説明

ノートブック用背部材及びそれを用いたノートブック

【課題】一般的な筆記具の種類によらず、良好な筆記性と記録物の良好な定着性とを実現できるノートブック用背部材を提供する。
【解決手段】ノートブック用背部材は、少なくとも紙ベース、接着層及び樹脂シートがこの順で積層されている構造を有し、樹脂シート側の表面に筆記物樹脂層が形成されている。ノートブック用背部材には、好ましくは着色とエンボス加工が施されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノートブック用背部材及びそれを用いたノートブックに関する。
【背景技術】
【0002】
文章、記号、図画等を記録するために、家庭、学校、会社等の中で、あらゆる年代の人々がノートブックを使用している。図3に示すようなノートブック30は、表表紙31と裏表紙32とそれらの間に配置された複数の記録用紙33とを重なり合わせた積層物を綴じたものであり、また、ノートブック用背部材40が、開閉や携帯時等(使用経時劣化)によるノートブックの破損防止(蝶番的な効果)のため、また同時にノートブックの意匠性を高めるために、ノートブックの背部を包むように接着剤(図示せず)で貼着されている。
【0003】
このようなノートブック用背部材40としては、図4に示すように、紙ベース(基材紙)41と、片面にグラビア印刷法等による着色層43が形成されたポリプロピレン等の樹脂シート44とを、着色層43が紙ベース41側に位置するように、接着層42等を介して積層した構成としたものが提案されている(特許文献1)。
【0004】
ところで、ノートブックの意匠性と耐久性との向上を目的に使用されるノートブック用背部材40が適用された同種のノートブックを何冊も重ね、それらを立てて本棚に収容する場合がある。そのような場合、ノートブックの幅狭の背だけを目視することになるため、例えば、何用のノートブックであるか一目で判別することが極めて困難である。そこで、ノートブックの背、もしくはノートブックを僅かに棚から引き出して目視できる位置にある、表表紙をくるんでいる背部材の表面に、個々のノートブックを特定するための情報を筆記することが試みられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−178662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の製本用背部材の表面に種々の筆記用具で文字や記号などの情報を書き込んだ場合、製本用背部材の表面(即ち、樹脂シート表面)の摩擦係数が低いため文字や記号を意図したように製本用背部材表面に書き込むことができず、筆記性に問題があり、書き味にも問題があった。更に、鉛筆(又はメカニカルペンシル)で書き込まれた文字や記号(筆記物)が製本用背部材の表面に浮いてしまい、指で擦ると簡単にはげてしまい、筆記物の定着性にも問題があった。また、樹脂シート自体が撥水性であるため、水性インキを使用した筆記具で文字や記号などの情報を製本用背部材に書き込んだ場合も、製本用背部材表面で水性インキがはじかれてしまうため、筆記性・定着性に問題があった。
【0007】
本発明の目的は、上記従来技術の課題を解決しようとするものであり、一般的な筆記具の種類によらず、良好な筆記性及び書き味と、記録物の良好な定着性とを実現できるノートブック用背部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、少なくとも紙ベース、接着層及び樹脂シートがこの順で積層されたノートブック用背部材において、樹脂シート側の表面に筆記物樹脂層を形成することにより筆記性及び書き味と筆記物の定着性とが改善されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
即ち、本発明は、少なくとも紙ベース、接着層及び樹脂シートがこの順で積層されたノートブック用背部材であって、樹脂シート側の表面に筆記物樹脂層が形成されているノートブック用背部材を提供する。
【0010】
このノートブック用背部材においては、背部材の意匠性を向上させるために、紙ベース、接着層、樹脂シート及び筆記物受理層のいずれかが、着色層として機能していることが好ましい。あるいは、それに代えて、紙ベースと接着層の間、接着層と樹脂シートとの間、又は樹脂シートと筆記物受理層との間に、着色層を形成することが好ましい。
【0011】
本発明のノートブック用背部材の好ましい具体的態様としては、紙ベース、接着層、樹脂シート、着色層及び筆記物受理層がこの順で積層されている態様、紙ベース、接着層、着色層、樹脂シート及び筆記物受理層がこの順で積層されている態様、紙ベース、着色層、接着層、樹脂シート及び筆記物受理層がこの順で積層されている態様を挙げることができる。
【0012】
また、本発明のノートブック用背部材においては、その切断性や意匠性を向上させるために、ノートブック用背部材の外表面となる筆記物受理層表面、樹脂シートの筆記物受理層側表面が、あるいは着色層が存在する場合には着色層の筆記物受理層側表面が、エンボス加工されていることが好ましい。
【0013】
本発明は、更に、少なくとも紙ベース、接着層及び樹脂シートがこの順で積層されたノートブック用背部材であって、樹脂シート側の表面に筆記物樹脂層が形成されているノートブック用背部材の製造方法であって、
(工程A)紙ベースと樹脂シートとを接着層で積層する工程、及び
(工程B)樹脂シート上に筆記物受理層を形成する工程
を有する製造方法を提供する。
【0014】
この製造方法においては、ノートブック用背部材の切断性や意匠性を向上させるために、筆記物受理層表面、樹脂シートの筆記物受理層側表面、筆記物受理層と樹脂シートとの間に着色層が設けられている場合には着色層の筆記物受理層側表面にエンボス加工を施す工程を有することが好ましい。
【0015】
また、本発明は、表表紙と裏表紙と複数の記録用紙とを綴じたノートブック本体と、その背部をくるむように該ノートブック本体に接着された前述の本発明のノートブック用背部材とを有するノートブックを提供する。
【発明の効果】
【0016】
少なくとも紙ベース、接着層及び樹脂シートがこの順で積層されたノートブック用背部材は、樹脂シート側の表面に筆記物樹脂層が形成されているので、ノートブック用背部材の表面の任意の場所における筆記性及び書き味と筆記物の定着性とを改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1A】図1Aは、本発明のノートブック用背部材の概略断面図である。
【図1B】図1Bは、本発明のノートブック用背部材の概略断面図である。
【図1C】図1Cは、本発明のノートブック用背部材の概略断面図である。
【図1D】図1Dは、本発明のノートブック用背部材の概略断面図である。
【図2】図2は、本発明のノートブックの斜視図である。
【図3】図3は、従来のノートブックの斜視図である。
【図4】図4は、従来のノートブック用背部材の概略断面図である。
【図5】図5は、筆記適性の評価の際に、ノートブック用背部材の表面に筆記した“引き延ばされたコイル”形状の記号の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を図面を参照しながら説明する。
【0019】
本発明のノートブック用背部材は、図1Aに示すように、少なくとも紙ベース1、接着層2及び樹脂シート3がこの順で積層されているものであって、樹脂シート側の表面に筆記物受理層4が形成された構造のノートブック用背部材10Aである。
【0020】
本発明のノートブック用背部材10を構成する紙ベース1は、従来のノートブック用背部材で利用されているクラフト紙等を使用することができる。このような紙ベースの厚さは、良好な強度と使用感とを得る観点から、好ましくは20〜150μm、より好ましくは50〜120μmである。
【0021】
接着層2は、従来のノートブック用背部材の紙ベースと樹脂シートとを接着している接着層を適用することができ、例えば、公知のアクリル系接着剤、ウレタン系接着剤、ポリエステル系接着剤、エポキシ系接着剤、ゴム系接着剤等から形成したものを適用することができる。中でも、ノートブックの開閉に伴う屈曲追随性の点からウレタン系接着剤から形成したものを好ましく適用することができる。紙ベース1上の接着層2の形成量は、多過ぎると屈曲性が阻害される傾向があるので、好ましくは1〜10g/mである。
【0022】
なお、紙ベース1と樹脂シート3との接着層2による積層は、ドライラミネート法等で行うことができる。例えば、接着剤を紙ベース1上もしくは樹脂シート3上に塗布し、積層させることができる。
【0023】
樹脂シート3としては、ノートブックの背部の角を良好に角出しでき且つノートブックの開閉による背部の破損を防止するために、ポリオレフィン系シート、好ましくはポリプロピレン系シートを使用することができる。ポリプロピレン系シートは、エチレン等の他のオレフィンモノマーと共重合したものでもよいが、加工時の切断性が良好である点からプロピレンホモポリマーシートを好ましく使用することができる。このような樹脂シート4の両面には、他の層を積層する前に、予めコロナ放電処理を行うことが好ましい。
【0024】
また、樹脂シート3の厚みは、ノートブックの背に沿って折り曲げる特性と使用感とを良好なものにするという観点から、好ましくは20〜200μm、より好ましくは40〜80μmである。
【0025】
筆記物受理層4は、油性インキのみならず、水性マーカーや水性ゲルインキ等の水性インキを吸収して層内に定着させるための層であり、また、鉛筆や油性ボールペンの筆記性を向上させるための層でもある。このため、筆記物受理層4は、水性または油性のインキをはじかない親インキ性樹脂成分(好ましくはそれらのインキを吸収し得る樹脂成分)から構成されると共に、表面に微細な凹凸が形成されていることが望ましい。従って、筆記物受理層4は、そのような樹脂中に筆記物受理層4のインキ定着性を損なわない範囲で微細な有機粒子または無機粒子を含有させることが好ましい。これらの粒子、特に無機粒子は、筆記物受理層4に耐ブロッキング性や耐摩耗性を付与することができる。
【0026】
このような親インキ性樹脂としては、例えば、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、塩ビ酢ビ共重合樹脂等を適用することができる。
【0027】
また、筆記物受理層4に含有させ得る有機粒子としては、ポリブタジエン粒子、ナイロン粒子等を挙げることができる。無機粒子としては、アルミナ粒子、シリカ粒子、クレイ粒子等を挙げることができる。また、これらの無機粒子は、インキを吸収できるように多孔性であることが好ましい。中でも、インキの吸収性と入手コストの点から多孔性シリカを使用することが特に好ましい。
【0028】
筆記物受理層4中の多孔性シリカ等の無機粒子あるいは有機粒子の含有量は、少なすぎると筆記性が低下する傾向があり、多すぎると相対的に親インキ性樹脂の含有量が低下し、樹脂シート3への密着性が低下する傾向があるので、好ましくは10〜60質量%であり、より好ましくは20〜50質量%である。
【0029】
筆記物受理層4の樹脂シート3への形成は、樹脂層を形成するための公知の手法により行うことができ、例えば、樹脂シート3に、親インキ性樹脂、有機または無機粒子、必要に応じて溶媒などを含有する筆記物受理層形成用樹脂組成物をロールコーター等で塗工し、乾燥もしくは硬化させることにより行うことができる。
【0030】
筆記物受理層4の層厚に関し、実際的には筆記物受理層形成用樹脂組成物の塗工量(乾燥換算)でコントロールすることが好ましい。そのような塗工量(乾燥換算)は、少なすぎると筆記性が不十分となる傾向があり、多すぎるとノートブック製造の際のノートブック用背部材切断時に樹脂脱落などの不具合が生じる傾向があるので、好ましくは0.2〜30g/m、より好ましくは0.5〜10g/mである。
【0031】
なお、本発明のノートブック用背部材10においては、その意匠性を向上させるために、紙ベース1、接着層2、樹脂シート3及び筆記物受理層4のいずれかが、着色層として機能していることが好ましい。ここで、着色層として機能するとは、染料や顔料等の色材で染色もしくは着色され、隠蔽性を示すことであり、それによりノートブック用背部材10の意匠性も改善されることになる。そのような色材としては、従来のノートブック用背部材の着色層や印刷層に配合されている色材を採用することができる。
【0032】
以上、紙ベース1、接着層2、樹脂シート3及び筆記物受理層4のいずれかが、着色層として機能している図1Aのノートブック用背部材について説明したが、紙ベース1、接着層2、樹脂シート3、及び筆記物受理層4のいずれかの層間に独立した着色層が形成されていてもよい。これらの態様を以下に具体的に説明する。
【0033】
図1Bのノートブック用背部材10Bは、具体的には、紙ベース1、接着層2、樹脂シート3、着色層5及び筆記物受理層4がこの順で積層されている態様であり、図1Cのノートブック用背部材10Cは、具体的には、紙ベース1、接着層2、着色層5、樹脂シート3及び筆記物受理層4がこの順で積層されている態様であり、そして図1Dのノートブック用背部材10Dは、紙ベース1、着色層5、接着層2、樹脂シート3及び筆記物受理層4がこの順で積層されている態様である。
【0034】
このような着色層5としては、従来公知のノートブック用背部材で利用されている接着性又は非接着性の着色層(あるいは印刷層)を採用することができ、公知の印刷法(例えばグラビア印刷法)で紙ベース1又は樹脂シート3のいずれかの表面に、着色層用インキを塗工し、乾燥あるいは硬化させることにより形成することができる。ここで、塗工、乾燥あるいは硬化の条件は、使用する塗料の種類に応じて最適条件を適宜決定することができる。また、着色層5の塗布量(乾燥換算)は、良好な意匠性と隠蔽性とを確保できる程度であればよく、インキの種類等により異なるが、好ましくは3〜20g/m、より好ましくは6〜15g/mである。
【0035】
以上説明した本発明のノートブック用背部材10A〜10Dにおいては、ノートブック用背部材の外表面となる筆記物受理層4の表面がエンボス加工(エンボス第1モード)されていること、あるいは樹脂シート3の筆記物受理層4側表面がエンボス加工(エンボス第2モード)されていることが好ましい。また、ノートブック用背部材10Bにおいては、着色層5の筆記物受理層4側表面がエンボス加工(エンボス第3モード)されていることが好ましい。このようなエンボス加工が施されていることにより、ノートブック用背部材10A〜10Dの意匠性や切断性、あるいは書き味を改善することができる。
【0036】
ここで、エンボス加工とは、被エンボス加工面に、押型の凹凸形状を反転させて転写する加工である。
【0037】
ノートブック用背部材の“意匠性が改善される”とは、エンボス加工前の平坦な高光沢の表面状態に比べ、エンボス加工により、表面が落ち着いた半艶状又はマット状の好ましい表面状態になることを意味する。
【0038】
また、ノートブック用背部材の切断性の改善に関し、一般的なノートブックの製造の最終段階において、ノートブックの背部に対して直角方向に切断する工程(ノートブックの上辺と下辺とに相当する部分を切断して個々のノートブックに分離する工程)が必須であるが、そのような切断工程において、ノートブック用背部材の樹脂シートのごく一部が切断刃で引き延ばされて微小舌片が形成される等、ノートブック用背部材の切断面に問題が生じる場合がある。ノートブック用背部材の“切断性が改善される”とは、ノートブック製造の最終切断工程で、このような問題が生じないようになることを意味する。
【0039】
ノートブック用背部材の“書き味が改善される”とは、筆記具の先端が滑ったりせず、引っ掛かったりもしないようになることを意味する。
【0040】
以上説明したようなエンボス加工に関し、本発明のノートブック用背部材は、前述したように、以下の三つのモードに分類することができる。
【0041】
<エンボス第1モード>
エンボス加工に関する第1モードの場合、ノートブックの最表面となる筆記物受理層の表面が、エンボス加工されていない樹脂シートへの筆記物受理層の形成後に、直接エンボス加工されている。従って、筆記物受理層に直接凹凸が形成されていることになる。また、そのエンボス加工された筆記物受理層の下方に樹脂シートが位置することになるため、筆記物受理層の表面凹凸が緩和された状態で樹脂シートの表面に反映される。換言すれば、樹脂シートの表面には、筆記物受理層の表面凹凸の深さよりは浅いものの、筆記物受理層の表面凹凸が形成されることになる。その結果、ノートブック用背部材の切断性及び意匠性が好ましいものになると同時に、優れた筆記性、筆記物の定着性及び書き味を示す。
【0042】
<エンボス第2モード>
エンボス加工に関する第2モードの場合、樹脂シートの筆記物受理層側表面が、樹脂シートへの筆記物受理層の形成前に、直接エンボス加工されている。また、樹脂シートのエンボス加工面に筆記物受理層が形成されているため、筆記物受理層の表面には、樹脂シートの表面凹凸が緩和された状態で反映されることになる。換言すれば、筆記物受理層の表面には、樹脂シートの表面凹凸の深さよりは浅いものの、樹脂シートの表面凹凸が形成されることになる。その結果、ノートブック用背部材の切断性及び意匠性が好ましいものになると同時に、優れた筆記性、筆記物の定着性及び書き味を示す。
【0043】
<エンボスに関する第3モード>
エンボス加工に関する第3モードの場合、樹脂シート上に形成された着色層の筆記物受理層側の表面が、着色層への筆記物受理層の形成前に、直接エンボス加工されている。また、着色層のエンボス加工面に筆記物受理層が形成されているため、筆記物受理層の表面には、着色層の表面凹凸が緩和された状態で反映されることになる。換言すれば、筆記物受理層の表面には、着色層の表面凹凸の深さよりは浅いものの、着色層の表面凹凸が形成されることになる。その結果、ノートブック用背部材の切断性及び意匠性が好ましいものになると同時に、優れた筆記性、筆記物の定着性及び書き味を示す。
【0044】
エンボス加工に関するこれらのモードのノートブック用背部材の表面粗さは、算術平均粗さ(Ra)、最大粗さ(Rmax)、または10点平均粗さ(Rz)で表現することができる(JIS B0601参照)。これらの粗さ範囲は、本願発明の課題を同時に解決するという観点から、それぞれ特定の範囲に限定されることが好ましい。
【0045】
具体的には、算術平均粗さ(Ra)は、大きすぎると書き味が損なわれる傾向があり、小さすぎると外観を付与するのには十分でない傾向があるので、好ましくは0.5〜20μm、より好ましくは1.5〜18μmである。その最大粗さ(Rmax)は、大きすぎると書き味が損なわれる傾向があり、小さすぎると外観を付与するのには十分でない傾向があるので、好ましくは5〜100μm、より好ましくは15〜50μmであり、10点平均粗さ(Rz)は、大きすぎると書き味が損なわれる傾向があり、小さすぎると外観を付与するのには十分でない傾向があるので、好ましくは0.8〜50μm、より好ましくは10〜40μmである。
【0046】
なお、エンボス加工に関する第1モードのノートブック用背部材と第2モードのノートブック用背部材とを比較した場合、最初に形成されるエンボスの凹凸の深さが同じであれば、第2モードのノートブック用背部材の樹脂シートの凹凸の方が、第1モードのノートブック用背部材の樹脂シートの凹凸よりも深くなるので、第2モードのノートブック用背部材は、第1モードのノートブック用背部材よりも切断性が改善され、また、筆記物受理層の表面凹凸が第1のモードのノートブック用背部材よりも浅いので、第1のモードのノートブック用背部材に比べて、筆記具の引っかかりが少なく、より好ましい筆記性を示すことが期待できる。
【0047】
また、エンボス加工に関する第1モードのノートブック用背部材と第2モードのノートブック用背部材とを比較した場合、エンボス加工に関する第1モードのノートブック用背部材の方が、第2モードのノートブック用背部材よりも表面凹凸が深いので、意匠性に関して表面凹凸が視認しやすく、より好ましい意匠性を示している。
【0048】
なお、エンボス加工に関する第3モードのノートブック用背部材の場合、樹脂シートの表面凹凸の深さは、第1モードのノートブック用背部材よりは深く、第2モードのノートブック用背部材よりは浅くなることが期待されるので、切断性に関してはそれらの中間の特性を示すことが期待できる。
【0049】
以上説明した、少なくとも紙ベース、接着層及び樹脂シートがこの順で積層されたノートブック用背部材であって、樹脂シート側の表面に筆記物樹脂層が形成されている本発明のノートブック用背部材は、(工程A)紙ベースと樹脂シートとを接着層で積層する工程、及び(工程B)樹脂シート上に筆記物受理層を形成する工程を有する製造方法により製造することができる。この製造方法について、図1A〜図1Dに示した態様を例に取り具体的に説明する。なお、以下の製造方法で利用される各操作の基本的な手法としては、公知の操作手法を適用することもできる。また、用いた材料等の構成についても、図1A〜図1Dに関し説明したとおりである。
【0050】
<図1Aのノートブック用背部材の製造方法の一例>
(A−1A)工程
まず、紙ベースと樹脂シートとを接着層で積層する。具体的には、例えば、樹脂シート上に接着層を形成し、その上に紙ベースを積層することや、紙ベース上に接着層を形成し、その上に樹脂シートを積層することが挙げられる。これらの積層は、接着剤を用いるドライラミネート法等で行うことができる。これにより接着層が形成されることになる。
【0051】
(B−1A)工程
次に、樹脂シートの表面に、筆記物受理層用樹脂組成物を塗工する。この塗工した筆記物受理層用樹脂組成物を乾燥あるいは硬化させることにより、樹脂シート上に筆記物受理層が形成されたノートブック用背部材(図1Aの10A)が得られる。
【0052】
<図1Bのノートブック用背部材の製造方法の一例>
(A1−1B)工程
まず、(A−1A)工程と同様に、紙ベースと樹脂シートとを接着層で積層する。これにより接着層が形成されることになる。
【0053】
(A2−1B)工程
次に、樹脂シートの表面に、着色層用塗料を塗布し、乾燥又は硬化させることにより着色層を形成する。
(B−1B)工程
次に、着色層上に筆記物受理層用樹脂組成物を塗工する。この塗工した筆記物受理層用樹脂組成物を乾燥あるいは硬化させることにより、樹脂シート上に筆記物受理層が形成されたノートブック用背部材(図1Bの10B)が得られる。
【0054】
<図1Cのノートブック用背部材の製造方法の一例>
(A−1C)先ず、紙ベースと、着色層が形成された樹脂シートとを接着層で積層する。具体的には、例えば、樹脂シート上に着色層を形成し、更にその上に接着層を形成し、紙ベースと樹脂シートを貼着する。
【0055】
(B−1C)工程
次に、樹脂シートの表面に、(B−1A)工程と同様に、筆記物受理層を形成することにより、ノートブック用背部材(図1Cの10C)が得られる。
【0056】
<図1Dのノートブック用背部材の製造方法の一例>
(A−1D)先ず、着色層が形成された紙ベースと、樹脂シートとを接着層で積層する。具体的には、例えば、紙ベース上に着色層を形成し、他方、樹脂シートには接着層を形成し、紙ベース上の着色層と樹脂シートの接着層を対向させるように、紙ベースと樹脂シートを貼着する。
【0057】
(B−1D)工程
次に、樹脂シートの表面に、(B−1A)工程と同様に、筆記物受理層を形成することにより、ノートブック用背部材(図1Dの10D)が得られる。
【0058】
<エンボス加工に関する第1モードのノートブック用背部材の製造方法の一例>
第1モードのノートブック用背部材は、図1A〜1Dのノートブック用背部材の製造方法において、得られたノートブック用背部材の最外表面となる筆記物受理層の表面に対してエンボス加工を施すことにより製造することができる。これにより、筆記物受理層の表面はエンボス加工により深い凹凸形状が形成され、樹脂シート表面には、筆記物受理層のエンボス加工の表面凹凸の深さが緩和された状態で反映される。
【0059】
<エンボス加工に関する第2モードのノートブック用背部材の製造方法の一例>
第2モードのノートブック用背部材は、図1A〜1Dのノートブック用背部材の製造方法において、樹脂シートの上に着色層や筆記物受理層を形成する前に、樹脂シートの表面にエンボス加工を施すことにより製造することができる。樹脂シート表面はエンボス加工により深い凹凸形状が形成され、筆記物受理層の表面には、樹脂シートのエンボス加工の表面凹凸の深さが緩和された状態で反映される。
【0060】
<エンボス加工に関する第3モードのノートブック用背部材の製造方法の一例>
第3モードのノートブック用背部材は、図1Bのノートブック用背部材の製造方法において、樹脂シートの上に形成された着色層に対し、その上に筆記物受理層を形成する前に、エンボス加工を施すことにより製造することができる。着色層表面はエンボス加工に深い凹凸形状が形成され、樹脂シート及び筆記物受理層のそれぞれの表面には、着色層のエンボス加工の表面凹凸の深さが緩和された状態で反映される。
【0061】
このようにして得られる本発明のノートブック用背部材は、図2に示すようなノートブック20に好ましく適用することができる。このノートブック20は、本発明の一態様であり、表表紙21と裏表紙22と複数の記録用紙23とを綴じたノートブック本体に対し、その背部をくるむように本発明のノートブック用背部材10を接着したものである。このノートブック用背部材10は、切断性にも優れ意匠性に優れ、一般的な筆記具に対する筆記性に優れ、それらによる記録物の定着性にも優れたものである。従って、それを構成要素とするノートブック20も、ノートブック用背部材10の効果を保持するものである。
【実施例】
【0062】
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。
【0063】
実施例1
コロナ放電処理された、厚さ50μmの無延伸の透明ポリプロピレンホモポリマーシートの片面に、隠蔽用顔料を含有するウレタン系接着剤をグラビア印刷法により塗工して乾燥させることにより、裏面に隠蔽性を有する接着層を形成することによりし、エンボス加工が施されていない樹脂シートを作製した。
【0064】
クラフト紙と樹脂シートの隠蔽性を有する接着層とを対向させ、貼着して積層体を得た。
【0065】
得られた積層体の樹脂シートの表面をコロナ放電処理し、その処理面に多孔性シリカ粉末を含む固形分が26.5質量%の筆記物受理層形成用樹脂組成物を、120線/インチ相当のベタ版を用いてグラビア印刷法により塗布し、130℃の乾燥炉を通して乾燥して筆記物受理層を形成することにより、図1Aのノートブック用背部材を作製した。
【0066】
実施例2
コロナ放電処理された、厚さ50μmの無延伸の透明ポリプロピレンホモポリマーシートの片面に、ウレタン系接着剤を塗工し乾燥させることにより、接着層を形成した。
【0067】
クラフト紙と樹脂シートの接着層とを対向させ、ドライラミネート法で貼着した。
【0068】
続いて、樹脂シートの表面に、隠蔽用塗料をグラビア印刷法により塗工して乾燥させることにより着色層を形成した。
【0069】
この着色層上に、実施例1と同様にして筆記物受理層を形成することにより、図1Bのノートブック用背部材を作製した。
【0070】
実施例3
コロナ放電処理された、厚さ50μmの無延伸の透明ポリプロピレンホモポリマーシートの片面に、隠蔽用塗料をグラビア印刷法により塗工して乾燥させることにより、裏面に着色層を有し、エンボス加工が施されていない樹脂シートを作製した。
【0071】
得られた樹脂シートの着色層上に、ウレタン系接着剤を塗工し乾燥させることにより、接着層を形成した。
【0072】
クラフト紙と樹脂シートの着色層上に形成された接着層とを対向させ、ドライラミネート法で貼着して積層体を得た。
【0073】
得られた積層体の樹脂シートの表面に、実施例1と同様にして筆記物受理層を形成することにより、図1Cのノートブック用背部材を作製した。
【0074】
実施例4
クラフト紙の片面に、隠蔽用塗料をグラビア印刷法により塗工して乾燥させることにより、表面に着色層を有するクラフト紙を作製した。
【0075】
続いて、コロナ放電処理された、厚さ50μmの無延伸の透明ポリプロピレンホモポリマーシートの片面に、ウレタン系接着剤を塗工し、乾燥させることにより接着層を形成した。
【0076】
クラフト紙の着色層と樹脂シートの接着層とを対向させ、ドライラミネート法で貼着して積層体を得た。
【0077】
得られた積層体の樹脂シートの表面に、実施例1と同様に筆記物受理層を形成することにより、図1Dのノートブック用背部材を作製した。
【0078】
実施例5
実施例3で作成した積層体の樹脂シート側から半艶エンボスロールを用いて半艶エンボス処理を施し、そのエンボス面をコロナ放電処理し、その処理面に実施例1と同様に筆記物受理層を形成し、樹脂シート表面に半艶エンボス加工が施されたノートブック用背部材を作製した。
【0079】
実施例6
半艶エンボスロールに代えて、表面凹凸の深さが比較的浅いマットエンボスロールを使用すること以外、実施例5と同様にして、樹脂シート表面に予めマットエンボス加工が施されたノートブック用背部材を作製した。
【0080】
実施例7
実施例3のノートブック用背部材の筆記物受理層の表面に対し、実施例5と同様の半艶エンボス処理を行い、筆記物受理層表面に半艶エンボス加工が施されたノートブック用背部材を作製した。
【0081】
実施例8
半艶エンボスロールに代えてマットエンボスロールを使用すること以外、実施例7と同様にして、樹脂シート表面に予めマットエンボス加工が施されたノートブック用背部材を作製した。
【0082】
実施例9
実施例2において、筆記物受理層を形成前の着色層に対し、実施例5と同様の半艶エンボス処理を行い、着色層表面に半艶エンボス加工が施されたノートブック用背部材を作製した。
【0083】
実施例10
半艶エンボスロールに代えてマットエンボスロールを使用すること以外、実施例9と同様にして、着色層表面に予めマットエンボス加工が施されたノートブック用背部材を作製した。
【0084】
比較例1
厚さ50μmの無延伸の透明ポリプロピレンホモポリマーシートのコロナ放電処理された面に、着色層形成用塗料をグラビア印刷法により塗工して乾燥させることにより、裏面に着色層を有する樹脂シートを作製した。
【0085】
得られた樹脂シートの着色層上に、ウレタン系接着剤を塗工し乾燥させることにより、接着層を形成した。
【0086】
クラフト紙の接着層と樹脂シートの着色層とを対向させ、ドライラミネート法で貼着することにより、筆記物受理層が形成されておらず、エンボス加工も施されていないノートブック用背部材を作製した。
【0087】
比較例2
比較例1のノートブック用背部材を、その樹脂シート側から半艶エンボスロールを押すことにより、筆記物受理層が形成されていないが樹脂シートに半艶エンボス加工が施されたノートブック用背部材を作製した。
【0088】
比較例3
半艶エンボスロールに代えてマットエンボスロールを使用すること以外、比較例2と同様にして、筆記物受理層が形成されていないが樹脂シートにマットエンボス加工が施されたノートブック用背部材を作製した。
【0089】
(評価)
得られた実施例及び比較例のノートブック用背部材について、以下に説明するように「表面粗さ」、筆記適性(筆記具の「筆記性」及び「書き味」、筆記物の「定着性」)、「意匠性」、「切断性」について評価した。得られた結果を表1に示す。
【0090】
<表面粗さ>
得られた実施例及び比較例のノートブック用背部材の表面の任意の直線方向(縦方向とする)及びそれに直角で交わる直線方向(横方向)について、「表面粗さ(Ra)、(Rmax)、(Rz)」を表面粗さ形状測定機(サーフコム 550A、(株)東京精密)を用いて測定した(特定長4mm、深さ倍率1000倍、チャートスピード3mm/s)。得られた結果を表1に示す。
【0091】
<筆記適性>
(筆記性)
図5に示すように、市販の筆記具50(具体的には、Bの鉛筆、油性ポールペン、ゲルインキボールペン、水性マーカー、または油性マーカー)を用いて、“引き延ばされたコイル”形状の記号Sをノートブック用背部材51の表面に書き、以下の評価基準に従って評価した。
【0092】
ランク 基準
AA: 記号をかすれなく筆記することができる場合
A: 記号が僅かにかすれるが、意図した形状で筆記できる場合
B: 記号がかすれる場合
C: 記号が大きくかすれる場合
【0093】
(定着性)
“筆記性”評価で書いた記号を書いてから5分後に指で擦り、以下の評価基準に従って評価した。
【0094】
ランク 基準
AA: 記号が全く擦れ落ちない場合
A: 記号がわずかに擦れ落ちるが、意図した形状で筆記できている場合
B: 文字が擦れ落ち、文字として判読できない文字が一部に生ずる場合
C: 文字がこすれ落ち、文字として判読できない場合
【0095】
(書き味)
“筆記性”評価と同じ筆記具を用いて、“引き延ばされたコイル”形状の記号をノートブック用背部材の表面に書き、以下の評価基準に従って評価した。
【0096】
ランク 基準
AA: いずれも筆記具について、その先端が滑りもせず、引っ掛かりも生じない場合
A: 筆記具の先端がわずかに滑るか又は引っ掛かるが、文字を書くことに支障はない場合
B: 筆記具の先端が滑るか又は引っ掛かり、文字を書くことに支障が生ずる場合
C: 筆記具の先端が著しく滑るか又は著しく引っ掛かり、文字を書くことに大きな支障が生ずる場合
【0097】
<意匠性>
ノートブック用背部材の表面の意匠性として、ぎらつき感やムラがなく、落ち着いた外観を示しているか否かを判断し、実施例3のノートブック用背部材の意匠性の評価を基準(対照)として、以下の基準に従ってランク分けした。
【0098】
ランク 基準
良好: 実施例3のノートブック用背部材よりも意匠性が優れている場合
同等: 実施例3のノートブック用背部材の意匠性と同程度である場合
不良: 実施例3のノートブック用背部材よりも意匠性が劣っている場合
【0099】
<切断性>
得られたノートブック用背部材を、ノートブックの製造に適用し、最終切断工程で切断面に樹脂シートの微小舌片発生等の問題が観察されるか否かを判断し、実施例3のノートブック用背部材の切断性の評価を基準(対照)として、以下の評価基準に従って評価した。
【0100】
ランク 基準
良好:実施例3のノートブック用背部材に比べ、微小舌片等の発生がなく、切断性が改善されていると認められる場合
同等:実施例3のノートブック用背部材と同等の切断性である場合
不良:実施例3のノートブック用背部材に比べ、微小舌片等の発生があり、切断性が劣っている場合
【0101】
【表1】

【0102】
(評価結果の考察)
<筆記性、定着性、書き味>
筆記物受理層が設けられている実施例1〜10のノートブック用背部材については、一般的な筆記具の筆記性並びに書き味、それらの筆記具で書かれた筆記物の定着性の評価がいずれもAA又はAであった。
【0103】
それに対し、比較例1のノートブック用背部材の場合、筆記物受理層が設けられていない上に、エンボス加工も施されておらず、表面が非常に平滑である。このため、鉛筆の場合には筆記性、定着性及び書き味の評価はいずれもCであり、油性ボールペンの場合には筆記性及び書き味の評価がCであり、ゲルインキボールペンの場合には定着性及び書き味の評価がCで筆記性の評価がBであり、水性マーカーの場合には筆記性及び定着性の評価がCであった。
【0104】
また、比較例2のノートブック用背部材の場合、比較的深い半艶エンボス加工の表面凹凸によって比較例1より筆記性の向上が見られたが、筆記物受理層が設けられていないため、鉛筆及び油性ボールペンの場合には筆記性の評価がBであり、書き味の評価がCであった。
【0105】
比較例3のノートブック用背部材の場合、筆記物受理層が設けられていないが、浅いマットエンボス加工により表面に微細な凹凸ができており、筆記具の先端との間で筆記に適した適度な摩擦力が発生するため、筆記性については油性ボールペンの場合(B評価)を除きA又はAA評価であったが、鉛筆、油性ボールペン及びゲルインキボールペンの場合には書き味の評価がBであった。
【0106】
<表面粗さ>
エンボス加工が施されていない実施例1〜4のノートブック用背部材は、筆記物受理層の多孔性シリカのために、Rmaxが5〜10μmの範囲内の表面凹凸を有している。他方、実施例7及び比較例2の結果から、最表面への比較的深い半艶エンボス加工により、Rmaxが30〜35μmの範囲内の表面凹凸が形成されることがわかる。また、実施例8及び比較例3の結果から、最表面への比較的浅いマットエンボス加工により、Rmaxが17〜23μmの範囲内の表面凹凸が形成されることがわかる。
【0107】
なお、実施例5及び6並びに比較例2及び3の結果から、エンボス加工した樹脂シート上に筆記物受理層を形成すると、Rmaxが約5μm減少することがわかる。
【0108】
<意匠性>
エンボス加工を施さない実施例1〜4と施した実施例5〜10の結果から、エンボス加工を行うと意匠性が向上することがわかる。
【0109】
<切断性>
エンボス加工を施さない実施例1〜4と施した実施例5〜10の結果から、エンボス加工を行うと切断性が向上することがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0110】
本発明のノートブック用背部材は、少なくとも紙ベース、接着層及び樹脂シートがこの順で積層され、樹脂シート側の表面に筆記物樹脂層が形成されているので、ノートブック用背部材の表面の任意の場所における筆記性及び書き味と筆記物の定着性とを改善することができる。更に筆記物受理層の表面が微細な凹凸状になっているため、光沢やギラツキ感のない、落ち着いた雰囲気を醸し出す、優れた意匠性を有すると同時に、ノートブックとしての加工を行うに当たって、背部材の切断時に特有の問題の発生が見られない優れた背部材である。そのため、ノートブックの製造に極めて有用である。
【符号の説明】
【0111】
1、41 紙ベース
2、42 接着層
3、44 樹脂シート
4 筆記物受理層
5、43 着色層
10、10A、10B、10C、10D、40 ノートブック用背部材
20、30 ノートブック
21、31 表表紙
22、32 裏表紙
23、33 記録用紙
50 筆記具
S 記号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも紙ベース、接着層及び樹脂シートがこの順で積層されたノートブック用背部材であって、樹脂シート側の表面に筆記物樹脂層が形成されているノートブック用背部材。
【請求項2】
紙ベース、接着層、樹脂シート及び筆記物受理層のいずれかが、着色層として機能している請求項1記載のノートブック用背部材。
【請求項3】
紙ベースと接着層の間、接着層と樹脂シートとの間、又は樹脂シートと筆記物受理層との間に、着色層が形成されている請求項1記載のノートブック用背部材。
【請求項4】
紙ベース、接着層、樹脂シート、着色層及び筆記物受理層がこの順で積層されている請求項3記載のノートブック用背部材。
【請求項5】
紙ベース、接着層、着色層、樹脂シート及び筆記物受理層がこの順で積層されている請求項3記載のノートブック用背部材。
【請求項6】
紙ベース、着色層、接着層、樹脂シート及び筆記物受理層がこの順で積層されている請求項3記載のノートブック用背部材。
【請求項7】
ノートブック用背部材の外表面となる筆記物受理層表面が、エンボス加工されている請求項1〜6のいずれかに記載のノートブック用背部材。
【請求項8】
樹脂シートの筆記物受理層側表面が、エンボス加工されている請求項1〜6のいずれかに記載のノートブック用背部材。
【請求項9】
着色層の筆記物受理層側表面が、エンボス加工されている請求項3〜6のいずれかに記載のノートブック用背部材。
【請求項10】
ノートブック用背部材の筆記物受理層側表面の最大粗さ(Rmax)が5〜100μmである請求項1〜9のいずれかに記載のノートブック用背部材。
【請求項11】
少なくとも紙ベース、接着層及び樹脂シートがこの順で積層されたノートブック用背部材であって、樹脂シート側の表面に筆記物樹脂層が形成されているノートブック用背部材の製造方法であって、
(工程A)紙ベースと樹脂シートとを接着層で積層する工程、及び
(工程B)樹脂シート上に筆記物受理層を形成する工程
を有する製造方法。
【請求項12】
工程(A)と工程(B)との間で、樹脂シートの筆記物受理層側表面にエンボス加工を施す工程を有する請求項11記載の製造方法。
【請求項13】
工程(B)の後、ノートブック用背部材の外表面となる筆記物受理層表面にエンボス加工を施す工程を有する請求項11記載の製造方法。
【請求項14】
工程(B)において、樹脂シート上への筆記物樹脂層の形成に先だって、樹脂シート上へ着色層を形成し、その上に筆記物受理層を形成する請求項11記載の製造方法。
【請求項15】
着色層の筆記物受理層側表面にエンボス加工を施す請求項14記載の製造方法。
【請求項16】
表表紙と裏表紙と複数の記録用紙とを綴じたノートブック本体と、その背部をくるむように該ノートブック本体に接着された請求項1〜10のいずれかに記載のノートブック用背部材とを有するノートブック。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−6344(P2013−6344A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140386(P2011−140386)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(590001094)ダイニック・ジュノ株式会社 (5)
【出願人】(000109037)ダイニック株式会社 (55)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)