説明

バックライト付き液晶表示装置

【課題】バックライトのLEDの輝度の経年変化を自動補正する。
【解決手段】平面的に配置された複数のLED群A1と、各LED群A1の輝度を検出する光センサS1と、各LED群A1に電流を供給する電流供給部11と、供給される電流を調整する電流調整部12と、調整された電流値を記憶する記憶部と、パネルコントローラ16を制御すると共に光センサS1の出力をうけて前記電流供給部11と電流調整部12と記憶部とを制御する制御部15とを備え、制御部15は、液晶表示パネル3が全黒表示した状態で、電流供給部11から各LED群A1に電流を供給し、電流調整部12によって個々のLED群A1の輝度が所定値になるように供給電流を調整し、その調整値を記憶部に記憶させる調光動作と、液晶表示パネル3が画像を表示した状態で前記記憶された調整値の電流を電流供給部11から全てのLED群A1に同時に供給する全点灯動作とを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、バックライト付き液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この発明に関連する背景技術としては、発光色の異なる複数の発光手段を発光させることにより白色光を出射するバックライト装置において、前記発光手段の発光色に対応する所定の分光感度特性に従って、複数の前記発光色の発光輝度を検出する複数の検知手段と、前記白色光の色度が所定の値となるように、前記複数の発光手段それぞれに供給する電流値を求める演算手段とを備え、前記演算手段は、前記分光感度特性に基づく前記発光手段の光の波長の変化による受光感度の変化量を1次式で近似して、前記検知手段の前記分光感動特性による受光感度の低下分を補正した電流値を求め、それによってホワイトバランスを調整するようにしたバックライト装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−251460号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バックライトに白色光LEDを用いた液晶表示装置においては、バックライトのホワイトバランスを調整する必要はないが、LEDそのものが経年変化により輝度の低下を生じる。
また、その低下量は個々のLEDにおいて異なるが、LEDの輝度は供給電流量を調整することにより補正できる。そこで、従来は、数年経過したタイミングでサービスマンが液晶表示装置を暗室に持ち込み、バックライトの各LEDの輝度の変化を目視で確認しながら、供給電流を手動で調整するようにしていた。
しかし、このような調整作業は、暗室を必要とするばかりでなく、多くの時間と労力を要するという問題点がある。
【0005】
この発明はこのような事情を考慮してなされたもので、暗室を用いる代わりに、液晶表示パネルを全黒表示にし、その上で自動的に自己調光を行い、常にバックライトの輝度を一定に保持することが可能なバックライト付き液晶表示装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、液晶表示パネルと、液晶表示パネルを制御して画像を表示させるパネルコントローラと、液晶表示パネルの背面に設けられたバックライト装置とを備え、前記バックライト装置は、平面的に配置された複数のLED群と、各LED群の輝度を検出する光センサと、各LED群に電流を供給する電流供給部と、供給される電流を調整する電流調整部と、調整された電流値を記憶する記憶部と、前記液晶表示パネルとパネルコントローラを制御すると共に光センサの出力をうけて前記電流供給部と前記電流調整部と記憶部とを制御する制御部とを備え、制御部は、液晶表示パネルが全黒表示するようにパネルコントローラを制御した状態で、電流供給部から各LED群に電流を供給し、電流調整部によって個々のLED群の輝度が所定値になるように供給電流を調整し、その調整値を記憶部に記憶させる調光動作と、液晶表示パネルが画像を表示するようにパネルコントローラを制御した状態で前記記憶された調整値の電流を電流供給部から全てのLED群に同時に供給する全点灯動作とを行うことを特徴とするバックライト付き液晶表示装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、液晶表示パネルに全黒表示させた状態で、電流供給部から各LED群に電流を供給し、電流調整部によって各LED群の輝度が所定値になるように供給電流を調整し、その調整値を記憶部に記憶させる調光動作が制御部により自動的に行われるので、LEDが経年変化により輝度の低下が生じても、その輝度が自動的に補正される。従って、従来のように暗室内で手動にて調光する必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明のバックライト装置の側面断面図である。
【図2】図1のA−A矢視図である。
【図3】図2のB部拡大図である。
【図4】この発明に係る液晶表示装置の制御回路のブロック図である。
【図5】図4の要部説明図である。
【図6】この発明に係る液晶表示装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
この発明のバックライト装置は、液晶表示パネルと、液晶表示パネルを制御して画像を表示させるパネルコントローラと、液晶表示パネルの背面に設けられたバックライト装置とを備え、前記バックライト装置は、平面的に配置された複数のLED群と、各LED群の輝度を検出する光センサと、各LED群に電流を供給する電流供給部と、供給される電流を調整する電流調整部と、調整された電流値を記憶する記憶部と、前記液晶表示パネルとパネルコントローラを制御すると共に光センサの出力をうけて前記電流供給部と前記電流調整部と記憶部とを制御する制御部とを備え、制御部は、液晶表示パネルが全黒表示するようにパネルコントローラを制御した状態で、電流供給部から各LED群に電流を供給し、電流調整部によって個々のLED群の輝度が所定値になるように供給電流を調整し、その調整値を記憶部に記憶させる調光動作と、液晶表示パネルが画像を表示するようにパネルコントローラを制御した状態で前記記憶された調整値の電流を電流供給部から全てのLED群に同時に供給する全点灯動作とを行うことを特徴とする。
【0010】
各LED群は、例えば複数の白色発光ダイオードから構成される。
【0011】
この発明は、液晶表示パネルへの電力の供給又は停止を制御部に指示する電源操作部をさらに備え、制御部は電源操作部から電力供給停止の指示を受けたときに前記調光動作を行い、その後、液晶表示パネルへの電力の供給停止を行ってもよい。
【0012】
この発明は、制御部は電源操作部から電力供給停止指示を受けるごとに全LED群の中から所望数のLED群について順次調光動作を行ってもよい。
【0013】
この発明は、制御部は電源操作部から電力供給の指示を受けたときに、前記全点灯動作を行うと共に液晶表示パネルへの電力の供給を行ってもよい。
【0014】
以下、図面に示す実施形態を用いてこの発明を詳述する。
図1は、この発明に係る液晶表示装置の側面断面図である。同図に示すように、液晶表示装置1は、ハウジング2の内部にLCD(液晶表示)パネル3と、バックライト装置4と、光拡散板5とを備える。つまり、LCDパネル3の背面にバックライト装置4が設置され、LCDパネル3とバックライト装置4との間に光拡散板5が設置されている。
【0015】
図2は図1のA−A矢視図である。
同図に示すようにバックライト装置4は、平面的に配置された60個のLED群(以下、エリアという)A1〜A60を備える。エリアA1〜A60は、6行×10列に配列されている。
【0016】
図3は図2のB部拡大図であり、1つのエリアの詳細を示している。同図に示すようにエリアA1〜A60の各々は、4行×3列に配列された12個の白色発光ダイオードD1〜D12を備える。
【0017】
また、エリアA1〜A60は、光センサS1〜S60を各エリアの中央に1個ずつ備え、光センサS1〜S60は、エリアA1〜A60の発光輝度をそれぞれ検出するようになっている。
【0018】
図4は、この発明に係る液晶表示装置の制御回路のブロック図である。
同図に示すように、バックライト装置4(図2)のエリアA1〜A60の各々において、白色発光ダイオードD1〜D12は直列回路を形成する。
【0019】
各直列回路には電流供給部11と、スイッチング素子Q1〜Q60が接続される。そして、電流供給部11からエリアA1〜A60に供給される発光電流が電流調整部12によりスイッチング素子Q1〜Q60を介して2.4kHzでPWM制御されるようになっている。なお、電流調整部12には、例えばiWatt社製のiW7032S型のような駆動ICを用いることができる。
【0020】
制御部15はCPUを内蔵すると共にRAM13およびROM14に接続され、ROM14は不揮発性で書き換え可能なFLASH-ROMである。制御部15は、光センサS1〜S60および電源操作部17からの出力をうけて、電流供給部11、電流調整部12、LCDパネルコントローラ16、RAM13、ROM14を制御するようになっている。
【0021】
図5は、エリアA1からA60に対する電流設定値のテーブルを示し、このテーブルはROM14に格納されている。なお、このテーブルには、エリアA1〜A60に対応して予め所定電流値(例えば100mA)が初期設定されている。
電源操作部17の操作により制御部15へ「電源ON」が指示されると、制御部15はLCDパネルコントローラ16を制御してLCDパネル3に画像を表示させる。
【0022】
それと同時に、電流供給部11と電流調整部12を制御してエリアA1〜A60の白色発光ダイオードに図5に示す値の電流を供給させるバックライト装置4の点灯動作を行う。
【0023】
一方、電源操作部17の操作により制御部15へ「電源OFF」が指示されると、制御部15はLCDパネルコントローラ16を制御してLCDパネル3に全黒を表示させる。それによって、LCDパネル3の内部への外光の侵入が阻止される。その状態でエリアA1〜A60の中の1つのエリアのみの白色発光ダイオードD1〜D12を図5のテーブルに示す設定値の電流で点灯させる。
【0024】
その輝度を対応する光センサで検出しての所定の輝度範囲に納まるように電流調整部12に電流値を調整させ、調整された電流値で図5のテーブルの設定値を更新する。この動作を所定数(例えば、4つ)のエリアについて行い、バックライト装置4の部分的(4エリアの)調光動作を完了する。
【0025】
次に、制御部15はLCDパネルコントローラ16、電流供給部11およびその他の動作を停止させる。それによって液晶表示装置1は待機状態となる。
そして、上記部分的調光動作が液晶表示装置1の「電源OFF」操作毎に順次行われ、やがて全体の調光が完了する。
【0026】
図4に示す液晶表示装置1の制御回路の動作について図6に示すフローチャートを用いてさらに詳細に説明する。
まず、ステップS0において、調光の対象エリアAnの番号が1に設定される。つまり、エリアA1(図2参照)から調光動作が開始されるように設定される。次に、ステップS1では、電源操作部17において「電源OFF」操作が行われると、LCDパネル3は全黒表示を行い、バックライト装置4は一旦OFFとなり、全エリアが消灯する。そして、1回の調光動作における調光済みエリア数iが1に初期設定される(ステップS2)。なお、この実施形態では1回の調光動作において調光処理されるエリア数i=4に設定されている。つまり、1回「電源OFF」操作が行われる毎に4エリアずつ調光動作が行われるようになっている。
【0027】
図5のテーブルにおいてエリアA1〜A60の初期設定電流値I1〜I60は、この実施形態ではすべて100mAとしている。
エリアAnの設定電流値Inを図5のテーブルから読み出し(ステップS3)、電流調整部12は、エリアAnの白色発光ダイオードD1〜D12への供給電流を、読み出した電流値Inに調整してそれらを点灯させる(ステップS4)。
【0028】
その時の輝度Lnを光センサSnで取得し(ステップS5)、輝度Lnが設定範囲内、つまりLaとLbとの間にあるか否かを判定する(ステップS6)。
設定範囲にあれば、図5のテーブルの設定値Inを現在の電流値Inで更新することによりエリアAnの調光は完了し、エリアAnを消灯させる(ステップS7、S8)。
【0029】
ステップS9において、調光の完了したエリアの番号が60(最大番号)、つまりエリアA60に達したか否かが判定され(ステップS9)、達していない場合にはエリアの番号が1だけインクリメントされ(ステップS10)、達している場合には、初期値1に戻される(ステップS18)。
【0030】
そして、一度に調光するエリア数iが最大値、たとえば「4」に達しているか否かが判定され(ステップS11)、達しているときには、LCDパネル3の表示がOFFされてLCDパネル3は待機状態となる(ステップS19、S20)。
【0031】
次に、電源操作部17により、電源「ON」が操作されると(ステップS21)、表5からエリアA1〜A60に対応する設定電流値I1〜I60が読み出される(ステップS22)。そして、電流調整部12により電流値I1〜I60でエリアA1〜A60が点灯され(ステップS23)、ルーチンはステップS1へ戻る。
ステップS11で1回の調光動作における調光済みのエリア数iが最大値4に達していないときには、iが1だけインクリメントされ(ステップS12)、ルーチンはステップS3へ戻る。
【0032】
一方、ステップS6において、輝度Lnが設定範囲内になく、下限値Laより低い場合には(ステップS13)、エリアAnの設定電流値Inが2mAだけ増大される(ステップS14)。そして、増大された設定電流値が上限値に達したか否かが判定される(ステップS15)。
【0033】
上限値に達したときにはステップS17において図5のテーブルの設定電流値Inが上限値に更新され、ルーチンはステップS8へ進む。また、ステップS15において電流値が上限値に達していないときにはルーチンはステップS4へ戻り、2mAだけ増大した電流値で再び点灯される。
【0034】
また、ステップS13において、輝度Lnが下限値Laより高い場合には、エリアAの設定電流値Inが2mAだけ減じられ(ステップS16)、ルーチンはステップS4へ戻り、2mAだけ減少した電流値で再び点灯される。
【0035】
このようにして、電源のOFF操作が行われる毎に4つのエリアの調光が行われるので、15回の電源のOFF操作が行われると、4エリア/回×15回=60エリアとなり、全60エリアつまりエリアA1〜A60の調光が完了することになる。
従って、1日1回のOFF操作でも約2週間でバックライト装置4全体の調光が完了する。
【符号の説明】
【0036】
1 液晶表示装置
2 ハウジング
3 LCDパネル
4 バックライト装置
5 光拡散板
11 電流供給部
12 電流調整部
13 RAM
14 ROM
15 制御部
16 LCDパネルコントローラ
A1〜A60 エリア
D1〜D12 LED
S1〜S60 光センサ
Q1〜Q60 スイッチング素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶表示パネルと、液晶表示パネルを制御して画像を表示させるパネルコントローラと、液晶表示パネルの背面に設けられたバックライト装置とを備え、前記バックライト装置は、平面的に配置された複数のLED群と、各LED群の輝度を検出する光センサと、各LED群に電流を供給する電流供給部と、供給される電流を調整する電流調整部と、調整された電流値を記憶する記憶部と、前記パネルコントローラを制御すると共に光センサの出力をうけて前記電流供給部と前記電流調整部と記憶部とを制御する制御部とを備え、制御部は、液晶表示パネルが全黒表示するようにパネルコントローラを制御した状態で、電流供給部から各LED群に電流を供給し、電流調整部によって個々のLED群の輝度が所定値になるように供給電流を調整し、その調整値を記憶部に記憶させる調光動作と、液晶表示パネルが画像を表示するようにパネルコントローラを制御した状態で前記記憶された調整値の電流を電流供給部から全てのLED群に同時に供給する全点灯動作とを行うことを特徴とするバックライト付き液晶表示装置。
【請求項2】
各LED群が複数の白色発光ダイオードからなる請求項1記載のバックライト付き液晶表示装置。
【請求項3】
液晶表示パネルへの電力の供給又は停止を制御部に指示する電源操作部をさらに備え、制御部は電源操作部から電力供給停止の指示を受けたときに前記調光動作を行い、その後、液晶表示パネルへの電力の供給停止を行う請求項1記載のバックライト付き液晶表示装置。
【請求項4】
制御部は電源操作部から電力供給停止指示を受けるごとに全LED群の中から所望数のLED群について順次調光動作を行う請求項2記載のバックライト付き液晶表示装置。
【請求項5】
制御部は電源操作部から電力供給の指示を受けたときに、前記全点灯動作を行うと共に液晶表示パネルへの電力の供給を行う請求項3記載のバックライト付き液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−221745(P2012−221745A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−86452(P2011−86452)
【出願日】平成23年4月8日(2011.4.8)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】