説明

パック電池

【課題】開封性に優れたパック電池を提供する。
【解決手段】互いの外周面が接するように一列に配置された複数の円筒型電池と、前記複数の円筒型電池を前記一列の状態で束ねるための熱収縮性フィルム2と、前記熱収縮性フィルム2の表面のうち、隣り合う少なくとも2本の円筒型電池の外周面と対向する箇所に固定された表示ラベル3と、前記隣り合う少なくとも2本の円筒型電池の外周面同士の境界線のうち少なくとも一境界線と対向するように前記熱収縮性フィルム2に形成された第1のミシン目4と、前記表示ラベル3に前記第1のミシン目4と重なるように形成された第2のミシン目5とを具備することを特徴とするパック電池。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の円筒型電池をシュリンク包装により束ねたパック電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数の円筒型電池をそれぞれの電池の外周面同士が接するように一列に配置し、これら電池をシュリンク包装により束ねたパック電池が知られている。このシュリンク包装に使用される熱収縮性フィルムには、ポリエチレンテレフタレート(以下、PET)製フィルムやポリオレフィン(以下、PO)製フィルムが使用されている。PET製フィルムは、電池本数が4本以下の場合に多用されている。電池本数が4本以上の場合には、PO製フィルムが多用されている。PO製の熱収縮性フィルムは粘りがあるため、フィルムの厚さを薄くしても落下した際に破れにくいという特徴を有する。このため、本数の多いパック電池に好適な材料である。
【0003】
シュリンク包装されたパック電池には、よりユニバーサルな商品を提供するため、開封性の向上が求められている。特許文献1及び特許文献2では、並列に集合した複数個の円筒型電池を熱収縮性フィルムで束ね、熱収縮性フィルムに切り込み部もしくはミシン目を設けることにより、パック電池の開封性の向上を試みている。
【0004】
しかしながら、特にPO製の熱収縮性フィルムでは、粘りがあるゆえミシン目を設けても開封の際にフィルムが伸びてしまい、簡単に開封することができなかった。
【特許文献1】特開2001−130626号公報
【特許文献2】特開2002−96865号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、開封性に優れたパック電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るパック電池は、互いの外周面が接するように一列に配置された複数の円筒型電池と、
前記複数の円筒型電池を前記一列の状態で束ねるための熱収縮性フィルムと、
前記熱収縮性フィルムの表面のうち、隣り合う少なくとも2本の円筒型電池の外周面と対向する箇所に固定された表示ラベルと、
前記隣り合う少なくとも2本の円筒型電池の外周面同士の境界線のうち少なくとも一境界線と対向するように前記熱収縮性フィルムに形成された第1のミシン目と、
前記表示ラベルに前記第1のミシン目と重なるように形成された第2のミシン目と
を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、開封性に優れたパック電池を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
【0009】
図1は、本発明の第1の実施形態に係るパック電池を示す模式的な斜視図で、図2は図1のパック電池を正極端子側から見た平面図である。図3は、円筒型電池の列を熱収縮性チューブで被覆する工程を示す模式図である。
【0010】
図1及び図2に示すように、複数本(例えば8本)の円筒型電池(例えば、アルカリ乾電池、マンガン乾電池)11〜18は、互いの外周面が接するように一列に配置されている。複数の円筒型電池11〜18は、一列に並んだ状態で熱収縮性フィルム2によって一つに束ねられている。具体的には、図3に示すように、複数の円筒型電池11〜18の列をチューブ状の熱収縮性フィルム2内に挿入する。その後、熱収縮性フィルム2を加熱収縮させるシュリンク包装によって複数の円筒型電池11〜18を熱収縮性フィルム2により被覆し、一つに束ねる。
【0011】
商品名等が表示された表示ラベル(印刷ラベルとも呼ばれる)3は、裏面がシール面(粘着面)になっていて、熱収縮性フィルム2に貼り付けられている。表示ラベル3は、熱収縮性フィルム2を介して円筒型電池11〜18の外周面と対向している。
【0012】
第1のミシン目4は、熱収縮性フィルム2に形成されており、列の端から2番目に位置する円筒型電池12と列の端から3番目に位置する円筒型電池13との境界線と対向している。第2のミシン目5は、表示ラベル3に第1のミシン目4と重なるように形成されている。図1の場合、第1のミシン目4及び第2のミシン目5の長さは、円筒型電池の外周面の高さと等しくなっている。第1のミシン目4及び第2のミシン目5の長さは、図1に示すものに限定されるものではなく、ラベルの幅(電池の高さ方向と平行な方向の長さ)Wと等しいか、それ以上であれば良い。
【0013】
上述したような構成のパック電池では、表示ラベル3を第2のミシン目5に沿って引き千切ると、熱収縮性フィルム2も一緒に第1のミシン目4に沿って破ることができるため、熱収縮性フィルム2としてポリオレフィンフィルムのような延びやすいフィルムを使用した際にも簡単に開封することが可能となる。
【0014】
なお、第1のミシン目4及び第2のミシン目5は、パック電池を構成する円筒型電池11〜18のいずれの外周面の境界線と対向させても良いが、円筒型電池の列の一方の端から2番目の電池(例えば円筒型電池12)と、他方の端から2番目の電池(例えば円筒型電池17)との間に位置する境界線と対向させることが望ましい。この理由を説明する。列の一番端の円筒型電池(例えば円筒型電池11)と、この電池に隣接する電池(例えば円筒型電池12)との境界線に第1,第2のミシン目4,5を対向させると、表示ラベル3を引き千切る際に十分な力を加えることができず、熱収縮性フィルム2が破れない恐れがある。円筒型電池の列の一方の端から2番目の電池と他方の端から2番目の電池との間に位置する境界線と対向させることによって、開封をより簡単に行うことができる。最も好ましいのは、図1に示すように、列の端から2番目に位置する円筒型電池12と列の端から3番目に位置する円筒型電池13との境界線に第1,第2のミシン目4,5を対向させることである。なお、第1,第2のミシン目4,5の形成箇所は1箇所に限られるものではなく、2箇所以上にすることができる。
【0015】
表示ラベル3は、全ての円筒型電池の外周面と対向可能な大きさを有する必要はなく、隣り合う少なくとも2本の円筒型電池の外周面と対向する大きさであれば良い。
【0016】
図4に本発明の第2の実施形態に係るパック電池を模式的に示した斜視図を示す。なお、図1と同様な構成部材については図1と同符号を付して説明を省略する。
【0017】
第2の実施形態に係るパック電池では、表示ラベル3の貼着位置を、円筒型電池12〜17の外周面と対向する位置に変更した。また、第1,第2のミシン目4,5を、列の端から4番目に位置する円筒型電池14と列の端から5番目に位置する円筒型電池15との境界線に対向させた。
【0018】
この第2の実施形態に係るパック電池においても、表示ラベル3を第2のミシン目5に沿って引き千切ると、熱収縮性フィルム2も一緒に第1のミシン目4に沿って破ることができる。従って、熱収縮性フィルム2としてポリオレフィンフィルムのような延びやすいフィルムを使用した際にも簡単に開封することが可能となる。
【0019】
以下、第1,第2の実施形態に係るパック電池の構成部材をさらに詳しく説明する。
【0020】
使用する円筒型電池の本数は、複数であれば特に限定されるものではないが、2〜12本が適当である。また、円筒型電池のサイズも特に限定されるものではなく、単1形〜単5形まで使用可能である。
【0021】
熱収縮性フィルムとしては、例えば、ポリスチレン(PS)フィルム、ポリオレフィンフィルム等を挙げることができる。中でも、ポリオレフィンフィルムが好ましい。これは、パック電池を誤って落下させるなどの衝撃が加わった際のフィルムの破損を少なくすることができるからである。ポリオレフィンフィルムを構成するポリオレフィン材料としては、例えば、ポリエチレン(PE)及びポリプロピレン(PP)のうち少なくとも一方を使用することができる。
【0022】
熱収縮性フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、15〜30μmの範囲にすることが好ましい。
【0023】
表示ラベルの厚さは、特に限定されるものではないが、50〜150μmの範囲にすることが好ましい。
【0024】
また、材質は、特に限定されるものではないが、紙製又は合成紙が好ましい。
【0025】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るパック電池を示す模式的な斜視図。
【図2】図1のパック電池を正極端子側から見た平面図。
【図3】円筒型電池の列を熱収縮性フィルムで被覆する工程を示す模式図。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るパック電池を模式的に示した斜視図。
【符号の説明】
【0027】
1〜18…円筒型電池、2…熱収縮性フィルム、3…表示ラベル、4…第1のミシン目、5…第2のミシン目。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いの外周面が接するように一列に配置された複数の円筒型電池と、
前記複数の円筒型電池を前記一列の状態で束ねるための熱収縮性フィルムと、
前記熱収縮性フィルムの表面のうち、隣り合う少なくとも2本の円筒型電池の外周面と対向する箇所に固定された表示ラベルと、
前記隣り合う少なくとも2本の円筒型電池の外周面同士の境界線のうち少なくとも一境界線と対向するように前記熱収縮性フィルムに形成された第1のミシン目と、
前記表示ラベルに前記第1のミシン目と重なるように形成された第2のミシン目と
を具備することを特徴とするパック電池。
【請求項2】
円筒型電池の個数は3個以上で、前記第1のミシン目は、列の端から2番目に位置する円筒型電池の外周面と列の端から3番目に位置する円筒型電池の外周面との境界線に対向していることを特徴とする請求項1記載のパック電池。
【請求項3】
前記熱収縮性フィルムはポリオレフィンから形成されていることを特徴とする請求項1または2記載のパック電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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