説明

トンネルセグメントユニット

【課題】トンネル覆工を構築した後の補強作業を簡略化できるようにする。
【解決手段】開口部形成予定の第1セグメント部6のトンネル周方向両隣の第2セグメント部7の第2セグメントA1,B3は、第2セグメント部とそのトンネル長手方向両隣の第3セグメント部8との連結部分23の剛性が、第3セグメント部以外のトンネル長手方向で隣り合うセグメントA,B1との連結部分24よりも高くなるように製作し、第3セグメントD1,D2は、第3セグメント部のトンネル周方向圧縮強度がトンネル周方向で隣り合うセグメントA,B1よりも高くなるように製作し、第2セグメント部と第3セグメント部との連結部の剪断強度が、第2セグメント部の第3セグメント部以外のトンネル長手方向で隣り合うセグメントA,B1との連結部、第3セグメント部の第2セグメント部以外のトンネル長手方向で隣り合うセグメントAとの連結部よりも高くなるようにしてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のトンネル用セグメントをトンネル周方向及びトンネル長手方向に沿って互いに連結してあるトンネル覆工を構築した後、そのトンネル覆工に開口部を形成するために、前記開口部を形成する予定の第1セグメント部を構成する第1セグメントと、その第1セグメント部に対してトンネル周方向両隣の夫々に設置される第2セグメント部を備えた第2セグメントと、前記第1セグメント部及び前記第2セグメント部に対してトンネル長手方向両隣の夫々に設置される第3セグメント部を構成する第3セグメントとを備えたトンネルセグメントユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
上記トンネルセグメントユニットは、トンネル覆工を構築した後で開口部を形成できるように、開口部を形成する予定の第1セグメント部を構成する第1セグメントと、その第1セグメント部に対してトンネル周方向両隣の夫々に設置される第2セグメント部を備えた第2セグメントと、第1セグメント部及び第2セグメント部に対してトンネル長手方向両隣の夫々に設置される第3セグメント部を構成する第3セグメントとを備えているが、第1セグメント部に開口部を形成すると、トンネル覆工の土圧などの荷重に対する支持強度が低下するので、開口部を形成する前に、第1セグメント部周りの第2セグメント部と第3セグメント部とを予め補強しておく必要がある。
従来のトンネルセグメントユニットでは、トンネル覆工を構築した後、第1セグメント部周りの第2セグメント部と第3セグメント部とに亘って桁材などの大型の補強材を別途取り付けて、第1セグメント部周りを予め補強できるように構成してある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特許第2913623号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このため、トンネル覆工を構築した後の、大型の補強材をトンネル覆工の内側に搬入する作業や、その補強部材を第2セグメント部と第3セグメント部とに亘って取り付ける作業などの補強作業が煩雑化する欠点がある。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、トンネル覆工を構築した後の補強作業を簡略化できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1特徴構成は、複数のトンネル用セグメントをトンネル周方向及びトンネル長手方向に沿って互いに連結してあるトンネル覆工を構築した後、そのトンネル覆工に開口部を形成するために、前記開口部を形成する予定の第1セグメント部を構成する第1セグメントと、その第1セグメント部に対してトンネル周方向両隣の夫々に設置される第2セグメント部を備えた第2セグメントと、前記第1セグメント部及び前記第2セグメント部に対してトンネル長手方向両隣の夫々に設置される第3セグメント部を構成する第3セグメントとを備えたトンネルセグメントユニットであって、
前記第2セグメントは、前記第2セグメント部の前記第3セグメント部に対する連結部分の剛性が、前記第3セグメント部以外のトンネル長手方向で隣り合うセグメントに対する連結部分よりも高くなるように予め製作してあり、前記第3セグメントは、前記第3セグメント部のトンネル周方向に沿う圧縮強度がトンネル周方向で隣り合うセグメントよりも高くなるように予め製作してあり、前記第2セグメント部と前記第3セグメント部との連結部におけるトンネル周方向に沿う方向の剪断強度が、前記第2セグメント部に対する前記第3セグメント部以外のトンネル長手方向で隣り合うセグメントとの連結部、及び、前記第3セグメント部に対する前記第2セグメント部以外のトンネル長手方向で隣り合うセグメントとの連結部の夫々における前記剪断強度よりも高くなるようにしてある点にある。
【0006】
〔作用及び効果〕
第1セグメント部と第2セグメント部と第3セグメント部とを互いに連結してトンネル覆工を構築した後、第1セグメント部に開口部を形成しても、トンネル覆工の土圧などの荷重に対する支持強度が低下しないように、第2セグメント部の第3セグメント部に対する連結部分の剛性が、第3セグメント部以外のトンネル長手方向で隣り合うセグメントに対する連結部分よりも高くなるように補強してある第2セグメントと、第3セグメント部のトンネル周方向に沿う圧縮強度がトンネル周方向で隣り合うセグメントよりも高くなるように補強してある第3セグメントとを、第2セグメント部と第3セグメント部との連結部におけるトンネル周方向に沿う方向の剪断強度が、第2セグメント部に対する第3セグメント部以外のトンネル長手方向で隣り合うセグメントとの連結部、及び、第3セグメント部に対する前記第2セグメント部以外のトンネル長手方向で隣り合うセグメントとの連結部の夫々における剪断強度よりも高くなるように、つまり、第2セグメント部からの荷重を第3セグメント部に確実に伝達して支持できるように、予め製作しておくことができる。
従って、大型の補強材をトンネル覆工の内側に搬入したり、その補強部材を第2セグメント部と第3セグメント部とに亘って取り付けるなどの作業を特に要することなく、第1セグメント部に開口部を形成しても、トンネル覆工の土圧などの荷重に対する支持強度が低下しないように、第2セグメントと第3セグメントとを予め製作しておくことができ、トンネル覆工を構築した後の補強作業を簡略化できる。
【0007】
本発明の第2特徴構成は、前記第2セグメント部と前記第3セグメント部との連結部におけるトンネル周方向に沿う方向の剪断強度は、前記第2セグメント部と前記第3セグメント部との連結部に剪断キー部材を介在させて、前記第2セグメント部に対する前記第3セグメント部以外のトンネル長手方向で隣り合うセグメントとの連結部、及び、前記第3セグメント部に対する前記第2セグメント部以外のトンネル長手方向で隣り合うセグメントとの連結部の夫々における前記剪断強度よりも高くなるようにしてある点にある。
【0008】
〔作用及び効果〕
第2セグメント部と第3セグメント部との連結部におけるトンネル周方向に沿う方向の剪断強度は、第2セグメント部と第3セグメント部との連結部に剪断キー部材を介在させて、第2セグメント部に対する第3セグメント部以外のトンネル長手方向で隣り合うセグメントとの連結部、及び、第3セグメント部に対する第2セグメント部以外のトンネル長手方向で隣り合うセグメントとの連結部の夫々における剪断強度よりも高くなるようにしてあるので、第2セグメント部と第3セグメント部とをボルトのみで連結してあるような場合に比べて、剪断強度を簡便に高め易い。
【0009】
本発明の第3特徴構成は、前記第1セグメントは、隣り合うセグメントに対してトンネル径方向に着脱自在に連結可能に構成してある点にある。
【0010】
〔作用及び効果〕
開口部の形成予定箇所を覆工する第1セグメントは、隣り合うセグメントに対してトンネル径方向に着脱自在に連結可能に構成してあるので、トンネル覆工を構築した後、第1セグメントの隣り合うセグメントに対する連結を解除して、その第1セグメントをトンネル内側に取り外すことができ、第1セグメントの一部を切り取るような手間を掛けずに、第1セグメントの取り外しによって開口部を形成することができる。
【0011】
本発明の第4特徴構成は、前記第2セグメントと前記第3セグメントは、トンネル周方向両端部とトンネル長手方向両端部とを形成する枠体の内周側にコルゲート板を一体に設けて、トンネル長手方向端部の夫々を形成している枠体部分に沿ってトンネル内周側に向けて開口する内向き凹入部と、前記内向き凹入部に対してトンネル長手方向で隣り合わせてトンネル外周側に向けて開口する外向き凹入部と形成してあるコルゲートタイプの金属製セグメントで構成してあり、前記第2セグメントは、前記コルゲート板の厚さと、前記内向き凹入部に設けてあるリブ板の厚さとを厚くして、前記第2セグメント部の前記第3セグメント部に対する連結部分の剛性が、前記第3セグメント部以外のトンネル長手方向で隣り合うセグメントに対する連結部分よりも高くなるように予め製作してあり、前記第3セグメントは、前記コルゲート板の厚さを厚くして、前記第3セグメント部のトンネル周方向に沿う圧縮強度がトンネル周方向で隣り合うセグメントよりも高くなるように予め製作してある点にある。
【0012】
〔作用及び効果〕
第2セグメントと第3セグメントは、トンネル周方向両端部とトンネル長手方向両端部とを形成する枠体の内周側にコルゲート板を一体に設けて、トンネル長手方向端部の夫々を形成している枠体部分に沿ってトンネル内周側に向けて開口する内向き凹入部と、内向き凹入部に対してトンネル長手方向で隣り合わせてトンネル外周側に向けて開口する外向き凹入部と形成してあるコルゲートタイプの金属製セグメントで構成してあるので、セグメントの軽量化を図りながら、土圧などによるトンネル周方向に沿う曲げ変形に対するトンネル外周側の圧縮強度もトンネル内周側の引っ張り強度も確保し易い。
また、セグメントの内周側も外周側もコルゲート板で補強できるとともに、第2セグメントは、コルゲート板の厚さと、内向き凹入部に設けてあるリブ板の厚さとを厚くして、第2セグメント部の第3セグメント部に対する連結部分の剛性が、第3セグメント部以外のトンネル長手方向で隣り合うセグメントに対する連結部分よりも高くなるように予め製作してあり、第3セグメントは、コルゲート板の厚さを厚くして、第3セグメント部のトンネル周方向に沿う圧縮強度がトンネル周方向で隣り合うセグメントよりも高くなるように予め製作してあるので、トンネル周方向に沿う剪断力に対する高い補強効果を期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、二本のトンネル1を並設して、これらのトンネル1どうしを連通する通路2を設けてあるトンネル構造を示し、各トンネル1の周壁は、複数のトンネル用セグメントをトンネル周方向及びトンネル長手方向に沿って互いに連結して構築してあるトンネル覆工3で形成してあり、通路2の周壁も、セグメントを互いに連結して構築してある通路用トンネル覆工4で形成してある。
【0014】
前記通路2のトンネル内側に開口する開口部5は、トンネル覆工3を構築した後、そのトンネル覆工3に形成してあり、図2は、開口部5を形成する前のトンネル覆工3をトンネル内側から見た展開図で示している。
【0015】
前記開口部5を形成する前のトンネル覆工3は、開口部5を形成しない箇所を構築するための通常強度のセグメント(以下、通常セグメントという。)A,B1,Kなどと、開口部5を形成する箇所を構築するための本発明によるトンネルセグメントユニットに備えたセグメントB4,K1,A1,C1,B3,C2,D1,D2とを互いに連結して構築してある。
【0016】
前記トンネルセグメントユニットは、トンネル覆工3を構築した後、そのトンネル覆工3に開口部5を形成するために、開口部5を形成する予定の第1セグメント部6、つまり、開口部5の形成予定箇所を覆工する第1セグメント部6を構成する第1セグメントB4,K1と、その第1セグメント部6に対してトンネル周方向両隣の夫々に設置される第2セグメント部7(図2においてハッチングで示した部分)を備えた第2セグメントA1,C1,B3,C2と、第1セグメント部6及び第2セグメント部7に対してトンネル長手方向両隣の夫々に設置される第3セグメント部8を構成する第3セグメントD1,D2とを備え、トンネル覆工3を構築した後、第1セグメント部6を構成する第1セグメントB4,K1を撤去して、開口部5を形成できるように構成してある。
【0017】
前記第1セグメント部6と第2セグメント部7は、開口部5の形成予定箇所を含むセグメントリングの一部であって、トンネル長手方向に隣り合う三つの開口部セグメントリング9に亘って設置してあり、第3セグメント部8は、三つの開口部セグメントリング9をトンネル長手方向から挟む二つの側部セグメントリング10の夫々に設置してある。
【0018】
前記通常セグメントA,B1,Kは、トンネル周方向での設置位置や設置順序によってそのトンネル周方向の端部形状などに違いがあるが、基本的には、図3に例示する通常セグメントAのように、枠体11の内周側にコルゲート板19を一体に設けて、トンネル周方向に沿ってトンネル外周側に向けて開口する外向き凹入部12と、トンネル周方向に沿ってトンネル内周側に向けて開口する内向き凹入部13とをトンネル長手方向に沿って交互に形成してあるコルゲートタイプのダクタイル鋳鉄(金属の一例)製セグメントで構成してあり、外向き凹入部12にはコンクリート14を充填してある。
【0019】
前記枠体11は、トンネル周方向端部を形成する二枚の端板15と、トンネル長手方向端部を形成する二枚の側板16とで、トンネル長手方向視で円弧状に一体形成してあり、その内側に、内向き凹入部13をトンネル周方向に沿わせた円弧溝状に形成してトンネル長手方向の両側に位置するように一体に設けてあるとともに、外向き凹入部12をトンネル周方向に沿わせた円弧溝状に形成して両内向き凹入部13間に一体に設けてあり、各凹入部12,13にはトンネル長手方向に沿わせたリブ板17,18をトンネル周方向に間隔を隔てて設けてある。
【0020】
そして、各端板15のうちの内向き凹入部13をトンネル周方向両端から挟んでいる端板部分15aの夫々に、複数のボルト孔20を形成して、トンネル周方向で隣り合うセグメントの端板15どうしを突き合わせて、各ボルト孔20に挿通した連結ボルト(図示せず。)で互いに連結できるように構成してある。
【0021】
また、側板16の夫々にも、複数の同径のボルト孔21をトンネル周方向に並設して、トンネル長手方向で隣り合うセグメントの側板16どうしを突き合わせて、各ボルト孔21に挿通した同径の連結ボルト(図示せず。)で互いに連結できるように構成してある。
【0022】
前記第1セグメント部6を構成する第1セグメントB4,K1は、トンネル周方向の長さが長い第1セグメントB4と、トンネル周方向の長さが第1セグメントB4よりも短い第1セグメントK1との二種類からなり、いずれも、平面視で略矩形に形成してあり、通常セグメントAと略同じ構造で、かつ、通常セグメントAと略同等の強度を備えているコルゲートタイプのダクタイル鋳鉄製セグメントで構成してあるが、外向き凹入部12にはコンクリート14を充填せずに、外向き凹入部12への土砂などの入り込みを阻止するための蓋板を固定してある。
【0023】
そして、第1セグメントK1は、トンネル周方向及びトンネル長手方向で隣り合うセグメントである第1セグメントB4と第2セグメント部7と第3セグメント部8とに対してトンネル径方向に着脱自在に連結可能に構成してある。
【0024】
尚、図2に示す仮想線は、通路2に必要な開口部22であり、その周囲にはコンクリートなどで通路2の周壁が形成されるので、当然の事ながら、着脱する第1セグメント部6の大きさは、開口部22よりも大きくする必要がある。
【0025】
前記第2セグメント部7のうちの、第1セグメント部6の下側に隣り合う第2セグメント部7aを構成する第2セグメントA1,C1は、隣り合うトンネルリング9の夫々におけるセグメントどうしの連結箇所をトンネル周方向にずらせて設置できるように、トンネル周方向の長さが長い図4に示す第2セグメントA1と、トンネル周方向の長さが第2セグメントA1よりも短い、図5に示す第2セグメントC1との二種類からなり、いずれも、平面視で略矩形に形成してあり、通常セグメントAと略同じ構造を備えたコルゲートタイプのダクタイル鋳鉄製セグメントで構成してある。
【0026】
前記第2セグメントA1,C1は、第2セグメント部7の第3セグメント部8に対する連結部分である第3セグメント連結部分23の剛性が、第3セグメント部8以外のトンネル長手方向で隣り合うセグメント、つまり、通常セグメントA,B1に対する連結部分である通常連結部分24の剛性よりも高くなるように予め製作してある。
【0027】
具体的には、図4に示すように、第3セグメント連結部分23を構成する第2セグメントA1における側板16の厚さを、通常連結部分24における側板16の厚さよりも厚くしてあるとともに、第3セグメント連結部分23における内向き凹入部13に設けてあるリブ板17の厚さを、通常連結部分24におけるリブ板17の厚さよりも予め厚くしてある。
尚、前記第2セグメントA1,C1のコルゲート板19の第2セグメント部7を構成する部分の厚さは、剛性を更に上げるべく、図4(イ),図5(イ)に示すように、通常セグメントAのコルゲート板19よりも厚くしてあるのが望ましい。
【0028】
また、図4,図5に示すように、トンネル長手方向で隣り合う第2セグメントA1,C1どうしの連結部分である相互連結部分25の剛性も、トンネル長手方向で隣り合う通常セグメントA,B1に対する連結部分である通常連結部分24の剛性よりも高くなるように、第3セグメント連結部分23と同様に予め製作してある。
【0029】
尚、図示しないが、第2セグメント部7のうちの、第1セグメント部6の上側に隣り合う第2セグメント部7bを構成する第2セグメントB3,C2は、第2セグメントA1,C1に対して、第1セグメント部6を挟んで略対称に形成してあるとともに、第1セグメントK1に対して連結するトンネル周方向端部の形状を、第1セグメントK1がトンネル径方向に着脱自在に連結可能な形状に形成してある。
【0030】
前記第3セグメント部8を構成する第3セグメントD1,D2は、トンネル周方向で隣り合う図6に示す第3セグメントD1と、図7に示す第3セグメントD2との二種類からなり、いずれも、平面視で略矩形に形成してあり、通常セグメントAと略同じ構造を備えているコルゲートタイプのダクタイル鋳鉄製セグメントで構成してある。
【0031】
前記第3セグメントD1,D2は、第3セグメント部8のトンネル周方向に沿う圧縮強度がトンネル周方向で隣り合うセグメント、つまり、通常セグメントA,B1よりも高くなるように予め製作してあり、具体的には、第3セグメントD1,D2の夫々の両側板16の厚さを、セグメントの全長に亘って、通常セグメントAの両側板16の厚さよりも予め厚くしてある。
尚、前記第3セグメントD1,D2の夫々のコルゲート板19の厚さは、剛性を更に上げるべく、図6(イ),図7(イ)に示すように、全面に亘って通常セグメントAのコルゲート板19よりも厚くしてあるのが望ましい。
【0032】
また、第2セグメント部7と第3セグメント部8との連結部におけるトンネル周方向に沿う方向の剪断強度が、第2セグメント部7に対する第3セグメント部8以外のトンネル長手方向で隣り合うセグメント、つまり、通常セグメントA,B1との連結部、及び、第3セグメント部8に対する第2セグメント部7以外のトンネル長手方向で隣り合うセグメント、つまり、通常セグメントAとの連結部の夫々における剪断強度よりも高くなるようにしてある
【0033】
具体的には、第2セグメントA1,B3における第3セグメント連結部分23と、第3セグメントD1,D2における第2セグメント連結部分26とを連結するためのボルト孔21の数を、第2セグメントA1,B3及び第3セグメントD1,D2における通常連結部分24を通常セグメントA,B1や、第2セグメント部6に連結するためのボルト孔21の数よりも増やして、多数の連結ボルト(図示せず)で連結できるようにしてあるとともに、第3セグメント連結部分23及び第2セグメント連結部分26における側板16の夫々に、外向きに開口する複数の円形凹部27を形成して、第3セグメント連結部分23と第2セグメント連結部分26とを連結する際に、図8に示すように、互いに対向させた円形凹部27に亘って円柱状の剪断力を受ける剪断キー部材28を装着できるように予め製作してある。
【0034】
尚、第2セグメントA1,C1,B3,C2の相互連結部分25どうしの連結部におけるトンネル周方向に沿う方向の剪断強度が、第2セグメントA1,C1,B3,C2に対するトンネル長手方向で隣り合うセグメントであって、第2セグメントA1,C1,B3,C2以外のセグメント、つまり、通常セグメントA,B1との連結部における剪断強度よりも高くなるように、第3セグメント連結部分23と同様に予め製作してある。
【0035】
〔その他の実施形態〕
1.本発明によるトンネルセグメントユニットは、第2セグメント部と第3セグメント部との連結部におけるトンネル周方向に沿う方向の剪断強度が、第2セグメント部に対する第3セグメント部以外のトンネル長手方向で隣り合うセグメントとの連結部、及び、第3セグメント部に対する第2セグメント部以外のトンネル長手方向で隣り合うセグメントとの連結部の夫々における剪断強度よりも高くなるように、第2セグメント部と第3セグメント部とを、通常セグメントに連結する連結ボルトよりも剪断強度が高い大径の連結ボルトで連結できるようにしてあっても良い。
具体的には、第2セグメント連結部分と第3セグメント連結部分における側板の夫々に、通常セグメント連結部分に形成するボルト孔よりも大径のボルト孔を形成すれば良い。
尚、第2セグメント連結部分を、トンネル長手方向で隣り合う複数の第2セグメントで構成してある場合は、第2セグメントの相互連結部分における側板の夫々にも、通常セグメント連結部分に形成するボルト孔よりも大径のボルト孔を形成する。
2.本発明によるトンネルセグメントユニットにおいては、第2セグメント部と第3セグメント部との連結部におけるトンネル周方向に沿う方向の剪断強度が、第2セグメント部に対する第3セグメント部以外のトンネル長手方向で隣り合うセグメントとの連結部、及び、第3セグメント部に対する第2セグメント部以外のトンネル長手方向で隣り合うセグメントとの連結部の夫々における剪断強度よりも高くなるようにするための手段として、前述のように、
a.連結部分における側板の夫々に形成するボルト孔の数を増やして、連結ボルトの数を増やせるようにする手段
b.連結部分における側板の夫々に形成するボルト孔を大径にして、大径の連結ボルトで連結できるようにする手段
c.連結部分における側板の夫々に、外向きに開口する複数の凹部を形成して、連結部分どうしを連結する際に、互いに対向する凹部に亘って剪断キー部材を装着する手段
上記a,b,cの手段があり、これらの手段のいずれか一つ、或いは適宜組み合わせて実施しても良い。
3.本発明によるトンネルセグメントユニットは、第1セグメント部を構成する単一の第1セグメントを備えていても、複数の第1セグメントを備えていても良い。
4.本発明によるトンネルセグメントユニットは、第2セグメント部を構成する単一の第2セグメントを備えていても、複数の第2セグメントを備えていても良い。
5.本発明によるトンネルセグメントユニットは、第3セグメント部を構成する単一の第3セグメントを備えていても、複数の第3セグメントを備えていても良い。
6.本発明によるトンネルセグメントユニットは、第1セグメントの全部を、隣り合うセグメントに対してトンネル径方向に着脱自在に連結可能に構成してあっても良い。
7.本発明によるトンネルセグメントユニットは、第1セグメントと第2セグメントと第3セグメントのいずれか、又は、全部をコンクリート製セグメントで構成してあっても良い。
8.本発明によるトンネルセグメントユニットは、トンネル覆工の全部を構築した後、第1セグメント部を取り外して開口部を形成するために設置するものでも良いが、第1セグメント部と第2セグメント部と第3セグメント部とを連結した後、1セグメント部の溶断或いは切削加工により開口部を形成しても良い。
9.本発明によるトンネルセグメントユニットは、ダクタイル製セグメントに代えて、鋼材を溶接で接続してある主桁タイプのスチールセグメントで構成してあっても良い。
10.本発明によるトンネルセグメントユニットは、第1セグメントのみを、鋼材を溶接で接続してある主桁タイプのスチールセグメントで構成してあっても良い。
11.本発明によるトンネルセグメントユニットは、第1セグメントを合成樹脂材料で形成してあっても良い。
12.本発明によるトンネルセグメントユニットのセグメントB4,K1,A1,C1,B3,C2,D1,D2は、コルゲートタイプのセグメントで構成してある場合、補強のためにはトンネル外周側に向けて開口する外向き凹入部にコンクリートを充填してある方が良いが、特に第1セグメントB4,K1は、前記したように、補強があまり必要でないために、土砂などの入り込みを阻止する蓋材を設けてあっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】トンネル構造の縦断面図
【図2】開口部5を形成する前のトンネル覆工をトンネル内側から見た展開図
【図3】(イ)通常セグメントの縦断面図 (ロ)通常セグメントのトンネル内側から見た平面図
【図4】(イ)第2セグメントA1の縦断面図 (ロ)第2セグメントA1のトンネル内側から見た平面図
【図5】(イ)第2セグメントC1の縦断面図 (ロ)第2セグメントC1のトンネル内側から見た平面図
【図6】(イ)第3セグメントD1の縦断面図 (ロ)第3セグメントD1のトンネル内側から見た平面図
【図7】(イ)第3セグメントD2の縦断面図 (ロ)第3セグメントD2のトンネル内側から見た平面図
【図8】要部の縦断面図
【符号の説明】
【0037】
4 トンネル覆工
5 開口部
6 第1セグメント部
B4第1セグメント
K1 第1セグメント
7 第2セグメント部
A1第2セグメント
C1 第2セグメント
B3 第2セグメント
C2 第2セグメント
8 第3セグメント部
D1 第3セグメント
D2 第3セグメント
11 枠体
12 外向き凹入部
13 内向き凹入部
17 リブ板
19 コルゲート板
23 連結部分
24 連結部分
28 剪断キー部材
A セグメント
B1 セグメント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のトンネル用セグメントをトンネル周方向及びトンネル長手方向に沿って互いに連結してあるトンネル覆工を構築した後、そのトンネル覆工に開口部を形成するために、前記開口部を形成する予定の第1セグメント部を構成する第1セグメントと、その第1セグメント部に対してトンネル周方向両隣の夫々に設置される第2セグメント部を備えた第2セグメントと、前記第1セグメント部及び前記第2セグメント部に対してトンネル長手方向両隣の夫々に設置される第3セグメント部を構成する第3セグメントとを備えたトンネルセグメントユニットであって、
前記第2セグメントは、前記第2セグメント部の前記第3セグメント部に対する連結部分の剛性が、前記第3セグメント部以外のトンネル長手方向で隣り合うセグメントに対する連結部分よりも高くなるように予め製作してあり、
前記第3セグメントは、前記第3セグメント部のトンネル周方向に沿う圧縮強度がトンネル周方向で隣り合うセグメントよりも高くなるように予め製作してあり、
前記第2セグメント部と前記第3セグメント部との連結部におけるトンネル周方向に沿う方向の剪断強度が、前記第2セグメント部に対する前記第3セグメント部以外のトンネル長手方向で隣り合うセグメントとの連結部、及び、前記第3セグメント部に対する前記第2セグメント部以外のトンネル長手方向で隣り合うセグメントとの連結部の夫々における前記剪断強度よりも高くなるようにしてあるトンネルセグメントユニット。
【請求項2】
前記第2セグメント部と前記第3セグメント部との連結部におけるトンネル周方向に沿う方向の剪断強度は、前記第2セグメント部と前記第3セグメント部との連結部に剪断キー部材を介在させて、前記第2セグメント部に対する前記第3セグメント部以外のトンネル長手方向で隣り合うセグメントとの連結部、及び、前記第3セグメント部に対する前記第2セグメント部以外のトンネル長手方向で隣り合うセグメントとの連結部の夫々における前記剪断強度よりも高くなるようにしてある請求項1記載のトンネルセグメントユニット。
【請求項3】
前記第1セグメントは、隣り合うセグメントに対してトンネル径方向に着脱自在に連結可能に構成してある請求項1又は2記載のトンネルセグメントユニット。
【請求項4】
前記第2セグメントと前記第3セグメントは、
トンネル周方向両端部とトンネル長手方向両端部とを形成する枠体の内周側にコルゲート板を一体に設けて、トンネル長手方向端部の夫々を形成している枠体部分に沿ってトンネル内周側に向けて開口する内向き凹入部と、前記内向き凹入部に対してトンネル長手方向で隣り合わせてトンネル外周側に向けて開口する外向き凹入部と形成してあるコルゲートタイプの金属製セグメントで構成してあり、
前記第2セグメントは、前記コルゲート板の厚さと、前記内向き凹入部に設けてあるリブ板の厚さとを厚くして、前記第2セグメント部の前記第3セグメント部に対する連結部分の剛性が、前記第3セグメント部以外のトンネル長手方向で隣り合うセグメントに対する連結部分よりも高くなるように予め製作してあり、
前記第3セグメントは、前記コルゲート板の厚さを厚くして、前記第3セグメント部のトンネル周方向に沿う圧縮強度がトンネル周方向で隣り合うセグメントよりも高くなるように予め製作してある請求項1〜3のいずれか1項記載のトンネルセグメントユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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