ナビゲーションシステムおよび案内経路の生成方法
【課題】ナビゲーション装置に大幅な機能の追加をすることなく、旅行情報誌や飲食情報誌の発行者などに余計な負担と感じさせることがないように、ユーザが旅行情報誌や飲食情報誌などに掲載されるスポットを容易に案内地点として設定することを可能にすること。
【解決手段】ナビゲーションシステム1の携帯入力装置4は、案内地点を掲載する印刷物5であって、その案内地点の掲載紙面において所定の読取パターン13が重ねて印刷される印刷物5を読み取ることで、読取位置の座標値を生成する。ナビゲーション本体2の取得手段134は、この携帯入力装置4が生成する座標値に対応付けられる、携帯入力装置4の読取位置に印刷される案内地点の緯度経度データ101を携帯電子記録媒体6から取得する。ナビゲーション本体2は、この緯度経度データ101を用いて案内地点への案内経路を生成する。
【解決手段】ナビゲーションシステム1の携帯入力装置4は、案内地点を掲載する印刷物5であって、その案内地点の掲載紙面において所定の読取パターン13が重ねて印刷される印刷物5を読み取ることで、読取位置の座標値を生成する。ナビゲーション本体2の取得手段134は、この携帯入力装置4が生成する座標値に対応付けられる、携帯入力装置4の読取位置に印刷される案内地点の緯度経度データ101を携帯電子記録媒体6から取得する。ナビゲーション本体2は、この緯度経度データ101を用いて案内地点への案内経路を生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーションシステムおよび案内経路の生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、コンテンツ提供システムを開示する。ユーザは、新聞、雑誌などの印刷物上に印刷されたコンテンツ中の所望のコンテンツを選択する。印刷物には、そのページ情報及び位置情報に対応付けられたドットパターンが形成されており、ユーザが電子ペンでコンテンツを指定すると、そのコンテンツに対応するコンテンツIDが特定される。コンテンツ提供サーバは、ユーザが指定したコンテンツのデータをデータベースから取得し、ユーザの端末へ送信する。コンテンツの指定及び要求を、電子ペンによる指定のみで行うことができるので、パーソナルコンピュータやウェブ閲覧に関する知識の少ないユーザでも容易かつ迅速にコンテンツを取得することができる。
【0003】
【特許文献1】特開2004−21899号公報(要約、発明の詳細な説明など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両などに搭載されるナビゲーション装置は、それが記憶する目的地リストの中から目的地が選択されると、その目的地の緯度経度データを用いて案内経路を生成する。ユーザは、ナビゲーション装置のユーザI/F(インタフェース)を操作して、目的地リストの中から所望の目的地を選択しなければならない。
【0005】
また、車両などに搭載されるナビゲーション装置では、目的地リストに記憶されていない地点も、目的地として選択することができる。この場合、ユーザは、たとえばナビゲーション装置に地図を表示させ、地図の表示を切り替えながら所望の目的地の所在地を探し、その上で、その所在地を目的地として選択する操作をしなければならない。この操作は、上述した目的地リストの中から目的地を選択する場合にくらべて煩雑である。しかも、ユーザは、所望の目的地の正確な所在地などを知らなければ、ナビゲーション装置においてその所望の地点を目的地として設定することができない。
【0006】
ところで、ユーザがナビゲーション装置に設定する目的地あるいは設定したい目的地は、一般的に、旅行情報誌や飲食情報誌などに掲載されている場所である。このような情報源による目的地をナビゲーション装置に設定する場合、大半のユーザは、まずナビゲーション装置の目的地リストの中に所望の目的地が含まれているか否かを確認する。そして、目的地リストの中に所望の目的地が含まれていない場合には、ユーザは、さらに、たとえば、情報誌に掲載されている簡略化された地図などを頼りにナビゲーション装置に対応する地図を表示させ、地図上で目的地を選択することになる。これら一連の操作は複雑且つ面倒である。また、目的地を設定し終えるまでにそれなりの時間がかかってしまう。
【0007】
ナビゲーション装置に組み込まれる目的地リストなどのデータは、多くとも年1回程度の更新である。これに対して、情報誌などには常にその発行の時に最新のスポット(地点)の情報が掲載される。ユーザは、ナビゲーション装置のデータを最新のものに更新し続けたとしても、低くない確率により、目的地リストの中に所望の目的地が含まれていない場合に遭遇する。目的地を設定する度に目的地リストの中に所望の目的地が含まれていない状態に至ってしまうと、ユーザは、ナビゲーション装置が使えないと感じてしまったり、目的地を設定すること自体を諦めてしまったりする。
【0008】
そこで、特許文献1に開示されるコンテンツ提供システムの技術などを流用し、たとえばナビゲーション装置にHDD(ハードディスクドライブ)を設け、ナビゲーション装置をインターネット接続可能なものとし、雑誌に掲載される最新のスポットなどの目的地情報をインターネット上のサーバなどから提供することが考えられる。これにより、旅行情報誌や飲食情報誌などに掲載される地点の情報がナビゲーション装置において利用可能となる。ナビゲーション装置は、自身の目的地リストに含まれない、ユーザが望む掲載地点の緯度経度データを取得し、案内経路を生成することができる。
【0009】
しかしながら、このようなナビゲーション装置では、HDDやインターネット接続のための通信I/Fなどが必須となる。そのため、ナビゲーション装置に大幅な機能の追加が必要となり、ナビゲーション装置のベース価格が高価になってしまう。
【0010】
しかも、旅行情報誌や飲食情報誌などは、週毎、月毎にあるいは季節毎に発行される。ナビゲーション装置の大容量のHDDやインターネット上のサーバに、このように乱刊される旅行情報誌や飲食情報誌などに掲載される多数の掲載地点の情報を整理して保存することは困難である。ナビゲーション装置やサーバのデータ容量や、データ更新の管理などに問題が生じてしまう。サービスの開始当初は良くても、数年後には破綻を来たしてしまうと予想される。
【0011】
また、蓄積された多数の情報誌の多数の掲載地点の情報の中から、電子ペン4などにより生成される目的地選択の筆跡データのみで、所定の情報誌のユーザが選択した掲載地点の緯度経度データを抽出する処理をさせることは実現不可能に近く、仮にできたとしても煩雑な処理になると予想される。
【0012】
以上の理由により、旅行情報誌や飲食情報誌などに掲載される掲載地点の緯度経度データ(ナビゲーション装置で利用可能な緯度経度データ)をインターネットなどのネットワークから提供することは、普及しづらいと考えられる。旅行情報誌や飲食情報誌の発行者などにとっては、旅行情報誌や飲食情報誌などの掲載記事をナビゲーション装置に対応させるためのメリット(売り)よりも、デメリット(手間)の方が上回るように感じられてしまう。
【0013】
本発明は、ナビゲーション装置に大幅な機能追加をすることなく、旅行情報誌や飲食情報誌の発行者などに余計な負担と感じさせることがないように、ユーザが旅行情報誌や飲食情報誌などに掲載される掲載地点を容易に案内地点として設定することを可能にするナビゲーションシステムおよび案内経路の生成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係るナビゲーションシステムは、案内地点設定に基づいてその案内地点への案内経路を生成するナビゲーション本体と、印刷物に印刷される所定のパターンを読み取り、その読取位置の座標値を生成する携帯入力装置と、地点を掲載する印刷物であって、その掲載地点の記事が掲載される紙面において所定の読取パターンが重ねて印刷される印刷物と、印刷物に印刷される所定の読取パターンに対応する座標値と印刷物においてその所定の読取パターンと重ねて印刷される掲載地点の緯度経度データとを対応付けて記憶する携帯電子記録媒体と、ナビゲーション本体において実現され、携帯入力装置により印刷物を読み取ることで携帯入力装置が生成する座標値に対応付けられる緯度経度データを、携帯電子記録媒体から取得する取得手段と、を有する。そして、ナビゲーション本体は、取得手段により取得される緯度経度データを用いて、携帯入力装置により読み取られた掲載地点への案内経路を生成する。
【0015】
本発明に係るナビゲーションシステムは、上述した発明の構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、携帯電子記録媒体は、印刷物の付属物として印刷物とともにユーザへ提供されるものである。
【0016】
本発明に係るナビゲーションシステムは、上述した発明の構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、携帯電子記録媒体は、印刷物の付属物として印刷物とともにユーザへ提供されるものであり、且つ、その印刷物における所定の読取パターンに対応する座標値と掲載地点の緯度経度データとの対応付けのデータのみを記憶するものである。
【0017】
本発明に係るナビゲーションシステムは、上述した発明の各構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、ナビゲーション本体は、携帯入力装置が生成する座標値を携帯入力装置から読み込んだ場合に、ナビゲーション本体に携帯電子記録媒体が装着されているか否かを判断する装着判断手段を有する。そして、取得手段は、装着判断手段により携帯電子記録媒体が装着されていると判断された場合に、携帯入力装置から読み込んだ座標値を用いて、携帯電子記録媒体から掲載地点の緯度経度データを取得する。
【0018】
本発明に係る案内経路の生成方法は、印刷物に掲載される掲載地点への案内経路の生成方法である。そして、この案内経路の生成方法は、地点を掲載する印刷物であって、その掲載地点の記事が掲載される紙面において携帯入力装置が読取可能な所定の読取パターンが重ねて印刷される印刷物の、その所定のパターンを携帯入力装置により読み取ることで携帯入力装置が生成する読取位置の座標値を取得する第一の取得ステップと、印刷物に印刷される所定の読取パターンに対応する座標値と印刷物においてその所定の読取パターンと重ねて印刷される掲載地点の緯度経度データとを対応付けて記憶する携帯電子記録媒体から、第一の取得ステップにおいて取得した座標値に対応付けられている掲載地点の緯度経度データを取得する第二の取得ステップと、第二の取得ステップにおいて取得された掲載地点の緯度経度データを用いて、携帯入力装置により読み取られた掲載地点への案内経路を生成するステップと、を有するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、ナビゲーション装置に大幅な機能追加をすることなく、旅行情報誌や飲食情報誌の発行者などに余計な負担と感じさせることがないように、ユーザが旅行情報誌や飲食情報誌などに掲載される掲載地点を容易に案内地点として設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態に係るナビゲーションシステムおよび案内経路の生成方法を、図面に基づいて説明する。ナビゲーションシステムは、自動車などの車両に用いられるカーナビゲーションシステムを例に説明する。案内経路の生成方法は、カーナビゲーションシステムの動作の一部として説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施の形態に係るカーナビゲーションシステム1を示す構成図である。カーナビゲーションシステム1は、自動車などの車両に設置されるナビゲーション装置としてのナビゲーション本体2と、ナビゲーション本体2とUSB(Universal Serial Bus)ケーブル3により接続可能な、携帯入力装置としての電子ペン4と、旅行情報誌や飲食情報誌などの印刷物としての情報誌5と、情報誌5と共に提供される、携帯電子記録媒体としての付録メモリカード6と、を有する。USBケーブル3は、通信ケーブルの一種である。
【0022】
情報誌5は、たとえば所定の地域の観光地を掲載する雑誌であり、電子ペン4で読取可能な座標パターンが印刷された複数枚の専用シート11を製本したものである。図2は、図1中の情報誌5中の1枚の専用シート11の紙面を示す図である。図3は、図2の専用シート11の部分断面図である。
【0023】
情報誌5に用いられる専用シート11は、赤外線を反射する光学特性を有するシートである。そして、各専用シート11の紙面には、図3に示すように、赤外線を吸収するインクと、赤外線を透過するインクとが印刷される。専用シート11には、まず、赤外線を吸収するインクにより、所定のパターンとしての、複数のドット12による複数の座標パターン13が印刷される。さらにその上に、赤外線を透過するインクにより、その情報誌5が紹介する掲載地点の記事21が印刷される。
【0024】
情報誌5の各専用シート11の紙面に、赤外線を吸収するインクにより印刷される複数の座標パターン13のそれぞれは、電子ペン4により読み取り可能な解像度のパターンであり、たとえば6×6個のドット12により構成されている。複数の座標パターン13の複数のドット12は、図2において複数の点として表すように、紙面の全面に印刷される。複数の座標パターン13は、赤外線を透過するインクにより印刷される記事21の下に重ねて印刷される。
【0025】
図4は、各専用シート11における複数の座標パターン13の印刷状態の一例を示す説明図である。図4において、複数の座標パターン13を構成する複数のドット12は、略0.3ミリメートル間隔で、縦横に配列されている。そして、1つの座標パターン13は、6×6個のドット12により構成される。各ドット12は、図4中の所定の一定間隔毎の縦基準線と横基準線との交点の位置を基準として、上下左右のいずれか1つの方向(すなわち、4つの方向の中の1つの方向)へ少しずれた位置に印刷される。そして、各座標パターン13における6×6個の合計36個のドット12のずれ方向の組合せは、複数の座標パターン13の中で唯一なものとされる。複数のドット12の中から6×6個のドット12を選んだとき、その36個のドット12のずれ方向の組合せは、他のすべての36個のドット12によるずれ方向の組合せと異なるものとすることができる。
【0026】
このように各座標パターン13における複数のドット12の配置が、その他のすべての座標パターン13とは異なる配置となることで、複数の座標パターン13は、少なくともその紙面において互いを区別することができる。この複数の座標パターン13の中で唯一となる36個のドット12のずれ方向の組合せにより、各座標パターン13には、ユニークな座標値を対応付けることができる。
【0027】
なお、6×6個のドット12で構成される複数の座標パターン13は、たとえば1つの情報誌5において互いに異なるものであってもよい。この場合、各座標パターン13は、その情報誌5において互いを区別することができる。各座標パターン13には、情報誌5においてユニークな座標値を対応付けることができる。
【0028】
各座標パターン13に対応付けられる座標値は、専用シート11の紙面中の位置、あるいは情報誌5中の位置を示すものである。記事21と重ねて印刷される複数の座標パターン13から変換される複数の座標値は、紙面上の位置に応じて互いに異なる値をとる。複数の座標パターン13には、たとえば専用シート11の紙面の左上隅を基準(0,0)とする、X,Yの二次元の座標値の座標データが対応付けられる。図2の紙面では、紙面の横方向がX軸であり、紙面の縦方向がY軸である。
【0029】
なお、複数の座標パターン13に情報誌5中の位置を対応付ける場合には、たとえば1冊の情報誌5のすべての紙面を1つの大きな紙面上に並べたと仮定した状態において、その大きな紙面の左上隅を基準(0,0)とする、X,Yの二次元の座標値の座標データに対応付ければよい。このような座標値を対応付けることで、複数の座標パターン13により、各専用シート11中での位置のみならず、情報誌5中でのその専用シート11(ページ)をも特定することができる。
【0030】
複数の座標パターン13が印刷された情報誌5の各専用シート11の紙面には、さらに、赤外線を透過するインクにより、情報誌5が紹介する掲載地点の記事21が印刷される。図2の専用シート11の紙面の例では、赤外線を透過するインクにより、5つの観光地の記事が、その観光地の写真あるいは所在地を示す地図付きで印刷されている。各観光地の記事は、仕切り線14により互いに重ならないように分けて、専用シート11の別々の領域に印刷される。
【0031】
図5は、図1中の電子ペン4の構成を示すブロック図である。電子ペン4は、ボールペン軸31、筆圧センサ32、赤外線LED(Light Emitting Diode)33、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ34、USBケーブル3が接続されるUSBI/F(USBインタフェース)35、時刻情報を生成するタイマ36、不揮発性メモリ37、マイクロコンピュータ38などを有する。電子ペン4は、図1に示すように、細長い棒形状のハウジング39を有する。
【0032】
なお、電子ペン4や後述するナビゲーション本体2は、USBI/F35の代わりに、たとえばブルートゥースなどの無線通信I/Fを備えるものであってもよい。また、タイマ36は、電子ペン4がたとえばリセットされてからの経過時間などを時刻として計測するものであってもよい。不揮発性メモリ37は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)などで構成されていればよい。
【0033】
ボールペン軸31は、この細長い棒形状のハウジング39の一端部に、突出して配設される。筆圧センサ32は、ボールペン軸31に作用する筆圧を検出する。筆圧センサ32は、検出した筆圧値をマイクロコンピュータ38へ出力する。
【0034】
赤外線LED33およびCMOSセンサ34は、ハウジング39の一端部において、ボールペン軸31の配設位置の周囲に配設される。赤外線LED33は、ボールペン軸31の先端が紙面に触れるとき、その接触部位およびその周囲の部位へ赤外線を照射する。CMOSセンサ34は、紙面のその接触部位およびその周囲の部位により反射される赤外線を受光する。CMOSセンサ34は、受光した赤外線の強度分布データを、マイクロコンピュータ38へ出力する。
【0035】
マイクロコンピュータ38は、図示外のメモリ、CPU(Central Processing Unit)、入出力ポートなどを有する。入出力ポートには、筆圧センサ32、赤外線LED33、CMOSセンサ34、USBI/F35、タイマ36、不揮発性メモリ37などが接続される。電子ペン4のCPUは、メモリなどから図示外の制御プログラムを読み込んで実行する。これにより、電子ペン4のマイクロコンピュータ38には、読取データ生成部41と、読取データ送信部42と、が実現される。
【0036】
読取データ生成部41は、CMOSセンサ34により撮像される座標パターン13を紙面中の座標値へ変換し、複数の座標値の読取座標データを有する読取データ46を生成する。読取データ生成部41は、生成した読取データ46を不揮発性メモリ37に記憶させる。
【0037】
図6は、図5中の不揮発性メモリ37に記憶される読取データ46のデータ構造の一例を示す図である。読取データ46は、通常、複数のレコードで構成される。図6では、横一列が1つのレコードに相当する。読取データ46の各レコードは、読取座標データ51と、ペン圧レベルデータ52と、読取時刻データ53と、を有する。読取座標データ51は、CMOSセンサ34により撮像される座標パターン13から得られる座標値を有する座標データであり、X,Yの二次元の座標データである。ペン圧レベルデータ52は、筆圧センサ32が検出した筆圧値を有するデータである。読取時刻データ53は、座標パターン13から座標値が読み取られたときの、タイマ36が計測する時刻を有するデータである。図6の読取データ46は、図6の筆跡データの欄に示すように、1つの筆跡データにより構成される。各筆跡データは、複数のレコードにより構成されている。図6の筆跡データの複数のレコードは、図2中の筆跡15により紙面を読み取ることで生成される。なお、読取データ46は、複数の筆跡データにより構成されていてもよい。
【0038】
読取データ送信部42は、図5中の不揮発性メモリ37に記憶される読取データ46を、USBI/F35にUSBケーブル3により接続される機器へ送信する。図1のカーナビゲーションシステム1では、電子ペン4のUSBI/F35には、USBケーブル3によりナビゲーション本体2が接続される。したがって、読取データ送信部42は、ナビゲーション本体2へ、不揮発性メモリ37に記憶される読取データ46を送信する。
【0039】
図7は、図1中のナビゲーション本体2の構成を示すブロック図である。ナビゲーション本体2は、ジャイロセンサ61、GPS(Global Positioning System)受信機62、HDD(ハードディスクドライブ)63、キーデバイス64、タッチパネル65、液晶デバイス66、一時メモリ67、USBI/F68、カードI/F69、マイクロコンピュータ70などを有する。また、図7中には、情報誌5とともに提供される付録メモリカード6が、ナビゲーション本体2に挿入された状態で記述されている。
【0040】
図1に示すように、ナビゲーション本体2のフロントパネルには、液晶デバイス66と、キーデバイス64の複数の入力ボタン60と、メモリカード挿入口73と、が配設される。また、液晶デバイス66の表示部上には、タッチパネル65が配設される。フロントパネルの裏側には、図示外のCD挿入口と、USBI/F68と、が配設される。このUSBI/F68には、電子ペン4のUSBI/F35に接続されたUSBケーブル3が接続可能である。情報誌5とともに提供される付録メモリカード6は、メモリカード挿入口73から、ナビゲーション本体2に装着される。
【0041】
ジャイロセンサ61は、そのX軸,Y軸およびZ軸の3軸方向での加速度を検出する。つまり、ジャイロセンサ61は、ナビゲーション本体2が配設される自動車の3軸方向での加速度を検出する。
【0042】
GPS受信機62は、GPS衛星が送信するGPS電波を受信し、緯度経度データを生成する。つまり、GPS受信機62は、ナビゲーション本体2が配設される自動車の緯度経度データを生成する。
【0043】
HDD63は、ナビゲーション本体2が単独で経路探索および経路案内を実行するために必要となるデータを記憶する。このようなデータとしては、たとえば、ナビゲーションデータ71、目的地設定やルート補正に基づく案内経路データ72などがある。
【0044】
ナビゲーションデータ71は、たとえば表示地図データ、複数のノードデータ、複数のリンクデータ、複数のランドマークデータなどを有する。
【0045】
ナビゲーションデータ71中の表示地図データは、液晶デバイス66に道路地図を表示するためデータであり、たとえば所定の縮尺での日本全国の道路地図をデータ化したものである。ナビゲーションデータ71中の表示地図データは、たとえば所定のメッシュサイズでの複数のテクスチャデータにより構成される。各テクスチャデータには、そのテクスチャデータの位置を示す緯度経度データなどが対応付けられている。
【0046】
ナビゲーションデータ71中のノードデータは、表示地図データが網羅する地域中の自動車が通過可能な道路の交差点や曲がり角のデータである。ノードデータは、固有のノード名や、それが対応する交差点や曲がり角の緯度経度データなどを有する。また、ノードデータには、対応する交差点などの交差点名などが属性情報として対応付けられている。
【0047】
ナビゲーションデータ71中のリンクデータは、交差点と交差点とを結ぶ道路区間に対応付けられるデータである。リンクデータは、固有のリンク名や、それが接続される複数のノードのノード名などが対応付けられる。また、ノードデータおよびリンクデータには、対応する道路の道路名(たとえば国道○○号線、県道△△号線など)などが属性情報として対応付けられている。
【0048】
ナビゲーションデータ71中のランドマークデータは、表示地図データが網羅する地域中の施設や場所、たとえばコンビニエンスストア、ガソリンスタンド、銀行などの金融機関、学校、神社などに対応付けられるデータである。ランドマークデータに記憶されるこれらコンビニエンスストア、学校、神社などの施設や場所は、ナビゲーション本体2が目的地リストにより選択可能な地点として提示することができる案内地点である。ランドマークデータは、たとえば対応するランドマークの名称、種類、緯度経度などの属性情報を有する。
【0049】
カードI/F69は、メモリカード挿入口73からナビゲーション本体2へ挿入された付録メモリカード6からデータを読み込む。付録メモリカード6は、たとえば情報誌5の付録として提供される。付録メモリカード6は、たとえばフラッシュメモリカードなどの半導体メモリおよびデータ入出力I/Fを有する半導体メモリメディアである。付録メモリカード6は、付属する情報誌5における所定の座標値の範囲のデータ102と、付属する情報誌5の掲載地点の緯度経度データ101とを対応付ける座標変換テーブル84のみを記憶する。
【0050】
図8は、図7中の付録メモリカード6に記憶される座標変換テーブル84のデータ構造の一例を示す図である。座標変換テーブル84は、ナビゲーションデータ71と整合性があり、このナビゲーションデータ71と組合せて利用可能な複数の緯度経度データ101を記憶する。また、各緯度経度データ101には、座標値の範囲を示すデータ102が対応付けられる。
【0051】
図8の座標変換テーブル84は、5つの緯度経度データ101を有する。この5つの緯度経度データ101は、図2の専用シート11の紙面に掲載される5つの掲載地点の緯度経度の値を有する。また、各緯度経度データ101には、情報誌5の紙面と整合する座標値の範囲のデータ102が対応付けられている。この5つの座標値の範囲は、図2の紙面において、仕切り線14により仕切られた5つの範囲(エリア)にそれぞれ対応する。各座標値の範囲のデータ102は、それぞれが対応する記事21の座標範囲の値を有する。具体的にはたとえば、図8中の最も上の記事に掲載される掲載地点の緯度経度値を有する緯度経度データ101に対応する座標値の範囲のデータ102は、図2の紙面の上三分の一の範囲(図2中の符号16で示す範囲)に相当する、座標パターン13の座標値の範囲の値を有する。
【0052】
一時メモリ67は、たとえばフラッシュメモリなどの半導体メモリなどにより構成される。一時メモリ67は、受信読取データ90、抽出地点データ91などを記憶する。受信読取データ90は、ナビゲーション本体2が電子ペン4から受信する読取データ46と同じ内容のデータである。
【0053】
図9は、図7中の一時メモリ67に記憶される抽出地点データ91のデータ構造の一例を示す図である。抽出地点データ91は、受信読取データ90に基づいて抽出される1つの地点または複数の地点の緯度経度データ111を有する。図9の抽出地点データ91は、1つの地点の緯度経度データ111を有する。
【0054】
ナビゲーション本体2のマイクロコンピュータ70は、図示外のメモリ、CPU、入出力ポートなどを有する。入出力ポートには、ジャイロセンサ61、GPS受信機62、HDD63、キーデバイス64、タッチパネル65、液晶デバイス66、一時メモリ67、USBI/F68などが接続される。ナビゲーション本体2のCPUは、メモリなどから図示外の制御プログラムを読み込んで実行する。これにより、ナビゲーション本体2のマイクロコンピュータ70には、現在位置データ生成部131と、案内経路生成手段としてのUI(User Interface)部132と、読取データ受信部133と、取得手段、データ入出力手段および装着判断手段としての読取データ処理部134と、が実現される。
【0055】
なお、このナビゲーション本体2のマイクロコンピュータ70が実行する制御プログラムは、ナビゲーション本体2の出荷前に、マイクロコンピュータ70のメモリなどに記憶されたものであっても、ナビゲーション本体2の出荷後に、マイクロコンピュータ70のメモリなどに記憶されたものであってもよい。また、制御プログラムの一部が、ナビゲーション本体2の出荷後に、マイクロコンピュータ70のメモリなどに記憶されたものであってもよい。ナビゲーション本体2の出荷後に、マイクロコンピュータ70のメモリなどに記憶される制御プログラムは、たとえばCD−ROMなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に記憶されているものをインストールしたものであっても、インターネットなどの伝送媒体を介してダウンロードしたものをインストールしたものであってもよい。上述した電子ペン4のマイクロコンピュータ38が実行する制御プログラムについても、同様である。
【0056】
現在位置データ生成部131は、GPS受信機62が生成する緯度経度データや、ジャイロセンサ61が生成する加速度データに基づいて、ナビゲーション本体2が設置される自動車の現在位置データを生成する。現在位置データは、現在位置の緯度経度の値を有する。
【0057】
UI部132は、一時メモリ67に記憶される抽出地点データ91や、ナビゲーション本体2において設定された目的地などに基づいて、案内経路データ72を生成したり、液晶デバイス66の表示を制御したりする。UI部132は、たとえばキーデバイス64やタッチパネル65からの入力データに基づいて、HDD63や一時メモリ67にアクセスし、新たな表示データを生成する。UI部132は、表示データに基づく画像を液晶デバイス66に表示させる。UI部132が液晶デバイス66に表示させる表示画面としては、探索した案内経路の全体像を示す表示画面、それぞれの地点における進行方向などを示す経路案内画面などがある。
【0058】
読取データ受信部133は、ナビゲーション本体2のUSBI/F68を用いて、電子ペン4が送信する読取データ46を受信する。読取データ受信部133は、受信した読取データ46を一時メモリ67に記憶させる。一時メモリ67は、読取データ受信部133が受信した読取データ46を、受信読取データ90として記憶する。
【0059】
読取データ処理部134は、受信読取データ90から抽出地点データ91を生成し、一時メモリ67に記憶させる。
【0060】
次に、以上の構成を有するカーナビゲーションシステム1の動作を説明する。以下においては、まず、電子ペン4により情報誌5の1つの掲載地点を読み取り、読み取られた掲載地点への案内経路を、ナビゲーション本体2の液晶デバイス66に表示する動作を説明する。具体的には、図2の専用シート11の上部に、電子ペン4により丸印を記入した場合の動作を例として説明する。
【0061】
まず、ユーザは、電子ペン4により情報誌5をチェックする。情報誌5のページには、図2に示すように、複数の観光地の記事21が印刷されている。ユーザは、たとえば、電子ペン4のペン先(ボールペン軸31の先端)により、行きたい観光地(ここでは図2上部に掲載される観光地)の記事21に丸印をつける。
【0062】
電子ペン4の読取データ生成部41は、筆圧センサ32から所定の閾値以上の筆圧値が入力されると赤外線の照射処理を開始し、筆圧値が所定の閾値未満になると赤外線の照射処理を終了する。具体的には、読取データ生成部41は、各観光地がチェックされるとき、赤外線の照射処理を実行する。
【0063】
この赤外線の照射処理において、読取データ生成部41は、赤外線LED33により赤外線を発光させる。赤外線LED33が出力する赤外線は、紙面のペン先が当たる部位により反射される。情報誌5の紙面において、各観光地の記事21には、複数のドット12により構成される座標パターン13が重ねて印刷される。複数のドット12は、その配列により赤外線を吸収する。また、専用シート11は、赤外線を反射する。CMOSセンサ34は、ドット12により吸収されずに紙面により反射された赤外線を受光する。CMOSセンサ34は、赤外線の強度分布データを、マイクロコンピュータ38により実現される読取データ生成部41へ供給する。
【0064】
CMOSセンサ34から赤外線の強度分布データが供給されると、読取データ生成部41は、その画像を解析する。すなわち、読取データ生成部41は、まず、画像中の座標パターン13を特定する。次に、読取データ生成部41は、所定のアルゴリズムにより、特定した座標パターン13から、その座標パターン13に対応する固有の座標値を得る。
【0065】
座標値を得た後、読取データ生成部41は、タイマ36から時刻情報を取得し、筆圧センサ32から筆圧値を取得する。読取データ生成部41は、取得した座標値、筆圧値および時刻情報を、不揮発性メモリ37に記憶させる。不揮発性メモリ37は、読取データ生成部41から供給されるこの3つのデータを、読取データ46の1つのレコードとして、読取データ46へ追加する。
【0066】
なお、情報誌5にたとえばリセットマークや決定マークなどのマークが印刷されている場合、読取データ生成部41は、取得した座標値がこれらのマークと重なる座標値の範囲内のものであるか否かを判断し、取得した座標値がその範囲内である場合には、不揮発性メモリ37に記憶される読取データ46の消去処理や、読取データ46への追加処理を終了する(読取データ46のロック処理をする)ようにしてもよい。
【0067】
以上の情報誌5および電子ペン4を用いた目的地設定のための読取作業を終えると、電子ペン4の不揮発性メモリ37には、図6の読取データ46が記憶される。ユーザは、電子ペン4とナビゲーション本体2とをUSBケーブル3で接続する。また、ユーザは、情報誌5に付属する付録メモリカード6を、ナビゲーション本体2へ装着する。
【0068】
USBケーブル3により電子ペン4とナビゲーション本体2とが接続されると、電子ペン4のUSBI/F35と、ナビゲーション本体2のUSBI/F68との間で、たとえばUSBマスストレージクラスなどにより、データの送受信が可能な状態となる。電子ペン4の読取データ送信部42は、不揮発性メモリ37に記憶されている読取データ46を、ナビゲーション本体2の読取データ受信部133へ送信する。読取データ送信部42が送信した読取データ46は、電子ペン4のUSBI/F35、USBケーブル3およびナビゲーション本体2のUSBI/F68を介して、読取データ受信部133へ送信される。読取データ受信部133は、受信した読取データ46を、一時メモリ67に記憶させる。一時メモリ67は、読取データ受信部133が受信した読取データ46を、受信読取データ90として記憶する。
【0069】
一時メモリ67に新たな未処理の受信読取データ90が保存されると、読取データ処理部134は、その未処理の受信読取データ90に対する処理を開始する。
【0070】
図10は、図7中の読取データ処理部134が未処理の受信読取データ90に対して実行する処理の流れを示すフローチャートである。読取データ処理部134は、まず、一時メモリ67に未処理の受信読取データ90が保存されているか否かを判断する(ステップST1)。
【0071】
一時メモリ67に未処理の受信読取データ90が保存されていない場合、読取データ処理部134は、この判断処理(ステップST1)を繰り返し実行する。読取データ処理部134は、未処理の受信読取データ90待ち状態となる。
【0072】
一時メモリ67に未処理の受信読取データ90が保存されている場合、読取データ処理部134は、次に、ナビゲーション本体2に付録メモリカード6が装着されているか否かを判断する(ステップST2)。ナビゲーション本体2に付録メモリカード6が装着されていない場合、読取データ処理部134は、この判断処理(ステップST2)を繰り返し実行する。読取データ処理部134は、付録メモリカード6の装着待ち状態となる。
【0073】
一時メモリ67に未処理の受信読取データ90が保存され、且つ、付録メモリカード6が装着されると、読取データ処理部134は、ステップST2でYesと判断し、案内する掲載地点の抽出登録処理を開始する。案内する掲載地点の抽出登録処理において、読取データ処理部134は、まず、処理判断に用いたレコード以外の、未処理の受信読取データ90の最初の1つ分の筆跡データを読み込む(ステップST3)。ここで、1つ分の筆跡データとは、たとえば一筆によって描かれる筆跡に対応するデータである。
【0074】
すなわち、情報誌5上に電子ペン4により目的地などを書込む動作において、ある筆跡の書込みから、次の筆跡の書込みまでには、時間がかかる。そのため、読取データ処理部134は、たとえば、連続して読み込む複数のレコードにおいて、読取時刻データ53が所定の離間時間(たとえば0.5秒や1秒程度の時間)以上の時間間隔で離間するところまで、未処理範囲内の複数のレコードを読み込む。この読込み処理により、読取データ処理部134は、目的地などの案内地点を指定するために書き込まれた一筆の筆跡データを読み込むことができる。つまり、読取データ処理部134は、読取データ46中の複数の読取座標データ51を、所定の離間時間以下の時間間隔により連続する単位で区切ることで、筆跡データを1つずつ読み込む。
【0075】
1つ分の筆跡データを読み込むと、読取データ処理部134は、読み込んだすべての読取座標データ51の座標の平均値を演算する(ステップST4)。図2中の符号15で示す略円の筆跡である場合、この座標の平均値は、その円の略中心位置の座標値となる。
【0076】
1つ分の筆跡データの座標の平均値を演算した後、読取データ処理部134は、その座標の平均値を、ナビゲーション本体2が利用可能な緯度経度データへ変換する。読取データ処理部134は、まず、カードI/F69を用いて付録メモリカード6から座標変換テーブル84を読み込む。読取データ処理部134は、読み込んだ座標変換テーブル84における複数の座標値の範囲を示すデータ102と、演算した座標の平均値とを比較し、演算した座標の平均値を含む、1つの座標値の範囲を示すデータ102を特定する。
【0077】
座標の平均値を含む1つの座標値の範囲を示すデータ102を特定すると、読取データ処理部134は、次に、座標変換テーブル84から、その特定した座標値の範囲を示すデータ102に対応付けられている緯度経度データ101を抽出する。読取データ処理部134は、抽出したその緯度経度データ101を、一時メモリ67に保存する(ステップST5)。一時メモリ67は、この緯度経度データ101を、抽出地点データ91の緯度経度データ111として記憶する。
【0078】
ステップST5による緯度経度データ111の保存処理を終えると、読取データ処理部134は、受信読取データ90の最後まで処理を終えたか否かを判断する(ステップST6)。読取データ処理部134は、たとえば受信読取データ90中に、未処理の読取座標データ51が残っているか否かを判断する。図6の読取データ46には、1つの筆跡データが記憶される。この場合、受信読取データ90中に、未処理の読取座標データ51が残っていないので、読取データ処理部134は、処理を終える。
【0079】
なお、受信読取データ90中に未処理の読取座標データ51が残っている場合、読取データ処理部134は、引き続き案内する掲載地点の特定処理を続ける。これにより、読取データ処理部134は、電子ペン4の筆跡により指定された複数の掲載地点の緯度経度データ101を、抽出地点データ91の緯度経度データ111として抽出することができる。
【0080】
以上の処理によって得られた緯度経度データ111を利用し、経路探索処理を実行することができる。図11は、図7中のUI部132による経路探索処理などの流れを示すフローチャートである。UI部132は、まず、一時メモリ67に、抽出地点データ91が記憶されているか否かを判断する(ステップST11)。
【0081】
一時メモリ67に抽出地点データ91が記憶されている場合、UI部132は、一時メモリ67から抽出地点データ91を読込み、経路探索処理を開始する(ステップST12)。UI部132は、一時メモリ67に記憶される抽出地点データ91中の掲載地点までの案内経路を探索する。具体的にはたとえば、UI部132は、現在位置データ生成部131が生成する現在位置を出発地とし、且つ抽出地点データ91中の掲載地点を目的地とする案内経路を探索する。UI部132は、ナビゲーションデータ71のノードデータおよびリンクデータを使用して案内経路を探索し、探索した案内経路をHDD63に保存する。これにより、HDD63には、案内経路データ72が記憶される。
【0082】
案内経路を探索した後、UI部132は、探索した案内経路を、液晶デバイス66に表示させる(ステップST13)。UI部132は、たとえば探索した案内経路の全体を含む縮尺の地図データを、ナビゲーションデータ71から読み込み、その読み込んだ地図上に案内経路を線により割り付けた画像を、液晶デバイス66に表示させる。
【0083】
図12は、抽出地点データ91に抽出された掲載地点までの案内経路を表示する表示画面の一例を示す図である。図12において、出発地(現在地)と目的地(電子ペン4により読み取られた掲載地点)とは四角形のマークで示され、案内経路は、太線で示される。案内経路は、表示画面の左側の出発地(現在地)から右側へ向かって移動し、表示画面の右側の目的地(電子ペン4により読み取られた掲載地点)へ向かう経路となっている。
【0084】
以上のように、ナビゲーション本体2は、電子ペン4により情報誌5から読み取られた掲載地点を目的地などとする案内経路を生成し、液晶デバイス66に表示する。UI部132は、たとえば自動車の移動開始などによる案内開始指示があると(ステップST14)、その時点でHDD63に記憶される案内経路データ72による経路で案内を開始する(ステップST15)。UI部132は、たとえば図12の画面上に、現在位置データ生成部131が生成する現在位置を示すマークを重ねて表示し、現在位置が案内経路の曲がり角などに近づくとその旨を音声などにより報知し、経路を案内する。
【0085】
以上のように、この実施の形態では、ナビゲーション本体2は、付録メモリカード6から情報誌5に掲載される掲載地点の緯度経度データ101を取得する読取データ処理部134を有する。そして、ナビゲーション本体2に付録メモリカード6のデータを読み取るための機能(カードI/F69)を設け、ユーザが情報誌5に掲載される掲載地点の記事を電子ペン4で読み取ることで、ナビゲーション本体2は、当該掲載地点を目的地などの案内地点として設定することができる。その結果、ナビゲーション本体2は、電子ペン4で読み取られた掲載地点への案内経路を生成することができる。
【0086】
また、ユーザは、情報誌5に掲載される掲載地点を電子ペン4で読み取る作業をすれば、その読取位置に掲載される掲載地点をナビゲーション本体2に案内地点として設定することができる。すなわち、ユーザは、情報誌5を電子ペン4により読み取る簡単な作業により、ナビゲーション本体2に表示される地図において目的地の位置を探したりすることなく、ナビゲーション本体2に記憶されていない所望の掲載地点を設定することができる。
【0087】
また、情報誌5に印刷される所定の座標パターン13に対応する座標値の範囲102と、情報誌5に掲載される掲載地点の緯度経度データ101とを対応付ける座標変換テーブル84は、付録メモリカード6に記憶されている。したがって、情報誌5の発行者などは、たとえばこの付録メモリカード6を情報誌5に付属して購読者へ提供することができる。また、そのような形で付録メモリカード6を提供することで、情報誌5の発行者などは、これら情報誌5毎に内容が異なる座標変換テーブル84を、インターネット上のサーバに蓄積したり、そのサーバのデータ更新を管理したりする必要は無い。情報誌5の発行者などに、余計な負担をかけないようにすることができる。
【0088】
特に、この付録メモリカード6は、情報誌5の付属物としてユーザへ提供される上に、付属する情報誌5での座標値の範囲のデータ102と、掲載地点の緯度経度データ101とを対応付ける座標変換テーブル84のみを記憶する。したがって、たとえば付録メモリカード6に情報誌5を特定する情報(情報誌名、発行月など)を表示することで、誰でも明確に、付録メモリカード6と情報誌5とを1対1に対応付けられる。ユーザが付録メモリカード6と情報誌5との対応関係を間違えてしまう可能性を限りなく少なくすることができる。また、各付録メモリカード6に記憶される座標変換テーブル84と、各情報誌5の掲載地点(印刷内容)との整合性も略確実に且つ容易に確保し、維持することができる。
【0089】
また、この実施の形態では、ナビゲーション本体2の読取データ処理部134は、電子ペン4が生成する座標値を電子ペン4から読み込んだ場合に、ナビゲーション本体2に付録メモリカード6が装着されているか否かを判断する。そして、読取データ処理部134は、付録メモリカード6が装着されていると判断した場合に、電子ペン4から読み込んだ座標値を用いて、付録メモリカード6から案内地点の緯度経度データ101を取得する。
【0090】
したがって、ナビゲーション本体2のカードI/F69は、情報誌5に対応する付録メモリカード6以外のメモリカードからのデータ読み込みなどに利用することができる。電子ペン4から座標値を読み込んでいない場合、カードI/F69は、付録メモリカード6からの掲載地点の緯度経度データ101の取得に使用されない。カードI/F69は、情報誌5に対応する付録メモリカード6の読込み専用のものとする必要がない。
【0091】
しかも、付録メモリカード6がナビゲーション本体2に装着されている状態において、電子ペン4から座標値が読み込まれると、読取データ処理部134は、付録メモリカード6が装着されていることを判定するとともに、座標値を対応する緯度経度データ101に変換する処理を自動的に実行する。ユーザは、情報誌5の所望の掲載地点を電子ペン4で指定するだけで、当該掲載地点を案内地点として設定することができるので、操作性を向上できる。また、付録メモリカード6は、必要に応じて着脱可能であるので、カードI/F69を多目的に利用することができる。その結果、図1に示すように、車載用のナビゲーション本体2の有限かつ少ない前面露出部分(ユーザI/F面)を、有効に活用することができる。
【0092】
また、この実施の形態には、以下の効果もある。
【0093】
ユーザは、ナビゲーション本体2のナビゲーションデータ71においては、選択可能な目的地として設定されていないたとえば新規の店舗などを、それを掲載する情報誌5の紙面を電子ペン4によりチェックすることで、その店舗までの案内経路をナビゲーション本体2に生成させることができる。したがって、ナビゲーション本体2などの電子機器の操作に不慣れで苦手なユーザであっても、手軽に、たとえば情報誌5に掲載される所望の掲載地点までの案内経路をナビゲーション本体2に生成させることができる。
【0094】
また、ユーザは、情報誌5とそれに対応するデータを記録した付録メモリカード6とを入手することで、同じ電子ペン4および同じナビゲーション本体2により、情報誌5に掲載される掲載地点への案内経路を生成させることができる。すなわち、情報誌5が異なれば、当然のことながら、所定の座標パターン13の座標値に対応させる案内地点の緯度経度データ101、ひいては座標変換テーブル84が異なることになる。車両に設置されるナビゲーション本体2の読取データ処理部134は、個々の情報誌5に対応している付録メモリカード6から、電子ペン4の読取に基づく座標値に対応する緯度経度データ101を取得することができる。また、ユーザは、雑誌をコピーして持ち歩く必要はない。
【0095】
また、ナビゲーション本体2は、付録メモリカード6に記憶されるデータ(座標変換テーブル84)と同じデータをインターネットなどのネットワークから直接に取得することなく、情報誌5に掲載される掲載地点までの案内経路を生成することができる。ナビゲーション本体2は、ネットワークに接続されていない所謂スタンドアローンのものでよい。したがって、ネットワーク環境の有無に依存することなく、ナビゲーション本体2において、情報誌5に掲載される掲載地点までの案内経路を生成することができる。また、ナビゲーション本体2に、複数の情報誌5に対応する複数の付録メモリカード6に記憶されるデータ(座標変換テーブル84)を記憶させる必要もない。
【0096】
また、車両に搭載されるナビゲーション本体2は、次々と数多く出版される旅行情報誌や飲食情報誌などの情報誌5の情報を取り込み、ナビゲーション本体2自体には選択可能な目的地として設定されていない掲載地点への案内経路を生成することができる。ナビゲーション本体2が対応可能な雑誌の数には限りがない。ナビゲーション本体2は、次々と数多く出版される情報誌5により提供される掲載地点の位置情報を取得し、共有し、案内経路を生成することができる。ネットワーク上のサーバやナビゲーション本体2に、次々と数多く出版される情報誌5に対応するデータ(座標変換テーブル84)を記憶するための記憶領域を設けたりする必要もない。また、これらのデータ(情報誌5毎の座標変換テーブル84)を更新したり、その更新を管理したりする必要もない。また、ネットワーク上のサーバやナビゲーション本体2に次々と数多く出版される情報誌5に対応するデータ84を記憶させた場合のように、ナビゲーション本体2は、それらの大量のデータ(複数の情報誌5の座標変換テーブル84)の中から、1つの情報誌5の座標変換テーブル84を選択し、さらにその選択した座標変換テーブル84から、読取位置に対応する所定の緯度経度データ101を抽出する必要もない。
【0097】
以上の実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形や変更が可能である。
【0098】
上記実施の形態では、ナビゲーション本体2のUI部132は、電子ペン4により読み取られた掲載地点までの案内経路を生成する。この他にもたとえば、UI部132は、電子ペン4により読み取られた掲載地点を出発地、経由地などとする案内経路を生成するようにしてもよい。
【0099】
上記実施の形態では、情報誌5には、各掲載地点の記事が紙面を分けて印刷され、座標変換テーブル84は、各緯度経度データ101に対応付けて掲載範囲と重なる座標値の範囲のデータ102を有する。この他にもたとえば、情報誌5には、掲載地点を含む地図が印刷され、付録メモリカード6に記憶される座標変換テーブルには、その地図の掲載範囲と重なる複数の座標パターン13の複数の座標値のデータ102と、複数の緯度経度データ101とを対応付けて記憶するものであってもよい。この変形例の場合、読取データ処理部134は、たとえば付録メモリカード6に記憶される座標変換テーブルを用いて、演算した座標の平均値に対応する緯度経度データを得て、その得た緯度経度データを、抽出地点データ91の緯度経度データ111として記憶させればよい。
【0100】
上記実施の形態では、座標変換テーブル84は、情報誌5に付属される付録メモリカード6に記憶される。この他にもたとえば、座標変換テーブル84は、情報誌5とは別にユーザへ提供されるメモリカードであってもよい。また、座標変換テーブル84は、CD−ROMなどの、他の形式の携帯電子記録媒体に記録されていてもよい。さらに、これら付録メモリカード6などの携帯電子記録媒体に記録される座標変換テーブル84は、たとえばインターネットやLAN(Local Area Network)などの伝送媒体を介してダウンロードされたものであってもよい。
【0101】
上記実施の形態では、印刷物は、情報誌5である。この他にもたとえば、電子ペン4が読み取ることができる座標パターン13が印刷可能な印刷物としては、たとえば地図帳、観光案内パンフレット、その他、特定の地点に関する情報が印刷されたものであってもよい。
【0102】
上記実施の形態では、情報誌5に掲載される掲載地点をナビゲーション本体2に案内地点として設定するために、複数の座標パターン13が掲載記事と重ねて印刷された情報誌5と、電子ペン4と、付録メモリカード6とが用いられている。この他にもたとえば、ナビゲーション本体2のマニュアルなどに複数の座標パターン13をたとえば操作手順を示す記事と重ねて印刷し、付録メモリカード6やナビゲーション本体2に各座標値に設定データなどを対応付けた座標変換テーブルを記憶させ、電子ペン4をナビゲーション本体2への設定に利用するようにしてもよい。このような方法によれば、マニュアルの所望の部位を電子ペン4にて指定することにより、ナビゲーション本体2を設定することができる。
【0103】
さらに他にもたとえば、ナビゲーション本体2以外の各種の電子機器、たとえばAV(オーディオビジュアル)機器などであっても、その電子機器において設定データなどを利用するものにあっては、その設定データの設定のために、マニュアルなどの印刷物と、変換テーブルと、電子ペンとを利用するようにしてもよい。また、ナビゲーション本体2やその他の電子機器において、画像、音声、動画などのデータを記録したり再生したりするために、たとえばテレビガイドやコンテンツガイドなどの印刷物と、変換テーブルと、電子ペンとを利用するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明は、自動車などの車両にナビゲーション本体が設置されるナビゲーションシステムにおいて好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係るカーナビゲーションシステムを示す構成図である。
【図2】図2は、図1中の情報誌中の1枚の専用シートの紙面を示す図である。
【図3】図3は、図2の専用シートの部分断面図である。
【図4】図4は、各専用シートにおける複数の座標パターンの印刷状態の一例を示す説明図である。
【図5】図5は、図1中の電子ペンの構成を示すブロック図である。
【図6】図6は、図5中の不揮発性メモリに記憶される読取データのデータ構造の一例を示す図である。
【図7】図7は、図1中のナビゲーション本体の構成を示すブロック図である。
【図8】図8は、図7中の付録メモリカードに記憶される座標変換テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【図9】図9は、図7中の一時メモリに記憶される抽出地点データのデータ構造の一例を示す図である。
【図10】図10は、図7中の読取データ処理部が未処理の受信読取データに対して実行する処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】図11は、図7中のUI部による経路探索処理などの流れを示すフローチャートである。
【図12】図12は、抽出地点データに抽出された掲載地点までの案内経路を表示する表示画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0106】
1 ナビゲーションシステム
2 ナビゲーション本体
4 電子ペン(携帯入力装置)
5 情報誌(印刷物)
6 付録メモリカード(携帯電子記録媒体)
13 座標パターン(所定のパターン)
84 座標変換テーブル
101 緯度経度データ
102 座標値の範囲のデータ
134 読取データ処理部(取得手段、データ入出力手段、装着判断手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーションシステムおよび案内経路の生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、コンテンツ提供システムを開示する。ユーザは、新聞、雑誌などの印刷物上に印刷されたコンテンツ中の所望のコンテンツを選択する。印刷物には、そのページ情報及び位置情報に対応付けられたドットパターンが形成されており、ユーザが電子ペンでコンテンツを指定すると、そのコンテンツに対応するコンテンツIDが特定される。コンテンツ提供サーバは、ユーザが指定したコンテンツのデータをデータベースから取得し、ユーザの端末へ送信する。コンテンツの指定及び要求を、電子ペンによる指定のみで行うことができるので、パーソナルコンピュータやウェブ閲覧に関する知識の少ないユーザでも容易かつ迅速にコンテンツを取得することができる。
【0003】
【特許文献1】特開2004−21899号公報(要約、発明の詳細な説明など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両などに搭載されるナビゲーション装置は、それが記憶する目的地リストの中から目的地が選択されると、その目的地の緯度経度データを用いて案内経路を生成する。ユーザは、ナビゲーション装置のユーザI/F(インタフェース)を操作して、目的地リストの中から所望の目的地を選択しなければならない。
【0005】
また、車両などに搭載されるナビゲーション装置では、目的地リストに記憶されていない地点も、目的地として選択することができる。この場合、ユーザは、たとえばナビゲーション装置に地図を表示させ、地図の表示を切り替えながら所望の目的地の所在地を探し、その上で、その所在地を目的地として選択する操作をしなければならない。この操作は、上述した目的地リストの中から目的地を選択する場合にくらべて煩雑である。しかも、ユーザは、所望の目的地の正確な所在地などを知らなければ、ナビゲーション装置においてその所望の地点を目的地として設定することができない。
【0006】
ところで、ユーザがナビゲーション装置に設定する目的地あるいは設定したい目的地は、一般的に、旅行情報誌や飲食情報誌などに掲載されている場所である。このような情報源による目的地をナビゲーション装置に設定する場合、大半のユーザは、まずナビゲーション装置の目的地リストの中に所望の目的地が含まれているか否かを確認する。そして、目的地リストの中に所望の目的地が含まれていない場合には、ユーザは、さらに、たとえば、情報誌に掲載されている簡略化された地図などを頼りにナビゲーション装置に対応する地図を表示させ、地図上で目的地を選択することになる。これら一連の操作は複雑且つ面倒である。また、目的地を設定し終えるまでにそれなりの時間がかかってしまう。
【0007】
ナビゲーション装置に組み込まれる目的地リストなどのデータは、多くとも年1回程度の更新である。これに対して、情報誌などには常にその発行の時に最新のスポット(地点)の情報が掲載される。ユーザは、ナビゲーション装置のデータを最新のものに更新し続けたとしても、低くない確率により、目的地リストの中に所望の目的地が含まれていない場合に遭遇する。目的地を設定する度に目的地リストの中に所望の目的地が含まれていない状態に至ってしまうと、ユーザは、ナビゲーション装置が使えないと感じてしまったり、目的地を設定すること自体を諦めてしまったりする。
【0008】
そこで、特許文献1に開示されるコンテンツ提供システムの技術などを流用し、たとえばナビゲーション装置にHDD(ハードディスクドライブ)を設け、ナビゲーション装置をインターネット接続可能なものとし、雑誌に掲載される最新のスポットなどの目的地情報をインターネット上のサーバなどから提供することが考えられる。これにより、旅行情報誌や飲食情報誌などに掲載される地点の情報がナビゲーション装置において利用可能となる。ナビゲーション装置は、自身の目的地リストに含まれない、ユーザが望む掲載地点の緯度経度データを取得し、案内経路を生成することができる。
【0009】
しかしながら、このようなナビゲーション装置では、HDDやインターネット接続のための通信I/Fなどが必須となる。そのため、ナビゲーション装置に大幅な機能の追加が必要となり、ナビゲーション装置のベース価格が高価になってしまう。
【0010】
しかも、旅行情報誌や飲食情報誌などは、週毎、月毎にあるいは季節毎に発行される。ナビゲーション装置の大容量のHDDやインターネット上のサーバに、このように乱刊される旅行情報誌や飲食情報誌などに掲載される多数の掲載地点の情報を整理して保存することは困難である。ナビゲーション装置やサーバのデータ容量や、データ更新の管理などに問題が生じてしまう。サービスの開始当初は良くても、数年後には破綻を来たしてしまうと予想される。
【0011】
また、蓄積された多数の情報誌の多数の掲載地点の情報の中から、電子ペン4などにより生成される目的地選択の筆跡データのみで、所定の情報誌のユーザが選択した掲載地点の緯度経度データを抽出する処理をさせることは実現不可能に近く、仮にできたとしても煩雑な処理になると予想される。
【0012】
以上の理由により、旅行情報誌や飲食情報誌などに掲載される掲載地点の緯度経度データ(ナビゲーション装置で利用可能な緯度経度データ)をインターネットなどのネットワークから提供することは、普及しづらいと考えられる。旅行情報誌や飲食情報誌の発行者などにとっては、旅行情報誌や飲食情報誌などの掲載記事をナビゲーション装置に対応させるためのメリット(売り)よりも、デメリット(手間)の方が上回るように感じられてしまう。
【0013】
本発明は、ナビゲーション装置に大幅な機能追加をすることなく、旅行情報誌や飲食情報誌の発行者などに余計な負担と感じさせることがないように、ユーザが旅行情報誌や飲食情報誌などに掲載される掲載地点を容易に案内地点として設定することを可能にするナビゲーションシステムおよび案内経路の生成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係るナビゲーションシステムは、案内地点設定に基づいてその案内地点への案内経路を生成するナビゲーション本体と、印刷物に印刷される所定のパターンを読み取り、その読取位置の座標値を生成する携帯入力装置と、地点を掲載する印刷物であって、その掲載地点の記事が掲載される紙面において所定の読取パターンが重ねて印刷される印刷物と、印刷物に印刷される所定の読取パターンに対応する座標値と印刷物においてその所定の読取パターンと重ねて印刷される掲載地点の緯度経度データとを対応付けて記憶する携帯電子記録媒体と、ナビゲーション本体において実現され、携帯入力装置により印刷物を読み取ることで携帯入力装置が生成する座標値に対応付けられる緯度経度データを、携帯電子記録媒体から取得する取得手段と、を有する。そして、ナビゲーション本体は、取得手段により取得される緯度経度データを用いて、携帯入力装置により読み取られた掲載地点への案内経路を生成する。
【0015】
本発明に係るナビゲーションシステムは、上述した発明の構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、携帯電子記録媒体は、印刷物の付属物として印刷物とともにユーザへ提供されるものである。
【0016】
本発明に係るナビゲーションシステムは、上述した発明の構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、携帯電子記録媒体は、印刷物の付属物として印刷物とともにユーザへ提供されるものであり、且つ、その印刷物における所定の読取パターンに対応する座標値と掲載地点の緯度経度データとの対応付けのデータのみを記憶するものである。
【0017】
本発明に係るナビゲーションシステムは、上述した発明の各構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、ナビゲーション本体は、携帯入力装置が生成する座標値を携帯入力装置から読み込んだ場合に、ナビゲーション本体に携帯電子記録媒体が装着されているか否かを判断する装着判断手段を有する。そして、取得手段は、装着判断手段により携帯電子記録媒体が装着されていると判断された場合に、携帯入力装置から読み込んだ座標値を用いて、携帯電子記録媒体から掲載地点の緯度経度データを取得する。
【0018】
本発明に係る案内経路の生成方法は、印刷物に掲載される掲載地点への案内経路の生成方法である。そして、この案内経路の生成方法は、地点を掲載する印刷物であって、その掲載地点の記事が掲載される紙面において携帯入力装置が読取可能な所定の読取パターンが重ねて印刷される印刷物の、その所定のパターンを携帯入力装置により読み取ることで携帯入力装置が生成する読取位置の座標値を取得する第一の取得ステップと、印刷物に印刷される所定の読取パターンに対応する座標値と印刷物においてその所定の読取パターンと重ねて印刷される掲載地点の緯度経度データとを対応付けて記憶する携帯電子記録媒体から、第一の取得ステップにおいて取得した座標値に対応付けられている掲載地点の緯度経度データを取得する第二の取得ステップと、第二の取得ステップにおいて取得された掲載地点の緯度経度データを用いて、携帯入力装置により読み取られた掲載地点への案内経路を生成するステップと、を有するものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、ナビゲーション装置に大幅な機能追加をすることなく、旅行情報誌や飲食情報誌の発行者などに余計な負担と感じさせることがないように、ユーザが旅行情報誌や飲食情報誌などに掲載される掲載地点を容易に案内地点として設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態に係るナビゲーションシステムおよび案内経路の生成方法を、図面に基づいて説明する。ナビゲーションシステムは、自動車などの車両に用いられるカーナビゲーションシステムを例に説明する。案内経路の生成方法は、カーナビゲーションシステムの動作の一部として説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施の形態に係るカーナビゲーションシステム1を示す構成図である。カーナビゲーションシステム1は、自動車などの車両に設置されるナビゲーション装置としてのナビゲーション本体2と、ナビゲーション本体2とUSB(Universal Serial Bus)ケーブル3により接続可能な、携帯入力装置としての電子ペン4と、旅行情報誌や飲食情報誌などの印刷物としての情報誌5と、情報誌5と共に提供される、携帯電子記録媒体としての付録メモリカード6と、を有する。USBケーブル3は、通信ケーブルの一種である。
【0022】
情報誌5は、たとえば所定の地域の観光地を掲載する雑誌であり、電子ペン4で読取可能な座標パターンが印刷された複数枚の専用シート11を製本したものである。図2は、図1中の情報誌5中の1枚の専用シート11の紙面を示す図である。図3は、図2の専用シート11の部分断面図である。
【0023】
情報誌5に用いられる専用シート11は、赤外線を反射する光学特性を有するシートである。そして、各専用シート11の紙面には、図3に示すように、赤外線を吸収するインクと、赤外線を透過するインクとが印刷される。専用シート11には、まず、赤外線を吸収するインクにより、所定のパターンとしての、複数のドット12による複数の座標パターン13が印刷される。さらにその上に、赤外線を透過するインクにより、その情報誌5が紹介する掲載地点の記事21が印刷される。
【0024】
情報誌5の各専用シート11の紙面に、赤外線を吸収するインクにより印刷される複数の座標パターン13のそれぞれは、電子ペン4により読み取り可能な解像度のパターンであり、たとえば6×6個のドット12により構成されている。複数の座標パターン13の複数のドット12は、図2において複数の点として表すように、紙面の全面に印刷される。複数の座標パターン13は、赤外線を透過するインクにより印刷される記事21の下に重ねて印刷される。
【0025】
図4は、各専用シート11における複数の座標パターン13の印刷状態の一例を示す説明図である。図4において、複数の座標パターン13を構成する複数のドット12は、略0.3ミリメートル間隔で、縦横に配列されている。そして、1つの座標パターン13は、6×6個のドット12により構成される。各ドット12は、図4中の所定の一定間隔毎の縦基準線と横基準線との交点の位置を基準として、上下左右のいずれか1つの方向(すなわち、4つの方向の中の1つの方向)へ少しずれた位置に印刷される。そして、各座標パターン13における6×6個の合計36個のドット12のずれ方向の組合せは、複数の座標パターン13の中で唯一なものとされる。複数のドット12の中から6×6個のドット12を選んだとき、その36個のドット12のずれ方向の組合せは、他のすべての36個のドット12によるずれ方向の組合せと異なるものとすることができる。
【0026】
このように各座標パターン13における複数のドット12の配置が、その他のすべての座標パターン13とは異なる配置となることで、複数の座標パターン13は、少なくともその紙面において互いを区別することができる。この複数の座標パターン13の中で唯一となる36個のドット12のずれ方向の組合せにより、各座標パターン13には、ユニークな座標値を対応付けることができる。
【0027】
なお、6×6個のドット12で構成される複数の座標パターン13は、たとえば1つの情報誌5において互いに異なるものであってもよい。この場合、各座標パターン13は、その情報誌5において互いを区別することができる。各座標パターン13には、情報誌5においてユニークな座標値を対応付けることができる。
【0028】
各座標パターン13に対応付けられる座標値は、専用シート11の紙面中の位置、あるいは情報誌5中の位置を示すものである。記事21と重ねて印刷される複数の座標パターン13から変換される複数の座標値は、紙面上の位置に応じて互いに異なる値をとる。複数の座標パターン13には、たとえば専用シート11の紙面の左上隅を基準(0,0)とする、X,Yの二次元の座標値の座標データが対応付けられる。図2の紙面では、紙面の横方向がX軸であり、紙面の縦方向がY軸である。
【0029】
なお、複数の座標パターン13に情報誌5中の位置を対応付ける場合には、たとえば1冊の情報誌5のすべての紙面を1つの大きな紙面上に並べたと仮定した状態において、その大きな紙面の左上隅を基準(0,0)とする、X,Yの二次元の座標値の座標データに対応付ければよい。このような座標値を対応付けることで、複数の座標パターン13により、各専用シート11中での位置のみならず、情報誌5中でのその専用シート11(ページ)をも特定することができる。
【0030】
複数の座標パターン13が印刷された情報誌5の各専用シート11の紙面には、さらに、赤外線を透過するインクにより、情報誌5が紹介する掲載地点の記事21が印刷される。図2の専用シート11の紙面の例では、赤外線を透過するインクにより、5つの観光地の記事が、その観光地の写真あるいは所在地を示す地図付きで印刷されている。各観光地の記事は、仕切り線14により互いに重ならないように分けて、専用シート11の別々の領域に印刷される。
【0031】
図5は、図1中の電子ペン4の構成を示すブロック図である。電子ペン4は、ボールペン軸31、筆圧センサ32、赤外線LED(Light Emitting Diode)33、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ34、USBケーブル3が接続されるUSBI/F(USBインタフェース)35、時刻情報を生成するタイマ36、不揮発性メモリ37、マイクロコンピュータ38などを有する。電子ペン4は、図1に示すように、細長い棒形状のハウジング39を有する。
【0032】
なお、電子ペン4や後述するナビゲーション本体2は、USBI/F35の代わりに、たとえばブルートゥースなどの無線通信I/Fを備えるものであってもよい。また、タイマ36は、電子ペン4がたとえばリセットされてからの経過時間などを時刻として計測するものであってもよい。不揮発性メモリ37は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)などで構成されていればよい。
【0033】
ボールペン軸31は、この細長い棒形状のハウジング39の一端部に、突出して配設される。筆圧センサ32は、ボールペン軸31に作用する筆圧を検出する。筆圧センサ32は、検出した筆圧値をマイクロコンピュータ38へ出力する。
【0034】
赤外線LED33およびCMOSセンサ34は、ハウジング39の一端部において、ボールペン軸31の配設位置の周囲に配設される。赤外線LED33は、ボールペン軸31の先端が紙面に触れるとき、その接触部位およびその周囲の部位へ赤外線を照射する。CMOSセンサ34は、紙面のその接触部位およびその周囲の部位により反射される赤外線を受光する。CMOSセンサ34は、受光した赤外線の強度分布データを、マイクロコンピュータ38へ出力する。
【0035】
マイクロコンピュータ38は、図示外のメモリ、CPU(Central Processing Unit)、入出力ポートなどを有する。入出力ポートには、筆圧センサ32、赤外線LED33、CMOSセンサ34、USBI/F35、タイマ36、不揮発性メモリ37などが接続される。電子ペン4のCPUは、メモリなどから図示外の制御プログラムを読み込んで実行する。これにより、電子ペン4のマイクロコンピュータ38には、読取データ生成部41と、読取データ送信部42と、が実現される。
【0036】
読取データ生成部41は、CMOSセンサ34により撮像される座標パターン13を紙面中の座標値へ変換し、複数の座標値の読取座標データを有する読取データ46を生成する。読取データ生成部41は、生成した読取データ46を不揮発性メモリ37に記憶させる。
【0037】
図6は、図5中の不揮発性メモリ37に記憶される読取データ46のデータ構造の一例を示す図である。読取データ46は、通常、複数のレコードで構成される。図6では、横一列が1つのレコードに相当する。読取データ46の各レコードは、読取座標データ51と、ペン圧レベルデータ52と、読取時刻データ53と、を有する。読取座標データ51は、CMOSセンサ34により撮像される座標パターン13から得られる座標値を有する座標データであり、X,Yの二次元の座標データである。ペン圧レベルデータ52は、筆圧センサ32が検出した筆圧値を有するデータである。読取時刻データ53は、座標パターン13から座標値が読み取られたときの、タイマ36が計測する時刻を有するデータである。図6の読取データ46は、図6の筆跡データの欄に示すように、1つの筆跡データにより構成される。各筆跡データは、複数のレコードにより構成されている。図6の筆跡データの複数のレコードは、図2中の筆跡15により紙面を読み取ることで生成される。なお、読取データ46は、複数の筆跡データにより構成されていてもよい。
【0038】
読取データ送信部42は、図5中の不揮発性メモリ37に記憶される読取データ46を、USBI/F35にUSBケーブル3により接続される機器へ送信する。図1のカーナビゲーションシステム1では、電子ペン4のUSBI/F35には、USBケーブル3によりナビゲーション本体2が接続される。したがって、読取データ送信部42は、ナビゲーション本体2へ、不揮発性メモリ37に記憶される読取データ46を送信する。
【0039】
図7は、図1中のナビゲーション本体2の構成を示すブロック図である。ナビゲーション本体2は、ジャイロセンサ61、GPS(Global Positioning System)受信機62、HDD(ハードディスクドライブ)63、キーデバイス64、タッチパネル65、液晶デバイス66、一時メモリ67、USBI/F68、カードI/F69、マイクロコンピュータ70などを有する。また、図7中には、情報誌5とともに提供される付録メモリカード6が、ナビゲーション本体2に挿入された状態で記述されている。
【0040】
図1に示すように、ナビゲーション本体2のフロントパネルには、液晶デバイス66と、キーデバイス64の複数の入力ボタン60と、メモリカード挿入口73と、が配設される。また、液晶デバイス66の表示部上には、タッチパネル65が配設される。フロントパネルの裏側には、図示外のCD挿入口と、USBI/F68と、が配設される。このUSBI/F68には、電子ペン4のUSBI/F35に接続されたUSBケーブル3が接続可能である。情報誌5とともに提供される付録メモリカード6は、メモリカード挿入口73から、ナビゲーション本体2に装着される。
【0041】
ジャイロセンサ61は、そのX軸,Y軸およびZ軸の3軸方向での加速度を検出する。つまり、ジャイロセンサ61は、ナビゲーション本体2が配設される自動車の3軸方向での加速度を検出する。
【0042】
GPS受信機62は、GPS衛星が送信するGPS電波を受信し、緯度経度データを生成する。つまり、GPS受信機62は、ナビゲーション本体2が配設される自動車の緯度経度データを生成する。
【0043】
HDD63は、ナビゲーション本体2が単独で経路探索および経路案内を実行するために必要となるデータを記憶する。このようなデータとしては、たとえば、ナビゲーションデータ71、目的地設定やルート補正に基づく案内経路データ72などがある。
【0044】
ナビゲーションデータ71は、たとえば表示地図データ、複数のノードデータ、複数のリンクデータ、複数のランドマークデータなどを有する。
【0045】
ナビゲーションデータ71中の表示地図データは、液晶デバイス66に道路地図を表示するためデータであり、たとえば所定の縮尺での日本全国の道路地図をデータ化したものである。ナビゲーションデータ71中の表示地図データは、たとえば所定のメッシュサイズでの複数のテクスチャデータにより構成される。各テクスチャデータには、そのテクスチャデータの位置を示す緯度経度データなどが対応付けられている。
【0046】
ナビゲーションデータ71中のノードデータは、表示地図データが網羅する地域中の自動車が通過可能な道路の交差点や曲がり角のデータである。ノードデータは、固有のノード名や、それが対応する交差点や曲がり角の緯度経度データなどを有する。また、ノードデータには、対応する交差点などの交差点名などが属性情報として対応付けられている。
【0047】
ナビゲーションデータ71中のリンクデータは、交差点と交差点とを結ぶ道路区間に対応付けられるデータである。リンクデータは、固有のリンク名や、それが接続される複数のノードのノード名などが対応付けられる。また、ノードデータおよびリンクデータには、対応する道路の道路名(たとえば国道○○号線、県道△△号線など)などが属性情報として対応付けられている。
【0048】
ナビゲーションデータ71中のランドマークデータは、表示地図データが網羅する地域中の施設や場所、たとえばコンビニエンスストア、ガソリンスタンド、銀行などの金融機関、学校、神社などに対応付けられるデータである。ランドマークデータに記憶されるこれらコンビニエンスストア、学校、神社などの施設や場所は、ナビゲーション本体2が目的地リストにより選択可能な地点として提示することができる案内地点である。ランドマークデータは、たとえば対応するランドマークの名称、種類、緯度経度などの属性情報を有する。
【0049】
カードI/F69は、メモリカード挿入口73からナビゲーション本体2へ挿入された付録メモリカード6からデータを読み込む。付録メモリカード6は、たとえば情報誌5の付録として提供される。付録メモリカード6は、たとえばフラッシュメモリカードなどの半導体メモリおよびデータ入出力I/Fを有する半導体メモリメディアである。付録メモリカード6は、付属する情報誌5における所定の座標値の範囲のデータ102と、付属する情報誌5の掲載地点の緯度経度データ101とを対応付ける座標変換テーブル84のみを記憶する。
【0050】
図8は、図7中の付録メモリカード6に記憶される座標変換テーブル84のデータ構造の一例を示す図である。座標変換テーブル84は、ナビゲーションデータ71と整合性があり、このナビゲーションデータ71と組合せて利用可能な複数の緯度経度データ101を記憶する。また、各緯度経度データ101には、座標値の範囲を示すデータ102が対応付けられる。
【0051】
図8の座標変換テーブル84は、5つの緯度経度データ101を有する。この5つの緯度経度データ101は、図2の専用シート11の紙面に掲載される5つの掲載地点の緯度経度の値を有する。また、各緯度経度データ101には、情報誌5の紙面と整合する座標値の範囲のデータ102が対応付けられている。この5つの座標値の範囲は、図2の紙面において、仕切り線14により仕切られた5つの範囲(エリア)にそれぞれ対応する。各座標値の範囲のデータ102は、それぞれが対応する記事21の座標範囲の値を有する。具体的にはたとえば、図8中の最も上の記事に掲載される掲載地点の緯度経度値を有する緯度経度データ101に対応する座標値の範囲のデータ102は、図2の紙面の上三分の一の範囲(図2中の符号16で示す範囲)に相当する、座標パターン13の座標値の範囲の値を有する。
【0052】
一時メモリ67は、たとえばフラッシュメモリなどの半導体メモリなどにより構成される。一時メモリ67は、受信読取データ90、抽出地点データ91などを記憶する。受信読取データ90は、ナビゲーション本体2が電子ペン4から受信する読取データ46と同じ内容のデータである。
【0053】
図9は、図7中の一時メモリ67に記憶される抽出地点データ91のデータ構造の一例を示す図である。抽出地点データ91は、受信読取データ90に基づいて抽出される1つの地点または複数の地点の緯度経度データ111を有する。図9の抽出地点データ91は、1つの地点の緯度経度データ111を有する。
【0054】
ナビゲーション本体2のマイクロコンピュータ70は、図示外のメモリ、CPU、入出力ポートなどを有する。入出力ポートには、ジャイロセンサ61、GPS受信機62、HDD63、キーデバイス64、タッチパネル65、液晶デバイス66、一時メモリ67、USBI/F68などが接続される。ナビゲーション本体2のCPUは、メモリなどから図示外の制御プログラムを読み込んで実行する。これにより、ナビゲーション本体2のマイクロコンピュータ70には、現在位置データ生成部131と、案内経路生成手段としてのUI(User Interface)部132と、読取データ受信部133と、取得手段、データ入出力手段および装着判断手段としての読取データ処理部134と、が実現される。
【0055】
なお、このナビゲーション本体2のマイクロコンピュータ70が実行する制御プログラムは、ナビゲーション本体2の出荷前に、マイクロコンピュータ70のメモリなどに記憶されたものであっても、ナビゲーション本体2の出荷後に、マイクロコンピュータ70のメモリなどに記憶されたものであってもよい。また、制御プログラムの一部が、ナビゲーション本体2の出荷後に、マイクロコンピュータ70のメモリなどに記憶されたものであってもよい。ナビゲーション本体2の出荷後に、マイクロコンピュータ70のメモリなどに記憶される制御プログラムは、たとえばCD−ROMなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に記憶されているものをインストールしたものであっても、インターネットなどの伝送媒体を介してダウンロードしたものをインストールしたものであってもよい。上述した電子ペン4のマイクロコンピュータ38が実行する制御プログラムについても、同様である。
【0056】
現在位置データ生成部131は、GPS受信機62が生成する緯度経度データや、ジャイロセンサ61が生成する加速度データに基づいて、ナビゲーション本体2が設置される自動車の現在位置データを生成する。現在位置データは、現在位置の緯度経度の値を有する。
【0057】
UI部132は、一時メモリ67に記憶される抽出地点データ91や、ナビゲーション本体2において設定された目的地などに基づいて、案内経路データ72を生成したり、液晶デバイス66の表示を制御したりする。UI部132は、たとえばキーデバイス64やタッチパネル65からの入力データに基づいて、HDD63や一時メモリ67にアクセスし、新たな表示データを生成する。UI部132は、表示データに基づく画像を液晶デバイス66に表示させる。UI部132が液晶デバイス66に表示させる表示画面としては、探索した案内経路の全体像を示す表示画面、それぞれの地点における進行方向などを示す経路案内画面などがある。
【0058】
読取データ受信部133は、ナビゲーション本体2のUSBI/F68を用いて、電子ペン4が送信する読取データ46を受信する。読取データ受信部133は、受信した読取データ46を一時メモリ67に記憶させる。一時メモリ67は、読取データ受信部133が受信した読取データ46を、受信読取データ90として記憶する。
【0059】
読取データ処理部134は、受信読取データ90から抽出地点データ91を生成し、一時メモリ67に記憶させる。
【0060】
次に、以上の構成を有するカーナビゲーションシステム1の動作を説明する。以下においては、まず、電子ペン4により情報誌5の1つの掲載地点を読み取り、読み取られた掲載地点への案内経路を、ナビゲーション本体2の液晶デバイス66に表示する動作を説明する。具体的には、図2の専用シート11の上部に、電子ペン4により丸印を記入した場合の動作を例として説明する。
【0061】
まず、ユーザは、電子ペン4により情報誌5をチェックする。情報誌5のページには、図2に示すように、複数の観光地の記事21が印刷されている。ユーザは、たとえば、電子ペン4のペン先(ボールペン軸31の先端)により、行きたい観光地(ここでは図2上部に掲載される観光地)の記事21に丸印をつける。
【0062】
電子ペン4の読取データ生成部41は、筆圧センサ32から所定の閾値以上の筆圧値が入力されると赤外線の照射処理を開始し、筆圧値が所定の閾値未満になると赤外線の照射処理を終了する。具体的には、読取データ生成部41は、各観光地がチェックされるとき、赤外線の照射処理を実行する。
【0063】
この赤外線の照射処理において、読取データ生成部41は、赤外線LED33により赤外線を発光させる。赤外線LED33が出力する赤外線は、紙面のペン先が当たる部位により反射される。情報誌5の紙面において、各観光地の記事21には、複数のドット12により構成される座標パターン13が重ねて印刷される。複数のドット12は、その配列により赤外線を吸収する。また、専用シート11は、赤外線を反射する。CMOSセンサ34は、ドット12により吸収されずに紙面により反射された赤外線を受光する。CMOSセンサ34は、赤外線の強度分布データを、マイクロコンピュータ38により実現される読取データ生成部41へ供給する。
【0064】
CMOSセンサ34から赤外線の強度分布データが供給されると、読取データ生成部41は、その画像を解析する。すなわち、読取データ生成部41は、まず、画像中の座標パターン13を特定する。次に、読取データ生成部41は、所定のアルゴリズムにより、特定した座標パターン13から、その座標パターン13に対応する固有の座標値を得る。
【0065】
座標値を得た後、読取データ生成部41は、タイマ36から時刻情報を取得し、筆圧センサ32から筆圧値を取得する。読取データ生成部41は、取得した座標値、筆圧値および時刻情報を、不揮発性メモリ37に記憶させる。不揮発性メモリ37は、読取データ生成部41から供給されるこの3つのデータを、読取データ46の1つのレコードとして、読取データ46へ追加する。
【0066】
なお、情報誌5にたとえばリセットマークや決定マークなどのマークが印刷されている場合、読取データ生成部41は、取得した座標値がこれらのマークと重なる座標値の範囲内のものであるか否かを判断し、取得した座標値がその範囲内である場合には、不揮発性メモリ37に記憶される読取データ46の消去処理や、読取データ46への追加処理を終了する(読取データ46のロック処理をする)ようにしてもよい。
【0067】
以上の情報誌5および電子ペン4を用いた目的地設定のための読取作業を終えると、電子ペン4の不揮発性メモリ37には、図6の読取データ46が記憶される。ユーザは、電子ペン4とナビゲーション本体2とをUSBケーブル3で接続する。また、ユーザは、情報誌5に付属する付録メモリカード6を、ナビゲーション本体2へ装着する。
【0068】
USBケーブル3により電子ペン4とナビゲーション本体2とが接続されると、電子ペン4のUSBI/F35と、ナビゲーション本体2のUSBI/F68との間で、たとえばUSBマスストレージクラスなどにより、データの送受信が可能な状態となる。電子ペン4の読取データ送信部42は、不揮発性メモリ37に記憶されている読取データ46を、ナビゲーション本体2の読取データ受信部133へ送信する。読取データ送信部42が送信した読取データ46は、電子ペン4のUSBI/F35、USBケーブル3およびナビゲーション本体2のUSBI/F68を介して、読取データ受信部133へ送信される。読取データ受信部133は、受信した読取データ46を、一時メモリ67に記憶させる。一時メモリ67は、読取データ受信部133が受信した読取データ46を、受信読取データ90として記憶する。
【0069】
一時メモリ67に新たな未処理の受信読取データ90が保存されると、読取データ処理部134は、その未処理の受信読取データ90に対する処理を開始する。
【0070】
図10は、図7中の読取データ処理部134が未処理の受信読取データ90に対して実行する処理の流れを示すフローチャートである。読取データ処理部134は、まず、一時メモリ67に未処理の受信読取データ90が保存されているか否かを判断する(ステップST1)。
【0071】
一時メモリ67に未処理の受信読取データ90が保存されていない場合、読取データ処理部134は、この判断処理(ステップST1)を繰り返し実行する。読取データ処理部134は、未処理の受信読取データ90待ち状態となる。
【0072】
一時メモリ67に未処理の受信読取データ90が保存されている場合、読取データ処理部134は、次に、ナビゲーション本体2に付録メモリカード6が装着されているか否かを判断する(ステップST2)。ナビゲーション本体2に付録メモリカード6が装着されていない場合、読取データ処理部134は、この判断処理(ステップST2)を繰り返し実行する。読取データ処理部134は、付録メモリカード6の装着待ち状態となる。
【0073】
一時メモリ67に未処理の受信読取データ90が保存され、且つ、付録メモリカード6が装着されると、読取データ処理部134は、ステップST2でYesと判断し、案内する掲載地点の抽出登録処理を開始する。案内する掲載地点の抽出登録処理において、読取データ処理部134は、まず、処理判断に用いたレコード以外の、未処理の受信読取データ90の最初の1つ分の筆跡データを読み込む(ステップST3)。ここで、1つ分の筆跡データとは、たとえば一筆によって描かれる筆跡に対応するデータである。
【0074】
すなわち、情報誌5上に電子ペン4により目的地などを書込む動作において、ある筆跡の書込みから、次の筆跡の書込みまでには、時間がかかる。そのため、読取データ処理部134は、たとえば、連続して読み込む複数のレコードにおいて、読取時刻データ53が所定の離間時間(たとえば0.5秒や1秒程度の時間)以上の時間間隔で離間するところまで、未処理範囲内の複数のレコードを読み込む。この読込み処理により、読取データ処理部134は、目的地などの案内地点を指定するために書き込まれた一筆の筆跡データを読み込むことができる。つまり、読取データ処理部134は、読取データ46中の複数の読取座標データ51を、所定の離間時間以下の時間間隔により連続する単位で区切ることで、筆跡データを1つずつ読み込む。
【0075】
1つ分の筆跡データを読み込むと、読取データ処理部134は、読み込んだすべての読取座標データ51の座標の平均値を演算する(ステップST4)。図2中の符号15で示す略円の筆跡である場合、この座標の平均値は、その円の略中心位置の座標値となる。
【0076】
1つ分の筆跡データの座標の平均値を演算した後、読取データ処理部134は、その座標の平均値を、ナビゲーション本体2が利用可能な緯度経度データへ変換する。読取データ処理部134は、まず、カードI/F69を用いて付録メモリカード6から座標変換テーブル84を読み込む。読取データ処理部134は、読み込んだ座標変換テーブル84における複数の座標値の範囲を示すデータ102と、演算した座標の平均値とを比較し、演算した座標の平均値を含む、1つの座標値の範囲を示すデータ102を特定する。
【0077】
座標の平均値を含む1つの座標値の範囲を示すデータ102を特定すると、読取データ処理部134は、次に、座標変換テーブル84から、その特定した座標値の範囲を示すデータ102に対応付けられている緯度経度データ101を抽出する。読取データ処理部134は、抽出したその緯度経度データ101を、一時メモリ67に保存する(ステップST5)。一時メモリ67は、この緯度経度データ101を、抽出地点データ91の緯度経度データ111として記憶する。
【0078】
ステップST5による緯度経度データ111の保存処理を終えると、読取データ処理部134は、受信読取データ90の最後まで処理を終えたか否かを判断する(ステップST6)。読取データ処理部134は、たとえば受信読取データ90中に、未処理の読取座標データ51が残っているか否かを判断する。図6の読取データ46には、1つの筆跡データが記憶される。この場合、受信読取データ90中に、未処理の読取座標データ51が残っていないので、読取データ処理部134は、処理を終える。
【0079】
なお、受信読取データ90中に未処理の読取座標データ51が残っている場合、読取データ処理部134は、引き続き案内する掲載地点の特定処理を続ける。これにより、読取データ処理部134は、電子ペン4の筆跡により指定された複数の掲載地点の緯度経度データ101を、抽出地点データ91の緯度経度データ111として抽出することができる。
【0080】
以上の処理によって得られた緯度経度データ111を利用し、経路探索処理を実行することができる。図11は、図7中のUI部132による経路探索処理などの流れを示すフローチャートである。UI部132は、まず、一時メモリ67に、抽出地点データ91が記憶されているか否かを判断する(ステップST11)。
【0081】
一時メモリ67に抽出地点データ91が記憶されている場合、UI部132は、一時メモリ67から抽出地点データ91を読込み、経路探索処理を開始する(ステップST12)。UI部132は、一時メモリ67に記憶される抽出地点データ91中の掲載地点までの案内経路を探索する。具体的にはたとえば、UI部132は、現在位置データ生成部131が生成する現在位置を出発地とし、且つ抽出地点データ91中の掲載地点を目的地とする案内経路を探索する。UI部132は、ナビゲーションデータ71のノードデータおよびリンクデータを使用して案内経路を探索し、探索した案内経路をHDD63に保存する。これにより、HDD63には、案内経路データ72が記憶される。
【0082】
案内経路を探索した後、UI部132は、探索した案内経路を、液晶デバイス66に表示させる(ステップST13)。UI部132は、たとえば探索した案内経路の全体を含む縮尺の地図データを、ナビゲーションデータ71から読み込み、その読み込んだ地図上に案内経路を線により割り付けた画像を、液晶デバイス66に表示させる。
【0083】
図12は、抽出地点データ91に抽出された掲載地点までの案内経路を表示する表示画面の一例を示す図である。図12において、出発地(現在地)と目的地(電子ペン4により読み取られた掲載地点)とは四角形のマークで示され、案内経路は、太線で示される。案内経路は、表示画面の左側の出発地(現在地)から右側へ向かって移動し、表示画面の右側の目的地(電子ペン4により読み取られた掲載地点)へ向かう経路となっている。
【0084】
以上のように、ナビゲーション本体2は、電子ペン4により情報誌5から読み取られた掲載地点を目的地などとする案内経路を生成し、液晶デバイス66に表示する。UI部132は、たとえば自動車の移動開始などによる案内開始指示があると(ステップST14)、その時点でHDD63に記憶される案内経路データ72による経路で案内を開始する(ステップST15)。UI部132は、たとえば図12の画面上に、現在位置データ生成部131が生成する現在位置を示すマークを重ねて表示し、現在位置が案内経路の曲がり角などに近づくとその旨を音声などにより報知し、経路を案内する。
【0085】
以上のように、この実施の形態では、ナビゲーション本体2は、付録メモリカード6から情報誌5に掲載される掲載地点の緯度経度データ101を取得する読取データ処理部134を有する。そして、ナビゲーション本体2に付録メモリカード6のデータを読み取るための機能(カードI/F69)を設け、ユーザが情報誌5に掲載される掲載地点の記事を電子ペン4で読み取ることで、ナビゲーション本体2は、当該掲載地点を目的地などの案内地点として設定することができる。その結果、ナビゲーション本体2は、電子ペン4で読み取られた掲載地点への案内経路を生成することができる。
【0086】
また、ユーザは、情報誌5に掲載される掲載地点を電子ペン4で読み取る作業をすれば、その読取位置に掲載される掲載地点をナビゲーション本体2に案内地点として設定することができる。すなわち、ユーザは、情報誌5を電子ペン4により読み取る簡単な作業により、ナビゲーション本体2に表示される地図において目的地の位置を探したりすることなく、ナビゲーション本体2に記憶されていない所望の掲載地点を設定することができる。
【0087】
また、情報誌5に印刷される所定の座標パターン13に対応する座標値の範囲102と、情報誌5に掲載される掲載地点の緯度経度データ101とを対応付ける座標変換テーブル84は、付録メモリカード6に記憶されている。したがって、情報誌5の発行者などは、たとえばこの付録メモリカード6を情報誌5に付属して購読者へ提供することができる。また、そのような形で付録メモリカード6を提供することで、情報誌5の発行者などは、これら情報誌5毎に内容が異なる座標変換テーブル84を、インターネット上のサーバに蓄積したり、そのサーバのデータ更新を管理したりする必要は無い。情報誌5の発行者などに、余計な負担をかけないようにすることができる。
【0088】
特に、この付録メモリカード6は、情報誌5の付属物としてユーザへ提供される上に、付属する情報誌5での座標値の範囲のデータ102と、掲載地点の緯度経度データ101とを対応付ける座標変換テーブル84のみを記憶する。したがって、たとえば付録メモリカード6に情報誌5を特定する情報(情報誌名、発行月など)を表示することで、誰でも明確に、付録メモリカード6と情報誌5とを1対1に対応付けられる。ユーザが付録メモリカード6と情報誌5との対応関係を間違えてしまう可能性を限りなく少なくすることができる。また、各付録メモリカード6に記憶される座標変換テーブル84と、各情報誌5の掲載地点(印刷内容)との整合性も略確実に且つ容易に確保し、維持することができる。
【0089】
また、この実施の形態では、ナビゲーション本体2の読取データ処理部134は、電子ペン4が生成する座標値を電子ペン4から読み込んだ場合に、ナビゲーション本体2に付録メモリカード6が装着されているか否かを判断する。そして、読取データ処理部134は、付録メモリカード6が装着されていると判断した場合に、電子ペン4から読み込んだ座標値を用いて、付録メモリカード6から案内地点の緯度経度データ101を取得する。
【0090】
したがって、ナビゲーション本体2のカードI/F69は、情報誌5に対応する付録メモリカード6以外のメモリカードからのデータ読み込みなどに利用することができる。電子ペン4から座標値を読み込んでいない場合、カードI/F69は、付録メモリカード6からの掲載地点の緯度経度データ101の取得に使用されない。カードI/F69は、情報誌5に対応する付録メモリカード6の読込み専用のものとする必要がない。
【0091】
しかも、付録メモリカード6がナビゲーション本体2に装着されている状態において、電子ペン4から座標値が読み込まれると、読取データ処理部134は、付録メモリカード6が装着されていることを判定するとともに、座標値を対応する緯度経度データ101に変換する処理を自動的に実行する。ユーザは、情報誌5の所望の掲載地点を電子ペン4で指定するだけで、当該掲載地点を案内地点として設定することができるので、操作性を向上できる。また、付録メモリカード6は、必要に応じて着脱可能であるので、カードI/F69を多目的に利用することができる。その結果、図1に示すように、車載用のナビゲーション本体2の有限かつ少ない前面露出部分(ユーザI/F面)を、有効に活用することができる。
【0092】
また、この実施の形態には、以下の効果もある。
【0093】
ユーザは、ナビゲーション本体2のナビゲーションデータ71においては、選択可能な目的地として設定されていないたとえば新規の店舗などを、それを掲載する情報誌5の紙面を電子ペン4によりチェックすることで、その店舗までの案内経路をナビゲーション本体2に生成させることができる。したがって、ナビゲーション本体2などの電子機器の操作に不慣れで苦手なユーザであっても、手軽に、たとえば情報誌5に掲載される所望の掲載地点までの案内経路をナビゲーション本体2に生成させることができる。
【0094】
また、ユーザは、情報誌5とそれに対応するデータを記録した付録メモリカード6とを入手することで、同じ電子ペン4および同じナビゲーション本体2により、情報誌5に掲載される掲載地点への案内経路を生成させることができる。すなわち、情報誌5が異なれば、当然のことながら、所定の座標パターン13の座標値に対応させる案内地点の緯度経度データ101、ひいては座標変換テーブル84が異なることになる。車両に設置されるナビゲーション本体2の読取データ処理部134は、個々の情報誌5に対応している付録メモリカード6から、電子ペン4の読取に基づく座標値に対応する緯度経度データ101を取得することができる。また、ユーザは、雑誌をコピーして持ち歩く必要はない。
【0095】
また、ナビゲーション本体2は、付録メモリカード6に記憶されるデータ(座標変換テーブル84)と同じデータをインターネットなどのネットワークから直接に取得することなく、情報誌5に掲載される掲載地点までの案内経路を生成することができる。ナビゲーション本体2は、ネットワークに接続されていない所謂スタンドアローンのものでよい。したがって、ネットワーク環境の有無に依存することなく、ナビゲーション本体2において、情報誌5に掲載される掲載地点までの案内経路を生成することができる。また、ナビゲーション本体2に、複数の情報誌5に対応する複数の付録メモリカード6に記憶されるデータ(座標変換テーブル84)を記憶させる必要もない。
【0096】
また、車両に搭載されるナビゲーション本体2は、次々と数多く出版される旅行情報誌や飲食情報誌などの情報誌5の情報を取り込み、ナビゲーション本体2自体には選択可能な目的地として設定されていない掲載地点への案内経路を生成することができる。ナビゲーション本体2が対応可能な雑誌の数には限りがない。ナビゲーション本体2は、次々と数多く出版される情報誌5により提供される掲載地点の位置情報を取得し、共有し、案内経路を生成することができる。ネットワーク上のサーバやナビゲーション本体2に、次々と数多く出版される情報誌5に対応するデータ(座標変換テーブル84)を記憶するための記憶領域を設けたりする必要もない。また、これらのデータ(情報誌5毎の座標変換テーブル84)を更新したり、その更新を管理したりする必要もない。また、ネットワーク上のサーバやナビゲーション本体2に次々と数多く出版される情報誌5に対応するデータ84を記憶させた場合のように、ナビゲーション本体2は、それらの大量のデータ(複数の情報誌5の座標変換テーブル84)の中から、1つの情報誌5の座標変換テーブル84を選択し、さらにその選択した座標変換テーブル84から、読取位置に対応する所定の緯度経度データ101を抽出する必要もない。
【0097】
以上の実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形や変更が可能である。
【0098】
上記実施の形態では、ナビゲーション本体2のUI部132は、電子ペン4により読み取られた掲載地点までの案内経路を生成する。この他にもたとえば、UI部132は、電子ペン4により読み取られた掲載地点を出発地、経由地などとする案内経路を生成するようにしてもよい。
【0099】
上記実施の形態では、情報誌5には、各掲載地点の記事が紙面を分けて印刷され、座標変換テーブル84は、各緯度経度データ101に対応付けて掲載範囲と重なる座標値の範囲のデータ102を有する。この他にもたとえば、情報誌5には、掲載地点を含む地図が印刷され、付録メモリカード6に記憶される座標変換テーブルには、その地図の掲載範囲と重なる複数の座標パターン13の複数の座標値のデータ102と、複数の緯度経度データ101とを対応付けて記憶するものであってもよい。この変形例の場合、読取データ処理部134は、たとえば付録メモリカード6に記憶される座標変換テーブルを用いて、演算した座標の平均値に対応する緯度経度データを得て、その得た緯度経度データを、抽出地点データ91の緯度経度データ111として記憶させればよい。
【0100】
上記実施の形態では、座標変換テーブル84は、情報誌5に付属される付録メモリカード6に記憶される。この他にもたとえば、座標変換テーブル84は、情報誌5とは別にユーザへ提供されるメモリカードであってもよい。また、座標変換テーブル84は、CD−ROMなどの、他の形式の携帯電子記録媒体に記録されていてもよい。さらに、これら付録メモリカード6などの携帯電子記録媒体に記録される座標変換テーブル84は、たとえばインターネットやLAN(Local Area Network)などの伝送媒体を介してダウンロードされたものであってもよい。
【0101】
上記実施の形態では、印刷物は、情報誌5である。この他にもたとえば、電子ペン4が読み取ることができる座標パターン13が印刷可能な印刷物としては、たとえば地図帳、観光案内パンフレット、その他、特定の地点に関する情報が印刷されたものであってもよい。
【0102】
上記実施の形態では、情報誌5に掲載される掲載地点をナビゲーション本体2に案内地点として設定するために、複数の座標パターン13が掲載記事と重ねて印刷された情報誌5と、電子ペン4と、付録メモリカード6とが用いられている。この他にもたとえば、ナビゲーション本体2のマニュアルなどに複数の座標パターン13をたとえば操作手順を示す記事と重ねて印刷し、付録メモリカード6やナビゲーション本体2に各座標値に設定データなどを対応付けた座標変換テーブルを記憶させ、電子ペン4をナビゲーション本体2への設定に利用するようにしてもよい。このような方法によれば、マニュアルの所望の部位を電子ペン4にて指定することにより、ナビゲーション本体2を設定することができる。
【0103】
さらに他にもたとえば、ナビゲーション本体2以外の各種の電子機器、たとえばAV(オーディオビジュアル)機器などであっても、その電子機器において設定データなどを利用するものにあっては、その設定データの設定のために、マニュアルなどの印刷物と、変換テーブルと、電子ペンとを利用するようにしてもよい。また、ナビゲーション本体2やその他の電子機器において、画像、音声、動画などのデータを記録したり再生したりするために、たとえばテレビガイドやコンテンツガイドなどの印刷物と、変換テーブルと、電子ペンとを利用するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明は、自動車などの車両にナビゲーション本体が設置されるナビゲーションシステムにおいて好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係るカーナビゲーションシステムを示す構成図である。
【図2】図2は、図1中の情報誌中の1枚の専用シートの紙面を示す図である。
【図3】図3は、図2の専用シートの部分断面図である。
【図4】図4は、各専用シートにおける複数の座標パターンの印刷状態の一例を示す説明図である。
【図5】図5は、図1中の電子ペンの構成を示すブロック図である。
【図6】図6は、図5中の不揮発性メモリに記憶される読取データのデータ構造の一例を示す図である。
【図7】図7は、図1中のナビゲーション本体の構成を示すブロック図である。
【図8】図8は、図7中の付録メモリカードに記憶される座標変換テーブルのデータ構造の一例を示す図である。
【図9】図9は、図7中の一時メモリに記憶される抽出地点データのデータ構造の一例を示す図である。
【図10】図10は、図7中の読取データ処理部が未処理の受信読取データに対して実行する処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】図11は、図7中のUI部による経路探索処理などの流れを示すフローチャートである。
【図12】図12は、抽出地点データに抽出された掲載地点までの案内経路を表示する表示画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0106】
1 ナビゲーションシステム
2 ナビゲーション本体
4 電子ペン(携帯入力装置)
5 情報誌(印刷物)
6 付録メモリカード(携帯電子記録媒体)
13 座標パターン(所定のパターン)
84 座標変換テーブル
101 緯度経度データ
102 座標値の範囲のデータ
134 読取データ処理部(取得手段、データ入出力手段、装着判断手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
案内地点設定に基づいてその案内地点への案内経路を生成するナビゲーション本体と、
印刷物に印刷される所定のパターンを読み取り、その読取位置の座標値を生成する携帯入力装置と、
地点を掲載する印刷物であって、その掲載地点の記事が掲載される紙面において上記所定の読取パターンが重ねて印刷される印刷物と、
上記印刷物に印刷される上記所定の読取パターンに対応する座標値と上記印刷物においてその所定の読取パターンと重ねて印刷される掲載地点の緯度経度データとを対応付けて記憶する携帯電子記録媒体と、
上記ナビゲーション本体において実現され、上記携帯入力装置により上記印刷物を読み取ることで上記携帯入力装置が生成する座標値に対応付けられる緯度経度データを、上記携帯電子記録媒体から取得する取得手段と、を有し、
上記ナビゲーション本体は、上記取得手段により取得される上記緯度経度データを用いて、上記携帯入力装置により読み取られた掲載地点への案内経路を生成することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記携帯電子記録媒体は、前記印刷物の付属物として前記印刷物とともにユーザへ提供されるものであることを特徴とする請求項1記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記携帯電子記録媒体は、前記印刷物の付属物として前記印刷物とともにユーザへ提供されるものであり、且つ、その印刷物における前記所定の読取パターンに対応する座標値と前記掲載地点の緯度経度データとの対応付けのデータのみを記憶するものであることを特徴とする請求項1記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記ナビゲーション本体は、前記携帯入力装置が生成する座標値を前記携帯入力装置から読み込んだ場合に、前記ナビゲーション本体に前記携帯電子記録媒体が装着されているか否かを判断する装着判断手段を有し、
前記取得手段は、上記装着判断手段により前記携帯電子記録媒体が装着されていると判断された場合に、前記携帯入力装置から読み込んだ上記座標値を用いて、前記携帯電子記録媒体から前記掲載地点の緯度経度データを取得すること、
を特徴とする請求項1から3の中のいずれか1項記載のナビゲーションシステム。
【請求項5】
印刷物に掲載される掲載地点への案内経路の生成方法であって、
地点を掲載する印刷物であって、その掲載地点の記事が掲載される紙面において携帯入力装置が読取可能な所定の読取パターンが重ねて印刷される印刷物の、その所定のパターンを上記携帯入力装置により読み取ることで上記携帯入力装置が生成する読取位置の座標値を取得する第一の取得ステップと、
上記印刷物に印刷される上記所定の読取パターンに対応する座標値と上記印刷物においてその所定の読取パターンと重ねて印刷される掲載地点の緯度経度データとを対応付けて記憶する携帯電子記録媒体から、上記第一の取得ステップにおいて取得した上記座標値に対応付けられている掲載地点の緯度経度データを取得する第二の取得ステップと、
上記第二の取得ステップにおいて取得された上記掲載地点の緯度経度データを用いて、上記携帯入力装置により読み取られた掲載地点への案内経路を生成するステップと、
を有することを特徴とする案内経路の生成方法。
【請求項1】
案内地点設定に基づいてその案内地点への案内経路を生成するナビゲーション本体と、
印刷物に印刷される所定のパターンを読み取り、その読取位置の座標値を生成する携帯入力装置と、
地点を掲載する印刷物であって、その掲載地点の記事が掲載される紙面において上記所定の読取パターンが重ねて印刷される印刷物と、
上記印刷物に印刷される上記所定の読取パターンに対応する座標値と上記印刷物においてその所定の読取パターンと重ねて印刷される掲載地点の緯度経度データとを対応付けて記憶する携帯電子記録媒体と、
上記ナビゲーション本体において実現され、上記携帯入力装置により上記印刷物を読み取ることで上記携帯入力装置が生成する座標値に対応付けられる緯度経度データを、上記携帯電子記録媒体から取得する取得手段と、を有し、
上記ナビゲーション本体は、上記取得手段により取得される上記緯度経度データを用いて、上記携帯入力装置により読み取られた掲載地点への案内経路を生成することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項2】
前記携帯電子記録媒体は、前記印刷物の付属物として前記印刷物とともにユーザへ提供されるものであることを特徴とする請求項1記載のナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記携帯電子記録媒体は、前記印刷物の付属物として前記印刷物とともにユーザへ提供されるものであり、且つ、その印刷物における前記所定の読取パターンに対応する座標値と前記掲載地点の緯度経度データとの対応付けのデータのみを記憶するものであることを特徴とする請求項1記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記ナビゲーション本体は、前記携帯入力装置が生成する座標値を前記携帯入力装置から読み込んだ場合に、前記ナビゲーション本体に前記携帯電子記録媒体が装着されているか否かを判断する装着判断手段を有し、
前記取得手段は、上記装着判断手段により前記携帯電子記録媒体が装着されていると判断された場合に、前記携帯入力装置から読み込んだ上記座標値を用いて、前記携帯電子記録媒体から前記掲載地点の緯度経度データを取得すること、
を特徴とする請求項1から3の中のいずれか1項記載のナビゲーションシステム。
【請求項5】
印刷物に掲載される掲載地点への案内経路の生成方法であって、
地点を掲載する印刷物であって、その掲載地点の記事が掲載される紙面において携帯入力装置が読取可能な所定の読取パターンが重ねて印刷される印刷物の、その所定のパターンを上記携帯入力装置により読み取ることで上記携帯入力装置が生成する読取位置の座標値を取得する第一の取得ステップと、
上記印刷物に印刷される上記所定の読取パターンに対応する座標値と上記印刷物においてその所定の読取パターンと重ねて印刷される掲載地点の緯度経度データとを対応付けて記憶する携帯電子記録媒体から、上記第一の取得ステップにおいて取得した上記座標値に対応付けられている掲載地点の緯度経度データを取得する第二の取得ステップと、
上記第二の取得ステップにおいて取得された上記掲載地点の緯度経度データを用いて、上記携帯入力装置により読み取られた掲載地点への案内経路を生成するステップと、
を有することを特徴とする案内経路の生成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−116311(P2008−116311A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−299527(P2006−299527)
【出願日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]