説明

ナビゲーション装置

【課題】案内ルートを逸脱してルート指示が繰り返される前に、ルート案内を自動的に解除することができるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】自車位置を検出する自車位置検出部2と、自車位置検出部2が検出した自車位置から目的地までのルートを案内するルート案内部6と、ユーザの指示に基づきルート案内部6がルート案内を解除した地点の地点情報を目的地ごとに記憶する走行履歴記憶部7と、走行履歴記憶部7に記憶された地点情報に基づき、目的地ごとにルート案内部6がルート案内を終了させる案内終了地点を決定する案内終了地点分析部8とを備え、ルート案内部6が、自車位置検出部2が検出した自車位置に基づき、自車が案内終了地点分析部8により決定された目的地に対応する案内終了地点に到達したか否かを判定し、到達したと判定した場合は、当該案内終了地点以降のルート案内を終了させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、目的地に至る案内ルートに沿って移動体を案内するナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のナビゲーション装置は、その性能の向上からドアトゥドアでルート案内が可能になっている。しかしながら、一般的なルート案内では、運転者が意図的に案内ルートから逸脱した場合であっても、音声や表示によるルート指示が繰り返し行われる。この場合、運転者が、ルート指示の繰り返しにストレスを感じても、運転中は案内ルートを変更する操作が困難である。
【0003】
このような不具合を解消するための従来の技術として、例えば特許文献1に開示されるナビゲーション装置がある。この装置には、ピンポイント案内モードと通常案内モードとがあり、目的地を設定する際にいずれかのモードを選択することができる。ピンポイント案内モードが選択された場合、目的地まで所定の距離に自車が至るまでルート案内が継続され、自車位置が目的地まで所定の距離内ではルート案内が終了する。
【0004】
従って、運転者が、目的地を設定した際に目的地の周辺で案内ルートを逸脱したい場合にはピンポイント案内モードを選択し、目的地に至るまでルート案内を継続させたい場合は通常案内モードを選択する。これにより、目的地の周辺では、運転者が意図的に案内ルートを逸脱しても、ルート指示が繰り返し行われることがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−58235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
自宅へ帰るときのルート案内のように、運転者が目的地周辺の地理に詳しい場合、目的地の周辺で、寄り道や、渋滞のない道、信号のない道、裏道を通るために、案内ルートを逸脱するだけでなく、目的地までのルートそのものを変える場合が多い。
この場合においても、特許文献1で提案される従来の技術では、運転者が頻繁に目的地周辺で寄り道する場合であっても、目的地の設定時に選択した案内モードに限定される。
つまり、目的地の設定時にピンポイント案内モード及び通常案内モードのいずれが設定されていても、運転者が自宅まで所定の距離より離れた地点で寄り道して案内ルートから外れた場合はルート指示が繰り返し行われ、上記不具合が発生するという課題があった。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、案内ルートを逸脱してルート指示が繰り返される前に、ルート案内を自動的に解除することができるナビゲーション装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係るナビゲーション装置は、移動体の位置を検出する位置検出部と、位置検出部が検出した移動体の位置から目的地までのルートを案内するルート案内部と、ユーザの指示に基づきルート案内部がルート案内を解除した地点の地点情報を目的地ごとに記憶する記憶部と、記憶部に記憶された地点情報に基づき、目的地毎にルート案内部がルート案内を終了させる案内終了地点を決定する分析部とを備え、ルート案内部が、位置検出部が検出した移動体の位置に基づき、移動体が分析部により決定された目的地に対応する案内終了地点に到達したか否かを判定し、到達したと判定した場合は、当該案内終了地点以降のルート案内を終了させる。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、案内ルートを逸脱してルート指示が繰り返される前に、ルート案内を自動的に解除することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明に係るルート案内の解除処理の概要を示す図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態1に係るナビゲーション装置によるルート案内処理を示すフローチャートである。
【図4】目的地に至るまでにルート案内を解除した頻度と目的地までの距離との統計データの一例を示す図である。
【図5】手動によるルート解除時の状況及びこれに基づくルート案内解除条件の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1は、この発明に係るルート案内の解除処理の概要を示す図であり、運転者が地理に詳しい場所、例えば自宅へ帰るルート案内を設定した場合を示している。先ず、運転者が自宅に帰るために目的地を自宅に設定し、“目的地設定しました。ルート案内を開始します。”というようなアナウンスがあってから、運転者が乗る車両aが、図1で破線で示すような案内ルートに沿って走行を開始する。ここで、この運転者は、自宅周辺まで戻ると、信号の少ないルートのような、ナビゲーション装置の案内ルートと異なるルート(図1で三重線で示すルート)を走行することにしている。
この場合、従来のナビゲーション装置では、図1に示すように、案内ルートから外れたまま走行すると、“Uターンして下さい”や“再ルート探索します”、“次の交差点を直進です”等のルート指示が繰り返される。地理に詳しい運転者は、ルート指示の繰り返しがストレスに感じられ、手動でルート案内を解除すると思われる。
【0012】
この発明は、運転者によるルート案内解除の履歴を収集して解析することで、運転者が案内ルートとは異なるルートで走行を始める前に自動的にルート案内を解除することを特徴とする。つまり、図1に示すように、ナビゲーション装置の案内ルートと異なるルート(図1で三重線で示すルート)へ外れる前に、“目的地まであと2kmです。ルート案内を終了します。”というようなアナウンスの後に、自動的にルート案内を解除する。このようにすることで、運転中に目的地までの案内ルートそのものを変更する操作を行うことなく、またルート指示が繰り返されることなく、運転者が所望するルートを走行することが可能である。
【0013】
図2は、この発明の実施の形態1に係る移動体(例えば車両)に搭載されたナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。図2において、実施の形態1に係るナビゲーション装置1は、自車位置検出部2、道路地図データ記憶部3、表示部4、入力部5、ルート案内部6、走行履歴記憶部7及び案内終了地点分析部8を備える。
自車位置検出部2は、移動体の位置を検出する位置検出部であって、GPS(Global Positioning System)等により自車位置を検出する構成部である。なお、この自車位置検出部2は、GPS衛星からの位置情報の他に、加速度センサや各種速度センサを組み合わせれば、位置計測の精度をより一層高めることができる。道路地図データ記憶部3は、道路地図データベースを格納する記憶部である。この道路地図データに基づいて、自車の現在地の表示や、目的地までのルート設定が実施される。例えば、DVD、ハードディスクドライブ(HDD)装置、その他のフラッシュメモリ等で実現される。
【0014】
表示部4は、ユーザに地図データや案内ルートを表示したり、各種操作のためのHMI(Human Machine Interface)画面を表示する表示装置である。例えば、液晶ディスプレイが使用される。入力部5は、ユーザからの操作入力を受け付ける構成部であり、例えばハードスイッチなど、表示部4の画面に装着されたタッチパネルを使用するソフトキーで実現される。ルート案内部6は、自車位置検出部2により検出された自車位置、入力部5により入力された目的地及び道路地図データ記憶部3に記憶される道路地図データを用いて、目的地までのルートを探索してルート案内を行う構成部である。例えば、必要なタイミングでユーザに交差点の右左折や目的地までの距離を案内して通知する。
【0015】
走行履歴記憶部7は、ユーザによる入力部5への指示に基づきルート案内が解除された地点の地点情報を、履歴情報として目的地ごとに記憶する記憶部である。地点情報には、案内ルートの目的地、ユーザがルート案内を解除して自車が案内ルートから外れた地点から目的地までの距離、案内ルートから外れた地点(交差点)、ルート案内が解除された時刻及びルート案内を解除したユーザ名(運転者名)等の情報が含まれる。
【0016】
案内終了地点分析部8は、走行履歴記憶部7に記憶されている履歴情報を分析して、通常ユーザがルート案内を解除して終了する地点(以下、案内終了地点と呼ぶ)を当該案内ルートの目的地ごとに導出する分析部である。例えば、履歴情報に含まれるルート案内が解除された地点から目的地までの残りの距離や残りの予想到着時間又は過去の実到着時間を抽出して、これらの統計値で傾向を分析し、ルート案内を自動的に終了する案内終了地点を目的地ごとに決定する。
【0017】
次に動作について説明する。
図3は、実施の形態1に係るナビゲーション装置によるルート案内処理を示すフローチャートであり、この図1に沿って案内ルートが設定されてから自動解除されるまでの処理の詳細を述べる。
先ず、運転者が、表示部4の画面上に表示された目的地設定用画面を基に、入力部5を用いて目的地を設定する(ステップST1)。例えば、運転者が周辺の地理に詳しいことが想定される自宅が目的地に設定されたものとする。
ルート案内部6は、ステップST1で入力部5により入力された目的地、自車位置検出部2により検出された自車位置及び道路地図データ記憶部3に記憶される道路地図データを用いて、自車位置から上記目的地までのルートを計算して設定し、当該ルートの案内を行う(ステップST2)。
【0018】
ルート案内部6には、案内終了地点分析部8により決定された案内終了地点に基づいたルート案内解除条件が予め設定されている。ルート案内解除条件とは、案内終了地点分析部8により決定された案内終了地点を特定するための情報である。例えば、走行履歴記憶部7に記憶された履歴情報に基づいて統計的に求められる情報であり、過去のルート案内の解除地点から目的地までの残りの距離などが挙げられる。
【0019】
次に、ステップST3において、ルート案内部6は、自車位置検出部2により検出された自車位置に基づいて、案内ルートを走行する自車が、当該ルート案内解除条件を満たしたか否か、すなわち、案内終了地点分析部8により決定された当該案内ルートの目的地に対応した案内終了地点に到達したか否かを判定する。ここで、ルート案内解除条件を満たす場合(ステップST3;YES)には、ルート案内部6は、ステップST7に移行し、当該案内終了地点以降のルート案内を終了する。
【0020】
一方、ルート案内解除条件を満たさない場合(ステップST3;NO)、ルート案内部6は、ルート案内を実施している間、運転者により入力部5を用いたルート案内の手動解除が行われたか否かを常に確認する(ステップST4)。ここで、ルート案内の手動解除が行われなければ(ステップST4;NO)、ステップST2の処理に戻り、ルート案内が継続される。
【0021】
ルート案内の手動解除が行われると(ステップST4;YES)、ルート案内部6が、案内終了地点分析部8にその旨を通知する。
案内終了地点分析部8は、ルート案内の手動解除が行われた旨の通知を受けると、自車位置検出部2により検出された自車位置及び道路地図データ記憶部3に記憶される道路地図データを用いて、ルート案内が解除された地点から目的地までの残りの距離、ルート案内が解除された時刻から目的地へ到着する残りの予想到着時間又は過去の実到着時間、同一目的地のルート案内が解除された回数(案内解除頻度)、当該案内ルートの目的地等の情報を取得する(ステップST5)。この後、案内終了地点分析部8は、ステップST5で取得した情報を、目的地ごとに対応付けて走行履歴記憶部7に記憶する。
【0022】
次に、案内終了地点分析部8は、走行履歴記憶部7に記憶されている履歴情報のうち、今回の目的地に対応する履歴情報を読み出して、これらのデータの平均値、最大値、最小値、分布値などを算出し、算出結果を基に案内終了地点を決定してルート案内解除条件を再設定する(ステップST6)。この後、ステップST4で実施されたルート案内解除に従って、ルート案内部6はルート案内を終了する(ステップST7)。次回にルート案内が実施されたときには、ステップST6で再設定されたルート案内解除条件でルート案内が終了される。
【0023】
ここで、ステップST6で実施される履歴情報の統計処理について説明する。
図4は、目的地に至るまでにルート案内を解除した頻度と目的地までの距離との統計データの一例を示す図であり、ルート案内が解除された地点から目的地までの残りの距離と案内解除頻度の関係を表す正規分布を示している。案内終了地点分析部8は、走行履歴記憶部7に記憶される履歴情報の中から、ルート案内が解除された地点から目的地までの残りの距離を所定の案内回数分だけ収録して、図4に示すような正規分布を作成してデータ分析を実行する。図4の場合、ルート案内が解除された地点から目的地までの残りの距離が1000mの場合が最も頻度が高い。また、ルート案内を解除した場合の約80%が、残りの距離が1500m程度以下の距離範囲に含まれている。
【0024】
そこで、案内終了地点分析部8は、図4の正規分布を用いて、例えば、ルート案内が解除された地点から目的地までの残りの距離が1500mで特定される案内終了地点を決定し、この残りの距離をルート案内解除条件として設定する。そして、ルート案内部6は、現在の自車の目的地までの残りの距離と、案内終了地点分析部8に決定された案内終了地点を特定する残りの距離との比較結果から、自車が案内終了地点に到達したか否かを判定する。この結果、自車が案内終了地点に到達したと判定すると、ルート案内部6は、ルート案内を終了する。これにより、運転者が、ほとんどの場合(約80%)でルート案内を手動で解除していた地点でルート案内を自動的に終了することができる。
【0025】
また、ルート案内部6が、自車位置検出部2により検出された自車位置に基づいて、走行履歴記憶部7に記憶される同一目的地に対応する所定の案内回数の履歴情報データのうち、ルート案内が解除された地点から目的地までの残りの距離の最大値に相当する地点に自車が到達したと判定すると、“走行履歴エリア周辺に入りましたので、あと3kmでルート案内を早期終了します。”と告知してもよい。これにより、ルート案内の途中で自動的に案内が解除されることを、運転者が前もって知ることができる。
さらに、案内終了地点分析部8が、上記残りの距離の平均値又は最小値に相当する地点を案内終了地点として決定しておくことで、ルート案内部6が、上記残りの距離の平均値又は最小値に相当する地点に自車が到達したと判定すると、“走行履歴エリアのためルート案内を省略します。”と告知してルート案内を終了する。このように、ルート案内が解除されることを事前に運転者へ告知し、ルート案内を自動解除するまでの間に所定のタイムラグを持たせることで、ルート案内の自動解除に対して不自然さを感じることがない。例えば、運転者がナビゲーション装置1の故障でないことを認知できる。
【0026】
このように、実施の形態1では、運転者が頻繁に向かう地点を目的地とするルート案内において、運転者が、地理に詳しい等の理由から当該案内ルートを逸脱して頻繁にルート自体を変更していれば、ナビゲーション装置1が案内終了地点を決定する。従って、ナビゲーション装置1は、自車が目的地から離れた地点では必要なルート案内を行い、自車が案内終了地点に到達すると案内終了地点以降のルート案内を終了する。これにより、案内終了地点に到達して自車を案内ルートから逸脱させても、これに応じたルート指示が実施されることはない。
【0027】
なお、案内終了地点分析部8が、ある目的地までのルート案内が行われる度に、上記データを収集して履歴情報として走行履歴記憶部7に保存し、当該目的地に対応した所定の案内回数分の履歴情報データが蓄積された段階で、履歴情報データの統計処理を実施して案内終了地点を決定することで、次回の案内終了地点を動的に変更してもよい。
【0028】
図3に示した処理のうち、ステップST3の判定を初回に行う場合、ルート案内解除条件のデフォルト値が基準とされる。このデフォルト値には、都心部や地方等、地域ごとの運転者によるルート案内解除傾向を予め調査しておき、この傾向に基づいて求めたルート案内解除条件(運転者が過去に頻繁にルート案内を解除した地点の地点情報)を利用してもよい。また、運転者ごとにルート案内解除傾向を調査し、運転者ごとの傾向に基づいて決定したルート案内解除条件をデフォルト値としてもよい。
なお、デフォルト値は、ナビゲーション装置1がルート案内を実行する際に利用されるナビゲーションデータの一つとして初期設定される。
また、目的地ごとのデフォルト値を管理するサーバ装置を設けてもよい。この場合は、ユーザがルート案内の早期終了を希望するルートの目的地を含む配信要求を、ナビゲーション装置1からサーバ装置へ送信する。これにより、ナビゲーション装置1は、配信要求に応じてサーバ装置から返信されてきたデフォルト値を受信して、ルート案内解除条件として設定する。
【0029】
上述したように、特許文献1の技術では、ルート設定時にピンポイント案内モード及び通常案内モードのいずれか一方を選択するだけであるので、ルート案内の途中で案内終了地点を変更することができず、運転者が意図するルート変更に適応させたり、ルート案内自体を早期に終了することができなかった。
この発明では、上述のようにルート案内を早期終了することにより、運転者がストレスを感じることなく、自分の判断での運転に切り替えることを可能にする。例えば、自車が自宅に辿り着くまでの距離が1kmの地点や、自宅に到着するまでの予想到着時間が20分の地点、運転者が頻繁にルートを外れて寄り道するコンビニ等の前で、ルートを逸脱しても、その時点においてはルート案内が終了されており、ルート指示の繰り返しによるストレスを運転者に与えることがない。
【0030】
次に、ルート案内解除条件の設定例について説明する。
図5は、手動によるルート解除時の状況及びこれに基づくルート案内解除条件の一例を示す図である。図5において、ユーザ1は自宅を目的地としたルート案内を4回(所定の)実施した際に、ルート案内が解除された地点から目的地までの残りの距離が2000mの地点でルートから外れてルート案内解除を手動で行っている。
この場合には、案内終了地点分析部8が、4回のルート案内で得られた上記残りの距離の平均値である2000mに対して所定の余裕距離(100m)を付加することにより、上記残りの距離の平均値である2000mの地点に最も近い交差点(池田)の手前かつ距離2100mの地点を案内終了地点としたルート案内解除条件を決定する。
ルート案内部6は、自車の目的地までの残りの距離と、交差点(池田)の手前かつ距離2100mとを比較して双方の値が一致し、自車が案内終了地点に到達したと判定すると、これ以降のルート案内を解除する。これにより、ルート指示が繰り返される前にルート案内を終了することができるため、ルート指示の繰り返しによってユーザ1がストレスを感じることがない。
なお、上述した余裕距離は、例えばルート案内の自動終了を事前通知することが可能な距離であればよい。上記の場合では、ルート案内が解除された地点から目的地までの残りの距離が2000mの地点にある交差点に到達する前のルート上の地点が特定されればよい。
【0031】
また、ユーザ2は自宅を目的地としたルート案内を4回実施した際に、ルート案内が解除された地点から目的地までの残りの距離がばらついている(500〜3000mの範囲内)が、4回ともルート案内が解除された時刻から目的地へ到着する予想到着時刻又は過去の実到着時間が30分の地点でルートから外れてルート案内解除を手動で行っている。この場合には、案内終了地点分析部8が、4回のルート案内で得られた上記到達時間の平均値である30分に対して所定の余裕時間(2分)を付加し、目的地へ到着する上記到着時間が32分の地点を案内終了地点としたルート案内解除条件を決定する。
ルート案内部6は、自車の目的地までの予想到着時間と、案内終了地点分析部8に決定された目的地へ到着する上記到着時間32分とを比較して両者が一致し、自車が案内終了地点に到達したと判定すると、これ以降のルート案内を解除する。これにより、ルート指示が繰り返される前に、ルート案内を終了することができるため、ルート指示の繰り返しによってユーザ2がストレスを感じることがない。
なお、上述した余裕時間は、例えばルート案内の自動終了を事前通知することが可能な時間であればよい。
【0032】
さらに、ユーザ3は、ゴルフ場を目的地としたルート案内を4回実施した際に、ルート案内が解除された地点から目的地までの残りの距離が5000mの地点でルートから外れてルート案内解除を手動で行っている。この場合には、案内終了地点分析部8が、4回のルート案内で得られた上記残距離の平均値である5000mに対して所定の余裕距離(100m)を付加することで、残りの距離が5000mの地点に最も近い交差点(山口)の手前かつ距離5100mの地点を案内終了地点としたルート案内解除条件を決定する。
ルート案内部6は、自車の目的地までの残りの距離と、交差点(山口)の手前かつ距離5100mとを比較して双方の値が一致し、自車が案内終了地点に到達したと判定すると、これ以降のルート案内を解除する。これにより、ルート指示が繰り返される前にルート案内を終了することができるため、ルート指示の繰り返しによって、ユーザ3がストレスを感じることがない。
このように、運転者が、個々の目的地を特定せずとも、同じ種類(種別)の目的地であれば、同様な行動をとることが統計的に確認された場合には、目的地の種類ごとに残りの距離を計算して案内終了地点を決定してもよい。
【0033】
ユーザ4は、病院を目的地としたルート案内を4回実施した際に、ルート案内が解除された地点から目的地までの残距離が0m、つまり、ルート案内に従い目的地まで運転している。この場合には、案内終了地点分析部8が、4回のルート案内で得られた上記残りの距離の平均値である0mの地点(目的地)を、案内終了地点としたルート案内解除条件を決定する。これにより、ルート案内部6は、自車が目的地に到着するまでルート案内を解除しない。
目的地が病院である場合のように、履歴情報に基づいて、ユーザ4がルートを逸脱する可能性が低いと判断されるルートでは、案内終了地点分析部8が案内終了地点を目的地に設定して、ルート案内途中のルート案内解除を実施しない。
【0034】
さらに、ユーザ2の履歴情報に基づいて、下記のようなルート案内を実行してもよい。
先ず、案内終了地点分析部8が、ルート案内が解除された地点から目的地までの残りの距離の最大値に相当する、残りの距離が3000mの地点を、ルート案内を自動終了する旨の告知地点として設定し、この地点に自車が到達すると、“走行履歴エリア周辺に入りましたので、あと3kmでルート案内を早期終了します。”と告知する。
そして、案内終了地点分析部8は、4回のルート案内解除条件で得られた残距離の平均値である約1.5kmの地点を案内終了地点としたルート案内解除条件を設定し、自車が上記ルート案内解除条件の案内終了地点に到達すると、“走行履歴エリアのためルート案内を省略します。”と告知してルート案内を自動終了する。
これにより、ルート案内の途中で自動終了することを、ユーザ2が不自然に感じることを避けられる。
【0035】
以上のように、この実施の形態1によれば、自車位置を検出する自車位置検出部2と、自車位置検出部2が検出した自車位置から目的地までのルートを案内するルート案内部6と、ユーザの指示に基づきルート案内部6がルート案内を解除した地点の地点情報を目的地ごとに記憶する走行履歴記憶部7と、走行履歴記憶部7に記憶された地点情報に基づき、目的地ごとにルート案内部6がルート案内を終了させる案内終了地点を決定する案内終了地点分析部8とを備え、ルート案内部6が、自車位置検出部2が検出した自車位置に基づき、自車が案内終了地点分析部8により決定された目的地に対応する案内終了地点に到達したか否かを判定し、到達したと判定した場合は、当該案内終了地点以降のルート案内を終了させる。このようにすることで、運転者が案内ルートを逸脱する前にルート案内を自動的に解除することができる。これにより、運転者が、運転中に目的地までの案内ルートそのものを変更する操作を行う必要がない。また、ルートを逸脱してルート指示が繰り返される前に、ルート案内が自動終了することから、ルート指示の繰り返しに起因したストレスを感じることなく、運転者が所望するルートを走行することが可能である。
【0036】
また、この実施の形態1によれば、走行履歴記憶部7が、ユーザの指示に基づきルート案内部6がルート案内を解除した地点とこの地点から目的地までの距離を地点情報として記憶し、案内終了地点分析部8が、走行履歴記憶部7に記憶された当該地点情報を分析して、ルート案内を解除した地点とこの地点から目的地までの距離に基づき、案内終了地点を決定し、ルート案内部6が、自車位置検出部2が検出した自車位置から目的地までの距離と案内終了地点分析部8が決定した案内終了地点から目的地までの距離との比較結果に基づき、自車が案内終了地点に到達したか否かを判定する。これにより、ユーザがルート案内を必要としないルート区間でルート案内が自動的に解除されるため、ユーザがルート案内を解除したり、案内ルート自体を変更する手間や煩わしさを解消することができる。
【0037】
さらに、この実施の形態1によれば、ルート案内部6が、走行履歴記憶部7に記憶されるルート案内が解除された地点から目的地までの距離の最大値に相当する地点に自車が到達したと判定した場合は、ルート案内を解除する旨を告知するので、ユーザがルート案内が解除されることを認識した上でルート案内が自動的に解除される。これにより、ルート案内の途中で自動的に案内が解除されることを、運転者が前もって知ることができる。
【0038】
さらに、この実施の形態1によれば、案内終了地点分析部8が、走行履歴記憶部7に記憶された当該地点情報を分析して、ルート案内を解除した地点から目的地までの距離の平均値又は最小値に相当する地点を案内終了地点として決定し、ルート案内部6が、上述の告知の後に、走行履歴記憶部7に記憶されるルート案内を解除した地点から目的地までの距離の平均値又は最小値に相当する案内終了地点に移動体が到達したと判定した場合は、当該案内終了地点以降のルート案内を終了させる。このように、ルート案内が解除されることを事前にユーザへ告知してから実際に案内が解除されるまでの間に所定のタイムラグを持たせることで、ユーザがルート案内の途中で案内が自動解除されても不自然さを感じることがない。つまり、ナビゲーション装置1の故障でないことを認知できる。
【0039】
さらに、この実施の形態1によれば、案内終了地点分析部8が、ルート案内を解除した地点から目的地までの距離に相当する地点に最も近い交差点を案内終了地点として決定し、ルート案内部6が、自車が案内終了地点分析部8により決定された当該交差点に到達したと判定した場合は、当該交差点以降のルート案内を終了させる。このように、交差点を基準として以降のルート案内を解除することで、不要なリルート検索等のルート指示の繰り返しを排除することができる。
【0040】
さらに、この実施の形態1によれば、走行履歴記憶部7が、ユーザの指示に基づきルート案内部6がルート案内を解除した地点とこの地点から目的地までの予想到着時間又は過去の実到着時間を地点情報として記憶し、案内終了地点分析部8が、走行履歴記憶部7に記憶された当該地点情報を分析して、ルート案内を解除した地点とこの地点から目的地までの予想到着時間又は過去の実到着時間に基づき、案内終了地点を決定し、ルート案内部6が、自車の目的地までの予想到着時間と案内終了地点分析部8が決定した案内終了地点を特定する予想到着時間又は過去の実到着時間との比較結果に基づき、自車が案内終了地点に到達したか否かを判定する。このようにすることでも、ユーザが、ルート案内を必要としないルート区間でルート案内が自動的に解除されるため、ユーザがルート案内を解除したり、案内ルート自体を変更する手間や煩わしさを解消することができる。
【0041】
さらに、この実施の形態1によれば、ルート案内部6が、自車の目的地までの予想到着時間と、案内終了地点分析部8が決定した案内終了地点を特定する予想到着時間又は過去の実到着時間とが一致した時点で自車が案内終了地点に到達したと判定し、当該案内終了地点以降のルート案内を終了させる。このように目的地までの予想到着時間を基準として以降のルート案内を解除することで、不要なリルート検索等のルート指示の繰り返しを排除することができる。
【0042】
上記実施の形態1では、本発明のナビゲーション装置を、車載用のナビゲーション装置に適用する場合を示したが、車載用のナビゲーション装置のみならず、携帯電話端末又は携帯情報端末(PDA;Personal Digital Assistance)に適用してもよい。
また、車両、鉄道、船舶又は航空機等の移動体に、人が携帯して持ち込んで使用されるPND(Portable Navigation Device)等に適用してもよい。
【0043】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 ナビゲーション装置、2 自車位置検出部、3 道路地図データ記憶部、4 表示部、5 入力部、6 ルート案内部、7 走行履歴記憶部、8 案内終了地点分析部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の位置を検出する位置検出部と、
前記位置検出部が検出した前記移動体の位置から目的地までのルートを案内するルート案内部と、
ユーザの指示に基づき前記ルート案内部がルート案内を解除した地点の地点情報を目的地ごとに記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された地点情報に基づき、目的地毎に前記ルート案内部がルート案内を終了させる案内終了地点を決定する分析部とを備え、
前記ルート案内部は、前記位置検出部が検出した前記移動体の位置に基づき、前記移動体が前記分析部により決定された前記目的地に対応する案内終了地点に到達したか否かを判定し、到達したと判定した場合は、当該案内終了地点以降のルート案内を終了させることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記記憶部は、ユーザの指示に基づき前記ルート案内部がルート案内を解除した地点と当該地点から目的地までの距離を前記地点情報として記憶し、
前記分析部は、前記記憶部に記憶された当該地点情報を分析して、ルート案内を解除した地点と当該地点から目的地までの距離に基づき、案内終了地点を決定し、
前記ルート案内部は、前記位置検出部が検出した前記移動体の位置から目的地までの距離と前記分析部が決定した案内終了地点から目的地までの距離との比較結果に基づき、前記移動体が前記案内終了地点に到達したか否かを判定することを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記ルート案内部は、前記記憶部に記憶されるルート案内が解除された地点から目的地までの距離の最大値に相当する地点に移動体が到達したと判定した場合は、ルート案内を解除する旨を告知することを特徴とする請求項2記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記分析部は、前記記憶部に記憶された当該地点情報を分析して、ルート案内を解除した地点から目的地までの距離の平均値又は最小値に相当する地点を案内終了地点として決定し、
前記ルート案内部は、前記記憶部に記憶されるルート案内を解除した地点から目的地までの距離の平均値又は最小値に相当する案内終了地点に移動体が到達したと判定した場合は、当該案内終了地点以降のルート案内を終了させることを特徴とする請求項3記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記分析部は、ルート案内を解除した地点から目的地までの距離に相当する地点に最も近い交差点を案内終了地点として決定し、
前記ルート案内部は、移動体が前記分析部により決定された当該交差点に到達したと判定した場合は、当該交差点以降のルート案内を終了させることを特徴とする請求項2記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記記憶部は、ユーザの指示に基づき前記ルート案内部がルート案内を解除した地点と当該地点から目的地までの予想到達時間又は過去の実到着時間を前記地点情報として記憶し、
前記分析部は、前記記憶部に記憶された当該地点情報を分析して、ルート案内を解除した地点と当該地点から目的地までの予想到達時間又は過去の実到着時間に基づき、案内終了地点を決定し、
前記ルート案内部は、移動体の目的地までの予想到達時間と前記分析部が決定した案内終了地点を特定する予想到達時間又は過去の実到着時間との比較結果に基づき、前記移動体が前記案内終了地点に到達したか否かを判定することを特徴とする請求項1記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記ルート案内部は、移動体の目的地までの予想到達時間と前記分析部が決定した案内終了地点を特定する予想到達時間又は過去の実到着時間とが一致した時点で、前記移動体が案内終了地点に到達したと判定し、当該案内終了地点以降のルート案内を終了させることを特徴とする請求項6記載のナビゲーション装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−225712(P2012−225712A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92178(P2011−92178)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】