説明

トンネル照明用LED灯具

【課題】 既設のトンネル内の照明灯に使用している蛍光灯をLEDに交替して使用することによって、消費電力減らし、COガスの発生も減少させて、省エネ・地球温暖化防止に貢献することを図る。
【解決手段】 高出力マルチチップLEDとミラーを組合せて発光体を形成し、この発光体を数個並べ、これを一定の角度を設けて向き合せて一つの単位とし、これを数組組合せることによって、従来の蛍光灯と同等の配光と明るさを確保させてトンネル内の照明灯とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル内の照明としてLEDを用いた照明用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
省エネとか地球温暖化防止が叫ばれているこのごろ、照明も白熱電球から蛍光灯に変り、さらに蛍光灯より消費電力が少なく、しかも長寿命であるLED(発光ダイオード)に変りつつある。
しかし、LEDは光量が蛍光灯より劣ること、発光に際して発熱を伴うこと、などの難点があった。しかし永年研究の結果、高出力のLEDが開発されすべての点で改良され、一般照明用として実用化されつつある。これは前記のように消費電力が蛍光灯の30%少いこと、寿命が蛍光灯の7倍と長いこともあり省エネの対象となるばかりか、僅かではあるが蛍光灯に必然的に含有される水銀が全く無いことで環境の良化に貢献するものである。
【特許文献1】 特開2005−183077号公報
【特許文献2】 特願2007−59356号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、近代の照明として省エネを考えて全ての点で適していると考えられているが、このLEDにしても未だ解決ができない欠点がある。それはLEDが発光する光の光域が狭いことという点である。このことはトンネル内の照明灯具として用いた場合に、トンネル内の照明は走行の安全を図るため走行車線を一定の明るさにすること及び道路状態(カーブなどの)確認ができることが必要である。しかし、前記するようにLEDの場合は光源からの放光域が狭いため、トンネル内の場合には光源と路面までの距離があるため路面に明るさのむらが出来るおそれがあり、走行の際に運転の支障が生じるおそれがあった。
【0005】
原発明はこの点を解決してトンネル内の走行面を均一な明るさに照射すると共に、LEDを光源として利用することによって地球環境の改善を図ることを目的として開発した。
【0006】
この原発明は、照明体A群をそれぞれ別個に傾斜板に載置して箱体内に組込み光源群Bを形成し、箱体を器械の蓋体の上面に凸出して形成していた。しかし、このような構成では蓋体が凸出しているためトンネル内の清掃の際に邪魔になるばかりか、運転者の視界の目障りとなる。また照明体Aが別個となっているためこの角度の調整等に不便を生じていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はこの点に改善を加えたものであって、照明体Aを角度αを設けた傾斜台板(5)上に複数個列設して光源群Bを形成し、この光源群Bを箱形本体(10)内に縦方向に向い合せて配置する。
【0008】
本発明のトンネル用照明灯具は箱形本体(10)の裏面に表示する照明群B及びBの間に凹凸面(7)を形成して本体裏面の表出面を大きくすることによりLEDからの発生する熱の放熱効果を高め、しかもこの凹凸面(7)が縦形に配置されていることによって、トンネル内の洗滌に際して水の流れをよくするばかりでなく、トンネル内での粉埃の付着を少なくして清掃の手間を助けることができる。
【0009】
この箱本体(10)の表面に平面状の強化ガラスを嵌設した片開きの蓋体(11)を水密性に設けるもので、これによりトンネル内の視界を簡潔にして清掃の邪魔にならず、すべての点を解消することができた。
【0010】
また、本発明にあっては光量復元回路機構を設けることにより、LEDの劣化による光量のダウンを補正することが可能となった。
【発明の効果】
【0011】
前述のように本発明は、LED発光体を使用してトンネル内の照明に使用することによって、従来の蛍光灯による照明に比較して地球環境の保護に大きな効果を発揮することができるため、蛍光灯水銀などの環境負荷物質の削減が可能となった。
【実施例】
【0012】
添付図面により本発明を説明すると、図1は本発明のLEDを使用したトンネル用灯具の正面図を示すもので、全体として箱形(10)を呈していて、図2及び図6を参照して全面を強化ガラスで形成した同形の蓋(11)を開閉可能に設ける。この箱体(10)には後述する光源A及びBが収納され、蓋(11)は図6に示すように開閉可能で、かつ密封式となっていてトンネル内の散水洗滌によっても水の浸入を不可能としている。
【0013】
図1は本発明のトンネル照明用LED灯具であって、この内部には高出力マルチチップLEDを設けた照明体Aと、この照明体Aを1列に配置した光源群Bが縦形に配列されて設置されている。この照明体Aは図5を参照して、椀状に形成された鏡面体(3)の底部に高性能のチップLED(1)を配しており、傾斜角αを設けた台板(5)上に1列に配置されて(図示では6個)光源群Bを形成している。
【0014】
またこの図1によると列状に配置されている光源群Bは4列配設されていて、左側の2列の光源群は本体(10)の内側に向けて設置され、右側の2列の光源群は本体(10)の外側に向けられていて互いに向き合うように構成されている。図2は図1のX−X断面図を示し、図3は図1のY−Y断面図を示すもので共に前記光源群Bの構成を示している。
【0015】
図3は図1のY−Y断面図であって、図示するように光源群B及びBの間に凹凸面(7)を形成して照明体Aから発生する熱の放熱効果を高め、またこの凹凸面(7)が箱形本体(10)に対して縦形に配置されているために使用する洗滌水の流れをよくするばかりでなく、トンネル内で発生する粉埃の付着を少なくして洗滌作業の手間を少なくする。
【0016】
図4は図1内部のZ−Z断面図であって、右側に向いている照明体Aと左側に向いている照明体Aの光域が、死角となっている互いの光域をカバーする形となり、トンネル内にLEDの欠点である広域の狭さを補い、特に左右の照明体A,Aの光域が重複する部分Rは明るく照射できるため、この部分を走行面に当るように台板(5)の傾斜角αを調整する。そしてこの傾斜角αは実地で検討した結果20°〜25°が適当であるとされる。
【0017】
この図4は作図上本体(10)を横方向で示しているが、本発明はトンネル内の灯具であるため、トンネル内の壁面に取付けられているため、垂直あるいはやや下向きに取付けられている。従ってこの点を考慮して照明体Aから発せられる光域について理解をいただきたい。
【0018】
図5は照明体Aの拡大詳細図であり、椀状に成形されたLEDベース(4)の内面は鏡面状に加工された鏡面体(3)の底部にLED発光体(1)が配置されている。そしてこの照明体Aは前述の図4に示すように傾斜角αを設けた台板(5)上に設けられている。図中の符号(6)は鏡面(3)を保護するミラーカバーである。
【0019】
図6は蓋(11)の開閉を示す実施例図であり、蓋部には平面状の強化ガラス(9)が設けてある。図中の符号(14)は蝶番を示していて図示するように片開きに開閉するため灯具の点検等に便利である。そしてトンネル内の水洗いに耐して水密性に形成されている。
【0020】
図7は、本発明のトンネル用照明灯具に付加する光量復元回路機構図であって、トンネル内の灯具の光量変動をPDで検知し、変動分の光量の補正をCPUを通してフィードバックさせた光量値を元に定電流電源を制御する。したがってLEDの劣化により光量がダウンした場合にはこれを補う電流を増加して作動させ、トンネル内に与える影響を軽減する機能を付加した。
【産業上の利用可能性】
【0021】
山岳地の多い日本の道路には多くのトンネルがあり、特に高速道路のトンネルには交通の安全を守るために数多くの照明用の灯具が設けてあって、これには蛍光灯が使用されている。この蛍光灯が使用されている。この蛍光灯をLEDに換えることにより省エネとなり、排出するCOの削減となるため理想に近い環境が得られるため、本発明の利用価値は大きい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】 本発明灯具の正面図
【図2】 本発明灯具のX−X断面図
【図3】 本発明灯具のY−Y断面図
【図4】 本発明の要部を示す図1Z−Z断面図
【図5】 照明体Aの断面図
【図6】 蓋の開閉を表わす実施例図
【図7】 光量フィードバック構成図
【符号の説明】
【0023】
(1)…LED発光体
(3)…椀状の鏡面部
(4)…LEDベース(椀状)
(5)…傾斜台板
(6)…ミラーキャップ
(7)…本体裏面の放熱部
(9)…蓋頂面の強化ガラス
(10)…箱形本体
(11)…蓋
(14)…蝶番
A…照明体本体
B…光源群

【特許請求の範囲】
【請求項1】
椀状に形成した鏡面体の底面に高出力マルチチップLEDを設けた照明体Aを角度αを設けた傾斜台板上に複数個列設して光源群Bとし、該傾斜台板上の光源群Bを設置する箱形の本体に対して縦方向に向い合せて配置し、該箱形本体の表面に平面状の強化ガラスを嵌設し片開きに開閉する蓋体を水密性に設けたことを特徴としたトンネル照明用LED灯具。
【請求項2】
傾斜台板の傾斜角αを20〜25°としたことを特徴とした請求項1に記載のトンネル用LED灯具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−153357(P2010−153357A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−198924(P2009−198924)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【出願人】(508136205)浜井電球工業株式会社 (6)
【出願人】(509148164)中日本ハイウエイ・エンジニアリング名古屋株式会社 (4)
【Fターム(参考)】