説明

ナビゲーション装置

【課題】車両に搭載されるナビゲーション装置において、その装置の構成を大きくすることなく、確実に正しい日時が算出できるようにする。
【解決手段】車両用ナビゲーション装置では、GPS信号受信部が受信するGPS信号から、1980年1月6日午前0時を基準として約19.7年ごとにロールオーバーするGPS時刻データを取得すると共に(S160:YES)、ナビゲーション装置が有する地図DBから、地図情報が生成された生成日時情報を取得して(S200)、そのGPS時刻データと生成日時情報を取得とから、現在の正確な日時を算出する(S170)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信するGPS受信装置を備えたナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、GPS衛星からの電波(以下、GPS信号と記載する)を受信するGPS受信装置を備えた車両用のナビゲーション装置においては、そのGPS信号に基づき、現在の正しい日時を算出することが行われている。
【0003】
ところで、GPSシステムは、1980年1月6日(日曜日)の00:00:00(午前0時)を計時の開始点(以下、基準日時と記載する)とする時系で稼働している。尚、この時系では、協定世界時(UTC:Coordinated Universal Time)と同じ長さの1秒が刻まれる。そして、GPS衛星が送信するGPS信号には、その基準日時からの経過時間を表すいわゆるGPS時刻のデータが含まれる。
【0004】
このGPS時刻データは、基準日時から計時して何週目であるかを表す週番号データ(以下、WNデータと記載する)と、そのWNデータが表す週の日曜日午前0時からの経過秒数を表すデータとから構成される。このうち、WNデータは、10ビットで表現される。つまり、WNデータによれば、1024週間、言い換えると、第0週目から第1023週目までが表現される。そして、1023週目の次の週では、WNデータの値はリセットされ(いわゆるロールオーバーである)、再び第0週目からカウントされることとなる。
【0005】
このようなGPS時刻データによれば、第0週目の1980年1月6日(日曜日)の午前0時から、第1023週目の1999年8月21日(土曜日)の午後11時59分59秒(以下、終端日時と記載する)までは表現できるが、その終端日時よりも未来の日時は表現できない。
【0006】
一方、GPSシステムの時系は、前述のようにUTCの時系と同じ高精度な時系であり、GPS時刻データは、西暦部分を除けば、正確な日時を表すデータとなっている。そこで、GPS時刻データが表す日時のうち、西暦部分を補正して、その補正で算出した日時を利用することが考えられている。
【0007】
例えば、標準電波を受信して、その受信した標準電波から、正しい西暦の情報を含む日時の情報(以下、補正用日時情報と記載する)を、GPS時刻データとは別に取得し、その取得した補正用日時情報と、GPS時刻データとから、正しい日時を算出することが行われている(例えば特許文献1参照)。
【0008】
この特許文献1では、西暦を表すデータを補正用日時情報から取得し、月、日、時分秒を表すデータをGPS時刻データから取得して、正しい日時を算出するようにしている。
【特許文献1】特開2002−90441号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上記特許文献1の方法では、標準電波を受信するために、専用の通信装置を追加して設ける必要がある。しかしながら、そのような通信装置を設けることとすると、ナビゲーション装置が大きくなってしまう。また、特許文献1の技術では、標準電波が送信されない地域では使用することができない。
【0010】
本発明はこうした問題に鑑みなされたもので、車両に搭載されるナビゲーション装置において、その装置の構成を大きくすることなく、確実に正しい日時が算出できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる問題を解決するためになされた請求項1のナビゲーション装置は、GPS衛星から送信され、特定の時刻を基準とする日時の情報(以下、GPS時刻情報と言う)を少なくとも含むGPS信号を受信するGPS信号受信手段と、GPS信号受信手段により受信される前記GPS信号に含まれるGPS時刻情報を用いて、該取得したGPS時刻情報に基づき、現在の日時を算出する日時算出手段と、を備え、車両に搭載されて使用されるナビゲーション装置であって、地図情報と共に該地図情報が生成された日時の情報が記憶される地図データベースを備えている。また、その地図データベースから、地図情報が生成された日時の情報を取得して日時算出手段に供給する取得手段を備えている。
【0012】
そして、日時算出手段は、GPS信号から取得したGPS時刻情報と、取得手段から供給された日時の情報とに基づき、現在の日時を算出するようになっている。
つまり、請求項1のナビゲーション装置では、日時算出手段が現在の日時を算出する際に用いる日時の情報(以下、算出用日時情報と言う)を、本装置の地図データベースから取得するという非常に簡単な構成で、現在の正確な日時を算出できる。特に、地図データベースは、ナビゲーション装置が必ず備えているため、算出用日時情報を取得するための構成を新たに設けなくてもよい。しかも、地図データベースから日時の情報を取得することが容易となる。
【0013】
一方、地図データベースから得られる算出用日時情報が表す日時は固定であるため、請求項2のように構成するとより好ましい。
つまり、請求項2のナビゲーション装置は、請求項1の装置において、日時算出手段により算出された現在の日時の情報を更新記憶する記憶手段を備えている。そして、取得手段は、記憶手段に日時の情報が記憶されている場合には、その記憶された日時の情報を、記憶手段から読み出して取得すると共に、地図情報が生成された日時の情報にかえて日時算出手段に供給するようになっている。
【0014】
このような請求項2の装置によれば、算出手段により現在の日時が算出されるたびにその日時の情報が記憶手段に更新記憶され、その記憶手段に更新記憶された日時の情報が、算出用日時情報として利用されるようになる。このため、算出用日時情報により表される日時が古すぎて現在の日時を算出できなくなる、というような不具合を回避できる。
【0015】
ところで、地図データベースに記憶される地図情報は、更新されることも考えられる。そして、このような場合は、記憶手段に更新記憶された日時の情報よりも、地図データベースの地図情報が生成された日時の情報のほうが新しくなる(つまり、日時が後となる)ことが考えられる。
【0016】
そこで、請求項3のナビゲーション装置では、請求項2の装置において、取得手段は、地図情報が生成された日時の情報と、記憶手段に更新記憶された日時の情報とをそれぞれ取得し、その取得した日時の情報のうち、最も日時があとのものを、日時算出手段に供給するようになっている。
【0017】
このような本請求項3の装置によれば、より日時が後となる日時の情報を、算出用日時情報として使用できるため、確実に、現在の日時を正しく算出できるようになる。
次に、請求項4のナビゲーション装置は、請求項3の装置において、日時を計時する内部時計を備えている。そして、取得手段は、内部時計からその内部時計により計時される日時の情報を取得すると共に、地図情報が生成された日時の情報と、記憶手段に更新記憶された日時の情報とをそれぞれ取得し、その取得した日時の情報のうち、最も日時が後のものを、日時算出手段に供給するようになっている。
【0018】
このような本請求項4の装置によれば、内部時計が概ね正常であれば、その内部時計の日時の情報と地図情報が生成された日時の情報と記憶手段に更新記憶された日時の情報とのうち、最も日時が後のものが算出用日時情報として使用されるため、現在の日時が正しく算出される可能性がより一層高くなる。
【0019】
また、請求項5のナビゲーション装置は、請求項1の装置において、請求項4と同じ内部時計を備えたものである。そして、取得手段は、内部時計からその内部時計により計時される日時の情報を取得すると共に、地図情報が生成された日時の情報を取得し、その取得した日時の情報のうち、最も日時が後のものを、日時算出手段に供給するようになっている。このため、本請求項5の装置でも、現在の日時が正しく算出される可能性が高くなる。
【0020】
尚、内部時計に異常が生じたような場合には、その内部時計から正しい日時の情報が得られなくなるおそれがあるため、請求項6のように構成することが好ましい。
つまり、請求項6のナビゲーション装置は、請求項4又は請求項5の装置において、内部時計の異常を検出する時計異常検出手段と、時計異常検出手段により前記内部時計の異常が検出されると、前記取得手段が、その内部時計により計時された日時の情報を取得することを禁止する取得禁止手段とを備えている。
【0021】
この請求項6の装置によれば、内部時計に異常が生じて、その異常が生じた内部時計から、間違った日時を表す情報(例えば、現在と全くかけ離れた日時を表す情報)を取得してしまう、ということが生じることを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
[実施形態1]
図1は、本発明が適用されたナビゲーション装置の構成図である。
【0023】
図1のナビゲーション装置20は、図示しない車両に搭載されると共に、天空を航行するGPS衛星から送信されるGPS信号を受信し、そのGPS信号に基づき車両の位置を検出して車両の運転手に走行案内をするものである。
【0024】
ナビゲーション装置20は、具体的に、GPS信号を受信するGPS信号受信部1と、車両の姿勢を検知するためのジャイロ2と、車速センサ3と、地図情報4aが記憶される地図データベース(以下、データベースをDBと記載する)4と、各種情報を入力するための入力装置6と、地図情報4aが表す地図等を表示するためのディスプレイ7と、スピーカ8と、このナビゲーション装置20の各部を制御する電子制御装置としてのナビゲーションECU5と、を備えている。
【0025】
地図DB4は、例えばDVD−ROMやハードディスク(HDD)等の記録媒体に記憶される。そして、ナビゲーション装置20は、図示はしないが、DVD−ROMに記録された情報を読み取るための読取装置や、ハードディスク装置を備えている。そして、地図DB4の地図情報4aは、適宜更新することができる。
【0026】
また、ナビゲーションECU5は、CPU11と、ROM12と、RAM13とを備える周知のマイコン15と、日時を計時するRTC(Real Time Clock)9と、不揮発性メモリ10とを備えている。
【0027】
RTC9は、図示しないバックアップ電池から電源の供給を受けて駆動するようになっており、ナビゲーションECU5が動作を停止している間も日時を計時する。また、このRTC9には、動作状態に応じてフラグがセット/リセットされるフラグ機能が設けられている。具体的に、RTC9にバックアップ電池から電源が供給されると(RTC9の動作が正常な場合)、フラグがセットされ、RTC9へのバックアップ電池からの電源の供給が停止すると(RTC9の動作が正常でない場合)、フラグがリセットされる。尚、このフラグを、以下、保持状態フラグと記載する。また、RTC9が計時する日時のデータは、例えば2進化十進数(BCD:Binary Coded Decimal)で構成される。
【0028】
次に、図2は、マイコン15が、GPS信号に含まれるGPS時刻データに基づき、現在の正確な日時を算出する日時算出処理の流れを表すフローチャートである。ここで、GPS時刻データは、GPSシステムの時系、つまり、1980年1月6日午前0時(以下、基準日時と記載する)を基準とした日時を表すデータである。
【0029】
このGPS時刻データは、基準日時から計時して何週目であるかを表す週番号データ(以下、WNデータと記載する)と、そのWNデータが表す週の日曜日午前0時からの経過秒数を表す経過秒数データ(以下、TOWデータと記載する)とから構成される。尚、WNデータ、TOWデータはそれぞれ、2進数で表されるデータである。このうち、WNデータは、10ビットで表現される。つまり、WNデータにより、基準日時から計時して、第0週から第1023週までの1024週間が表される。一方、TOWデータによれば、WNデータにより表される週の最初、つまり、その週の午前0時からの経過秒数が表される。
【0030】
図2の処理では、まず、S110にて、前述の保持状態フラグを確認する。つまり、RTC9が正常に動作しているか否か、言い換えると、RTC9により日時が正常に計時されているか否かを確認する。
【0031】
そして、S120へ進み、S110で確認した保持状態フラグに基づき、日時データの保持状態が正常であるか否か(RTC9が正常に動作して正しく計時されているか否か)を判定し、保持状態が正常であると判定すると、S130へ移行する。
【0032】
S130では、RTC9から、日時データを読み出す。RTC9から読み出される日時データは、現在の年、月、日、時、分、秒を表すデータである。尚、以下、RTC9から読み出した日時データをRTC日時データTrと記載する。
【0033】
次に、S140へ進み、RTC日時データTrを、現在の正確な日時を算出する際に用いる日時データ(以下、算出用日時データT0と記載する)として、所定の記憶領域(例えばRAM12の所定の記憶領域)に格納する。そして、この日時算出処理では、前述のGPS時刻データと、その算出用日時データT0とから、現在の正確な日時を算出する(後述するS170)ようになっている。
【0034】
次に、S150では、GPS信号の受信動作を開始する。ところで、S140から移行したこのS150では、RTC日時データTrにより、現在時刻を算出できる。そこで、その現在時刻等からGPS衛星の位置を推定するとともに、その推定したGPS衛星の位置、車速センサ3により検出される車速、及びジャイロ2により検知される車両の姿勢に基づき、ドップラー効果の影響を考慮して、受信周波数を推定して設定する。そのようにして受信周波数を推定して設定するようにすれば、より早く、GPS信号を受信可能な状態となる。
【0035】
一方、現在時刻が不明である場合には、所定のルールに基づいてGPS衛星の位置や受信周波数を推定する。
そして次に、S160へ進み、受信されたGPS信号から、GPS時刻データ、つまり、前述のWNデータ及びTOWデータを取得したか否かを判定する。
【0036】
WNデータ及びTOWデータを取得していないと判定すると、再びこのS160の判定処理を行い、一方、WNデータ及びTOWデータを取得したと判定すると、S170へ移行する。
【0037】
S170では、前述の算出用日時データT0と、S160で取得したと判定したWNデータ及びTOWデータとから、現在の正確な日時を算出する。以下、どのように算出するかについて説明する。
【0038】
まず、基準日時から算出用日時データT0により表される日時までの経過の週数(以下、W0とする)を、その算出用日時データT0から求める。そして、WNデータが表す週数(以下、Wとする)に、ロールオーバーする週数、つまり、1024ずつ加算し、その加算演算の結果得られる週数が算出用日時データT0から得られた経過の週数以上になった時点で加算をやめて、さらに、その加算演算の結果得られた週数を、基準日時から現在までの経過の週数として取得する。
【0039】
つまり、言い換えると、W0≦W+1024kを満たすように、kに0,1,2…を順次代入していく。そして、W0≦W+1024kを満たすこととなるW+1024kを、基準日時から現在までの経過の週数として取得する。
【0040】
例えば、算出用日時データT0により表される日時が2008年12月1日(月曜日)であるとする。尚、S140を経たS170では、算出用日時データT0はRTC9から取得したものであるため、2008年12月1日(月曜日)は現在の日時でもある。この算出用日時データT0の日時(2008年12月1日(月曜日))は、基準日時(1980年1月6日(日曜日))からみて、1508週経過したさらに2日目に当たる。
【0041】
一方、現在の日時の2008年12月1日(月曜日)をWNデータで表すとすると、1023週経過した時点でロールオーバーして、基準日時から484週だけ経過した日時であると表される。
【0042】
そして、このWNデータが表す484(W)に、1024×0(k)を加算した値は、484であり、1508(W0)よりも小さい。次に、484(W)に、1024×1(k)を加算した値は、1508となる。つまり、この場合、1508(W0)≦484(W)1024×1(k)となり、上記の比較式W0≦W+1024kを満たすこととなる。加算は、この時点で終了する。そして、加算演算の結果得られた数値、つまり、上記の比較式の右辺の数値(1508)を、基準日時から現在までに経過した週数として取得する。
【0043】
また、算出用日時データT0が現在よりも過去の日時を表す場合(後述するが、例えば地図DB4から算出用日時データT0を取得した場合がある)は、次のようになる。まず、算出用日時データT0により表される日時が、2006年6月1日(木曜日)であるとする。この2006年6月1日(木曜日)は、基準日時(1980年1月6日(日曜日))からみて、1377週経過したさらに5日目にあたる。
【0044】
一方、現在の日時は、上記と同様2008年12月1日(月曜日)とする。
この場合、上記の手順で、kに0,1…を代入すると、k=1の時に、上記の比較式W0≦W+1024kが満たされる。つまり、1377(W0)≦484(W)+1024×1(k)である。この場合でも、結局、比較式の右辺の数値(1508)が、基準日時から現在までに経過した週数として取得されることとなる。
【0045】
そして、このようにして、週数を取得すると、次は、GPS時刻データのうち、TOWデータから経過秒数を取得する。つまり、これにより、基準日時から現在までに経過した週数と、その取得した週の日曜日午前0時からの経過秒数が取得でき、正しい日時が算出できることとなる。尚、以下、このS170で算出した現在の正確な日時を表すデータを、現在日時データTと記載する。
【0046】
次に、S180へ進み、算出した現在日時データTを利用して、RTC9を更新する。つまり、RTC9により計時されている日時のデータを、現在日時データTに置き換える。これにより、RTC9により計時される日時が正確になるように補正する。
【0047】
次に、S190では、算出した現在日時データTを、不揮発性メモリ10に更新記憶させる。尚、更新記憶させる際のデータの形式としては、2進化10進数の形式でもよいし、生成日時データTmと同じ形式(後述するが、yyyy/mm/ddの形式)でもよい。そしてその後、当該処理を終了する。
【0048】
一方、S120で、S110で確認した保持状態フラグに基づき、保持状態が正常でないと判定すると、次にS200へ移行する。
S200では、地図DB4から、その地図DB4に記憶されている地図情報4aが生成された日時の情報(以下、生成日時データTmと記載する)を読み出す。尚、この生成日時データTmは、地図情報4aが生成される際、その地図情報4aのプロパティ(属性)として生成され、地図情報4aと共に地図DB4に記憶されるものである。つまり、地図DB4に必ず記憶されるものである。また、生成日時データTmは、年、月、日を表す形式のデータ(例えば、yyyy/mm/ddの形式)である。
【0049】
次に、S210へ進み、不揮発性メモリ10から、その不揮発性メモリ10に記憶されている日時データを読み出す処理を行う。ここで、不揮発性メモリ10には、前述のように、S170で算出された現在日時データTが更新記憶される。つまり、S210で不揮発性メモリ10から読み出す日時データは、この日時算出処理で現在日時データTとして算出されたもののうち、最も新しいものである。尚、以下、不揮発性メモリ10から読み出した日時データを、メモリ日時データTpと記載する。
【0050】
次に、S220では、生成日時データTmと、メモリ日時データTpとを比較し、最も日時が後のものを、算出用日時データT0として、所定の記憶領域に格納する。そしてその後、S150へ進む。S150以降(S150〜S190)の処理については、前述の通りである。
【0051】
この日時算出処理によれば、算出用日時データT0と、GPS時刻データとから、現在の正確な日時を算出することができる。つまり、算出用日時データT0と、GPS時刻データのうちのWNデータとから、基準日時からの経過の週を正確に算出すると共に、GPS時刻データのうち、週の初めからの経過秒数が正確に表されるTOWデータを取得する。これにより、基準日時からの正確な経過時間(現在の正確な日時)を算出できる。
【0052】
また、この日時算出処理では、例えばRTC9が動作を停止して、RTC日時データTrを取得できない場合でも、S200で地図DB4から生成日時データTmを取得して、その取得した生成日時データTmを、算出用日時データT0とすることができる。このため、確実に現在の正確な日時を算出することができる。そして、特にハードウエアを追加することなく、地図DB4から生成日時データTmを取得するという簡単な構成で、正確な日時を算出できるという効果を得ることができる。
【0053】
また、正確な日時を表す算出日時データTは、不揮発性メモリ10に更新記憶され、その更新記憶される算出日時データTも、算出用日時データT0として使用することができる。例えば、算出用日時データT0が表す日時が、現在からみて1024週よりも過去である場合には、現在の正確な日時を算出できなくなってしまう。一方、算出日時データTを更新記憶させると共に、その算出日時データTを算出用日時データT0として使用するようにすれば、そのような問題を回避できる。つまり、算出用日時データT0により表される日時が現在とはかけ離れた過去のもの、具体的に、現在から1024週よりも前のものとなって、正確な日時を算出できなくなってしまうことを回避することができる。
【0054】
尚、本実施形態においては、GPS信号受信部1及びS150の処理がGPS信号受信手段に相当し、S170の処理が日時算出手段に相当し、S200〜S220の処理が取得手段に相当し、特に、S220でメモリ日時データTpを算出用日時データT0と設定する処理が請求項2の取得手段に相当し、S220で生成日時データTmとメモリ日時データTpとのうち最も日時が後のものを算出用日時データT0と設定する処理が請求項3の取得手段に相当し、不揮発性メモリ10及びS190の処理が記憶手段に相当し、RTC9が内部時計に相当し、S110及びS120の処理が取得禁止手段に相当している。
[実施形態2]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。
【0055】
第2実施形態のナビゲーション装置20では、第1実施形態と比較して、不揮発性メモリ10を備えていない点が異なっている。尚、その他の構成は同じであるため、ここでは、図示を省略する。
【0056】
次に、図3は、第2実施形態のナビゲーション装置20のマイコン15が実行する日時算出処理の流れを表すフローチャートである。
この図3の日時算出処理は、図2の日時算出処理と比較して、その図2のS210の処理と、S190の処理とが実行されない点が異なっている。本第2実施形態の装置では、不揮発性メモリ10を備えていないためである。また、S220の処理に代えて、S320の処理を実行する。尚、同じ内容の処理を表すステップは同じ符号を付している。
【0057】
S320では、S200で地図DB4から読み出した生成日時データTmを、基準日時データT0として、所定の格納領域に記憶させる。そしてその後、S150へ進む。S150以降(S150〜S180)の処理については、前述の通りである。
【0058】
尚、S200及びS320の処理が、請求項1の取得手段に相当している。
本第2実施形態のナビゲーション装置20によれば、不揮発性メモリ10を設けず、より簡単な構成が実現されている。また、特にハードウエアを追加することなく、地図DB4から生成日時データTmを取得するという簡単な構成で正確な日時を算出できる、という第1実施形態の装置について述べたような効果も得ることができる。
[実施形態3]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。
【0059】
第3実施形態のナビゲーション装置20は、第1実施形態のナビゲーション装置20と同じ構成を有している。一方、RTC9が、前述の保持状態フラグをセット/リセットするフラグ機能を有していない点が異なっている。RTC9の種類によっては、フラグ機能を有していないものもあり、本第3実施形態のナビゲーション装置20は、そのような場合でも問題なく、正確に現在の日時を算出できる。
【0060】
この第3実施形態のナビゲーション装置20では、マイコン15は、図2の日時算出処理に代えて、図4の日時算出処理を実行する。尚、図2の日時算出処理と比較して、同じ内容の処理を表すステップは同じ符号を付している。
【0061】
図4の日時算出処理では、まず、S130で、RTC9から、そのRTC9が計時している日時データ(RTC日時データTr)を読み出す。次に、S200へ進み、地図DB4から、地図情報4aが生成された日時データ(生成日時データTm)を読み出す。次に、S210へ進み、不揮発性メモリ10から、その不揮発性メモリ10に記憶されている日時データ(メモリ日時データTp)を読み出す。そして、次に、S440へ進む。
【0062】
S440では、RTC日時データTr、生成日時データTm、メモリ日時データTpのうち、最も日時が後のものを選択し、算出用日時データT0として、所定の格納領域に記憶させる。そして、S150へ進む。尚、S150以降(S150〜S190)の処理は、前述の通りであり、ここでは説明を省略する。
【0063】
尚、S130,S200,S210,S440の処理は、請求項4の取得手段に相当している。
この第3実施形態のナビゲーション装置20によれば、RTC日時データTrと、生成日時データTmと、メモリ日時データTpとのうち、最も日時が後のものを算出用日時データT0として選択して、正しい現在の日時を算出するようにしているため、算出用日時データT0により表される日時が現在とはかけ離れた過去のもの、具体的に、現在から1024週よりも前のものとなって、正確な日時を算出できなくなってしまうことを回避することができる。
【0064】
また、この第3実施形態において、例えばマイコン15がRTC9の動作状態を監視するようにしてもよい。例えば、所定時間毎にRTC9からデータを読み込む構成とし、さらに、あるタイミングで読み込んだデータと前回読み込んだデータとを比較して、両者の差が所定時間の期間に一致するか否かを監視するような構成が考えられる。そして、RTC9の動作状態の異常を検出した場合には、RTC9から日時データを読み込まないようにしてもよい。
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について説明する。
【0065】
第4実施形態のナビゲーション装置20は、第3実施形態のナビゲーション装置20と比較して、不揮発性メモリ10を備えていない点が異なっている。
また、マイコン15は、図4の日時算出処理に代えて、図5の日時算出処理を実行する。尚、図4の日時算出処理と比較して、同じ内容の処理を表すステップは同じ符号を付している。
【0066】
図5の日時算出処理では、図4のS210とS190の処理とを実行しないようになっており、また、S440の処理の代わりに、S540の処理を実行する。
つまり、S540では、S130で読み出したRTC日時データTrと、S200で読み出した生成日時データTmとのうち、最も日時が後のものを選択し、算出用日時データT0として、所定の格納領域に記憶させる。そして、S150へ進む。尚、S150以降(S150〜S180)の処理は、前述の通りであり、ここでは説明を省略する。
【0067】
尚、S130,S200,S540の処理が、請求項5の取得手段に相当している。
本第4実施形態のナビゲーション装置20によれば、不揮発性メモリ10を設けず、より簡単な構成が実現されている。また、特にハードウエアを追加することなく、地図DB4から生成日時データTmを取得するという簡単な構成で現在の正確な日時を算出できる、という第1実施形態の装置について述べたような効果も得ることができる。
【0068】
さらに、RTC日時データTrと生成日時データTmとのうち、最も日時が後のものを算出用日時データT0として使用する構成であるため、算出用日時データT0により表される日時が現在とはかけ離れた過去のもの、具体的に、現在から1024週よりも前のものとなって、正確な日時を算出できなくなってしまうことを回避することができる。
【0069】
また、この第4実施形態において、例えばマイコン15がRTC9の動作状態を監視するようにしてもよい。例えば、所定時間毎にRTC9からデータを読み込む構成とし、さらに、あるタイミングで読み込んだデータと前回読み込んだデータとを比較して、両者の差が所定時間の期間に一致するか否かを監視するような構成が考えられる。そして、RTC9の動作状態の異常を検出した場合には、RTC9から日時データを読み込まないようにしてもよい。
【0070】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術範囲内で種々の形態をとることができる。
例えば、地図DB4は、ネットワークを介して更新されるようにしてもよい。また、ネットワークは、無線でもよいし有線でもよい。そしてこの場合、ナビゲーション装置20に、通信のための通信装置を設けるようにすればよい。
【0071】
また、算出用日時データT0とGPS時刻データとから現在の正確な日時を算出する方法は、どのような方法を用いてもよい。一例として、西暦は算出用日時データT0から取得し、秒数部分はGPS時刻データから取得するようにしてもよい。例えば、現在を2008年12月1日午後0時として、算出用日時データT0が2008年10月1日を表しており、GPS時刻データが1990年の12月1日午後0時を表している場合、算出用日時データT0から西暦の2008を表すデータを取得し、GPS時刻データから12月1日午後0時を表すデータを取得するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本実施形態のナビゲーション装置の構成図である。
【図2】第1実施形態の日時算出処理の流れを表すフローチャートである。
【図3】第2実施形態の日時算出処理の流れを表すフローチャートである。
【図4】第3実施形態の日時算出処理の流れを表すフローチャートである。
【図5】第4実施形態の日時算出処理の流れを表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0073】
1…GPS信号受信部、2…ジャイロ、3…車速センサ、4…地図DB、4a…地図情報、5…ナビゲーションECU、6…入力装置、7…ディスプレイ、8…スピーカ、10…不揮発性メモリ、11…CPU、12…ROM、13…RAM、15…マイコン、20…ナビゲーション装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
GPS衛星から送信され、特定の時刻を基準とする日時の情報(以下、GPS時刻情報と言う)を少なくとも含むGPS信号を受信するGPS信号受信手段と、
前記GPS信号受信手段により受信される前記GPS信号に含まれる前記GPS時刻情報を取得し、該取得したGPS時刻情報を用いて、現在の日時を算出する日時算出手段と、
を備え、車両に搭載されて使用されるナビゲーション装置であって、
地図情報と共に該地図情報が生成された日時の情報が記憶される地図データベースと、
前記地図データベースから、前記地図情報が生成された日時の情報を取得して前記日時算出手段に供給する取得手段と、を備え、
前記日時算出手段は、前記GPS信号から取得した前記GPS時刻情報と、前記取得手段から供給される日時の情報とに基づき、現在の日時を算出するようになっていることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記日時算出手段により算出された現在の日時の情報を更新記憶する記憶手段を備え、
前記取得手段は、前記記憶手段に日時の情報が記憶されている場合には、その記憶された日時の情報を、その記憶手段から読み出して取得すると共に、前記地図情報が生成された日時の情報に代えて、前記日時算出手段に供給するようになっていることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項2に記載のナビゲーション装置において、
前記取得手段は、前記地図情報が生成された日時の情報と、前記記憶手段に記憶された日時の情報とをそれぞれ取得し、その取得した日時の情報のうち、最も日時が後のものを、前記日時算出手段に供給するようになっていることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項3に記載のナビゲーション装置において、
日時を計時する内部時計を備え、
前記取得手段は、
前記内部時計からその内部時計により計時される日時の情報を取得すると共に、前記地図情報が生成された日時の情報と、前記記憶手段に記憶された日時の情報とをそれぞれ取得し、その取得した日時の情報のうち、最も日時が後のものを、前記日時算出手段に供給するようになっていることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
日時を計時する内部時計を備え、
前記取得手段は、前記内部時計からその内部時計により計時される日時の情報を取得すると共に、前記地図情報が生成された日時の情報を取得し、その取得した日時の情報のうち、最も日時が後のものを、前記日時算出手段に供給するようになっていることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載のナビゲーション装置において、
前記内部時計の異常を検出する時計異常検出手段と、
前記時計異常検出手段により前記内部時計の異常が検出されると、前記取得手段がその内部時計により計時された日時の情報を取得することを禁止する取得禁止手段と、
を備えていることを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−315953(P2007−315953A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−146784(P2006−146784)
【出願日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】