説明

ドレインパイプ

【課題】
本発明は、地盤の不安定な現場での敷設を極力、簡単かつ迅速に行なえる吸排水機能の優れたドレインパイプを提供することにある。
【解決手段】
プラスチックスパイプの長さ方向の外周の肉厚断面が凹凸で、凹の溝の部分に多数の穴が構成されてなるプラスチックスパイプの凹となる部分の溝に、棒状、又は略T字形や筒状のプラスチックスをソウメン状に押し出しカールさせた三次元立体網目構造体を構成させると共に、更にその上に不織布又は織布で挟着させたことを特長とするドレインパイプとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸排水するための三次元網目構造体の成形物と不織布又は織布などと、フレキシブルで表面に溝状の凹凸を持つ穴あきのプラスチック製フレキシブルパイプとを一体にすることによって、軟弱地盤の改善が容易に図れることに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のドレインパイプと言えば、鋼製の保護パイプと水ジエット装置を利用して、地表から地中に15mから20m圧入して、その一端を地上に突出させて開口させ、その開口部に土砂混入防止用のキャップを取り付けて使用され、大規模な物件に採用されていた。
【0003】
特許文献1では、所定の間隔を隔てて螺旋状に巻回形成された強度部材の外周に、合成樹脂製の薄い延伸フイルム材で形成した表裏2枚の割り布の間に不織布や織布を挟みこんで積層形成した集水用膜状布を巻きつけて、両者を挟着させたものがある。また、このような割り布を使用して三層状とした集水用膜状布を螺旋状に巻回してパイプ本体を形成し、この膜状布の繋ぎ合わせ部の外周に三角突起状断面とした補強材を挟着して一体化した地中埋設用の暗きょう排水管もドレインパイプとして使用されている。
【0004】
特許文献2には、容易で安全な作業によって暗渠排水用有孔管への土砂流入を効果的に
かつ恒久的に防止できる土砂流入防止部材、及び土砂流入防止方法を提供することにあるとあり、その構成は、連続的にカールさせたポリプロ繊維を集合させ、その状態で熱をかけて、各ポリプロ繊維同士をお互いに部分的に融着させることによって土砂流入防止部材を製造した。そして、得られた土砂流入防止部材を有孔管に巻き付けて土砂流入防止層を形成し、更に、その上から不織布を巻き付けることによって、有孔管に土砂流入防止処理を施したとある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7―48825
【特許文献2】特開平8−27766
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように解決しようとする課題は、前述の特許文献1のドレインパイプでは、地中へのパイプ挿入時において、パイプの自立性が弱いので、掘削の穴の壁面に接触することが多く、損傷しやすいと言う大きな欠点があった。従って穴を必要以上に大きく掘る必要があるし、それが又、地盤が安定しないと言う欠点に繋がっていた。
【0007】
また、特許文献2では、有孔管の周りに不織布を巻きつけるとあるが、施工時、特に土壌に開孔された縦穴にこのドレインパイプを挿入するとき、有孔管と土砂流入防止部材や不織布との密着性が充分でなく現場でのトラブルが想定される。
【0008】
本発明は、従来のドレインパイプが有していた以上のような課題に着目して、ドレインパイプの自立性を先ずよくすると共に、パイプの長さ方向の外周の肉厚断面を工夫して目詰まりも無く、現場での縦穴への挿入時にも損傷の無いドレインパイプを提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1では、パイプの外周の長さ方向の肉厚断面が凹凸で、凹の溝の部分に多数の穴が構成されてなるパイプにおいて、その凹となる部分の溝に、棒状、又は略T字形や筒状の三次元立体網目構造体を構成したことを特徴とするドレインパイプとした。
【0010】
プラスチックス製パイプの長さ方向の外周の肉厚断面を凹凸として、その凹部の溝の部分に多数の穴を構成して、更にその溝に、棒状とした立体網目構造体や、略T字形や筒状とした立体網目構造体をパイプ外周面の溝にはめ込むようにして構成することにした。三次元立体網構造体の棒状の構造は、空間を自由に大きくしたり小さくしたり、筒状にしたり、つまり密度を自由に変えることが出来るし、柔らかくも硬くも出来る。
【0011】
プラスチックス製パイプの外周の長さ方向の肉厚断面を凹凸とした、その凸部を四角の矩形としてプラスチックス製パイプの内面をフラットにすると排水される水の流れがよくなる。しかし可とう性が欠けることになるので、使用される現場の状況を良く見極めて選定することが重要である。
【0012】
請求項2では、請求項1の立体網目構造体の成形物の回り全体、又は部分を不織布又は織布で構成してなることを特徴とするドレインパイプとした。
【0013】
前述の棒状や略T字形三次元立体網構造体や筒状の網目だけでは、比較的粗めの砂礫しかろ過できなく、更に微粒の骨材をもろ過しようとすると、その上面や底面に不織布、緻密な織布等を構成することが必要となる。三次元立体網構造体の網目を変えたり、不織布又は織布等の網目の構成を変えることで、対象のろ過物に対する緻密な設計の構成とすることが出来る。不織布や織布の代わりに色々なフィルター材などのろ過材が使用できることは勿論である。
【0014】
不織布又は織布等の構成物を三次元立体網構造体に巻きつけるとか、挟着しておくとドレインパイプの現場での施工時の扱いが容易となるし、請求項1に不織布や織布を平面状に巻きつけてフレキシブルパイプにビス金具などで固定すると、更に安定したものになる。
【0015】
この時使用される織布は,ナイロン製で30デニール程度のフィラメントを使用して挟着させておくと、砂の目詰まりが少なく、破断時に連続して破れることの無い、透水性抜群のフィルターとなる。
【0016】
又、不織布はポリプロピレン製で6デニール程度のノーバインダーで熱融着された不織布で厚みが3ミリメートル程度のものがころあいである。この不織布は、透水係数が粗砂と同程度であるにもかかわらず、ヘドロから通常の土質まで使用できるが、唯一水酸化鉄を大量に含むヘドロには不向きである。この時は前述の織布の使用が望ましい。
【0017】
請求項3では、請求項1、2において、パイプの押し出し製造時に、立体網目構造体の成形物を挿入一体としてなることを特徴とするドレインパイプとした。
【0018】
このことは、断面に凹凸を持ち、凹の部分に穴を押し出しと同時に開孔すると共に、その孔の開けられた凹の部分の溝に略T字形や筒状をした三次元立体網構造体を装着、できれば挟着することで構成したドレインパイプとした。パイプ押し出し製造時に樹脂がさめない内に装着することで、樹脂の収縮する力を利用すると三次元立体網構造体を確実に装着することが出来る。この時、不織布又は織布も同時に構成できると更にすばらしいものとなる。
【0019】
もちろん、パイプ押し出し成形後に穴あけ加工したり、又は穴あけ加工した溝に三次元立体網構造体を強制的に押し込んで装着させても良い。
【発明の効果】
【0020】
ドレインパイプの中心部材であるプラスチックス製フレキシブルパイプ11の、長さ方向の外周の肉厚断面を凹凸として、その凹部の溝の部分に多数の穴を構成して、更にその溝に、棒状とした立体網目構造体や、略T字形や筒状とした立体網目構造体を構成することで、空間を自由に大きくしたり小さくしたり、つまり密度を自由に変えることが出来るし、パイプの外周面からはみ出して、ろ過する表面積を増やすことも出来るし、柔らかくも硬くも出来る。
【0021】
従来、一般的に使用されているドレインパイプは合成樹脂製が大半で、例えば約100mm径に所定の間隔を隔てて螺旋状に巻回形成された強度部材の外周に、合成樹脂製の薄い延伸フイルム材で形成した表裏2枚の割り布の間に不織布又は織布6や織布を挟みこんで積層形成した集水用膜状布を巻きつけて、両者を接着させたものがある。
【0022】
特許文献1にある割り布を使用して三層状とした集水用膜状布を螺旋状に巻回してパイプ本体を形成し、この膜状布の繋ぎ合わせ部の外周に三角突起状断面とした補強材を接着して一体化した地中埋設用のドレインパイプとして使用されているものとは違って、きわめてパイプそのものの強度が強いばかりか、パイプとろ過部分との接合強度が強く、施工現場での取扱いが極めて容易であり、作業能率が上がりコストダウンの出来るのである。
【0023】
三次元立体網構造体5の網目だけでは、比較的粗めの砂礫しかろ過できなく、更に微粒の骨材をもろ過しようとすると、その上面や底面に不織布や緻密な織布等を構成することが必要となる。三次元立体網構造体5の網目を変えたり、不織布又は織布6や緻密な織布等の網目の構成を変えることで、対象のろ過物に対する緻密な設計の構成とすることが出来る。緻密な不織布や織布等の構成物を三次元立体網構造体5と強く巻きつけるとか、挟着しておくとドレインパイプとしての完成品の施工時の扱いが容易となる。
【0024】
以上のように、このことは断面に凹凸を持ち、凹の部分に穴を押し出しと同時に開孔すると共に、その孔の開けられた凹の部分の溝に棒状や略T字形や筒状をした三次元立体網構造体5を装着、できれば溶着することで構成したドレインパイプとした。この時、不織布又は織布6も同時に構成できると更にすばらしいものとなる。
【0025】
このドレインパイプの中心部材であるプラスチックス製パイプ11の、長さ方向の外周の肉厚断面を凹凸として、その凹部の溝の部分に多数の穴を構成してなる、プラスチックスの一体構造であることから、土圧にも強く自立性もよいので、パイプとして極めて高強度なものなので、従来のようなパイプの強度を落とさないでろ過機能を付与できたものとなる。従って、現場での施工時にろ過材である不織布又は織布などの部材などが剥がれることもなく施工がスムーズに行なえる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明請求項1のドレインパイプの斜視図である。
【図2】本発明請求項2のドレインパイプの斜視図である。
【図3】穴あきプラスチック製パイプの一部を欠損させ、断面を露出させた斜視図である。
【図4】凹部の溝に棒状の三次元立体網構造体を挟着させたパイプ外周部分断面図である。
【図5】凹部の溝に凹部から突出した棒状の三次元立体網構造体を挟着させたパイプ外周部分断面図である。
【図6】図4の三次元立体網構造体に不織布又は織布を構成したパイプ外周部分断面図である。
【図7】図5の三次元立体網構造体に不織布又は織布を構成したパイプ外周部分断面図である。
【図8】凹部の溝に略T字形棒状の三次元立体網構造体と不織布又は織布を挟着させたパイプ外周部分断面図である。
【図9】図4のパイプ外周面に不織布又は織布を被せて凸部でビス留めしたパイプ外周断面図である。
【図10】略T字形の三次元立体網構造体の斜視図である。
【図11】筒状の三次元立体網構造体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
プラスチックス製パイプ11の長さ方向の外周の肉厚断面を凹凸にすることで、縦横の断面が高強度のパイプとなる。凹の溝となる部分に多数の穴を構成しても、全体の強度はさして落ちない、そんなプラスチックス製パイプ11の凹となる部分の溝に、棒状、又は略T字形や筒状の立体網目構造体を構成してドレインパイプを製作することにした。
【0028】
この時、ろ過性能を上げるための調整を、略T字形や棒状の立体網目構造体の成形物に不織布や織布を定着させることで、対象となる液状化の可能性の高い軟弱地盤の土壌に合わせた設計が出来る。
【実施例1】
【0029】
図1は、本発明請求項1のドレインパイプ1の斜視図であって、プラスチックス製パイプの凹凸とした凹の溝に三次元立体網目構造体5を構成したものである。3は凸の部分である。
【0030】
図2は、本発明請求項2のドレインパイプ1の斜視図であって、プラスチックス製パイプの凹凸とした凹の溝に、三次元立体網目構造体5を構成したものである。不織布又は織布6を巻回しビス10で凸部に挟着した例図である。
【0031】
図3は、この時使用されるプラスチックス製パイプ11の斜視図(一部断面)である。凹の部分の溝2の谷部には多数の穴4が明けられている。このプラスチックス製パイプ11は押出機によって製作され、その押し出し作業中に同時に穴あけが施されると好都合であるが、プラスチックス製パイプ11の成形後に穴あけしても何ら差し支えは無い。
【0032】
図4では、プラスチックス製パイプの外周断面凹部の溝2に、棒状や略T字形をした三次元立体網目構造体5を外周面の凹部の溝2にはめ込むように構成した部分断面図である。この三次元立体網目構造体5はプラスチックスをそうめん状のフィラメントにカールさせながら押し出し、その直後の温度の高いうちにお互いのフィラメントを絡ませながら溶着し、更には、棒状や、略T字形や筒状をした三次元立体網目構造体5に成型するのである。
【0033】
図5では、図4の棒状の三次元立体網目構造体5の成形物の形状を凹部の溝2からはみ出す大きさとして、出来るだけろ過できる表面積を稼ぐようにして目詰まりを極力防ごうとしたものである。
【0034】
図6では、図4の棒状の三次元立体網目構造体5に不織布又は織布6を被せた構造とした部分断面図である。不織布又は織布6を三次元立体網目構造体5の上に被せることで、細かな骨材をパイプ内部に通さないように出来るし、この不織布や織布6の粗さや、織りの状態でその土壌に合った最適な組合せとすることが出来るのである。
【0035】
図7は、図5に不織布又は織布6を構成した部分断面図である。凹部から三次元立体網目構造体5が突出しているのでより目詰まりは起こしにくいが、軟弱な地盤に穴をあけて、本発明のドレインパイプを挿入するとき、出っ張りがある分挿入しづらいと言う問題があり、プラスチックス製パイプ11と三次元立体網目構造体5の棒状や、略T字形や筒状の成形物が外れることが考えられる。
【0036】
そこで三次元立体網目構造体5の成形物とプラスチックス製パイプ11が外れないように、プラスチックスの成形時の収縮を利用したり、強制的に挿入して挟着させてもよい。いずれにしても三次元立体網目構造体5を凹部の溝に強く挟着するのである。
【0037】
図8は、プラスチックス製パイプの外周断面の凹部の溝2に、略T字形の三次元立体網目構造体5を挟着した斜視図である。凸部に跨る様に構成することで、三次元立体網目構造体5の一部に翼をつけたような形を構成するので、ろ過性能の優れたものに出来る。この三次元立体網目構造体5の略T字形7にも、不織布又は織布6を巻きつけたり部分に構成すると、最適なろ過性能とすることが出来る。
【0038】
図9は、図4のパイプ外周面に不織布又は織布6を被せて凸部3にビス10で留めたパイプ外周断面図である。
【0039】
図10は、略T字形の三次元立体網構造体7の斜視図である。
【0040】
図11、は三次元立体網目構造体の成形物の形状や棒状を進化させて筒状8にしてもよいが、この場合凹部の溝の大きさが大きい場合に限られる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
三次元立体網目構造体をプラスチックス製パイプ11の全体に構成することで、ろ過性能が均一に発揮できるし、地下に埋まっているので、プラスチックスの劣化に大敵な紫外線の影響も受けないので半永久的に使用され、効果を充分に発揮できることとなる。従って大規模な軟弱地盤の改良にはうってつけのドレインパイプとなる。
【符号の説明】
【0042】
1 ドレインパイプ
2 凹部
3 凸部
4 穴
5 棒状三次元立体網目構造体
6 不織布又は織布
7 略T字形三次元立体網目構造体
8 筒状三次元立体網目構造体
9 凸出させた棒状三次元立体網目構造体
10 ビス
11 プラスチックス製パイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パイプの長さ方向の外周の肉厚断面が凹凸で、凹の溝の底面やヨコ部分に多数の穴が構成されてなるパイプにおいて、凹となる部分の溝に、棒状、又は略T字形や筒状の三次元立体網目構造体の成形物を挟着させたことを特徴とするドレインパイプ。
【請求項2】
請求項1の三次元立体網目構造体の回り全体、又は部分を不織布又は織布を構成してなることを特徴とするドレインパイプ。
【請求項3】
請求項1、2において、プラスチックス製パイプの押し出し製造時に、三次元立体網目構造体の成形物を挟着してなることを特徴とするドレインパイプ。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−106220(P2011−106220A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−264744(P2009−264744)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(503373377)ワンダー技研有限会社 (24)
【出願人】(597032929)新光ナイロン株式会社 (3)
【出願人】(506341928)株式会社フェアデザイン (11)
【Fターム(参考)】