説明

ナノインプリント用テンプレートの欠陥修正方法

【課題】ナノインプリント用テンプレートの欠陥部を荷電ビームにより修正する欠陥修正方法であって、荷電ビームによる電荷の滞留を低減し、電荷滞留による修正箇所の位置ずれがなく所望の欠陥修正をすることが可能な欠陥修正方法を提供する。
【解決手段】テンプレートの欠陥部を含む一主面上に導電性高分子を塗布して導電膜を形成する工程と、前記導電膜を形成したテンプレートを走査型電子顕微鏡を有する装置内に設置し、欠陥検査装置の検査データをもとにして前記欠陥部を検出し、欠陥部の修正すべき領域を決定する工程と、修正すべき領域に荷電ビームを照射し、修正すべき領域の導電膜部分を除去し、欠陥部を露出させる工程と、露出させた欠陥部にアシストガスを吹き付けながら荷電ビームを照射し、欠陥部をエッチングして修正する工程と、導電膜を除去する工程と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細な凹凸パターンを形成するナノインプリント法に用いるテンプレートの欠陥修正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、特に半導体デバイスにおいては、微細化の一層の進展により高速動作、低消費電力動作が求められ、また、システムLSIという名で呼ばれる機能の統合化などの高い技術が求められている。このような中、半導体デバイスのパターンを作製する要となるリソグラフィ技術は、デバイスパターンの微細化が進むにつれ露光波長の問題などからフォトリソ方式の限界が指摘され、また、露光装置などが極めて高価になってきている。
【0003】
その対案として、近年、微細凹凸パターンを用いたナノインプリントリソグラフィ(NIL)法が注目を集めている。1995年Princeton大学のChouらによって提案されたナノインプリント法は、装置価格や使用材料などが安価でありながら、10nm程度の高解像度を有する微細パターンを形成できる技術として期待されている(特許文献1参照)。
【0004】
ナノインプリント法は、予め表面にナノメートルサイズの凹凸パターンを形成したテンプレートを、被加工基板表面に塗布形成された樹脂などの転写材料に押し付けて力学的に変形させて凹凸パターンを精密に転写し、パターン形成されたナノインプリント材料をレジストマスクとして被加工基板を加工する技術である。一度テンプレートを作製すれば、ナノ構造が簡単に繰り返して成型できるため高いスループットが得られて経済的であるとともに、有害な廃棄物が少ないナノ加工技術であるため、近年、半導体デバイスに限らず、さまざまな分野への応用が進められている。
【0005】
このようなナノインプリント法には、熱可塑性樹脂を用いて熱により凹凸パターンを転写する熱ナノインプリント法や、光硬化性材料を用いて紫外線により凹凸パターンを転写する光ナノインプリント法(例えば、特許文献2参照)などが知られている。転写材料としては、熱ナノインプリント法では熱可塑性樹脂、光ナノインプリント法では光硬化性樹脂などの光硬化性材料が用いられる。光ナノインプリント法は、室温で低い印加圧力でパターン転写でき、熱ナノインプリント法のような加熱・冷却サイクルが不要でテンプレートや樹脂の熱による寸法変化が生じないために、解像性、アライメント精度、生産性などの点で優れていると言われている。
【0006】
ナノインプリント法で用いられるテンプレートには、パターン寸法の安定性、耐薬品性、加工特性などが求められる。ナノインプリント法においては、テンプレートのパターン形状を忠実に樹脂などの転写材料に転写しなければならないので、光ナノインプリント法の場合を例に取ると、一般的には光硬化に用いる紫外線を透過する石英ガラスがテンプレート基材として用いられている。
【0007】
ナノインプリント法においては、原版であるテンプレートの高精度な凹凸パターンをレジストに押しつけて転写するため、テンプレートに欠陥があると被転写体の全てにその欠陥も転写されてしまうので、ナノインプリント用テンプレートには無欠陥が求められる。テンプレートの欠陥としては、本来必要なパターンが欠損あるいは欠落している場合(白欠陥と称する)と、不要な余剰パターンや異物が存在している場合(黒欠陥と称する)の二通りがあり、通常、欠陥のほとんどは黒欠陥が占めている。黒欠陥は具体的には、基材である石英ガラスの残りや有機物等が付着した異物であり、黒欠陥の修正は余剰部分を除去することにより正常なパターンを得ている。
【0008】
そこで、製造工程を経て作製されたテンプレートを検査し、欠陥があった場合には、その欠陥を修正するナノインプリント用テンプレートの欠陥修正方法が、高品質のテンプレートを得るために重要になっている。例えば、荷電ビームである集束イオンビームや電子ビームを用いたテンプレートの欠陥修正方法が提案されている(特許文献3参照)。
【0009】
しかしながら、特許文献3に記載の欠陥修正方法は、荷電ビームを使用して欠陥を修正する際、荷電ビームを照射することにより電荷の滞留が発生し、欠陥修正時に荷電ビームが位置ずれを発生し、この位置ずれにより所望の欠陥修正ができなくなるという大きな問題があった。図3は、修正用荷電ビームに電子ビームを使用した場合の例であり、従来のナノインプリント用テンプレートの欠陥修正方法における電荷滞留による位置ずれを説明する模式図である。石英ガラス等を基材としたテンプレート31は、エッチングアシストガスを吹き付けながら電子ビーム33による黒欠陥部のエッチング修正時に、欠陥部に滞留した電子34により、電子ビーム33が位置ずれを生じてしまい、所望の欠陥修正ができなくなる。
【0010】
上記の荷電ビーム修正時の位置ずれの問題を解決するために、特許文献4に記載の欠陥修正方法が提案されている。図4は、特許文献4に記載の欠陥修正方法の処理動作手順を示すフローチャートである。
【0011】
図4に示すように、特許文献4に記載のパターン膜修正方法は、パターン膜の欠陥を修正するに際し、パターン膜の欠陥部分近傍に集束イオンビームにより点穴加工を施し、欠陥修正時にこの穴を測定し、二次イオンの信号により欠陥部分と点穴との位置関係を求め、位置ずれ量を算出し、パターン膜に対して欠陥部分の位置を割出しながら位置ずれ補正し、欠陥修正を行うパターン膜修正方法である。また点穴加工とは異なり、点突起を形成する方法が行われる場合もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特表2004−504718号公報
【特許文献2】特開2002−93748号公報
【特許文献3】特開2005−44843号公報
【特許文献4】特許第2777801号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記の特許文献4に記載された荷電ビームの位置ずれ対策は、フォトマスク(レチクルとも称する)の100nmサイズ以上のマスクパターンでは適用できたが、ナノインプリント用テンプレート等の微細なパターンにおいては、点穴加工ではパターンを破壊してしまったり、点突起形成ではテンプレートのインプリント時の弊害となり適用できないという問題があった。フォトマスクは、通常4倍体のパターンを1/4に縮小転写するので微小な点穴は被転写物上には解像せず被転写物上に転写されないのに対し、ナノインプリントは1倍体のパターンを原寸で転写するので、微小な点穴といえども被転写物上に転写されてしまうという特有の問題があるからである。
このため、ナノインプリント用テンプレートでは欠陥修正時に荷電ビームの電荷の滞留による位置ずれの対策が無く、所望の欠陥修正ができないという問題があった。
【0014】
そこで、本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、光透過性基材の一主面に凹凸パターンを形成したナノインプリント用テンプレートの欠陥部を荷電ビームにより修正するナノインプリント用テンプレートの欠陥修正方法であって、荷電ビームによるテンプレート上の電荷の滞留を低減し、電荷滞留による修正箇所の位置ずれを生じさせずに所望の欠陥修正をすることが可能な欠陥修正方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の発明に係るナノインプリント用テンプレートの欠陥修正方法は、光透過性基材の一主面に凹凸パターンを形成したナノインプリント用テンプレートの黒欠陥部を荷電ビームにより修正するナノインプリント用テンプレートの欠陥修正方法であって、前記テンプレートの前記欠陥部を含む一主面上に導電性高分子を塗布して導電膜を形成する工程と、前記導電膜を形成した前記テンプレートを走査型電子顕微鏡を有する装置内に設置し、欠陥検査装置の検査データをもとにして前記欠陥部を検出し、前記欠陥部の修正すべき領域を決定する工程と、前記修正すべき領域に荷電ビームを照射し、修正すべき領域の前記導電膜部分を除去し、前記欠陥部を露出させる工程と、前記露出させた欠陥部にアシストガスを吹き付けながら前記荷電ビームを照射し、前記欠陥部をエッチングして修正する工程と、前記導電膜を除去する工程と、を有することを特徴とするものである。
【0016】
本発明の請求項2に記載の発明に係るナノインプリント用テンプレートの欠陥修正方法は、光透過性基材の一主面に凹凸パターンを形成したナノインプリント用テンプレートの白欠陥部を荷電ビームにより修正するナノインプリント用テンプレートの欠陥修正方法であって、前記テンプレートの前記欠陥部を含む一主面上に導電性高分子を塗布して導電膜を形成する工程と、前記導電膜を形成した前記テンプレートを走査型電子顕微鏡を有する装置内に設置し、欠陥検査装置の検査データをもとにして前記欠陥部を検出し、前記欠陥部の修正すべき領域を決定する工程と、前記修正すべき領域に荷電ビームを照射し、修正すべき領域の前記導電膜部分を除去し、前記欠陥部を露出させる工程と、前記露出させた欠陥部にデポジション用ガスを吹き付けながら前記荷電ビームを照射し、前記欠陥部に修正膜を堆積して修正する工程と、前記導電膜を除去する工程と、を有することを特徴とするものである。
【0017】
本発明の請求項3に記載の発明に係るナノインプリント用テンプレートの欠陥修正方法は、請求項1または請求項2に記載の前記修正すべき領域に荷電ビームを照射し、修正すべき領域の前記導電膜部分を除去し、前記欠陥部を露出させる工程において、前記修正すべき領域の前記導電膜部分に、荷電ビーム照射によりOHイオンを生じるガスまたはフッ化キセノンガスを吹きつけながら荷電ビームを照射して前記欠陥部を露出させることを特徴とするものである。
【0018】
本発明の請求項4に記載の発明に係るナノインプリント用テンプレートの欠陥修正方法は、請求項1から請求項3までのうちのいずれか1項に記載のナノインプリント用テンプレートの欠陥修正方法において、前記荷電ビームが電子ビームまたはイオンビームであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明のナノインプリント用テンプレートの欠陥修正方法によれば、本発明は従来技術の様な欠陥修正前に欠陥周辺の点穴加工あるいは点突起加工が不要となり、ナノインプリント用テンプレートの微細パターンの破壊が無く、かつ荷電ビームの電荷の滞留による位置ずれが無く、所望の欠陥修正が可能となる。また、修正装置による事前の穴加工等が不要となるため、修正装置使用時間が少なくなり、修正装置の有効利用が可能となる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明のナノインプリント用テンプレートの欠陥修正方法の処理動作手順を示すフローチャートである。
【図2】本発明のナノインプリント用テンプレートの欠陥修正方法における電荷滞留による位置ずれが無い状態を説明する模式図である。
【図3】従来のナノインプリント用テンプレートの欠陥修正方法における電荷滞留による位置ずれを説明する模式図である。
【図4】従来のナノインプリント用テンプレートの欠陥修正方法の処理動作手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態に係るナノインプリント用テンプレートの修正方法について詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明のナノインプリント用テンプレートの欠陥修正方法の処理動作手順を示すフローチャートである。
まず、欠陥部を有し修正が必要な洗浄したナノインプリント用テンプレート(修正基板)を準備する(ステップS11)。欠陥部は、テンプレートをあらかじめ欠陥検査装置で検査し、欠陥の種類、大きさ、位置等を測定し検査データとしておく。欠陥検査装置としてはフォトマスク用の検査装置や光学顕微鏡等を用いることができる。
【0023】
次に、上記のテンプレートの欠陥部を含む一主面上に導電性高分子を塗布して導電膜を形成する(ステップS12)。導電性高分子は、例えば、水とアルコール系の溶剤に溶解した市販の導電性高分子溶液をテンプレート上に塗布し、導電膜を形成する。あるいは導電膜とテンプレートとの密着性を上げるために、HMDS(ヘキサメチルジシラザン)層等を導電膜の下引き層として形成してから導電性高分子溶液を塗布し、導電膜を形成してもよい。塗布乾燥後の導電膜の膜厚は、数10nm〜100nm程度で用いられる。
【0024】
次に、上記の導電膜を形成したテンプレートを走査型電子顕微鏡を有する装置内に設置し、欠陥検査装置の検査データをもとにしてテンプレート上の欠陥部を検出し、欠陥部の修正すべき領域を決定する。次工程で用いる荷電ビーム修正装置は、通常、走査型電子顕微鏡の機能を備えていることが多い。
【0025】
続いて、上記の修正すべき領域に荷電ビームを照射し、修正すべき領域の導電膜部分を除去し、欠陥部を露出させる。荷電ビームとしては、電子ビームまたはイオンビームが用いられる。イオンビームとしては、フォトマスクで実績のあるガリウム(Ga)の集束イオンビームが好ましい。
【0026】
上記の荷電ビーム照射で欠陥部の導電膜を除去し、欠陥部を露出させる工程においては、荷電ビーム照射時の欠陥部の導電膜除去を容易にするためにアシストガスを用いるのが好ましい。
【0027】
上記の導電膜を除去し欠陥部を露出させる工程において用いるアシストガスとしては、荷電ビーム照射によりOHイオンを生じるガス、または荷電ビーム照射で有機物と反応して気化性のガスを生じるフッ化キセノン(XeF2)ガスが用いられる。OHイオンを生じるガスとしては、水酸基を有し、ガス化した状態で荷電ビーム照射によりOHイオンを形成する物質であれば特に限定されないが、水を水蒸気化して用いるのが簡単で好ましい。水蒸気は荷電エネルギーにより、活性化されたOHイオンを発生する。ガスとしての水蒸気は、例えば、1〜0.5Torr程度供給すればよい。導電膜の荷電ビーム照射部は、活性化されたOHイオンにより直接分解され、修正すべき領域の導電膜部分が除去され、欠陥部を露出させる。また、XeF2ガスは、有機物と反応して気化性のCF4ガス等を生じ、修正すべき領域の導電膜部分を除去し欠陥部を露出させる。
【0028】
次に、上記欠陥部が黒欠陥の場合には、露出させた欠陥部にエッチングアシストガスを吹き付けながら荷電ビームを照射し、欠陥部をエッチングして修正する(ステップS13)。黒欠陥がテンプレート材料である石英ガラスの残りである場合には、エッチングアシストガスとしてはフッ化キセノン(XeF2)が用いられる。また、黒欠陥が有機物等の付着した異物である場合には、エッチングアシストガスとしては上記の水蒸気またはフッ化キセノンガスが用いられる。
【0029】
一方、上記欠陥部が白欠陥の場合には、露出させた欠陥部にデポジション用ガスを吹き付けながら荷電ビームを照射し、欠陥部に修正膜を堆積して修正する(ステップS13)。修正膜としては、修正箇所を十分な強度で修正できる材料であれば、必ずしもテンプレート材料である石英ガラスと同系統のSiO2系の材料に限定されることはなく、例えば、公知の修正用ガスであるフェナントレン、W(CO)6、WF6等を用いることができる。
【0030】
欠陥部の修正が完了したら、次に、上記の導電膜を除去する(ステップS14)。導電膜は、水あるいはアルカリ水溶液で剥離除去することができる。最後にテンプレートを洗浄して、テンプレート修正工程は終了する。
【0031】
図2は、本発明のナノインプリント用テンプレートの欠陥修正方法における電荷滞留による位置ずれが無い状態を説明する模式図であり、修正用に電子ビームを使用した場合の例である。石英ガラス等を基材とした修正すべき欠陥部を有するテンプレート21は、表面に導電膜22を設けていることにより、電子ビーム23による欠陥部の修正時に、欠陥部に電子24が滞留することなく、位置ずれが生じない。そのため、所望の欠陥修正が可能となる。
【0032】
本発明において、テンプレート21の光透過性基材を構成する材料としては、光学研磨された合成石英ガラス、ソーダガラス、蛍石、フッ化カルシウムなどが挙げられるが、合成石英ガラスは、フォトマスク用基板としての使用実績が高く品質が安定しており、凹凸パターンを設けることにより一体化した光透過性の構造とすることができ、高精度の微細な凹凸パターンを形成できるので、より好ましい。
【0033】
本発明において、光透過性基材の一主面を掘り込んで形成したテンプレート21の凹凸パターンの凹部の深さは、被加工基板に転写形成するレジストパターンの所望するパターン厚さに依存するが、例えば、凹凸パターンの凹部の深さが20nm〜100nmの範囲で用いられる。
【実施例】
【0034】
(実施例1)
石英ガラス上にスパッタリング法により石英エッチングマスク膜としてクロム膜を10nmの厚さに成膜した。次に、クロム膜上に電子線レジストを塗布し、電子線描画し、現像して、ラインパターンのレジストパターンを形成した。
【0035】
次に、レジストパターンをマスクとして、クロム膜を塩素と酸素の混合ガス、石英ガラスをCF4ガスで順にドライエッチングした後、レジストパターンとクロム膜を剥離して、石英ガラスに凹凸パターンからなるラインパターンを形成したテンプレートを作製した。
【0036】
作製したテンプレートのパターンの凹部の深さは50nmとした。ラインパターンは、凹部の幅40nm、ピッチ80nmの複数のラインアンドスペースパターンと、凹部の幅20nm、ピッチ40nmの複数のラインアンドスペースパターンとの2つのパターンとした。
【0037】
上記の作製したテンプレートを欠陥検査装置で検査したところ、除去すべき石英ガラスの残りである黒欠陥部が検出された。
そこで上記のテンプレートを洗浄し、黒欠陥部を含むテンプレートの一主面上にポリアニリンスルホン酸を主成分とする水溶性導電性高分子aquaSAVE(登録商標:三菱レイヨン社製)を塗布し乾燥して、厚さ30nmの導電膜を形成した。
【0038】
次に、上記の導電膜を形成したテンプレートを走査型電子顕微鏡機能を備えた電子ビームマスク修正装置MeRit MG(登録商標;カールツアイス社製)内に設置し、上記の欠陥検査装置の検査データをもとにして水溶性導電性高分子に覆われたテンプレート上の黒欠陥部を検出し、欠陥部の修正すべき領域を決定した。
【0039】
続いて、上記の修正すべき領域に水蒸気ガスを吹きつけながら電子ビームを照射し、修正すべき領域の導電膜部分を除去し、黒欠陥部を露出させた。
【0040】
次に、露出させた黒欠陥部にエッチングアシストガスとしてフッ化キセノン(XeF2)ガスを吹き付けながら加速電圧1kVで電子ビームを照射し、黒欠陥部をエッチング除去して欠陥を修正した。
【0041】
次に、導電膜をアルカリ現像液で剥離除去し、洗浄し、黒欠陥部を修正した欠陥の無いラインアンドスペースパターンを設けたテンプレートを得た。
【0042】
(実施例2)
実施例1と同様にして、石英ガラスに凹凸パターンからなるラインパターンを形成したテンプレートを作製した。
【0043】
上記の作製したテンプレートを欠陥検査装置で検査したところ、石英ガラスの残りよりなる黒欠陥部とラインパターンの一部が欠落した白欠陥部が検出された。
そこでこのテンプレートを洗浄し、実施例1と同様に、欠陥部を含むテンプレートの一主面上に水溶性導電性高分子aquaSAVEを塗布し乾燥して、厚さ20nmの導電膜を形成した。
【0044】
次に、上記の導電膜を形成したテンプレートを走査型電子顕微鏡機能を備えたイオンビーム修正装置内に設置し、上記の欠陥検査装置の検査データをもとにして水溶性導電性高分子に覆われたテンプレート上の黒欠陥部と白欠陥部を検出し、欠陥部の修正すべき領域を決定した。
【0045】
続いて、上記の修正すべき領域に水蒸気ガスを吹きつけながらイオンビームを照射し、修正すべき領域の導電膜部分を除去し、黒欠陥部と白欠陥部を露出させた。
【0046】
次に、露出させた白欠陥部にデポジション用ガスとしてフェナントレンを吹き付けながらイオンビームを照射し、白欠陥部に修正膜を堆積して欠陥を修正した。
次に、露出させた黒欠陥部にエッチングアシストガスとしてフッ化キセノンガスを吹き付けながらイオンビームを照射し、黒欠陥部をエッチングして欠陥を修正した。
【0047】
次に、導電膜を剥離除去し、洗浄し、黒欠陥部と白欠陥部を修正した欠陥の無いラインアンドスペースパターンを設けたテンプレートを得た。
【符号の説明】
【0048】
21 テンプレート
22 導電膜
23 電子ビーム
24 電子
33 電子ビーム
34 滞留した電子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性基材の一主面に凹凸パターンを形成したナノインプリント用テンプレートの黒欠陥部を荷電ビームにより修正するナノインプリント用テンプレートの欠陥修正方法であって、
前記テンプレートの前記欠陥部を含む一主面上に導電性高分子を塗布して導電膜を形成する工程と、
前記導電膜を形成した前記テンプレートを走査型電子顕微鏡を有する装置内に設置し、欠陥検査装置の検査データをもとにして前記欠陥部を検出し、前記欠陥部の修正すべき領域を決定する工程と、
前記修正すべき領域に荷電ビームを照射し、修正すべき領域の前記導電膜部分を除去し、前記欠陥部を露出させる工程と、
前記露出させた欠陥部にエッチングアシストガスを吹き付けながら前記荷電ビームを照射し、前記欠陥部をエッチングして修正する工程と、
前記導電膜を除去する工程と、
を有することを特徴とするナノインプリント用テンプレートの欠陥修正方法。
【請求項2】
光透過性基材の一主面に凹凸パターンを形成したナノインプリント用テンプレートの白欠陥部を荷電ビームにより修正するナノインプリント用テンプレートの欠陥修正方法であって、
前記テンプレートの前記欠陥部を含む一主面上に導電性高分子を塗布して導電膜を形成する工程と、
前記導電膜を形成した前記テンプレートを走査型電子顕微鏡を有する装置内に設置し、欠陥検査装置の検査データをもとにして前記欠陥部を検出し、前記欠陥部の修正すべき領域を決定する工程と、
前記修正すべき領域に荷電ビームを照射し、修正すべき領域の前記導電膜部分を除去し、前記欠陥部を露出させる工程と、
前記露出させた欠陥部にデポジション用ガスを吹き付けながら前記荷電ビームを照射し、前記欠陥部に修正膜を堆積して修正する工程と、
前記導電膜を除去する工程と、
を有することを特徴とするナノインプリント用テンプレートの欠陥修正方法。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の前記修正すべき領域に荷電ビームを照射し、修正すべき領域の前記導電膜部分を除去し、前記欠陥部を露出させる工程において、
前記修正すべき領域の前記導電膜部分に、荷電ビーム照射によりOHイオンを生じるガスまたはフッ化キセノンガスを吹きつけながら荷電ビームを照射して前記欠陥部を露出させることを特徴とするナノインプリント用テンプレートの欠陥修正方法。
【請求項4】
前記荷電ビームが電子ビームまたはイオンビームであることを特徴とする請求項1から請求項3までのうちのいずれか1項に記載のナノインプリント用テンプレートの欠陥修正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−110330(P2013−110330A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255673(P2011−255673)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】