説明

ハウスの空調装置

【課題】従来のハウスをカーテンで区画し、この区画した部位(空間)を暖房する構成である。従って、単なる間仕切りと、暖房効率を図るに留まっており、更なる改良が要望されている。
【構成】本発明は、ハウスの天井面、空間部に空調機器のエアーカーテン生成用の機材を配備し、この機材の近傍に、必要時にエアーカーテンを生成し、このエアーカーテンの下側のハウス内の冷暖房を図るハウスの空調装置である。従って、ハウスの長手方向及び/又は短手方向の梁の近傍又は梁のラインに空調機器を設置し、エアーカーテンで、暖冷房の効率化及び/又は省エネルギー化が図れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、果菜類、根菜類、その他の野菜類を栽培するハウス(ビニールハウス、ガラスハウス等のハウス)の空調装置に関するものであり、その詳細は、空調(冷暖房の効率化及び/又はハウス内の空調)の効率化と、省資源、又は機材の有効利用とを図る空調装置(空調システム)に関する。
【背景技術】
【0002】
ハウスの空調装置は、このハウス内の壁面に設けた吊りワイヤ及び/又は梁の近傍の水平方向に設けた吊りワイヤ等を介してカーテンを張装し、このカーテンで仕切り、その閉塞及び/又は仕切られた空間において調整する方法が採用されている。その一例を示すと、文献(1)の特開平5−176638号の「温室の融雪装置」において開示されている構成では、側面カーテン及び/又は上部カーテンで区画し、屋根裏空間及び外壁空間の所定の空間(エリア)を高温に維持し、融雪の効率化を図ることを意図する。従って、この発明は、理屈に合っており、それなりの効果は期待できる。しかし、カーテンの設置を、如何にするのか、又は空間の高温の空気を搬送する構成であり、装置の複雑化、コストの上昇等のメンテナンス面で課題があると考えられる。また文献(2)の特開平8−308395号の「複合環境制御装置および方法」において開示されている構成では、温室内を保温用カーテンで開閉し、この温室内の空調を時間態勢で制御することを意図する。しかし、この発明の空調は、単なる温度調整の域に留まっていると考えられる。
【0003】
上記に鑑み、本発明は、この種のハウスにおける冷暖房の効果を確保すること、またハウスでの健全な生育と、収穫の拡充及び/又は品質の向上、さらには各人が所望する作物を、効率的かつ簡易に栽培すること等を意図し、農業に従事する人々(農作業者とする)、又は一般消費者等にとっても有益なハウスの空調装置を提供し、以下のような特徴を発揮する。
【0004】
[1] 先ず、ハウスの長手方向及び/又は短手方向の梁の近傍又は梁のラインに空調機器を設置し、この部位にエアーカーテンを形成し、暖冷房の効率化及び/又は省エネルギー化を図ること、地球環境の維持を図ること等を意図する。
【0005】
[2] そして、夏季では、効率的な換気と、天井部の熱気を遮断するようにし、作物の高温障害の回避、酸欠防止、病気の発生・蔓延防止等を図ること意図する(作物の生育環境とする)。
【0006】
[3] また空調機器の多様な送風を図ることで、ハウス内の空調と、作物の生育環境の確保とを図ることで、作物の生育を図り、収穫の拡充と、品質の向上を図ること等を意図する。
【0007】
[4] さらに冬季では、暖房面積の縮小化を達成し、暖房費の節約と、資源の有効利用と、環境保護を図ること等を意図する。
【0008】
【特許文献1】特開平5−176638号
【特許文献2】特開平8−308395号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
文献(1)、文献(2)は、カーテンを介してハウスを区画し、この区画した部位(空間)を暖房する構成である。従って、単なる間仕切りと、暖房効率を図るに留まる。従って、文献(1)、文献(2)では、本発明が意図する前述した[1]〜[4]の特徴は達成できないと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、前述の[1]〜[4]の目的を達成することを意図する。
【0011】
請求項1は、ハウスの天井面、空間部に空調機器のエアーカーテン生成用の機材を配備し、機材の近傍に、必要時にエアーカーテンを生成し、エアーカーテンの下側のハウス内の冷暖房を図る構成としたハウスの空調装置である。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1の目的を達成すること、この目的を達成するのに最適な調合装置の設置場所を提供することを意図する。
【0013】
請求項2は、請求項1に記載のハウスの空調装置において、その天井面、空間部を、ハウスの天井の梁の近傍又は梁のラインとする構成としたハウスの空調装置である。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1の目的を達成すること、この目的を達成するのに最適な調合装置の配置構造を提供することを意図する。
【0015】
請求項3は、請求項1に記載のハウスの空調装置において、その空調機器を、天井面、空間部の水平方向に縦列配置する構成としたハウスの空調装置である。
【0016】
請求項4の発明は、請求項1の目的を達成すること、この目的を達成するのに最適な調合装置の空調手段を提供することを意図する。
【0017】
請求項4は、請求項1に記載のハウスの空調装置において、その空調機器を、撹拌扇、循環扇、換気扇等の空調手段とする構成としたハウスの空調装置である。
【0018】
請求項5〜8の発明は、請求項1の目的を達成すること、この目的を達成するのに最適な調合装置の付帯設備を提供することを意図する。
【0019】
請求項5は、請求項1に記載のハウスの空調装置において、その空調機器が、ハウスの水平方向にエアーを送出す手段及び/又は天井面に向かってエアーを上昇可能とする手段を設ける構成としたハウスの空調装置である。
【0020】
請求項6は、請求項5に記載のハウスの空調装置において、そのハウスの水平方向にエアーを送出す手段が、邪魔板であって、
この邪魔板がこの空調機器のケーシングより僅かに突出する構成としたハウスの空調装置である。
【0021】
請求項7は、請求項6に記載のハウスの空調装置において、その邪魔板は、その水平方向で、可変とし、空調機器から送出されるエアーの送出し方向を変更可能とする構成としたハウスの空調装置である。
【0022】
請求項8は、請求項6に記載のハウスの空調装置において、その邪魔板を、遠隔操作で制御可能とする構成としたハウスの空調装置である。
【0023】
請求項9の発明は、請求項1の目的を達成すること、この目的を達成するのに最適で、作物の光合成に好影響を与え得る邪魔板を提供することを意図する。
【0024】
請求項9は、請求項6に記載のハウスの空調装置において、その邪魔板を、透明のビニール部材と枠体でなる構成としたハウスの空調装置である。
【発明の効果】
【0025】
請求項1の発明は、ハウスの天井面、空間部に空調機器のエアーカーテン生成用の機材を配備し、この機材の近傍に、必要時にエアーカーテンを生成し、このエアーカーテンの下側のハウス内の冷暖房を図る構成としたハウスの空調装置である。
【0026】
従って、請求項1は、下記のような特徴を有する。
【0027】
[1] 先ず、ハウスの長手方向及び/又は短手方向の梁の近傍又は梁のラインに空調機器を設置し、この部位にエアーカーテンを形成し、暖冷房の効率化及び/又は省エネルギー化が図れる。また地球環境の維持が図れる。
【0028】
[2] そして、夏季では、効率的な換気と、天井部の熱気を遮断するようにし、作物の高温障害の回避、酸欠防止、病気の発生・蔓延防止等が図れる(作物の生育環境の向上が図れる)。
【0029】
[3] また空調機器の多様な送風を図ることで、ハウス内の空調と、作物の生育環境の確保が図れる。また作物の生育を図り、収穫の拡充と、品質の向上が図れる。
【0030】
[4] さらに冬季では、暖房面積の縮小化を達成し、暖房費の節約と、資源の有効利用と、環境保護が図れる。
【0031】
[5] 特別な装置及び/又は作業を行わず、所期の目的を達成できる。
【0032】
請求項2の発明は、請求項1に記載のハウスの空調装置において、天井面、空間部を、ハウスの天井の梁の近傍又は梁のラインとする構成としたハウスの空調装置である。
【0033】
従って、請求項2は、請求項1の目的を達成できること、この目的を達成するのに最適な調合装置の設置場所を提供できること等の特徴を有する。
【0034】
請求項3の発明は、請求項1に記載のハウスの空調装置において、空調機器を、天井面、空間部の水平方向に縦列配置する構成としたハウスの空調装置である。
【0035】
従って、請求項3は、請求項1の目的を達成できること、この目的を達成するのに最適な調合装置の配置構造を提供できること等の特徴を有する。
【0036】
請求項4の発明は、請求項1に記載のハウスの空調装置において、空調機器を、撹拌扇、循環扇、換気扇等の空調手段とする構成としたハウスの空調装置である。
【0037】
従って、請求項4は、請求項1の目的を達成できること、この目的を達成するのに最適な調合装置の空調手段を提供できること等の特徴を有する。
【0038】
請求項5の発明は、請求項1に記載のハウスの空調装置において、空調機器が、ハウスの水平方向にエアーを送出す手段及び/又は天井面に向かってエアーを上昇可能とする手段を設ける構成としたハウスの空調装置である。
【0039】
請求項6の発明は、請求項5に記載のハウスの空調装置において、ハウスの水平方向にエアーを送出す手段が、邪魔板であって、
邪魔板がこの空調機器のケーシングより僅かに突出する構成としたハウスの空調装置である。
【0040】
請求項7の発明は、請求項6に記載のハウスの空調装置において、邪魔板は、水平方向で、可変とし、空調機器から送出されるエアーの送出し方向を変更可能とする構成としたハウスの空調装置である。
【0041】
請求項8の発明は、請求項6に記載のハウスの空調装置において、邪魔板を、遠隔操作で制御可能とする構成としたハウスの空調装置である。
【0042】
従って、請求項5〜8は、請求項1の目的を達成できること、この目的を達成するのに最適な調合装置の付帯設備を提供できること等の特徴を有する。
【0043】
請求項9の発明は、請求項6に記載のハウスの空調装置において、邪魔板を、透明のビニール部材と枠体でなる構成としたハウスの空調装置である。
【0044】
従って、請求項9は、請求項1の目的を達成できること、この目的を達成するのに最適で、作物の光合成に好影響を与え得る邪魔板を提供できること等の特徴を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
本発明の一例を説明する。
【0046】
図1はハウスの正面模式図、図2は図1の側面模式図、図3は図1の邪魔板の他の一例を示した拡大正面図、図4は図1の邪魔板のさらに他の一例を示した拡大正面図、図5は図1の邪魔板の別の一例を示した拡大正面図を示す。
【0047】
図において、ハウス1(温室等の建屋含む)を正面視した状態で、ハウス1の短手方向(妻側)の梁2の近傍(図示の例である)又は梁2のラインに複数の撹拌扇、循環扇、換気扇等の空調機器4を設置する。図示しないが、ハウス1の長手方向(棟側)の梁2等に設けることもあり得る。そして、この空調機器4を、短手及び/又は長手方向の梁2の近傍又は梁2のラインに、隙間3を介して一基又は複数基設置し、この部位に確実にエアーカーテン8を生成すること、またハウス1に内張り1aすることと合わせて(二重内張り構造)、後述する冷暖房と、空調とを図る構成である。そして、この空調機器4の下方4aに、適宜の空間5を持って邪魔板6を設ける。この邪魔板6を設ける理由は、羽根車4bからの送風を、下向きAから略水平方向A1に送り、この梁2の近傍又は梁2のラインに略水平方向のエアーカーテン8を生成することである。そして、このエアーカーテン8を介してハウス1内の空間100、101に区画し、空間100の暖房(冷房)のエリアを狭くする構成であり、例えば、暖房(冷房)効率を図る。また作物の生育環境の確保を図る。さらに地球環境の維持を図る。また二重内張りに対して、エアーカーテン8による内張り構造も、ハウス1の条件、作物の種類と生育状況と、また気象条件等により可能の場合もあり得る。そして、この一例において、面積比で考察すると、略2:1となっているが構成を開示する。そして、この比率では、低木(幹)等の例では可能であり、最も効率的な冷暖房と、空調が図れるものと考えられるが、あくまで一例である。
【0048】
尚、図3の如く、邪魔板6を可変として(凸形状)、送風の方向を多様化し、送風を確実に空調機器4にリターンする構造、又はエアーカーテン8の積層を拡充するか、方向性に変化を持たせる等の方法で、効率的な送風と、作物の保護と、空調の効率化等を図ることも可能である。また図4の如く、可変し(凹形状)、送風をさらに上向きにすることも可能であり、送風の上昇方向への移動に有効である。そして、図示しないが、この図3、図4の可変は、遠隔操作での調整を介して使用の簡便性、安全性の向上、又は送風の容易な変更等を図ることが有益である。そして、この例の如く、邪魔板6を介して送風を上向きにした場合には、この風は隙間3より空気機器4に吸込まれる。従って、図示の如く、旋回流が生成される。図中600は邪魔板6を支持する支持体を示す。尚、図5の邪魔板6の別の一例を示した拡大正面図であって、透明又は半透明(透明とする)のビニール部材であって、光りの透過を許す構成とし、作物の光合成(熟成、病気の回避等を含む)に役立つ。また暖房効果も可能であること、夏季等の高温時において遮蔽部材で覆うこともあり得る。この邪魔板6は枠体601及び/又は支持具等で支持することもあり得る。
【0049】
そして、各例において、空調機器4を介して室内空気を撹拌することで、例えば、天井面に暖気層を形成し空調と、暖房効果を図ることも可能である。
【0050】
また図中10は仕切り板を示しており、邪魔板6からの上方への送風空気の衝突を回避するために必要により設けることもあり得る。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1はハウスの正面模式図
【図2】図2は図1の側面模式図
【図3】図3は図1の邪魔板の他の一例を示した拡大正面図
【図4】図4は図1の邪魔板のさらに他の一例を示した拡大正面図
【図5】図5は図1の邪魔板の別の一例を示した拡大正面図
【符号の説明】
【0052】
1 ハウス
1a 内張り
100 空間
101 空間
2 梁
3 隙間
4 空調機器
4a 下方
4b 羽根車
5 空間
6 邪魔板
600 支持体
601 枠体
8 エアーカーテン
10 仕切り板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウスの天井面、空間部に空調機器のエアーカーテン生成用の機材を配備し、この機材の近傍に、必要時にエアーカーテンを生成し、このエアーカーテンの下側のハウス内の冷暖房を図る構成としたハウスの空調装置。
【請求項2】
請求項1に記載のハウスの空調装置において、その天井面、空間部を、ハウスの天井の梁の近傍又は梁のラインとする構成としたハウスの空調装置。
【請求項3】
請求項1に記載のハウスの空調装置において、その空調機器を、天井面、空間部の水平方向に縦列配置する構成としたハウスの空調装置。
【請求項4】
請求項1に記載のハウスの空調装置において、その空調機器を、撹拌扇、循環扇、換気扇等の空調手段とする構成としたハウスの空調装置。
【請求項5】
請求項1に記載のハウスの空調装置において、その空調機器が、ハウスの水平方向にエアーを送出す手段及び/又は天井面に向かってエアーを上昇可能とする手段を設ける構成としたハウスの空調装置。
【請求項6】
請求項5に記載のハウスの空調装置において、そのハウスの水平方向にエアーを送出す手段が、邪魔板であって、
この邪魔板がこの空調機器のケーシングより僅かに突出する構成としたハウスの空調装置。
【請求項7】
請求項6に記載のハウスの空調装置において、その邪魔板は、その水平方向で、可変とし、空調機器から送出されるエアーの送出し方向を変更可能とする構成としたハウスの空調装置。
【請求項8】
請求項6に記載のハウスの空調装置において、その邪魔板を、遠隔操作で制御可能とする構成としたハウスの空調装置。
【請求項9】
請求項6に記載のハウスの空調装置において、その邪魔板を、透明のビニール部材と枠体でなる構成としたハウスの空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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