説明

トレーニングボール

【課題】 投球練習では、リリースポイントを把握し、指先の感覚を鋭くすることでコントロールの安定を図り、なお且つフォロースルーを大きくすることで球威のあるボールを投球することができる練習用具を提供する。また、打撃練習では、回転数の少ない高度なボールを打撃する練習ができる練習用具を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野球、ゴルフ、柔道、ハンドボール、テニス、相撲、バドミントン、バレーなど指先を使うスポーツにおいて、指先を鍛えながら、同時に下半身も鍛えることができるトレーニングボールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ダンベルを使って指先を鍛えスポーツ時の怪我等を予防する器具が考えられていた(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特開2008−55138号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に記載の器具は、グリップの両端におもりが取り付けられたダンベル状のものであり、グリップに貫通した孔に各指を挿入し、器具を持ち上げる、回旋するなどのトレーニングによって、手指及び指の付け根部分、及びその周辺の筋肉や腱を鍛えることができた。だが、手指及び指の付け根部分、及びその周辺の筋肉や腱を鍛えることはできたが、例えば野球のピッチャーでいえばボールを指で握って、ボールのように投球しようとすると違和感があった。また、指全体は鍛えられたが指先だけを鍛えるということができなかった。
【0005】
また、打撃や投球練習ができるようなボール様の形状ではなかった。
【0006】
本発明は、前述した特許文献の器具の問題点を考慮し、指先を使うスポーツにおいて、指先を鍛えることで運動能力を高め、なお且つ低回転のボールを投げることができ、その投げた低回転のボールを打撃することが可能なトレーニングボールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
球状体と、前記球状体に形成する1つ以上の孔と、から成り、前記1つ以上の孔は前記球状体の表層面から前記球状体の深部にかけて形成し、前記1つ以上の孔は前記各孔の始点から任意の位置まで同径であり、前記各孔の終点となる部分は前記始点の各孔より大径になることを特徴とする。
【0008】
前記球状体に形成する前記1つ以上の孔は、前記球状体の表面から前記球状体表面の裏側の表面に貫通させることを特徴とする。
【0009】
前記球状体に形成する前記1つ以上の孔は前記球状体の中心線に平行にならないように形成することを特徴とする。
【0010】
前記球状体に形成する前記1つ以上の各孔は、人の指が容易に挿入できるような形状とし、孔道は弧状に形成することを特徴とする。
【0011】
前記球状体に形成する前記1つ以上の各孔は2つから成り、前記孔の一方を前記孔の他方より長く形成し、前記それぞれの孔の任意の位置から最終点となる部分までを2叉に分岐させることを特徴とする。
【0012】
前記球状体は、左右対称の形状を有し、球状、楕円状、円状、円柱状、多角形状、多角柱状などで形成することができることを特徴とする。
【0013】
前記球状体の素材は、鉄、鋳物、樹脂、木、ゴム、皮、ステンレス、アルミニューム、コルク、発泡スチロール、布、紙などの素材で形成することができることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載のトレーニングボールは、球状体に形成した孔の始点から任意の位置まで同径であり、各孔の終点となる部分の径を大きくすることで穴の奥に傾斜ができ、各指の第1関節を容易に引っ掛けることができ、指先からトレーニングボールが外れることを防止できるという優れた効果を発揮する。
【0015】
また、第2指と第3指、または各指を孔に入れ、球状体を持ちながら指先を反らす、手首や肩を回転するなどの運動をすることにより、集中的に第2指、第3指、または各指の指先、特に第1関節を鍛え、指先からつながる腕、肩周りの筋肉に刺激を与え、握力、筋力が鍛えられるという優れた効果を発揮する。
【0016】
また、トレーニングボールに指を入れることでボールを指で握らずにボールを持つことができ、ボールを指で握らないことで指先、手首、肘、腕、肩などの上体から力を抜くことができ、下半身主導の投球ができるという優れた効果を発揮する。
【0017】
請求項2に記載のトレーニングボールは、孔を球状体に貫通させることで、一つの金型で成形することができ、製品を作るうえにおいてコストを削減できるという優れた効果を発揮する。
【0018】
請求項3に記載のトレーニングボールは、球状体の正面から見て真上からの中心線上に孔道を位置させないことで、指を自然に開いた状態で孔に指を入れることができ、違和感なく指先でトレーニングボールを押さえることができるという優れた効果を発揮する。
【0019】
請求項4に記載のトレーニングボールは、孔道を弧状に形成することでボールを握った時のように自然に指が丸くなった状態で孔に指を入れることができ、通常のボールを握っている時のようなイメージでトレーニングできるという優れた効果を発揮する。
【0020】
請求項5に記載のトレーニングボールは、例えば人さし指と中指を入れられるように孔を2つ形成し、片方の孔の長さを長くすることで人さし指と中指の長さに合わせて指を入れることができトレーニングを容易にすることができる。また、孔の任意の位置から最終点までが2叉に分岐していることで、1つのボールで右利き左利きの共用ができるという優れた効果を発揮する。
【0021】
また、孔の任意の位置から最終点となる部分までが2叉に分岐していることで、孔の任意の位置から最終点までに傾斜となる角度が形成され、指の第1関節を引っ掛けるスペースができるとともに、孔が2叉に分かれる間際周辺の壁の部分に指先が当たることで、指先が引っ掛かかりトレーニングボールが指先からすっぽ抜けるという不具合が生じる危険が少ないという優れた効果を発揮する。
【0022】
また、指の第1関節を引っ掛けるスペースができることと、2叉に分岐する間際周辺の壁に指先の爪が当たるように設計をすることで第1関節を曲げたままで、指の爪で孔の壁を押し上げるようにトレーニングボールを持ち上げる運動をすることができ、指の第1関節のみに負荷をかけながら指の第1関節の屈伸運動をすることができる。指の第1関節のみの運動を行うことで、握力、指の圧力、腕、肩周りの筋肉が鍛えられる。これにより、試合の最中での握力低下を防ぎ、且つ投球の際に指先でボールへの回転力を高めることができ、速球、変化球など俗にいうキレのあるボールを投げることができるという優れた効果を発揮する。
【0023】
請求項6に記載のトレーニングボールは、球状体の他にも左右対称の形状のものであればどのようなものでもトレーニングボールとして形成でき、楕円状、円柱状、多角柱状などのように、柱状のものに関しては、第1指を除く第2指から第5指までの指が入る孔を4つ形成することで全ての指を開いて投球するということができる。指を開いて投球することで腕、肩などの上体に力が入らず、上体から力を抜くことで、上半身から抜けた力の分だけ下半身に体重が乗り、下半身主導の力強いボールを投げる練習ができるという優れた効果を発揮することができる。
【0024】
請求項7に記載のトレーニングボールは、例えばボールを木、プラスチック、ゴム、樹脂、コルクなどの軽量の材質で球状体を成型した場合、球状体の孔に第2指と第3指を入れ球状体の中心を支えるように持ち、テークバック、ボールリリース、フォロースルー、フィニッシュまでの一連の投球モーションを行った場合、球状体の孔に入れた第2指と第3指から球状体を通常より更に前方へ抜くような感覚で投げることで通常のピッチングのリリースポイントよりリリースを遅くすることができ、腕をより前へスイングすることができる。腕をより前へスイングすることで必然的にフォロースルーが大きくなり腕の振りを速くすることができるという優れた効果を発揮する。
【0025】
また、軽量の素材で形成することにより、本発明のトレーニングボールを打撃するということもできる。スナップをきかせ指先でボールに回転数を加える通常の投球とは違い、球状体の孔に入れた第2指と第3指から球状体を前方へ抜くように前へ投げることで、球状体が飛んで行く時の回転数を抑えることができ、ボールの回転数が少ない球速の遅いボールを打つというトレーニングができる。難易度の高い低速の回転数の少ない例えばナックルボールのような球種を打つ練習ができることで、打撃技術の向上を促すことができるとともに投げる、打つ両方のトレーニングができるという優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】 球体の正面から見て真横からの中心線、正面から見て真上からの中心線、正面から見て側面からの中心線をそれぞれ表した図である。
【図2】 本発明のトレーニングボールの正面図である。
【図3】 本発明のトレーニングボールの低面図である。
【図4】 本発明のトレーニングボールの左側面図である。
【図5】 本発明のトレーニングボールの第2の実施例の左側面図である。
【図6】 本発明のトレーニングボールの第3の実施例の正面図である。
【図7】 本発明のトレーニングボールの第3の実施例の左側面図である。
【図8】 本発明のトレーニングボールの第4の実施例の正面図である。
【図9】 本発明のトレーニングボールの第4の実施例の左側面図である。
【図10】 本発明のトレーニングボールの第4の実施例の平面図である。
【図11】 本発明のトレーニングボールの第5の実施例の正面図である。
【図12】 本発明のトレーニングボールの第5の実施例の低面図である。
【図13】 本発明のトレーニングボールの第5の実施例の図11のD−D線左側面断面図である。
【図14】 本発明のトレーニングボールの第5の実施例の図11のE−E線右側面断面図である。
【図15】 本発明のトレーニングボールの使用状態を示す参考図である。
【図16】 本発明のトレーニングボールの第2の実施例の使用状態を示す参考図である。
【図17】 本発明のトレーニングボールの第3の実施例の使用状態を示す参考図である。
【図18】 本発明のトレーニングボールの第5の実施例の右利きの人の使用状態を示す左側面の参考図である。
【図19】 本発明のトレーニングボールの第5の実施例の左利きの人の使用状態を示す左側面の参考図である。
【図20】 通常のボールを使った投球の際のリリースポイントである。
【図21】 本発明のトレーニングボールのリリースポイントの位置を表した図である。
【図22】 本発明のトレーニングボールの第3の実施例のテークバックからフォロースルーまでを表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を図面に示す実施形態図1〜図22に基づき説明をする。ただし、以下の実施するための形態は、本発明をトレーニングボールについての一例として説明するものであり、この説明の図の項に限定されるものではない。
【0028】
図1は、一般的な球体を正面から見て真横からの中心線、正面から見て真上からの中心線、正面から見て側面からの中心線をそれぞれ表した図である。それぞれの中心線は球状体に孔を形成するための目安となる中心線である。
【0029】
図2は、本発明のトレーニングボールの正面図である。球状体1、孔2、2′、正面から見て真横からの中心線A、正面から見て真上からの中心線Bから構成される。孔2、2′は中心線Bに左右対称に形成し、孔2、2′の入り口となる始点からそれぞれ伸びる孔2と孔2′の角度は手のひらを自然に開いたときの第2指、第3指の一般的な角度で形成する。また、孔2、2′の奥行きは、指の第1関節程度の長さ、指先から第2関節までの長さ、指が全部入る長さなど自由に形成することができる。なお球状体のサイズ、孔の形状、奥行き、孔の径等は誰でも孔に指を挿入して使用できるような大きさに設定でき、また、重量及び仕様に関しても誰でも使用できるように随意自由に設定することができる。
【0030】
また、球状体1に形成された2の孔と2′の孔の間の壁面を第2指、第3指で挟み、高めのボール、低めのボール等高さのイメージをしながら第2指と第3指を緩めることで、指から球状体が離れ捕球側へ飛んでいくことができ、球状体が指から離れる瞬間に指先が球状体1の孔2、2′の間の壁面に擦れることで、指先でリリースポイントの位置が分かるようになっている。
【0031】
図3は、本発明のトレーニングボールの底面図である。球状体1、孔2、2′、正面から見て横からの中心線A、正面から見て側面からの中心線Cから構成される。球状体1の横からの中心線Aに沿って孔2、2′を形成する。中心線Aに沿って孔2、2′を形成することで、孔2、2′に指を入れて球状体を持った時に重心の偏りがなく安定して球状体を挟むことができる。
【0032】
図4は、本発明のトレーニングボールの左側面図である。球状体1、孔2、正面から見て真上からの中心線B、正面から見て側面からの中心線Cから構成される。孔2は球状体1の表面に対して直角に形成、奥行きは指の第1関節程度、または第1関節から第2関節程度、または指全体が入るように随意長さの設定をすることができる。例えば野球用に使用するのであれば、2の孔には右利きであれば右手の第2指を入れ、左利きであれば左手の第2指を入れて球状体を握ることができる。
【0033】
図5は、本発明のトレーニングボールの第2の実施例の左側面図である。球状体3、孔4、4′、正面から見て真上からの中心線B、正面から見て側面からの中心線Cから構成される。孔4、4′はそれぞれ球状体3の真上から見た中心線Bに平行にならないように形成する。例えば、中心線Bより孔の先端部が左側を向いている孔4′に第2指を入れ、中心線Bより右側を向いた孔4に第3指を入れて使用する。ボールをリリースする時に孔の角度が水平になったところがリリースポイントになるように指を入れる孔4、4′の角度を設定する。
【0034】
図6は、本発明のトレーニングボールの第3の実施例の正面図である。球状体5、球状体に形成する孔6、6′、正面から見て真横からの中心線A、正面から見て真上からの中心線Bから構成される。第3の実施例は、真上からの中心線Bに等間隔で2つの孔6、6′を形成し、さらに、孔6より孔6′の奥行きを長く形成する。これは、通常の人の手の指の長さが第2指より第3指のほうが長くなっているためであり、6の孔には第2指を入れ、6′の孔には第3指を入れることで円滑に投球動作、指先のトレーニングができるようになる。
【0035】
図7は、本発明のトレーニングボールの第3の実施例の左側面図である。球状体に形成する孔6、孔の始点7、孔の最終点9、孔に形成する段部8、球状体を正面から見て真上からの中心線B、正面から見て側面からの中心線Cから構成される。孔は正面から見て真上からの中心線B上に沿って奥行きを形成していくが最終点9となる部分は真上からの中心線B上に位置させないように形成する。真上からの中心線B上に最終点9を位置させないことにより、孔の始点7から最終点9までの孔には角度が作られ段部8が形成されるようになる。図7では、孔の始点7より最終点9となる部分の径が大きくなるように形成されている。
【0036】
段部8と最終点9が形成されることにより、指の第1関節から先の部分が段部8と最終点9に引っ掛かり、投球の際に指先にかかる球状体の負荷により指先を鍛えることができる。指先が鍛えられることで、ボールを投球した際にボールに回転数を加えたり、変化球の変化を大きくしたりなど俗にいうキレのあるボールを投げられるようになる。また、段部8に傾斜がついていることで球状体に指が引っ掛かり球場体を落とすという危険も軽減できる。
【0037】
図8は、本発明のトレーニングボールの第4の実施例の正面図である。球状体に形成する孔10、10′、正面から見て真横からの中心線A、正面から見て真上からの中心線Bから構成される。第4の実施例では球状体を孔10、10′が貫通している。これは、製品化する際に金型の工程を省略できるものであり、機能的には他の実施例と同等である。
【0038】
図9は、本発明のトレーニングボールの第4の実施例の左側面図である。球状体に形成する孔10、孔の始点11、孔の最終点13、段部12、孔の貫通終点14、正面から見て真上からの中心線B、正面から見て側面からの中心線Cから構成される。図7と同様に孔11は真上からの中心線B上に沿って孔を貫通させるが、最終点13となる部分は中心線B上に位置させないように形成する。真上からの中心線B上に最終点13を位置させないことにより、孔の始点11から最終点13までの孔には角度が作られ段部12が形成されるようになる。第4の実施例では孔の起点11より貫通終点14となる部分の径が大きくなるように形成する。
【0039】
図10は、本発明のトレーニングボールの第4の実施例の平面図である。球状体に形成する孔10、10′、貫通終点14、14′、正面から見た横からの中心線A、正面から見た側面からの中心線Cから構成される。球状体に貫通させる孔10、10′は始点が円状になっているが、貫通終点14、14′の形状は楕円になっている。球状体に貫通させる孔10、10′は始点の孔の形状と貫通終点となる孔14の形状を変える、又は終点14、14′の径を孔10、10′より大きくすることで図9の段部12が形成されるようになる。段部12が形成されることで、図9−13の最終点と段部12に指先を引っ掛けることができ、投球の際に指先に力を入れる度合いを体で覚え、指先の感覚を養うことができるようになる。
【0040】
図11は、本発明のトレーニングボールの第5の実施例の正面図である。球状体15、孔16、16′、正面から見て真横からの中心線A、正面から見て真上からの中心線B、切断面D−D線、切断面E−E線から構成される。正面から見て右側の孔16′が孔16よりも長く形成されている。これは、人間の指はどの指をとっても同じ長さの指はなく、どの指を入れてトレーニングをしてもいいように孔の長さに長短をつけている。
【0041】
図12は、本発明のトレーニングボールの第5の実施例の底面図である。球状体15、孔16、16′、例えば第2指が入る孔16の最終点a、b、例えば第3指が入る孔16′の最終点a′、b′、正面から見て真横からの中心線A、正面から見て側面からの中心線Cから構成される。孔16、16′は中心線A、Cに対象に形成されているが、点線で表わした孔16、16′の最終点となるa、b、a′、b′は真横から見た中心線A上に位置させないように形成することが肝要である。孔16は球状体の深部まで形成され最終点となるaとbは点線で表わしたように2叉に分岐している。また孔16′の最終点となる部分a′、b′も2叉に分岐する。
【0042】
図13は、本発明のトレーニングボールの第5の実施例の図11の切断面D−D線の左側面断面図である。球状体15、孔16、孔16の最終点a、b、孔16の後ろ側に点線で表わしたのは、図1−16′の孔、孔16′の最終点a′、b′、正面から見て真上からの中心線B、正面から見て側面からの中心線Cから構成される。孔16、孔16の最終点a、bは真上からの中心線Bに対象に形成される。また、点線で表わした孔16′の最終点a′、b′が孔16の最終点a、bより高い位置にあるのは、図11で示したように孔16′が孔16より長く形成されているためである。右利きの人は、例えば右の人差し指を最終点bに入れ、右手の中指を最終点b′に入れて使用する。
【0043】
また、正面から見た真上からの中心線B上で孔16の任意の位置から最終点aとbが分岐しているが、この分岐点には孔16の始点側を向いて突起部が形成されている。同様に、孔図14−16′の最終点a′、b′が分岐する分岐点も孔16′の始点側を向いて突起部が形成されている。この突起部は指の腹とは逆の爪側が当たるようになっており、この突起部に爪を押し当てて指先だけで本発明のトレーニングボールを上げる、下げる等して指の第1関節の屈伸運動をすることができる。
【0044】
図14は、本発明のトレーニングボールの第5の実施例の図11の切断面E−E線の右側面断面図である。球状体15、孔16′、孔16′の最終点a′、b′、孔16′の後ろ側に点線で表わしたのは孔図13−16の最終点a、b、正面から見て真上からの中心線B、正面から見て側面からの中心線Cから構成される。孔16′、孔16′の最終点a′、b′は真上からの中心線Bに対象に形成される。また、点線で表わした最終点a、bが孔16′の最終点a′、b′より低い位置にあるのは、図11−16の孔が孔16′より短く形成されているためである。左利きの人は、例えば左の人差し指を最終点aに入れ、左手の中指を最終点a′に入れて使用する。
【0045】
また、図13、図14はどちらも同じ球体15であり、孔16、16′のそれぞれの最終点を2叉に分岐させるのは、一つのトレーニングボールで右利き、左利きの共用ができるようにするためである。
【0046】
図15は、本発明のトレーニングボールの使用状態を示した参考図である。球状体に形成した孔に図15のように指を入れ投球動作を行う。指の腹で孔の壁を押さえこの状態で投球動作に入る。投球動作の軌道の中で、腕が真っ直ぐ前を向いたときに球状体が指から外れ、リリースとなる。指から球状体が外れることでリリースポイントの位置を把握でき、常に同じ場所でリリースできるようになりコントロールが安定してくる。また、球状体を鉄や鋳物などの重量のあるもので成形した場合には、球状体に形成された孔に指を入れて持ち、指の屈伸運動をする、手首を回旋させるなどの運動をするだけで指先に負荷がかかり、指先、手首、肘、腕などを鍛えることができる。
【0047】
図16は、本発明のトレーニングボールの第2の実施例の使用状態を示した参考図である。第2指を上側に、第3指を下側に入れられるように孔を形成し、指を入れて腕をスイングをすると、リリースポイントとなる場所で孔が水平になるようになっている。ちなみにテークバックの時は孔の位置は第2指が上側、第3指が下側を向いている。人間の腕についた筋肉はらせん状についているためテークバックの際には肩、肘、手首、指がねじられるような状態となるが、リリースからフォロースルーにかけて肩、肘、手首、指先の順にねじられた筋肉が徐々に真っ直ぐに前に伸びてくるようになっている。よって投球の際には第3指より第2指のほうが早く捕球側を向くことになる。本発明のトレーニングボールは穴が水平になった時点をリリースポイントと考え、先に捕球側を向く第2指が入る孔を上側に向け、第3指が入る孔を下側に向けて形成している。
【0048】
図17は、本発明のトレーニングボールの第4の実施例の使用状態を示した参考図である。指の第1関節を図7−8の段部から最終点9に掛かるように孔に指を入れ、指先だけを使って球状体を回す、反らせるなどの他に、手首を使って球状体を回す、腕を使って球状体をスイングするなどのトレーニングができる。図7−8の段部、最終点9が指先の滑り止めの役割を果たし、球状体から指が外れないように形成されている。指が外れないことにより球状体を持ってスイングする、回旋するなどのトレーニングができ、また、球状体をリリースする場合にはリリースポイントで指先を伸ばすことで図7−8の段部、最終点9から指先が外れ球状体が捕球側へ飛んでいくことができる。
【0049】
図18は本発明のトレーニングボールの第5の実施例を右利きの人間が使用した時の使用状態を示した参考図である。球状体15、右手の第2指を入れる孔16、孔16の最終点a、b、右手の第3指を入れる孔図14−16′の最終点a′、b′、正面から見て真上からの中心線B、正面から見て側面からの中心線Cから構成される。右手の第2指及び第2指が入る孔16は太い点線で表わし、右手の第3指及び孔16′は細い点線で表わしている。右手の第2指、第3指とも第1関節から先を曲げて孔16、16′に入れ最終点b、b′の孔を掴むように引っ掛けて使用する。
【0050】
例えば右利きの場合、指の第1関節を曲げたままの状態で指の爪側を使い最終点b、b′の壁面を押しながら本発明のトレーニングボールを押し上げるトレーニングをすることにより、トレーニングボールの重量が指先に荷重され、より効果的に指先のトレーニングができる。また、正面から見て真上からの中心線B上で孔の任意の位置から最終点a、bまで2叉に分岐させることにより、中心線B上の分岐点に突起部が形成され、この突起部に指の爪を引っ掛けることにより、より効果的に指先だけの運動ができる。指先を鍛えることで、握力強化、さらには腕、肩周りの筋肉なども鍛えることができ、指先を使うスポーツにおいて、技術、体力の向上を促すことができる。
【0051】
図19は本発明の第5の実施例を左利きの人間が使用した時の使用状態を示した参考図である。球状体15、左手の第2指を入れる孔16、孔16の最終点a、b、左手の第3指を入れる孔図14−16′の最終点a′、b′、正面から見て真上からの中心線B、正面から見て側面からの中心線Cから構成される。左手の第2指及び第2指が入る孔16は太い点線で表わし、左手の第3指及び孔16′は細い点線で表わしている。左手の第2指、第3指とも第1関節から先を曲げて孔16、16′に入れ最終点a、a′の孔を掴むように引っ掛けて使用する。
【0052】
野球以外にもさまざまなトレーニングにおいて、第4指、第5指を孔に入れて指先を鍛える、また、第1指と第2指を孔に入れトレーニングすることで効果的に必要な部分の握力、筋力を鍛えることができ指先を使うスポーツにおいて、いつでもどこでも場所を選ばずトレーニシグができる大きさ及び構造となっている。
【0053】
図20は、通常のボールを握って投球する際のリリースポイントの図を表したものである。ボールが指から離れる直前の位置c、ボールが指から離れる位置dから構成される。通常はcの手前からリリースの準備に入り、c〜dの位置でボールが指から離れる。
【0054】
図21は、本発明のトレーニングボールを投球した際のリリースポイントの図を表わしたものである。球状体1、通常の投球の際の指からボールが離れる直前の位置c、通常の投球の際にボールが指から離れる位置d、本発明の球状体1が指から離れる始めるリリースポイントの位置e、リリースfから構成される。
【0055】
図20−cは通常のボールを握って投球をする際の指からボールが離れる直前の位置であるが、本発明のトレーニングボールは図21−cの位置ではまだ指から球状体が離れずにいる状態である。また、本発明のトレーニングボールのリリースポイントは腕が真っ直ぐ体の前に位置する直前が指からボールが離れ始める位置図21−e、ボールが離れる位置図21−fとなりリリースポイントがかなり遅くなっている。リリースポイントが遅くなればなるほど、打者はボールの出所が見えにくくなるためにタイミングが計りにくく凡打になる可能性が高くなる。逆に図20−dはリリースポイントが早いために、打者にとってはボールの出所が早く見えボールにタイミングを合わせやすい。このように球状体から指を離す位置を体で覚えることで、実際にボールを握って投球をした際にリリースポイントを確実に把握できることと、ボールを遅く離すことで、上体を支えようと下半身が踏ん張ることができ、おのずと下半身に体重が乗った球威のあるボールを投げられるようになり、打者にとっては打ちにくいボールとなる。
【0056】
図22は、本発明のトレーニングボールの第4の実施例のスイング練習の図を表したものである。球状体1、腕を上から下へ投げおろすスイング時の腕の軌道g、h、i、j、kから構成される。gの時点で指先を伸ばし、手首、腕、肩から力を抜いた状態でスイングを始める。hから指先を曲げ孔の最終点に指先を引っ掛けフォロースルーまでスイングをする。指先を伸ばす、曲げるを繰り返しトレーニングをすることで、握力、筋力が鍛えられる。
【0057】
また、好きな場所でリリースしたい場合は、指を曲げずにgからiまで指先を真っ直ぐにすることで、球状体1は指先から離れて、ボールを放ることができる。
【0058】
最後まで球状体1を持ちフォロースルーまでの動作を行うことで、指先に球状体1の重量、遠心力の負荷がかかり投球に必要な指先、手首、肘、腕、肩などが鍛えられる。指先を中心に鍛えることは、ボールを押さえる指の圧力が増し投球の際に握力が低下して球威が落ちることを軽減することができるという効果を招く。また、gの時点で指を開いて孔に指を入れることで、スイングの初めには上体から力を抜くことができ、上体から力を抜くことで下半身に体重が乗り、俗にいうボールにウエートが乗った球威のあるボールを投げる練習ができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、指先を鍛えるトレーニングボールを野球の投手、野手、打者用に説明しているが、野球の他にも、ゴルフ、柔道、ハンドボール、テニス、相撲、バドミントン、バレーなどの指先を使うスポーツ用に形状を変えて使用することも可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 球状体
2、2′ 球状体に形成する孔
3 球状体
4、4′ 球状体に形成する孔
5 球状体
6、6′ 球状体に形成する孔
7 球状体の孔の始点
8 球状体に形成された段部
9 球状体に形成する孔の最終点
10、10′ 球状体に形成する孔
11 球状体に形成する孔の始点
12 球状体に形成された段部
13 球状体に形成する孔の最終点
14、14′ 球状体に形成する孔の貫通終点
15 球状体
16、16′ 球状体に形成する孔
A 横から見た中心線
B 縦から見た中心線
C 側面から見た中心線
D−D 切断線
E−E 切断線
a、a′ 球状体に形成する孔の最終点
b、b′ 球状体に形成する孔の最終点
c 通常の投球でリリースが始まる位置
d 通常の投球で指からボールが離れる位置
e 本発明のトレーニングボールの指からボールが離れ始める位置
f 本発明のトレーニングボールの指からボールが離れる位置
g〜k 本発明のトレーニングボールの使用状態の腕を上から下へ投げおろすスイング時の腕の軌道

【特許請求の範囲】
【請求項1】
球状体と、
前記球状体に形成する1つ以上の孔と、
から成り、
前記1つ以上の孔は前記球状体の表層面から前記球状体の深部にかけて形成し、前記1つ以上の孔は前記各孔の始点から任意の位置まで同径であり、前記各孔の終点となる部分は前記始点の各孔より大径になることを特徴とするトレーニングボール。
【請求項2】
前記球状体に形成する前記1つ以上の孔は、前記球状体の表面から前記球状体表面の裏側の表面に貫通させることを特徴とする請求項1に記載のトレーニングボール。
【請求項3】
前記球状体に形成する前記1つ以上の孔は前記球状体の中心線に平行にならないように形成することを特徴とする請求項1ないし請求項2に記載のトレーニングボール。
【請求項4】
前記球状体に形成する前記1つ以上の各孔は、人の指が容易に挿入できるような形状とし、孔道は弧状に形成することを特徴とする請求項1ないし請求項3に記載のトレーニングボール。
【請求項5】
前記球状体に形成する前記1つ以上の各孔は2つから成り、前記孔の一方を前記孔の他方より長く形成し、前記それぞれの孔の任意の位置から最終点となる部分までを2叉に分岐させることを特徴とする請求項1ないし請求項4に記載のトレーニングボール。
【請求項6】
前記球状体は、左右対称の形状を有し、球状、楕円状、円状、円柱状、多角形状、多角柱状などで形成することができることを特徴とする請求項1ないし請求項5に記載のトレーニングボール。
【請求項7】
前記球状体の素材は、鉄、鋳物、樹脂、木、ゴム、皮などの素材で形成することができることを特徴とする請求項1ないし請求項6に記載のトレーニングボール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2010−279677(P2010−279677A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−240860(P2009−240860)
【出願日】平成21年9月26日(2009.9.26)
【出願人】(399043417)有限会社内田販売システム (24)
【出願人】(592047663)
【出願人】(597030637)