説明

パワーコンディショナ

【課題】系統連系用の開閉器のオフ故障を正確に判定し、系統連系動作を安全に行えるパワーコンディショナを提供する。
【解決手段】燃料電池装置1から供給される直流電力を電力系統2に連系可能な交流電力に変換するパワーコンディショナにおいて、インバータ部32と開閉器33との間に線路間の電圧を監視する監視回路40aを設ける。そして、PC制御部34は、系統連系動作を開始させるにあたり、インバータ部32に出力動作を行わせる前に、開閉器33に対してインバータ部32と電力系統2とを接続させる制御信号を出力し、このときに監視回路40aが電力系統2の電圧に相当する電圧を検出することを条件として、インバータ部32による出力動作を開始させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はパワーコンディショナに関し、より詳細には、発電装置と電力系統とを連系させるパワーコンディショナにおける系統連系用の開閉器の故障検出技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、燃料電池装置などの発電装置を商用電源などの電力系統に接続する場合、これらの間にはパワーコンディショナが設けられている。
【0003】
パワーコンディショナは、周知のとおり、発電装置から供給される直流電力を昇圧するコンバータと、コンバータから出力される直流電力を電力系統に連系可能な交流電力に変換するインバータと、該インバータと電力系統との間に配設される系統連系用の開閉器と、これらの制御部とを備えており、発電装置を電力系統に連系させるときには、上記制御部が上記開閉器の接点を閉成させてインバータと電力系統とを接続する一方、発電装置を電力系統から解列するときには、上記制御部が上記開閉器の接点を開成させて発電装置と電力系統との接続を解除するように構成されている。
【0004】
このようなパワーコンディショナにおいては、上記開閉器が正常に動作しなければ電力系統との連系を安全に行うことができないため、系統連系用の開閉器の動作が正常であるか否かを制御部が判定するように構成したものが提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3979278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に示すパワーコンディショナは、インバータと系統連系用の開閉器との間に線路間の電圧を検出する電圧監視手段を設けており、制御部が系統連系動作を開始する前、つまり、制御部が開閉器の接点を閉成させる制御信号を出力する前に、上記電圧監視手段で線路間の電圧を検出し、このときに検出された電圧が電力系統の電圧に相当するときには系統連系用の開閉器がオン故障(開閉器の接点がインバータ部との接続状態で固着)していると判定するようになっている。
【0007】
ところで、このようにインバータと系統連系用の開閉器との間に電圧監視手段を備える構成を用いて系統連系用の開閉器のオフ故障(開閉器の接点がインバータ部との接続を解除した状態での固着)を検出しようとすると、以下のような問題がある。
【0008】
すなわち、系統連系用の開閉器のオフ故障の検出は、系統連系動作を開始する前に、系統連系用の開閉器の接点を閉成させる制御信号を出力し、このときに電圧監視手段で電力系統の電圧に相当する電圧を検出されなければ、系統連系用の開閉器の接点は閉成されておらず開閉器はオフ故障していると判定することができる。しかし、この場合、系統連系用の開閉器の接点を閉成させる制御信号を出力する前にインバータ部が出力動作を開始してしまうと、電圧監視手段にはインバータの出力電圧を電力系統からの電圧と誤認することになり、開閉器が開成状態のまま固着していても(オフ故障していても)、系統連系用の開閉器はオフ故障していないと誤って判定してしまう。特に、インバータ部の制御は、コンバータ部の出力電圧がインバータ部において電力系統に連系可能な電圧の交流電力を出力できるレベルまで昇圧されることを条件に制御部がインバータ部の出力動作を開始させるようになっているので、電圧監視手段がインバータ部の出力電圧を電力系統の電圧と誤認するおそれが大きい。
【0009】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、系統連系用の開閉器のオフ故障を正確に判定し、系統連系動作を安全に行えるパワーコンディショナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載のパワーコンディショナは、発電装置から供給される直流電力を昇圧するコンバータ部と、上記コンバータ部から出力される直流電力を電力系統に連系可能な交流電力に変換するインバータ部と、上記インバータ部を上記電力系統に接続する系統連系用の開閉器と、これらの制御部とを備えたパワーコンディショナにおいて、上記インバータ部と上記開閉器との間に電圧監視手段が備えられ、上記制御部は、系統連系動作を開始させるにあたり、上記インバータ部に出力動作を行わせる前に、上記開閉器に対して上記インバータ部と上記電力系統とを接続させる制御信号を出力し、このときに上記電圧監視手段が所定の電圧を検出することを条件として、上記インバータ部による出力動作を開始させる制御構成を有することを特徴とする。
【0011】
請求項1に係るパワーコンディショナでは、系統連系用の開閉器のオフ故障の検出にあたり、制御部は、系統連系動作を開始する前に、インバータ部の出力動作を停止させた状態のままで、上記系統連系用の開閉器に対して電力系統をインバータ部と接続させる制御信号を出力する。そして、その状態で電圧監視手段が電力系統の電圧に相当する電圧(所定の電圧)を検出したか否かを判断し、その結果、電力系統の電圧に相当する電圧を検出した場合には開閉器は正常に動作している(オフ故障していない)と判定して、インバータ部の出力動作を開始させるようになっている。すなわち、この請求項1に係るパワーコンディショナでは、開閉器のオフ故障の有無の判定が完了するまではインバータ部からは電圧が出力されないようになっているので、インバータ部の出力電圧を電力系統の電圧と取り違えて判定することがなく、開閉器のオフ故障の有無の判定を正確に行うことができ、誤判定をなくすことができる。
【0012】
本発明の請求項2に記載のパワーコンディショナは、請求項1に記載のパワーコンディショナにおいて、上記系統連系用の開閉器は、上記電力系統を上記インバータ部に接続する接点と、上記電力系統を整流回路を介して上記インバータ部のDCリンク部に接続する接点とを備えた2回路切替式のスイッチ回路で構成されていることを特徴とする。
【0013】
この請求項2に係るパワーコンディショナでは、上記系統連系用の開閉器として、電力系統をインバータ部に接続する接点と、電力系統を整流回路を介してインバータ部のDCリンク部に接続する接点とを備えた2回路切替式のスイッチ回路が用いられているので、インバータ部を電力系統に連系させないときには、電力系統から供給される電力をインバータ部のDCリンク部に供給するように構成することができる。したがって、たとえば、制御部の駆動電力を上記DCリンク部から得るように構成しておけば、制御部は系統連系時(つまり、発電装置が発電中)には発電装置から電力の供給を受け、非連系時には電力系統から電力供給を受けることができ、常時制御部を動作状態に保つことができる。
【0014】
本発明の請求項3に係るパワーコンディショナは、請求項1または2に記載のパワーコンディショナにおいて、上記制御部は、上記電圧監視手段による検出電圧の判定前に、上記コンバータ部を動作させてコンバータ部の出力電圧を所定の電圧値にまで昇圧させる制御構成を備えたことを特徴とする。
【0015】
この請求項3に係るパワーコンディショナでは、系統連系動作を開始するにあたり、インバータ部の出力動作を停止させた状態で行われる上述した開閉器のオフ故障の有無の判定(電圧監視手段の検出電圧の判定)の前に、あらかじめ上記コンバータ部を動作させてコンバータ部の出力電圧を所定の電圧値(インバータ部が電力系統に連系可能な電圧の交流電力を生成するのに必要な電圧値)にまで昇圧するように構成しているので、検出電圧の判定の結果、インバータ部の出力動作を開始させたときには、直ちに電力系統との連系ができる。
【0016】
本発明の請求項4に記載のパワーコンディショナは、請求項1から3のいずれかに記載のパワーコンディショナにおいて、上記制御部は、上記開閉器の電力系統側に電力系統の停電を監視する停電監視手段を備えていることを特徴とする。
【0017】
この請求項4に係るパワーコンディショナでは、上記電圧監視手段とは別に、電力系統の停電を監視する停電監視手段が開閉器の電力系統側に備えられているので、上述した開閉器のオフ故障の判定の際に、電力系統側の停電によって、電圧監視手段が電力系統の電圧に相当する電圧(所定の電圧)を検出しない場合において、誤って開閉器のオフ故障と判定することが防止され、より正確に開閉器のオフ故障の有無を判定することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、パワーコンディショナのインバータ部と系統連系用の開閉器との間に電圧監視手段が備えられ、系統連系動作を開始させるにあたり、制御部は、インバータ部に出力動作を行わせる前に上記開閉器に対してインバータ部と電力系統とを接続させる制御信号を出力し、このときに電圧監視手段において所定の電圧が検出されたか否かに基づいて開閉器のオフ故障の有無を判断するようになっており、電圧監視手段が所定の電圧を検出することを条件にインバータ部による出力動作を開始させることから、インバータ部の出力電圧を電力系統の電圧と取り違えて開閉器のオフ故障の有無を判定することが回避され、開閉器のオフ故障の有無を正確に判定することができ、安全に系統連系動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るパワーコンディショナを用いた発電システムの概略構成の一例を示す回路構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係るパワーコンディショナを用いた発電システムの一例を示している。この図1に示す発電システムは、発電装置として燃料電池を用いた発電システムであって、燃料電池装置1と、電力系統2と、パワーコンディショナ3とを主要部として構成されている。
【0021】
燃料電池装置1は、天然ガスなどの水素を含む燃料ガスと空気などの酸素を含む酸化剤ガスとを化学反応させて直流電力を発電する発電装置であって、上記化学反応によって発電を行う発電部(スタック)11と、発電部11を動作させるための周辺機器で構成される補機12と、燃料電池装置1の各部の動作を制御するFC制御部13とを主要部として備えている。
【0022】
発電部11は、使用する電解質や運転温度(スタックの温度)などの相違によって数種類に分類されるが、本実施形態では、電解質にイオン伝導性セラミックスを用いる固体酸化物型燃料電池(SOFC)が用いられている。なお、固体酸化物型燃料電池の構造自体は公知であるので詳細な説明は省略する。
【0023】
補機12は、発電部11の起動準備中や発電運転中に動作するブロワやポンプなどの電気負荷(図示せず)で構成されている。これら補機12を構成する電気負荷は、直流電源(たとえば、DC24V)で駆動されるようになっており、後述するパワーコンディショナ3の電源部36から直流電力の供給を受けるようになっている。
【0024】
FC制御部13は、マイコンを制御中枢として備えた制御装置であって、発電部11の出力電圧や出力電流、補機12の状態などを監視する各種センサ類(図示せず)から得られる情報と、後述するパワーコンディショナ3のPC制御部34との通信によって得られる情報とに基づいて燃料電池装置1の各部(補機12を含む)の動作を制御するように構成されている。
【0025】
電力系統2は、商用電源21(たとえば、単相AC200V)からなっており、商用電源21は、図示しない分電盤を介して家庭内の電気負荷(図示せず)やパワーコンディショナ3と接続されている。
【0026】
パワーコンディショナ3は、燃料電池装置1で発電された直流電力を電力系統2に連系可能な交流電力に変換するインバータ装置であって、燃料電池装置1から供給される直流電力を昇圧するコンバータ部31と、コンバータ部31から出力される直流電力を電力系統2に連系可能な交流電力に変換するインバータ部32と、インバータ部32を電力系統2に接続する系統連系用の開閉器33と、これらコンバータ部31、インバータ部32および開閉器33を含むパワーコンディショナ3の各部の動作を制御するPC制御部(制御部)34とを主要部として備えている。
【0027】
コンバータ部31は、燃料電池装置1の発電部11から出力される直流電力の電圧を、インバータ部32において電力系統2に連系可能な電圧の交流電力に変換できるように所定の電圧(たとえば、DC375〜405V)にまで昇圧するDC/DCコンバータで構成されている。このコンバータ部31に用いられるDC/DCコンバータには絶縁型のコンバータが用いられており、燃料電池装置1と電力系統2とはこのコンバータ部31によって絶縁されている。
【0028】
インバータ部32は、上記コンバータ部31から出力される直流電力を所定の電圧、周波数等の交流電力に変換するDC/ACインバータで構成されており、上記コンバータ32で昇圧された直流電力は、このインバータ部32によって電力系統2に連系可能な交流電力に変換される。このインバータ部32の入力側には、DCリンク部を構成するコンデンサ(DCリンクコンデンサ)35が配設されており、このDCリンク部を介してコンバータ部31とインバータ部32とが接続されている。
【0029】
系統連系用の開閉器33は、パワーコンディショナ3の電力系統2への連系と、パワーコンディショナ3の電力系統2からの解列とを切り替えるための開閉器であって、本実施形態では、解列時にパワーコンディショナ3の電源部36に対して電力系統2から電力を供給できるように、この開閉器33には2回路切替式のスイッチ回路(たとえば、2回路切替式リレー)が用いられている。
【0030】
具体的には、この開閉器33は、電力系統2とインバータ部32の出力側とを接続するための接点33a,33aと、電力系統2を整流回路37を介して上記インバータ部32のDCリンク部に接続するための接点33b、33bとを備えており、電力系統2を接点33a,33aに接続することによってパワーコンディショナ3を電力系統2に連系可能な状態にする一方、電力系統2を接点33b、33bに接続することによってパワーコンディショナ3を電力系統2から解列状態にするとともに、電力系統2から供給される電力を電源部36に供給できるようになっている。なお、この開閉器33における接点33a,33bの切り替えは、開閉器33の接点切替用の駆動回路(図示せず)にPC制御部34から制御信号を与えることによって行われ、この制御信号により接点33aまたは接点33bのいずれかの接点が電力系統2と接続されるように構成されている。
【0031】
ここで、上記整流回路37はダイオードブリッジ回路で構成されており、その入力側が上記接点33b,33bに接続される一方、その出力側がDCリンクコンデンサ35とインバータ部32の入力側との間に接続されている。すなわち、整流回路37で整流された直流電力はDCリンク部を介して電源部36に供給されるように構成されている。なお、この整流回路37には平滑回路が付加されていてもよい。
【0032】
電源部36は、上記コンバータ部31とDCリンクコンデンサ35との間に接続された電源入力ライン38を介して供給される直流電力を所定の電圧に変換してパワーコンディショナ3の各部に供給する電源装置であって、燃料電池装置1が発電しているとき(パワーコンディショナ3が電力系統と連系しているとき)はコンバータ部31を介して燃料電池装置1から電力供給を受け、また、燃料電池装置1が発電していないとき(パワーコンディショナ3が電力系統2から解列しているとき)は上記整流回路37を介して電力系統2から電力供給を受けて、パワーコンディショナ3の各部に電力を供給するように構成されている。なお、本実施形態では、上記燃料電池装置1の補機12もこの電源部36から電力供給を受けるようになっている。
【0033】
PC制御部34は、図示しないマイコンを制御中枢として備えた制御装置であって、燃料電池装置1からの入力電圧や入力電流などを監視する各種センサ類(図示せず)から得られる情報、燃料電池装置1のFC制御部13から得られる情報、さらには、図示しないパワーコンディショナ3のリモコン(操作部)から得られる情報などに基づいて、パワーコンディショナ3の各部の動作を制御するように構成されている。
【0034】
具体的には、このPC制御部34は、上記コンバータ部31およびインバータ部32の動作制御や開閉器33のスイッチ接点の切替制御などを行うほか、燃料電池装置1のFC制御部13に対して各種指令(たとえば、発電部11の起動/停止などの指令)などを行う制御プログラムが備えられている。また、この制御プログラムには、後述する開閉器33の故障検出用のプログラムも含まれている。なお、このPC制御部34は、上述したように電源部36から電力供給を受けるようになっており、燃料電池装置1の発電部11が発電していないときは電力系統2から電力供給を受けるようになっている。
【0035】
次に、パワーコンディショナ3における開閉器33の故障検出について説明する。
本実施形態に示すパワーコンディショナ3は、開閉器33の接点の固着(開閉器33の接点が接点33aまたは33bのいずれかに固着していないか)を検出するために、接点33a,33bのそれぞれに線路間の電圧を監視する監視回路(電圧監視手段)40a,40bを備えている。
【0036】
接点33a側に設けられる監視回路40aは、インバータ部32と開閉器33との間に配設され、インバータ部32の出力端子(図示せず)と開閉器33の接点33a,33aとを結ぶライン間の電圧を検出できるようになっており、この監視回路40aで検出される電圧情報はPC制御部34に与えられるようになっている。なお、本実施形態では、監視回路40aは、電圧情報として、監視回路40aが所定の電圧(電力系統2の電圧に相当する電圧)を検出したか否かについての情報としてPC制御部34に与えられるようになっている。
【0037】
一方、接点33b側に設けられる監視回路40bは、整流回路37と開閉器33との間に配設され、整流回路37の入力端子(図示せず)と開閉器33の接点33b,33bとを結ぶライン間の電圧を検出できるようになっており、この監視回路40bで検出される電圧情報もPC制御部34に与えられるようになっている。なお、この監視回路40bの電圧情報も、上記監視回路40aと同様に、所定の電圧(電力系統2の電圧に相当する電圧)を検出したか否かについての情報としてPC制御部34に与えられるようになっている。
【0038】
そして、パワーコンディショナ3を電力系統2に連系しないとき(解列時)には、PC制御部34は、上記インバータ部32の出力動作を停止させるとともに、開閉器33の接点を接点33b側に接続させる制御信号を出力し、この状態で監視回路40a,40bによる電圧検出結果に基づいて、開閉器33が正常に解列動作を行っているかを判定する。
【0039】
具体的には、PC制御部34は、まず、接点33a側の監視回路40aの検出結果に基づいて、開閉器33がオン故障(開閉器33の接点が接点33aに接続された状態で固着)していないかを判断する。このとき、開閉器33がオン故障していなければ、接点33a側の監視回路40aには電圧が検出されないが、オン故障していれば監視回路40aには電力系統2の電圧に相当する電圧が検出されるので、PC制御部34は、監視回路40aの検出結果がオフ(電力系統2の電圧に相当する電圧の検出なし)であれば、開閉器33はオン故障していないと判定する。その一方、監視回路40aの検出結果がオン(電力系統2の電圧相当の電圧の検出あり)であれば、開閉器33の接点は接点33aに固着していると判断し、開閉器33はオン故障していると判定する。
【0040】
そして、開閉器33がオン故障していなければ、PC制御部34は、接点33b側の監視回路40bにおいて、電力系統2の電圧に相当する電圧が検出されているか否かを判断する。この判断で、監視回路40bが電力系統2の電圧に相当する電圧を検出していれば(監視回路40bがオンであれば)、開閉器33の接点は接点33b側に正常に接続されているといえるので、PC制御部34は開閉器33が正常に解列動作をしていると判定する。これに対して、開閉器33がオン故障していないにもかかわらず、監視回路40bが電力系統2の電圧に相当する電圧を検出しなければ(監視回路40bがオフであれば)、開閉器33の接点が接点33bに接続されていない(接点の接触不良や断線)と判断できるので、開閉器33は故障していると判定する。
【0041】
そして、パワーコンディショナ3を電力系統2に連系させるときには、PC制御部34は、上記コンバータ31を動作させて燃料電池装置1から供給される直流電力を昇圧させるとともに、開閉器33の接点を接点33a側に接続させる制御信号を出力し、この状態で監視回路40a,40bによる電圧検出結果に基づいて、開閉器33が正常に系統連系動作を行っているかを判定する。
【0042】
具体的には、PC制御部34は、系統連系動作を開始させるにあたり、まず、コンバータ部31を動作させてDCリンク部の電圧をインバータ部32が系統連系可能となる電圧(たとえば、DC375〜405V)にまで昇圧させる。
【0043】
そして、コンバータ部31による昇圧が完了すると、次に、PC制御部34は、インバータ部32に出力動作を行わせる前に、開閉器33の接点を接点33a側に接続させる制御信号を出力する。なお、この時点では、PC制御部34は、インバータ部32の動作を停止させている。
【0044】
そして、PC制御部34は、この状態で、接点33a側の監視回路40aの検出結果に基づいて、開閉器33がオフ故障(開閉器33の接点が接点33bに接続された状態で固着)していないかを判断する。このとき、開閉器33がオフ故障していなければ、接点33a側の監視回路40aには電力系統2の電圧に相当する電圧が検出されるが、オフ故障していれば監視回路40aには電圧は検出されないので、PC制御部34は、監視回路40aの検出結果がオン(電力系統2の電圧相当の電圧の検出あり)であれば、開閉器33はオフ故障していないと判定する。その一方、監視回路40aの検出結果がオフ(電力系統2の電圧に相当する電圧の検出なし)であれば、開閉器33の接点は接点33bに固着していると判断し、開閉器33はオフ故障していると判定する。
【0045】
そして、開閉器33がオフ故障していなければ、開閉器33は正常に系統連系動作を行っていると判断できるので、PC制御部34は、監視回路40aがオンしたことを条件として、インバータ部32に対して出力動作を開始させる制御信号を出力し、インバータ部32を動作させてパワーコンディショナ3と電力系統2とを連系させる。
【0046】
なお、系統連系時に開閉器33がオフ故障していなければ、接点33b側の監視回路40bはオフとなるので、この時点で監視回路40bの検出結果をPC制御部34が判断する必要は特にないが、監視回路40aによる開閉器33のオフ故障判定時に監視回路40bがオフしていることをPC制御部34で確認するように構成してもよい。
【0047】
このように、本発明のパワーコンディショナ3では、インバータ部32と系統連系用の開閉器33との間に線路間の電圧を監視する監視回路(電圧監視手段)40aが備えられ、系統連系動作を開始させるにあたり、PC制御部34が、インバータ部32に出力動作を行わせる前に開閉器33に対してインバータ部32と電力系統2とを接続させる制御信号を出力し、このときに監視回路40aにおいて電力系統2の電圧が検出されたか否かに基づいて開閉器33のオフ故障の有無を判断するようになっているので、開閉器33のオフ故障を正確に判定できる。しかも、開閉器33がオフ故障していないことを条件にインバータ部32による出力動作を開始させるので、安全に系統連系動作を行うことができる。また、その際、監視回路40aによる検出電圧の判定(開閉器33のオフ故障の判定)前に、コンバータ部31を動作させてコンバータ部31の出力電圧をインバータ部32が電力系統2に連系可能な電圧の電力を出力できる電圧値にまで昇圧させているので、オフ故障の有無の確認後直ちにパワーコンディショナ3を電力系統2に連系させることができる。
【0048】
そして、本実施形態のパワーコンディショナ3では、このようにインバータ部32に出力動作を行わせずに開閉器33の接点を接点33a側に接続して、監視回路40aで電力系統2の電圧が検出されたかを判断しているので、このときに電圧系統2が停電等していると正確な判断ができない。そのため、本実施形態のパワーコンディショナ3には、開閉器33の電力系統側に電力系統2の停電を監視する停電監視回路(停電監視手段)41が備えられており、この停電監視回路41により電力系統側に停電が検出された場合には、PC制御部34は、上述した開閉器33のオフ故障の判定は行わないようにしている。なお、停電監視回路41は、開閉器33と電力系統2(商用電源21)との間に配設されていればよく、図示のようにパワーコンディショナ3に内蔵する構成を採用しなくてもよい。
【0049】
なお、上述した実施形態は本発明の好適な実施態様を示すものであって、本発明はこれらに限定されることなく発明の範囲内で種々の設計変更が可能である。
【0050】
たとえば、上述した実施形態では、開閉器33として2回路切替式のスイッチ回路を用いた場合を示したが、これは本実施形態では、燃料電池装置1が発電していないときにはDCリンク部を介してPC制御部34に電力系統2からの電力が供給されるように構成しているからであり、かかる構成を採用しない場合、上記開閉器33にはインバータ部32と電力系統2との接続を入り/切りするのみのスイッチ回路(リレー)を用いることができる。そして、このリレーの接点のオフ故障(開閉器33の接点が開成された状態で固着)の判定に本発明を適用することができる。すなわち、系統連系動作を開始させるにあたり、PC制御部34は、まず、コンバータ部31を動作させてDCリンク部の電圧をインバータ部32が系統連系可能となる電圧に昇圧し、インバータ部32に出力動作を行わせる前に、開閉器33の接点を閉成させる制御信号を出力する。そして、この状態で、インバータ部32と電力系統2との間に設けられる監視回路40aがオンであれば、開閉器33はオフ故障していないと判定し、監視回路40aの検出結果がオフであれば、開閉器33はオフ故障していると判定することができる。
【0051】
また、上述した実施形態では、発電装置として固体酸化物型燃料電池を用いたが、他の態様の燃料電池装置を用いることができるのは勿論のこと、発電装置として太陽電池など他の直流発電装置を用いることも可能である。
【0052】
また、上述した実施形態では、開閉器33の故障判定の結果、開閉器33に故障(オン故障やオフ故障、その他、接触不良や断線など)が検出された場合の処理については特に示していないが、このような故障が検出された場合は、パワーコンディショナ3のリモコン(図示せず)に備えられた表示部などを通じて故障検出を報知するように構成しておくのが望ましい。
【0053】
また、上述した実施形態では、監視回路40a,40bは、PC制御部34に与える電圧情報として、監視回路40a,40bが電力系統2の電圧に相当する電圧を検出したか否かの情報(オン/オフ)を与えるようにした場合を示したが、監視回路40a,40bからPC制御部34に与える電圧情報としては、監視回路40a,40bで検出される電圧に比例した電気信号(たとえば、電圧信号)を与えるように構成し、PC制御部34において、監視回路40a,40bから与えられた電気信号に基づいて、監視回路40a,40bで検出された電圧と電力系統2の電圧とを比較するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 燃料電池装置
2 電力系統
3 パワーコンディショナ
11 発電部
12 補機
13 FC制御部
31 コンバータ部
32 インバータ部
33 系統連系用の開閉器
34 PC制御部(制御部)
35 コンデンサ(DCリンク部)
36 電源部
37 整流回路
40a 接点33a側の監視回路(電圧監視手段)
40b 接点33b側の監視回路
41 停電監視回路(停電監視手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電装置から供給される直流電力を昇圧するコンバータ部と、前記コンバータ部から出力される直流電力を電力系統に連系可能な交流電力に変換するインバータ部と、前記インバータ部を前記電力系統に接続する系統連系用の開閉器と、これらの制御部とを備えたパワーコンディショナにおいて、
前記インバータ部と前記開閉器との間に電圧監視手段が備えられ、
前記制御部は、系統連系動作を開始させるにあたり、前記インバータ部に出力動作を行わせる前に、前記開閉器に対して前記インバータ部と前記電力系統とを接続させる制御信号を出力し、このときに前記電圧監視手段が所定の電圧を検出することを条件として、前記インバータ部による出力動作を開始させる制御構成を有する
ことを特徴とするパワーコンディショナ。
【請求項2】
前記系統連系用の開閉器は、前記電力系統を前記インバータ部に接続する接点と、前記電力系統を整流回路を介して前記インバータ部のDCリンク部に接続する接点とを備えた2回路切替式のスイッチ回路で構成されていることを特徴とする請求項1に記載のパワーコンディショナ。
【請求項3】
前記制御部は、前記電圧監視手段による検出電圧の判定前に、前記コンバータ部を動作させてコンバータ部の出力電圧を所定の電圧値にまで昇圧させる制御構成を備えた
ことを特徴とする請求項1または2に記載のパワーコンディショナ。
【請求項4】
前記制御部は、前記開閉器の電力系統側に電力系統の停電を監視する停電監視手段を備えていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のパワーコンディショナ。

【図1】
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【公開番号】特開2013−78182(P2013−78182A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215889(P2011−215889)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】