステップS97に進み、オープンされている画像ファイルのファイル名と未転送データの先頭位置を示す位置情報とをマーカとしてレジスタRGST1に登録する。登録が完了すると、ステップS99のファイルクローズを経て処理を終了する。
【0058】
ステップS87の判別結果がNOであるときに移行するステップS101では、ディジタルカメラ10の状態を省電力状態(CPU32,キー入力装置34,温度センサ36,ジャイロセンサ38および報知発生器30のみが起動した状態)に遷移させる。
【0059】
ステップS103では、バッテリ46の端子電圧が閾値THbttを上回るか否かを判別する。また、ステップS105では、カメラ筐体に外力が加えられたか否かをキー入力装置34の出力および/またはジャイロセンサ38の出力に基づいて判別する。さらに、ステップS109では筐体温度が閾値THtsd以下であるか否かを温度センサ36の出力に基づいて判別する。なお、これらの判別処理は、バッテリ46の端子電圧および筐体温度がそれぞれ閾値THbttおよびTHtsdを上回る限り、繰り返し実行される。
【0060】
ステップS103の判別結果がNOであれば、ステップS113〜S115で上述したステップS97〜S99と同様の処理を実行し、その後に処理を終了する。ステップS105の判別結果がYESであれば、ステップS107で報知発生器30を駆動する。この結果、未転送データが存在すること或いはディジタルカメラ10が冷却中であることが操作者に向けて報知される。ステップS109の判別結果がYESであれば、ステップS111でディジタルカメラ10の動作状態を省電力状態から通常状態に復帰させ、その後にステップS89に移行する。
【0061】
以上の説明から分かるように、記録媒体42に記録された画像データは、転送モードが選択されたとき、CPU32の制御の下で通信I/F50によって外部PCに転送される(S91)。CPU32は、カメラ筐体の温度を参照してデータ転送処理の中断/再開を制御し(S87, S101, S109~S111)、データ転送処理が中断されている状態でのカメラ筐体への外力の付加に応答して未転送データの存在を報知する(S105~S107)。CPU32はまた、画像データの転送が完了する前に電池電圧が基準電圧を下回ったとき、未転送データを識別するマーカをレジスタRGST1に保存する(S89, S97, S103, S113)。レジスタRGST1に保存されたマーカによって識別される未転送データは、電源投入操作を受け付けたとき、CPU32によってデータ転送処理の対象として指定される(S71, S81~S83)。
【0062】
未転送データの存在は、データ転送処理がカメラ筐体の温度に起因して中断され、この状態でカメラ筐体に外力が付加されたときに、報知される。これによって、操作者による未転送データの誤消去を回避することができる。また、未転送データを識別するマーカは、データ転送処理が完了する前でかつ電池電圧が基準電圧を下回ったときに保存される。電源投入操作を受け付けると、保存されたマーカによって識別される未転送データがデータ転送の対象として指定される。これによって、電源の遮断前に転送される画像データと遮断された電源の投入後に転送される画像データとの間で連続性が確保される。こうして、データ転送性能が向上する。
【0063】
なお、この実施例では、通信I/F50を用いて画像データを外部PCに転送するようにしているが、無線通信機能を備える記録媒体を図2に示す記録媒体42に代えて採用するようにしてもよい。また、この実施例では、画像データの転送を想定しているが、この発明は音声データなどの他のデータの転送にも適用できる。
【0064】
さらに、この実施例では、ステップS97またはS113の処理を経て転送タスクが終了された後の電源オン操作に応答して速やかに転送タスクを起動するようにしている。しかし、転送タスクの起動時に未転送データの存在を報知するようにすれば、使い勝手が向上する。この場合、好ましくは、報知発生器30を駆動するステップを図9に示すステップS85の前段または後段に追加される。
【0065】
また、この実施例では、マルチタスクOSおよびこれによって実行される複数のタスクに相当する制御プログラムは、フラッシュメモリ48に予め記憶される。しかし、一部の制御プログラムを内部制御プログラムとしてフラッシュメモリ48に当初から準備する一方、他の一部の制御プログラムを外部制御プログラムとして外部サーバから取得するようにしてもよい。この場合、上述の動作は、内部制御プログラムおよび外部制御プログラムの協働によって実現される。
【0066】
また、この実施例では、CPU32によって実行される処理を上述の要領で複数のタスクに区分するようにしている。しかし、各々のタスクをさらに複数の小タスクに区分してもよく、さらには区分された複数の小タスクの一部を他のタスクに統合するようにしてもよい。また、各々のタスクを複数の小タスクに区分する場合、その全部または一部を外部サーバから取得するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0067】
10 …ディジタルカメラ
16 …イメージャ
20 …信号処理回路
24 …SDRAM
30 …報知発生器
32 …CPU
46 …バッテリ
50 …通信I/F
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象データを外部に転送する転送手段、
装置本体の温度を参照して前記転送手段の処理の中断/再開を制御する制御手段、
前記転送手段の処理が前記制御手段によって中断されている状態での前記装置本体への外力の付加に応答して未転送データの存在を報知する報知手段、
前記転送手段による前記対象データの転送が完了する前に電池電圧が基準電圧を下回ったとき未転送データを識別する識別情報を保存する保存手段、および
電源投入操作を受け付けたとき前記保存手段によって保存された識別情報によって識別される未転送データを前記転送手段の対象として指定する指定手段を備える、データ処理装置。
【請求項2】
前記装置本体の振動を検知する検知手段、および
前記装置本体に設けられた操作キーをさらに備え、
前記報知手段は前記検知手段の検知および/または前記操作キーの操作に応答して報知処理を実行する、請求項1記載のデータ処理装置。
【請求項3】
データ転送モードを含む複数の動作モードのうち登録モード情報に対応する動作モードを選択する選択手段、および
モード切り換え指示が発行されたとき前記登録モード情報を更新して前記選択手段を再起動する更新手段をさらに備える、請求項1または2記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記対象データは着脱自在の記録媒体に保存されたデータに相当する、請求項1ないし3のいずれかに記載のデータ処理装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記転送手段の処理の中断に関連して動作状態を省電力状態に遷移させる遷移手段、および前記転送手段の処理の再開に関連して前記動作状態を通常状態に復帰させる復帰手段を含む、請求項1ないし4のいずれかに記載のデータ処理装置。
【請求項6】
データ処理装置のプロセッサに、
対象データを外部に転送する転送ステップ、
装置本体の温度を参照して前記転送ステップの処理の中断/再開を制御する制御ステップ、
前記転送ステップの処理が前記制御ステップによって中断されている状態での前記装置本体への外力の付加に応答して未転送データの存在を報知する報知ステップ、
前記転送ステップによる前記対象データの転送が完了する前に電池電圧が基準電圧を下回ったとき未転送データを識別する識別情報を保存する保存ステップ、および
電源投入操作を受け付けたとき前記保存ステップによって保存された識別情報によって識別される未転送データを前記転送ステップの対象として指定する指定ステップを実行させるための、データ処理プログラム。
【請求項7】
データ処理装置によって実行されるデータ処理方法であって、
対象データを外部に転送する転送ステップ、
装置本体の温度を参照して前記転送ステップの処理の中断/再開を制御する制御ステップ、
前記転送ステップの処理が前記制御ステップによって中断されている状態での前記装置本体への外力の付加に応答して未転送データの存在を報知する報知ステップ、
前記転送ステップによる前記対象データの転送が完了する前に電池電圧が基準電圧を下回ったとき未転送データを識別する識別情報を保存する保存ステップ、および
電源投入操作を受け付けたとき前記保存ステップによって保存された識別情報によって識別される未転送データを前記転送ステップの対象として指定する指定ステップを備える、データ処理方法。
【請求項8】
メモリに保存された内部制御プログラムに従う処理を実行するプロセッサを備えるデータ処理装置に供給される外部制御プログラムであって、
対象データを外部に転送する転送ステップ、
装置本体の温度を参照して前記転送ステップの処理の中断/再開を制御する制御ステップ、
前記転送ステップの処理が前記制御ステップによって中断されている状態での前記装置本体への外力の付加に応答して未転送データの存在を報知する報知ステップ、
前記転送ステップによる前記対象データの転送が完了する前に電池電圧が基準電圧を下回ったとき未転送データを識別する識別情報を保存する保存ステップ、および
電源投入操作を受け付けたとき前記保存ステップによって保存された識別情報によって識別される未転送データを前記転送ステップの対象として指定する指定ステップを前記内部制御プログラムと協働して前記プロセッサに実行させるための、外部制御プログラム。
【請求項9】
外部制御プログラムを取り込む取り込み手段、および
前記取り込み手段によって取り込まれた外部制御プログラムとメモリに保存された内部制御プログラムとに従う処理を実行するプロセッサを備えるデータ処理装置であって、
前記外部制御プログラムは、
対象データを外部に転送する転送ステップ、
装置本体の温度を参照して前記転送ステップの処理の中断/再開を制御する制御ステップ、
前記転送ステップの処理が前記制御ステップによって中断されている状態での前記装置本体への外力の付加に応答して未転送データの存在を報知する報知ステップ、
前記転送ステップによる前記対象データの転送が完了する前に電池電圧が基準電圧を下回ったとき未転送データを識別する識別情報を保存する保存ステップ、および
電源投入操作を受け付けたとき前記保存ステップによって保存された識別情報によって識別される未転送データを前記転送ステップの対象として指定する指定ステップを前記内部制御プログラムと協働して実行するプログラムに相当する、データ処理装置。
【請求項1】
対象データを外部に転送する転送手段、
装置本体の温度を参照して前記転送手段の処理の中断/再開を制御する制御手段、
前記転送手段の処理が前記制御手段によって中断されている状態での前記装置本体への外力の付加に応答して未転送データの存在を報知する報知手段、
前記転送手段による前記対象データの転送が完了する前に電池電圧が基準電圧を下回ったとき未転送データを識別する識別情報を保存する保存手段、および
電源投入操作を受け付けたとき前記保存手段によって保存された識別情報によって識別される未転送データを前記転送手段の対象として指定する指定手段を備える、データ処理装置。
【請求項2】
前記装置本体の振動を検知する検知手段、および
前記装置本体に設けられた操作キーをさらに備え、
前記報知手段は前記検知手段の検知および/または前記操作キーの操作に応答して報知処理を実行する、請求項1記載のデータ処理装置。
【請求項3】
データ転送モードを含む複数の動作モードのうち登録モード情報に対応する動作モードを選択する選択手段、および
モード切り換え指示が発行されたとき前記登録モード情報を更新して前記選択手段を再起動する更新手段をさらに備える、請求項1または2記載のデータ処理装置。
【請求項4】
前記対象データは着脱自在の記録媒体に保存されたデータに相当する、請求項1ないし3のいずれかに記載のデータ処理装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記転送手段の処理の中断に関連して動作状態を省電力状態に遷移させる遷移手段、および前記転送手段の処理の再開に関連して前記動作状態を通常状態に復帰させる復帰手段を含む、請求項1ないし4のいずれかに記載のデータ処理装置。
【請求項6】
データ処理装置のプロセッサに、
対象データを外部に転送する転送ステップ、
装置本体の温度を参照して前記転送ステップの処理の中断/再開を制御する制御ステップ、
前記転送ステップの処理が前記制御ステップによって中断されている状態での前記装置本体への外力の付加に応答して未転送データの存在を報知する報知ステップ、
前記転送ステップによる前記対象データの転送が完了する前に電池電圧が基準電圧を下回ったとき未転送データを識別する識別情報を保存する保存ステップ、および
電源投入操作を受け付けたとき前記保存ステップによって保存された識別情報によって識別される未転送データを前記転送ステップの対象として指定する指定ステップを実行させるための、データ処理プログラム。
【請求項7】
データ処理装置によって実行されるデータ処理方法であって、
対象データを外部に転送する転送ステップ、
装置本体の温度を参照して前記転送ステップの処理の中断/再開を制御する制御ステップ、
前記転送ステップの処理が前記制御ステップによって中断されている状態での前記装置本体への外力の付加に応答して未転送データの存在を報知する報知ステップ、
前記転送ステップによる前記対象データの転送が完了する前に電池電圧が基準電圧を下回ったとき未転送データを識別する識別情報を保存する保存ステップ、および
電源投入操作を受け付けたとき前記保存ステップによって保存された識別情報によって識別される未転送データを前記転送ステップの対象として指定する指定ステップを備える、データ処理方法。
【請求項8】
メモリに保存された内部制御プログラムに従う処理を実行するプロセッサを備えるデータ処理装置に供給される外部制御プログラムであって、
対象データを外部に転送する転送ステップ、
装置本体の温度を参照して前記転送ステップの処理の中断/再開を制御する制御ステップ、
前記転送ステップの処理が前記制御ステップによって中断されている状態での前記装置本体への外力の付加に応答して未転送データの存在を報知する報知ステップ、
前記転送ステップによる前記対象データの転送が完了する前に電池電圧が基準電圧を下回ったとき未転送データを識別する識別情報を保存する保存ステップ、および
電源投入操作を受け付けたとき前記保存ステップによって保存された識別情報によって識別される未転送データを前記転送ステップの対象として指定する指定ステップを前記内部制御プログラムと協働して前記プロセッサに実行させるための、外部制御プログラム。
【請求項9】
外部制御プログラムを取り込む取り込み手段、および
前記取り込み手段によって取り込まれた外部制御プログラムとメモリに保存された内部制御プログラムとに従う処理を実行するプロセッサを備えるデータ処理装置であって、
前記外部制御プログラムは、
対象データを外部に転送する転送ステップ、
装置本体の温度を参照して前記転送ステップの処理の中断/再開を制御する制御ステップ、
前記転送ステップの処理が前記制御ステップによって中断されている状態での前記装置本体への外力の付加に応答して未転送データの存在を報知する報知ステップ、
前記転送ステップによる前記対象データの転送が完了する前に電池電圧が基準電圧を下回ったとき未転送データを識別する識別情報を保存する保存ステップ、および
電源投入操作を受け付けたとき前記保存ステップによって保存された識別情報によって識別される未転送データを前記転送ステップの対象として指定する指定ステップを前記内部制御プログラムと協働して実行するプログラムに相当する、データ処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−12871(P2013−12871A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143775(P2011−143775)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
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