説明

パケット網におけるTDM信号の伝送装置およびその伝送制御方法

【課題】未使用回線が存在する場合でもパケット転送の効率化およびパケット網の帯域有効利用を達成できる伝送装置および伝送制御方法を提供する。
【解決手段】時分割多重された複数回線を収容したパケットを伝送する装置であって、送信先の伝送装置(20)との間で使用されない回線に関する未使用回線情報を格納する未使用回線情報格納部(102)と、未使用回線情報を参照して受信したパケットから未使用回線を削除することで受信側伝送装置(20)へ送信する圧縮パケットを生成する未使用回線削除部(101)と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は疑似ワイヤエミュレーション(Pseudo Wire Emulation Edge to Edge;以下「PWE3」という。)技術に係り、特に時分割多重(TDM:Time Division Multiplexing)信号をイーサネット(Ethernet:登録商標、以下「イーサ」あるいは「Ether」と略記する。)やパケット交換網などの非同期網を通して伝送する装置およびその伝送制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
TDM回線をパケット網などの非同期網で回線エミュレーションする技術が種々提案されている(たとえば特許文献1など)。特に、非特許文献1には、ビットストリームの構造を無視してTDMビットストリーム(T1,E1,T3,E3)をカプセル化する疑似ワイヤ技術が記載されており、SAToP(Structure-Agnostic Time Division Multiplexing (TDM) over Packet:パケット上の構造不可知時分割多重)の仕様が勧告されている。SAToPでは、TDM回線の全てのタイムスロットTSがIPパケットのペイロードにマッピングされパケット網を通して転送される。以下、図1および図2を参照しながら、SAToPに関して簡単に説明する。
【0003】
図1(A)に示すように、TDM疑似ワイヤエミュレーション技術により、TDMパイプがパケット網に形成され、TDM回線が擬似的に接続される。SAToPによれば、図1(B)に示すように、TDM回線のフレーミングビット/バイトを含むT1/E1の全タイムスロットがIPパケットのペイロードにマッピングされる。たとえば、DS0を24チャンネル束ねたDS1/T1フレームがそのままペイロードに格納され、パケットヘッダを付加してパケット網へ送出される。なお、T1フレームは図2(A)に示すフォーマットを有し、E1フレームは図2(B)に示すフォーマットを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−135819号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Request for Comments: 4553 (Structure-Agnostic Time Division Multiplexing (TDM) over Packet (SAToP), June 2006)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、TDM回線において全てのタイムスロットが利用されているとは限らない。このために、未使用回線が存在すると、ペイロードに無意味なデータが格納されることとなり、パケット網におけるデータ転送効率の低下およびネットワーク帯域利用効率の低下を招来する。
【0007】
本発明の目的は、未使用回線が存在する場合でもパケット転送の効率化およびパケット網の帯域有効利用を達成できる伝送装置および伝送制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による伝送装置は、時分割多重された複数回線を収容したパケットを伝送する装置であって、送信先の伝送装置との間で使用されない回線に関する未使用回線情報を格納する未使用回線情報格納手段と、前記未使用回線情報を参照して、受信したパケットから未使用回線を削除することで前記送信先伝送装置へ送信する圧縮パケットを生成する未使用回線削除手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
本発明による伝送装置は、時分割多重された複数回線を収容したパケットを伝送する装置であって、送信元の伝送装置との間で使用されない回線に関する未使用回線情報を格納する未使用回線情報格納手段と、送信元の伝送装置から受信したパケットが前記未使用回線を削除されたパケットであれば、前記未使用回線情報を参照して当該受信パケットから削除された未使用回線のデータを復元することで規格に準拠したパケットを生成する未使用回線復元手段と、を有することを特徴とする。
【0010】
本発明による伝送制御方法は、時分割多重された複数回線を収容したパケットを伝送する伝送装置における伝送制御方法であって、送信先の伝送装置との間で使用されない回線に関する未使用回線情報を未使用回線情報格納手段に格納し、前記未使用回線情報を参照して、受信したパケットから未使用回線を削除することで前記送信先伝送装置へ送信する圧縮パケットを生成する、ことを特徴とする。
【0011】
本発明による伝送制御方法は、時分割多重された複数回線を収容したパケットを伝送する装置における伝送制御方法であって、送信元の伝送装置との間で使用されない回線に関する未使用回線情報を未使用回線情報格納手段に格納し、送信元の伝送装置から受信したパケットが前記未使用回線を削除されたパケットであれば、前記未使用回線情報を参照して当該受信パケットから削除された未使用回線のデータを復元することで規格に準拠したパケットを生成する、ことを特徴とする。
【0012】
本発明による伝送システムは、時分割多重された複数回線を収容したパケットを送信側伝送装置から受信側伝送装置へ伝送するシステムであって、前記送信側伝送装置が、前記受信側伝送装置との間で使用されない回線に関する送信側未使用回線情報を格納する送信側未使用回線情報格納手段と、前記送信側未使用回線情報を参照して、受信したパケットから未使用回線を削除することで前記受信側伝送装置へ送信する圧縮パケットを生成する未使用回線削除手段と、を有し、前記受信側伝送装置が、前記送信側伝送装置との間で使用されない回線に関する受信側未使用回線情報を格納する受信側未使用回線情報格納手段と、前記送信側伝送装置から受信したパケットが前記未使用回線を削除されたパケットであれば、前記受信側未使用回線情報を参照して当該受信パケットから削除された未使用回線のデータを復元することで規格に準拠したパケットを生成する未使用回線復元手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、未使用回線が存在する場合でもパケット転送の効率化およびパケット網の帯域有効利用を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(A)はTDM疑似ワイヤの概念を説明するための模式図、(B)はSAToPによるタイムスロットとパケットペイロードとの関係を示す模式図である。
【図2】(A)はT1フレームフォーマット図、(B)はE1フレームフォーマット図である。
【図3】本発明の一実施形態によるSAToP伝送システムの機能的構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施例によるTDM_over_Ether伝送装置の機能的構成を示すブロック図である。
【図5】(A)は送信側の未使用回線情報を一例を示す模式図であり、(B)は受信側の未使用回線情報の一例を示す模式図である。
【図6】図4に示す送信側の伝送装置によるEtherフレームの伝送制御動作を示すフローチャートである。
【図7】(A)は未使用回線情報を一例を示す模式図であり、(B)は圧縮フレームの生成および通常フレームの復元動作を説明するためのフレーム構成を示す模式図である。
【図8】図6に示す送信側伝送装置により生成されるEtherフレームとその制御ワードの構成を示す模式図である。
【図9】図4に示す受信側の伝送装置によるEtherフレームの伝送制御動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明の他の実施例による伝送装置の機能的構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
1.一実施形態
図3に示すように、本発明の一実施形態によるSAToP伝送システムは、TDM疑似ワイヤエミュレーション技術によりパケット網に形成されたTDMoP(TDM over Packet)伝送区間における送信側伝送装置10と受信側伝送装置20とを含む。ここでは、送信側伝送装置10がTDMoP伝送区間31と32との間にあり、受信側伝送装置20がTDMoP伝送区間32と33との間にあるものとする。なお、パケット網は非同期網の一例であり、送信側伝送装置10および受信側伝送装置20には、本実施形態による伝送装置に関連する機能構成のみが図示されている。
【0016】
送信側伝送装置10はSAToPパケットから未使用のTDM回線に対応するペイロード情報を削除する未使用回線削除部101と、当該未使用回線情報を保持する格納部102と、を有する。未使用回線削除部101は、未使用回線情報格納部102の未使用回線情報を参照して、TDMoP伝送区間31から受信したSAToPパケットから未使用回線の情報を削除して規格外の圧縮SAToPパケットを生成しTDMoP伝送区間32へ送出する。ただし、ここで「パケット」は1つの纏まった情報のブロックを示すものとする。
【0017】
受信側伝送装置20は、SAToPパケットから未使用のTDM回線に対応するペイロード情報を復元する未使用回線復元部201と当該未使用回線情報を保持する格納部202とを有する。未使用回線復元部201は、未使用回線情報格納部202の未使用回線情報を参照して、TDMoP伝送区間32から受信した圧縮SAToPパケットにおける未使用回線の情報を復元し、規格に準拠したSAToPパケットをTDMoP伝送区間33へ送出する。規格外の圧縮SAToPパケットと規格準拠SAToPパケットとは、パケットヘッダの制御情報の一部(たとえばリザーブ領域など)を利用して識別すればよい。
【0018】
送信側の未使用回線情報格納部102と受信側の未使用回線情報格納部202にそれぞれ格納された未使用回線情報は同一情報であり、たとえばTDMoP伝送区間の設定時に格納される。通常、回線の新設あるいは変更があった場合、SAToP通信を行うためには宛先設定や送信する回線の設定などを送信側および受信側の装置で行う必要があり、この時に未使用回線情報も設定される。
【0019】
このように、TDMoP伝送区間において未使用の回線を通常SAToPパケットから削除して伝送することにより、パケット網内においてSAToP伝送に要する帯域を低減することができ、ネットワーク帯域の有効利用を達成することができる。
【0020】
2.一実施例
以下、SAToPパケットとしてEtherフレームを例示し本発明の一実施例について詳細に説明する。
【0021】
2.1)構成
図4に示すTDM_over_Etherシステムにおいて、TDM伝送区間51および52はTDM伝送方式により通信を行われている通信路を示す。TDM/Ether変換部41は、TDM伝送方式で受信したデータをPWE3データに変換してTDM_over_Ether伝送区間31へ送信する一般的な装置をあらわす。また、Ether/TDM変換部42は、PWE3データをTDM伝送方式のデータに変換してTDM伝送区間52へ送信する一般的な装置をあらわす。
【0022】
TDM_over_Ether伝送区間31、32および33は、擬似ワイヤエミュレーション(PWE3)を用いて通信が可能な通信路である。これらのTDM_over_Ether伝送区間31−33は、図3に示すTDMoP伝送区間31−33にそれぞれ対応するので、同一参照番号を付して説明は省略する。
【0023】
送信側伝送装置10および受信側伝送装置20も図3に示す送信側伝送装置10および受信側伝送装置20にそれぞれ対応するので、同一参照番号を付している。すなわち、送信側伝送装置10は、未使用回線削除部101および未使用回線情報格納部102を有し、受信側伝送装置20は、未使用回線復元部201および未使用回線情報格納部202を有する。送信側機能および受信側機能は、それぞれ独立して並列動作が可能である。
【0024】
なお、図4では本実施例に関連する機能のみを図示しているが、送信側伝送装置10の未使用回線削除部101は、当該伝送装置10のCPU(Central Processing Unit)等のプログラム制御プロセッサ上でプログラムを実行することにより、次に述べる制御と同等の機能を実現することもできる。受信側伝送装置20の未使用回線復元部201についても同様である。
【0025】
2.2)未使用回線情報
回線を新設あるいは変更した際に、SAToP通信を行うためには宛先アドレスや送信する回線などを示す回線設定情報を送信側のTDM/Ether変換部41と受信側のEther/TDM変換部42の両方に対して設定する必要がある。この回線設定情報の設定時に、未使用回線情報を送信側伝送装置10および受信側伝送装置20に手動であるいは自動的に設定することができる。
【0026】
図5(A)に例示するように、送信側伝送装置10の未使用回線情報格納部102には、宛先伝送装置の各々に対する未使用回線の識別情報が格納されている。同図において、たとえばアドレスAの伝送装置との間では回線番号1,15および16だけが未使用である。したがって、これらの回線に対応するタイムスロット分だけフレームを圧縮して送信することができる。
【0027】
図5(B)に例示するように、受信側伝送装置20の未使用回線情報格納部202には、送信側の伝送装置10との間で未使用の回線情報が格納されている。同図において、たとえばアドレスAの伝送装置では、送信側伝送装置10との間で回線番号1,15および16だけが未使用であるから、送信側伝送装置10から圧縮フレームを受信すれば、これら未使用回線のタイムスロット分を復元して通常のフレームを生成し、Ether/TDM変換部42へ送信することができる。
【0028】
送信側伝送装置10および受信側伝送装置20の未使用回線情報は、TDM/Ether変換部41およびEther/TDM変換部42に対して設定する回線設定情報から自動的に生成することも可能である。たとえば、TDM/Ether変換装置41と送信側伝送装置10とが一つの装置に、Ether/TDM変換部42と受信側伝送装置20とが一つの装置に、それぞれ収容されているとする。
【0029】
上述したように、送信側のTDM/Ether変換部41と受信側のEther/TDM変換部42とが通信するためには、送信側で宛先MACアドレスおよび送信回線情報等が設定され、当該宛先となる受信側で自装置のMACアドレスと受信回線情報等が設定される。これらの回線設定情報から自動的に未使用回線情報を作成する。すなわち、送信側における各宛先MACアドレスに対する送信回線以外の回線を未使用回線としてリスト化する。同様に、受信側でも自装置のMACアドレスと回線設定情報の送信回線以外の回線を未使用回線としてリスト化する。送信回線は通信ができている限りTDM/Ether変換部41とEther/TDM変換部42との回線設定は正しいと判断できるので、未使用回線情報も正しい情報として扱うことができる。
【0030】
このように送信側と受信側との間で未使用回線情報について同期がとれた状態にある場合、それぞれのEtherフレーム伝送制御について詳述する。
【0031】
2.3)送信側のEtherフレーム伝送制御
以下、図6〜図8を参照しながら、送信側伝送装置10におけるEtherフレームの伝送制御動作について説明する。
【0032】
図6において、送信側伝送装置10がTDM_over_Ether伝送区間31から通常の規格準拠Etherフレームを受信すると(ステップ401)、プログラム制御プロセッサに実現された未使用回線削除部101は、未使用回線情報格納部102の未使用回線情報を参照し(ステップ402)、未使用回線があるか否かを判定する(ステップ403)。未使用回線があれば(ステップ403:YES)、受信したEtherフレームから未使用回線に対応するタイムスロット(回線データ)を削除し(ステップ404)、さらにフレームの制御情報を書き換えて圧縮Etherフレームを生成する(ステップ405)。フレームの制御情報は、圧縮フレームであることを示す情報であればよい。ここではコントロールワード内のリザーブ(RSV)領域を固有パターン(たとえば"11"等)に書き換える。
【0033】
送信側伝送装置10は、こうして生成された圧縮Etherフレームあるいは未使用回線がない受信Etherフレーム(ステップ403:NO)をTDM_over_Ether伝送区間32へ送信する(ステップ406)。
【0034】
図7(A)に示すように、宛先となる伝送装置のMACアドレスごとに未使用回線が設定されているとする。たとえば、宛先MACアドレス"00:11:22:33:44:55:66"の宛先伝送装置に対しては、各TDMフレームの24個の回線のうちタイムスロット#1,15および16に対応する回線が未使用となっている。そこで、図7(B)に示すように、タイムスロット#1,15および16の回線データを削除することで圧縮Etherフレームを生成する。その際、図8に示すように、コントロールワード内のリザーブ領域に固有パターン"11"を書き込むことで圧縮Etherフレームであることが識別可能となる。
【0035】
2.4)受信側のEtherフレーム伝送制御
以下、図9を参照しながら、受信側伝送装置20におけるEtherフレームの伝送制御動作について説明する。
【0036】
図9において、受信側伝送装置20がTDM_over_Ether伝送区間32から圧縮Etherフレームを受信すると(ステップ501)、プログラム制御プロセッサに実現された未使用回線復元部201は、受信したフレームのコントロールワード内のリザーブ領域をチェックし当該フレームが圧縮フレームであるか否かを判断する(ステップ502)。圧縮フレームであれば(ステップ502:YES)、未使用回線復元部201は未使用回線情報格納部202の未使用回線情報を参照し(ステップ503)、未使用回線に対応するタイムスロットの回線データを復元し(ステップ504)、さらにフレームのコントロールワード内のリザーブ領域をデフォルト値(“00”等)に戻して通常のSAToP規格準拠Etherフレームを生成する(ステップ505)。
【0037】
受信側伝送装置20は、こうして復元されたEtherフレームあるいは通常の受信Etherフレーム(ステップ502:NO)をTDM_over_Ether伝送区間33へ送信する(ステップ506)。
【0038】
2.5)効果
図7に例示したT1のTDMフレームをPWE3に変換した受信Etherフレームに対して本実施例による伝送処理を行った場合の効果について説明する。
【0039】
たとえばTDMフレームがT1フレームであれば全24回線を1フレームに収容しているが、実際に使用している回線は21回線のみで他の3回線は未使用であるとする(ここでは、図7(A)にしめすようにタイムスロット番号16,15,1)。このTDMフレームのサイズは、8bit × 24回線 + 1bit(フレーミングビット) = 193bitとなる。
【0040】
図7(B)に示すように、TDM/Ether変換部41が1つのEtherフレームにつき2つのTDMフレームを収容する変換を行った場合、上記のTDMフレーム(193bit)に、コントロールワード(32bit)、Etherヘッダ(112bit)、FCS(32bit)およびフレーミングビットにバイト(byte)単位にするためのダミーデータ(7bit × 2)が加わり、合計576bit(72バイト)のEtherフレーム(規格準拠)となる。このフレームから未使用回線(3回線/TDMフレーム)を削除することにより、576bit − 8bit × 6回線(2フレームの未使用回線) = 528bit(66バイト)にフレームサイズを圧縮することができる。フレームサイズが圧縮された圧縮Etherフレームを利用することにより、帯域の有効利用が可能となる。
【0041】
特許文献1に開示された回線エミュレーション装置はTDMフレームからEtherフレームに変換する際に未使用回線を削除する方式であるから、すでにTDM over Etherフレームに変換されたフレームについて対応することができない。これに対して、本実施例によれば、TDM over Etherフレームの内部の未使用回線を削除可能である。そのため、既存の装置を置き換える必要がなく、伝送区間の始点と終点に本実施例による伝送装置10および20を追加するだけで帯域の有効利用が可能となる。
【0042】
3.他の実施例
図10に示すように、本発明の他の実施例によるSAToP伝送装置60はASToP伝送区間61および62の間にあってSAToPパケットを送受信する。具体的には、受信部601、未使用回線削除部602および送信部603からなる送信系と、受信部604、未使用回線復元部605および送信部606からなる受信系と、通信相手であるSAToP伝送装置63との間で予め定められた未使用回線情報を格納する未使用回線情報メモリ607と、SAToP伝送装置60の動作を制御するための制御部608とを備えることもできる。この場合、未使用回線削除部602および未使用回線復元部605の動作は、上述した上述した送信側伝送装置10の未使用回線削除部101および受信側伝送装置20の未使用回線復元部201と基本的に同様であるから説明は省略する。
【0043】
4.付記
上述した実施形態の一部あるいは全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、これらに限定されるものではない。
【0044】
(付記1)
時分割多重された複数回線を収容したパケットを伝送する装置であって、
送信先の伝送装置との間で使用されない回線に関する未使用回線情報を格納する未使用回線情報格納手段と、
前記未使用回線情報を参照して、受信したパケットから未使用回線を削除することで前記送信先伝送装置へ送信する圧縮パケットを生成する未使用回線削除手段と、
を有することを特徴とする伝送装置。
【0045】
(付記2)
前記未使用回線情報は送信先伝送装置ごとに予め設定された未使用回線を示す情報であることを特徴とする付記1に記載の伝送装置。
【0046】
(付記3)
前記未使用回線情報は、疑似回線エミュレーション装置間で設定された回線情報に基づいて決定されることを特徴とする付記1または2に記載の伝送装置。
【0047】
(付記4)
時分割多重された複数回線を収容したパケットを伝送する装置であって、
送信元の伝送装置との間で使用されない回線に関する未使用回線情報を格納する未使用回線情報格納手段と、
送信元の伝送装置から受信したパケットが前記未使用回線を削除されたパケットであれば、前記未使用回線情報を参照して当該受信パケットから削除された未使用回線のデータを復元することで規格に準拠したパケットを生成する未使用回線復元手段と、
を有することを特徴とする伝送装置。
【0048】
(付記5)
前記未使用回線情報は、疑似回線エミュレーション装置間で設定された回線情報に基づいて決定されることを特徴とする付記4に記載の伝送装置。
【0049】
(付記6)
時分割多重された複数回線を収容したパケットを伝送する伝送装置における伝送制御方法であって、
送信先の伝送装置との間で使用されない回線に関する未使用回線情報を未使用回線情報格納手段に格納し、
前記未使用回線情報を参照して、受信したパケットから未使用回線を削除することで前記送信先伝送装置へ送信する圧縮パケットを生成する、
ことを特徴とする伝送制御方法。
【0050】
(付記7)
前記未使用回線情報は送信先伝送装置ごとに予め設定された未使用回線を示す情報であることを特徴とする付記6に記載の伝送制御方法。
【0051】
(付記8)
前記未使用回線情報は、疑似回線エミュレーション装置間で設定された回線情報に基づいて決定されることを特徴とする付記6または7に記載の伝送制御方法。
【0052】
(付記9)
時分割多重された複数回線を収容したパケットを伝送する装置における伝送制御方法であって、
送信元の伝送装置との間で使用されない回線に関する未使用回線情報を未使用回線情報格納手段に格納し、
送信元の伝送装置から受信したパケットが前記未使用回線を削除されたパケットであれば、前記未使用回線情報を参照して当該受信パケットから削除された未使用回線のデータを復元することで規格に準拠したパケットを生成する、
ことを特徴とする伝送制御方法。
【0053】
(付記10)
前記未使用回線情報は、疑似回線エミュレーション装置間で設定された回線情報に基づいて決定されることを特徴とする付記9に記載の伝送制御方法。
【0054】
(付記11)
時分割多重された複数回線を収容したパケットを送信側伝送装置から受信側伝送装置へ伝送するシステムであって、
前記送信側伝送装置が、
前記受信側伝送装置との間で使用されない回線に関する送信側未使用回線情報を格納する送信側未使用回線情報格納手段と、
前記送信側未使用回線情報を参照して、受信したパケットから未使用回線を削除することで前記受信側伝送装置へ送信する圧縮パケットを生成する未使用回線削除手段と、
を有し、
前記受信側伝送装置が、
前記送信側伝送装置との間で使用されない回線に関する受信側未使用回線情報を格納する受信側未使用回線情報格納手段と、
前記送信側伝送装置から受信したパケットが前記未使用回線を削除されたパケットであれば、前記受信側未使用回線情報を参照して当該受信パケットから削除された未使用回線のデータを復元することで規格に準拠したパケットを生成する未使用回線復元手段と、
を有する、
ことを特徴とする伝送システム。
【0055】
(付記12)
前記送信側未使用回線情報は前記受信側伝送装置ごとに予め設定された未使用回線を示す情報であることを特徴とする付記11に記載の伝送システム。
【0056】
(付記13)
前記送信側未使用回線情報および前記受信側未使用回線情報は、疑似回線エミュレーション装置間で設定された回線情報に基づいて決定されることを特徴とする付記11または12に記載の伝送システム。
【0057】
(付記14)
時分割多重された複数回線を収容したパケットを送信側伝送装置から受信側伝送装置へ伝送する方法であって、
前記送信側伝送装置が、
前記受信側伝送装置との間で使用されない回線に関する送信側未使用回線情報を送信側未使用回線情報格納手段に格納し、
前記送信側未使用回線情報を参照して、受信したパケットから未使用回線を削除することで前記受信側伝送装置へ送信する圧縮パケットを生成し、
前記受信側伝送装置が、
前記送信側伝送装置との間で使用されない回線に関する受信側未使用回線情報を受信側未使用回線情報格納手段に格納し、
前記送信側伝送装置から受信したパケットが前記未使用回線を削除されたパケットであれば、前記受信側未使用回線情報を参照して当該受信パケットから削除された未使用回線のデータを復元することで規格に準拠したパケットを生成する、
ことを特徴とする伝送制御方法。
【0058】
(付記15)
前記送信側未使用回線情報は前記受信側伝送装置ごとに予め設定された未使用回線を示す情報であることを特徴とする付記14に記載の伝送制御方法。
【0059】
(付記16)
前記送信側未使用回線情報および前記受信側未使用回線情報は、疑似回線エミュレーション装置間で設定された回線情報に基づいて決定されることを特徴とする付記14または15に記載の伝送制御方法。
【0060】
(付記17)
時分割多重された複数回線を収容したパケットを伝送する伝送装置におけるプログラム制御プロセッサに伝送制御機能を実現させるプログラムであって、
送信先の伝送装置との間で使用されない回線に関する未使用回線情報を未使用回線情報格納手段に格納する機能と、
前記未使用回線情報を参照して、受信したパケットから未使用回線を削除することで前記送信先伝送装置へ送信する圧縮パケットを生成する機能と、
を前記プログラム制御プロセッサに実現することを特徴とするプログラム。
【0061】
(付記18)
前記未使用回線情報は送信先伝送装置ごとに予め設定された未使用回線を示す情報であることを特徴とする付記17に記載のプログラム。
【0062】
(付記19)
前記未使用回線情報は、疑似回線エミュレーション装置間で設定された回線情報に基づいて決定されることを特徴とする付記17または18に記載のプログラム。
【0063】
(付記20)
時分割多重された複数回線を収容したパケットを伝送する装置におけるプログラム制御プロセッサに伝送制御機能を実現させるプログラムであって、
送信元の伝送装置との間で使用されない回線に関する未使用回線情報を未使用回線情報格納手段に格納する機能と、
送信元の伝送装置から受信したパケットが前記未使用回線を削除されたパケットであれば、前記未使用回線情報を参照して当該受信パケットから削除された未使用回線のデータを復元することで規格に準拠したパケットを生成する機能と、
を前記プログラム制御プロセッサに実現することを特徴とするプログラム。
【0064】
(付記21)
前記未使用回線情報は、疑似回線エミュレーション装置間で設定された回線情報に基づいて決定されることを特徴とする付記20に記載のプログラム。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明はSAToP伝送システムにおける伝送装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0066】
10 送信側伝送装置
20 受信側伝送装置
31−33 TDMoP伝送区間
41 TDM/Ether変換部
42 Ether/TDM変換部
51,52 TDM伝送区間
101 未使用回線削除部
102 未使用回線情報格納部
201 未使用回線復元部
202 未使用回線情報格納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時分割多重された複数回線を収容したパケットを伝送する装置であって、
送信先の伝送装置との間で使用されない回線に関する未使用回線情報を格納する未使用回線情報格納手段と、
前記未使用回線情報を参照して、受信したパケットから未使用回線を削除することで前記送信先伝送装置へ送信する圧縮パケットを生成する未使用回線削除手段と、
を有することを特徴とする伝送装置。
【請求項2】
前記未使用回線情報は送信先伝送装置ごとに予め設定された未使用回線を示す情報であることを特徴とする請求項1に記載の伝送装置。
【請求項3】
前記未使用回線情報は、疑似回線エミュレーション装置間で設定された回線情報に基づいて決定されることを特徴とする請求項1または2に記載の伝送装置。
【請求項4】
時分割多重された複数回線を収容したパケットを伝送する装置であって、
送信元の伝送装置との間で使用されない回線に関する未使用回線情報を格納する未使用回線情報格納手段と、
送信元の伝送装置から受信したパケットが前記未使用回線を削除されたパケットであれば、前記未使用回線情報を参照して当該受信パケットから削除された未使用回線のデータを復元することで規格に準拠したパケットを生成する未使用回線復元手段と、
を有することを特徴とする伝送装置。
【請求項5】
前記未使用回線情報は、疑似回線エミュレーション装置間で設定された回線情報に基づいて決定されることを特徴とする請求項4に記載の伝送装置。
【請求項6】
時分割多重された複数回線を収容したパケットを伝送する伝送装置における伝送制御方法であって、
送信先の伝送装置との間で使用されない回線に関する未使用回線情報を未使用回線情報格納手段に格納し、
前記未使用回線情報を参照して、受信したパケットから未使用回線を削除することで前記送信先伝送装置へ送信する圧縮パケットを生成する、
ことを特徴とする伝送制御方法。
【請求項7】
時分割多重された複数回線を収容したパケットを伝送する装置における伝送制御方法であって、
送信元の伝送装置との間で使用されない回線に関する未使用回線情報を未使用回線情報格納手段に格納し、
送信元の伝送装置から受信したパケットが前記未使用回線を削除されたパケットであれば、前記未使用回線情報を参照して当該受信パケットから削除された未使用回線のデータを復元することで規格に準拠したパケットを生成する、
ことを特徴とする伝送制御方法。
【請求項8】
時分割多重された複数回線を収容したパケットを送信側伝送装置から受信側伝送装置へ伝送するシステムであって、
前記送信側伝送装置が、
前記受信側伝送装置との間で使用されない回線に関する送信側未使用回線情報を格納する送信側未使用回線情報格納手段と、
前記送信側未使用回線情報を参照して、受信したパケットから未使用回線を削除することで前記受信側伝送装置へ送信する圧縮パケットを生成する未使用回線削除手段と、
を有し、
前記受信側伝送装置が、
前記送信側伝送装置との間で使用されない回線に関する受信側未使用回線情報を格納する受信側未使用回線情報格納手段と、
前記送信側伝送装置から受信したパケットが前記未使用回線を削除されたパケットであれば、前記受信側未使用回線情報を参照して当該受信パケットから削除された未使用回線のデータを復元することで規格に準拠したパケットを生成する未使用回線復元手段と、
を有する、
ことを特徴とする伝送システム。
【請求項9】
時分割多重された複数回線を収容したパケットを送信側伝送装置から受信側伝送装置へ伝送する方法であって、
前記送信側伝送装置が、
前記受信側伝送装置との間で使用されない回線に関する送信側未使用回線情報を送信側未使用回線情報格納手段に格納し、
前記送信側未使用回線情報を参照して、受信したパケットから未使用回線を削除することで前記受信側伝送装置へ送信する圧縮パケットを生成し、
前記受信側伝送装置が、
前記送信側伝送装置との間で使用されない回線に関する受信側未使用回線情報を受信側未使用回線情報格納手段に格納し、
前記送信側伝送装置から受信したパケットが前記未使用回線を削除されたパケットであれば、前記受信側未使用回線情報を参照して当該受信パケットから削除された未使用回線のデータを復元することで規格に準拠したパケットを生成する、
ことを特徴とする伝送制御方法。
【請求項10】
時分割多重された複数回線を収容したパケットを伝送する伝送装置におけるプログラム制御プロセッサに伝送制御機能を実現させるプログラムであって、
送信先の伝送装置との間で使用されない回線に関する未使用回線情報を未使用回線情報格納手段に格納する機能と、
前記未使用回線情報を参照して、受信したパケットから未使用回線を削除することで前記送信先伝送装置へ送信する圧縮パケットを生成する機能と、
を前記プログラム制御プロセッサに実現することを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−234162(P2011−234162A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−103110(P2010−103110)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】