説明

パターン形成方法、およびこれにより製造される電子回路、並びにこれを用いた電子機器

低コストおよび低環境負荷で、かつ連続した薄膜回路パターンを精度よく実現できるパターン形成方法、およびこれにより製造される電子回路、並びにこれを用いた電子機器を提供する。 基板1上にマスク層2を形成する工程と、上記マスク層2に開口パターンを形成する工程と、上記基板1上およびマスク層2上に薄膜3を形成する工程と、上記マスク層2および該マスク層2上に形成された薄膜3を基板1から剥離する工程とを含み、開口パターンを乾式条件下で形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン形成方法、およびこれにより製造される電子回路、並びにこれを用いたPDP等の電子機器に関するものである。より詳しくは、例えば、半導体集積回路や電子回路等に用いられる薄膜からなる回路パターンを形成する方法、およびこれにより製造される電子回路、並びに、半導体装置、各種コンピュータ、各種表示装置等の薄膜からなる回路パターンを用いる全ての電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、コンピュータ、通信、情報家電、各種表示デバイス等に用いられているあらゆる電子回路には、基板上に金属や絶縁物の薄膜で形成された回路パターンが使用されている。また、急速に進展する高度情報化社会に対応するために、より高集積(高精細化)、大面積化が求められている。
【0003】
この回路パターンの形成には、概ね、フォトリソグラフィ・エッチングプロセスを用いた方法が採用されてきた。この方法の典型的なプロセスを図15および図16に示す。図15および図16に示すように、この方法は、基板の全面にまたは部分的に回路パターンを形成するための薄膜を成膜した後に、レジストを塗布・乾燥してマスク層を形成する。そして、マスクを介してマスク層を露光・現像することによって、回路パターンとは逆のパターン(逆回路パターン)を形成する。その後、エッチング、マスク層除去を経て所望の回路パターンを形成する方法である。この方法は、パターンの形成精度が良く、同じパターンを何回でも再現できるとともに、同一基板上に複数個の電子回路を形成できるため、量産性を有している点で優れている。
【0004】
しかしながら、このフォトリソグラフィ・エッチングプロセスを用いた方法は、図15および図16に示すように、多数の工程を繰り返して電子回路の回路パターンを完成させていくものである。図15および図16に示す方法では、基板50上に金属薄膜51を形成した後に、マスク層52を形成し、露光・現像処理・エッチング・マスク層52剥離を行い、さらに、絶縁層53を形成した後に、マスク層54の形成・露光・現像・エッチング・マスク層54剥離を行っている。
【0005】
すなわち、この方法では、金属薄膜と絶縁層とからなる回路パターンを形成する度に、成膜・レジスト塗布・乾燥・露光・現像・エッチング・マスク層剥離等からなる約22工程の非常に多数の工程数を必要とする。このため、製造コストが非常に高くなるという問題があった。さらに、この方法では、上記多数の工程の度に大量の現像液や、エッチング剤等の薬液および洗浄液を使用することとなる。これは、単に歩留まりが悪く製造コストが非常に高くなるということのみならず、昨今、重大な関心事となってきた廃液の処理などの環境負荷が非常に大きいという問題があった。
【0006】
そこで、これらの問題を解決するために、多数の工程を短縮する方法として、回路パターンの材料を成膜する際に、メタルマスク等を用いて直接回路パターンを形成する方法や、回路パターンの材料を成膜する前に、マスク層で逆回路パターンを形成し、その後、回路パターン用の薄膜を形成して、余分な薄膜をマスク層ごと剥離するリフトオフという方法が行われている。
【0007】
しかしながら、上記メタルマスクを用いた方法では、メタルマスクが基板から浮いてしまい、基板とメタルマスクとの間にわずかな隙間ができるため、薄膜を成膜した際に回路パターンの材料が隙間に滲み出し、パターンの形成精度の向上に限界があるという問題があった。基板へのメタルマスクの吸着性は良好でないため、特に、長い連続パターンを形成する際にこの問題が顕著となる。すなわち、基板の端部から離れれば離れるほど隙間が大きくなり、パターンの形成精度を低下させてしまう。したがって、メタルマスクの浮きが、パターンの材料の滲みを招致させる原因となり、特に、対象となる連続パターンに隣接するパターンが存在する場合には、両パターン間の薄膜が接続されてしまう原因となる。そこで、この問題を解決するために、磁性を帯びた材料のメタルマスクを用いるとともに、基板のメタルマスクとは反対側の面に磁石を配置することにより、メタルマスクを基板に当接させる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
上記特許文献1には、図17ないし図19に示すような有機電界発光素子ディスプレイの製造方法に適用されているパターン形成方法が示されている。特許文献1では、図17ないし図19に示すように、メタルマスク55を用いるとともに、基板56のメタルマスク55とは反対側の面に磁化部材57を配置して各電極材料をスパッタリングしている。これによって、ストライプ状の陽極58と、ストライプ状の有機層59および陰極60とを交差させたマトリクス状の電極等を順次成膜している。この際、メタルマスク55を用いる場合に問題となるパターンのずれ、メタルマスク55の浮きによるパターン材料の滲みは、磁化部材57に工夫を加えて磁力線の間隔を極力狭くすることで対応できることとしている。
【0009】
また、上記リフトオフという方法は、多数提案されている(例えば、特許文献2〜12参照)。上記特許文献2〜5では、マスク層をリフトオフ法に好適な逆テーパ形状に加工する方法が開示されている。また、上記特許文献6には、後の工程における温度に耐えられるように、レジストに熱安定性を与える方法が開示されており、特許文献7および8には、その他各種用途別のリフトオフ法が開示されている。
【0010】
上記リフトオフという方法は、一般に、基板上にマスク層で逆回路パターンを形成し、基板の全面に金属薄膜を堆積させ、次いでマスク層を剥離することによって、マスク層の開口部分に金属薄膜による回路パターンを形成する方法である。図20ないし図21は、マスク層を露光・現像等することによってマスク層の逆回路パターンを形成する工程を示しており、これは、いわゆる湿式条件(ウェット条件)にて行われるウェットリフトオフ法の工程を示している。
【0011】
図20および図21に示す方法では、基板61上にマスク層62を形成し、露光・現像によりレジストパターンを形成する。その後、金属薄膜63を形成した後に、不要なマスク層62および金属薄膜63を剥離している。さらに、基板61上に再度マスク層64を形成し、露光・現像によりレジストパターンを形成し、絶縁層65を形成した後に、不要なマスク層64および絶縁層65を剥離している。
【0012】
なお、リフトオフ法により金属薄膜の回路パターンを形成する際には、マスク層の開口部分に形成された金属薄膜と、マスク層上に形成された金属薄膜とは、実質的に短絡していないことが好ましい。このため、マスク層の開口部分を逆テーパ形状またはオーバーハング形状としている。なお、マスク層の開口部分を逆テーパ形状またはオーバーハング形状に形成する方法についても提案されている(例えば、特許文献9ないし11参照)。
【特許文献1】特開2002−75639号公報
【特許文献2】特許第2989064号明細書
【特許文献3】特許第3028094号明細書
【特許文献4】特開平7−168368号公報
【特許文献5】特開平8−315981号公報
【特許文献6】特開平11−317418号公報
【特許文献7】特開2002−134004号公報
【特許文献8】特開平11−339574号公報
【特許文献9】特開昭56−81954号公報
【特許文献10】特開平1−236658号公報
【特許文献11】特開平7−29846号公報
【特許文献12】特開2003−287905号公報
【特許文献13】特開平6−13356号公報
【特許文献14】特開平10−20509号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上記特許文献1に記載の方法は、ストライプ状の陽極と陰極とに対応した、非常に細かいストライプ状の多数のスリットをメタルマスクに形成する必要がある。また、このようなメタルマスクを磁石で保持して精度の良い回路パターンを形成することは、電子回路のサイズの大型化および回路パターンの高精細化の双方においておのずと限界がある。したがって、所望の大面積化および高精細化が得られないという問題点を有している。
【0014】
また、上記特許文献2ないし8に記載の方法は、全てレジストを用いた方法であり、回路パターンの形成精度は比較的良好であるものの、マスク層の逆回路パターン形成はフォトリソグラフィによって行われるため工程が長くなるとともに、逆回路パターン形成およびマスク層剥離時に現像液や剥離液を大量に用いる必要がある。このため、工程の短縮や、廃材や廃液の処理による環境負荷の低減が十分でなく、上記従来の問題は依然として解決できないでいるという問題点を有している。
【0015】
さらに、上記特許文献9ないし11に記載の方法は、ウェットプロセスにて行われており、ドライプロセスにて行う場合には、リフトオフに必須な逆テーパ形状ができないことおよびマスク層を確実に剥離することが難しいという問題を抱えている。
【0016】
一方、上述のリフトオフ法のうち、湿式条件(ウェット条件)下で行わない手法も提案されている(例えば、特許文献13および14参照)。
特許文献13では、ウェットプロセスを用いることなく確実にパターニングを行い、薄膜パターンの微細化及びプロセスの短縮化、簡略化をはかることを目的として、「基体の表面上にステンシルをパターン形成した後、上記ステンシル上に成膜すべき薄膜を被着して、上記基体の裏面側からエネルギービームを照射して、上記ステンシルを剥離させて上記薄膜をパターニングすることを特徴とする薄膜パターン形成方法」が開示されている。
また、特許文献14では、レジスト膜の現像と残留レジストの剥離、および金属薄膜や半導体薄膜あるいは絶縁耐薄膜の加工を完全ドライプロセスで行うことを目的として、「液晶表示素子を構成するための金属膜、誘電体絶縁膜、半導体膜の薄膜、ないしは前記薄膜の一部がパターン状に形成された多層膜を成膜したガラス基板上にウレタン結合および/またはウレア結合をもつ高分子材料から構成したレジスト膜を塗布し、所定の開口パターンを有するマスクを介してエキシマレーザーを照射して照射部分のレジスト膜をアブレーション現象により除去することで前記マスクの開口パターンに対応して前記薄膜を露出したレジスト膜パターンを形成し、前記レジスト膜パターンで露出された前記薄膜にエッチング処理を施して除去した後、エキシマレーザーを照射して残留レジスト膜をアブレーション現象により除去することを特徴とする液晶表示素子の製造方法。」が開示されている。
【0017】
また、上記特許文献13および14に記載の方法は、エネルギービーム(エキシマレーザー)のみを用いて基板上に残存させる薄膜(金属膜)にダメージを与えずにレジスト層(レジスト膜・ステンシル)のみを確実に剥離することが困難であるという問題点があることが分かった。
【0018】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、これまでのフォトリソグラフィ・エッチングプロセスに代わる、低コストおよび低環境負荷で、かつ連続した薄膜回路パターンを精度よく実現できるパターン形成方法、およびこれにより製造される電子回路、並びにこれを用いた電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、マスク層と基板および薄膜層とのレーザ光に対する吸収率が所定の関係を有することにより、基板上に残存させる薄膜層にダメージを与えずに不要なマスク層のみを確実に剥離することができることを見出し、低コストおよび低環境負荷で、かつ連続した薄膜回路パターンを精度よく実現できる薄膜層パターン形成方法を達成するに至った。
【0020】
本発明に係るパターン形成方法は、上記課題を解決するために、基板上にマスク層を形成するマスク層形成工程と、上記マスク層に開口部を形成する開口部形成工程と、上記基板上およびマスク層上に薄膜層を形成する薄膜層形成工程と、上記マスク層および該マスク層上に形成された薄膜層を基板から剥離する剥離工程とを含むパターン形成方法であって、上記開口部形成工程は、乾式条件下で行われることを特徴としている。
【0021】
上記開口部は、マスク層に第1のレーザ光を照射することにより形成されることが好ましく、上記開口部は、マスク層に第1のレーザ光を前記基板側から照射することが好ましい。
【0022】
前記マスク層の前記第1のレーザ光に対する吸収率が、前記基板および前記薄膜層の前記レーザ光に対する吸収率よりも大きいことが好ましく、前記第1のレーザ光が、波長が500〜1500nm、エネルギー密度が0.1〜5J/cmのレーザ光であることが好ましく、前記マスク層の前記第1およびのレーザ光に対する吸収率が、前記基板および前記薄膜層の前記レーザ光に対する吸収率の2倍以上であることが好ましく、前記マスク層の前記第1のレーザ光に対する吸収率が、70%以上であることが好ましい。
【0023】
上記剥離工程は、乾式条件下で行われることが好ましく、上記剥離工程において、マスク層および/または該マスク層上に形成された薄膜層を、接着する接着部材を用いて剥離する、または減圧吸引することが好ましく、上記剥離工程において、マスク層および/またはマスク層上に形成された薄膜層を、第2のレーザ光を照射することにより剥離することが好ましく、前記マスク層の前記第2のレーザ光に対する吸収率が、前記基板および前記薄膜層の前記レーザ光に対する吸収率よりも大きいことが好ましく、前記第2のレーザ光が、波長が500〜1500nm、エネルギー密度が0.1〜5J/cmのレーザ光であることが好ましい。
また、前記マスク層の前記第2のレーザ光に対する吸収率が、前記基板および前記薄膜層の前記レーザ光に対する吸収率の2倍以上であることが好ましく、前記マスク層の前記第2のレーザ光に対する吸収率が、70%以上であることが好ましく、前記マスク層が、黒色顔料もしくは黒色染料を10〜99質量%(成膜中で)含有する材料で構成されていることが好ましく、上記マスク層は、基板上に液状のレジストを塗布する、または、基板上にフィルム状のレジストを積層することにより形成されることが好ましく、上記マスク層は、減圧下で形成されることが好ましく、上記マスク層は、エポキシ化合物、ポリエチレン化合物、ポリイミド化合物、四フッ化エチレン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
【0024】
上記剥離工程の前に、基板とマスク層との接着力を低下させる接着力低下工程を含むことが好ましく、上記接着力低下工程では、マスク層に光を照射する、および/または、マスク層を加熱することが好ましく、上記薄膜層は、マスク層の端部を露出するように形成されることが好ましく、上記薄膜層は、気体存在下または減圧下で形成されることが好ましく、上記薄膜層は、スパッタ法で形成されることが好ましく、上記薄膜層は、金属、ガラスおよびセラミックスから選ばれる少なくとも1つであることが好ましく、上記薄膜層は、Cr、Cu、Au、Al、Ti、Ni、Wおよびこれらの化合物からなる群、並びに、SiO、SiN、Bi、PbO、In、SnO、SiC、ZnO、Al、TiO、Ta、Sbおよびこれらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましく、上記マスク層形成工程の前、または、上記剥離工程の後に、基板上にさらに第2の薄膜層を形成するとともに、該第2の薄膜層に第3のレーザ光を照射することによって、第2の薄膜層の一部を除去することが好ましい。
【0025】
また、本発明に係るパターン形成方法は、基板上にマスク層を形成するマスク層形成工程と、第1のレーザ光を照射して前記マスク層に開口部を形成する開口部形成工程と、前記基板上および前記マスク層上に薄膜層を形成する薄膜層形成工程と、第2のレーザ光を照射して前記マスク層を前記基板上から剥離する剥離工程とを具備し、前記マスク層の前記第1および第2のレーザ光に対する吸収率が、前記基板および前記薄膜層の前記レーザ光に対する吸収率よりも大きいことを特徴としている。また、前記薄膜層がスパッタ法により成膜されることが好ましく、前記マスク層が、黒色顔料もしくは黒色染料を10〜99質量%含有する材料で構成されていることが好ましく、前記第1および第2のレーザ光が、波長が500〜1500nm、エネルギー密度が0.1〜5J/cmのレーザ光であることが好ましく、前記第1および第2のレーザ光が、波長が500〜1500nm、エネルギー密度が0.1〜1J/cmのレーザ光であることが好ましい。
【0026】
本発明に係る電子回路は、上記の課題を解決するために、上記いずれかに記載のパターン形成方法を用いて製造されることを特徴としている。また、本発明に係る電子機器は、上記の課題を解決するために、上記に記載の電子回路を用いてなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0027】
本発明に係るパターン形成方法は、以上のように、開口部形成工程は、乾式条件下で行われるので、低コストおよび低環境負荷とすることができる。すなわち、従来では開口部を形成するために、湿式条件下で露光・現像等を行っていたものの、本発明のパターン形成方法は、乾式条件下で行うことから、露光や現像を行うことなく開口部を形成することが可能となり、工程数を大幅に削減することが可能となる。また、例えば、乾式条件下で直接除去加工してパターン形成できる材料にはレーザ光などにより直接パターン形成することを組み合わせて、より効果的なパターン形成を可能とする。その結果、工程数の大幅な削減によるスループット向上とともに、それに伴う設備投資の大幅な削減および薬液等の間接材料費の大幅な削減が可能となり、製造原価を大幅に低減することができるため、低コストにてパターンを形成することができるという効果を奏する。また、工程数を大幅に削減することができるため、歩留まりの大幅な向上も期待できる。
【0028】
また、湿式条件下で露光・現像等を行う際には、現像剤や洗浄剤等の薬液を用いていたが、本発明ではこれら薬液を用いずに乾式条件下で行うため、従来の湿式条件下ではパターンを形成することが困難であった材料に対しても適用可能であるとともに、薬液の使用に伴う廃液の発生がなく、低環境負荷で行うことができるという効果を併せて奏する。
【0029】
さらに、本発明のパターン形成方法は、従来のエッチングでは抑制することが困難であったパターン端部の露出を抑制することが可能となるため、信頼性を向上させることができるという効果を併せて奏する。
【0030】
上記のパターン形成方法において、上記開口部は、マスク層に第1のレーザ光を照射することにより形成されるので、開口部を1工程にて形成することが可能となり、その結果、工程数を大幅に削減することができるという効果を奏する。
【0031】
上記のパターン形成方法において、上記剥離工程は、乾式条件下で行われるので、さらに低コストおよび低環境負荷とすることができる。すなわち、従来ではマスク層を剥離する際においても薬液を用いて行っていたが、本発明では、乾式条件下にて行われるため、これら薬液を用いることがない。したがって、より低コストおよび低環境負荷にて行うことができるという効果を奏する。
【0032】
上記のパターン形成方法において、上記剥離工程の前に、基板とマスク層との接着力を低下させる接着力低下工程を含むので、マスク層の剥離をより容易に行うことができるという効果を奏する。また、上記のパターン形成方法において、上記接着力低下工程では、マスク層に光を照射する、および/または、マスク層を加熱するので、容易に接着力を低下させることができる。すなわち、より簡便な方法で接着力を低下させることができるとともに、より容易に剥離することができるという効果を奏する。
【0033】
上記のパターン形成方法において、上記剥離工程では、マスク層および/またはマスク層上に形成された薄膜層に接着する接着部材を用いて剥離する、もしくは、減圧吸引することにより剥離するので、より容易にマスク層を剥離することができるという効果を奏する。
【0034】
上記のパターン形成方法において、上記薄膜層は、マスク層の端部を露出するように形成されるので、例えば、剥離工程にて接着部材を用いて剥離する際に、接着部材とマスク層との接着を容易にし、マスク層およびマスク層上に形成された薄膜層の剥離を確実に行うことができるという効果を奏する。
【0035】
上記のパターン形成方法において、上記マスク層は、基板上に液状のレジストを塗布する、または、基板上にフィルム状のレジストを積層することにより形成されるので、簡便かつ容易にマスク層を形成することができるという効果を奏する。また、上記のパターン形成方法において、上記マスク層は、減圧下で形成されるので、微細パターン形成に好適な薄い連続したマスク層を形成することができるという効果を奏する。
【0036】
上記のパターン形成方法において、上記薄膜層形成工程は、上記薄膜層は、気体存在下または減圧下で形成されるので、簡便かつ容易に薄膜層を形成することができるという効果を奏する。
【0037】
上記のパターン形成方法において、上記薄膜層は、金属、ガラスおよびセラミックスから選ばれる少なくとも1つであるので、所望の材料を形成できるという効果を奏する。また、上記のパターン形成方法において、上記薄膜層は、Cr、Cu、Au、Al、Ti、Ni、Wおよびこれらの化合物からなる群、並びに、SiO、SiN、Bi、PbO、In、SnO、SiC、ZnO、Al、TiO、Ta、Sbおよびこれらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも1つである。さらに、上記のパターン形成方法において、上記マスク層は、エポキシ化合物、ポリエチレン化合物、ポリイミド化合物、四フッ化エチレン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つである。
【0038】
上記のパターン形成方法において、上記マスク層形成工程の前、または、上記剥離工程の後に、基板上にさらに第2の薄膜層を形成するとともに、該第2の薄膜層に第3のレーザ光を照射することによって、第2の薄膜層の一部を除去する構成とすれば、複数の薄膜層を形成する場合であっても、第2の薄膜層として、例えばIn、SnO等の酸化物やCr、Ti等の金属といったレーザ光の照射にて除去が可能な材料を用いることによって、効率よくパターンを形成することができるという効果を奏する。
【0039】
本発明のパターン形成方法においては、マスク層と基板および薄膜層との第1および/または第2のレーザ光に対する吸収率が所定の関係を有することにより、該レーザ光のみを用いて、基板上に残存させる薄膜層にダメージを与えずに不要なマスク層のみを容易にかつ確実に剥離することができるため、低コストおよび低環境負荷で、かつ連続した薄膜回路パターンを精度よく実現できる。
また、本発明のパターン形成方法においては、上記マスク層が、有機材料で構成されていることが好ましく、これにより、低いエネルギー量でマスク層を剥離できるという効果を奏する。
また、本発明のパターン形成方法においては、上記マスク層が、無機材料で構成されていることが好ましく、これにより、薄膜で形成できるため、より細かいパターンが得られるという効果を奏する。
さらに、本発明のパターン形成方法においては、上記マスク層が、黒色顔料もしくは黒色染料を10〜99質量%含有する材料で構成されていることが好ましく、これにより、上記マスク層のレーザ光に対する吸収率が増加することから、エネルギー密度の低いレーザ光によっても十分にパターン形成(開口部形成)および剥離ができるという効果を奏する。
【0040】
本発明のパターン形成方法においては、上記第1および/または第2のレーザ光が、波長が500〜1500nm、エネルギー密度が0.1〜5J/cmのレーザ光であることが好ましく、これにより、基板とマスク層とのレーザ光に対する吸収率の差をつけ易いという効果を奏する。
【0041】
本発明のパターン形成方法においては、上記マスク層の上記第1および/または第2のレーザ光に対する吸収率が、上記基板および上記薄膜層の上記第1および/または第2のレーザ光に対する吸収率の2倍以上であることが好ましく、これにより、上記剥離工程において、不要なマスク層のみをより容易にかつより確実に剥離することができるという効果を奏する。
また、本発明のパターン形成方法においては、上記マスク層の上記第1および/または第2のレーザ光に対する吸収率が、70%以上であることが好ましく、これにより、より選択的に不要なマスク層を剥離できるという効果を奏する。
【0042】
本発明のパターン形成方法においては、上記マスク層に対して第1のレーザ光を所定の方法で用いる、具体的には、該マスク層が形成されていない基板側から第1のレーザ光を照射して該マスク層の開口部を形成するのが好ましい。これにより、上記マスク層の開口部の少なくとも一部を逆テーパ状に形成されるため、開口部形成後の上記薄膜層の形成が該マスク層の端部を露出するように形成されやすく、該マスク層の端部が露出するように該薄膜層が形成されれば、上記剥離工程において、不要なマスク層のみをより確実に剥離することができるという効果を奏する。
【0043】
本発明に係る電子回路は、以上のように、上記いずれかに記載のパターン形成方法を用いて製造されているので、低コストおよび低環境負荷にて製造することができるという効果を奏する。また、本発明に係る電子機器は、以上のように、上記に記載の電子回路を用いているので、低コストおよび低環境負荷にて製造することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施形態におけるパターンを形成する工程の一部を示すものであり、(a)〜(d)は、電子回路の概略構成を示す断面図である。
【図2】図1の工程の続きを示すものであり、(a)〜(d)は電子回路の概略構成を示す断面図である。
【図3】本発明の実施形態におけるマスク層の開口パターンを形成する工程を示すものであり、(a)〜(e)は、電子回路の概略構成を示す断面図である。
【図4】本発明の実施形態におけるマスク層の開口パターンを形成する他の工程を示すものであり、(a)〜(d)は、電子回路の概略構成を示す断面図である。
【図5】本発明の実施形態におけるマスク層の開口パターンを形成するさらに他の工程を示すものであり、(a)〜(c)は、電子回路の概略構成を示す断面図である。
【図6】本発明の第1の実施例における電子回路の概略構成を示す断面図である。
【図7】本発明の第1の実施例における薄膜回路パターンの概略構成を示す平面図である。
【図8】本発明の第1の実施例における薄膜回路パターンの概略構成を示す平面図である。
【図9】本発明の第1の実施例における薄膜回路パターンを形成する工程の一部を示すものであり、(a)〜(c)は、電子回路の概略構成を示す断面図である。
【図10】図9の工程の続きを示すものであり、(a)〜(d)は、電子回路の概略構成を示す断面図である。
【図11】本発明の第2の実施例における薄膜回路パターンの概略構成を示す平面図である。
【図12】本発明の第2の実施例における薄膜回路パターンを拡大した概略構成を示す平面図である。
【図13】本発明の第2の実施例における薄膜回路パターンの概略構成を示す断面図である。
【図14】本発明の第2の実施例における薄膜回路パターンの概略構成を示す断面図である。
【図15】従来の薄膜回路パターンを形成する工程の一部を示すものであり、(a)〜(e)は、電子回路の概略構成を示す断面図である。
【図16】図15の工程の続きを示すものであり、(a)〜(e)は、電子回路の概略構成を示す断面図である。
【図17】従来のメタルマスクを用いて薄膜回路パターンを形成する際のメタルマスクと磁化部材との配置例を示す斜視図である。
【図18】従来のメタルマスクを用いて薄膜回路パターンを形成した電子回路の概略構成を示す斜視図である。
【図19】従来のメタルマスクを用いて薄膜回路パターンを形成した電子回路の概略構成を示す平面図である。
【図20】従来の薄膜回路パターンを形成する工程の一部を示すものであり、(a)〜(e)は、電子回路の概略構成を示す断面図である。
【図21】図20の工程の続きを示すものであり、(a)〜(d)は、電子回路の概略構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1 基板
2・4 マスク層
3 薄膜(薄膜層)
5 絶縁層
6 ガラス基板(基板)
9 電極(薄膜層)
10 配線パターン(薄膜層)
13 レジストフィルム(マスク層)
17 金属薄膜層(薄膜層)
20 ガラス基板(基板)
22 透明電極(薄膜層)
23 バス電極(薄膜層)
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
本発明の一実施形態について図1ないし図5に基づいて説明すると以下の通りである。本発明のパターン形成方法は、レジストを用いたドライプロセスパターン形成と、レジストの機械的剥離法とを組み合わせた方法によって、例えば回路パターンを形成する方法である。すなわち、本発明のパターン形成方法は、基板上に形成したマスク層に乾式条件下で開口パターン(開口部)を形成した後に、基板上およびマスク層上に回路パターンを形成するための薄膜(薄膜層)を成膜(形成)し、その後、回路パターンには用いられることのない薄膜、いわゆる不要の薄膜をマスク層と共に剥離する方法である。
【0047】
具体的には、基板上にパターンを形成するための材料(パターン形成材料)を成膜する前に、マスク層を基板上の全面に形成する。次いで、マスク層を乾式条件下にて加工形成して、所望のパターンに略一致した開口パターンを形成する。その後、基板およびマスク層の全面にパターン形成材料からなる薄膜を成膜する。そして、パターン以外の不要なパターン形成材料をマスク層と共に基板から機械的に剥離することによって薄膜からなる所望のパターンを形成する方法である。
【0048】
ここで、乾式条件とは、パターンを形成する方法として、従来行われていた現像液や洗浄液等を用いた湿式条件(ウェット条件)に対するもので、これら現像液や洗浄液等を用いることなくパターンを形成する条件であり、いわゆるドライ条件である。
【0049】
次に、図1および図2を参照しながら本発明のパターン形成方法について詳細に説明する。図1および図2は、本発明のパターン形成方法によって回路パターンを形成する工程を示すものである。まず、基板1上にレジストを塗布して、マスク層2を形成する(図1(a)・(b)、マスク層形成工程)。レジストとしては、後述する開口パターン(レジストパターン)を形成する際に、乾式条件にてレジストを加工することができる材質を用いればよい。次いで、マスク層2を乾式条件にて加工し、回路パターンに略一致した開口パターンを形成する(図1(c)、開口部形成工程)。そして、回路パターンを形成するために薄膜3を成膜する(図1(d)、薄膜層形成工程)。
【0050】
上記の乾式条件によりマスク層2を加工して開口パターンを形成する方法としては、例えば、マスク層2に第1のレーザ光を照射して開口パターンを形成する方法や、ドライエッチャントを用いて開口パターンを形成する方法を挙げることができる。第1のレーザ光を用いて開口パターンを形成する方法としては、例えば第1のレーザ光としてエキシマレーザ光やYAGレーザ光、等を用いて、アブレーションと熱エネルギーとの併用によってマスク層2を蒸発除去する方法を挙げることができる。この場合、露光・現像・洗浄を行わずに、露光時点で直接除去することができるため、非常に効率よく加工することができる。また、ドライエッチャントを用いて開口パターンを形成する方法としては、例えばドライエッチャントとして酸素プラズマ、等を用いて、化学反応にて除去することにより加工する方法を挙げることができる。
【0051】
しかしながら、第1のレーザ光を用いてマスク層2を加工する場合には、一般的に表面から入射した第1のレーザ光はマスク層2の内部へ侵入するにつれて、そのエネルギーが減衰していく。このため、開口パターンの断面形状は、表面が広く開口した円錐形状、いわゆる順テーパ形状を有することとなる。この場合、その後の工程で形成する薄膜が、基板1上に形成された薄膜とマスク層2上に形成された薄膜とが連続した状態で形成されてしまう。その結果、所望の回路パターンとなるようにマスク層2を剥離することができない、またはマスク層2を剥離した際に基板1上に形成された薄膜をも剥離してしまう可能性がある。
【0052】
したがって、マスク層2を機械的に剥離するためには、マスク層2の開口パターンの断面形状が逆テーパ形状またはオーバーハング形状となるように形成する必要がある。逆テーパ形状とは、マスク層2の開口部の大きさが基板1に向かうにつれて大きくなっていく形状である。また、オーバーハング形状とは、例えばマスク層2を2層形成して開口パターンを形成する際に、上層の開口パターンの大きさが下層の開口パターンの大きさよりも小さい状態を指す。すなわち、上層の開口パターンの端部が下層の開口パターンの端部よりもはみ出している形状のことである。
【0053】
すなわち、本発明のパターン形成方法におけるマスク層2の加工は、乾式条件にて、マスク層2の開口パターンの断面形状が逆テーパ形状またはオーバーハング形状となるように行われる。ここで、第1のレーザ光を用いてマスク層2を加工し、開口パターンを形成する方法について具体的に説明する。図3ないし図5に、基板1上に形成されたマスク層2を、その断面形状が逆テーパ形状またはオーバーハング形状に加工する工程を示す。
【0054】
まず、図3に示す工程について説明する。基板1上に液状のレジストを塗布する、またはフィルム状のレジストを積層して1層目のマスク層2aを形成する(図3(a))。そして、マスク層2a側から第1のレーザ光を照射して開口パターンを形成する(図3(b))。この開口パターンの断面形状は、基板1面に向かうにつれて狭くなっており、いわゆる順テーパ形状を有している。次いで、この1層目のマスク層2a上に、フィルム状のレジストを積層して2層目のマスク層2bを形成する(図3(c))。そして、マスク層2b側から第1のレーザ光を照射して開口パターンを形成する(図3(d))。2層目のマスク層2bの開口パターンの形成は、その開口部の大きさが1層目のマスク層2aに形成した開口パターンの開口部の大きさよりも小さくなるように行う。これにより、図3(d)に示すように、開口パターンにおける2層目のマスク層2bの端部が1層目のマスク層2aの端部よりも突き出た形状となり、オーバーハング形状の開口パターンを形成することができる。そして、回路パターンを形成するための薄膜3を成膜する(図1(d)・図3(e))。
【0055】
また、マスク層を乾式条件によって逆テーパ形状またはオーバーハング形状に加工する方法は、上記マスク層を2層形成する方法の他に、第1のレーザ光の焦点を変えて2回照射する方法によって行うこともできる。この工程を図4に示し、具体的に説明する。まず、基板1上に液状のレジストを塗布する、またはフィルム状のレジストを積層してマスク層2を形成する(図4(a))。そして、マスク層2側から第1のレーザ光を照射することにより、マスク層2は順テーパ形状に加工される(図4(b))。その後、第1のレーザ光の焦点を基板1側に移動させて再度レーザ光を照射する。これにより、マスク層2の開口パターンの断面形状は、順テーパ形状の途中から逆テーパ形状に加工された形状となる(図4(c))。これは、1回目のレーザ光照射にて順テーパ形状に加工されているため、2回目のレーザ光照射の際にはレーザ光のエネルギーを吸収するレジストがなく、基板1面に近い焦点近傍で横方向のレジストにエネルギーが加えられるためである。そして、回路パターンを形成するための薄膜3を成膜する(図1(d)・図4(d))。
【0056】
したがって、例えば、基板1とマスク層2との間に、第1のレーザ光を透過しない無機材料薄膜(レーザ光無透過薄膜)、特に反射性の薄膜材料(反射性薄膜)が形成されているような場合には、上記原理を効率的に利用することができる。すなわち、基板1とマスク層2との間にこのようなレーザ光無透過薄膜がある場合には、第1のレーザ光の焦点位置をあらかじめ基板1側にずらしておけば、照射した第1のレーザ光は、レーザ光無透過膜によってマスク層2の基板側部分で横方向のレジストにエネルギーを加えることができる。さらに、反射性薄膜がある場合には、反射の効果でマスク層2をより一層加工することができ、マスク層2はその裾野がより大きくなるように加工される。その結果、第1のレーザ光を1回照射するだけで、開口パターンの断面形状が逆テーパ形状となるように、または順テーパ形状の途中から逆テーパ形状となるように加工することができる。
【0057】
さらに、マスク層を乾式条件によって逆テーパ形状またはオーバーハング形状に加工する方法は、上記2つの方法の他に、レーザ光の照射方向を変えて照射する方法によって行うこともできる。すなわち、基板1がガラス等のレーザ光を透過する材料から構成されている場合に、基板1上にマスク層2が形成された状態で基板1側から第1のレーザ光を照射することにより、マスク層2に逆テーパ形状の開口パターンを直接形成する方法である。この工程を図5に示し、具体的に説明する。まず、基板1上に液状のレジストを塗布する、またはフィルム状のレジストを積層してマスク層2を形成する(図5(a))。そして、基板1側(マスク層2が形成されていない側)から第1のレーザ光を照射する。これにより、基板1を透過したレーザ光がマスク層2を加工して、マスク層2に断面形状が逆テーパ形状となる開口パターンを形成することができる(図5(b))。そして、回路パターンを形成するための薄膜3を成膜する(図1(d)・図5(c))なお、この方法を用いる場合には、基板1としてレーザ光を透過する材料を用いる必要があるものの、1回のレーザ光照射で確実に逆テーパ形状の開口パターンを形成することができるので、最も効率よく逆テーパ形状の開口パターンを形成することができる方法である。また、マスク層2の厚さが厚い場合には、図4(b)に示すようなマスク層2側からの加工を施した後に、基板1側から第1のレーザ光を照射すれば、より良好な逆テーパ形状の開口パターンを形成することができる。
【0058】
これにより、上記した各方法のいずれか、または各方法を組み合わせて用いれば、マスク層2がどのような材料からなる場合であっても、乾式条件にて、特にレーザを用いた方法にて、マスク層2をその断面形状が逆テーパ形状またはオーバーハング形状となるように開口パターンを形成することが可能となる。
【0059】
次に、マスク層2とマスク層2上に形成された薄膜3とを機械的に剥離する。これにより、薄膜からなる回路パターンが露出する(図2(a)、剥離工程)。ここで、本来、レジストは低粘性であるため、レジストが基板1表面の微細な凹凸に浸透する。このため、マスク層2は基板1に対して数十nm(数オングストローム)まで接近することとなり、化学的接着力(例えば、ファンデルワールス力、水素結合等)や、機械的接着力(アンカー効果等)を発現させる。マスク層2と基板1との接着性は、この化学的接着力や機械的接着力に依存する。したがって、マスク層2とマスク層2上に形成された薄膜3とを機械的に剥離するためには、このマスク層2と基板1との接着性を低下させるまたは無くす(以下、これらをまとめて単に「接着性を低下させる」と記載する)ことが必要である。本発明のパターン形成方法では、光および/または熱によってこれらの接着性を低下させることとしている(接着力低下工程)。以下、具体的に説明する。
【0060】
まず、光によって接着性を低下させる方法について説明する。マスク層2上に薄膜3を成膜した後、基板1側から光を照射する。これにより、レジストが光重合反応を起こして硬化・収縮する。その結果、マスク層2と基板1との接着性が低下する。したがって、この場合、レジストの材料としては、光の照射により重合反応を起こす成分を含む材料を用いればよく、例えば感光性樹脂を用いることができる。また、照射する光としては、レジストが重合反応するような光であればよく、例えば紫外線を用いることができる。さらに、レジスト材料の種類が異なる場合には、それら各レジスト材料に対応した波長の光を用いて照射すればよい。
【0061】
次に、熱によって接着性を低下させる方法について説明する。マスク層2上への薄膜3の成膜中または成膜後に加熱する。これにより、レジストが熱重合反応を起こして硬化・収縮する。その結果、マスク層2と基板1との接着性が低下する。したがって、この場合、レジストの材料としては、熱によって重合反応を起こす成分を含む材料を用いればよい。また、加熱による方法は、例えば基板1に不透明な材料を用いている等、光を透過しない場合には特に有効である。
【0062】
さらに、上記光や熱を用いた方法は、それぞれの特徴を生かして適宜組み合わせることによって、より効果的に接着性を低下させることが可能となる。また、これら光や熱を用いた方法以外にも、マスク層2の剥離性を増す方法としては、加熱発泡による方法や相転換ポリマを利用した方法等を適用することも可能である。
【0063】
その後、接着性が低下したマスク層2を、マスク層2上に形成された薄膜3とともに機械的に剥離する。この機械的剥離方法としては、マスク層2を薄膜3ごと剥離させることができる方法であれば特に限定されるものではないが、例えば、マスク層2の端部から引き剥がす方法、マスク層2上に成膜された薄膜3に接着する部材を用いて剥離させる方法、減圧状態で吸引して剥離させる方法、高圧の気体を吹き付けてマスク層2を吹き飛ばして剥離させる方法、ブラシ等でこすることにより剥離させる方法等を挙げることができる。上記いずれの場合も、マスク層2の接着性が低下しているため容易に剥離させることが可能である。
【0064】
マスク層2の端部から引き剥がす方法としては、具体的には、マスク層2の端部を摘み、端部から徐々に剥がしていく方法や、ローラ等を用いてマスク層2上に成膜された薄膜3をローラに吸着させた後に、ローラを回転させてマスク層2を薄膜3ごと剥離させる方法を挙げることができる。また、マスク層2上に成膜された薄膜3に接着する部材を用いて剥離させる方法としては、具体的には、接着テープ等の接着部材を用いて薄膜3を接着テープに吸着させて剥離させる方法や、接着テープをローラに取り付け、接着テープに薄膜3を吸着させながらローラを回転することによって剥離させる方法を挙げることができる。
【0065】
また、減圧状態で吸引して剥離させる方法は、マスク層2上に薄膜3を成膜した後に減圧することにより、マスク層2を薄膜3ごと剥離させる方法である。この場合、マスク層2および薄膜3を剥離させることができる程度に減圧すればよい。また、高圧の気体を吹き付けてマスク層2を吹き飛ばす方法とは、マスク層2上に薄膜3を成膜した後に、気体を吹き付けることにより、マスク層2を薄膜3ごと剥離させる方法である。この場合、マスク層2および薄膜3を剥離させることができる程度の圧力で気体を吹き付ければよい。
【0066】
なお、上記のマスク層2およびマスク層2上に成膜された薄膜3を機械的に剥離するために、マスク層2上には、薄膜3が成膜されていない領域を設けることが好ましい。このように、薄膜3が成膜されていない領域を設けることにより、マスク層2が露出して機械的な剥離を容易に行うことが可能となる。薄膜3が成膜されていない領域は、マスク層2端部(すなわち、基板1端部に位置するマスク層2)の領域にあればよく、機械的な剥離を容易に行うことができる程度の大きさとすればよい。
また、マスク層を第2のレーザ光照射により剥離させることもできる。例えば第2のレーザ光としてエキシマレーザ光やYAGレーザ光、等を用いて、アブレーションと熱エネルギーとの併用によってマスク層2を蒸発除去する方法を挙げることができる。この場合、露光・現像・洗浄を行わずに、露光時点で直接除去することができるため、非常に効率よく加工することができる。
【0067】
以上のように、乾式条件にてマスク層2の開口パターンを形成し、機械的剥離にてマスク層2と、マスク層2上に成膜された薄膜3とを除去することによって、工程数を大幅に削減することができるとともに、湿式条件を含まないパターン形成方法とすることが可能になる。その結果、低コストかつ低環境負荷にてパターンを形成することができる。
【0068】
その後、さらに基板1上および薄膜3上にマスク層4を形成し、乾式条件にて開口パターン(レジストパターン)を形成する(図2(b))。次いで、基板1上の全面に絶縁層5を成膜し(図2(c))、不要な絶縁層5をマスク層4とともに機械的に剥離する(図2(d))。これにより、薄膜からなる回路パターンが形成された電子回路が製造される。
以下に、本発明のパターン形成方法に用いる基板、マスク層、レーザ光および薄膜層について詳述する。
【0069】
<基板>
上記基板は、後述するレーザ光を透過する材料(本発明においては透過率80%以上の材料)で構成されていれば特に限定されず、その具体例としては、ガラス基板が好適に挙げられる。
上記基板が後述するレーザ光が透過する材料で構成されていれば、上記開口部形成工程において、1回のレーザ光照射で確実に開口パターンを形成することができ、また、上記剥離工程において、マスク層および薄膜層が形成されていない基板側からのレーザ光照射で不要なマスク層を剥離することができる。
【0070】
<マスク層>
上記マスク層は、後述するレーザ光の照射で除去可能な、いわゆるアブレーションを引き起こす材料(以下、単に「マスク層形成材料」ともいう。)で構成されていれば特に限定されず、有機材料で構成されていても無機材料で構成されていてもよい。なお、本発明においては、このようなマスク層形成材料は、開口パターンの形成を後述するレーザ光のみを用いた乾式条件下で行うため、感光性でなくてもよい。
このような有機材料としては、具体的には、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、四フッ化エチレン樹脂等が挙げられる。
このような無機材料としては、基板側よりレーザ光を照射する場合、Cr層/CrO層(/基板側)、基板と反対側のマスク層側よりレーザ光を照射する場合、CrO層/Cr層(/基板側)等が挙げられ、他にC(カーボン)層が例示される。また前記Cr層およびCrO層とはN(窒素原子)やC(炭素原子)を少量(10質量%以下)含んでいてもよい。これらのうち、Cr層/CrO層であるのが、得られるマスク層の耐久性と吸光率に優れる理由から好ましい。
【0071】
また、上記マスク層は、顔料または染料を10〜99質量%、好ましくは20〜99質量%含有するマスク層形成材料で構成されているのが好ましい。顔料または染料としては黒色顔料または黒色染料であるのが好ましい。
ここで、黒色顔料および/または黒色染料は、マスク層のレーザ光に対する吸収率を上昇させる化合物であれば特に限定されず、その具体例としては、カーボンブラック、チタンブラック、硫化ビスマス、酸化鉄、アゾ系酸性染料(例えば、C.I.Mordant Black17)、分散系染料、カチオン系染料等が好適に挙げられる。これらのうち、カーボンブラック、チタンブラックであるのが全てのレーザ光に対して高い吸収率を有する理由から好ましい。
このような黒色顔料およびまたは黒色染料を10〜99質量%含有するマスク層を用いることにより、後述するレーザ光に対する吸収率が増加することから、エネルギー密度の低い(例えば、0.1〜1J/cm程度)レーザ光によっても十分にパターン形成(開口部形成)することができ、かつマスク層を剥離させることができる。これにより、基板上に残存させる薄膜層に確実にダメージを与えずに不要なマスク層のみを容易かつ確実に剥離することができる。
【0072】
本発明のパターン形成方法においては、このようなマスク層形成材料で構成される上記マスク層は、後述するレーザ光に対する吸収率が、該マスク層と組み合わせて用いられる基板および薄膜層の該レーザ光に対する吸収率よりも大きくなるように、好ましくは2倍、より好ましくは3倍、さらに好ましくは5倍大きくなるようにする。これにより、上記剥離工程において、不要なマスク層のみをより容易にかつより確実に剥離することができるという効果を奏する。
また、本発明のパターン形成方法においては、上記マスク層の後述する第1および/または第2のレーザ光に対する吸収率が70%以上であることが、効率よくレーザ加工できるという理由から好ましい。
さらに、本発明のパターン形成方法においては、上記マスク層の膜厚は、後述するレーザ光により開口部を形成する観点から、有機材料で構成されている場合は5〜8μmであることが好ましく、無機材料で構成されている場合は0.01〜2μmであることが好ましい。
【0073】
<レーザ光>
第1のレーザ光および第2のレーザ光は、波長が500〜1500nm、エネルギー密度が0.1〜5J/cm、好ましくは0.5〜3J/cmのレーザ光を用いるのが、開口部を効率よく形成でき、かつ残渣なくマスク層を剥離することができ好ましい。このようなレーザ光としては、具体的には、YAGレーザ光(波長:1064nm)、YAGレーザ光(波長:532nm)等が挙げられる。
また、マスク層が、黒色顔料および/または黒色染料を10〜99質量%、好ましくは20〜99質量%含有するマスク層形成材料で構成されている場合、波長が500〜1500nm、エネルギー密度が0.1〜1J/cmのレーザ光を用いるのが好ましい。このようなレーザ光としては、具体的には、YAGレーザ光(波長:1064nm)、YAGレーザ光(波長:532nm)等が挙げられる。
このようなレーザ光を用いることにより、上記剥離工程において、基板上に残存させる薄膜層にダメージを与えずに上記マスク層のみを容易にかつ確実に剥離することができる。なお、第1のレーザ光および第2のレーザ光の波長、エネルギー密度等は同じであっても異なっていてもよい。
【0074】
<薄膜層>
薄膜層は、上述したレーザ光の照射で不要なマスク層が剥離される場合に、アブレーションを引き起こさない材料で構成されていれば特に限定されず、その具体例としては、金属、半導体、ガラス、セラミックス等の無機材料を挙げることができる。
具体的には、金属としては、Cr、Cu、Au、Ag、Pt、Pd、Sn、Al、Ti、Ni、Wおよびこれらの化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましく、半導体としては、Si、Ge、Al、Ga、As、In、P、Sbから2つ以上選び出した組み合わせからなる化合物半導体であることが好ましく、ガラスまたはセラミックスとしては、SiO、SiN、Bi、PbO、In、SnO、SiC、ZnO、Al、TiO2、Ta、Sbおよびこれらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。
これらのうち、SnドープIn(ITO)を用いるのが、透明性および抵抗値の観点ならびにディスプレイパネル用の電極に好適に用いることができる観点から好ましい。
【0075】
本発明のパターン形成方法においては、上記レーザ光を用いることにより、露光や現像を行うことなく、上記マスク層に開口部を形成し、かつ、基板上に残存させる上記薄膜層にダメージを与えずに該マスク層のみを容易にかつ確実に剥離することができる。なお、上記レーザ光を用いた上記マスク層の開口部形成および剥離は、該レーザ光によるアブレーションと熱エネルギーとの併用によるマスク層の蒸発除去に起因するものである。
薄膜層の形成方法は限定されないが、スパッタ法により形成されるのが好ましく、スパッタ法によればマスク層にあけられた開口部に容易に薄膜層が形成できる。
【0076】
また、上記マスク層2・4に用いられる材料としては、例えば、ポリエチレン化合物、ポリイミド化合物、ポリエステル化合物、四フッ化エチレン化合物等の有機化合物を挙げることができる。さらに、上記絶縁層5に用いられる材料としては、例えば、エポキシ化合物、ウレタン化合物、ポリエチレン化合物、ポリイミド化合物、ポリエステル化合物、四フッ化エチレン化合物等の有機化合物を挙げることができる。開口パターンの形成を乾式条件下にて行うため、マスク層2・4の材料は感光性でなくてもよい。
【0077】
また、本発明のパターン形成方法では、パターンを形成するための装置が、減圧された密閉容器内(真空容器内)、または化学的気相成長法であるCVD(Chemical Vapor Deposition)等に用いられるガスが充填された密閉容器内に格納されていてもよい。すなわち、本発明のパターン形成方法における薄膜の成膜は、減圧下(真空下)にて行うこともでき、化学的気相成長法にて行うこともできる。
【0078】
なお、上記では、薄膜が1層の場合について述べたが、本発明は、複数層の薄膜を形成する場合にも適用することができる。複数層の薄膜を形成する場合には、上述の工程を複数回行ってもよく、次に説明する方法によって行うこともできる。例えば、複数層が2層である場合を例に挙げて説明すると、上記工程にて薄膜3を形成する前または後に、第2の薄膜を形成し、この第2の薄膜にレーザ光を照射することによって、直接除去加工する方法である。なお、第2の薄膜とは、上記薄膜3とは異なる薄膜のことである。
【0079】
具体的に説明すると、まず、レーザ光の照射によって直接除去加工が可能な材料を用いて、上記マスク層形成工程の前または上記剥離工程の後に基板上に第2の薄膜を形成する。そして、第2の薄膜に第3のレーザ光を照射し、所望のパターンとなるように第2の薄膜の一部を直接除去(ダイレクトパターニング)する。これにより、第2の薄膜からなるパターンを容易に形成することができる。
【0080】
また、上記剥離工程の後に第2の薄膜層の形成を行った場合には、後述するレーザ光の照射による該第2の薄膜層のダイレクトパターニングは、基板1上および薄膜3上に形成された第2の薄膜層に対して、特に、該第2の薄膜層のうち基板1上に直接形成された部分に対して行えばよい。
一方、上記マスク層形成工程前に第2の薄膜層の形成を行った場合には、後述する第3のレーザ光の照射による該第2の薄膜層のダイレクトパターニングは、薄膜3を形成するためのマスク層の形成前に(すなわち、基板1上に第2の薄膜層のみが形成された状態で)行ってもよく、薄膜3の形成後に(すなわち、第2の薄膜層上の薄膜3が本発明のパターン形成方法によってパターン化された後に)行ってもよい。なお、上記マスク層形成工程前に第2の薄膜層の形成を行う場合において、第2の薄膜層のダイレクトパターニングを薄膜3の形成後に行う場合は、薄膜3を形成するためのマスク層は、基板1上ではなく、加工する前の(パターン形成されていない)第2の薄膜上のみに形成すればよいため、さらに一層効率的かつ高精度のパターンを形成することが可能となる。
【0081】
第2の薄膜層をダイレクトパターニングするための第3のレーザ光は、エキシマレーザ光やYAGレーザ光等であって、上述したマスク層の開口および剥離に用いるレーザ光(波長が500〜1500nm、エネルギー密度が0.1〜5J/cmのレーザ光)よりもエネルギー密度が高いことが好ましい。具体的には、波長が500〜1500nm、エネルギー密度が3〜40J/cmのレーザ光を用いることが好ましい。
【0082】
また、第2の薄膜の形成を、薄膜3の形成後に行う場合には、第3のレーザ光の照射による第2の薄膜の除去は、第2の薄膜形成後に行えばよい。一方、第2の薄膜の形成を、薄膜3の形成前に行う場合には、第3のレーザ光の照射による第2の薄膜の除去は、薄膜3を形成するためのマスク層形成の前に行ってもよく、薄膜3形成後に行ってもよい。
【0083】
従って、レーザ光によって薄膜を直接除去加工する方法を用いれば、パターンを形成する方法の自由度が増す。また、第2の薄膜の形成を薄膜3の形成前に行う場合、第2の薄膜の除去を薄膜3の形成後に行えば、薄膜3を形成するためのマスク層を、第2の薄膜上および基板1上ではなく、加工する前の(パターン形成されていない)第2の薄膜上のみに形成すればよいため、さらに一層効率的かつ高精度のパターンを形成することが可能となる。
【0084】
なお、第2の薄膜を直接除去加工するための第3のレーザ光としては、エキシマレーザ光やYAGレーザ光等を用いることができる。また、第2の薄膜に用いることのできる材料は、第3のレーザ光の照射によって直接除去加工が可能な材料であればよく、例えば、In、SnO等の酸化物やCr、Ti等の金属を挙げることができる。すなわち、第2の薄膜の材料および用いるレーザ光とは組合せに応じて適宜選択すればよい。
【0085】
以上のように、本発明のパターン形成方法は、マスク層2・4の開口パターンを乾式条件にて形成し、不要なマスク層2・4を、不要な薄膜3や絶縁層5ごと機械的に剥離するものであり、これに加えて、ドライフィルムの貼り付けによるマスク層2・4の形成や、真空蒸着、EB(Electron Beam)蒸着、スパッタリング、CVD等の薄膜3の成膜方法と組み合わせることにより、本発明の課題を解決することができるものである。
【0086】
また、本発明のパターン形成方法は、乾式条件でパターンを形成し、乾式条件で不要なマスク層2・4を、不要な薄膜3や絶縁層5ごと引き剥がすことから、ドライ・リフトオフ法と言うことができ、本発明の工程を示す図1および図2と、従来のフォトリソプロセスである図14および図15、並びにウェットリフトオフプロセスである図19および図20とを比較すると、本発明のパターン形成方法は、約6割の工程数で行うことが可能となる。この工程数の削減による簡易化および低コスト化は、製品である電子回路を製造するために、回路パターンの形成を多数回行う場合に、より顕著な差となって現れる。
【0087】
また、上記薄膜3あるいは絶縁層5に用いられる材料で、レーザ光の直接照射、などにより直接除去加工が可能な材料の場合は、直接パターン形成することができるので、ドライ・リフトオフ法と組み合わせることにより、より効率の良い乾式条件下におけるパターン形成方法を提供することができる。
【0088】
さらに、本発明のパターン形成方法は、マスク層の開口パターン解像度に依存する0.1μm前後の微細高精度パターンの形成が可能であるとともに、フラットパネルディスプレイ等の大画面サイズのパターン形成にも好適に用いることができる。これにより、高精度、低環境負荷、かつコストパフォーマンスに優れたパターン形成方法と、これにより製造される電子回路と、これを用いた電子機器を提供することができる。
【実施例】
【0089】
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0090】
(実施例1)
本実施例では、LSI(Large−Scale Integration)を高密度に搭載した高密度電子回路モジュールを作成するために、薄膜を用いた電極および配線を形成する工程に適用する例について図6ないし図10に基づいて説明する。図6は、2個のLSIが搭載された薄膜回路パターンの一部を示す断面図である。図6に示すように、ガラス基板6の上には、12個の端子を有するLSI7と接続剤8を介して接続されている電極9と、電極9間をつなぐ配線パターン10とが形成されている。図7は、2個のLSI7を搭載する前の、電極9と配線パターン10とを部分的に示した平面図である。なお、図6は、図7におけるA−A’線矢視断面図である。図8は、図7で形成した配線パターン10を絶縁層11で覆い、電極9のみを露出させた状態を示す平面図であり、高密度電子回路モジュールが完成した状態を示している。
【0091】
ここで、本実施例におけるパターン形成方法について、図6ないし図10を参照しながら詳細に説明する。電極9および配線パターン10は、下層/中層/上層の順に、Cr(約0.1μm)/Cu(約2μm)/Au(約0.05μm)の3層で構成された金属材料からなり、Crはガラス基板6との接着、Cuは低抵抗配線として、Auは接続の際の表面保護およびCuの酸化・防食などの目的で使用する。ただし、目的に応じてAl、Ni、Ti、W等を用いることもできる。これら各金属層の薄膜をスパッタリング方式で真空成膜により形成する。
【0092】
図9および図10は、本実施例の薄膜回路パターンを形成する工程を示す図である。薄膜回路パターンを形成する工程は、(1)レジストフィルムの貼り付け工程(図9(a)・(b))、(2)レーザ光照射によるレジストパターン形成工程(図9(c))、(3)薄膜成膜工程(図10(a))、(4)UV照射によるレジスト接着性低下工程(図10(b))、(5)マスク層を機械的に剥離する工程(図10(c)・(d))からなる。図9(b)に示すように、まず、ガラス基板6上に、厚さ25μmの感光性ドライフィルムレジストをフィルムラミネータ12で均一に貼り付ける。その後、ガラス基板6を減圧チャンバ14に入れて、エキシマレーザ光やYAGレーザ光を、減圧チャンバ14の開口窓から回路パターンマスク15を介して照射する(図9(c))。これにより、レジストフィルム13のレジストパターンの断面形状が逆テーパ形状となるように、アブレーション加工を行ってレジストパターンを形成する。その後、このガラス基板6をスパッタ成膜装置16に入れ、ガラス基板6およびレジストフィルム13上に、Cr・Cu・Auをこの順で連続スパッタ成膜する(図10(a))。これら金属薄膜層17の厚さの合計は約2〜3μmであり、金属薄膜層17は、レジストフィルム13上とガラス基板上6とに完全に分離して成膜される。
【0093】
この後、ガラス基板6裏面から紫外線硬化装置17(例えば、商品名:メタルハライドランプ、ウシオ電機製、波長300〜450nm)を用いて紫外線を照射して、ガラス基板6とレジストフィルム13との接着力を低下させる(図10(b))。その後、ロール18を有する剥離機で、不要なレジストフィルム13をガラス基板6端部からゆっくりとロール18に巻き取るように引き剥がす(図10(c))。これにより、ガラス基板6上に回路パターンを形成することができる。また、ロール18表面にレジストフィルム13と接着する剥離テープ19を設けることにより、不要なレジストフィルム13を巻き取る際に、レジストフィルム13がこの剥離テープと接着するため、より容易に剥離させることができる(図10(d))。
【0094】
なお、金属薄膜層17を成膜する際に、マスク等を用いてガラス基板6端部のレジストフィルム13上に金属薄膜層が形成されないようにした場合には、レジストフィルム13を剥離する際に、端部の露出しているレジストフィルム13をロール18に接着させて巻き取ることによって、より確実にレジストフィルム13をガラス基板6から剥離できる。
【0095】
(実施例2)
次に、第2の実施例に係るパターン形成方法について、フラットパネルディスプレイの代表として、プラズマディスプレイ(以下、「PDP」と称する)を一例に挙げて図11ないし図14に基づき説明する。図11は、PDPの表示面側のガラス基板20上に形成された代表的な電極配線パターンを示している。図12は、図11の点線円部21を拡大した図を示している。電極の典型的な構成としては、ITOやSnO等からなる透明電極22と、電源供給ラインとしてのCr/Cu/CrやCr/Al/Cr等からなるバス電極23とが一体となって、表示画素数に対応した多数の直線状パターンからなっている。図13および図14に示す本実施例の電極配線パターンにおいては、透明電極22およびバス電極23の2層を形成するものであり、いずれの層も図9および図10とほぼ同様の工程で作ることができる。ただし、透明電極パターン(SnO)を形成した後に、透明電極22上のバス電極(Cr/Cu/Cr)パターンを形成する際、透明電極22上のレジストフィルムの接着力とガラス基板20上のレジストフィルムの接着力とが異なるため、実施例1に比較して、紫外線強度を1.5倍程度上げて照射し、レジストフィルムが完全に剥離できる条件で行う。これにより、透明電極22を介してもいわゆるドライ・リフトオフ法で所望の薄膜回路パターンが形成される。
【0096】
図13は、図12のB−B’線矢視断面図を示している。図13に示す実施例は、基板20上に透明電極22を形成した後に、バス電極23を形成したものである。図13に示すように、レジストマスクを用いて複数の層からなる薄膜を形成する場合、開口パターンの端部からわずかにスパッタ原子が染み出して成膜されるため、薄膜は層のエッジが丸くなるように成膜される。さらに、後から成膜される層は、下層の端部を覆うように成膜される。特に、Cr/Cu/Crからなるバス電極23の場合には、酸化・腐食し易いCuをCrが最後に覆うため、Cuが露出しないという大きなメリットが期待できる。そして、図13に示す実施例はエッチングする必要がないので、これまでエッチングが難しく、製品適用が十分でないAuやSnOなどに対しても適用できるという大きなメリットがある。
【0097】
さらに、図14は図13のバス電極23と透明電極22との構成を逆にした例を示している。すなわち、図14に示す構成では、基板20上にバス電極23を形成した後に、透明電極22を形成した。このような構成とすることにより、反応性の高い金属薄膜(バス電極23)を透明電極22が覆うため、さらに信頼性の高い薄膜回路パターンを形成することができる。
【0098】
また、図13および図14に示す透明電極22は、上記図9および図10と同様の工程にて形成することの他に、レーザ光の照射による除去加工によっても形成する。すなわち、ITOやSnOなどからなる透明電極22は、エキシマレーザ光あるいはYAGレーザ光の照射によって直接容易に除去加工ができるので、図13および図14のバス電極(Cr/Cu/Cr)23をドライリフト法で形成した後、エキシマレーザ光あるいはYAGレーザ光を照射して直接除去加工を行う。これにより、乾式条件下で、より効率よく所望の薄膜回路パターンを同様に得ることができる。
【0099】
なお、図14に示す構成では、透明電極22に用いる薄膜を形成し、レーザ光による直接加工を行った後にバス電極23を形成してもよく、透明電極22に用いる薄膜を形成し、この薄膜上にバス電極23を形成した後に、透明電極22のレーザ光による直接除去加工を行ってもよい。
【0100】
なお、上記実施例1および2では、電子機器の薄膜回路パターンの形成と、フラットディスプレイパネルの代表であるPDPとを例に挙げて説明したが、他のフラットディスプレイ製品や光導波路モジュール等の有機材料、無機材料からなる薄膜パターンを有する全ての場合に適用できることは言うまでもない。さらに、上記実施例1および2で取り上げた以外の材料、および成膜方式、例えば真空蒸着やイオンプレーティングなどの物理的気相成長法であるPVD(Physical Vapor Deposition)や、化学的気相成長法である各種CVD等に適用できることは言うまでもない。
【0101】
(実施例3)
実施例に係るパターン形成方法について、フラットパネルディスプレイの代表として、PDPを一例に挙げて図9〜図14に基づき説明する。
ここで、図11は、PDPの表示面側のガラス基板上に形成された薄膜回路パターン(電極配線パターン)の概略構成を示す平面図である。図12は、図11の点線円部21を拡大した概略構成を示す平面図である。
また、本実施例の電極配線パターンは、図13または図14(それぞれ実施例3における薄膜回路パターンの概略構成を示す断面図)に示すように、透明電極22およびバス電極23の2層を形成したものであり、具体的には、ITOからなる透明電極(薄膜層)22と、電源供給ラインとしてのCr/Cu/Crからなるバス電極(薄膜層)23とが一体となって、表示画素数に対応した多数の直線状パターンからなっている。
なお、本実施例においては、マスク層として、カーボンブラックを40質量%含有するアクリル系樹脂からなるマスク層形成材料からなるフィルム(以下、単に「マスクフィルム」という。)を用い、レーザ光として、波長が1064nm、エネルギー密度が0.5J/cmのYAGレーザ光を用いる。
【0102】
マスクフィルムならびに透明電極およびバス電極からなる薄膜層は、図9および図10に示す薄膜回路パターンを形成する工程により形成する。
図9および図10に示すように、薄膜回路パターンは、(1)マスクフィルムの貼り付け工程(図9(a)・(b))、(2)レーザ光照射による開口パターン形成工程(図9(c))、(3)薄膜成膜工程(図10(a))、(4)レーザ光照射によるマスク層の剥離工程(図10(b))を具備する。
具体的には、まず、ガラス基板11上に、厚さ25μmのマスクフィルム13をフィルムラミネータ12で均一に貼り付ける(図9(b))。次に、ガラス基板11を減圧チャンバ14に入れて、YAGレーザ光を、減圧チャンバ14の開口窓から回路パターンマスク15を介して照射する(図9(c))。これにより、マスクフィルム13の開口パターンの断面形状が逆テーパ形状となった。その後、このガラス基板11をスパッタ成膜装置16に入れ、ガラス基板11およびマスクフィルム13上に、薄膜層17をスパッタ成膜により形成する(図10(a))。この薄膜層17の厚さは約2〜3μmであり、該薄膜層17は、マスクフィルム13上とガラス基板上11とに完全に分離して成膜される。
次いで、レーザ光をマスク層が形成されていない基板側から照射することにより、マスク層とマスク層上に形成された薄膜層とを剥離する(図10(b))。レーザ光の波長およびエネルギー密度は、マスク層の開口パターンを形成した場合と同様である。こうして、透明電極およびバス電極を上記工程により作成することで図13または図14の電極配線パターンを形成する。
【0103】
電極配線パターンが、図13(図12のB−B’線矢視断面図)に示す態様の電極である場合、電極配線パターンは、ガラス基板20上に透明電極22を上記方法により形成した後に、バス電極23を上記方法により形成することにより形成される。
図12に示すように、回路パターンマスクを用いて複数の層からなる薄膜層を形成する場合、開口パターンの端部からわずかにスパッタ原子が染み出して成膜されるため、薄膜は層のエッジが丸くなるように成膜される。さらに、後から成膜される層は、下層の端部を覆うように成膜される。特に、Cr/Cu/Crからなるバス電極23の場合には、酸化・腐食し易いCuをCrが最後に覆うため、Cuが露出しないという大きなメリットが期待できる。そして、図13に示す実施例はエッチングする必要がないので、これまでエッチングが難しく、製品適用が十分でないAuやSnOなどに対しても適用できるという大きなメリットがある。
【0104】
また、図14は、図13のバス電極23と透明電極22との構成を逆にした例を示している。すなわち、図14に示す態様の電極(薄膜層)では、ガラス基板20上にバス電極23を形成した後に、透明電極22を形成する。このような構成とすることにより、反応性の高い金属薄膜であるバス電極23を透明電極22が覆うため、さらに信頼性の高い薄膜回路パターンを形成することができる。
【0105】
図13および図14に示す透明電極22は、上述したとおり、図9および図10の工程により形成してもよいが、レーザ光の照射によるダイレクトパターニングによっても形成してもよい。すなわち、ITOからなる透明電極22は、YAGレーザ光(エネルギー密度:3mJ/cm以上)の照射によって直接容易に除去加工ができるので、図13および図14のバス電極23をドライリフト法で形成した後、YAGレーザ光を照射して直接除去加工を行う。これにより、乾式条件下で、より効率よく所望の薄膜回路パターンを同様に得ることができる。
【0106】
なお、図14に示す電極の構成では、透明電極22に用いる薄膜を形成し、レーザ光によるダイレクトパターニングを行った後にバス電極23を形成してもよく、透明電極22に用いる薄膜を形成し、この薄膜上にバス電極23を形成した後に、透明電極22のレーザ光によるダイレクトパターニングを行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0107】
以上のように、本発明に係るパターン形成方法は、乾式条件により行うことで工程数を削減することが可能となり、低コストおよび低環境負荷を実現するものである。そのため、例えば、半導体やPDP等のフラットパネルディスプレイ等のようにフォトリソグラフィ工程の多いプロセスから製造される製品に特に好適に用いることができる。したがって、回路基板等を製造する電子部品産業や、回路基板を用いた電子機器産業等に広く適用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にマスク層を形成するマスク層形成工程と、
上記マスク層に開口部を形成する開口部形成工程と、
上記基板上およびマスク層上に薄膜層を形成する薄膜層形成工程と、
上記マスク層および/または該マスク層上に形成された薄膜層を基板から剥離する剥離工程とを含むパターン形成方法であって、
上記開口部形成工程は、乾式条件下で行われることを特徴とするパターン形成方法。
【請求項2】
上記開口部は、マスク層に第1のレーザ光を照射することにより形成される請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項3】
上記開口部は、マスク層に第1のレーザ光を前記基板側から照射することにより形成される請求項2に記載のパターン形成方法。
【請求項4】
前記マスク層の前記第1のレーザ光に対する吸収率が、前記基板および前記薄膜層の前記レーザ光に対する吸収率よりも大きい請求項2または3に記載のパターン形成方法。
【請求項5】
前記第1のレーザ光が、波長が500〜1500nm、エネルギー密度が0.1〜5J/cmのレーザ光である請求項2、3または4に記載のパターン形成方法。
【請求項6】
前記マスク層の前記第1のレーザ光に対する吸収率が、前記基板および前記薄膜層の前記レーザ光に対する吸収率の2倍以上である請求項2ないし5のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項7】
前記マスク層の前記第1のレーザ光に対する吸収率が、70%以上である請求項2ないし6のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項8】
上記剥離工程は、乾式条件下で行われる請求項1ないし7のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項9】
上記剥離工程において、マスク層および/または該マスク層上に形成された薄膜層を、接着部材で接着して剥離する、または減圧吸引することにより剥離する請求項1ないし7のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項10】
上記剥離工程において、マスク層および/またはマスク層上に形成された薄膜層を、第2のレーザ光を照射することにより剥離する請求項1ないし7のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項11】
前記マスク層の前記第2のレーザ光に対する吸収率が、前記基板および前記薄膜層の前記レーザ光に対する吸収率よりも大きい請求項10に記載のパターン形成方法。
【請求項12】
前記第2のレーザ光が、波長が500〜1500nm、エネルギー密度が0.1〜5J/cmのレーザ光である請求項10または11に記載のパターン形成方法。
【請求項13】
前記マスク層の前記第2のレーザ光に対する吸収率が、前記基板および前記薄膜層の前記レーザ光に対する吸収率の2倍以上である請求項10、11または12に記載のパターン形成方法。
【請求項14】
前記マスク層の前記第2のレーザ光に対する吸収率が、70%以上である請求項10ないし13のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項15】
前記マスク層が、黒色顔料もしくは黒色染料を10〜99質量%含有する材料で構成されている請求項1ないし14のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項16】
上記マスク層は、基板上に液状のレジストを塗布する、または、基板上にフィルム状のレジストを積層することにより形成される請求項1ないし15のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項17】
上記マスク層は、減圧下で形成される請求項1ないし15のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項18】
上記マスク層は、エポキシ化合物、ポリエチレン化合物、ポリイミド化合物、四フッ化エチレン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項1ないし17のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項19】
上記剥離工程の前に、基板とマスク層との接着力を低下させる接着力低下工程を含む請求項1ないし18のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項20】
上記接着力低下工程では、マスク層に光を照射する、および/または、マスク層を加熱する請求項19に記載のパターン形成方法。
【請求項21】
上記薄膜層は、マスク層の端部を露出するように形成される請求項1ないし20のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項22】
上記薄膜層は、気体存在下または減圧下で形成される請求項1ないし21のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項23】
上記薄膜層は、スパッタ法で形成される請求項1ないし22のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項24】
上記薄膜層は、金属、ガラスおよびセラミックスから選ばれる少なくとも1つである請求項1ないし23のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項25】
上記薄膜層は、Cr、Cu、Au、Al、Ti、Ni、Wおよびこれらの化合物からなる群、並びに、SiO、SiN、Bi、PbO、In、SnO、SiC、ZnO、Al、TiO、Ta、Sbおよびこれらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも1つである請求項1ないし24のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項26】
上記マスク層形成工程の前、または、上記剥離工程の後に、基板上にさらに第2の薄膜層を形成するとともに、該第2の薄膜層に第3のレーザ光を照射することによって、第2の薄膜層の一部を除去する請求項1ないし25のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項27】
基板上にマスク層を形成するマスク層形成工程と、
第1のレーザ光を照射して前記マスク層に開口部を形成する開口部形成工程と、
前記基板上および前記マスク層上に薄膜層を形成する薄膜層形成工程と、
第2のレーザ光を照射して前記マスク層を前記基板上から剥離する剥離工程とを具備し、
前記マスク層の前記第1および第2のレーザ光に対する吸収率が、前記基板および前記薄膜層の前記レーザ光に対する吸収率よりも大きいパターン形成方法。
【請求項28】
前記薄膜層がスパッタ法により成膜される請求項27に記載のパターン形成方法。
【請求項29】
前記マスク層が、黒色顔料もしくは黒色染料を10〜99質量%含有する材料で構成されている請求項27または28に記載のパターン形成方法。
【請求項30】
前記第1および第2のレーザ光が、波長が500〜1500nm、エネルギー密度が0.1〜5J/cmのレーザ光である請求項27〜29のいずれかに記載のパターン形成方法。
【請求項31】
前記第1および第2のレーザ光が、波長が500〜1500nm、エネルギー密度が0.1〜1J/cmのレーザ光である請求項30に記載のパターン形成方法。
【請求項32】
請求項1ないし31のいずれか1項に記載のパターン形成方法を用いて製造されることを特徴とする電子回路。
【請求項33】
請求項32に記載の電子回路を用いてなることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【国際公開番号】WO2005/045911
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【発行日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−515352(P2005−515352)
【国際出願番号】PCT/JP2004/016599
【国際出願日】平成16年11月9日(2004.11.9)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】