説明

ハースライナ、電子ビーム加熱源及び電子ビーム蒸着装置

【課題】耐久性に優れ、高い成膜レートが実現可能なハースライナと、それを用いた電子ビーム加熱源、電子ビーム蒸着装置を提供する。
【解決手段】電子ビーム加熱源10は、ハース3と、ハースライナ4と、電子銃5とを有する。ハースライナ4は、ハース3の凹部31に装着され、被加熱材料Mを収容することが可能であり、窒化ケイ素系セラミックスで形成される。電子銃5は、ハースライナ4に収容された被加熱材料Mに照射され、被加熱材料Mを加熱するための電子ビームBを発生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ビーム加熱源のハースに装着されるハースライナと、それを用いた電子ビーム加熱源、電子ビーム蒸着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子ビーム蒸着装置等の蒸発源に用いられるハースライナが知られている。ハースライナは、蒸着材料を収容することが可能な容器であり、ハースの凹部に密接して装着される。
【0003】
ハースライナを形成する材料としては、一般的には、高融点の導電体が用いられる。すなわち、蒸着の際の加熱に対する耐性を備えているとともに、蒸着材料からハースへの電子の流れを発生させ、電子ビーム照射時における蒸着材料の帯電を抑制できるような材料である。このような材料として、例えば、二ホウ化チタン(TiB)と窒化ホウ素(BN)の混合物等の材料で形成されたハースライナが知られている(特許文献1の特に段落[0050]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−338983号公報(段落[0050])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の材料は、高価であり、かつ耐久性が低くて割れやすいという問題があった。
【0006】
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、耐久性に優れたハースライナと、それを用いた電子ビーム加熱源、電子ビーム蒸着装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係るハースライナは、電子ビーム加熱源のハースに装着されるハースライナであって、被加熱材料を収容することが可能であり、窒化ケイ素系セラミックスで形成される。
【0008】
本発明の一形態に係る電子ビーム加熱源は、ハースと、ハースライナと、電子銃とを具備する。
上記ハースは、凹部を有する。
上記ハースライナは、上記凹部に装着され、被加熱材料を収容することが可能であり、窒化ケイ素系セラミックスで形成される。
上記電子銃は、上記ハースライナに収容された上記被加熱材料に照射され、上記被加熱材料を加熱するための電子ビームを発生させる。
【0009】
本発明の一形態に係る電子ビーム蒸着装置は、蒸発源と、チャンバとを具備する。
上記蒸発源は、ハースと、ハースライナと、電子銃とを有する。
上記ハースは、凹部を有する。
上記ハースライナは、蒸着材料を収容することが可能であり、上記凹部に装着され窒化ケイ素系セラミックスで形成される。
上記電子銃は、上記蒸着材料に照射され、上記蒸着材料を加熱するための電子ビームを発生させる。
上記チャンバは、上記蒸発源を収容する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る電子ビーム蒸着装置を示す概略構成図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るハースライナの構成を示す概略断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る電子ビーム加熱源を用いてアルミニウム(Al)を加熱した様子を示す写真である。
【図4】本発明の一実施形態に係る実施例及び比較例について、成膜レートが15Å/sとなるように制御しつつAlの蒸着を行った場合に、Al蒸着中の実際の成膜レートを示したグラフであり、横軸は蒸着開始からの時間、縦軸は実際の成膜レートを示している。
【図5】本発明の一実施形態に係る実施例及び比較例について、成膜レートが15Å/sとなるように制御しつつAlの蒸着を行った場合に、電子銃が消費する電力の値を示したグラフであり、横軸は蒸着開始からの時間、縦軸は電力を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態に係るハースライナは、電子ビーム加熱源のハースに装着されるハースライナであって、被加熱材料を収容することが可能であり、窒化ケイ素系セラミックスで形成される。
【0012】
このようなハースライナは、高温下でも耐久性が高い窒化ケイ素(Si)系セラミックスによって形成されている。このことから、電子ビームによる加熱で高温となった被加熱材料を収容し、長時間連続的に使用した場合であっても、破損が少なく安定的に使用することができる。また、窒化ケイ素系セラミックスは、蒸着材料として広く用いられ比較的活性な金属であるAl等とも反応性が低く、蒸着材料への汚染も抑制することができる。さらに、窒化ケイ素系セラミックスは熱伝導率が比較的低いため、被加熱材料の温度を保持することができ、消費電力も抑制することができる。
【0013】
上記窒化ケイ素(Si)系セラミックスとして、例えばサイアロンを用いることができる。
サイアロンは、窒化ケイ素(Si)系セラミックスのうち、Siにアルミナ(Al)等を加えて形成されたセラミックス材料である。サイアロンは、Siと比較しても耐熱性や機械的強度が高い。さらに、Siよりも低廉である。このことから、上述の作用効果に加えて、より安定的かつ低コストに使用することが可能である。
【0014】
本発明の一実施形態に係る電子ビーム加熱源は、ハースと、ハースライナと、電子銃とを具備する。
上記ハースは、凹部を有する。
上記ハースライナは、上記凹部に装着され、被加熱材料を収容することが可能であり、窒化ケイ素系セラミックスで形成される。
上記電子銃は、上記ハースライナに収容された上記被加熱材料に照射され、上記被加熱材料を加熱するための電子ビームを発生させる。
【0015】
本発明の一実施形態に係る電子ビーム蒸着装置は、蒸発源と、チャンバとを具備する。
上記蒸発源は、ハースと、ハースライナと、電子銃とを有する。
上記ハースは、凹部を有する。
上記ハースライナは、蒸着材料を収容することが可能であり、上記凹部に装着され窒化ケイ素系セラミックスで形成される。
上記電子銃は、上記蒸着材料に照射され、上記蒸着材料を加熱するための電子ビームを発生させる。
上記チャンバは、上記蒸発源を収容する。
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る電子ビーム蒸着装置を示す概略構成図である。図2は、本発明の一実施形態に係るハースライナの構成を示す概略断面図である。本実施形態の電子ビーム蒸着装置1は、チャンバ2と、蒸発源(電子ビーム加熱源)10とを有する。チャンバ2は、内部に蒸発源10を収容し、基板Wが配置される。蒸発源10は、基板W上に蒸着材料(被加熱材料)Mを蒸着させる。
【0018】
チャンバ2は、典型的には真空チャンバであり、本実施形態では真空排気機構9によって内部の真空度が調整可能に構成されている。チャンバ2の内部に収容された蒸発源10は、本実施形態において、チャンバ2の下方に設置されている。基板Wは、蒸発源10と対向するよう、チャンバ2の上部に配置される。図1に示した蒸着装置は、蒸発源の上方に基板Wを通過させつつその基板Wの表面に薄膜を形成する、いわゆる通過成膜方式の蒸着装置である。そのため、チャンバ2の上方には基板搬送機構8が設けられている。基板搬送機構8として、基板Wを支持するキャリア81と、そのキャリア81が内部を移動する通路82とを備えている。なお、蒸発源の直上で基板を静止させて成膜する、いわゆる固定成膜方式でもよい。
【0019】
蒸発源10は、ハース3と、ハースライナ4と、電子銃5と、偏向コイル6とを有する。ハース3は、凹部31を有し、凹部31には、ハースライナ4が密接して装着される。ハースライナ4の内部には、蒸着材料Mが充填される。本実施形態において、蒸着材料Mは、アルミニウム(Al)である。蒸着材料Mは、電子銃5から照射された電子ビームBによって、加熱され、融解し、蒸着される。
【0020】
電子銃5は、例えば隔壁7を介してハース3の側方に配置される。電子銃5は、本実施形態において、トランスバース式の電子銃で構成される。電子銃5は、カソード51とアノード52と、これらの間の電子ビーム発生空間53から構成される。電子銃5から照射された電子ビームBは、偏向コイル6によって軌道を曲げられ、ハースライナ4内部の蒸着材料Mに上方から照射される。
【0021】
なお、電子銃5の配置は上記に限られず、ハース3の下方に配置することも可能である。また、偏向コイル6の配置についても、電子ビームBの軌道を、電子銃5から蒸着材料Mに照射されるように調節できれば特に限られず、複数配置することも可能である。
【0022】
ハース3は、例えば略円錐台形状に形成され、上面32の中央に凹部31が形成されている。凹部31は、略円形の底面を有し、側面は開口から底面に向かってテーバ状の曲面で構成されている。また、ハース3の上面32は、周縁から凹部31の開口に向かうテーパ面で構成することもできる。凹部31は、本実施形態において、ハースライナ4を介して蒸着材料Mが充填される。
【0023】
ハース3を構成する材料は、例えば銅(Cu)が採用され、図2に示すように接地されている。さらに、ハース3は、図示しない冷却機構を有している。冷却機構は、電子ビームBの熱によるハース3の破損を抑制するために設けられる。また、ハースライナ4が何らかの理由によって破損した際に、ハース3自体が電子ビームBによって加熱され、融解して蒸着材料Mを汚染すること等を防ぐためにも有効である。冷却機構は、典型的には、冷却水を循環させることでハース3を冷却する熱交換器が採用されるが、これに限られない。
【0024】
ハースライナ4は、内部に蒸着材料Mを充填することが可能な、開口を有する容器である。本実施形態において、ハースライナ4は、ハース3の凹部31に密接して装着することが可能に構成されている。すなわち、凹部31と同様に、略円形の底部と、開口から底面に向かってテーパ状の曲面で構成されている。本実施形態において、ハース3の凹部31の開口と、凹部3に装着した状態のハースライナ4の開口とは、ほぼ同じ高さになるよう構成されている。また、ハースライナ4の底部の径は約40mmであり、開口の径は約50mmであり、容積は約20mmである。また、厚みは約3mmである。
【0025】
なお、ハースライナ4の形状は、凹部31に装着可能であれば上記に限らない。例えば、凹部31に密接せずとも、熱変形、公差等を考慮して若干の隙間があってもよい。さらに、ハースライナ4の開口の高さに関しても、凹部31の開口より若干高くても、低くても使用することができる。
【0026】
ハースライナ4は、窒化ケイ素(Si)系セラミックスで形成されている。窒化ケイ素系セラミックスは、高温化でも高い耐久性を有する絶縁性材料である。また、比較的活性の高い金属であるAlとの反応性も低いという特性を有する。本実施形態のハースライナ4は、窒化ケイ素系セラミックスの一種であるサイアロンで形成されている。サイアロンは、Siにアルミナ(Al)等を加えて形成される。サイアロンは、上述の窒化ケイ素系セラミックスの特性に加えて、Siと比較しても高い耐熱性、硬度、耐磨耗性を有する。さらに、Siよりも低コストで形成することが可能である。
【0027】
ここで、電子ビーム加熱用に用いられるハースライナは、一般的には導電性材料で形成されていた。これは、蒸着材料に電子ビームを照射することによって、チャージアップ現象等が起こらないようにするためである。チャージアップ現象とは、電子ビームの照射によって蒸着材料が帯電し、電子ビームが蒸着材料へ照射されにくくなる現象である。このことによって、電子ビームによる加熱が進まず、蒸着材料が融解しないという問題が生じる。このため、従来は、導電体のハースライナを用い、導電体のハースを接地し、蒸着材料からハースライナを介してハースへと至る電子の流れを発生させ、この現象を防いでいた。
【0028】
一方、本実施形態において、上述のようにハース3は導電体のCuで形成され、接地されているが、ハースライナ4は、絶縁性材料であるサイアロンで形成されている。しかしながら、チャージアップ現象等は起こらず、電子ビーム照射によるAlの加熱を問題なく行うことができる。
【0029】
図3は、本実施形態に係るハース3とハースライナ4を用いて、電子ビーム照射によってAlを加熱した様子を示す写真である。図3から、Alが加熱され、融解している様子が示される。このことから、本実施形態に係るハースライナ4についても、電子ビーム照射による加熱及び融解が可能であることが示された。
【0030】
絶縁性のサイアロンで形成されたハースライナ4を用いても電子ビーム蒸着が可能であることについては、いくつかの理由が考えられる。例えば、蒸着材料Mから、ハースライナ4の開口を介して、ハース3の上面32へ電子が流れたことが考えられる。また、ハースライナ4に、破損等しない程度の電子が流れる微小な通路が形成され、それを介して電子がハース3へ流れることも考えられる。
【0031】
また、サイアロンは高い耐熱性、硬度を有するため、連続した使用に関しても十分耐えることができる。例えば、発明者らは、本実施形態に係るハースライナ4について、所定のAl蒸着を数十回連続して行った際にも、破損等がないことを見出している。また、蒸着材料の交換等に伴うハース3やハースライナ4の清掃時にも、ハースライナ4の割れや欠けが低減でき、取り扱い性を高めることができる。
【0032】
さらに、サイアロンを含む窒化ケイ素系セラミックスは熱伝導性が低いことから、蒸着の際に、ハース3が冷却されることによって蒸着材料が冷却されることを抑制できる。このことによって、蒸着材料の温度を保持しやすくなり、成膜レートも安定して維持することが可能となる。また、低い電力でも効率的に蒸着材料の加熱が可能となる。
【0033】
図4及び図5は、本実施形態に係る実施例及び比較例について、成膜レートが15Å/sとなるよう制御しつつAlの蒸着を行った場合の実験結果を示すグラフである。実施例は、ハースライナ4をハース3に装着し、ハースライナ4にAlを充填して蒸着を行った。一方、比較例は、ハースライナを用いずに、本実施形態と同じ銅製のハースの凹部に直接Alを充填して蒸着を行った。
【0034】
図4は、実施例及び比較例について、Al蒸着中の実際の成膜レートを示したグラフであり、横軸は蒸着開始からの時間、縦軸は実際の成膜レートを示している。比較例では、時間T1で15Å/sの成膜レートに到達し、時間T2までこの成膜レートを維持するよう制御されている。実施例では、時間T3で15Å/sの成膜レートに到達し、時間T4までこの成膜レートを維持するよう制御されている。図4から、実施例では、T3〜T4間で約15Å/sの比較的安定した成膜レートを維持しているのに対し、比較例では、T1〜T2間において約11〜22Å/sの範囲で成膜レートが大きく変動している。このことから、実施例は、比較例よりもより安定した成膜レートを維持できることが示された。なお、T1〜T2、T3〜T4間の時間は、ほぼ等しくなるよう、制御されている。
【0035】
図5は、図4で示すように成膜レートを制御した際の、電子銃が消費する電力の値を示したグラフであり、横軸は蒸着開始からの時間、縦軸は電力を示している。図5から、実施例では、成膜レートが15Å/sに制御されているT3〜T4間で、約1000Wを維持しているが、比較例では、T1〜T2間において約5000〜5500Wの範囲で変動している。すなわち、同じ成膜レートとなるよう制御した際に、サイアロン製のハースライナを用いた実施例では、ハースライナを用いなかった比較例の約5分の1程度の電力で蒸着が可能であることが示された。
【0036】
この理由として、サイアロンの熱伝導率が低いことが考えられる。ハースは、冷却装置によって蒸着中に冷却されている。そのため、本実施形態に係るハースライナを用いない場合は、ハースに蒸着材料が直接充填されることから、冷却されたハースによって温度が下がりやすい。この蒸着材料の温度を保持するために、大きな電力を投入して蒸着材料を加熱する必要が生じる。さらに、蒸着材料の温度が不安定なため、成膜レートも不安定になりやすい。一方、本実施形態に係るハースライナを用いた場合は、サイアロンの熱伝導率が低いため、ハースによって蒸着材料が冷却されにくく、蒸着材料の温度を保持しやすくなる。その結果、低電力で効率の良い蒸着が可能となり、安定した成膜レートを維持することができる。
【0037】
なお、図4において、実施例の方が比較例より目標成膜レートに遅れて到達しているが(T1<T3)、このことは図5で示した投入電力によって説明できる。すなわち、上述のように、比較例では蒸着材料の冷却を抑制するため大きな電力を投入して蒸着材料を加熱する必要があるが、実施例ではその必要がなく、初期に投入する電力が少なくて済む。このことから、実施例では蒸発材料の温度が緩やかに上昇し、目標成膜レートへの到達が比較例よりも遅くなった。しかしながら、実施例においても、初期投入電力を制御することによって、目標成膜レートへの到達を制御することが可能である。
【0038】
以上の結果から、本実施形態に係るハースライナ及びそれを用いた電子ビーム加熱源、電子ビーム蒸着装置について、高い省エネ効果が実証された。また、上述のように、耐久性が高く、取り回し性にも優れている。
【0039】
さらに、高い成膜レートでの蒸着も期待できる。成膜レートを高めるためには、高い電力で電子ビームを照射し、蒸着材料の温度を高めることが必要である。このため、高温環境下において耐久性が低い材料では成膜レートに限界があり、効率のよい蒸着ができなかった。しかしながら、本実施形態に係るハースライナは、高温環境下における耐久性が高いことから、成膜レートを高めることも可能である。そして、省エネ効果も高いことから、低電力で高レートの、生産性が高い蒸着が可能となる。
【0040】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0041】
以上の実施形態では、ハースライナを形成する材料がサイアロンであるとして説明したが、窒化ケイ素系セラミックスであれば特に限られない。例えば、Siでも可能である。また、蒸着材料としてAlを用いて説明したが、これに限られず、例えばNi等でも適用可能である。さらに、ハースを形成する材料もCuに限られない。
【0042】
ハースライナ及びハースの形状も特に限られない。例えば、ハースは円柱状でも、角柱状でも、角錐台状でも可能である。また、ハースライナの形状も、ハースに形成された凹部に装着でき、電子ビームの照射により充填された材料に対して所望の加熱効果が得られれば特に限られない。
【0043】
以上の実施形態では、電子ビームを発生させる電子銃としてトランスバース式の電子銃を用いると説明したが、これに限られず、例えばピアス式の電子銃を用いることも可能である。
【0044】
また、以上の実施形態では、電子ビーム蒸着装置がいわゆる通過成膜方式の蒸着装置であると説明したが、勿論これに限られない。蒸発源と基板との配置も、所望の蒸着が可能であれば特に限られない。
【0045】
以上の実施形態で説明した蒸発源(電子ビーム加熱源)は、電子ビーム蒸着に用いられることのみに限られない。例えば、電子ビーム加熱源としてAl等の融解を行うために用いることも可能である。
【符号の説明】
【0046】
1・・・電子ビーム蒸着装置
2・・・チャンバ
3・・・ハース
4・・・ハースライナ
5・・・電子銃
6・・・偏向コイル
10・・・蒸発源(電子ビーム加熱源)
M・・・蒸着材料(被加熱材料)
W・・・基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子ビーム加熱源のハースに装着されるハースライナであって、
被加熱材料を収容することが可能であり、窒化ケイ素系セラミックスで形成される
ハースライナ。
【請求項2】
請求項1に記載のハースライナであって、
前記窒化ケイ素系セラミックは、サイアロンである
ハースライナ。
【請求項3】
凹部を有するハースと、
前記凹部に装着され、被加熱材料を収容することが可能であり、窒化ケイ素系セラミックスで形成されるハースライナと、
前記ハースライナに収容された前記被加熱材料に照射され、前記被加熱材料を加熱するための電子ビームを発生させる電子銃と
を具備する電子ビーム加熱源。
【請求項4】
凹部を有するハースと、蒸着材料を収容することが可能であり、前記凹部に装着され窒化ケイ素系セラミックスで形成されたハースライナと、前記蒸着材料に照射され、前記蒸着材料を加熱するための電子ビームを発生させる電子銃とを有する蒸発源と、
前記蒸発源を収容するチャンバと
を具備する電子ビーム蒸着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−36061(P2013−36061A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170850(P2011−170850)
【出願日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(598006336)アルバックテクノ株式会社 (10)
【Fターム(参考)】