説明

パルボウイルスB19の検出法

【課題】ヒトパルボウイルスB19は、病原性ウイルスであり、小児の伝染性紅斑(りんご
病)、成人の多発性関節炎、慢性骨髄不全、溶血性貧血などの造血障害発作、妊婦での胎児水腫、死産などの原因となることが知られ、一方、熱、酸などに対し抵抗性があり、それにより汚染された血液の輸血、あるいはそれを原料にした血液製剤の汚染が問題とされている。問題解決には、献血などで得られる大量の個々の検体につき、迅速且つ正確で、感度のよい検査を実施し、問題となる汚染のある血液を除く必要がある。
【解決手段】
パルボウイルスB19の測定検査において、同一血液などの測定試料につき、パルボウイル
ス抗原を免疫学的に測定すると共に、測定試料中の抗パルボウイルスIgM抗体を免疫学的
に測定し、当該パルボウイルス抗原測定結果と当該抗パルボウイルスIgM抗体測定結果と
の両方の結果を併せて使用して、パルボウイルスB19の測定結果とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血清及び血漿などのヒト検体中のパルボウイルスB19を高感度に検出又は測
定する方法、及び検出又は測定する試薬に関する。
【背景技術】
【0002】
パルボウイルスB19は、1975年にCossartらによって発見されたヒトに感染する病原性ウイルスであり、パルボウイルス科のパルボウイルス属に分類される。当該ウイルスはエンベロープを持たず、一本鎖DNAと構造蛋白質(VP1及びVP2)がカプシドを構成し、大きさは
直径約20nm正20面体構造である。当該DNAは、構造蛋白質の他に非構造蛋白質(NS1)、及び
7.5kD, 11kDなどの小蛋白質をコードしている。
パルボウイルスB19感染による症状・疾患としては、溶血性貧血患者における急性赤芽
球労、免疫不全患者における慢性骨髄不全、小児の伝染性紅斑(りんご病)、成人の多発性関節炎、妊婦における胎児水腫・死産などが知られている。当該ウイルスの感染経路は、気道分泌物による飛沫感染や血液など体液を介する感染がある。(非特許文献1〜3参照)
パルボウイルスB19感染の診断のために、パルボウイルスB19 DNA、パルボウイルスB19
抗原、抗パルボウイルスB19 IgM型抗体、又は抗パルボウイルスB19 IgG型抗体などが検出又は測定される。検体としては、主に血清や血漿などの血液検体が使用される。パルボウイルスB19 DNA量は当該ウイルス量の直接的な指標であり、主にPCR法により測定される。(非特許文献4参照)パルボウイルスB19抗原量もまた、当該ウイルス量の直接的な指標として解されており、主にレセプターアッセイ(特許文献1参照)や免疫学的測定法(特許文献2参照)により測定される。
【0003】
抗パルボウイルスB19 IgM型抗体価は一般に感染後約1〜2週間で上昇し、その後2〜3ヶ
月で消失する。そのため当該IgM型抗体は、最近感染したことの指標として診断に利用さ
れる。抗パルボウイルスB19 IgG型抗体価は一般に感染後約1〜2週間で上昇し、長期に渡
って持続する。そのため抗パルボウイルスB19 IgG型抗体は、パルボウイルスB19感染の既往歴の指標として診断に利用される。抗パルボウイルスB19 IgM及びIgG抗体は、主に免疫学的方法により測定される。(非特許文献5参照)
患者の診断目的には、主にPCR法によるパルボウイルスB19 DNA検査、免疫学的測定法による抗パルボウイルスB19 IgM型抗体、又はIgG型抗体による検査が行われる。PCR法によ
るパルボウイルスB19 DNA検査は、ターゲットであるパルボウイルスB19遺伝子を増幅して測定するため高感度で定量範囲が広く、正確な感染状態の把握が可能であり、大変有用な検査法である。しかしながらPCR法は、コストが高い、DNA抽出など検体処理過程が煩雑、測定時間が長いなどの理由で、多数検体を短時間で検査する必要がある血液スクリーニング(輸血用血液や血液製剤原料血の検査)には応用されていない。本邦では現在、血液スクリーニング用のパルボウイルスB19検査法として、比較的低コストで自動化による多数
検体の簡便な検査が可能なRHA (Receptor Mediated Hemagglutination) 法によるパルボ
ウイルスB19抗原検査が行われている。(非特許文献6参照)
【0004】
RHA法によるパルボウイルスB19抗原検査では、ほとんどの場合DNA濃度10^10 IU/mL程度以上の高ウイルス血症の場合しか陽性とは判定されず、PCR法によるDNA検査の検出感度10^2 IU/mL程度と比較して、検出感度が遠く及ばない。そこで、パルボウイルスB19抗原検
査の高感度化の試みとして、レセプターアッセイの替わりに免疫学的測定法を用い、且つ検体を酸や変性剤で処理して抗原の反応性を高め、RHA法よりも100倍〜10,000倍程度高感度に検出する方法が考案されている。(特許文献2、特許文献3、及び非特許文献7参照)
しかしながら、これらの感度の改良されたパルボウイルスB19抗原測定法であっても、陽
性と判定される検体はDNA濃度10^5〜10^7 IU/mL以上の検体に留まり、依然としてPCR法によるDNA検査の検出感度10^2 IU/mLと比較すると1,000倍以上劣っていた。
【0005】
【特許文献1】特開平9-10000
【特許文献2】特開2001-343388
【特許文献3】特願2006-106761(出願日:平成18年4月7日)
【非特許文献1】Cossart, Y.E. et al.: Parvovirous-like particles in human sera. Lancet, 1:72-73, 1975
【非特許文献2】Pattisaon, J.R., et al.: Parvovirus infections and hypoplastic crisis in sinkle cell anemia. Lancet, 1:664, 1981
【非特許文献3】泉隆一他:伝染性紅斑の胎内感染による胎児水腫. 日本産婦人科学会誌, 40: 99-100, 1988
【非特許文献4】斉藤由美子他:ヒトパルボウイルスB19感染の診断へのPCRの応用及びELISAによる抗体測定. 臨床病理,2: 203-208, 1993
【非特許文献5】布上薫:ヒトパルボウイルスB19のバキュロウイルス組み換え抗原(VP1+VP2)による流行年別抗体の検出性. 感染症学雑誌, 69: 546-552
【非特許文献6】武田芳於他:献血血液のRHA検査による第VIII因子製剤原料血漿からのパルボウイルスB19除去効果. Japanese Journal of Transfusion Medicine, 1: 27-31, 2002
【非特許文献7】坂上尚仁:パルボウイルスB19抗原の高感度検出法」平成17年度北海道輸血療法検討会 発表資料集p.22-30(2006.6.15)富士出版
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
血清及び血漿などのヒト検体中のパルボウイルスB19を高感度に検出する技術、すなわ
ち、10^5 IU/mL以下のパルボウイルスB19 DNA低濃度陽性検体の検出も可能で、且つ血液
スクリーニングのような低コストで自動化による多数検体の検査にも応用可能な、免疫学的測定法によるパルボウイルスB19検出法の技術が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、10^5 IU/mL以下のパルボウイルスB19 DNA低濃度陽性検体の検出も可能
で、且つ自動化による簡便な検査が可能なパルボウイルスB19の検出技術について鋭意研
究した結果、同一の測定試料につき、パルボウイルスB19抗原を測定すると共に、パルボ
ウイルスB19 IgM型抗体を測定し、当該パルボウイルスB19抗原の測定結果と当該パルボウイルスB19 IgM型抗体の測定結果との両方の結果を併せて使用して、パルボウイルスB19の測定結果とすることで、驚くべきことにパルボウイルスB19 DNA陽性検体に対する検出感
度を飛躍的に向上させ、PCR法によるDNA測定法の感度10^2 IU/mLに迫る高い検出感度が得られることを見出して、本発明を完成した。
【0008】
本発明は、以下を提供する。
〔1〕(A) 測定検体試料を、パルボウイルスB19抗原検出試薬で処理し、パルボウイルスB19抗原の測定結果を得ること、
(B)測定検体試料を、パルボウイルスB19 IgM型抗体検出試薬で処理し、パルボウイルスB19 IgM型抗体の測定結果を得ること、
(C)同一の検体について得られた、上記(A)のパルボウイルスB19抗原の測定結果
と上記(B)のパルボウイルスB19 IgM型抗体の測定結果との両方を使用して、当該検体中のパルボウイルスB19の有無を決定すること
を特徴とするパルボウイルスB19測定検出法。
〔2〕上記〔1〕記載のパルボウイルスB19検出法を使用するパルボウイルスB19検出用試薬。
〔3〕同一の試薬反応液系において、パルボウイルスB19抗原及びパルボウイルスB19 IgM型抗体の両方が検出される、上記〔1〕記載のパルボウイルスB19検出法。
〔4〕2つの試薬反応液系の一方においてパルボウイルスB19抗原が検出され、他方の試
薬反応液系においてパルボウイルスB19 IgM型抗体が検出される、上記〔1〕記載のパル
ボウイルスB19検出法。
〔5〕パルボウイルスB19抗原測定法が、固定化抗パルボウイルスB19抗体と標識化抗パルボウイルスB19抗体とを用いるサンドイッチ法である、上記〔1〕記載のパルボウイルスB19検出法。
〔6〕パルボウイルスB19抗原測定法が、固定化抗パルボウイルスB19抗体と標識化パルボウイルスB19抗原とを用いる競合法である、上記〔1〕記載のパルボウイルスB19検出法。〔7〕抗パルボウイルスB19 IgM型抗体測定法が、固定化抗ヒトIgM型抗体と標識化又は非標識パルボウイルスB19抗原とを用いるサンドイッチ法である、上記〔1〕記載のパルボ
ウイルスB19検出法。
〔8〕抗パルボウイルスB19 IgM型抗体測定法が、固定化パルボウイルスB19抗原と標識化抗ヒトIgM型抗体とを用いるサンドイッチ法である、上記〔1〕記載のパルボウイルスB19検出法。
〔9〕抗パルボウイルスB19 IgM型抗体測定法が、固定化パルボウイルスB19抗原と標識化パルボウイルスB19抗原とを用いるサンドイッチ法である、上記〔1〕記載のパルボウイ
ルスB19検出法。
〔10〕検体が血清、又は血漿などの血液検体である上記〔1〕記載のパルボウイルスB19
検出法。
〔11〕 (A) 測定検体試料を、磁性粒子に固相化された抗ヒトパルボウイルスB19抗体と
接触せしめる工程、磁石の影響下にB/F分離及び洗浄処理する工程、磁性粒子固相に結合
しているパルボウイルス抗原-抗パルボウイルス抗体複合体(コンプレックス)と標識化
された抗ヒトパルボウイルスB19抗体とを接触せしめる工程、磁石の影響下にB/F分離及び洗浄処理する工程、標識を指標にパルボウイルス抗原を定量する工程、を含んでいるパルボウイルス抗原免疫学的測定方法を行い、ヒトパルボウイルス抗原の免疫学的測定結果を得ること、
(B-1) 測定検体試料を、固相化された抗ヒトIgM抗体と接触せしめる工程、B/F分離及び洗浄処理する工程、固相に結合している抗ヒトIgM抗体-抗ヒトパルボウイルスIgM抗体複
合体(コンプレックス)とパルボウイルスB19抗原とを接触せしめる工程、B/F分離及び洗浄処理する工程、固相に結合している抗ヒトIgM抗体-抗ヒトパルボウイルスIgM抗体-パルボウイルスB19抗原複合体(コンプレックス)と標識化された抗ヒトパルボウイルスB19抗体とを接触せしめる工程、B/F分離及び洗浄処理する工程、標識を指標にヒト抗パルボウ
イルスIgM抗体を定量する工程、あるいは、
(B-2) 測定検体試料を、磁性粒子に固相化されたパルボウイルスB19抗原と接触せしめ
る工程、磁石の影響下にB/F分離及び洗浄処理する工程、磁性粒子固相に結合しているパ
ルボウイルスB19抗原-抗ヒトパルボウイルスIgM抗体複合体(コンプレックス)と標識化
された抗ヒトIgM抗体とを接触せしめる工程、磁石の影響下にB/F分離及び洗浄処理する工程、標識を指標にヒト抗パルボウイルスIgM抗体を定量する工程、
を含んでいる抗ヒトパルボウイルスIgM抗体免疫学的測定方法を行い、ヒト抗パルボウイ
ルスIgM抗体の免疫学的測定結果を得ること、
(C) 同一の検体試料について得られた、上記(A)のパルボウイルス抗原の免疫学的測定
結果と上記(B)の抗ヒトパルボウイルスIgM抗体の免疫学的測定結果との両方を使用して、当該検体中のパルボウイルスB19の有無を決定すること
を特徴とする、上記〔1〕記載の測定検出法。
〔12〕 上記〔11〕(A)のパルボウイルス抗原免疫学的測定方法で、検体をグアニジン、
グアニジン塩またはその誘導体を含む溶液で、予め処理した後、ヒトパルボウイルスB19
抗原と反応する免疫学的測定用試薬で処理する、上記〔11〕記載の測定検出法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、同一の測定試料につき、パルボウイルスB19抗原を免疫学的に測定す
ると共に、パルボウイルスB19 IgM型抗体を免疫学的に測定し、当該パルボウイルスB19抗原の測定結果と当該パルボウイルスB19 IgM型抗体の測定結果との両方の結果を併せて使
用して、パルボウイルスB19の測定結果とすることで、10^3 IU/mLのパルボウイルスDNA低濃度検体も検出可能となる。これらの免疫測定法は、全自動スクリーニングシステムの利用により、低コストで血液スクリーニングのような多数検体の検査にも応用可能となる。
本発明のその他の目的、特徴、優秀性及びその有する観点は、以下の記載より当業者にとっては明白であろう。しかしながら、以下の記載及び具体的な実施例等の記載を含めた本件明細書の記載は本発明の好ましい態様を示すものであり、説明のためにのみ示されているものであることを理解されたい。本明細書に開示した本発明の意図及び範囲内で、種々の変化及び/又は改変(あるいは修飾)をなすことは、以下の記載及び本明細書のその他の部分からの知識により、当業者には容易に明らかであろう。本明細書で引用されている全ての特許文献及び参考文献は、説明の目的で引用されているもので、それらは本明細書の一部としてその内容はここに含めて解釈されるべきものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、試料中のパルボウイルスB19を高感度に検出若しくは測定する方法を提供す
るものである。本発明の技術では、献血血液について、それを測定検体試料として、全自動血液スクリーニングシステムを利用可能とし、大量且つ迅速に測定して、パルボウイルスB19の有無(臨床上や医学上などで問題となるパルボウイルスB19による汚染の有無)を調べるのに適し、高感度で検出若しくは測定結果を与えるものである。
本発明は、パルボウイルスB19の測定検査において、同一血液などの測定試料につき、
パルボウイルス抗原を免疫学的に測定すると共に、測定試料中の抗パルボウイルスIgM抗
体を免疫学的に測定し、当該パルボウイルス抗原測定結果と当該抗パルボウイルスIgM抗
体測定結果との両方の結果を併せて使用して、パルボウイルスB19の測定結果とすること
を特徴としている。
【0011】
具体的な態様の一つでは、本発明は、ヒト検体中のパルボウイルスB19の測定検出法に
おいて、(A) 測定検体試料を、パルボウイルスB19抗原検出試薬で処理し、パルボウイ
ルスB19抗原の測定結果を得、一方、(B) 測定検体試料を、パルボウイルスB19 IgM型抗体検出試薬で処理し、パルボウイルスB19 IgM型抗体の測定結果を得、そして、(C) 同一の
検体について得られた、上記(A)のパルボウイルスB19抗原の測定結果と上記(B)のパ
ルボウイルスB19 IgM型抗体の測定結果との両方を使用して、当該検体中のパルボウイル
スB19の有無を決定することを特徴とする。より具体的な態様では、本発明は、血液検体
などの測定検体試料のパルボウイルスB19測定検出法において、(A) 測定検体試料を、磁
性粒子に固相化された抗ヒトパルボウイルスB19抗体と接触せしめる工程、磁石の影響下
にB/F分離及び洗浄処理する工程、磁性粒子固相に結合しているパルボウイルス抗原-抗パルボウイルス抗体複合体(コンプレックス)と標識化された抗ヒトパルボウイルスB19抗
体とを接触せしめる工程、磁石の影響下にB/F分離及び洗浄処理する工程、標識を指標に
パルボウイルス抗原を定量する工程、を含んでいるパルボウイルス抗原免疫学的測定方法を行い、ヒトパルボウイルス抗原の免疫学的測定結果を得、一方、(B-1) 測定検体試料を、固相化された抗ヒトIgM抗体と接触せしめる工程、B/F分離及び洗浄処理する工程、固相に結合している抗ヒトIgM抗体-抗パルボウイルスIgM複合体(コンプレックス)とパルボウイルスB19抗原とを接触せしめる工程、B/F分離及び洗浄処理する工程、固相に結合している抗ヒトIgM抗体-抗パルボウイルスIgM-パルボウイルスB19抗原複合体(コンプレックス)と標識化された抗ヒトパルボウイルスB19抗体とを接触せしめる工程、B/F分離及び洗浄処理する工程、標識を指標にヒト抗パルボウイルスIgM型抗体を定量する工程、あるいは、(B-2) 測定検体試料を、磁性粒子に固相化されたパルボウイルスB19抗原と接触せしめる工程、磁石の影響下にB/F分離及び洗浄処理する工程、磁性粒子固相に結合しているパルボウイルスB19抗原-抗パルボウイルスIgM型抗体複合体(コンプレックス)と標識化された抗ヒトIgM抗体とを接触せしめる工程、磁石の影響下にB/F分離及び洗浄処理する工程、標識を指標にヒト抗パルボウイルスIgM型抗体を定量する工程、を含んでいる抗パルボウイルスIgM免疫学的測定方法を行い、ヒト抗パルボウイルスIgM型抗体の免疫学的測定結果を得、そして、(C) 同一の検体試料について得られた、上記(A)のパルボウイルス抗原の免疫学的測定結果と上記(B)の抗パルボウイルスIgMの免疫学的測定結果との両方を使用して、当該検体中のパルボウイルスB19の有無を決定すること(又は、その一方が陽性の結果の場合、問題となるパルボウイルス汚染に関し試料は陽性とすること)を特徴とするものである。
【0012】
本発明では、免疫学的にヒトパルボウイルスB19抗原を測定する方法が行われる。当該
免疫学的B19抗原測定法は、検体をグアニジン、グアニジン塩またはその誘導体を含む溶
液で、予め処理した後、ヒトパルボウイルスB19抗原と反応する免疫学的測定用試薬で処
理することを特徴としている。
当該方法において使用されるグアニジン塩としては、グアニジン塩酸塩、グアニジン炭酸塩、グアニジン硝酸塩、グアニジンリン酸塩、グアニジンスルファミン酸塩等があげられ、グアニジン誘導体としては、グアニジノ安息香酸、グアニジノグルタル酸、グアニジノコハク酸、グアニジノ酢酸、グアニジノプロピオン酸、グアニジノベンズイミダゾール等があげられる。検体処理のために添加するグアニジン、グアニジン塩またはその誘導体の濃度は、最終濃度として0.1〜1Mの範囲であることが好ましく、また、そのpHは4.5〜6.5の範囲であることが好ましい。当該方法において使用する免疫測定方法は、競合法、サンドイッチ法等の公知のいずれの方法であってもよいが、特にサンドイッチ法が好ましい。化学発光免疫測定法(chemiluminescent immunoassay: CLIA)が好適に使用できる。
【0013】
本測定方法において用いる抗ヒトパルボウイルスB19抗体は、ポリクローナル抗体およ
びモノクローナル抗体のいずれであってもよい。また、これら抗体はFab’、F(ab’)2
の抗体フラグメントであってもよい。抗ヒトパルボウイルスB19抗体の作製用抗原または
測定標準として用いられるヒトパルボウイルスB19抗原は、公知の方法、例えば特開平7-147986号に記載されている方法にしたがって作製することができる。
サンドイッチ法で用いる固相としては、周知のマイクロプレート、ポリスチレンビーズ、ガラスビーズ、ラテックス粒子、磁性粒子等が挙げられ、特に好ましくは磁性マイクロ粒子(マイクロパーティクル)が挙げられる。標識抗体への標識剤としては、蛍光物質、発光物質、酵素、放射性同位元素等が挙げられ、特に好ましくはアクリジニウム誘導体、例えば、10-(3-スルホプロピル)-N-(p-トルエンスルホニル)-N-(カルボキシエチル)-9-アクリジニウムカルボキサミドなどが挙げられる。アクリジニウム誘導体は、米国特許明細書第5,468,646号、同第5,543,524号などに記載のものなどが挙げられる。固相又は標識物への抗体を結合させる方法としては、周知の物理的吸着方法、化学的な反応による結合方法が挙げられる。
【0014】
代表的なサンドイッチ法として、例えば、2ステップサンドイッチ法が挙げられる。該2ステップサンドイッチ法では、抗パルボウイルス抗体(例えば、マウスモノクローナル抗パルボウイルスB19抗体; mouse anti-Parvo Mab-8)を磁性マイクロパーティクル(μ-P)に結合してある固相化抗体を、予めグアニジン、グアニジン塩またはその誘導体を含む
溶液で処理してある検体と接触せしめ、インキュベーション処理後、磁石の影響下、B/F
分離及び洗浄を行い、次に該マイクロパーティクルをアクリジニウム誘導体で標識されている特異抗体コンジュゲートと接触せしめ、インキュベーション処理し、その後、磁石の影響下、B/F分離及び洗浄を行い、標識を測定することにより、B19抗原を測定(定量測定を含む)する。標識の測定は、例えば、プレトリガー液やトリガー液を使用して標識アクリジニウムを化学発光を起こす分子種に変換するなどして達成される。プレトリガー液としては、例えば、過酸化水素を含む酸性溶液などが挙げられ、アクリジニウム標識抗体を
磁性マイクロパーティクル上から切り離し、アクリジニウムを溶液中に均一に溶出させる。トリガー液としては、例えば、Triton X-100を含む水酸化ナトリウム溶液などが挙げられ、発光反応を発生させる。
【0015】
本免疫学的B19抗原測定は、免疫検査に必要な機能を備えた全自動免疫測定装置、例え
ば、全自動化学発光免疫装置で行うのに適したものであることができる。該全自動化学発光免疫装置は、普通、検体の受け入れと測定部位への移送を行うサンプラートラック機構、化学発光測定を行うプロセッシング機構、消耗品である洗浄液、反応試薬などの補給と廃棄物の処理を行うサプライ機構、システム全体の操作並びに制御を行うシステムコントロール機構を備えているようなものが好ましい。該サンプラートラック機構のうちには、各種のサンプルカップや試験管に対応し、さらに様々な大きさのものに対応している形態のものとされ、少量検体についても、バーコード読み取り機構を利用して検体の同定管理が可能とされており、さらに、ランダムアクセスや継続的なアクセスによるサンプリングが可能とされ、緊急的な検体測定も可能とされているなどの機構が挙げられる。検体の追加、取り外しがいつでも、当該装置全面から行うことが可能とされ、さらに検体IDユニットを備えバーコード情報が読み取り可能とされていることが好ましく、例えば、検体ラックをセットすると直ちにバーコード情報が読み取られ、測定を開始できるようにされている装置であってよい。また、検体ラックトランスポータは、検体ラックをセットすると直ちに動作可能とされ、3次元での検体ラック搬送を実現できるような機構を備えたものが好ましく、処理効率に応じた最適検体ラックポジションへの移送、サンプリングのための検体ラックの各モジュールへの分配、優先処理の最適化を図ることが可能な機構を備えているものとすることも可能である。
【0016】
該プロセッシング機構としては、多数の試薬ボトルを同時搭載可能とされ、1モジュールで莫大な数のテストが可能とされているものが好適であり、例えば、25個の試薬ボトルを同時搭載し、500テスト用の試薬ボトルが使用可能になっていて、1モジュール最大12,500テストが可能となっている能力を備えるものとされていることもできる。該プロセッシング機構には、冷却機能付き試薬カセロールにより、試薬を搭載したまま長時間安定に保持できる機能、試薬につき、項目名、ロットナンバー、テストサイズ、使用期限、マスターキャリブレーション情報などをバーコード自動読み取りにより管理可能とされる機能、検体量不足、気泡、血餅などの異常を感知できるプレシャーモニタリング機能、キャリーオーバーを低減するサンプルピペッタなどが含まれていることができる。キャリーオーバーの低減は、サンプルプローブの洗浄を強化せしめたり、また、自動位置調整機能を備えることにより達成されるものであることができる。該プレシャーモニタリング機能では、例えば、サンプリング・分注時の液圧の常時モニタリングにより、プローブの詰まりや気泡を検知可能とされ、誤った報告を防止できるようにされることが挙げられる。該サプライ機構には、化学発光に適した試薬、例えば、多くの数のテストに対応する数のトリガー試薬(希釈緩衝液)、プレトリガー試薬(希釈緩衝液)を保管可能とする機能、固型廃棄物用の廃物コンテナを備えるとともに、廃液については検査室の廃液口に自動廃液可能とする機能などが含まれていることができる。該システムコントロール機構としては、モニター画面上のスクリーンにタッチすることで操作可能となっている機能、各モジュールの状況が一目で判別可能とされているスナップショット画面形成機能、多数のテストの測定結果並びに多数のテストのQC結果を保存する機能などが含まれているものであってよい。全自動化学発光免疫装置の例としては、免疫測定装置アーキテクトTMアナライザーシリーズ(アボットジャパン(株))、例えば、アボット アーキテクトTMi2000 (Abbott ARCHITECTTMi2000)などが挙げられる。
【0017】
本発明では、免疫学的にヒト抗パルボウイルスB19 IgM型抗体を測定する方法が行われ
る。当該免疫学的抗パルボウイルスB19 IgM抗体測定法は、検体を固相化抗ヒトIgM抗体で処理して、固相にヒトIgM(ヒト抗パルボウイルスB19 IgMを含む)を捕捉した後、ウイル
ス抗原、すなわち、パルボウイルス抗原を反応せしめ、次に標識された抗パルボウイルスB19抗体を反応せしめ、標識を測定することにより、ヒト抗パルボウイルスB19 IgM抗体を測定(定量測定を含む)することを特徴としている。当該免疫学的抗パルボウイルスB19 IgM抗体測定法は、検体を固相化抗ヒトIgM抗体、例えば、マウスモノクローナル抗ヒトIgM抗体固相プレートで処理して、固相にヒトIgM抗体を捕捉した後、ウイルス抗原、すなわち、組換えヒトパルボウイルスB19抗原を反応せしめ、次に標識された抗ヒトパルボウイルスB19抗体、例えば、ペルオキシダーゼ標識あるいはアクリジニウム誘導体標識マウスモノクローナル抗ヒトパルボウイルスB19抗体を反応せしめ、標識を測定することにより、ヒト抗パルボウイルスB19 IgM抗体を測定(定量測定を含む)することを特徴としている。当該免疫学的抗パルボウイルス抗体測定は、市販のキット、例えば、パルボIgM-EIA「生研」(デンカ生研(株))あるいはそれと同等の試薬を利用するものなどを使用して行うことができる。
【0018】
また、該免疫学的抗パルボウイルスB19 IgM抗体測定は、検体を固相化ウイルスB19抗原で処理して、固相に抗パルボウイルスB19抗体(抗パルボウイルスB19 IgMを含む)を捕捉した後、標識された抗ヒトIgM抗体を反応せしめ、標識を測定することにより、ヒト抗パ
ルボウイルスB19 IgM抗体を測定(定量測定を含む)するものであってよい。この場合、
例えば、免疫学的にヒト抗パルボウイルスB19 IgM抗体を測定する方法は、検体を固相化
ウイルスB19抗原、すなわち、固相化組換えヒトパルボウイルスB19抗原で処理して、固相にヒトIgM抗体を捕捉した後、標識された抗ヒトIgM抗体、例えば、ペルオキシダーゼ標識あるいはアクリジニウム誘導体標識マウスモノクローナル抗ヒトIgM抗体を反応せしめ、
標識を測定することにより、ヒト抗パルボウイルスB19 IgM抗体を測定(定量測定を含む
)できる。
本発明で使用できるヒトパルボウイルスB19抗原としては、組換えタンパク質として産
生されたものが挙げられ、例えば、大腸菌発現系、バキュロウイルス発現系などを使用して得られたものが挙げられる。組換えヒトパルボウイルスB19抗原としては、構造タンパ
ク質VP1及びVP2、それらのN末端側あるいはC末端側ペプチド、non-structural protein-1
(NS1)、それらの任意の混合物などが挙げられる。
代表的な抗体測定用抗原としては、RIDATM LINE Parvovirus B19 IgG, IgM (Art. No. LB 6023 (IgG), LB 6033 (IgM): R-Biopharm AG, Darmstadt, Germany)のパンフレットに開示のもの、例えば、VP2, VP-2p, VP-2r, VP-N, VP-C, VP-1s, NS-1, VP1など、Dimitri
Peterlana et al., Clinica Chimica Acta, 372, pp.14-23 (2006) に開示のもの、例えば、VP1, VPなど、recomBlot Parvovirus B19 IgG/IgM 及びrecomWell Parvovirus B19 IgGとrecomWell Parvovirus B19 IgM (Mikrogen GmbH, Martinsried, Germany) のパンフレットに開示のもの、例えば、VP-1, VP-2, VP-N, VP-C, VP-1S, NS-1, rVP-1/2-N, rVP-1/2-C, rVP-1-S, rNS-1などであってもよく、適宜、それらから選択されたものであってよい。好ましくは、バキュロウイルス発現抗原タンパク質を使用でき、また抗原タンパク質は、複数抗原タンパク質の混合物であってもよい。
本免疫学的抗パルボウイルスB19 IgM抗体測定において使用する免疫測定方法は、上記
免疫学的B19抗原測定と同様な手法が利用でき、例えば、競合法、サンドイッチ法等の公
知のいずれの方法であってもよいが、特にサンドイッチ法が好ましい。化学発光免疫測定法(CLIA)が好適に使用できる。
【0019】
本測定方法において用いる標識抗体用の抗ヒトパルボウイルスB19抗体は、ポリクロー
ナル抗体およびモノクローナル抗体のいずれであってもよい。また、これら抗体はFab’
、F(ab’)2等の抗体フラグメントであってもよい。本免疫学的抗パルボウイルスB19 IgM
抗体測定法において使用する固相、特にはサンドイッチ法で用いる固相としては、上記免疫学的B19抗原測定と同様なものが使用でき、例えば、周知のマイクロプレート、ポリス
チレンビーズ、ガラスビーズ、ラテックス粒子、磁性粒子等が挙げられ、特に好ましくは
磁性マイクロ粒子(マイクロパーティクル)が挙げられる。標識抗体への標識剤も、上記免疫学的B19抗原測定と同様なものが使用でき、例えば、蛍光物質、発光物質、酵素、放
射性同位元素等が挙げられ、特に好ましくはアクリジニウム誘導体、例えば、10-(3-スルホプロピル)-N-(p-トルエンスルホニル)-N-(カルボキシエチル)-9-アクリジニウムカルボキサミドなどが挙げられる。
本免疫学的抗パルボウイルス抗体測定も、上記免疫学的B19抗原測定と同様、免疫検査
に必要な機能を備えた全自動免疫測定装置、例えば、全自動化学発光免疫装置で行うのに適したものであることができる。
【0020】
本発明では、輸血用血液や血液分画製剤原料の血液に付き、パルボウイルスB19の有無
(あるいはヒトパルボウイルスによる問題とされる汚染の有無)を高感度に検出することが可能であり、その操作も大量処理に適した、且つ迅速処理が可能なものであり、全自動血液スクリーニングシステムを利用できるので、非常に便利で優れている。本発明によれば、血液中で、例えば、抗原が抗体などに結合している状態にあったとしても、パルボウイルスB19の有無(あるいは問題とされるウイルス汚染)を検知可能にできると思われる
。実際、非常に高い感度で、10^5 IU/mL以下のパルボウイルスB19 DNA低濃度陽性検体の
検出も可能である。特に、モノクローナル抗ヒトパルボウイルスB19抗体を使用して免疫
学的にヒトパルボウイルスB19抗原を測定する(この場合複合体などを形成している可能
性のあるヒトパルボウイルス抗原を遊離形態にするような処理、例えば、グアニジンなどの変性剤による処理、IgMを解離させるような処理、例えば、還元処理などが施されてい
てよく、ある場合には好ましい)とともに、組換えヒトパルボウイルスB19抗原並びにモ
ノクローナル抗体である抗ヒトIgM抗体を使用して免疫学的にヒト抗パルボウイルスB19 IgM抗体を測定し、両者の結果(免疫学的ヒトパルボウイルスB19抗原測定と免疫学的ヒト
抗パルボウイルスB19 IgM抗体測定)を併せて使用することで、高感度なパルボウイルスB19の有無(あるいはヒトパルボウイルスによる問題の汚染の有無)の判別が可能となっている。
血液試料中のヒトパルボウイルスB19抗体測定については、例えば、Matthias F.C. Beersma et al., Journal of Clinical Virology, 34, pp.71-75 (2005)、Dimitri Peterlana et al., Clinica Chimica Acta, 372, pp.14-23 (2006)並びにそこで引用された文献を参照することができるし、それらは本明細書の一部としてその内容はここに含められてよい。
以下に実施例を掲げ、本発明を具体的に説明するが、この実施例は単に本発明の説明のため、その具体的な態様の参考のために提供されているものである。これらの例示は本発明の特定の具体的な態様を説明するためのものであるが、本願で開示する発明の範囲を限定したり、あるいは制限することを表すものではない。本発明では、本明細書の思想に基づく様々な実施形態が可能であることは理解されるべきである。全ての実施例は、他に詳細に記載するもの以外は、標準的な技術を用いて実施したもの、又は実施することのできるものであり、これは当業者にとり周知で慣用的なものである。
【実施例1】
【0021】
〔パルボウイルスB19抗原の測定〕
ABBOTT ARCHITECTTM システム
アボットジャパン(株)のARCHITECTTMアナライザーi2000を用いて実施した実施例を示す。本免疫測定装置は、システムコントロールセンター(System Control Center, SCC)、プロセッシングモジュール(Processing Module, PM)、そしてサンプルハンドラー(Sample
Handler, SH)から構成され、さらにプロセッシングモジュールの主要部分はプロセッシ
ングセンターと呼ばれ、25項目の試薬を同時搭載できる試薬カローセルを備え、その周りにプロセスパスがあって、該プロセスパス内を反応セルが移動し、周りにサンプルピペッター、試薬ピペッター、内部攪拌装置、ウオッシュゾーンなどが配置されている。反応セルは、プロセスパス内を1ステップずつ移動しながら、それぞれのポジションへ移送され
る。プロセッシングセンター内には1200個の反応セルを収容できる。また、ダブルトレーも利用可能とされている。本装置は、輸血用血液の安全性を向上させ、効率的な血液供給を行うに適して全自動血液スクリーニングシステムである。独自の化学発光免疫測定法による優れた感度と特異性に加え、大量検体の処理を実現する。
本システムでは、高発光量の得られるアクリジニウム誘導体を標識に使用しているので、試薬の高い安定性(検量線の安定化、日差再現性の向上)、高い発光収率(感度の向上、測定範囲の拡張)が達成できる。また、磁性マイクロパーティクルを利用しているので、固相を磁石で押さえた状態で短時間のB/F分離、洗浄が可能となっており、内部攪拌装置で簡単に磁性マイクロパーティクルを分散させるので、均一な免疫反応が得られ、さらにプラスチック性消耗品の損耗が大幅に低減し、大量のテストを連続的に行うことができ、短時間で大量の検体の測定が可能である。
【0022】
本法の原理は、検体をサンプルピペッターが反応セルに分注した後、試薬ピペッターが試薬カローセルから磁性マイクロパーティクル液をその反応セルに分注する。次に内部攪拌装置で反応セル内の混合液を攪拌した後に、適温、例えば、37℃に維持されたプロセスパス内を移動しながら所要時間インキュベーションされる。かくして、検体、検体希釈液、及び抗原あるいは抗体を固相化した磁性マイクロパーティクル懸濁液をインキュベーションして、検体中の抗体あるいは抗原を特異的にマイクロパーティクル上の抗原あるいは抗体に反応させる(一次反応)。次に反応セルはウオッシュゾーンを通過し、永久磁石などを使用しての磁場の影響下にB/F分離及び磁性マイクロパーティクルの洗浄が希釈緩衝液を使用して行われる。次にアクリジニウム誘導体で標識された特異抗体の入ったコンジュゲート溶液を反応セルに分注し、内部攪拌装置で攪拌した後に、プロセスパス内を移動しながら所要時間インキュベーションされる。標識抗体は、磁性マイクロパーティクル上の測定目的物と結合する。すなわち、反応生成物は、アクリジニウム標識コンジュゲートにより検出される(二次反応)。このコンジュゲートは、アクチベータ溶液の存在下で化学発光を引き起こし、それを光電子増倍管で検出するものである。典型的には当該アクチベータ溶液としては、プレトリガー液とトリガー液とから構成されていてよく、該プレトリガー液は、アクリジニウム標識抗体を磁性マイクロパーティクル上から切り離して、アクリジニウムを反応溶液中に均一な状態で存在するように溶出せしめる働きのものであり、該トリガー液は、アクリジニウムを活性化して、例えば、アクリジニウムを酸化して、発光反応を生ぜしめる働きを持つものが挙げられる。
【0023】
以下、[パルボウイルス測定プロトコール]ARCHITECTTMアナライザーi2000上でのステップを示す。
1)一次反応 反応セルで、以下に示す容量の検体、検体希釈液、及び抗パルボウイルス抗体を固相化したマイクロパーティクル懸濁液を混合する。
検体(血清、または血漿) 50μLまたは、100μL
検体希釈液(Guanidine含有溶液) 50μL
抗パルボウイルス抗体固相化マイクロパーティクル懸濁液 50μL
2)第一回インキュベーション 攪拌装置で攪拌した後、37℃、18分間インキュベーションし、検体中の抗原を特異的にマイクロパーティクル上の抗体に反応させる。
3)B/F分離/洗浄 反応セルを次のステップに移送する間に磁石により磁性マイクロ
パーティクルを反応セルの内壁に押し付けておいて未反応物を除去(B/F分離)し、洗浄
液(トランスファーウォッシュ液)300μLを2回で、反応セル内を洗浄する。
【0024】
4)二次反応 アクリジニウム標識コンジュゲート(アクリジニウム化抗パルボウイルス抗体)溶液 50μLを反応セルに分注する。
5)インキュベーション 攪拌装置で攪拌した後、37℃、22.7分間インキュベーションし、反応生成物とアクリジニウム標識コンジュゲートの反応を進行させ、検体中にパルボウイルス抗原が存在した場合、抗体固相化マイクロパーティクル−パルボウイルス抗原−
コンジュゲート複合体を形成させる。
6)B/F分離/洗浄 反応セルを次のステップに移送する間に磁石により磁性マイクロ
パーティクルを反応セルの内壁に押し付けておいて未反応標識コンジュゲートを除去(B/F分離)し、コンジュゲート洗浄液(コンジュゲートウォッシュ液)200μLを1回、次いで100μLを3回で、未反応のコンジュゲートを洗い流し、複合体を浄化する。
7)アクリジニウムの活性化 アクチベータ溶液 50μLを滴下し、複合体上のアクリジニウムを活性化する。
8)検出 アクリジニウムの活性化により引き起こされた化学発光を光電子増倍管で検出する(化学発光度は、RLU(相対的化学発光単位)値として数値化される)。
【0025】
以下にアッセイで用いる試薬の調製に関して記述する。
1)抗パルボウイルス抗体固相化マイクロパーティクルの調製:
反応液pH 6.1(50mM MES緩衝液)容量10mLで、蛋白質固相化用磁性マイクロパーティクル(顆経0.4ミクロン)固形分1.0%、EDAC (N-ethyl-N'-(3-dimethylaminopropyl)-carbodiimide hydrochloride) 0.3mg/mL、Sulfo-NHS (N-hydroxysulfosuccinimide) 0.45mg/mLの存在下、抗体0.5mg/mLを固相化した。室温で2時間反応後10mM リン酸、150mM NaClで洗浄し、オーバーコート緩衝液(10mM リン酸、150mM NaCl、1% BSA、5%ショ糖、0.1% Proclin 300, pH 7.2)中に固形分1.0%で保管した。ARCHITECTTMアッセイ時は、磁性マイクロパーティクル希釈液(10mM リン酸、150mM NaCl, 13.6%ショ糖、0.05% Tween 20, 0.1% NaN3、pH 7.0)にて固形分0.2%に調製した。
2)アクリジニウム標識コンジュゲートの調製:反応液pH 8.0(100mM PBS緩衝液)容
量0.2mLで、acridinium ester、250μg/mLと抗体5mg/mLを室温で3時間反応させた。10mM リン酸、150mM NaClで透析後、TSKgel G300SWXL(トーソー株式会社)のカラムクロマトグ
ラフィー、移動相0.1%CHAPS/PBS,pH6.3、流速1.0mL/分で主要ピークを分取して精製した。ARCHITECTTMアッセイ時は、アクリジニウム標識コンジュゲート希釈液(10mM リン酸、150mM NaCl、1% BSA、0.05% Tween 20、0.1% NaN3、pH 7.0)にて蛋白質濃度100ng/mLに調製した。
【0026】
3)検体希釈液(guanidine含有溶液)の調製:クエン酸/リン酸緩衝液にグアニジン
濃度が2.7Mとなるようにグアニジン塩酸塩を溶解させ、pHを5.5に調整した。
4)トランスファーウォッシュ液の調製:50mM Tris, 150mM NaCl, 0.05% Tween 20, 0.1% NaN3, pH 8.0の溶液を調製した。
5)コンジュゲートウォッシュ液の調製:60mM borate, 150mM NaCl, 0.01% lithium dodecyl sulfate, 0.1% NaN3, pH 8.5の溶液を調製した。
6)アクチベータ溶液の調製:A液(0.4% hydrogen peroxide/0.06% diethylenetriaminepentaacetic acid)とB液(0.3N sodium hydroxide)を等量、用時混合して調製した。
【0027】
〔パルボウイルスB19陽性検体の測定〕
パルボウイルスB19陽性検体(パルボウイルスB19 DNA陽性検体41種)を上述のABBOTT ARCHITECTTMアナライザーi2000上で〔パルボウイルス測定プロトコール〕に従い測定した
。各検体は抗体はマウスモノクローナル抗パルボウイルスB19抗体Mab-8(mouse IgG2b)お
よびMab-10(mouse IgG1)を用いた。固相抗体にはMab-8を使用し、標識抗体にはMab-10を
用いた。
〔抗パルボウイルスB19 IgM抗体の測定〕
上記パルボウイルスB19抗原の測定に使用したのと同じパルボウイルスB19陽性検体(パルボウイルスB19 DNA陽性検体41種)について、デンカ生研株式会社製キット:パル
ボIgM-EIA「生研」及びパルボIgG-EIA「生研」を用いて、各検体中の抗パルボウイルス B19抗体(IgG及びIgM)を測定した。尚、抗体測定方法は、デンカ生研株式会社製キットの添付文書に従った。
【0028】
ヒトパルボウイルスB19 IgM型抗体検出キットである「パルボIgM-EIA「生研」」は次のような構成である。
1.抗ヒトIgM抗体固相プレート
マウスモノクローナル抗ヒトIgM抗体(1.0μg/ウェル)をマイクロプレートに固相化したもの。
2.ウイルス抗原
精製組換えヒトパルボウイルスB19抗原(5.0μg/mL)を調製して凍結乾燥したもの。
3.標識抗体
ペルオキシダーゼ標識マウスモノクローナル抗ヒトパルボウイルスB19抗体(20μg/mL)
を含むリン酸塩緩衝塩化ナトリウム水溶液。
4.緩衝液
0.85w/v% NaCl、0.5w/v% BSA及び0.05 vol% Tween 20を含有するリン酸塩緩衝塩化ナトリウム水溶液。
5.基質液
3,3',5,5'-テトラメチルベンチジン(0.3mg/mL)、0.0075 vol% hydrogen peroxideを含
む水溶液。
6.反応停止液
0.3mol/L硫酸水溶液。
7.洗浄液
0.85w/v% NaCl及び0.05 vol% Tween 20を含有するリン酸塩緩衝塩化ナトリウム水溶液

【0029】
1)一次反応 各検体10μLに緩衝液2mLを分注し、十分に攪拌し、前希釈検体とする。抗ヒトIgM抗体固相プレートに前希釈検体100μLを分注する。
2)第一回インキュベーション 攪拌装置で攪拌した後、室温(15〜25℃)で1時間インキュベーションする。検体中のIgM抗体を特異的に固相上の抗体に反応させる。
3)B/F分離/洗浄 各ウェルの反応液を吸引除去する。各ウェルに洗浄液を約200μL
加えて、攪拌装置で攪拌した後、液を吸引除去する。この洗浄操作を更に2回繰り返す。
4)二次反応 各ウェルにウイルス抗原液100μLを分注する。
5)第二回インキュベーション 攪拌装置で攪拌した後、室温(15〜25℃)で1時間インキュベーションする。固相上に捕捉されたIgM抗体にウイルス抗原を反応させる。
6)B/F分離/洗浄 各ウェルの反応液を吸引除去する。各ウェルに洗浄液を約200μL
加えて、攪拌装置で攪拌した後、液を吸引除去する。この洗浄操作を更に2回繰り返す。
7)三次反応 各ウェルに標識抗体液100μLを分注する。
8)第三回インキュベーション 攪拌装置で攪拌した後、室温(15〜25℃)で1時間インキュベーションする。固相上に捕捉されたIgM抗体-ウイルス抗原複合体に標識抗体を反応させる。
9)B/F分離/洗浄 各ウェルの反応液を吸引除去する。各ウェルに洗浄液を約200μL
加えて、攪拌装置で攪拌した後、液を吸引除去する。この洗浄操作を更に4回繰り返す。
10)発色反応 各ウェルに基質液100μLを分注する。攪拌装置で攪拌した後、遮光下室温(15〜25℃)で30分間インキュベーションする。次に各ウェルに反応停止液100μLを分注する。1時間以内にブランクのウェルを対照として、吸光度(波長450nm/630nm)を測
定する。
【0030】
〔パルボウイルスB19陽性検体の測定の結果〕
パルボウイルスB19抗原測定並びに抗パルボウイルスB19 IgM抗体測定を、パルボウイルスB19陽性検体(パルボウイルスB19 DNA陽性検体42種; n=42)につき測定した結果を、図1に示す。図1では、ARCHITECTTMアナライザーを使用してのパルボウイルスB19抗原測定(Parvo B19 Ag)では、カットオフ値(Cutoff)をRLU 358とした場合、陽性(+)及び陰性(−)と判断されることになるとの結果が示してある。ARCHITECTTMアナライザーを使用してのパルボウイルスB19抗原測定で陰性結果の検体でも、抗パルボウイルスB19 IgM抗体測定の結果(Anti-Parvo B19 IgM ELISA)が陽性(+)となる場合を勘案して、両者の結果を利用した判定が「Ag・IgM総合判定」に示されているが、非常に高感度であることが判明した。かくして、パルボウイルスB19抗原測定の結果と抗パルボウイルスB19 IgM抗体測定の結果との組合せにより、高感度でパルボウイルスB19による汚染を検出可能と判断される。特に、ARCHITECTTMアナライザーを使用してのパルボウイルスB19抗原測定の結果と抗パルボウイルスB19 IgM抗体測定の結果との組合せ使用は、高感度で迅速な精度の良い、輸血用血液などにおけるパルボウイルスB19汚染の検出手法となると判断される。
ところで、図1に示された結果は、共存抗体の影響による、反応阻害が示唆されているものであった。なお、上記測定法の測定精度、測定感度については、陽性検体(例えば、パルボウイルス B19 DNAレベル1013 IU/mL)を陰性検体(パルボウイルス B19 DNAレベル0 IU/mL)にて希釈し、例えば、1011、1010、109、108、107 IU/mLの感度パネルを調製してそのパネル検体により確認した。
【0031】
〔自動化抗パルボウイルスB19 IgM抗体の測定〕
ABBOTT ARCHITECTTM システムに適した測定系を構築する。
1)一次反応 反応セルで、以下に示す容量の検体、検体希釈液、及びパルボウイルスB19抗原を固相化したマイクロパーティクル懸濁液を混合する。
検体(血清、または血漿) 50μL、または、100μL
検体希釈液 50μL
パルボウイルス抗原固相化マイクロパーティクル懸濁液 50μL
2)第一回インキュベーション 攪拌装置で攪拌した後、37℃、18分間インキュベーションし、検体中の抗体を特異的にマイクロパーティクル上の抗原に反応させる。
3)B/F分離/洗浄 反応セルを次のステップに移送する間に磁石により磁性マイクロ
パーティクルを反応セルの内壁に押し付けておいて未反応物を除去(B/F分離)し、洗浄
液(トランスファーウォッシュ液)300μLを2回で、反応セル内を洗浄する。
【0032】
4)二次反応 アクリジニウム標識コンジュゲート(アクリジニウム化抗ヒトIgM抗体
)溶液 50μLを反応セルに分注する。
5)インキュベーション 攪拌装置で攪拌した後、37℃、22.7分間インキュベーションし、反応生成物とアクリジニウム標識コンジュゲートの反応を進行させ、検体中にヒト抗パルボウイルスB19 IgM抗体が存在した場合、抗体固相化マイクロパーティクル−パルボ
ウイルス抗原−コンジュゲート複合体を形成させる。
6)B/F分離/洗浄 反応セルを次のステップに移送する間に磁石により磁性マイクロ
パーティクルを反応セルの内壁に押し付けておいて未反応標識コンジュゲートを除去(B/F分離)し、コンジュゲート洗浄液(コンジュゲートウォッシュ液)200μLを1回、次いで100μLを3回で、未反応のコンジュゲートを洗い流し、複合体を浄化する。
7)アクリジニウムの活性化 アクチベータ溶液 50μLを滴下し、複合体上のアクリジニウムを活性化する。
8)検出 アクリジニウムの活性化により引き起こされた化学発光を光電子増倍管で検出する(化学発光度は、RLU(相対的化学発光単位)値として数値化される)。
【0033】
以下にアッセイで用いる試薬の調製に関して記述する。
1)パルボウイルス抗原固相化マイクロパーティクルの調製:
反応液pH 7.0 (緩衝液)中で、蛋白質固相化用磁性マイクロパーティクル(顆経0.4ミ
クロン)固形分1.0%、EDAC (N-ethyl-N'-(3-dimethylaminopropyl)-carbodiimide hydrochloride) 0.3mg/mL、Sulfo-NHS (N-hydroxysulfosuccinimide) 0.45mg/mLの存在下、抗原混合物(3種: 15K TP Ag, 17K TP Ag, 47K TP Ag) 0.5mg/mLを固相化した。室温で2時間反応後10mM リン酸、150mM NaClで洗浄し、オーバーコート緩衝液(10mM リン酸、150mM NaCl、1% BSA、5%ショ糖、0.1% Proclin 300, pH 7.2)中に固形分1.0%で保管した。ARCHITECTTMアッセイ時は、磁性マイクロパーティクル希釈液(10mM リン酸、150mM NaCl, 13.6%ショ糖、0.05% Tween 20, 0.1% NaN3、pH 7.0)にて固形分0.2%に調製した。
2)アクリジニウム標識コンジュゲートの調製:反応液pH 8.0(100mM PBS緩衝液)容
量0.2mLで、acridinium ester、250μg/mLと抗体(マウスモノクローナル抗ヒトIgM抗体
)5mg/mLを室温で3時間反応させた。10mM リン酸、150mM NaClで透析後、TSKgel G300SWXL(トーソー株式会社)のカラムクロマトグラフィー、移動相0.1%CHAPS/PBS,pH6.3、流速1.0mL/分で主要ピークを分取して精製した。ARCHITECTTMアッセイ時は、アクリジニウム標識コンジュゲート希釈液(10mM リン酸、150mM NaCl、1% BSA、0.05% Tween 20、0.1% NaN3、pH 7.0)にて蛋白質濃度100ng/mLに調製した。
【0034】
3)検体希釈液の調製: 0.85w/v% NaCl、0.5w/v% BSA及び0.05 vol% Tween 20を含有するリン酸塩緩衝塩化ナトリウム水溶液を調整した。
4)トランスファーウォッシュ液の調製:50mM Tris, 150mM NaCl, 0.05% Tween 20, 0.1% NaN3, pH 8.0の溶液を調製した。
5)コンジュゲートウォッシュ液の調製:60mM borate, 150mM NaCl, 0.01% lithium dodecyl sulfate, 0.1% NaN3, pH 8.5の溶液を調製した。
6)アクチベータ溶液の調製:A液(0.4% hydrogen peroxide/0.06% diethylenetriaminepentaacetic acid)とB液(0.3N sodium hydroxide)を等量、用時混合して調製した。
ARCHITECTTMアナライザーを使用しての自動化抗パルボウイルスB19 IgM抗体の測定においても、上記と同様の結果となる。すなわち、パルボウイルスB19抗原測定では、105 IU/mLのレベルの検知が可能であり、抗原測定で陰性結果の検体では、必ず、抗パルボウイルスB19抗体(IgM)測定の結果が陽性となる。かくして、パルボウイルスB19抗原測定の結果と抗パルボウイルスB19 IgM抗体測定の結果との組合せにより、高感度でパルボウイルスB19による汚染を検出可能と判断される。特に、ARCHITECTTMアナライザーを使用してのパルボウイルスB19抗原測定の結果と抗パルボウイルスB19 IgM抗体測定の結果との組合せ使用は、高感度で迅速な精度の良い、輸血用血液などにおけるパルボウイルスB19汚染の検出手法となると判断される。
自動化抗パルボウイルスB19 IgMの測定系は、測定検体試料を、磁性粒子に固相化され
たパルボウイルスB19抗原と接触せしめ、次に、磁性粒子固相に結合しているパルボウイ
ルスB19抗原-抗ヒトパルボウイルスIgM複合体(コンプレックス)と標識化された抗ヒトIgM抗体とを接触せしめ、そして、標識を指標にヒト抗パルボウイルスIgMを定量する場合
の上記と同様に、測定検体試料を、固相化された抗ヒトIgM抗体と接触せしめ、次に、固
相に結合している抗ヒトIgM抗体-抗ヒトパルボウイルスIgM複合体(コンプレックス)と
パルボウイルスB19抗原とを接触せしめ、そして、固相に結合している抗ヒトIgM抗体-抗
ヒトパルボウイルスIgM-パルボウイルスB19抗原複合体(コンプレックス)と標識化され
た抗ヒトパルボウイルスB19抗体とを接触せしめ、標識を指標にヒト抗パルボウイルスIgMを定量する場合も、同様に構築することができる{必要な試薬を調製することができる}。
【産業上の利用可能性】
【0035】
献血された大量の血液検体のパルボウイルスB19の有無(あるいは問題となるパルボウ
イルスB19汚染の有無)を高感度に、迅速に且つより精度高く検出することが可能となる
ので、輸血血液の安全性を高めることができる。本発明で使用する免疫学的ヒトパルボウイルスB19抗原測定と免疫学的ヒト抗パルボウイルスB19 IgM抗体測定は、簡単な手順で、短時間での測定結果の取得を可能とするものであり、特に、全自動血液スクリーニングシステムを利用できるので実用的である。
本発明は、前述の説明及び実施例に特に記載した以外も、実行できることは明らかである。上述の教示に鑑みて、本発明の多くの改変及び変形が可能であり、従ってそれらも本件添付の請求の範囲の範囲内のものである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】パルボウイルスB19抗原測定並びに抗パルボウイルスB19 IgM抗体測定を、パルボウイルスB19陽性検体(パルボウイルスB19 DNA陽性検体42種; n=42)につき測定した結果を示す。DNA Level は、PCR法によりパルボウイルスB19 DNAを増幅して測定した結果であり、Parvo B19 Ag は、ARCHITECTTMアナライザーi2000上でサンドイッチ法によるパルボウイルスB19抗原測定の結果であり、Anti-Parvo B19 IgM ELISAは、サンドイッチ法による抗パルボウイルスB19 IgM抗体測定の結果である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A) 測定検体試料を、パルボウイルスB19抗原検出試薬で処理し、パルボウイルスB19抗原の測定結果を得ること、
(B) 測定検体試料を、パルボウイルスB19 IgM型抗体検出試薬で処理し、パルボウイルスB19 IgM型抗体の測定結果を得ること、
(C) 同一の検体について得られた、上記(A)のパルボウイルスB19抗原の測定結果と上記(B)のパルボウイルスB19 IgM型抗体の測定結果との両方を使用して、当該検体中のパルボウイルスB19の有無を決定することを特徴とするパルボウイルスB19測定検出法。
【請求項2】
請求項1記載のパルボウイルスB19測定検出法を使用する、パルボウイルスB19検出用試薬。


【図1】
image rotate


【公開番号】特開2008−145181(P2008−145181A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−330809(P2006−330809)
【出願日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【出願人】(000109015)アボットジャパン株式会社 (14)
【Fターム(参考)】