説明

ドクタを製造する方法

【課題】材料厚を一定に低減した領域を有するドクタの製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、金属、特にスチールから形成されるドクタの製造方法を示しており、製造されるドクタは、加工端部の材料厚低減領域(204)を有している。材料厚は、材料厚低減領域(204)においてほぼ一定である。ほぼ一定の材料厚を有する基礎本体部(100)への平削り工程によって、材料厚低減領域(204)が形成される。平削り工程によって形成された材料厚低減領域によって、効率的かつコスト費用効率のよいドクタ製造方法が達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドクタ及び金属からドクタを製造する方法に関し、製造されるドクタは、加工端部領域において材料厚低減領域を有しおり、材料厚は、この領域でほぼ一定である。
【背景技術】
【0002】
ドクタは、液状またはペースト状の塊を分配し拭い取るのに役立つ。ドクタは、とりわけパッケージ凹版印刷(packaging intaglio printing)、図解及び装飾凹版印刷(illustrative and decorative intaglio printing)、フレキソ印刷、UVフレキソ印刷、アニロックスオフセット印刷(aniloxoffset)、パッド印刷及び回転スクリーン印刷するとき並びにコーティング方法において使用される。例えば、凹版印刷において、余分な印刷インクは、加工端部領域においてドクタを用いて圧胴のブリッジから拭い取られ、穴のみにインクが充填される(擦り落とし)。対照的に、スクリーン印刷において、ドクタは、スクリーンにある開口部を通って印刷担体に印刷インクを押し付けるために使用される。ドクタは、ナイフのようにスチール製のストリップグラウンドとして設計されているが、プラスチックまたは複合材料から形成されたドクタも既知である。
【0003】
ドクタは、ドクタの断面外形に基づいて3つのグループに本質的に細分化される。
1.ウェッジ状のドクタ(ウェッジドクタ)は、2つの直角部を有する台形をなす断面領域を有している。作用端部は、この場合において、扁平されまたは丸み付けされている。
2.円形端部を有するドクタは、長方形状をなす断面領域を有しており、作用端部は、丸み付けされている。
3.薄板部を有するドクタ(板状ドクタ)は、ほぼ長方形でありかつ1つの角部から生ずる切欠部を有する長方形状をなす断面領域を有しており、この場合において、板状ドクタの凹状領域は、丸み付けされており、加工端部は、たいてい丸み付けされている。
【0004】
板状ドクタの外形は、主として研削工程によって得られており、この研削工程において、切削動作は、チャッキングされたワークピースに対して切削工具を回転させることによって形成される。フライス削り工程の後には、フライス削り工程に起因して生じた不規則性を排除するために、主面を再機械加工している。再機械加工は、主として、研磨工程及び/またはラップ仕上げ工程を用いて行う。
【0005】
特許文献1は、耐摩耗性を有するドクタに関する。このドクタは、硬質材料からなる領域と軟質材料からなる領域とを備えている。金属ドクタは、一側面に長く平坦かつ幅狭の凹所を有しており、この凹所は、加工端部と平行に延びている。凹所は、耐摩耗性を有する材料のストリップを保持しており、耐摩耗性を有する材料の硬度は、周囲の材料の硬度よりも高い。凹所は、平削り、フライス削り、研削または成形によって形成される。
【0006】
特許文献2は、ドクタを製造するためのスチール製ストリップに関しており、使用されるスチールは、重量比1%から3%のC(炭素)と重量比4%から10%のCr(クロム)と重量比18%のMo(モリブデン)と重量比2.5%から10%のV(バナジウム)とその他の鉄とからなる組成を有し、スチール製ストリップは、粉末冶金を用いて形成されている。ドクタの製造において、ストリップの端部は、平削り及び/またはフライス削りによって機械加工されており、所望の端部外形を得ている。
【0007】
特許文献3は、ドクタ(特に、ペーパーコーティングのナイフ)の製造には一般的ではない方法に関し、この方法は、ウェッジ状のドクタに関する。ドクタの斜面は、ドクタの長手方向に平削りすることによって形成されている。これにより、研削及びホーニング仕上げによって機械加工される従来のドクタと比較して、同時に製造コストを低減させながら、より良好な平滑性が達成される。公報によると、加工端部領域にある横方向の溝部が平削りを用いて回避されることが特に重要である。好ましくは、平削りによって機械加工することは、単一の硬質金属の平削りチゼル(chisel)を用いて単一のチップを外した状態で行われる。また、斜面に隣接する面は、好ましくは長手方向に機械加工される。
【0008】
材料厚を一定に低減した領域を有する板状ドクタを製造する既知の方法は、遅くかつ複雑である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】英国特許第1289609号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開2008/0096037号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開1807325号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、材料厚を一定に低減した領域を有するドクタの製造方法を提供することであり、この製造方法は、冒頭で述べた技術分野に属しており、かつ効率がよく費用効率が高い。
【課題を解決するための手段】
【0011】
目的を達成する解決法は、請求項1の特徴によって記載されている。本発明によれば、材料厚を低減した領域は、基礎本体部への平削り工程によって、ほぼ一定の材料厚を有して形成される。
【0012】
このような基礎本体部は、好ましくは、金属、特にスチールからなるが、他の材料は除外されない。基礎本体部の形状は、ほぼストリップに対応しており、基礎本体部の断面領域は、好ましくは、長手方向に対して直角方向で長方形をなしているが、他の断面領域の形状は除外されない。例えば、断面領域は、台形あるいは三角形であってもよい。
【0013】
基礎本体部を平削りした後に、ドクタブレーズ(doctor breadth)がまず得られ、このドクタブレーズは、断面領域において基礎本体部と本質的に異なる。基礎本体部が主として長方形の断面領域を有しているが、ドクタブレーズは、基礎本体部の第1角部の領域において切欠部を有する長方形の断面領域を有している。
【0014】
切欠部は、長方形であってもよいが、切欠部は、同様に他の形状を有してもよい。例えば、切欠部は、台形であってもよく、台形は、2つの直角部を有しており、長辺と最長辺に接する直角部に位置する辺とは、機械加工されていない基礎本体部の断面領域における対応する辺と一致している。さらに、第1の反対側の角部の領域を丸み付けることは、想定されもよく、この場合において、丸み付けることは、必ずしも円弧の部分の形状を有していなければならないのではなく、これに替えて、所望の形状を有してもよい。しかしながら、好ましくは、切欠部の形状は、凹状であり、互いに直交して立ち上がりかつ基礎本体部の断面領域における元の端部に平行である2つの端部を有している。
【0015】
ドクタは、多くの別の可能性のある寸法を有している。基礎本体部は、たいてい、100mのロール状をなして存在している。ドクタは、好ましくは、1mm未満、特に0.15mm及び0.4mmの間の厚さを有している。ドクタの幅は、好ましくは8mm及び80mmの間の範囲にあり、好ましくは薄板部の幅に関して1.1mmから1.7mmである。薄板部の厚さは、たいてい、50μmから150μmの範囲にある。真直度のズレは、好ましくは、長さ3mのドクタにわたって0.6mm以下である。これら値は、ドクタの典型的な寸法を示しているが、本発明における方法が他の寸法のドクタを製造するために使用される状況を除外しない。
【0016】
単一の平削り工程によって材料厚さを一定に低減した領域を形成する結果として、ドクタの迅速かつ正確な製造が達成される。この場合において可能性のある平削り性能は、60m/分及び150m/分の間である。
【0017】
方法の好ましい形態において、平削り工程は、材料厚低減領域の主面を再機械加工することが不必要になるような精度である。その結果として、例えば主面の研削及び/または研磨のような作業工程が省略され、この結果、時間ひいてはコストを節約できる。
【0018】
その結果として、特に、基礎本体部の金属を再機械加工することが省かれるが、任意のコーティングは、除外されない。しかしながら、それにもかかわらず、使用する分野に応じて、主面を再機械加工することは有利である。これは、特に主面に非常に高い精度が必要である場合である。しかしながら、この場合において、従来の方法と比較すると、粗い研磨工程は省略され、この結果、本発明の方法は、最初に述べた方法と比較してさらにより大きな効率を得る。一方では、加工端部領域は、好ましくは、再機械加工される(以下を参照)。
【0019】
好ましくは、単一の平削り工程によって、基礎本体部において、まとまった材料厚低減領域が形成され、材料厚低減領域の範囲は、互いに隣り合って位置する2つのドクタブレーズにおける材料厚低減領域の結合した範囲と一致している。平削り工程の後、分離工程を材料厚低減領域で実行し、その結果、互いに隣り合って位置するドクタブレーズが分離される。
【0020】
したがって、ドクタブレーズは、分離工程前において互いに鏡面対称に向かい合って位置している、すなわち、材料厚低減領域は、1つのカンナを用いてかつ1階の平削り工程によって形成されるまとまった領域として存在している。その結果、2つのドクタブレーズの場合において、材料厚を一定に低減した領域は、単一の平削り工程によって同時に形成され、その結果、この作業工程における方法の効率は、実質的に2倍になる。
【0021】
このため、基礎本体部は、形成されるドクタブレーズの全幅に対応する幅を有している。この場合において、形成される2つのドクタブレーズが異なる幅を有している状況は、除外されない。しかしながら、好ましくは、基礎本体部は、一定の厚さを有している。しかしながら、ドクタの薄板部の厚さが異なるようになっているカンナは、想定される。しかしながら、好ましくは、カンナは、形成されるドクタブレーズの薄板部の厚さが同一となるようになっている。
【0022】
互いに隣り合って位置するドクタブレーズを分離することは、平削り工程の後において、好ましくは材料厚を一定に低減した領域の中間においてドクタブレーズの長手方向に実行される。あるいは、分離することは、材料厚低減領域の中心からずらして実行され、異なる薄板部の幅を有するドクタブレーズを形成する。
【0023】
さらに好ましい実施形態において、単一の平削り工程によって、基礎本体部に互いに平行に位置する複数のまとまった材料厚低減領域を形成する。この場合において、別個の領域の範囲は、いずれについても互いに隣り合って位置する2つのドクタブレーズにおける材料厚低減領域の結合した範囲と一致する。平削り工程の後、分離工程を材料厚低減領域と材料厚低減領域間の領域とでいずれについてもドクタブレーズの長手方向に実行する。これにより、互いに隣り合って位置するドクタブレーズは、分離される。この方法によって、複数のドクタを平行に形成することが可能となる。
【0024】
この方法を可能とするため、好ましくは、複数のカンナは、平行に配置されて互いに接続されており、カンナ案内部が1つだけ必要となり、またはカンナが別個に案内される。n個のカンナを配置すると、2n個のドクタブレーズが形成される。上述の方法とは対照的に、この場合において、材料厚を低減していない領域において追加の(n−1)回の分離工程を実行しなければならない。この方法の有利点は、平削り工程中に、ストリップが可能性のある捩れに対して安定した方法でより容易に保持されることである。材料厚を低減していない領域における追加の分離工程中において、ドクタブレーズが歪まないように特別な配慮をしなければならないことがある。
【0025】
分離工程は、好ましくは、レーザ切断によって実行される。
【0026】
あるいは、分離工程は、鋸引きまたは切断によって実行されてもよい。しかしながら、レーザ切断の結果として、ドクタブレーズが変形する危険をより冒さず、したがってレーザ切断が分離方法として好ましいことが分かっている。
【0027】
好ましい方法において、分離工程は、平削り工程として同一の作業工程において実行される、すなわち、分離ツールは、平削りツールの後方に配置されており、2つの作業工程は、基礎本体部に対して同一の保持・移送操作内で連続して作用する。その結果、ドクタのより効率的な製造が達成される。あるいは、複数の作業工程は、2つの連続して配置された機械加工ステーションにおいて連続して実行してもよい。
【0028】
好ましくは、分離工程の後、加工端部領域は、丸み付け、研削、ラップ仕上げ及び研磨を含む1以上の処理によって再機械加工されており、加工端部の所望の形付け及び目的の品質の度合いを達成する。
【0029】
ラップ仕上げについて、それ自体既知の方法で、懸濁液を用いており、懸濁液は、ラップ剤(lapping powder)(例えば、酸化アルミニウム、シリコンカーバイド、ダイアモンド)からなる及び液体(例えば、水またはラップオイル)からなる。
【0030】
使用分野及び必要な質に応じて、加工端部における1以上の再機械加工処置は、省略されてもよい。
【0031】
好ましくは、丸み付けは、さらなる平削り工程によって実行する。平削り工程が比較的迅速に行われるため、その結果として製造時間が節約される。さらにその結果、平削り工程が十分な精度で実行される場合、加工端部におけるさらなる再機械加工は省略され、その結果、作業工程ひいては時間は、先と同様に節約される。
【0032】
あるいは、特に複数のドクタブレーズが平削り工程及び分離工程によって形成されると、丸み付けは、連続して行う。加工端部の厚さに応じて、加工端部の機械加工は、平削り工程もしくはフライス削り工程によってまたは研削、研磨/ラップ仕上げによって行う。
【0033】
好ましい形態において、加工端部を再機械加工することは、同一の平削り工程であってこの平削り工程によって材料厚低減領域が形成される平削り工程によって行う。
【0034】
連続的なドクタの製造においてまたは平削り工程によって精密に1つのドクタブレーズを形成するとき、カンナは、好ましくは、材料厚低減領域の形成と同時に同一の平削りツールによって加工端部が丸み付けされるようになっている。
【0035】
あるいは、加工端部の丸み付けは、材料厚低減領域を形成した後に行い、この場合において、操作者は、同一の方法で実行する必要がない。例えば、材料厚低減領域の形成は、平削りによって行い、加工端部の丸み付けは、ラップ仕上げ、研磨または研削によって行う。
【0036】
好ましい形態において、ドクタは、薄板部を形成したのちにコーティングされる。したがって、コーティングに応じて、ドクタは、別個の使用分野に適合される。特にドクタが酸または金属を侵食する同様の材料と接触する用途において、ドクタの耐用年数は、適切なコーティングを用いて増大する。さらに、退色(スノッティーノーズ(snotty nose))、地汚れ及び印刷横縞(print streak)のような印刷の不具合は、著しく低減される。
【0037】
使用分野に応じて、特に非腐食性材料との使用において、コーティングを省略してもよい。
【0038】
好ましくは、ドクタは、金属、特にスチールからなり、ほぼストリップ状の形状をなし、長手方向に対する断面は、例えば長方形の端部切欠部を有している。
【0039】
本発明のさらに有利な形態及び組み合わせの特徴は、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲全体から推測される。
【0040】
図面は、例示的な実施形態を説明するために用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】基礎本体部を示す図である。
【図2】カンナを示す図である。
【図3】基礎本体部への平削り工程のフローを示す図である。
【図4】ドクタブレーズを示す図である。
【図5】基礎本体部への平削り工程のフローを示す図であって、2つのドクタブレーズが1つの平削り工程によって一度に平削りされる工程を示す図である。
【図6】平削りされた2つの基礎本体部を2つのドクタブレーズに分離するレーザカット工程を示す図である。
【図7】基礎本体部への平削り工程のフローを示す図であって、3つの接続されたカンナを用いた平削り工程によって6つのドクタブレーズが一度に平削りされるフローを示す図である。
【図8】ドクタブレーズの加工端部を形成するための平削り工程のフローを示す図である。
【図9】さらなるドクタを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
最初に、図において、同一の部材には同一の参照符号が付されている。
【0043】
図1は、スチールで形成された基礎本体部100を示しており、基礎本体部は、ドクタを製造する初期製品となる。基礎本体部100は、ストリップ状の形状をなしており、基礎本体部100の長手方向に対して直角方向で、長方形をなす断面領域101を有している、すなわち、基礎本体部100は、直線状の角柱のとして形成されている。ストリップ状の形状をなす基礎本体部100を示すため、断面領域101は、ハッチングされており、実際には長さが非常に長い基礎本体部100を示すため、反対側は、破断されており、以降の図でも同様となっている。基礎本体部100の寸法は、特に断面領域101の高さ/幅の比は、明確にするために形を崩して示されている。基礎本体部100の断面領域101における高さと幅との間の有効な比は、ほぼ1:50から1:200の範囲にある。したがって、基礎本体部100は、2つの側面103a、103bを有しており、例示的な実施形態において、側面103a、103bは、いずれについても、主面102a、102bに垂直に立ち上がっており、側面103a、103bと主面102a、102bとは、いずれについても、互いに平行となっている。
【0044】
図2は、本発明における方法についてのカンナ300.1を示している。カンナは、カンナを案内するガイド素子301と、基礎本体部100を機械加工する切刃302と、を備えている。切刃302は、ほぼ直線状であるが、所望のドクタブレーズ200の形状に応じて、周辺領域において加工部分を有しており、この加工部分は、形成される材料厚低減領域204の周辺領域の外形を形成することが可能となる。案内方向に対して直角方向において、カンナ300.1の断面は、図示の実施形態において、2つの直角部を有する台形の形状をなす断面領域を有しており、平削り工程のための加工端部は、他辺と直角に接続されていない第1辺によって、かつ2辺のうち第1辺に近接する短辺によって、形成されている。
【0045】
ドクタブレーズを形成する3つの好ましい方法を以下の図3から図8を用いて説明する。
【0046】
図3は、カンナ300.1を用いた基礎本体部100への平削り工程を示す図であり、その結果、ドクタブレーズ200が形成される。このため、カンナ300.1は、基礎本体部100の主面102aと平行かつ側面103aに近接して作動されており、基礎本体部100の長手方向に切れ端201.1を削り落とす。本実施形態において、切れ端201.1は、四角形の断面領域203.1を有しており、いずれについても、一側部における2つの隣接する角部は、直角があり、基礎本体部100の断面領域202とは一致しない角部は、鈍角を有しており、鋭角を有する角部は、機械加工されていない基礎本体部100の主面102aの端部と一致する。
【0047】
図4は、角柱をなす材料厚低減領域204を有するドクタブレーズ200を示しており、ドクタブレーズ200の断面領域202は、上述した四角形の切欠部を有している。材料厚低減領域204における主面102aと平行な面は、好ましくは再機械加工されない。加工端部は、周辺領域を機械加工することによって、本実施形態では材料厚低減領域への平削り工程によって、その後に仕上げられている(以下を参照)。
【0048】
図5は、基礎本体部への平削り工程をさらに好ましい例示的な実施形態として示しており、この方法を用いて、2つのドクタブレーズについての材料厚低減領域204を同時に形成する。このため、カンナ300.2は、2つのドクタブレーズ200における結合した材料厚低減領域204に対応する幅を有している。このため、カンナ300.2は、周辺領域において、材料厚低減領域204の所望の外形に対応しかつ上述したカンナ300.1を2つ接続した形状にほぼ対応する形状を有しており、第2カンナ300.1は、第1カンナ300.1に対して鏡面対称に形成されており、その結果接続されたカンナ300.1の断面領域とカンナ300.2の断面領域とは、等辺台形の形状を有している。カンナ300.2は、基礎本体部100の主面102aと平行かつ側面103aに近接するように基礎本体部100に作用されており、基礎本体部100の長手方向に切れ端201.2を削り取る。本実施形態において、切れ端201.2は、等辺台形の断面領域203.2を有しており、台形の断面領域203.2の長辺は、機械加工されていない基礎本体部100の断面領域101の長縁と一致している。材料厚低減領域204にある破線は、後続の分離工程が実行される場所を示している。
【0049】
図6は、分離工程を示しており、分離工程によって、ドクタブレーズ200が分離される。レーザまたはウォータジェット400は、好ましくはこのために用いられており、迅速かつ正確な分離を達成し、分離工程中にドクタブレーズ200が歪むことを防止する。
【0050】
図7は、さらに好ましい実施形態として、平削り工程を示しており、この平削り工程によって、複数のドクタブレーズ200における材料厚低減領域が1回の平削り工程によって形成される。このため、複数のカンナは、接続素子303を介して接続されており、カンナは、案内部を用いて平行に動作する(3つのカンナが図において例として示されているが、2つまたは3を越えるものが同時に使用されてもよい)。接続されたカンナ300.2は、基礎本体部100の主面102aと平行かつ側面103aに近接して作用されており、基礎本体部100の長手方向に複数の切れ端201.2を削り取る。本実施形態において、切れ端201.2は、互いに全く同じであり、等辺台形の断面領域203.2を有しており、台形の断面領域203.2の長辺は、機械加工されていない基礎本体部100の断面領域101の長縁と一致する。平削り工程の後、ドクタブレーズ200は、材料厚低減領域204において互いに接続されており、2つのドクタブレーズ200を除いて、材料厚を低減していない領域において互いに接続されている。図7において、3つの領域が共に後続の分離工程が行われるところを示す破線でマーキングされている。ここでもまた、分離工程は、好ましくはレーザ(図示略)を用いて行われる。
【0051】
材料厚低減領域204を形成した後には、たいてい、次に加工端部の機械加工が続く。機械加工は、平削り、ラップ仕上げ、研削またはフライス削りを用いて行われる。図8は、例として、カンナ500を用いて加工端部601を機械加工することを示している。カンナ500は、半円形の作用領域を有しており、例えばウェッジ形などのような他の形状は、同じく想定される。カンナ500は、材料厚低減領域204の周辺領域に作用し、同じく、ドクタブレーズ200の長手方向に削り取る。
【0052】
図9は、材料厚低減領域204と丸み付けされた加工端部601とを有する断面領域202を有するドクタ600を示している。使用する分野に応じて、ドクタ600は、表現される形状に仕上げられる。一方では、例えば研磨またはコーティングの態様のような再機械加工は、除外されない。
【0053】
要約すると、本発明における方法の利点により、ドクタは、効率がよくかつさらに費用効率が高く製造されることが分かった。
【符号の説明】
【0054】
100 基礎本体部、200 ドクタブレーズ、204 材料厚低減領域(領域)、600 ドクタ、601 加工端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属、特にスチールからドクタ(600)を製造する方法であって、
前記ドクタ(600)は、加工端部(601)の領域(204)で材料厚を低減して製造されており、
前記材料厚は、前記領域(204)においてほぼ一定である、方法において、
平削り工程をほぼ一定の材料厚を有する基礎本体部(100)に使用して、材料厚低減領域(204)を形成することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記平削り工程の後、前記材料厚低減領域(204)の主面に再機械加工を行わないことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
1回の前記平削り工程によって、前記基礎本体部(100)にまとまった前記材料厚低減領域(204)を形成しており、前記材料厚低減領域(204)の範囲は、互いに隣り合って位置する2つのドクタブレーズ(200)における前記材料厚低減領域(204)の結合した範囲と一致し、
前記平削り工程の後、分離工程を前記材料厚低減領域(204)で実行し、その結果、互いに隣り合って位置する前記ドクタブレーズ(200)が分離されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
1回の前記平削り工程によって、前記基礎本体部(100)に互いに平行に位置する複数のまとまった前記材料厚低減領域(204)を形成しており、前記材料厚低減領域(204)の範囲は、いずれについても互いに隣り合って位置する2つのドクタブレーズ(200)における前記材料厚低減領域(204)の結合した範囲と一致し、
前記平削り工程の後、分離工程を前記材料厚低減領域(204)と前記材料厚低減領域(204)間の領域とで実行し、その結果、互いに隣り合って位置する前記ドクタブレーズ(200)が分離されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記分離工程は、レーザまたはウォータジェット切断を用いて実行されることを特徴とする請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記分離工程は、前記平削り工程と同一の作業工程で実行されることを特徴とする請求項3または4に記載の方法。
【請求項7】
前記加工端部(601)の領域は、丸み付け、ラップ仕上げ及び/または研磨によって再機械加工されることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記加工端部(601)の領域の前記再機械加工は、さらなる平削り工程によって達成されることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
別個の前記ドクタブレーズ(200)の製造において、前記加工端部(601)の再機械加工は、同一の平削り工程によって達成されることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記ドクタ(600)は、コーティングされていることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
金属、特にスチールから形成されるドクタ(600)であって、
当該ドクタ(600)は、加工端部(601)の領域(204)で材料厚を低減しており、
前記材料厚は、前記領域(204)においてほぼ一定である、ドクタ(600)において、
当該ドクタ(600)の材料厚低減領域(204)は、基礎本体部(100)へのほぼ一定の材料厚の平削り工程によって達成されることを特徴とするドクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−218464(P2011−218464A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−87714(P2010−87714)
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【出願人】(509058324)デートワイラー・スイステック・アーゲー (5)
【Fターム(参考)】