説明

トラクタの変速機構

【課題】歯車の工具費及び段取り工数の低減を図り製造コストを下げることができるトラクタの変速機構を提供する。
【解決手段】前後進変速機構と主変速機構Bと副変速機構に伝達して走行変速を行うと共に、該主変速機構Bを入力軸21に設けられる複数の変速駆動歯車27,28,30,31と、出力軸22に設けられる複数の変速従動歯車32,33,34,35とを常時噛合させ、主変速レバーの操作に基づき、変速クラッチ25,26を作動させて多段の走行変速を行うように構成したトラクタの変速機構であって、前記主変速機構Bの低速段側と高速段側の対となる変速駆動歯車27,31,28,30と従動歯車35,32,34,33の歯数の組み合わせを同じにして、2種類の歯切工具により低速段側と高速段側の4枚の歯車を製作することができるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランスミッションケース内に設けた主変速機構により複数段の走行変速を行うトラクタの変速機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農業用のトラクタは、エンジンの動力をトランスミッションケース内に設けた前後進変速機構と主変速機構と副変速機構に伝達して走行変速を行うように構成されている(例えば特許文献1)。
このトラクタの変速機構は、変速軸(入力軸)に設けられる複数の変速駆動歯車と、出力軸に設けられる複数の変速従動歯車とを各対をなすように噛合させており、主変速レバーの操作に基づき、出力軸に設ける変速クラッチを択一的に選択することにより、例えば1速から4速の走行変速を行うように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3875593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のトラクタの主変速機構における変速歯車の製作にあたっては、初めに歯車のモジュールと中心距離と速度比が決められ、これによって駆動歯車と従動歯車の歯数を計算し、歯数が整数とならない時、或いはアンダーカットを防ぐために歯車を転位するように設計することが行われている。
そのため、各歯車はその歯数並びに歯型を異にするため全ての歯車を製作するためには、各歯車毎に専用の歯切工具を用意する必要があると共に、歯切工具の歯切盤への取付け、並びに歯切りプログラムの変更等の段取り工数が増大して製造コストが高くなる欠点があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は係る課題を解決するために、エンジン4からの動力をトランスミッションケース7内に設けた前後進変速機構Aと主変速機構Bと副変速機構Cに伝達して走行変速を行うと共に、該主変速機構Bを入力軸21に設けられる複数の変速駆動歯車27,28,30,31と、出力軸22に設けられる複数の変速従動歯車32,33,34,35とを常時噛合させ、主変速レバーの操作に基づき、変速クラッチ25,26を作動させて多段の走行変速を行うように構成したトラクタの変速機構において、前記主変速機構Bの低速段側と高速段側の対となる変速駆動歯車27,31,28,30と従動歯車35,32,34,33の歯数の組み合わせを同じにして、2種類の歯切工具により低速段側と高速段側の4枚の歯車を製作することができるように構成することを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、入力軸に設けられる複数の変速駆動歯車と、出力軸に設けられる複数の変速従動歯車とを常時噛合させ、変速クラッチにより多段の走行変速を行うようにした主変速機構において、低速段側と高速段側の対となる変速駆動歯車と従動歯車の歯数の組み合わせを同じにして、2種類の歯切工具により低速段側と高速段側の4枚の歯車を製作することができるように構成したことにより、高価な歯切工具の種類を半減して歯車を製作することができる。また歯切工具を歯切盤に取付ける手間や、歯切プログラムの変更等の段取り工数を低減して製造コストを下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】トラクタの側面図である。
【図2】トランスミッションの展開図である。
【図3】主変速機構の構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1において符号1は農業用のトラクタを示し、このトラクタ1は前輪2と後輪2aとを有する走行機体3に、前側からエンジン4を配設してボンネット5で覆い、その後方にステアリングハンドル6a及び座席6b等からなる操縦部6を配設し、機体後部に耕耘装置等の作業機を装着する連結部を備えている。これにより、トラクタ1は走行しながら作業機を圃場に接地させて圃場の耕耘作業等を行う。操縦部6には後述する前後進変速機構Aを変速操作する前後進変速レバー、主変速機構Bを変速操作する主変速レバー、第1副変速機構Cを変速操作する副変速レバー、第2副変速機構Dを変速操作する副変速レバー、及びPTO変速機構Eを変速操作するPTO変速レバー等を配設し、ステアリングハンドル6aの下部には主クラッチ10を入り切り操作するクラッチペダルを設置している。
【0009】
走行機体3を構成するトランスミッションケース7は、図2に示すように、前部がエンジン4に連結され、内部に主クラッチ8、前後進変速機構A、主変速機構B、第1副変速機構C、第2副変速機構D、PTO変速機構E、前輪変速装置F、並びに後輪差動装置Gを内装している。
【0010】
次に、上記各伝動機構について図2を参照し説明する。先ずトランスミッションケース7内には、駆動歯車9を一体的に形成した主軸10(伝動軸)を軸支している。この主軸10は乾式単板クラッチ式の主クラッチ8に連結しており、該主クラッチ8は操縦部6の足元側に配置されるクラッチペダルの操作により動力を入り切りされる。そして、エンジン4の動力は主クラッチ8と主軸10を介して前後進変速機構Aへ伝達されると共に、継手及びPTO伝動軸12を介してPTO変速機構Eへ伝達される。
【0011】
前後進変速機構Aは、入力軸13と前後進軸14とバック軸14bとを備えている。入力軸13には駆動歯車9と噛合する入力歯車15と、前後に配置される前進駆動歯車16と後進駆動歯車17を固設している。前後進軸14には前進駆動歯車16に噛合する前進従動歯車18と、後進駆動歯車17にバック歯車14aを介して噛合する後進従動歯車19を遊転軸支し、両歯車間に油圧作動型の多板式の前後進クラッチ20を設けている。
【0012】
これにより前後進変速レバーの操作に基づき前後進クラッチ20の前進クラッチ20aが入り作動すると、前後進軸14を正転(前進回転)させ前進変速状態になる。また後進クラッチ20bが入り作動すると、前後進軸14を逆転(後進回転)させ後進変速状態になる。
【0013】
次に、主変速機構Bについて図2,図3を参照し説明する。この主変速機構Bは、各接続端にスプラインを形成した中空軸からなる入力軸21と出力軸22を備えている。
入力軸21は前後進軸14とスプライン接続されて動力が伝達される。また出力軸22は後端にスプライン接続している第1副変速機構Cの副変速入力軸23に出力し、1速から4速の4段変速を行う。即ち、入力軸21には、シンクロメッシュ式の1・2速用の変速クラッチ25と3・4速用の変速クラッチ26を軸装しており、1・2速用変速クラッチ25の後側と前側に1速用の変速駆動歯車27と2速用の変速駆動歯車28を遊転自在に軸支し、且つ3・4速用変速クラッチ26の後側と前側に3速用の変速駆動歯車30と4速用の変速駆動歯車31を遊転自在に軸支している。
【0014】
一方、出力軸22には、上記1・2・3・4速用の変速駆動歯車27,28,30,31に噛合する、1・2・3・4速用の変速従動歯車32,33,34,35をスプライン嵌合により固設している。これにより主変速機構Bは、主変速レバーを変速ガイド溝に沿って1速位置に操作すると、1・2速用変速クラッチ25が後方シフトし変速駆動歯車27と、変速従動歯車32を介して出力軸22に動力を伝達し1速の変速状態になる。
【0015】
また主変速レバーを2速位置に操作すると、1・2速用変速クラッチ25が前方シフトし変速駆動歯車28と変速従動歯車33を介して出力軸22に動力を伝達し2速の変速状態になる。また同様に主変速レバーを3速又は4速位置に操作すると、3・4速用変速クラッチ26が後、前にシフトされ、3速又は4速の変速従動歯車34,35を介して出力軸22に動力を伝達し3速又は4速の変速状態を得ることができる。
【0016】
そして、上記構成において主変速機構Bは、入力軸21に設けた変速駆動歯車27,28,30,31の各歯数を、それぞれ23枚,27枚,31枚,35枚にしていると共に、出力軸22に設けた変速従動歯車32,33,34,35の各歯数を、それぞれ35枚, 31枚, 27枚,23枚にしている。これにより主変速機構Bは、各対をなして常時噛合する歯車の変速比により4段の変速を行う。
即ち、主変速機構Bは、入力軸21と出力軸22に設ける各歯車を、1速と4速において変速駆動歯車27と変速従動歯車35との歯数を同じにし、且つ変速駆動歯車31と変速従動歯車32との歯数を同じにしている。また2速と3速において、変速駆動歯車28と変速従動歯車34との歯数を同じにし、且つ変速駆動歯車30と変速従動歯車33との歯数を同じにしている。これにより主変速機構Bは後述するように、製造コストを低減することができる。
【0017】
次に、第1副変速機構Cについて説明する。この第1副変速機構Cは、出力軸22にスプライン接続される副変速入力軸23と、後端に第2副変速機構Dの第2副変速入力軸36をスプライン接続する副変速出力軸(変速従動軸)37を備え、主変速機構Bから出力される動力を高速と低速の2段に変速し第2副変速機構Dに出力する。
即ち、副変速入力軸23は、前後に低速駆動歯車38と高速駆動歯車39とを固設している。副変速出力軸37は、前後に上記低速駆動歯車38と高速駆動歯車39とにそれぞれ常時噛合する低速従動歯車40と高速従動歯車41とを遊転自在に軸支し、且つ両従動歯車40,41間にダブルコーンシンクロメッシュ式の副変速クラッチ42を介装している。
【0018】
これにより第1副変速機構Cは、副変速レバーを低速位置に操作すると、副変速クラッチ42のスリーブが前移動し低速従動歯車40の回転を副変速出力軸37に伝え低速の副変速状態になる。また副変速レバーを高速位置に操作すると、副変速クラッチ42のスリーブが後移動し高速従動歯車41の回転を副変速出力軸37に伝え高速の副変速状態になる。
【0019】
次に、第2副変速機構Dについて説明する。この第2副変速機構Dは、第2副変速入力軸36と後輪差動装置Gに出力するピニオン軸43と、第2副変速入力軸36の下部にカウンタ軸45を備えており、第2副変速入力軸36の回転を高速と中速と低速との3段の副変速を行い、ピニオン軸43から後輪差動装置Gと前輪変速装置Fに出力する。
即ち、第2副変速入力軸36は、前側から後側に向けて低速駆動歯車46と中速駆動歯車47と高速駆動歯車48を固設していると共に、中速駆動歯車47と高速駆動歯車48との間に小径歯車49と大径歯車50とからなる高速駆動カウンタ歯車を遊転自在に軸支している。
【0020】
そして、ピニオン軸43の前側に前輪変速装置Fに出力する前輪駆動歯車52を固設し、後側に低速駆動歯車46と常時噛合する低速従動歯車53を遊転自在に軸支し、且つ変速シフタ部を有する低中速従動歯車54と高速従動歯車55とからなる第2副変速クラッチ歯車を軸方向にスライド移動自在にスプライン嵌合している。この低中速従動歯車54と高速従動歯車55とは図示の中立位置から前側に移動すると、低中速従動歯車54が中速駆動歯車47に噛合して作業速となり、さらに前側に移動すると低中速従動歯車54は低速従動歯車53の側面に形成される内歯に係合して超低速になる。また中立位置から後側に移動すると、高速従動歯車55が前記高速駆動カウンタ歯車の大径歯車50に噛合し路上走行速になる。尚、上記小径歯車49に噛合するカウンタ大径歯車56と、高速駆動歯車48に噛合するカウンタ小径歯車57とは、一体的に形成した状態でカウンタ軸45に遊転自在に軸支している。
【0021】
これにより第2副変速機構Dは、第2副変速レバーを低速位置に操作すると、第2副変速クラッチ歯車の低中速従動歯車54が低速従動歯車53の内歯に係合してピニオン軸43を超低速で回転させる。また第2副変速レバーを中速位置に操作すると、低中速従動歯車54を中速駆動歯車47に噛合させてピニオン軸43を作業速で回転させる。さらに第2副変速レバーを高速位置に操作すると、高速従動歯車55を高速駆動カウンタ歯車の大径歯車50に噛合させてピニオン軸43を路上走行速で回転させる。つまり第2副変速機構Dは、主変速機構Bと第1副変速機構Cによって8段に変速した動力を、超低速と作業速と路上走行速の3段に変速をすることができ、ピニオン軸43から後輪差動装置Gと前輪変速装置Fに出力する。
【0022】
次に、前輪変速装置Fについて説明する。この前輪変速装置Fは、前輪駆動入力軸60と前輪出力軸61とを備えており、前輪出力軸61から図示しない伝動軸を介し前輪2の差動装置に動力を伝達している。
前輪駆動入力軸60は前後に、標準駆動歯車62と、前記前輪駆動歯車52に噛合する前輪入力歯車63及び前輪増速駆動歯車64を固設している。前輪出力軸61は前後に、標準従動歯車65と増速従動歯車66とを遊転自在に軸支し、且つ両歯車間に油圧多板式の前輪標準クラッチ67と前輪増速クラッチ68を設けている。
【0023】
これにより前輪変速装置Fは、前輪駆動歯車52に噛合する前輪入力歯車63が前輪駆動入力軸60を回転し、標準駆動歯車62と前輪増速駆動歯車64とが、それぞれ標準従動歯車65と前輪増速従動歯車66とを従動回転させる。そして、前輪標準クラッチ67が入り作動すると、標準従動歯車65と前輪出力軸61とが接続し前輪2が後輪2aと略同速で駆動される。また前輪増速クラッチ68が入り作動すると、前輪増速従動歯車66と前輪出力軸61が接続し、前輪2が後輪2aに対して略2倍の速度で駆動される。即ち、前輪変速装置Fは、前輪標準クラッチ67と前輪増速クラッチ68が共に切りであると、後輪2aのみによる2輪駆動状態となり、前輪標準クラッチ67が入りとなると標準4輪駆動状態となり、前輪増速クラッチ68が入りとなると前輪増速状態となる。
【0024】
次に、PTO変速機構Eについて説明する。このPTO変速機構Eは、PTO伝動軸12に接続されるPTO入力軸70を備えており、該PTO入力軸70の上部に逆転軸71を備え、且つ下部にPTO軸72を備えている。そして、PTO入力軸70には前側から高速駆動歯車73と逆転駆動歯車75と中速駆動歯車76とを固設し、後側に低速駆動歯車77を一体に形成している。逆転軸71には逆転駆動歯車75に噛合する逆転歯車78を遊転自在に軸支している。
【0025】
PTO軸72には、前側から高速駆動歯車73と逆転駆動歯車75に択一的に噛合するように中立位置から、前後方向に移動自在にスプライン嵌合させる高速逆転変速歯車79と、中速駆動歯車76に常時噛合する中速変速歯車80と、低速駆動歯車77に常時噛合する低速変速歯車81とを遊転自在に軸支し、且つ両者間に中速低速クラッチ82を軸支している。
【0026】
これによりPTO変速機構EはPTO変速レバーの操作に基づき、高速逆転変速歯車79が前方シフトされ高速駆動歯車73に噛合すると、PTO軸72に高速回転を出力する。また高速逆転変速歯車79が後方シフトされ逆転歯車78に噛合すると、PTO軸72に逆回転を出力する。そして、中速低速クラッチ82のスリーブが中速変速歯車80に噛合するとPTO軸72に中速回転を出力する。また中速低速クラッチ82のスリーブが低速変速歯車81に噛合すると、PTO軸72に低速回転を出力する。従って、PTO変速機構Eは正転3速段と逆転1速段の変速状態を得ることができる。
【0027】
以上のように構成されるトラクタ1は、前後進変速レバーと主変速レバー及び副変速レバー並びに第2副変速レバーによって、各種作業毎に必要な走行変速を行うことができる。即ち、オペレーターは圃場において耕耘作業等を行う場合は、第2副変速レバーを予め低速側に位置させ、第2副変速機構Dを低速状態に変速する。また、路上走行等を行う場合は、第2副変速機構Dを高速状態に変速しておく。
【0028】
そして、主変速レバーを操作して1速から4速のうち必要とする走行速度を選択し、また第1副変速機構Cを高速か低速に選択し、前後進変速レバーを中立から前進位置に操作すると、機体は主変速機構Bによる4段の変速と、第1副変速機構Cによる2段の変速と、第2副変速機構Dによる3段の変速とを組み合わせた多数段の変速の内、何れか1つの変速状態のもとに前進走行することができる。また前後進変速レバーを中立から後進位置に操作すると、それまでの前進走行と略等しい速度のもとに後進走行を行うことができる。
また前輪変速装置Fによって2輪駆動と4輪駆動とを選択でき、また機体の旋回時に前輪2を後輪2aに対して増速させて小回り旋回を行うことができる。
【0029】
そして、このトラクタ1による主変速機構Bは、入力軸21の変速駆動歯車27,28,30,31の各歯数をそれぞれ23枚,27枚,31枚,35枚にし、且つ出力軸22の変速従動歯車32,33,34,35の各歯数をそれぞれ35枚, 31枚, 27枚,23枚とし、対向する歯車を常時噛合させている。また1速(低速段)と4速(高速段)において、変速駆動歯車27と変速従動歯車35とを23枚の同歯数とし、且つ変速駆動歯車31と変速従動歯車32とを35枚の同歯数とし、また2速(低速段)と3速(高速段)において、変速駆動歯車28と変速従動歯車34とを27枚の同歯数とし、且つ変速駆動歯車30と変速従動歯車33とを31枚の同歯数にしている。これにより主変速機構Bは次のような特徴を有する。
【0030】
即ち、入力軸21に軸装される変速駆動歯車27,28,30,31と出力軸22に軸装される変速従動歯車32,33,34,35とは、低速段と高速段の変速を行うように対をなして噛合される低速段の歯車と高速段の歯車との歯数の組み合わせを同じにしている。また低速段と高速段において各2個の歯車が、モジュールと歯数及び転位係数を共に同一にしているので、2種類の歯切工具やシェイビングカッタ等の歯面仕上工具を共用し4枚の歯車を製作することができる。
【0031】
従って、主変速機構Bは、高価な歯切工具の種類を半減して歯車を製作することができると共に、歯切工具を歯切盤に取付ける手間や、歯切プログラムの変更等の段取り工数の低減を図ることができ製造コストを下げることができる。また同じ歯型及び直径の歯車が増えることから、歯車製造用の円柱状鋼材(素材)の種類も少なくすることができる等の特徴がある。
【0032】
尚、実施形態の主変速機構Bでは、1速から4速の4段走行変速を行う全ての歯車を低速段の歯車と高速段の歯車との歯数の組み合わせを同じにしたが、例えば1速と4速又は2速と3速だけについて歯数の組み合わせを同じにしてもよく、或いは主変速機構Bは4段変速に変えて6段等の多段の走行変速を行うようにしてもよい。また歯車の転位係数は同一の歯切工具で製作できる範囲であれば、必ずしも同一でなくともよい。
【符号の説明】
【0033】
1 トラクタ
4 エンジン
7 トランスミッションケース
21 入力軸
23 副変速入力軸
25,26 変速クラッチ
27,28,30,31 変速駆動歯車
32,33,34,35 変速従動歯車
A 前後進変速機構
B 主変速機構
C 第1副変速機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン(4)からの動力をトランスミッションケース(7)内に設けた前後進変速機構(A)と主変速機構(B)と副変速機構(C)に伝達して走行変速を行うと共に、該主変速機構(B)を入力軸(21)に設けられる複数の変速駆動歯車(27),(28),(30),(31)と、出力軸(22)に設けられる複数の変速従動歯車(32),(33),(34),(35)とを常時噛合させ、主変速レバーの操作に基づき、変速クラッチ(25),(26)を作動させて多段の走行変速を行うように構成したトラクタの変速機構において、前記主変速機構(B)の低速段側と高速段側の対となる変速駆動歯車(27),(31),(28),(30)と従動歯車(35),(32),(34),(33)の歯数の組み合わせを同じにして、2種類の歯切工具により低速段側と高速段側の4枚の歯車を製作することができるように構成することを特徴とするトラクタの変速機構。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−207771(P2012−207771A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−76022(P2011−76022)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000001878)三菱農機株式会社 (1,502)
【Fターム(参考)】