ハイブリッド型油圧装置
【課題】従来の油圧装置をそのままの状態、あるいは僅かな改造でハイブリッド化できるハイブリッド型油圧装置を提供する。
【解決手段】ハイブリッド型油圧装置は、エンジン1と、エンジン1で駆動される二連可変容量主ポンプ2と、二連可変容量主ポンプ2からの作動油で駆動される油圧モータ4と、油圧モータ4で駆動される発電機兼電動機6と、発電機兼電動機6で発電された電気を蓄える蓄電装置7とを備えている。二連可変容量主ポンプ2が吐出した作動油は、マルチ弁3が含む油圧モータ操作用バルブによって油圧モータへ導く。これにより、油圧モータが発電機兼電動機6を駆動し、発電機兼電動機6が発電し、この発電した電気が蓄電装置7に蓄えられる。発電機兼電動機6は蓄電装置7の電気を用いて二連固定容量副ポンプ5を駆動する。これにより、二連可変容量主ポンプ2とマルチ弁3とを接続する回路9に作動油が供給される。
【解決手段】ハイブリッド型油圧装置は、エンジン1と、エンジン1で駆動される二連可変容量主ポンプ2と、二連可変容量主ポンプ2からの作動油で駆動される油圧モータ4と、油圧モータ4で駆動される発電機兼電動機6と、発電機兼電動機6で発電された電気を蓄える蓄電装置7とを備えている。二連可変容量主ポンプ2が吐出した作動油は、マルチ弁3が含む油圧モータ操作用バルブによって油圧モータへ導く。これにより、油圧モータが発電機兼電動機6を駆動し、発電機兼電動機6が発電し、この発電した電気が蓄電装置7に蓄えられる。発電機兼電動機6は蓄電装置7の電気を用いて二連固定容量副ポンプ5を駆動する。これにより、二連可変容量主ポンプ2とマルチ弁3とを接続する回路9に作動油が供給される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば建設機械等に使用されるハイブリッド型油圧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハイブリッド型油圧装置としては、特開2007−71197号公報(特許文献1)に記載されたものがある。このハイブリッド型油圧装置は、エンジンと、このエンジンで駆動される油圧ポンプと、この油圧ポンプから作動油の供給を受ける油圧アクチュエータと、そのエンジンで駆動されるジェネレータと、このジェネレータで発電された電気を蓄えるバッテリと、このバッテリの電気で駆動する電動機とを備えている。
【0003】
上記ジェネレータはエンジンと油圧ポンプとの間に設置されている。より詳しくは、上記エンジンの出力軸となる回転軸には発電機が連結されている。また、上記回転軸の先端は、油圧ポンプを駆動するためのポンプ軸の一端に接続されている。このポンプ軸の他端は電動機の駆動軸に接続されている。
【0004】
上記構成のハイブリッド型油圧装置によれば、油圧アクチュエータの負荷が小さいときには発電機が作動し、発電機で得た電力がバッテリに充電される。そして、上記油圧アクチュエータの負荷が大きくなると、バッテリから電力を電動機に供給し、電動機がエンジンをアシストする。
【0005】
ところで、例えば特開平5−187042号公報(特許文献2)に記載された従来の油圧装置を上記ハイブリッド型油圧装置のように改造しようとすると、エンジンと、このエンジンで駆動される油圧ポンプとの間に発電機を設置しなければならない。
【0006】
しかしながら、上記従来の油圧装置においては、エンジンと油圧ポンプとの間にはスペースがないため、その間に発電機を設置することはできず、ハイブリッド装置に改造できないという問題があった。
【0007】
仮に、上記従来の油圧装置を改造でハイブリッド化したなら、大きな労力およびコストが生じてしまう。
【特許文献1】特開2007−71197号公報
【特許文献2】特開平5−187042号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明の課題は、従来の油圧装置をそのままの状態、あるいは僅かな改造でハイブリッド化できるハイブリッド型油圧装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明のハイブリッド型油圧装置は、
エンジンと、
上記エンジンで駆動される主ポンプと、
上記主ポンプからの作動油で駆動される油圧モータと、
上記主ポンプと上記油圧モータとの間に設けられた制御弁と、
上記油圧モータで駆動される発電機と、
上記発電機で発電された電気を蓄える蓄電装置と、
上記主ポンプと上記制御弁とを接続する回路に作動油を供給する副ポンプと、
上記発電機で発電された電気、または、上記蓄電装置に蓄えられた電気を用いて、上記副ポンプを駆動する電動機と
を備えたことを特徴としている。
【0010】
上記構成のハイブリッド型油圧装置によれば、上記エンジンは主ポンプを駆動する。そうすると、上記主ポンプからの作動油が制御弁を介して油圧モータに供給されて、油圧モータが駆動する。この油圧モータが発電機を駆動するので、発電機はエンジンと主ポンプとの間に設けなくてもよい。したがって、上記従来の油圧装置をそのままの状態、あるいは僅かな改造でハイブリッド化できる。
【0011】
一実施形態のハイブリッド型油圧装置では、
上記回路と上記副ポンプとの間にチェック弁が設置されている。
【0012】
上記実施形態のハイブリッド型油圧装置によれば、上記回路と副ポンプとの間にチェック弁が設置されているので、回路から副ポンプに向かって作動油が流れず、回路内の作動油が不足するのを防ぐことができる。
【0013】
一実施形態のハイブリッド型油圧装置では、
上記発電機と上記油圧モータとの間に電磁クラッチが設置されている。
【0014】
上記実施形態のハイブリッド型油圧装置によれば、上記発電機と油圧モータとの間に電磁クラッチを設置しているので、任意のタイミングで電磁クラッチを繋いだり、切ったりすることができる。したがって、上記発電機の発電制御の自由度を大きくすることができる。
【0015】
一実施形態のハイブリッド型油圧装置では、
上記主ポンプは可変容量ポンプである。
【0016】
上記実施形態のハイブリッド型油圧装置によれば、上記主ポンプは可変容量ポンプであるので、主ポンプの最大容量を低くして、待機中の余剰な作動油を減らすことができる。したがって、省エネ効果を高くすることができる。
【0017】
一実施形態のハイブリッド型油圧装置は、
上記主ポンプの吐出圧力が所定圧力以下のときには、上記主ポンプの吐出流量を一定に保つ定流量制御手段と、
上記主ポンプの吐出圧力が上記所定圧力を超えているときには、上記主ポンプの吐出流量を変更して上記主ポンプの馬力を一定に保つ定馬力制御手段と、
上記主ポンプの吐出圧力が上記所定圧力以下になり、かつ、上記回路を流れる作動油の流量が所望流量以上のときには、上記油圧モータと上記発電機の間の上記電磁クラッチを繋いで発電させる発電制御手段と、
上記主ポンプの吐出圧力が上記所定圧力以下になり、かつ、上記回路を流れる作動油の流量が所望流量以下のときには、上記副ポンプを駆動するアシスト制御手段と
を備える。
【0018】
上記実施形態のハイブリッド型油圧装置によれば、上記主ポンプの吐出圧力が所定圧力以下になり、かつ、回路を流れる作動油の流量が所望流量以上のときには、油圧モータと発電機の間の電磁クラッチを繋いで発電させる発電制御手段を備えるので、定流量制御手段による制御中、余剰な作動油を用いて発電機の発電を効率良く行うことができる。
【0019】
また、上記主ポンプの吐出圧力が所定圧力以下になり、かつ、回路を流れる作動油の流量が所望流量以下のときには、副ポンプを駆動するアシスト制御手段を備えるので、定流量制御手段による制御中、回路内で作動油が不足するのを防ぐことができる。
【0020】
一実施形態のハイブリッド型油圧装置は、
上記主ポンプの吐出圧力が所定圧力以下のときには、上記主ポンプの吐出流量を一定に保つ定流量制御手段と、
上記主ポンプの吐出圧力が上記所定圧力を超えているときには、上記主ポンプの吐出流量を変更して上記主ポンプの馬力を一定に保つ定馬力制御手段と、
上記主ポンプの吐出圧力が上記所定圧力以下になり、かつ、上記回路を流れる作動油の流量が所望流量以上のときには、上記油圧モータと上記発電機の間の上記電磁クラッチを繋いで発電させる発電制御手段と、
上記主ポンプの吐出圧力が上記所定圧力を超え、かつ、上記回路を流れる作動油の流量が所望流量以下のときには、上記副ポンプを駆動するアシスト制御手段と
を備える。
【0021】
上記実施形態のハイブリッド型油圧装置によれば、上記主ポンプの吐出圧力が所定圧力以下になり、かつ、回路を流れる作動油の流量が所望流量以上のときには、油圧モータと発電機の間の電磁クラッチを繋いで発電させる発電制御手段を備えるので、定流量制御手段による制御中、余剰な作動油を用いて発電機の発電を効率良く行うことができる。
【0022】
また、上記主ポンプの吐出圧力が上記所定圧力を超え、かつ、回路を流れる作動油の流量が所望流量以下のときには、副ポンプを駆動するアシスト制御手段を備えるので、定馬力制御手段による制御中、回路内で作動油が不足するのを防ぐことができる。
【0023】
一実施形態のハイブリッド型油圧装置は、
上記主ポンプの吐出圧力が所定圧力以下のときには、上記主ポンプの吐出流量を一定に保つ定流量制御手段と、
上記主ポンプの吐出圧力が上記所定圧力を超えているときには、上記主ポンプの吐出流量を変更して上記主ポンプの馬力を一定に保つ定馬力制御手段と、
上記回路を流れる作動油の流量が所望流量以上のときには、上記油圧モータと上記発電機の間の上記電磁クラッチを繋いで発電させる発電制御手段と、
上記回路を流れる作動油の流量が所望流量以下のときには、上記副ポンプを駆動するアシスト制御手段と
を備える。
【0024】
上記実施形態のハイブリッド型油圧装置によれば、上記回路を流れる作動油の流量が所望流量以上のときには、油圧モータと上記発電機の間の上記電磁クラッチを繋いで発電させる発電制御手段を備えるので、定流量制御手段および定馬力制御手段による制御中、余剰な作動油を用いて発電機の発電を効率良く行うことができる。
【0025】
また、上記回路を流れる作動油の流量が所望流量以下のときには、副ポンプを駆動するアシスト制御手段を備えるので、定流量制御手段および定馬力制御手段による制御中、回路内で作動油が不足するのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明のハイブリッド型油圧装置によれば、発電機は、主ポンプからの作動油を動力とする油圧モータによって駆動されるので、エンジンと主ポンプとの間に設けなくてもよい。したがって、上記従来の油圧装置をそのままの状態、あるいは僅かな改造でハイブリッド化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明のハイブリッド型油圧装置を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0028】
図1は、本発明の一実施の形態のハイブリッド型油圧装置を搭載する油圧ショベルの概略斜視図である。なお、図1においては、上記油圧ショベルの構造を判り易くするため、内部が見えるように図示している。
【0029】
上記油圧ショベルは、走行モータ104を内蔵する下部走行体101と、この下部走行体101に旋回可能に搭載された上部旋回体102と、この上部旋回体102に搭載された作業アーム103とを備えている。
【0030】
上記作業アーム103は、ブーム105、アーム106、バケット107、ブームシリンダ108、ブームオフセットシリンダ109、アームシリンダ110およびバケットシリンダ111を含んでいる。
【0031】
上記ブーム105の一端は上部旋回体102に回動自在に連結されている。また、上記ブーム105の他端にはアーム106の一端が回動自在に連結されている。そして、上記アーム106の他端にはバケット107が回動自在に連結されている。これらのブーム105、アーム106およびバケット107は、ブームシリンダ108、ブームオフセットシリンダ109、アームシリンダ110およびバケットシリンダ111によって回動駆動される。
【0032】
図2は、上記ハイブリッド型油圧装置の構成を示す模式図である。
【0033】
上記ハイブリッド型油圧装置は、エンジン1と、主ポンプの一例としての二連可変容量主ポンプ2と、マルチ弁3と、油圧モータ4と、副ポンプの一例としての二連固定容量副ポンプ5と、発電機および電動機の一例としての発電機兼電動機6と、蓄電装置7とを備えている。
【0034】
上記二連可変容量主ポンプ2は、二連可変容量主ポンプ2の吐出圧力が規定値以下のときには、二連可変容量主ポンプ2の吐出流量を一定に保つ定流量制御部201と、二連可変容量主ポンプ2の吐出圧力が規定値を超えているときには、二連可変容量主ポンプ2の吐出流量を変更して二連可変容量主ポンプ2の馬力を一定に保つ定馬力制御部202と有している。また、上記二連可変容量主ポンプ2は第1主ポンプ部P1および第2主ポンプ部P2を含む。この二連可変容量主ポンプ2は、エンジン1で駆動されて、タンク8内の作動油を吸い込み、回路9を介してマルチ弁3に供給する。そうすると、上記作動油はマルチ弁3で分岐し、一部がアクチュエータ部10に向かって流れ、他の一部が油圧モータ4に向かって流れる。なお、上記定流量制御部201は定流量制御手段の一例であり、定馬力制御部202は定馬力制御手段の一例である。
【0035】
上記アクチュエータ部10は、走行モータ104、ブームシリンダ108、ブームオフセットシリンダ109、アームシリンダ110およびバケットシリンダ111等を含んでいる(図1参照)。
【0036】
上記二連固定容量副ポンプ5は第1副ポンプ部P11および第2副ポンプ部P12を含む。この二連固定容量副ポンプ5の駆動により、タンク8内の作動油が回路9に供給される。また、上記二連固定容量副ポンプ5と回路9との間にはチェック弁11が設置されている。
【0037】
上記チェック弁11は、二連固定容量副ポンプ5から回路9に向かって作動油が流れるときには開き、回路9から二連固定容量副ポンプ5に向かって作動油が流れるときには閉じる。
【0038】
上記油圧モータ4は、マルチ弁3のオプションポートに接続され、マルチ弁3から作動油の供給を常に受ける。この油圧モータ4の駆動軸は、マルチ弁3の制御により、右回転のみするようになっている。
【0039】
上記発電機兼電動機6はコントローラ12によって制御されて発電を行う。この発電機兼電動機6で発電された電気は蓄電装置7に蓄えられる。
【0040】
上記コントローラ12は、エンジン1のトルクを示すトルク信号、二連可変容量主ポンプ2の吐出圧を示す吐出圧信号、油圧モータ4の回転数を示す回転数信号、および、蓄電装置7の蓄電量を示す蓄電量信号を受ける。そして、上記コントローラ12は、上記吐出圧信号および蓄電量信号に基づいて、発電機兼電動機6の負荷を調整する。また、上記コントローラ12は、電磁クラッチ13(図4参照)を繋ぐための電磁クラッチON信号を電磁クラッチ13に出力すると共に、電磁クラッチ13を切るための電磁クラッチOFF信号を電磁クラッチ13に出力する。
【0041】
図3は上記マルチ弁3の回路図である。
【0042】
上記マルチ弁3は、走行モータ操作用バルブ301、ブームシリンダ操作用バルブ302および油圧モータ操作用バルブ303を含んでいる。なお、上記油圧モータ操作用バルブ303は制御弁の一例である。
【0043】
上記走行モータ操作用バルブ301およびブームシリンダ操作用バルブ302は、制御装置(図示せず)の制御を受けて、開いたり、閉じたりする。上記走行モータ操作用バルブ301が開くと、二連可変容量主ポンプ2からの作動油が走行モータ104に供給されて、下部走行体101が走行する。一方、上記ブームシリンダ操作用バルブ302が開くと、二連可変容量主ポンプ2からの作動油がブームシリンダ108に供給されて、ブーム105が上部旋回体102に対して回動する。
【0044】
上記油圧モータ操作用バルブ303も上記制御装置で開閉制御が可能であるが、油圧モータ操作用バルブ303は常に開くようにしている。つまり、上記油圧モータ操作用バルブ303の開閉状態は開に固定している。このため、上記油圧モータ4内は回路9内と常に連通しているので、二連可変容量主ポンプ2が吐出した作動油に余剰分が生じると、その余剰な作動油が油圧モータ4に供給される。このとき、上記油圧モータ4はその余剰な作動油の量に対応する回転数で回転する。また、上記油圧モータ4の回転数は余剰な作動油の量に比例する。一方、上記二連可変容量主ポンプ2が吐出した作動油に余剰分が無いと、油圧モータ4への作動油の供給は無く、油圧モータ4は回転しない。
【0045】
なお、図示しないが、上記マルチ弁3は、ブームオフセットシリンダ109、アームシリンダ110およびバケットシリンダ111を操作するためのバルブなども含む。
【0046】
図4は、上記発電機兼電動機6、油圧モータ4および二連固定容量副ポンプ5を接続関係を示す模式図である。
【0047】
上記発電機兼電動機6には、電磁クラッチ13を介して油圧モータ4に接続されていると共に、ワンウェイクラッチ14を左回転するときだけ有効になる向きに介して二連固定容量副ポンプ5に接続されている。この電磁クラッチ13が繋がれて、発電機兼電動機6が油圧モータ4の駆動力を受けて発電しているときは必ず右回転なので、ワンウェイクラッチ14は繋がらず副ポンプは回転しないようになっている。また、上記電磁クラッチ13が切られて、発電機兼電動機6が左回転に電動機駆動するときは、ワンウェイクラッチ14が有効になり、発電機兼電動機6が二連固定容量副ポンプ5を駆動できるようになっている。
【0048】
上記構成のハイブリッド型油圧装置によれば、発電機兼電動機6は、マルチ弁3のオプションポートに接続された油圧モータ4で駆動するので、エンジン1と二連可変容量主ポンプ2との間に設けなくてもよい。
【0049】
したがって、例えば特開平5−187042号公報に記載されているような従来の油圧装置をそのままの状態、あるいは僅かな改造でハイブリッド化できる。
【0050】
また、上記回路9と二連固定容量副ポンプ5との間にチェック弁11を設置しているので、回路9から二連固定容量副ポンプ5に向かって作動油が流れないようにして、回路9内の作動油が不足するのを防ぐことができる。
【0051】
また、上記ハイブリッド型油圧装置では、油圧モータ4の回転数に基づいて電磁クラッチ13が制御される。
【0052】
上記電磁クラッチ13の制御についてより詳しく説明すると、油圧モータ4が回転している場合は、二連可変容量主ポンプ2が吐出した作動油に余剰分が生じていることになる。そこで、上記油圧モータ4の回転数を検出し、この回転数が所定の回転数以上であると、コントローラ12に電磁クラッチON信号を出力させる。これにより、上記電磁クラッチ13がつながり、油圧モータ4の駆動力が発電機兼電動機6に伝達され、発電機兼電動機6の駆動軸が右回転する。その結果、上記発電機兼電動機6が発電すると共に、その発電された電気が蓄電装置7に蓄えられる。なお、上記発電機兼電動機6の駆動軸が右回転している場合、ワンウェイクラッチ14は繋がらず、二連固定容量副ポンプ5は駆動されない。
【0053】
その後、上記油圧モータ4の回転が停止すれば、余剰な作動油が無くなったということなので、コントローラ12に電磁クラッチOFF信号を出力させる。これにより、上記電磁クラッチ13を切り、発電機兼電動機6の発電を停止させる。そして、上記制御装置によって発電機兼電動機6の駆動軸を左回転させる。そうすると、上記ワンウェイクラッチ14が繋がり、発電機兼電動機6の駆動力が二連固定容量副ポンプ5に伝達され、二連固定容量副ポンプ5が駆動する。その結果、上記二連固定容量副ポンプ5が回路9に作動油を供給するので、作動油の不足が回路9で生じるのを防ぐことができる。また、上記発電機兼電動機6は、蓄電装置7の電気を使用して、二連固定容量副ポンプ5を駆動するので、省エネ効果も得ることができる。
【0054】
その後、上記回路9で余剰な作動油が生じ、その余剰な作動油が油圧モータ4に供給されても、電磁クラッチ13が切れているので、油圧モータ4が空回りする。この油圧モータ4の回転数が所定の回転数以上になれば、二連固定容量副ポンプ5を停止させ、再び、電磁クラッチ13を繋ぎ、発電機兼電動機6の発電、蓄電装置7の蓄電を行う。
【0055】
なお、上記油圧モータ4の回転数が所定の回転数以上であっても、蓄電装置7の蓄電量が規定容量以上のときは、電磁クラッチ13を切り、発電機兼電動機6の発電は行わない。
【0056】
ところで、上記ハイブリッド型油圧装置の制御方式としては、後述するA案、B案およびC案がある。各案の概略を述べる。
【0057】
上記A案は、従来の油圧装置が二連可変容量主ポンプ2の最大容量を低く再設定して省エネルギーを図る機構を持つ場合の制御方式である。
【0058】
上記B案は、従来の油圧装置が二連可変容量主ポンプ2の定馬力制御設定値を低く再設定して省エネルギーを図る機構を持つ場合の制御方式である。
【0059】
上記C案は、従来の油圧装置の二連可変容量主ポンプ2に上記どちらの機構もなく、エンジンの定格回転数を低く再設定して省エネルギーを図る場合の制御方式である。
【0060】
以下、上記A案の制御方式について、図5のグラフ、図6,図7のフローチャートを用いて説明する。
【0061】
図5は、上記二連可変容量主ポンプ2の吐出流量と二連可変容量主ポンプ2の吐出圧力との関係を示すグラフである。なお、図5には、上記ハイブリッド型油圧装置は従来の油圧装置を改造したものであると仮定し、その従来の油圧装置の主ポンプの吐出流量の変化を点線で示している。
【0062】
図5の実線の直線部に対応する圧力範囲においては、二連可変容量主ポンプ2に対して定流量制御が行われる。そして、上記実線の曲線部に対応する圧力範囲においては、二連可変容量主ポンプ2に対して定馬力制御が行われる。また、上記アクチュエータ部10が必要とする作動油の流量(●)が領域A1〜A3のうちのどこに属するかによって、二連可変容量主ポンプ2および二連固定容量副ポンプ5の制御を決定する。
【0063】
より詳しくは、上記二連可変容量主ポンプ2の吐出圧力が定馬力制御に入っていない低圧であって、アクチュエータ部10の駆動速度が低速である場合、例えば(1)に示すように、アクチュエータ部10が必要とする作動油の流量は領域A1内の流量となる。この場合、上記二連可変容量主ポンプ2の吐出流量に比べて、アクチュエータ部10が必要とする作動油の流量が少ないため、余剰な作動油が生じる。そこで、上記電磁クラッチ13を繋ぎ、発電機兼電動機6で発電する。
【0064】
また、上記二連可変容量主ポンプ2の吐出圧力が定馬力制御に入っていない低圧であって、アクチュエータ部10の駆動速度が高速である場合、例えば(2)に示すように、アクチュエータ部10が必要とする作動油の流量は領域A2内の流量となる。この場合、上記二連可変容量主ポンプ2の吐出流量に比べて、アクチュエータ部10が必要とする作動油の流量が多くなるため、作動油が不足する。そこで、上記電磁クラッチ13を切り、発電機兼電動機6で二連固定容量副ポンプ5を駆動し、二連固定容量副ポンプ5から回路9に作動油を供給する。また、その場合、余剰な作動油が生じるが、電磁クラッチ13を切り、発電機兼電動機6が発電しないようにして、制御を簡略化する。
【0065】
また、上記二連可変容量主ポンプ2の吐出圧力が定馬力制御に入る高圧であって、アクチュエータ部10の駆動速度が低速である場合、例えば(3)に示すように、アクチュエータ部10が必要とする作動油の流量が領域A3内の流量となる。この場合、上記二連可変容量主ポンプ2の吐出流量に比べて、アクチュエータ部10が必要とする作動油の流量が少ないため、余剰な作動油が生じるが、制御を簡略化にするため、電磁クラッチ13を切り、発電機兼電動機6が発電しないようにする。また、上記二連固定容量副ポンプ5も駆動させないようにする。
【0066】
また、上記二連可変容量主ポンプ2の吐出圧力が定馬力制御に入る高圧であって、アクチュエータ部10の駆動速度が高速である場合、例えば(4)に示すように、二連可変容量主ポンプ2が吐出する作動油の全てをアクチュエータ部10に供給する。この場合、上記電磁クラッチ13を切り、発電機兼電動機6が発電しないようにすると共に、二連固定容量副ポンプ5も駆動させないようにして、制御を簡略化する。
【0067】
以下、図6,図7のフローチャートを用いて、図5の制御について説明する。
【0068】
まず、図6に示すように、制御をスタートさせ、ステップS1で、現在、発電モードと電動モードとのであるかを判定する。すなわち、上記発電機兼電動機6は、油圧モータ4に駆動されて発電をしているのか、あるいは、発電せずに二連固定容量副ポンプ5を駆動しているのかを判定する。そのステップS1で、発電機兼電動機6は発電をしていると判定すると、ステップS2に進む。一方、上記ステップS1で、発電機兼電動機6は発電せずに二連固定容量副ポンプ5を駆動していると判定すると、図7のステップS6に進む。
【0069】
上記ステップS2に進んだ場合、図6に示すように、二連可変容量主ポンプ2の吐出圧力が規定値以下であるか否かを判定する。この規定値とは、二連可変容量主ポンプ2が定流量制御を行う圧力範囲の最大値である。そのステップS2で、二連可変容量主ポンプ2の吐出圧力は規定値以下だと判定すると、次のステップS3に進む。一方、上記ステップS2で、二連可変容量主ポンプ2の吐出圧力は規定値以下でないと判定すると、ステップS9に進み、電磁クラッチ13を切り、発電モードを継続する。
【0070】
次に、ステップS3で、油圧モータ4が回転しているか否かを判定する。そのステップS3で、油圧モータ4は回転していると判定すると、次のステップS4に進む。一方、上記ステップS3で、油圧モータ4は回転していないと判定すると、ステップS10に進み、電磁クラッチ13を切り、電動モードに移行する。
【0071】
次に、ステップS4で、蓄電装置7の蓄電量が規定容量以上か否かを判定する。そのステップS4で、蓄電装置7の蓄電量は規定容量以上でないと判定すると、次のステップS5に進む。一方、上記ステップS4で、蓄電装置7の蓄電量は規定容量以上であると判定すると、ステップS11に進み、電磁クラッチ13を切り、発電モードを継続する。
【0072】
次に、ステップS5で、電磁クラッチ13を繋ぎ、エンジン1が定格トルクを維持できる条件下で、最大の軸負荷になるように発電機兼電動機6の負荷トルクを調整して発電する。
【0073】
一方、上記ステップS1で電動モードと判定してステップS6に進んだ場合、図7に示すように、二連可変容量主ポンプ2の吐出圧力が規定値以下であるか否かを判定する。この規定値とは、二連可変容量主ポンプ2が定流量制御を行う圧力範囲の最大値である。そのステップS6で、二連可変容量主ポンプ2の吐出圧力は規定値以下であると判定すると、次のステップS7に進む。一方、上記ステップS6で、二連可変容量主ポンプ2の吐出圧力は規定値以下でないと判定すると、ステップS12に進み、二連固定容量副ポンプ5を停止させ、発電モードに移行する。
【0074】
次に、ステップS7で、油圧モータ4の回転数が所定の回転数以上であるか否かを判定する。上記油圧モータ4の回転数が所定の回転数以上であれば、作動油の余剰量が過剰となっている。逆に言えば、上記油圧モータ4の回転数が所定の回転数以上になっていなければ、作動油の余剰量は過剰となっていない。そこで、上記ステップS7で、油圧モータ4の回転数は所定の回転数以上でないと判定すると、ステップS8に進み、現状維持とする。すなわち、上記電動モードを継続する。一方、上記ステップS7で、油圧モータ4の回転数は所定の回転数以上であると判定すると、上記ステップS12に進む。
【0075】
以上のような制御では、上記ステップS5が発電制御手段の一例であり、ステップS8がアシスト制御手段の一例である。
【0076】
上記ハイブリッド型油圧装置は、A案の制御方式を採用することにより、エンジン1の負荷変動幅が小さくなって、効率の良い運転ができて燃費が良くなる。
【0077】
また、上記二連可変容量主ポンプ2の最大容量を低くしているので、待機中の余剰な作動油が減り、省エネ効果を高くすることができる。
【0078】
また、上記ハイブリッド型油圧装置は、上記従来の油圧装置を最小限の費用でハイブリッド化でき、環境規制を合格することができる。
【0079】
また、上記電動モードのみ使用すれば、機能の一部が制限されてしまうが、エンジンを使わないで作業を行うことができる。
【0080】
また、上記ハイブリッド型油圧装置は、二連可変容量主ポンプ2の吐出流量が領域A1〜A3のいずれに属していても、上記従来の油圧装置と同一の操作フィーリングとすることができる。
【0081】
また、上記ハイブリッド型油圧装置のように上記従来の油圧装置を改造しても、その改造は僅かであるので、耐久信頼性が低下するのを防ぐことができる。
【0082】
また、上記ハイブリッド型油圧装置が上記従来の油圧装置を改造したものである場合、ハイブリッド化のために追加した機器を取り外して元に戻すことにより、従来の油圧装置の中古品として転売することができる。
【0083】
以下、上記B案の制御方式について、図8のグラフ、図9〜図11のフローチャートを用いて説明する。
【0084】
図8は、上記二連可変容量主ポンプ2の吐出流量と二連可変容量主ポンプ2の吐出圧力との関係を示すグラフである。なお、図8には、上記ハイブリッド型油圧装置は従来の油圧装置を改造したものであると仮定し、その従来の油圧装置の主ポンプの吐出流量の変化を点線で示している。
【0085】
図8の実線の直線部に対応する圧力範囲においては、二連可変容量主ポンプ2に対して定流量制御が行われる。そして、上記実線の曲線部に対応する圧力範囲においては、二連可変容量主ポンプ2に対して定馬力制御が行われる。また、上記アクチュエータ部10が必要とする作動油の流量(●)が領域A21〜A23のうちのどこに属するかによって、二連可変容量主ポンプ2および二連固定容量副ポンプ5の制御を決定する。
【0086】
より詳しくは、上記二連可変容量主ポンプ2の吐出圧力が定馬力制御に入っていない低圧である場合、例えば(21)に示すように、アクチュエータ部10が必要とする作動油の流量は領域A21内の流量となる。この場合、上記二連可変容量主ポンプ2の吐出流量に比べて、アクチュエータ部10が必要とする作動油の流量が少ないため、余剰な作動油が生じる。そこで、上記電磁クラッチ13を繋ぎ、発電機兼電動機6で発電する。
【0087】
また、上記二連可変容量主ポンプ2の吐出圧力が定馬力制御に入る高圧であって、アクチュエータ部10の駆動速度が低速である場合、例えば(22)に示すように、アクチュエータ部10が必要とする作動油の流量が領域A22内の流量となる。この場合、上記二連可変容量主ポンプ2の吐出流量に比べて、アクチュエータ部10が必要とする作動油の流量が少ないため、余剰な作動油が生じるが、制御を簡略化にするため、電磁クラッチ13を切り、発電機兼電動機6が発電しないようにする。また、上記二連固定容量副ポンプ5も駆動させないようにする。
【0088】
また、上記二連可変容量主ポンプ2の吐出圧力が定馬力制御に入る高圧であって、アクチュエータ部10の駆動速度が高速である場合、例えば(23)に示すように、アクチュエータ部10が必要とする作動油の流量は領域A23内の流量となる。この場合、上記二連可変容量主ポンプ2の吐出流量に比べて、アクチュエータ部10が必要とする作動油の流量が多くなるため、作動油が不足する。そこで、上記電磁クラッチ13を切り、発電機兼電動機6で二連固定容量副ポンプ5を駆動し、二連固定容量副ポンプ5から回路9に作動油を供給する。また、その場合、余剰な作動油が生じるが、電磁クラッチ13を切り、発電機兼電動機6が発電しないようにして、制御を簡略化する。
【0089】
以下、図9〜図11のフローチャートを用いて、図8の制御について説明する。
【0090】
まず、図9に示すように、制御をスタートさせ、ステップS11で、現在、発電モードと電動モードとのであるかを判定する。すなわち、上記発電機兼電動機6は、油圧モータ4に駆動されて発電をしているのか、あるいは、発電せずに二連固定容量副ポンプ5を駆動しているのかを判定する。そのステップS11で、発電機兼電動機6は発電をしていると判定すると、ステップS12に進む。一方、上記ステップS11で、発電機兼電動機6は発電せずに二連固定容量副ポンプ5を駆動していると判定すると、図10のステップS15に進む。
【0091】
上記ステップS12に進んだ場合、図9に示すように、二連可変容量主ポンプ2の吐出圧力が規定値以下であるか否かを判定する。この規定値とは、二連可変容量主ポンプ2が定流量制御を行う圧力範囲の最大値である。そのステップS12で、二連可変容量主ポンプ2の吐出圧力は規定値以下であると判定すると、次のステップS13に進む。一方、上記ステップS12で、二連可変容量主ポンプ2の吐出圧力は規定値以下でないと判定すると、図11のステップS18に進む。
【0092】
上記ステップS18では、油圧モータ4が回転しているか否かを判定する。そのステップS18で、油圧モータ4は回転していると判定すると、ステップS19に進み、電磁クラッチ13を切り、発電モードを継続する。一方、上記ステップS18で、油圧モータ4は回転していないと判定すると、ステップS10に進み、電磁クラッチ13を切り、電動モードに移行する。
【0093】
次に、図9に示すように、ステップS13で、蓄電装置7の蓄電量が規定容量以上か否かを判定する。そのステップS13で、蓄電装置7の蓄電量は規定容量以上でないと判定すると、次のステップS14に進む。一方、上記ステップS13で、蓄電装置7の蓄電量は規定容量以上であると判定すると、ステップS20に進み、電磁クラッチ13を切り、発電モードを継続する。
【0094】
次に、ステップS14で、電磁クラッチ13を繋ぎ、エンジン1が定格トルクを維持できる条件下で、最大の軸負荷になるように発電機兼電動機6の負荷トルクを調整して発電する。
【0095】
一方、上記ステップS11で電動モードと判定してステップS15に進んだ場合、図10に示すように、二連可変容量主ポンプ2の吐出圧力が規定値以下であるか否かを判定する。この規定値とは、二連可変容量主ポンプ2が定流量制御を行う圧力範囲の最大値である。そのステップS15で、二連可変容量主ポンプ2の吐出圧力は規定値以下でないと判定すると、次のステップS16に進む。一方、上記ステップS15で、二連可変容量主ポンプ2の吐出圧力は規定値以下であると判定すると、次のステップS21に進み、二連固定容量副ポンプ5を停止させ、発電モードに移行する。
【0096】
次に、ステップS16で、油圧モータ4の回転数が所定の回転数以上であるか否かを判定する。上記油圧モータ4の回転数が所定の回転数以上であれば、作動油の余剰量が過剰となっている。逆に言えば、上記油圧モータ4の回転数が所定の回転数以上になっていなければ、作動油の余剰量は過剰となっていない。そこで、上記ステップS16で、油圧モータ4の回転数は所定の回転数以上でないと判定すると、ステップS17に進み、現状維持とする。すなわち、上記電動モードを継続する。一方、上記ステップS16で、油圧モータ4の回転数は所定の回転数以上であると判定すると、上記ステップS21に進む。
【0097】
以上のような制御では、ステップS14が発電制御手段の一例であり、ステップS17がアシスト制御手段の一例である。
【0098】
上記ハイブリッド型油圧装置は、B案の制御方式を採用することにより、エンジン1の負荷変動幅が小さくなって、効率の良い運転ができて燃費が良くなる。
【0099】
また、上記定馬力制御を行う圧力範囲の最小値を小さくしているので、エンジントルク負荷が下がって、燃料消費を減らすことができる。
【0100】
また、上記ハイブリッド型油圧装置は、上記従来の油圧装置を最小限の費用でハイブリッド化でき、環境規制を合格することができる。
【0101】
また、上記電動モードのみ使用すれば、機能の一部が制限されてしまうが、エンジンを使わないで作業を行うことができる。
【0102】
また、上記二連可変容量主ポンプ2の吐出流量が領域A21に属する場合、上記従来の油圧装置と同一の操作フィーリングとすることができる。
【0103】
また、上記ハイブリッド型油圧装置のように上記従来の油圧装置を改造しても、その改造は僅かであるので、耐久信頼性が低下するのを防ぐことができる。
【0104】
また、上記ハイブリッド型油圧装置が上記従来の油圧装置を改造したものである場合、ハイブリッド化のために追加した機器を取り外して元に戻すことにより、従来の油圧装置の中古品として転売することができる。
【0105】
また、上記発電モードと電動モードとの切り替えが二連可変容量主ポンプ2の吐出圧力のみで決まるので、制御を簡単にすることができる。
【0106】
以下、上記C案の制御方式について、図12のグラフ、図13,図14のフローチャートを用いて説明する。
【0107】
図12は、上記二連可変容量主ポンプ2の吐出流量と二連可変容量主ポンプ2の吐出圧力との関係を示すグラフである。なお、図12には、上記ハイブリッド型油圧装置は従来の油圧装置を改造したものであると仮定し、その従来の油圧装置の主ポンプの吐出流量の変化を点線で示している。
【0108】
図12において、実線は二連可変容量主ポンプ2の吐出流量の変化を示す。上記実線の曲線部に対応する圧力範囲においては、二連可変容量主ポンプ2に対して定馬力制御が行われる。また、上記アクチュエータ部10が必要とする作動油の流量(●)が領域A31,A32のうちのどこに属するかによって、二連可変容量主ポンプ2および二連固定容量副ポンプ5の制御を決定する。
【0109】
より詳しくは、上記二連可変容量主ポンプ2の吐出圧力に関係なく、アクチュエータ部10の駆動速度が低速である場合、例えば(31)に示すように、アクチュエータ部10が必要とする作動油の流量は領域A31内の流量となる。この場合、上記二連可変容量主ポンプ2の吐出流量に比べて、アクチュエータ部10が必要とする作動油の流量が少ないため、余剰な作動油が生じる。そこで、上記電磁クラッチ13を繋ぎ、発電機兼電動機6で発電する。
【0110】
また、上記二連可変容量主ポンプ2の吐出圧力に関係なく、アクチュエータ部10の駆動速度が高速である場合、例えば(32)に示すように、アクチュエータ部10が必要とする作動油の流量は領域A32内の流量となる。この場合、上記二連可変容量主ポンプ2の吐出流量に比べて、アクチュエータ部10が必要とする作動油の流量が多くなるため、作動油が不足する。そこで、上記電磁クラッチ13を切り、発電機兼電動機6で二連固定容量副ポンプ5を駆動し、二連固定容量副ポンプ5から回路9に作動油を供給する。また、その場合、余剰な作動油が生じるが、電磁クラッチ13を切り、発電機兼電動機6が発電しないようにして、制御を簡略化する。また、その場合、上記二連固定容量副ポンプ5の回転数を、第1主ポンプ部P1の吐出圧力と第2主ポンプ部P2の吐出圧力との和で定義される関数に基づいて調整して、二連固定容量副ポンプ5から回路9へ流れる作動油の流量を決まった流量とする。
【0111】
以下、図13,図14のフローチャートを用いて、図12の制御について説明する。
【0112】
まず、図13に示すように、制御をスタートさせ、ステップS31で、現在、発電モードと電動モードとのであるかを判定する。すなわち、上記発電機兼電動機6は、油圧モータ4に駆動されて発電をしているのか、あるいは、発電せずに二連固定容量副ポンプ5を駆動しているのかを判定する。そのステップS31で、発電機兼電動機6は発電をしていると判定すると、ステップS32に進む。一方、上記ステップS31で、発電機兼電動機6は発電せずに二連固定容量副ポンプ5を駆動していると判定すると、図14のステップS35に進む。
【0113】
上記ステップS32に進んだ場合、図13に示すように、油圧モータ4が回転しているか否かを判定する。そのステップS32で、油圧モータ4は回転していると判定すると、次のステップS33に進む。一方、上記ステップS32で、油圧モータ4は回転していないと判定すると、ステップS37に進み、電磁クラッチ13を切り、電動モードに移行する。
【0114】
次に、ステップS33で、蓄電装置7の蓄電量が規定容量以上か否かを判定する。そのステップS33で、蓄電装置7の蓄電量は規定容量以上でないと判定すると、次のステップS5に進む。一方、上記ステップS33で、蓄電装置7の蓄電量は規定容量以上であると判定すると、ステップS38に進み、電磁クラッチ13を切り、発電モードを継続する。
【0115】
次に、ステップS34で、電磁クラッチ13を繋ぎ、エンジン1が定格トルクを維持できる条件下で、最大の軸負荷になるように発電機兼電動機6の負荷トルクを調整して発電する。
【0116】
一方、上記ステップS31で電動モードと判定してステップS35に進んだ場合、図14に示すように、油圧モータ4の回転数が所定の回転数以上であるか否かを判定する。上記油圧モータ4の回転数が所定の回転数以上であれば、作動油の余剰量が過剰となっている。逆に言えば、上記油圧モータ4の回転数が所定の回転数以上になっていなければ、作動油の余剰量は過剰となっていない。そこで、上記ステップS35で、油圧モータ4の回転数は所定の回転数以上でないと判定すると、ステップS36に進み、現状維持とする。すなわち、上記電動モードを継続する。一方、上記ステップS35で、油圧モータ4の回転数は所定の回転数以上であると判定すると、上記ステップS39に進み、二連固定容量副ポンプ5を停止させ、発電モードに移行する。
【0117】
以上のような制御では、ステップS34が発電制御手段の一例であり、ステップS36がアシスト制御手段の一例である。
【0118】
上記ハイブリッド型油圧装置は、C案の制御方式を採用することにより、エンジン1の変動幅が小さくなって、効率の良い運転ができて燃費が良くなる。
【0119】
また、上記二連可変容量主ポンプ2の定格回転数を下げているので、待機中の余剰な作動油がより減り、省エネ効果をより高くすることができる。
【0120】
また、上記ハイブリッド型油圧装置は、上記従来の油圧装置を最小限の費用でハイブリッド化でき、環境規制を合格することができる。
【0121】
また、上記電動モードのみ使用すれば、機能の一部が制限されてしまうが、エンジンを使わないで作業を行うことができる。
【0122】
また、上記ハイブリッド型油圧装置が上記従来の油圧装置を改造したものである場合、ハイブリッド化のために追加した機器を取り外して元に戻すことにより、従来の油圧装置の中古品として転売することができる。
【0123】
また、上記領域A31が広くなっているので、発電する機会が増えて、効率良く発電することができる。
【0124】
上記実施の形態では、油圧モータ4、発電機兼電動機6、電磁クラッチ13およびワンウェイクラッチ14を用いたが、図15に示す油圧モータ104、発電機兼電動機106、電磁クラッチ113およびワンウェイクラッチ114を用いてもよい。
【0125】
上記ハイブリッド型油圧装置は、発電機と電動機を兼ねた発電機兼電動機6を備えていたが、この発電機兼電動機6に代わりに、発電機と、この発電機とは別体の電動機とを備えてもよい。この場合、上記電動機は、発電機で発電された電気を用いて、二連固定容量副ポンプ5を駆動するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】図1は油圧ショベルの概略斜視図である。
【図2】図2は本発明の一実施の形態のハイブリッド型油圧装置の模式図である。
【図3】図3は上記ハイブリッド型油圧装置のマルチ弁の回路図である。
【図4】図4は上記ハイブリッド型油圧装置の発電機兼電動機、油圧モータおよび二連固定容量副ポンプの模式図である。
【図5】図5は上記ハイブリッド型油圧装置のA案の制御方式を説明するためのグラフである。
【図6】図6は上記A案の制御方式のフローチャートである。
【図7】図7は上記A案の制御方式のフローチャートである。
【図8】図8は上記ハイブリッド型油圧装置のB案の制御方式を説明するためのグラフである。
【図9】図9は上記B案の制御方式のフローチャートである。
【図10】図10は上記B案の制御方式のフローチャートである。
【図11】図11は上記B案の制御方式のフローチャートである。
【図12】図12は上記ハイブリッド型油圧装置のC案の制御方式を説明するためのグラフである。
【図13】図13は上記C案の制御方式のフローチャートである。
【図14】図14は上記C案の制御方式のフローチャートである。
【図15】図15は他の発電機兼電動機、油圧モータ、電磁クラッチおよびワンウェイクラッチの模式図である。
【符号の説明】
【0127】
1 エンジン
2 二連可変容量主ポンプ
4,104 油圧モータ
5 二連固定容量副ポンプ
6,106 発電機兼電動機
11 チェック弁
13,113 電磁クラッチ
201 定流量制御部
202 定馬力制御部
303 油圧モータ操作用バルブ
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば建設機械等に使用されるハイブリッド型油圧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ハイブリッド型油圧装置としては、特開2007−71197号公報(特許文献1)に記載されたものがある。このハイブリッド型油圧装置は、エンジンと、このエンジンで駆動される油圧ポンプと、この油圧ポンプから作動油の供給を受ける油圧アクチュエータと、そのエンジンで駆動されるジェネレータと、このジェネレータで発電された電気を蓄えるバッテリと、このバッテリの電気で駆動する電動機とを備えている。
【0003】
上記ジェネレータはエンジンと油圧ポンプとの間に設置されている。より詳しくは、上記エンジンの出力軸となる回転軸には発電機が連結されている。また、上記回転軸の先端は、油圧ポンプを駆動するためのポンプ軸の一端に接続されている。このポンプ軸の他端は電動機の駆動軸に接続されている。
【0004】
上記構成のハイブリッド型油圧装置によれば、油圧アクチュエータの負荷が小さいときには発電機が作動し、発電機で得た電力がバッテリに充電される。そして、上記油圧アクチュエータの負荷が大きくなると、バッテリから電力を電動機に供給し、電動機がエンジンをアシストする。
【0005】
ところで、例えば特開平5−187042号公報(特許文献2)に記載された従来の油圧装置を上記ハイブリッド型油圧装置のように改造しようとすると、エンジンと、このエンジンで駆動される油圧ポンプとの間に発電機を設置しなければならない。
【0006】
しかしながら、上記従来の油圧装置においては、エンジンと油圧ポンプとの間にはスペースがないため、その間に発電機を設置することはできず、ハイブリッド装置に改造できないという問題があった。
【0007】
仮に、上記従来の油圧装置を改造でハイブリッド化したなら、大きな労力およびコストが生じてしまう。
【特許文献1】特開2007−71197号公報
【特許文献2】特開平5−187042号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明の課題は、従来の油圧装置をそのままの状態、あるいは僅かな改造でハイブリッド化できるハイブリッド型油圧装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明のハイブリッド型油圧装置は、
エンジンと、
上記エンジンで駆動される主ポンプと、
上記主ポンプからの作動油で駆動される油圧モータと、
上記主ポンプと上記油圧モータとの間に設けられた制御弁と、
上記油圧モータで駆動される発電機と、
上記発電機で発電された電気を蓄える蓄電装置と、
上記主ポンプと上記制御弁とを接続する回路に作動油を供給する副ポンプと、
上記発電機で発電された電気、または、上記蓄電装置に蓄えられた電気を用いて、上記副ポンプを駆動する電動機と
を備えたことを特徴としている。
【0010】
上記構成のハイブリッド型油圧装置によれば、上記エンジンは主ポンプを駆動する。そうすると、上記主ポンプからの作動油が制御弁を介して油圧モータに供給されて、油圧モータが駆動する。この油圧モータが発電機を駆動するので、発電機はエンジンと主ポンプとの間に設けなくてもよい。したがって、上記従来の油圧装置をそのままの状態、あるいは僅かな改造でハイブリッド化できる。
【0011】
一実施形態のハイブリッド型油圧装置では、
上記回路と上記副ポンプとの間にチェック弁が設置されている。
【0012】
上記実施形態のハイブリッド型油圧装置によれば、上記回路と副ポンプとの間にチェック弁が設置されているので、回路から副ポンプに向かって作動油が流れず、回路内の作動油が不足するのを防ぐことができる。
【0013】
一実施形態のハイブリッド型油圧装置では、
上記発電機と上記油圧モータとの間に電磁クラッチが設置されている。
【0014】
上記実施形態のハイブリッド型油圧装置によれば、上記発電機と油圧モータとの間に電磁クラッチを設置しているので、任意のタイミングで電磁クラッチを繋いだり、切ったりすることができる。したがって、上記発電機の発電制御の自由度を大きくすることができる。
【0015】
一実施形態のハイブリッド型油圧装置では、
上記主ポンプは可変容量ポンプである。
【0016】
上記実施形態のハイブリッド型油圧装置によれば、上記主ポンプは可変容量ポンプであるので、主ポンプの最大容量を低くして、待機中の余剰な作動油を減らすことができる。したがって、省エネ効果を高くすることができる。
【0017】
一実施形態のハイブリッド型油圧装置は、
上記主ポンプの吐出圧力が所定圧力以下のときには、上記主ポンプの吐出流量を一定に保つ定流量制御手段と、
上記主ポンプの吐出圧力が上記所定圧力を超えているときには、上記主ポンプの吐出流量を変更して上記主ポンプの馬力を一定に保つ定馬力制御手段と、
上記主ポンプの吐出圧力が上記所定圧力以下になり、かつ、上記回路を流れる作動油の流量が所望流量以上のときには、上記油圧モータと上記発電機の間の上記電磁クラッチを繋いで発電させる発電制御手段と、
上記主ポンプの吐出圧力が上記所定圧力以下になり、かつ、上記回路を流れる作動油の流量が所望流量以下のときには、上記副ポンプを駆動するアシスト制御手段と
を備える。
【0018】
上記実施形態のハイブリッド型油圧装置によれば、上記主ポンプの吐出圧力が所定圧力以下になり、かつ、回路を流れる作動油の流量が所望流量以上のときには、油圧モータと発電機の間の電磁クラッチを繋いで発電させる発電制御手段を備えるので、定流量制御手段による制御中、余剰な作動油を用いて発電機の発電を効率良く行うことができる。
【0019】
また、上記主ポンプの吐出圧力が所定圧力以下になり、かつ、回路を流れる作動油の流量が所望流量以下のときには、副ポンプを駆動するアシスト制御手段を備えるので、定流量制御手段による制御中、回路内で作動油が不足するのを防ぐことができる。
【0020】
一実施形態のハイブリッド型油圧装置は、
上記主ポンプの吐出圧力が所定圧力以下のときには、上記主ポンプの吐出流量を一定に保つ定流量制御手段と、
上記主ポンプの吐出圧力が上記所定圧力を超えているときには、上記主ポンプの吐出流量を変更して上記主ポンプの馬力を一定に保つ定馬力制御手段と、
上記主ポンプの吐出圧力が上記所定圧力以下になり、かつ、上記回路を流れる作動油の流量が所望流量以上のときには、上記油圧モータと上記発電機の間の上記電磁クラッチを繋いで発電させる発電制御手段と、
上記主ポンプの吐出圧力が上記所定圧力を超え、かつ、上記回路を流れる作動油の流量が所望流量以下のときには、上記副ポンプを駆動するアシスト制御手段と
を備える。
【0021】
上記実施形態のハイブリッド型油圧装置によれば、上記主ポンプの吐出圧力が所定圧力以下になり、かつ、回路を流れる作動油の流量が所望流量以上のときには、油圧モータと発電機の間の電磁クラッチを繋いで発電させる発電制御手段を備えるので、定流量制御手段による制御中、余剰な作動油を用いて発電機の発電を効率良く行うことができる。
【0022】
また、上記主ポンプの吐出圧力が上記所定圧力を超え、かつ、回路を流れる作動油の流量が所望流量以下のときには、副ポンプを駆動するアシスト制御手段を備えるので、定馬力制御手段による制御中、回路内で作動油が不足するのを防ぐことができる。
【0023】
一実施形態のハイブリッド型油圧装置は、
上記主ポンプの吐出圧力が所定圧力以下のときには、上記主ポンプの吐出流量を一定に保つ定流量制御手段と、
上記主ポンプの吐出圧力が上記所定圧力を超えているときには、上記主ポンプの吐出流量を変更して上記主ポンプの馬力を一定に保つ定馬力制御手段と、
上記回路を流れる作動油の流量が所望流量以上のときには、上記油圧モータと上記発電機の間の上記電磁クラッチを繋いで発電させる発電制御手段と、
上記回路を流れる作動油の流量が所望流量以下のときには、上記副ポンプを駆動するアシスト制御手段と
を備える。
【0024】
上記実施形態のハイブリッド型油圧装置によれば、上記回路を流れる作動油の流量が所望流量以上のときには、油圧モータと上記発電機の間の上記電磁クラッチを繋いで発電させる発電制御手段を備えるので、定流量制御手段および定馬力制御手段による制御中、余剰な作動油を用いて発電機の発電を効率良く行うことができる。
【0025】
また、上記回路を流れる作動油の流量が所望流量以下のときには、副ポンプを駆動するアシスト制御手段を備えるので、定流量制御手段および定馬力制御手段による制御中、回路内で作動油が不足するのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明のハイブリッド型油圧装置によれば、発電機は、主ポンプからの作動油を動力とする油圧モータによって駆動されるので、エンジンと主ポンプとの間に設けなくてもよい。したがって、上記従来の油圧装置をそのままの状態、あるいは僅かな改造でハイブリッド化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明のハイブリッド型油圧装置を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0028】
図1は、本発明の一実施の形態のハイブリッド型油圧装置を搭載する油圧ショベルの概略斜視図である。なお、図1においては、上記油圧ショベルの構造を判り易くするため、内部が見えるように図示している。
【0029】
上記油圧ショベルは、走行モータ104を内蔵する下部走行体101と、この下部走行体101に旋回可能に搭載された上部旋回体102と、この上部旋回体102に搭載された作業アーム103とを備えている。
【0030】
上記作業アーム103は、ブーム105、アーム106、バケット107、ブームシリンダ108、ブームオフセットシリンダ109、アームシリンダ110およびバケットシリンダ111を含んでいる。
【0031】
上記ブーム105の一端は上部旋回体102に回動自在に連結されている。また、上記ブーム105の他端にはアーム106の一端が回動自在に連結されている。そして、上記アーム106の他端にはバケット107が回動自在に連結されている。これらのブーム105、アーム106およびバケット107は、ブームシリンダ108、ブームオフセットシリンダ109、アームシリンダ110およびバケットシリンダ111によって回動駆動される。
【0032】
図2は、上記ハイブリッド型油圧装置の構成を示す模式図である。
【0033】
上記ハイブリッド型油圧装置は、エンジン1と、主ポンプの一例としての二連可変容量主ポンプ2と、マルチ弁3と、油圧モータ4と、副ポンプの一例としての二連固定容量副ポンプ5と、発電機および電動機の一例としての発電機兼電動機6と、蓄電装置7とを備えている。
【0034】
上記二連可変容量主ポンプ2は、二連可変容量主ポンプ2の吐出圧力が規定値以下のときには、二連可変容量主ポンプ2の吐出流量を一定に保つ定流量制御部201と、二連可変容量主ポンプ2の吐出圧力が規定値を超えているときには、二連可変容量主ポンプ2の吐出流量を変更して二連可変容量主ポンプ2の馬力を一定に保つ定馬力制御部202と有している。また、上記二連可変容量主ポンプ2は第1主ポンプ部P1および第2主ポンプ部P2を含む。この二連可変容量主ポンプ2は、エンジン1で駆動されて、タンク8内の作動油を吸い込み、回路9を介してマルチ弁3に供給する。そうすると、上記作動油はマルチ弁3で分岐し、一部がアクチュエータ部10に向かって流れ、他の一部が油圧モータ4に向かって流れる。なお、上記定流量制御部201は定流量制御手段の一例であり、定馬力制御部202は定馬力制御手段の一例である。
【0035】
上記アクチュエータ部10は、走行モータ104、ブームシリンダ108、ブームオフセットシリンダ109、アームシリンダ110およびバケットシリンダ111等を含んでいる(図1参照)。
【0036】
上記二連固定容量副ポンプ5は第1副ポンプ部P11および第2副ポンプ部P12を含む。この二連固定容量副ポンプ5の駆動により、タンク8内の作動油が回路9に供給される。また、上記二連固定容量副ポンプ5と回路9との間にはチェック弁11が設置されている。
【0037】
上記チェック弁11は、二連固定容量副ポンプ5から回路9に向かって作動油が流れるときには開き、回路9から二連固定容量副ポンプ5に向かって作動油が流れるときには閉じる。
【0038】
上記油圧モータ4は、マルチ弁3のオプションポートに接続され、マルチ弁3から作動油の供給を常に受ける。この油圧モータ4の駆動軸は、マルチ弁3の制御により、右回転のみするようになっている。
【0039】
上記発電機兼電動機6はコントローラ12によって制御されて発電を行う。この発電機兼電動機6で発電された電気は蓄電装置7に蓄えられる。
【0040】
上記コントローラ12は、エンジン1のトルクを示すトルク信号、二連可変容量主ポンプ2の吐出圧を示す吐出圧信号、油圧モータ4の回転数を示す回転数信号、および、蓄電装置7の蓄電量を示す蓄電量信号を受ける。そして、上記コントローラ12は、上記吐出圧信号および蓄電量信号に基づいて、発電機兼電動機6の負荷を調整する。また、上記コントローラ12は、電磁クラッチ13(図4参照)を繋ぐための電磁クラッチON信号を電磁クラッチ13に出力すると共に、電磁クラッチ13を切るための電磁クラッチOFF信号を電磁クラッチ13に出力する。
【0041】
図3は上記マルチ弁3の回路図である。
【0042】
上記マルチ弁3は、走行モータ操作用バルブ301、ブームシリンダ操作用バルブ302および油圧モータ操作用バルブ303を含んでいる。なお、上記油圧モータ操作用バルブ303は制御弁の一例である。
【0043】
上記走行モータ操作用バルブ301およびブームシリンダ操作用バルブ302は、制御装置(図示せず)の制御を受けて、開いたり、閉じたりする。上記走行モータ操作用バルブ301が開くと、二連可変容量主ポンプ2からの作動油が走行モータ104に供給されて、下部走行体101が走行する。一方、上記ブームシリンダ操作用バルブ302が開くと、二連可変容量主ポンプ2からの作動油がブームシリンダ108に供給されて、ブーム105が上部旋回体102に対して回動する。
【0044】
上記油圧モータ操作用バルブ303も上記制御装置で開閉制御が可能であるが、油圧モータ操作用バルブ303は常に開くようにしている。つまり、上記油圧モータ操作用バルブ303の開閉状態は開に固定している。このため、上記油圧モータ4内は回路9内と常に連通しているので、二連可変容量主ポンプ2が吐出した作動油に余剰分が生じると、その余剰な作動油が油圧モータ4に供給される。このとき、上記油圧モータ4はその余剰な作動油の量に対応する回転数で回転する。また、上記油圧モータ4の回転数は余剰な作動油の量に比例する。一方、上記二連可変容量主ポンプ2が吐出した作動油に余剰分が無いと、油圧モータ4への作動油の供給は無く、油圧モータ4は回転しない。
【0045】
なお、図示しないが、上記マルチ弁3は、ブームオフセットシリンダ109、アームシリンダ110およびバケットシリンダ111を操作するためのバルブなども含む。
【0046】
図4は、上記発電機兼電動機6、油圧モータ4および二連固定容量副ポンプ5を接続関係を示す模式図である。
【0047】
上記発電機兼電動機6には、電磁クラッチ13を介して油圧モータ4に接続されていると共に、ワンウェイクラッチ14を左回転するときだけ有効になる向きに介して二連固定容量副ポンプ5に接続されている。この電磁クラッチ13が繋がれて、発電機兼電動機6が油圧モータ4の駆動力を受けて発電しているときは必ず右回転なので、ワンウェイクラッチ14は繋がらず副ポンプは回転しないようになっている。また、上記電磁クラッチ13が切られて、発電機兼電動機6が左回転に電動機駆動するときは、ワンウェイクラッチ14が有効になり、発電機兼電動機6が二連固定容量副ポンプ5を駆動できるようになっている。
【0048】
上記構成のハイブリッド型油圧装置によれば、発電機兼電動機6は、マルチ弁3のオプションポートに接続された油圧モータ4で駆動するので、エンジン1と二連可変容量主ポンプ2との間に設けなくてもよい。
【0049】
したがって、例えば特開平5−187042号公報に記載されているような従来の油圧装置をそのままの状態、あるいは僅かな改造でハイブリッド化できる。
【0050】
また、上記回路9と二連固定容量副ポンプ5との間にチェック弁11を設置しているので、回路9から二連固定容量副ポンプ5に向かって作動油が流れないようにして、回路9内の作動油が不足するのを防ぐことができる。
【0051】
また、上記ハイブリッド型油圧装置では、油圧モータ4の回転数に基づいて電磁クラッチ13が制御される。
【0052】
上記電磁クラッチ13の制御についてより詳しく説明すると、油圧モータ4が回転している場合は、二連可変容量主ポンプ2が吐出した作動油に余剰分が生じていることになる。そこで、上記油圧モータ4の回転数を検出し、この回転数が所定の回転数以上であると、コントローラ12に電磁クラッチON信号を出力させる。これにより、上記電磁クラッチ13がつながり、油圧モータ4の駆動力が発電機兼電動機6に伝達され、発電機兼電動機6の駆動軸が右回転する。その結果、上記発電機兼電動機6が発電すると共に、その発電された電気が蓄電装置7に蓄えられる。なお、上記発電機兼電動機6の駆動軸が右回転している場合、ワンウェイクラッチ14は繋がらず、二連固定容量副ポンプ5は駆動されない。
【0053】
その後、上記油圧モータ4の回転が停止すれば、余剰な作動油が無くなったということなので、コントローラ12に電磁クラッチOFF信号を出力させる。これにより、上記電磁クラッチ13を切り、発電機兼電動機6の発電を停止させる。そして、上記制御装置によって発電機兼電動機6の駆動軸を左回転させる。そうすると、上記ワンウェイクラッチ14が繋がり、発電機兼電動機6の駆動力が二連固定容量副ポンプ5に伝達され、二連固定容量副ポンプ5が駆動する。その結果、上記二連固定容量副ポンプ5が回路9に作動油を供給するので、作動油の不足が回路9で生じるのを防ぐことができる。また、上記発電機兼電動機6は、蓄電装置7の電気を使用して、二連固定容量副ポンプ5を駆動するので、省エネ効果も得ることができる。
【0054】
その後、上記回路9で余剰な作動油が生じ、その余剰な作動油が油圧モータ4に供給されても、電磁クラッチ13が切れているので、油圧モータ4が空回りする。この油圧モータ4の回転数が所定の回転数以上になれば、二連固定容量副ポンプ5を停止させ、再び、電磁クラッチ13を繋ぎ、発電機兼電動機6の発電、蓄電装置7の蓄電を行う。
【0055】
なお、上記油圧モータ4の回転数が所定の回転数以上であっても、蓄電装置7の蓄電量が規定容量以上のときは、電磁クラッチ13を切り、発電機兼電動機6の発電は行わない。
【0056】
ところで、上記ハイブリッド型油圧装置の制御方式としては、後述するA案、B案およびC案がある。各案の概略を述べる。
【0057】
上記A案は、従来の油圧装置が二連可変容量主ポンプ2の最大容量を低く再設定して省エネルギーを図る機構を持つ場合の制御方式である。
【0058】
上記B案は、従来の油圧装置が二連可変容量主ポンプ2の定馬力制御設定値を低く再設定して省エネルギーを図る機構を持つ場合の制御方式である。
【0059】
上記C案は、従来の油圧装置の二連可変容量主ポンプ2に上記どちらの機構もなく、エンジンの定格回転数を低く再設定して省エネルギーを図る場合の制御方式である。
【0060】
以下、上記A案の制御方式について、図5のグラフ、図6,図7のフローチャートを用いて説明する。
【0061】
図5は、上記二連可変容量主ポンプ2の吐出流量と二連可変容量主ポンプ2の吐出圧力との関係を示すグラフである。なお、図5には、上記ハイブリッド型油圧装置は従来の油圧装置を改造したものであると仮定し、その従来の油圧装置の主ポンプの吐出流量の変化を点線で示している。
【0062】
図5の実線の直線部に対応する圧力範囲においては、二連可変容量主ポンプ2に対して定流量制御が行われる。そして、上記実線の曲線部に対応する圧力範囲においては、二連可変容量主ポンプ2に対して定馬力制御が行われる。また、上記アクチュエータ部10が必要とする作動油の流量(●)が領域A1〜A3のうちのどこに属するかによって、二連可変容量主ポンプ2および二連固定容量副ポンプ5の制御を決定する。
【0063】
より詳しくは、上記二連可変容量主ポンプ2の吐出圧力が定馬力制御に入っていない低圧であって、アクチュエータ部10の駆動速度が低速である場合、例えば(1)に示すように、アクチュエータ部10が必要とする作動油の流量は領域A1内の流量となる。この場合、上記二連可変容量主ポンプ2の吐出流量に比べて、アクチュエータ部10が必要とする作動油の流量が少ないため、余剰な作動油が生じる。そこで、上記電磁クラッチ13を繋ぎ、発電機兼電動機6で発電する。
【0064】
また、上記二連可変容量主ポンプ2の吐出圧力が定馬力制御に入っていない低圧であって、アクチュエータ部10の駆動速度が高速である場合、例えば(2)に示すように、アクチュエータ部10が必要とする作動油の流量は領域A2内の流量となる。この場合、上記二連可変容量主ポンプ2の吐出流量に比べて、アクチュエータ部10が必要とする作動油の流量が多くなるため、作動油が不足する。そこで、上記電磁クラッチ13を切り、発電機兼電動機6で二連固定容量副ポンプ5を駆動し、二連固定容量副ポンプ5から回路9に作動油を供給する。また、その場合、余剰な作動油が生じるが、電磁クラッチ13を切り、発電機兼電動機6が発電しないようにして、制御を簡略化する。
【0065】
また、上記二連可変容量主ポンプ2の吐出圧力が定馬力制御に入る高圧であって、アクチュエータ部10の駆動速度が低速である場合、例えば(3)に示すように、アクチュエータ部10が必要とする作動油の流量が領域A3内の流量となる。この場合、上記二連可変容量主ポンプ2の吐出流量に比べて、アクチュエータ部10が必要とする作動油の流量が少ないため、余剰な作動油が生じるが、制御を簡略化にするため、電磁クラッチ13を切り、発電機兼電動機6が発電しないようにする。また、上記二連固定容量副ポンプ5も駆動させないようにする。
【0066】
また、上記二連可変容量主ポンプ2の吐出圧力が定馬力制御に入る高圧であって、アクチュエータ部10の駆動速度が高速である場合、例えば(4)に示すように、二連可変容量主ポンプ2が吐出する作動油の全てをアクチュエータ部10に供給する。この場合、上記電磁クラッチ13を切り、発電機兼電動機6が発電しないようにすると共に、二連固定容量副ポンプ5も駆動させないようにして、制御を簡略化する。
【0067】
以下、図6,図7のフローチャートを用いて、図5の制御について説明する。
【0068】
まず、図6に示すように、制御をスタートさせ、ステップS1で、現在、発電モードと電動モードとのであるかを判定する。すなわち、上記発電機兼電動機6は、油圧モータ4に駆動されて発電をしているのか、あるいは、発電せずに二連固定容量副ポンプ5を駆動しているのかを判定する。そのステップS1で、発電機兼電動機6は発電をしていると判定すると、ステップS2に進む。一方、上記ステップS1で、発電機兼電動機6は発電せずに二連固定容量副ポンプ5を駆動していると判定すると、図7のステップS6に進む。
【0069】
上記ステップS2に進んだ場合、図6に示すように、二連可変容量主ポンプ2の吐出圧力が規定値以下であるか否かを判定する。この規定値とは、二連可変容量主ポンプ2が定流量制御を行う圧力範囲の最大値である。そのステップS2で、二連可変容量主ポンプ2の吐出圧力は規定値以下だと判定すると、次のステップS3に進む。一方、上記ステップS2で、二連可変容量主ポンプ2の吐出圧力は規定値以下でないと判定すると、ステップS9に進み、電磁クラッチ13を切り、発電モードを継続する。
【0070】
次に、ステップS3で、油圧モータ4が回転しているか否かを判定する。そのステップS3で、油圧モータ4は回転していると判定すると、次のステップS4に進む。一方、上記ステップS3で、油圧モータ4は回転していないと判定すると、ステップS10に進み、電磁クラッチ13を切り、電動モードに移行する。
【0071】
次に、ステップS4で、蓄電装置7の蓄電量が規定容量以上か否かを判定する。そのステップS4で、蓄電装置7の蓄電量は規定容量以上でないと判定すると、次のステップS5に進む。一方、上記ステップS4で、蓄電装置7の蓄電量は規定容量以上であると判定すると、ステップS11に進み、電磁クラッチ13を切り、発電モードを継続する。
【0072】
次に、ステップS5で、電磁クラッチ13を繋ぎ、エンジン1が定格トルクを維持できる条件下で、最大の軸負荷になるように発電機兼電動機6の負荷トルクを調整して発電する。
【0073】
一方、上記ステップS1で電動モードと判定してステップS6に進んだ場合、図7に示すように、二連可変容量主ポンプ2の吐出圧力が規定値以下であるか否かを判定する。この規定値とは、二連可変容量主ポンプ2が定流量制御を行う圧力範囲の最大値である。そのステップS6で、二連可変容量主ポンプ2の吐出圧力は規定値以下であると判定すると、次のステップS7に進む。一方、上記ステップS6で、二連可変容量主ポンプ2の吐出圧力は規定値以下でないと判定すると、ステップS12に進み、二連固定容量副ポンプ5を停止させ、発電モードに移行する。
【0074】
次に、ステップS7で、油圧モータ4の回転数が所定の回転数以上であるか否かを判定する。上記油圧モータ4の回転数が所定の回転数以上であれば、作動油の余剰量が過剰となっている。逆に言えば、上記油圧モータ4の回転数が所定の回転数以上になっていなければ、作動油の余剰量は過剰となっていない。そこで、上記ステップS7で、油圧モータ4の回転数は所定の回転数以上でないと判定すると、ステップS8に進み、現状維持とする。すなわち、上記電動モードを継続する。一方、上記ステップS7で、油圧モータ4の回転数は所定の回転数以上であると判定すると、上記ステップS12に進む。
【0075】
以上のような制御では、上記ステップS5が発電制御手段の一例であり、ステップS8がアシスト制御手段の一例である。
【0076】
上記ハイブリッド型油圧装置は、A案の制御方式を採用することにより、エンジン1の負荷変動幅が小さくなって、効率の良い運転ができて燃費が良くなる。
【0077】
また、上記二連可変容量主ポンプ2の最大容量を低くしているので、待機中の余剰な作動油が減り、省エネ効果を高くすることができる。
【0078】
また、上記ハイブリッド型油圧装置は、上記従来の油圧装置を最小限の費用でハイブリッド化でき、環境規制を合格することができる。
【0079】
また、上記電動モードのみ使用すれば、機能の一部が制限されてしまうが、エンジンを使わないで作業を行うことができる。
【0080】
また、上記ハイブリッド型油圧装置は、二連可変容量主ポンプ2の吐出流量が領域A1〜A3のいずれに属していても、上記従来の油圧装置と同一の操作フィーリングとすることができる。
【0081】
また、上記ハイブリッド型油圧装置のように上記従来の油圧装置を改造しても、その改造は僅かであるので、耐久信頼性が低下するのを防ぐことができる。
【0082】
また、上記ハイブリッド型油圧装置が上記従来の油圧装置を改造したものである場合、ハイブリッド化のために追加した機器を取り外して元に戻すことにより、従来の油圧装置の中古品として転売することができる。
【0083】
以下、上記B案の制御方式について、図8のグラフ、図9〜図11のフローチャートを用いて説明する。
【0084】
図8は、上記二連可変容量主ポンプ2の吐出流量と二連可変容量主ポンプ2の吐出圧力との関係を示すグラフである。なお、図8には、上記ハイブリッド型油圧装置は従来の油圧装置を改造したものであると仮定し、その従来の油圧装置の主ポンプの吐出流量の変化を点線で示している。
【0085】
図8の実線の直線部に対応する圧力範囲においては、二連可変容量主ポンプ2に対して定流量制御が行われる。そして、上記実線の曲線部に対応する圧力範囲においては、二連可変容量主ポンプ2に対して定馬力制御が行われる。また、上記アクチュエータ部10が必要とする作動油の流量(●)が領域A21〜A23のうちのどこに属するかによって、二連可変容量主ポンプ2および二連固定容量副ポンプ5の制御を決定する。
【0086】
より詳しくは、上記二連可変容量主ポンプ2の吐出圧力が定馬力制御に入っていない低圧である場合、例えば(21)に示すように、アクチュエータ部10が必要とする作動油の流量は領域A21内の流量となる。この場合、上記二連可変容量主ポンプ2の吐出流量に比べて、アクチュエータ部10が必要とする作動油の流量が少ないため、余剰な作動油が生じる。そこで、上記電磁クラッチ13を繋ぎ、発電機兼電動機6で発電する。
【0087】
また、上記二連可変容量主ポンプ2の吐出圧力が定馬力制御に入る高圧であって、アクチュエータ部10の駆動速度が低速である場合、例えば(22)に示すように、アクチュエータ部10が必要とする作動油の流量が領域A22内の流量となる。この場合、上記二連可変容量主ポンプ2の吐出流量に比べて、アクチュエータ部10が必要とする作動油の流量が少ないため、余剰な作動油が生じるが、制御を簡略化にするため、電磁クラッチ13を切り、発電機兼電動機6が発電しないようにする。また、上記二連固定容量副ポンプ5も駆動させないようにする。
【0088】
また、上記二連可変容量主ポンプ2の吐出圧力が定馬力制御に入る高圧であって、アクチュエータ部10の駆動速度が高速である場合、例えば(23)に示すように、アクチュエータ部10が必要とする作動油の流量は領域A23内の流量となる。この場合、上記二連可変容量主ポンプ2の吐出流量に比べて、アクチュエータ部10が必要とする作動油の流量が多くなるため、作動油が不足する。そこで、上記電磁クラッチ13を切り、発電機兼電動機6で二連固定容量副ポンプ5を駆動し、二連固定容量副ポンプ5から回路9に作動油を供給する。また、その場合、余剰な作動油が生じるが、電磁クラッチ13を切り、発電機兼電動機6が発電しないようにして、制御を簡略化する。
【0089】
以下、図9〜図11のフローチャートを用いて、図8の制御について説明する。
【0090】
まず、図9に示すように、制御をスタートさせ、ステップS11で、現在、発電モードと電動モードとのであるかを判定する。すなわち、上記発電機兼電動機6は、油圧モータ4に駆動されて発電をしているのか、あるいは、発電せずに二連固定容量副ポンプ5を駆動しているのかを判定する。そのステップS11で、発電機兼電動機6は発電をしていると判定すると、ステップS12に進む。一方、上記ステップS11で、発電機兼電動機6は発電せずに二連固定容量副ポンプ5を駆動していると判定すると、図10のステップS15に進む。
【0091】
上記ステップS12に進んだ場合、図9に示すように、二連可変容量主ポンプ2の吐出圧力が規定値以下であるか否かを判定する。この規定値とは、二連可変容量主ポンプ2が定流量制御を行う圧力範囲の最大値である。そのステップS12で、二連可変容量主ポンプ2の吐出圧力は規定値以下であると判定すると、次のステップS13に進む。一方、上記ステップS12で、二連可変容量主ポンプ2の吐出圧力は規定値以下でないと判定すると、図11のステップS18に進む。
【0092】
上記ステップS18では、油圧モータ4が回転しているか否かを判定する。そのステップS18で、油圧モータ4は回転していると判定すると、ステップS19に進み、電磁クラッチ13を切り、発電モードを継続する。一方、上記ステップS18で、油圧モータ4は回転していないと判定すると、ステップS10に進み、電磁クラッチ13を切り、電動モードに移行する。
【0093】
次に、図9に示すように、ステップS13で、蓄電装置7の蓄電量が規定容量以上か否かを判定する。そのステップS13で、蓄電装置7の蓄電量は規定容量以上でないと判定すると、次のステップS14に進む。一方、上記ステップS13で、蓄電装置7の蓄電量は規定容量以上であると判定すると、ステップS20に進み、電磁クラッチ13を切り、発電モードを継続する。
【0094】
次に、ステップS14で、電磁クラッチ13を繋ぎ、エンジン1が定格トルクを維持できる条件下で、最大の軸負荷になるように発電機兼電動機6の負荷トルクを調整して発電する。
【0095】
一方、上記ステップS11で電動モードと判定してステップS15に進んだ場合、図10に示すように、二連可変容量主ポンプ2の吐出圧力が規定値以下であるか否かを判定する。この規定値とは、二連可変容量主ポンプ2が定流量制御を行う圧力範囲の最大値である。そのステップS15で、二連可変容量主ポンプ2の吐出圧力は規定値以下でないと判定すると、次のステップS16に進む。一方、上記ステップS15で、二連可変容量主ポンプ2の吐出圧力は規定値以下であると判定すると、次のステップS21に進み、二連固定容量副ポンプ5を停止させ、発電モードに移行する。
【0096】
次に、ステップS16で、油圧モータ4の回転数が所定の回転数以上であるか否かを判定する。上記油圧モータ4の回転数が所定の回転数以上であれば、作動油の余剰量が過剰となっている。逆に言えば、上記油圧モータ4の回転数が所定の回転数以上になっていなければ、作動油の余剰量は過剰となっていない。そこで、上記ステップS16で、油圧モータ4の回転数は所定の回転数以上でないと判定すると、ステップS17に進み、現状維持とする。すなわち、上記電動モードを継続する。一方、上記ステップS16で、油圧モータ4の回転数は所定の回転数以上であると判定すると、上記ステップS21に進む。
【0097】
以上のような制御では、ステップS14が発電制御手段の一例であり、ステップS17がアシスト制御手段の一例である。
【0098】
上記ハイブリッド型油圧装置は、B案の制御方式を採用することにより、エンジン1の負荷変動幅が小さくなって、効率の良い運転ができて燃費が良くなる。
【0099】
また、上記定馬力制御を行う圧力範囲の最小値を小さくしているので、エンジントルク負荷が下がって、燃料消費を減らすことができる。
【0100】
また、上記ハイブリッド型油圧装置は、上記従来の油圧装置を最小限の費用でハイブリッド化でき、環境規制を合格することができる。
【0101】
また、上記電動モードのみ使用すれば、機能の一部が制限されてしまうが、エンジンを使わないで作業を行うことができる。
【0102】
また、上記二連可変容量主ポンプ2の吐出流量が領域A21に属する場合、上記従来の油圧装置と同一の操作フィーリングとすることができる。
【0103】
また、上記ハイブリッド型油圧装置のように上記従来の油圧装置を改造しても、その改造は僅かであるので、耐久信頼性が低下するのを防ぐことができる。
【0104】
また、上記ハイブリッド型油圧装置が上記従来の油圧装置を改造したものである場合、ハイブリッド化のために追加した機器を取り外して元に戻すことにより、従来の油圧装置の中古品として転売することができる。
【0105】
また、上記発電モードと電動モードとの切り替えが二連可変容量主ポンプ2の吐出圧力のみで決まるので、制御を簡単にすることができる。
【0106】
以下、上記C案の制御方式について、図12のグラフ、図13,図14のフローチャートを用いて説明する。
【0107】
図12は、上記二連可変容量主ポンプ2の吐出流量と二連可変容量主ポンプ2の吐出圧力との関係を示すグラフである。なお、図12には、上記ハイブリッド型油圧装置は従来の油圧装置を改造したものであると仮定し、その従来の油圧装置の主ポンプの吐出流量の変化を点線で示している。
【0108】
図12において、実線は二連可変容量主ポンプ2の吐出流量の変化を示す。上記実線の曲線部に対応する圧力範囲においては、二連可変容量主ポンプ2に対して定馬力制御が行われる。また、上記アクチュエータ部10が必要とする作動油の流量(●)が領域A31,A32のうちのどこに属するかによって、二連可変容量主ポンプ2および二連固定容量副ポンプ5の制御を決定する。
【0109】
より詳しくは、上記二連可変容量主ポンプ2の吐出圧力に関係なく、アクチュエータ部10の駆動速度が低速である場合、例えば(31)に示すように、アクチュエータ部10が必要とする作動油の流量は領域A31内の流量となる。この場合、上記二連可変容量主ポンプ2の吐出流量に比べて、アクチュエータ部10が必要とする作動油の流量が少ないため、余剰な作動油が生じる。そこで、上記電磁クラッチ13を繋ぎ、発電機兼電動機6で発電する。
【0110】
また、上記二連可変容量主ポンプ2の吐出圧力に関係なく、アクチュエータ部10の駆動速度が高速である場合、例えば(32)に示すように、アクチュエータ部10が必要とする作動油の流量は領域A32内の流量となる。この場合、上記二連可変容量主ポンプ2の吐出流量に比べて、アクチュエータ部10が必要とする作動油の流量が多くなるため、作動油が不足する。そこで、上記電磁クラッチ13を切り、発電機兼電動機6で二連固定容量副ポンプ5を駆動し、二連固定容量副ポンプ5から回路9に作動油を供給する。また、その場合、余剰な作動油が生じるが、電磁クラッチ13を切り、発電機兼電動機6が発電しないようにして、制御を簡略化する。また、その場合、上記二連固定容量副ポンプ5の回転数を、第1主ポンプ部P1の吐出圧力と第2主ポンプ部P2の吐出圧力との和で定義される関数に基づいて調整して、二連固定容量副ポンプ5から回路9へ流れる作動油の流量を決まった流量とする。
【0111】
以下、図13,図14のフローチャートを用いて、図12の制御について説明する。
【0112】
まず、図13に示すように、制御をスタートさせ、ステップS31で、現在、発電モードと電動モードとのであるかを判定する。すなわち、上記発電機兼電動機6は、油圧モータ4に駆動されて発電をしているのか、あるいは、発電せずに二連固定容量副ポンプ5を駆動しているのかを判定する。そのステップS31で、発電機兼電動機6は発電をしていると判定すると、ステップS32に進む。一方、上記ステップS31で、発電機兼電動機6は発電せずに二連固定容量副ポンプ5を駆動していると判定すると、図14のステップS35に進む。
【0113】
上記ステップS32に進んだ場合、図13に示すように、油圧モータ4が回転しているか否かを判定する。そのステップS32で、油圧モータ4は回転していると判定すると、次のステップS33に進む。一方、上記ステップS32で、油圧モータ4は回転していないと判定すると、ステップS37に進み、電磁クラッチ13を切り、電動モードに移行する。
【0114】
次に、ステップS33で、蓄電装置7の蓄電量が規定容量以上か否かを判定する。そのステップS33で、蓄電装置7の蓄電量は規定容量以上でないと判定すると、次のステップS5に進む。一方、上記ステップS33で、蓄電装置7の蓄電量は規定容量以上であると判定すると、ステップS38に進み、電磁クラッチ13を切り、発電モードを継続する。
【0115】
次に、ステップS34で、電磁クラッチ13を繋ぎ、エンジン1が定格トルクを維持できる条件下で、最大の軸負荷になるように発電機兼電動機6の負荷トルクを調整して発電する。
【0116】
一方、上記ステップS31で電動モードと判定してステップS35に進んだ場合、図14に示すように、油圧モータ4の回転数が所定の回転数以上であるか否かを判定する。上記油圧モータ4の回転数が所定の回転数以上であれば、作動油の余剰量が過剰となっている。逆に言えば、上記油圧モータ4の回転数が所定の回転数以上になっていなければ、作動油の余剰量は過剰となっていない。そこで、上記ステップS35で、油圧モータ4の回転数は所定の回転数以上でないと判定すると、ステップS36に進み、現状維持とする。すなわち、上記電動モードを継続する。一方、上記ステップS35で、油圧モータ4の回転数は所定の回転数以上であると判定すると、上記ステップS39に進み、二連固定容量副ポンプ5を停止させ、発電モードに移行する。
【0117】
以上のような制御では、ステップS34が発電制御手段の一例であり、ステップS36がアシスト制御手段の一例である。
【0118】
上記ハイブリッド型油圧装置は、C案の制御方式を採用することにより、エンジン1の変動幅が小さくなって、効率の良い運転ができて燃費が良くなる。
【0119】
また、上記二連可変容量主ポンプ2の定格回転数を下げているので、待機中の余剰な作動油がより減り、省エネ効果をより高くすることができる。
【0120】
また、上記ハイブリッド型油圧装置は、上記従来の油圧装置を最小限の費用でハイブリッド化でき、環境規制を合格することができる。
【0121】
また、上記電動モードのみ使用すれば、機能の一部が制限されてしまうが、エンジンを使わないで作業を行うことができる。
【0122】
また、上記ハイブリッド型油圧装置が上記従来の油圧装置を改造したものである場合、ハイブリッド化のために追加した機器を取り外して元に戻すことにより、従来の油圧装置の中古品として転売することができる。
【0123】
また、上記領域A31が広くなっているので、発電する機会が増えて、効率良く発電することができる。
【0124】
上記実施の形態では、油圧モータ4、発電機兼電動機6、電磁クラッチ13およびワンウェイクラッチ14を用いたが、図15に示す油圧モータ104、発電機兼電動機106、電磁クラッチ113およびワンウェイクラッチ114を用いてもよい。
【0125】
上記ハイブリッド型油圧装置は、発電機と電動機を兼ねた発電機兼電動機6を備えていたが、この発電機兼電動機6に代わりに、発電機と、この発電機とは別体の電動機とを備えてもよい。この場合、上記電動機は、発電機で発電された電気を用いて、二連固定容量副ポンプ5を駆動するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】図1は油圧ショベルの概略斜視図である。
【図2】図2は本発明の一実施の形態のハイブリッド型油圧装置の模式図である。
【図3】図3は上記ハイブリッド型油圧装置のマルチ弁の回路図である。
【図4】図4は上記ハイブリッド型油圧装置の発電機兼電動機、油圧モータおよび二連固定容量副ポンプの模式図である。
【図5】図5は上記ハイブリッド型油圧装置のA案の制御方式を説明するためのグラフである。
【図6】図6は上記A案の制御方式のフローチャートである。
【図7】図7は上記A案の制御方式のフローチャートである。
【図8】図8は上記ハイブリッド型油圧装置のB案の制御方式を説明するためのグラフである。
【図9】図9は上記B案の制御方式のフローチャートである。
【図10】図10は上記B案の制御方式のフローチャートである。
【図11】図11は上記B案の制御方式のフローチャートである。
【図12】図12は上記ハイブリッド型油圧装置のC案の制御方式を説明するためのグラフである。
【図13】図13は上記C案の制御方式のフローチャートである。
【図14】図14は上記C案の制御方式のフローチャートである。
【図15】図15は他の発電機兼電動機、油圧モータ、電磁クラッチおよびワンウェイクラッチの模式図である。
【符号の説明】
【0127】
1 エンジン
2 二連可変容量主ポンプ
4,104 油圧モータ
5 二連固定容量副ポンプ
6,106 発電機兼電動機
11 チェック弁
13,113 電磁クラッチ
201 定流量制御部
202 定馬力制御部
303 油圧モータ操作用バルブ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン(1)と、
上記エンジン(1)で駆動される主ポンプ(2)と、
上記主ポンプ(2)からの作動油で駆動される油圧モータ(4)と、
上記主ポンプ(2)と上記油圧モータ(4)との間に設けられた制御弁(303)と、
上記油圧モータ(4)で駆動される発電機(6)と、
上記発電機(6)で発電された電気を蓄える蓄電装置(7)と、
上記主ポンプ(2)と上記制御弁(303)とを接続する回路(9)に作動油を供給する副ポンプ(5)と、
上記発電機(6)で発電された電気、または、上記蓄電装置(7)に蓄えられた電気を用いて、上記副ポンプ(5)を駆動する電動機(6)と
を備えたことを特徴とするハイブリッド型油圧装置。
【請求項2】
請求項1に記載のハイブリッド型油圧装置において、
上記回路(9)と上記副ポンプ(5)との間にチェック弁(11)が設置されていることを特徴とするハイブリッド型油圧装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のハイブリッド型油圧装置において、
上記発電機(6)と上記油圧モータ(4)との間に電磁クラッチ(13,113)が設置されていることを特徴とするハイブリッド型油圧装置。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1つに記載のハイブリッド型油圧装置において、
上記主ポンプ(2)は可変容量ポンプ(2)であることを特徴とするハイブリッド型油圧装置。
【請求項5】
請求項4に記載のハイブリッド型油圧装置において、
上記主ポンプ(2)の吐出圧力が所定圧力以下のときには、上記主ポンプ(2)の吐出流量を一定に保つ定流量制御手段(201)と、
上記主ポンプ(2)の吐出圧力が上記所定圧力を超えているときには、上記主ポンプ(2)の吐出流量を変更して上記主ポンプ(2)の馬力を一定に保つ定馬力制御手段(202)と、
上記主ポンプ(2)の吐出圧力が上記所定圧力以下になり、かつ、上記回路(9)を流れる作動油の流量が所望流量以上のときには、上記油圧モータ(4)と上記発電機(6)の間の上記電磁クラッチ(13,113)を繋いで発電させる発電制御手段(S5)と、
上記主ポンプ(2)の吐出圧力が上記所定圧力以下になり、かつ、上記回路(9)を流れる作動油の流量が所望流量以下のときには、上記副ポンプ(5)を駆動するアシスト制御手段(S8)と
を備えたことを特徴とするハイブリッド型油圧装置。
【請求項6】
請求項4に記載のハイブリッド型油圧装置において、
上記主ポンプ(2)の吐出圧力が所定圧力以下のときには、上記主ポンプ(2)の吐出流量を一定に保つ定流量制御手段(201)と、
上記主ポンプ(2)の吐出圧力が上記所定圧力を超えているときには、上記主ポンプ(2)の吐出流量を変更して上記主ポンプ(2)の馬力を一定に保つ定馬力制御手段(202)と、
上記主ポンプ(2)の吐出圧力が上記所定圧力以下になり、かつ、上記回路(9)を流れる作動油の流量が所望流量以上のときには、上記油圧モータ(4)と上記発電機(6)の間の上記電磁クラッチ(13,113)を繋いで発電させる発電制御手段(S14)と、
上記主ポンプ(2)の吐出圧力が上記所定圧力を超え、かつ、上記回路(9)を流れる作動油の流量が所望流量以下のときには、上記副ポンプ(5)を駆動するアシスト制御手段(S17)と
を備えたことを特徴とするハイブリッド型油圧装置。
【請求項7】
請求項4に記載のハイブリッド型油圧装置において、
上記主ポンプ(2)の吐出圧力が所定圧力以下のときには、上記主ポンプ(2)の吐出流量を一定に保つ定流量制御手段(201)と、
上記主ポンプ(2)の吐出圧力が上記所定圧力を超えているときには、上記主ポンプ(2)の吐出流量を変更して上記主ポンプ(2)の馬力を一定に保つ定馬力制御手段(202)と、
上記回路(9)を流れる作動油の流量が所望流量以上のときには、上記油圧モータ(4)と上記発電機(6)の間の上記電磁クラッチ(13,113)を繋いで発電させる発電制御手段(S34)と、
上記回路(9)を流れる作動油の流量が所望流量以下のときには、上記副ポンプ(5)を駆動するアシスト制御手段(S36)と
を備えたことを特徴とするハイブリッド型油圧装置。
【請求項1】
エンジン(1)と、
上記エンジン(1)で駆動される主ポンプ(2)と、
上記主ポンプ(2)からの作動油で駆動される油圧モータ(4)と、
上記主ポンプ(2)と上記油圧モータ(4)との間に設けられた制御弁(303)と、
上記油圧モータ(4)で駆動される発電機(6)と、
上記発電機(6)で発電された電気を蓄える蓄電装置(7)と、
上記主ポンプ(2)と上記制御弁(303)とを接続する回路(9)に作動油を供給する副ポンプ(5)と、
上記発電機(6)で発電された電気、または、上記蓄電装置(7)に蓄えられた電気を用いて、上記副ポンプ(5)を駆動する電動機(6)と
を備えたことを特徴とするハイブリッド型油圧装置。
【請求項2】
請求項1に記載のハイブリッド型油圧装置において、
上記回路(9)と上記副ポンプ(5)との間にチェック弁(11)が設置されていることを特徴とするハイブリッド型油圧装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のハイブリッド型油圧装置において、
上記発電機(6)と上記油圧モータ(4)との間に電磁クラッチ(13,113)が設置されていることを特徴とするハイブリッド型油圧装置。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1つに記載のハイブリッド型油圧装置において、
上記主ポンプ(2)は可変容量ポンプ(2)であることを特徴とするハイブリッド型油圧装置。
【請求項5】
請求項4に記載のハイブリッド型油圧装置において、
上記主ポンプ(2)の吐出圧力が所定圧力以下のときには、上記主ポンプ(2)の吐出流量を一定に保つ定流量制御手段(201)と、
上記主ポンプ(2)の吐出圧力が上記所定圧力を超えているときには、上記主ポンプ(2)の吐出流量を変更して上記主ポンプ(2)の馬力を一定に保つ定馬力制御手段(202)と、
上記主ポンプ(2)の吐出圧力が上記所定圧力以下になり、かつ、上記回路(9)を流れる作動油の流量が所望流量以上のときには、上記油圧モータ(4)と上記発電機(6)の間の上記電磁クラッチ(13,113)を繋いで発電させる発電制御手段(S5)と、
上記主ポンプ(2)の吐出圧力が上記所定圧力以下になり、かつ、上記回路(9)を流れる作動油の流量が所望流量以下のときには、上記副ポンプ(5)を駆動するアシスト制御手段(S8)と
を備えたことを特徴とするハイブリッド型油圧装置。
【請求項6】
請求項4に記載のハイブリッド型油圧装置において、
上記主ポンプ(2)の吐出圧力が所定圧力以下のときには、上記主ポンプ(2)の吐出流量を一定に保つ定流量制御手段(201)と、
上記主ポンプ(2)の吐出圧力が上記所定圧力を超えているときには、上記主ポンプ(2)の吐出流量を変更して上記主ポンプ(2)の馬力を一定に保つ定馬力制御手段(202)と、
上記主ポンプ(2)の吐出圧力が上記所定圧力以下になり、かつ、上記回路(9)を流れる作動油の流量が所望流量以上のときには、上記油圧モータ(4)と上記発電機(6)の間の上記電磁クラッチ(13,113)を繋いで発電させる発電制御手段(S14)と、
上記主ポンプ(2)の吐出圧力が上記所定圧力を超え、かつ、上記回路(9)を流れる作動油の流量が所望流量以下のときには、上記副ポンプ(5)を駆動するアシスト制御手段(S17)と
を備えたことを特徴とするハイブリッド型油圧装置。
【請求項7】
請求項4に記載のハイブリッド型油圧装置において、
上記主ポンプ(2)の吐出圧力が所定圧力以下のときには、上記主ポンプ(2)の吐出流量を一定に保つ定流量制御手段(201)と、
上記主ポンプ(2)の吐出圧力が上記所定圧力を超えているときには、上記主ポンプ(2)の吐出流量を変更して上記主ポンプ(2)の馬力を一定に保つ定馬力制御手段(202)と、
上記回路(9)を流れる作動油の流量が所望流量以上のときには、上記油圧モータ(4)と上記発電機(6)の間の上記電磁クラッチ(13,113)を繋いで発電させる発電制御手段(S34)と、
上記回路(9)を流れる作動油の流量が所望流量以下のときには、上記副ポンプ(5)を駆動するアシスト制御手段(S36)と
を備えたことを特徴とするハイブリッド型油圧装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【図14】
【図15】
【図5】
【図8】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図9】
【図10】
【図11】
【図13】
【図14】
【図15】
【図5】
【図8】
【図12】
【公開番号】特開2009−191574(P2009−191574A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−35920(P2008−35920)
【出願日】平成20年2月18日(2008.2.18)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月18日(2008.2.18)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】
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