説明

ネオジム磁石積層治具及び誘磁ヨーク組付治具並びに空気活性化装置

【課題】強力なネオジム磁石を配列して空気の流路を形成した空気活性化装置を提供する。また、ネオジム磁石ブロックを安全かつ確実に組み立てることができるネオジム磁石積層治具及び誘磁ヨーク組付治具を提供する。
【解決手段】本発明による空気活性化装置は、複数のネオジム磁石板の間にセパレータを挿入して形成した側壁が、ライナーで隔てられて配列され、2つのヨーク側部体とヨーク底部体からなる誘磁ヨークで挟み込まれて構成されたネオジム磁石ブロックと、空気投入口と空気取出口を備えた収納ケースとが備えられ、空気投入口に送り込んだ空気を、ライナーによって形成されたエアースリットの磁束を横切るように通過させて、空気中の酸素分子を活性化し、空気取出口から取り出すようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネオジム磁石板を積層するためのネオジム磁石積層治具と、積層されたネオジム磁石板に誘磁ヨークを組み付けてネオジム磁石ブロックを形成するための誘磁ヨーク組付治具と、ネオジム磁石ブロックを使用した空気活性化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気を強い磁力線の中を高速度で通過させると、空気中の酸素分子のポテンシャルエネルギーが高くなること(特許文献1参照)が知られる。このような活性化された空気を水槽などの曝気に使用すると、溶存酸素濃度の高い水が得られる。溶存酸素濃度の高い水は、養殖魚の排泄物と残滓がプールの底に堆積し、酸素が大量に消費されて生じる酸欠状態を防止できる。活性化された空気は、水の分子集団を微細化し可溶性を向上させることや、水に混じっている浮遊物質(suspended solid)を凝集させる効果もある。
【0003】
活性化された空気を室内に適用した場合、脱臭効果が期待できる。特に硫黄系の臭気成分の除去に効果がある。また、高湿度環境下でのカビを防ぐ効果がある。さらに、集塵機の電極の汚れを取り、集塵力を向上させる効果などもある。
【0004】
図27は空気が活性化されるイメージを示す模式図である。空気を強力な磁石1の磁力線3を横切ってエアースリット25を高速で通過させると、フレミングの法則で磁気干渉力が発生し、酸素分子2のエネルギー順位が引き上げられ、酸素分子2は反応性のよい状態となる。
【0005】
ネオジム磁石は、永久磁石で最も保持力が高く、ネオジム、鉄、ホウ素を主成分とする希土類磁石の1つである。最大で12,500ガウス(1.25テラス)の磁束密度がある。このような強力な磁石で空気を処理すると、反応性の高い空気が得られる。ネオジム磁石は、1辺が数mmから数10mmのものがあるが、空気を大量に処理するには、空気の流路に相当の大きさが求められる。このような目的には、幅が100mm、奥行きが50mm、厚さが12.7mmのような特大形状のネオジム磁石が望ましい。しかし、特大ネオジム磁石は、吸着力が極めて強く、2枚が一度、吸着結合すると、分離するのが極めて困難である。また、遠距離からでも引き合って空中を飛んで結合するので、ネオジム磁石を配列して1つのブロックを組み立てることが非常に難しかった。
【特許文献1】特開2000−84563号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、強力なネオジム磁石を配列して空気の流路を形成した空気活性化装置を提供することにある。また、ネオジム磁石ブロックを安全かつ確実に組み立てることができるネオジム磁石積層治具及び誘磁ヨーク組付治具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明による空気活性化装置は、複数のネオジム磁石板の間に非鉄金属製のセパレータを挿入して形成した側壁が、ライナーで隔てられて配列され、2つのヨーク側部体とヨーク底部体からなる誘磁ヨークで挟み込んで構成したネオジム磁石ブロックと、前記ネオジム磁石ブロックが格納され、空気投入口と空気取出口を有する収納ケースとが備えられ、前記空気投入口に送り込んだ空気を、前記ライナーによって形成されたエアースリットの磁束を横切るように通過させて、前記空気中の酸素分子を活性化し、前記空気取出口から取り出すようにしたことを特徴とする。
【0008】
本発明によるネオジム磁石積層治具は、ベースプレートと、前記ベースプレートの上に戴置され、ヨーク側部体がはめ込まれるヨーク孔が設けられたヨークホルダーと、前記ヨークホルダーの上に戴置され、ネオジム磁石板のスライドをガイドするガイド孔と台形ネジ孔を有する台座が設けられた磁石ホルダーと、前記磁石ホルダーの上に戴置され、前記ネオジム磁石板の投入孔が設けられたトッププレートと、前記ベースプレートと前記ヨークホルダーと前記磁石ホルダーと前記トッププレートを重ねて連結する締付けボルトと、前記台座に装着され、先端に押出しヘッドを有し、台形ネジが設けられた押出シャフトとが備えられ、前記投入孔に投入された前記ネオジム磁石板を、前記押出シャフトによって、ガイド孔に沿って上下左右側が囲まれた状態で、前後方向に移動して配列することを特徴とする。
【0009】
本発明による誘磁ヨーク組付治具は、基台と、前記基台に立設され、伸縮可能なピストンを有する2つの油圧シリンダと、前記ピストンの上部に掛け渡され、ヨーク側部体またはヨーク床部が保持されるヨーク支持梁と、ネオジム磁石ブロックを固定するテーブルと、前記基台に立設され、前記テーブルを両側で支える2本の支柱とが備えられ、前記油圧シリンダの油圧を調整して、前記ピストンを下降させ、前記ヨーク支持梁に保持された前記ヨーク側部体または前記ヨーク床部を前記ネオジム磁石ブロックの所定の位置に磁着させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明による請求項1の空気活性化装置は、磁石にネオジム磁石を使ったので、N極とS極の間に強力な磁束を発生させることができる。誘磁ヨークでネオジム磁石を挟んだので、磁路が形成され磁束の損失が少ない。誘磁ヨークは2つのヨーク側部体とヨーク底部体の3つの部材で構成したので、誘磁ヨークの内側にネオジム磁石板を配列することが容易である。セパレータでつないだネオジム磁石板の側壁は、必要な空気の流路を短くでき装置が小型化できる。空気の流路が短いから、大きな吐出圧のポンプでなくても済む。側壁の間をライナーで隔てて、この隙間(実施例では約1mm)をエアースリットとしたので、ネオジム磁石の強力な磁束を横切るように空気を通過させることができる。複数のエアースリットを設けたから、大量の活性化された空気を作ることができる。
【0011】
本発明の請求項2によるネオジム磁石積層治具によれば、トッププレートでネオジム磁石板の上部を固定して覆ったから、ネオジム磁石板を配列のため進行させる時、進行方向に既に配列されたネオジム磁石板の上に乗り上げることがない。磁石ホルダーの台座に押出シャフトを通して、台形ネジを回してネオジム磁石板を移動させるので、約10kgf/cm(実施例)の吸引力または反発力に対抗してネオジム磁石板を進行させることができる。
【0012】
本発明の請求項3による誘磁ヨーク組付治具によれば、ヨーク支持梁に取り付けられたヨーク側部体またはヨーク床部は、ネオジム磁石ブロックから最大約15トンの吸引力(実施例)で引っ張られるが、ヨーク側部体またはヨーク床部体を油圧シリンダの油圧を調整することにより、ゆっくり下降させ、安全にネオジム磁石ブロックの所定の位置に磁着させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明によるネオジム磁石積層治具、誘磁ヨーク組付治具及び空気活性化装置を説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は本発明による空気活性化装置の平面図である。空気活性化装置100は、箱型の形状で、収納ケース12の左側に空気投入口5が、右側に空気取出口6が設けられる。収納ケース12の内部には、破線で示すように、ネオジム磁石ブロック8が設置される。ネオジム磁石ブロック8は、左右に6個のネオジム磁石板4からなる側壁が、前後に5列、一定の間隔で並べられ、これを誘磁ヨークで挟んだものである。図1では、誘磁ヨークを構成するヨーク側部体7aでネオジム磁石板4が挟まれていることがわかる。
【0015】
図2は本発明による空気活性化装置の正面図である。ブロアで空気投入口5に送り込まれた空気43は、ネオジム磁石ブロック8を通過して、空気取出口6から排出される。図1の2つのヨーク側部体7aは、図2に示すように、底部がヨーク底部体7bでつながっている。2つのヨーク側部体7aと底部がヨーク底部体7bの内側に複数のネオジム磁石板4が配列される。
【0016】
図3は図2のA−A断面図である。誘磁ヨーク7は、略U字形をしており、2つのヨーク側部体7aとヨーク底部体7bで形成される。その内側にはネオジム磁石板4が配列され、ネオジム磁石板4の間にはエアースリット25が形成される。エアースリット25の幅は、この隙間に挿入されたライナー9の形状で決まり、ここでは約1mmとしている。空気投入口5に投入された空気がエアースリット25以外の通路を通過しないように、収納ケース12にはエポキシ系の樹脂材または硫酸カルシウム(石膏)などの充填部材28が詰め込まれている。ネオジム磁石板4の寸法は、縦100mm、横50mm、厚さ12.7mmである。従って、エアースリット25の幅を1mmとすると、エアーの通過する流路の断面積は、0.5cm(=1mm×10mm×5個=50mm)となる。
【0017】
図4は本発明によるネオジム磁石ブロックの斜視図である。ネオジム磁石ブロック8は、2つのヨーク側部体7aの間にネオジム磁石板4が30枚(=左右方向に6枚×前後方向の5枚)配列されている。引き出し線で示すように、左右方向の6枚のネオジム磁石板4間には、セパレータ10が挿入されており、側壁45が形成されている。側壁45は、前後方向にライナー9によって間隔を空けて、5枚が配列されている。ライナー9によってできた隙間を空気が通るエアースリット25とした。エアースリット25に入った空気は、図2の左側から右側に真っ直ぐに流れて、他のエアースリットに入ることはない。横幅が50mmのネオジム磁石板4が空気の流れる方向に6枚あるから、エアースリット25の有効流路長は300mmとなる。
【0018】
図5は、磁束の流れを示す図4の側面図である。ネオジム磁石ブロック8の磁力線は、誘磁ヨーク7があるため、その外側に飛び出すことがない。そのため、エアースリット25にはネオジム磁石板4による強力な磁束11が形成される。
【0019】
図6は、本発明による空気活性化装置にブロアを接続した設備の例である。モータ40で曝気用のブロア41を作動させ、空気を2台の空気活性化装置100に送り、活性化した空気を得る。例えば、モータ40の最大出力性能を15kwとし、ブロア41の吸込風量を6m/分、吐出圧を1MPaのものを接続することができる。
【0020】
図7は、溶存酸素濃度の比較を行なったグラフである。試験的に150リットルの水槽を用意し、この水槽を溶存酸素濃度(DO:dissolved oxygen)が低い約1mg/リットルの濃度の水で満たし、曝気量は40リットル/分(=0.04m/分)、周囲温度は26度で曝気を行なった。丸印で示す本発明による空気活性化装置で活性化した空気の場合、DOが好気性環境に必要な6mg/リットルとなるのに4.7分であった。一方、四角印で示す普通の空気で曝気を行なった場合、DOが好気性環境に必要な6mg/リットルとなるのに10.2分を要した。DOは、活性化した空気の場合、最大が9.6mg/リットル、普通の空気の場合、最大が8mg/リットルであった。
【0021】
図8は、油脂分の回収性の比較を行なったグラフである。油脂分の抽出はノルマルヘキサン液を使用した。通常、下水などの水質基準は、鉱油であれば、5mg/リットル以下、動植物油であれば30mg/リットル以下と定められている。曝気なしの水(A)、通常のエアー曝気の水(B)、本発明による活性化された空気で曝気した水(C)をそれぞれ1リットルづつ用意して、これに動植物油30mg/リットルを添加し、A槽は油脂が全体に分散するように攪拌30分行ない、B槽は通常空気(0.2リットル/分)を30分曝気し、C槽には磁気による活性化した空気(0.2リットル/分)を30分曝気し、ノルマルヘキサンによる回収率を比較した。図8に示すように、活性化された空気で曝気した水(C)の場合、油脂分の98%が回収できた。これは、通常のエアー曝気による水(B)の場合が63%、曝気なしの水(A)の場合が25%であるから、活性化された空気で曝気した水は、油脂分の回収に効果がある。
【0022】
図9は、菌数の比較を行なったグラフである。試験的に50リットルの水槽を用意し、この水槽を嫌気性菌(大腸菌)の菌数9.5×10個を接種し、水で満たし、曝気なし(三角印で示す)、通常の空気による曝気(四角印で示す)、本発明による活性化された空気による曝気(丸印で示す)の比較を行なった。曝気風量は10リットル/分で30日間の処理を行なった。図9に示すように、明らかに活性化された空気による曝気は、嫌気性の菌数を減少させる。
【0023】
図10〜図20を参照して、図4に示すネオジム磁石ブロック8を作るためのネオジム磁石積層治具を説明する。図10は、図4のネオジム磁石ブロック8において、近接する4個のネオジム磁石板4を表示した平面図である。ネオジム磁石板4の磁力線3は、図10のように出る。ネオジム磁石板4は前後方向に互いにN極とS極が向き合うので引き合う形となる。ネオジム磁石板4は左右方向に互いに反発する形となる。ネオジム磁石板4の左右方向の隙間にはセパレータ10が設けられる。セパレータ10の寸法は12.5mm×12.7mm×100mmである。すなわち、ネオジム磁石板4は互いに12.5mmまで接近させている。セパレータ10の高さ100mmは、ネオジム磁石板4の高さ100mmに合わせている。セパレータ10の厚さ12.7mmは、ネオジム磁石板4の厚さ12.7mmに合わせている。セパレータ10は、非鉄金属製で、例えば、アルミニウム、真鍮、非磁性ステンレス、チタンなどで作ることができる。ネオジム磁石板4を前側から後側に積層する場合、図10の右側から左側方向へネオジム磁石板4を移動するが、破線で示すように、磁力により一端が浮き上がり、進行方向にあるネオジム磁石板4に乗り上げてしまう。このようなことが起きないように積層する必要がある。
【0024】
図11は、ネオジム磁石積層治具でネオジム磁石板が積層された状態のネオジム磁石ブロックの正面図である。図12は、図11のネジム磁石ブロックの側面図である。図11に示すように、ネオジム磁石積層治具で、まず、ヨーク側部体7aの上に5段のネオジム磁石板4を積層したものを作る。ネオジム磁石板4の間にはライナー9が設けられる。ライナー9は、非鉄金属である必要がある。そのため、ライナーに磁石が磁着し摺動に支障が生じる。しかし、強い磁石間の吸引力に充分耐える強度が必要なことから、アルミニウムや真鍮ではなく、非磁性のステンレス材が好ましい。図12に示すように、ライナー9によってネオジム磁石板4の間に隙間を形成し、空気の流路となるエアースリット25を形成する。1段目にライナーを挿入すれば、空気の流路を1スリット多く形成できる。その場合、磁気回路にエアーギャップ分の抵抗が増え、全体の磁気特性が弱くなる。なお、最上段のスリットを除去して構成してもよい。これにより、磁気抵抗をさらに小さくして、活性効果を高めることができる。
【0025】
図13は、本発明によるネオジム磁石積層治具の正面図で、ヨーク側部体7aの上に一段目の側壁となるネオジム磁石板4を配列する時の構成を示している。ネオジム磁石積層治具50は、図13に示すように、下からベースプレート13、ヨーク側部体7aがはめ込まれるヨークホルダー14、ネオジム磁石板4が所定の位置まで移動される磁石ホルダー15、ネオジム磁石板4の上側を押さえるトッププレート16の順に重ねられ、締付けボルト18で固定される。磁石ホルダー15には、押出しシャフト孔21が設けられ、ここに押出しシャフトが挿入されて、ネオジム磁石板4を図13の手前側から奥側に移動する。ネオジム磁石板4は、上下左右方向に枠があるから前後方向にのみ動かすことができる。
【0026】
図14は、本発明によるネオジム磁石積層治具のヨークホルダーの平面図である。ヨークホルダー14は、上下端に8個の孔があり、ここには締付けボルト18が挿入される。貫通したヨーク孔23にはヨーク側部体7aが挿入される。ヨークホルダー14は板状のベースプレート13(平面図は図示せず)の上に戴置されるので、ヨーク側部体7aはヨーク孔23の溝を埋めるように収納される。
【0027】
図15は、本発明によるネオジム磁石積層治具の磁石ホルダーの平面図である。磁石ホルダー15は、上下端に8個の孔があり、ここには締付けボルト18が挿入される。磁石ホルダー15には、貫通したガイド孔36が設けられ、その一端に台座27がある。台座27は台形ネジのナット部であり、押出しシャフト孔21に続いている。
【0028】
図16は、本発明によるネオジム磁石積層治具のトッププレートの平面図である。トッププレート16は、上下端に8個の孔があり、ここには締付けボルト18が挿入される。トッププレート16には、貫通した2つのライナー投入孔19と貫通したネオジム磁石板投入孔22が設けられる。ライナー9は、ライナー投入孔19から落とす。これによりライナー9は、一列6個のネオジム磁石板4の上部に磁着される。
【0029】
図17は、ネオジム磁石板とセパレータが挿入され配列される様子を示す磁石ホルダーの平面図である。図16のトッププレート16のネオジム磁石板投入孔22に投入されたネオジム磁石板4またはセパレータ10は、磁石ホルダー15のガイド孔36に落ちて、押出しシャフト24で所定の位置まで移動される。押出しシャフト24には台形ネジが設けられている。押出しシャフト24を回すと、押出しシャフト24は台座27のナットを介して、押出しヘッド26でネオジム磁石板4またはセパレータ10を押すことができる。ネオジム磁石板4が金属の磁性体であるヨーク側部体7aに磁着すると、移動するには力が必要になるが、10kgf/cm程度の力があればネオジム磁石板4を動かすことができる。磁石には吸着力と吸引力が働く。吸着力は磁着した状態から引き離すときに必要な力で、吸引力は対象物との距離の2乗に逆比例して働く吸引力である。ネオジム磁石板4を引きはがす時は大きな力が必要となるが、ヨーク側部体7a面を押し出しシャフトで送り込む時は、cm当たり10kgfで充分送り込める。図13に示す構成のネオジム磁石積層治具50において、一列分のネオジム磁石板4とセパレータ10の配列が終わると、ライナー9を図16のライナー投入孔19から落とす。これによりライナー9は、一列6個のネオジム磁石板4の上部に磁着される。
【0030】
図18は、本発明によるネオジム磁石積層治具の中間ホルダーの平面図である。中間ホルダー17は、上下端に8個の孔があり、ここには締付けボルト18が挿入される。中間ホルダー17には、貫通した矩形孔29が設けられる。一列分のネオジム磁石板4の配列が終わると、トッププレート16と磁石ホルダー15が一度取り外され、今まで磁石ホルダー15のあった場所に中間ホルダー17が設置される。その上に磁石ホルダー15が、さらにその上にトッププレート16が取り付けられる。中間ホルダー17を特に設けず、磁石ホルダー15で兼用してもよい。その場合、1列の配列が終わった時点で、ガイド孔36の台座27側を塞ぐ部材をはめ込む必要がある。
【0031】
図19は、本発明によるライナーの斜視図である。ライナー9は金属製で、その断面は、ここでは1mm×5mmとした。1mmがエアースリット25の隙間となる。ライナーは焼入れをしてバネ化し、両端は曲げてピン角90度に成形している。つまり、磁石の同極で働く反発力で、せっかく並べた磁石板が飛び出さないように固定するため、ライナーをバネ化している。
【0032】
図20は、本発明によるネオジム磁石積層治具の正面図で、ヨーク側部体7aの上に5段目のネオジム磁石板4を配列する時の構成を示している。この構成では、ネオジム磁石積層治具50は、下からベースプレート13、ヨーク側部体7aがはめ込まれるヨークホルダー14、4つの中間ホルダー17、磁石ホルダー15、トッププレート16の順に重ねられ、締付けボルト18で固定されている。このようなネオジム磁石積層治具50により、図11及び図12に示すネオジム磁石ブロック8が組み立てられる。
【0033】
図21〜図26を参照して、図4に示すネオジム磁石ブロック8を作るための誘磁ヨーク組付治具を説明する。図21は、誘磁ヨーク組付治具でもう1つのヨーク側部体7aとヨーク底部体7bが組み付けられた状態のネオジム磁石ブロック8の正面図である。図22は、図21のネオジム磁石ブロック8の側面図である。誘磁ヨーク組付治具は、図11及び図12に示す状態のネオジム磁石ブロック8に、ヨーク側部体7aとヨーク底部体7bを組み付けるものである。
【0034】
図23は、本発明による誘磁ヨーク組付治具の正面図で、ヨーク側部体が組み付けられる状態を示す。誘磁ヨーク組付治具60は、基台34の上に2つの油圧シリンダ30と2つの支柱31が立設され、油圧シリンダ30の上下するピストン37にはヨーク支持梁33が掛け渡され、支柱31間にはテーブル32が設けられたものである。図23に示すように、ネオジム磁石積層治具50で形作られたネオジム磁石ブロック8をテーブル32に取り付ける。具体的にはテーブル32とヨーク側部体7aをネジ止め固定する。ピストン37を伸ばして、ヨーク側部体7aをヨーク支持梁33に取り付けた状態から、油圧シリンダ30の油圧を調整して、ピストン37を下降させる。これにより、ヨーク側部体7aをネオジム磁石ブロック8の所定の位置に磁着させることができる。ネオジム磁石ブロック8がヨーク側部体7aを吸引する力は最大で15トン程度になる。油圧シリンダ30は20トンに耐えられるものを使用した。
【0035】
図24は、図23のB−Bから見た誘磁ヨーク組付治具の平面図である。ヨーク支持梁33に取り付けられたヨーク側部体7aは、既に取り付けられているネオジム磁石ブロック8の底部のヨーク側部体7aに合わせて、図23の一点鎖線で示す位置に磁着される。
【0036】
図25は、本発明による誘磁ヨーク組付治具の正面図で、ヨーク底部体が組み付けられる状態を示す。テーブル32には、図23でヨーク側部体7aが組み付けられた状態のネオジム磁石ブロック8が取り付けられる。具体的には、テーブル32に2つの固定用スペーサ35が立設され、この固定用スペーサ35とヨーク側部体7aがネジで固定される。ピストン37を伸ばして、ヨーク底部体7bをヨーク支持梁33に取り付けた状態から、油圧シリンダ30の油圧を落とし、ピストン37を下降させる。これにより、ヨーク底部体7bをネオジム磁石ブロック8の所定の位置に磁着させることができる。
【0037】
図26は、図25のC−Cから見た誘磁ヨーク組付治具の平面図である。ヨーク支持梁33に取り付けられたヨーク底部体7bは、既に取り付けられているネオジム磁石ブロック8のヨーク側部体7aに合わせて、図25の一点鎖線で示す位置に磁着される。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明による空気活性化装置は強力であるから、養魚場の水の曝気に限らず、ダムや湖の曝気にも適用できる。また、ビルやホールなどの空気の浄化にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明による空気活性化装置の平面図である。(実施例1)
【図2】本発明による空気活性化装置の正面図である。(実施例1)
【図3】図3は図2のA−A断面図である。(実施例1)
【図4】本発明によるネオジム磁石ブロックの斜視図である。(実施例1)
【図5】磁束の流れを示す図4の側面図である。(実施例1)
【図6】本発明による空気活性化装置にブロアを接続した設備の例である。
【図7】溶存酸素濃度の比較を行なったグラフである。
【図8】油脂分の回収性の比較を行なったグラフである。
【図9】菌数の比較を行なったグラフである。
【図10】図4のネオジム磁石ブロック8において近接する4個のネオジム磁石板4を表示した平面図である。(実施例1)
【図11】ネオジム磁石積層治具でネオジム磁石板が積層された状態のネジム磁石ブロックの正面図である。(実施例1)
【図12】図11のネジム磁石ブロックの側面図である。(実施例1)
【図13】本発明によるネオジム磁石積層治具の正面図で、ヨーク側部体7aの上に一段目のネオジム磁石板4を配列する時の構成である。(実施例1)
【図14】本発明によるネオジム磁石積層治具のヨークホルダーの平面図である。(実施例1)
【図15】本発明によるネオジム磁石積層治具の磁石ホルダーの平面図である。(実施例1)
【図16】本発明によるネオジム磁石積層治具のトップホルダーの平面図である。(実施例1)
【図17】ネオジム磁石板とセパレータが挿入され配列される様子を示す磁石ホルダーの平面図である。(実施例1)
【図18】本発明によるネオジム磁石積層治具の中間ホルダーの平面図である。(実施例1)
【図19】本発明によるライナーの斜視図である。(実施例1)
【図20】本発明によるネオジム磁石積層治具の正面図で、ヨーク側部体7aの上に5段目のネオジム磁石板4を配列する時の構成である。(実施例1)
【図21】誘磁ヨーク組付治具で2つ目のヨーク側部体とヨーク底部体が組み付けられた状態のネオジム磁石ブロックの正面図である。(実施例1)
【図22】図21のネオジム磁石ブロックの側面図である。(実施例1)
【図23】本発明による誘磁ヨーク組付治具の正面図で、ヨーク側部体が組み付けられる状態を示す。(実施例1)
【図24】図23のB−Bから見た誘磁ヨーク組付治具の平面図である。
【図25】本発明による誘磁ヨーク組付治具の正面図で、ヨーク底部体が組み付けられる状態を示す。(実施例1)
【図26】図25のC−Cから見た誘磁ヨーク組付治具の平面図である。
【図27】空気中が活性化されるイメージを示す模式図である。
【符号の説明】
【0040】
1 磁石
2 酸素分子
3 磁力線
4 ネオジム磁石板
5 空気投入口
6 空気取出口
7 誘磁ヨーク
7a ヨーク側部体
7b ヨーク底部体
8 ネオジム磁石ブロック
9 ライナー
10 セパレータ
11 磁束
12 収納ケース
13 ベースプレート
14 ヨークホルダー
15 磁石ホルダー
16 トッププレート
17 中間ホルダー
18 締付けボルト
19 ライナー投入孔
20 はめ込み孔
21 押出しシャフト孔
22 ネオジム磁石板投入孔
23 ヨーク孔
24 押出しシャフト
25 エアースリット
26 押出しヘッド
27 台座
28 充填部材
29 矩形孔
30 油圧シリンダ
31 支柱
32 テーブル
33 ヨーク支持梁
34 基台
35 固定用スペーサ
36 ガイド孔
37 ピストン
40 モータ
41 ブロア
43 空気
45 側壁
50 ネオジム磁石積層治具
60 誘磁ヨーク組付治具
100 空気活性化装置
DO 溶存酸素濃度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のネオジム磁石板の間に非鉄金属製のセパレータを挿入して形成した側壁が、ライナーで隔てられて配列され、2つのヨーク側部体とヨーク底部体からなる誘磁ヨークで挟み込んで構成したネオジム磁石ブロックと、前記ネオジム磁石ブロックが格納され、空気投入口と空気取出口を有する収納ケースとが備えられ、
前記空気投入口に送り込んだ空気を、前記ライナーによって形成されたエアースリットの磁束を横切るように通過させて、前記空気中の酸素分子を活性化し、前記空気取出口から取り出すようにしたことを特徴とする空気活性化装置。
【請求項2】
ベースプレートと、
前記ベースプレートの上に戴置され、ヨーク側部体がはめ込まれるヨーク孔が設けられたヨークホルダーと、
前記ヨークホルダーの上に戴置され、ネオジム磁石板のスライドをガイドするガイド孔と台形ネジ孔を有する台座が設けられた磁石ホルダーと、
前記磁石ホルダーの上に戴置され、前記ネオジム磁石板の投入孔が設けられたトッププレートと、
前記ベースプレートと前記ヨークホルダーと前記磁石ホルダーと前記トッププレートを重ねて連結する締付けボルトと、
前記台座に装着され、先端に押出しヘッドを有し、台形ネジが設けられた押出シャフトとが備えられ、
前記投入孔に投入された前記ネオジム磁石板を、前記押出シャフトによって、ガイド孔に沿って上下左右側が囲まれた状態で、前後方向に移動して配列することを特徴とするネオジム磁石積層治具。
【請求項3】
基台と、
前記基台に立設され、伸縮可能なピストンを有する2つの油圧シリンダと、
前記ピストンの上部に掛け渡され、ヨーク側部体またはヨーク床部が保持されるヨーク支持梁と、
ネオジム磁石ブロックを固定するテーブルと、
前記基台に立設され、前記テーブルを両側で支える2本の支柱とが備えられ、
前記油圧シリンダの油圧を調整して、前記ピストンを下降させ、前記ヨーク支持梁に保持された前記ヨーク側部体または前記ヨーク床部を前記ネオジム磁石ブロックの所定の位置に磁着させることを特徴とする誘磁ヨーク組付治具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2008−178801(P2008−178801A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−14241(P2007−14241)
【出願日】平成19年1月24日(2007.1.24)
【出願人】(507025526)
【Fターム(参考)】