説明

パワーコンディショナ

【課題】効率的かつ安定的に非発電時にも受電電力や家庭内消費電力の計測・表示ができる太陽光発電システムのパワーコンディショナを提供する。
【解決手段】パワーコンディショナ1に、系統3からの受電電力と家庭内消費電力とを計測する電力計測部8と、電力計測部8の計測結果を外部の表示装置20に送信する通信部9を設ける。そして、これら電力計測部8および通信部9に電力を供給する電源部11が、太陽光パネル2(DCリンク部7)と系統3の双方から電力供給を受けることができるように構成し、太陽光パネル2が発電していないときでも受電電力等の計測と、計測結果の送信ができるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はパワーコンディショナに関し、より詳細には、太陽光発電システムに用いられるパワーコンディショナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽光発電システムに用いられるパワーコンディショナは、太陽電池を備えた太陽光パネルで発電された直流電力を交流電力に変換して商用電源などの系統に出力するために用いられていることから、太陽光パネルが発電しているときだけ動作するようになっている。
【0003】
ところで、最近の給湯器などには系統からの受電電力や家庭内負荷で消費される消費電力(家庭内消費電力)を計測する電力計測部を備えるとともに、電力計測部で計測された受電電力(売電しているときは売電電力)や家庭内消費電力を給湯器のリモコンの表示部などに表示する機能(エネルギ表示機能)を備えたものがある(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
この種の電力計測部は、周知のとおり、系統から単相三線式で供給される電力について、U相−N相(中性線)間の電圧を検出する電圧センサと、V相−N相間の電圧を検出する電圧センサと、系統と家庭内負荷との間に設けられるU相およびV相の各電流を検出する各電流センサとを備えており、これら各センサの検出結果からマイコンなどの演算部が受電電力と家庭内負荷とを演算するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−279119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような従来の構成において、出願人は、太陽光発電システムのパワーコンディショナにも給湯器と同様な電力計測手段を備えさせることを考えたが、太陽光発電システムのパワーコンディショナは、上述したとおり、夜間など太陽光パネルが発電を行わないときは動作しないので、パワーコンディショナに電力計測部を備えさせるには、太陽光パネルが発電しないときにもパワーコンディショナの電力計測部に電力を供給する構成を採用しなければならない。
【0007】
そして、このような構成を採用するにあたっては、系統停電時に太陽光パネルで発電した電力を専用のコンセントなどに供給する自立発電運転機能の採否やパワーコンディショナの電力変換効率の低下防止などを考慮すると、電力供給部に供給する電力としては、太陽光パネルが発電中は太陽光パネルから、また、太陽光パネルが発電停止中は系統から供給するのが望ましい。かかる条件を満たす構成としては、DC−ACインバータのDCリンク部(DCリンクコンデンサ)から電力計測部用の電力を採ることが考えられるが、DCリンクコンデンサは容量が大きい(たとえば、3000μF)ため、DCリンク部に電荷がたまっていない状態で系統から電力供給を行うとDCリンク部に大きな突入電流が流れ、素子故障を引き起こすおそれがある。また、突入電流を防止するには別途突入電流防止回路を備えさせる必要がある。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、効率的かつ安定的に非発電時にも受電電力や家庭内消費電力の計測・表示ができる太陽光発電システムのパワーコンディショナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に記載のパワーコンディショナは、太陽電池から供給される直流電力を昇圧するコンバータと、上記コンバータで昇圧された直流電力を系統に連系可能な交流電力に変換するインバータとを備えたパワーコンディショナにおいて、上記コンバータとインバータの間に設けられるDCリンク部と上記系統の双方から電力供給を受けることができる電源部と、上記電源部から電力供給を受けて少なくとも系統からの受電電力を計測する電力計測部とを備えていることを特徴とする。
【0010】
すなわち、この請求項1に係るパワーコンディショナでは、パワーコンディショナ内に系統からの受電電力と家庭内消費電力とを計測する電力計測部が備えられており、この電力計測部が太陽電池と系統の双方から電力供給を受けることができる電源部から電力供給を受けるように構成されているので、電力計測部は、太陽電池が発電しているときは太陽電池から、また、太陽電池が発電していないときには系統から、それぞれ電力供給を受けることができる。そのため、この請求項1に係るパワーコンディショナによれば、太陽電池が発電していないときでも系統からの受電電力や家庭内消費電力などを計測できるパワーコンディショナを提供することができる。
【0011】
また、本発明の請求項2に記載のパワーコンディショナは、請求項1に記載のパワーコンディショナにおいて、上記電源部の入力側のコンデンサに上記DCリンク部のコンデンサよりも容量の小さいコンデンサが用いられるとともに、上記DCリンク部と上記電源部との間に逆流防止素子が備えられていることを特徴とする。
【0012】
すなわち、この請求項2に係るパワーコンディショナでは、電源部の入力側のコンデンサの容量がDCリンク部のコンデンサの容量より小さく、かつ、これらの間に逆流防止素子を設けているので、たとえば、パワーコンディショナの電源投入時(太陽電池は発電しておらず、系統から電力供給があったとき)などに、DCリンク部に対して大きな突入電流が流れるのを防止することができる。
【0013】
また、本発明の請求項3に記載のパワーコンディショナは、請求項1または2に記載のパワーコンディショナにおいて、上記電源部から電力供給を受けて動作する通信部を備え、この通信部を用いて上記電力計測部での計測結果を外部の表示装置に送信するように構成されていることを特徴とする。
【0014】
すなわち、この請求項3に係るパワーコンディショナでは、外部の表示装置に電力計測部での計測結果を送信する通信部が備えられており、この通信部が上記電源部から電力供給を受けるようになっているので、たとえば、上記外部の表示装置として、エネルギ表示機能を備えた給湯器のリモコンや受電電力などを表示させる専用の表示装置などを用いることで、夜間など太陽電池が発電していないときでも、これら給湯器のリモコンや表示装置に受電電力や家庭内消費電力などを表示させることができる。
【0015】
また、本発明の請求項4に記載のパワーコンディショナは、請求項3に記載のパワーコンディショナにおいて、上記通信部は上記外部の表示装置と有線接続されており、上記外部の表示装置に対して上記電力計測部の計測結果を電源重畳方式を用いて送信するように構成されていることを特徴とする。
【0016】
すなわち、この請求項4に係るパワーコンディショナでは、通信部から外部の表示装置に電力計測部の計測結果を送信するにあたり電源重畳方式を用いるので、上記電源部から電力供給できるときは、系統が停電しているときでも外部の表示装置には電力が供給されるので外部の表示装置は表示可能な状態を維持することができる。したがって、パワーコンディショナにおいて系統停電を検出した場合には、上記通信部を用いてその旨を外部の表示装置に表示等させることができる。
【0017】
また、本発明の請求項5に記載のパワーコンディショナは、請求項1から4のいずれかに記載のパワーコンディショナにおいて、上記電力計測部は、太陽電池で発電される発電電力も演算するように構成されていることを特徴とする。
【0018】
すなわち、この請求項5に係るパワーコンディショナでは、電力計測部において太陽電池の発電電力(発電量)も演算されるので、外部の表示装置に受電電力や家庭内消費電力などを表示する際に、これらと併せてまたは単独で太陽電池の発電量を表示させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、太陽光発電システムのパワーコンディショナにおいて、DCリンク部と系統の双方から電力供給を受けることができる電源部が設けられるとともに、系統からの受電電力と家庭内消費電力とを計測する電力計測部がこの電源部から電力供給を受けるようになっているので、電力計測部は太陽電池が発電していないときでも受電電力や家庭内消費電力などを計測することができる。
【0020】
また、電源部の入力側のコンデンサにDCリンク部のコンデンサよりも容量の小さいコンデンサを用いるとともに、DCリンク部と電源部との間に逆流防止素子を備えることにより、DCリンク部に大きな突入電流が流れるのを防止することができるので、系統から上記電源部に至る経路に備えられた部品の素子故障を抑制しつつ、太陽電池が非発電時でも受電電力等を計測可能なパワーコンディショナを提供することができる。
【0021】
さらに、本発明のパワーコンディショナに上記電源部から電力供給を受けて動作する通信部を備えさせ、この通信部を用いて電力計測部の計測結果を外部の表示装置に送信するように構成することにより、夜間など太陽電池が非発電時でも受電電力等を給湯器のリモコンなどの表示装置に表示させることができる。また、この計測結果の送信にあたり電源重畳方式を利用することで、上記電源部から電力供給できるときは、系統停電時でも表示装置を表示可能な状態とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係るパワーコンディショナの概略構成の一例を示す構成図である。
【図2】同パワーコンディショナを給湯器のリモコンと通信接続した状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明にパワーコンディショナの概略構成の一例を示している。本発明に係るパワーコンディショナ1は、発電素子を備えて構成される太陽光パネル2で発電された直流電力を商用電源などの系統3に連系させるためのインバータ装置であって、図に示すように、太陽光パネル2から供給される直流電力を昇圧するコンバータ4と、該コンバータ4で昇圧された直流電力を系統3に連系可能な交流電力に変換するインバータ5と、該インバータ5から出力される交流電力を系統3に系統連系させるための系統連系リレー6と、上記コンバータ4とインバータ5との間に介在してこれらを接続するDCリンク部7と、系統3からの受電電力(発電電力を逆潮流させて売電しているときは売電電力)や家庭内消費電力(系統3からの受電電力のみで電力をまかなっているときは受電電力と同値)などを計測する電力計測部8と、外部の表示装置20との通信を行う通信部9と、パワーコンディショナの各部を制御する制御部10と、上記電力計測部8、通信部9および制御部10の電源となる電源部11とを主要部として備えている。
【0024】
なお、太陽光パネル(太陽電池)2は、周知のとおり、光電現象によって発電を行う複数の発電素子を直列接続してなる太陽電池モジュールを、さらに直列および/または並列に接続してグループ化してパネルにしたものであって、太陽光などの日射によって直流電力を発電するようになっている。
【0025】
また、上記系統3は、電力会社などから供給される商用の交流電源であって、本実施形態では、系統3として単相三線式の交流200Vが屋内の分電盤(図示せず)に供給され、パワーコンディショナ1にはこの分電盤を介して系統電力が供給されている。
【0026】
上記コンバータ4は、太陽光パネル2から供給される直流電力を、インバータ5が必要とする電圧まで昇圧するDC−DCコンバータで構成されている。また、インバータ5はコンバータ4からDCリンク部7を介して供給される直流電力を系統3に連系可能な電圧、周波数の交流電力(たとえば、単相交流200V)に変換するDC−ACインバータで構成されている。さらに、これらを接続するDCリンク部7は大容量(たとえば、3000μF)のDCリンクコンデンサで構成されている。
【0027】
上記系統連系リレー6は、接点の開閉によって太陽光パネル2を系統3に連系/解列する開閉器であって、この系統連系リレーには常開接点のリレーが用いられている。なお、この系統連系リレー6は、制御部10によって制御されており、太陽光パネル2を系統3に連系させるときは接点を短絡(閉成)させ、太陽光パネル2を系統3から解列するときは接点を開放(開成)させるようになっている。
【0028】
上記電力計測部8は、系統3からの受電電力(売電しているときは売電電力)や家庭内消費電力などを計測するための電圧計測回路と、電流計測回路と、これら電圧計測回路および電流計測回路の計測結果に基づいて系統3からの受電電力や家庭内消費電力などを演算する演算部(マイコン)とを備えて構成される。
【0029】
具体的には、本実施形態では、この電力計測部8には、上記電圧計測回路として、系統3から単相三線式で供給される電力線のU相−N相(中性線)間の電圧を検出する電圧センサと、V相−N相間の電圧を検出する電圧センサとが備えられるとともに、上記電流計測回路として、系統3と家庭内負荷(図示せず)との間に設けられるU相の電流を検出する電流センサと、V相の電流を検出する電流センサとが備えられている。また、この電力計測部8で太陽光パネル2の発電電力(発電量)も計測するために、上記各センサに加えて、系統3の電圧を計測する電圧センサと、インバータ5の出力電流を計測する電流センサとが備えられる。なお、この電力計測部8は、少なくとも上記受電電力の計測ができるように構成されていればよく、上記表示装置20において、より詳細なエネルギ表示を行わせたい場合に、上記受電電力に加えて、家庭内消費電力や発電電力を計測する構成が採用される。
【0030】
上記通信部9は、外部の表示装置20と通信を行うための通信装置であって、本実施形態では、この通信部9には、上記表示装置20と同軸ケーブルなどの2芯通信線16を介して有線通信を行う通信回路が備えられている。また、この通信回路は、外部の表示装置20と通信だけを行うように構成されていてもよいが、後述する電源部11から供給される電力を利用して、表示装置20に対して電源を供給しつつ通信信号を送受信する電源重畳方式の通信回路を用いることもできる。
【0031】
ここで、表示装置20について説明する。この表示装置20は、上記電力計測部8で計測される受電電力や家庭内消費電力などを表示するための表示装置であって、本実施形態では、この表示装置20として、給湯器30のリモコン31を用いている。
【0032】
具体的には、図2に示すように、給湯器30のリモコン31は、給湯器30と2芯通信線32で接続されており、給湯器30から送信される給湯器用の各種情報を受信してその表示部(図示せず)に表示するようになっている。本実施形態では、このリモコン31の表示部に受電電力や家庭内消費電力などを表示するための機能(エネルギ表示機能)を備えさせ、上記通信部9からの2芯通信線16をリモコン31に接続して、パワーコンディショナ1からリモコン31で受電電力などを表示できるようにしている。また、その際、通信部9はリモコン31に対して電源重畳方式で通信を行い、リモコン31に電力を供給できるようにしている。なお、本実施形態では、表示装置20として給湯器30のリモコン31を利用する構成を示したが、もちろん専用の表示装置20を用いてもよく、また、給湯器30以外のリモコンなどの表示装置を用いることも可能である。
【0033】
制御部10は、パワーコンディショナ1の各部を制御する制御装置であって、制御中枢としてマイコン(図示せず)を備えており、このマイコンに搭載される制御プログラムにしたがって後述する各種制御を実行するように構成されている。たとえば、この制御部10は、太陽光パネル2が発電を開始すると、上記コンバータ4およびインバータ5を動作させるとともに、系統連系リレー6を短絡(閉成)させて、太陽光パネル2を系統3に連系させる。また、太陽光パネル2が発電を停止すると、上記コンバータ4およびインバータ5の動作を停止させて、系統連系リレー6を開放(開成)させる制御を行うように構成されている(その他の制御、特に、電力計測部8、通信部9およびリレー13の制御については後述する)。
【0034】
上記電源部11は、上記電力計測部8、通信部9および制御部10に駆動電力を供給する電源装置であって、この電源部11は太陽光パネル2(DCリンク部7)および系統3の双方から電力供給が受けられるようになっている。
【0035】
具体的には、この電源部11の入力側は、DCリンク部7から直流電力の供給が受けられるように、逆流防止用のダイオード(逆流防止素子)12を介してDCリンク部7に接続されている。なお、このダイオード12は系統3側からDCリンク部7に電流が流れるのを防止している。
【0036】
また、系統3側からも電力供給が受けられるようにするために、電源部11の入力側には、系統3との間に接点が常閉のリレー13、ダイオードブリッジ14、およびダイオード15の直列回路も接続されており、系統3から供給される交流電力がリレー13を介してダイオードブリッジ14で整流されて電源部11の入力側に供給されるようになっている。なお、上記リレー13の接点は上記制御部10によって制御されるようになっており、太陽光パネル2が発電しているときは接点を開放(開成)して系統3から電源部11への電力供給を遮断できるようにしている。また、ダイオード15は系統3への逆流防止用として設けられているが、本実施形態では、整流回路としてダイオードブリッジ14を設けているので省略することもできる。
【0037】
また、上記電源部11の入力側には、上記DCリンク部7のDCリンクコンデンサよりも容量の小さいコンデンサが備えられている。
【0038】
次に、このように構成されたパワーコンディショナ1の動作について、太陽光パネル2の発電の有無および系統3からの電力供給の有無などの状況を踏まえて場合分けして説明する。
【0039】
A.電源投入時(太陽光パネル2は非発電、系統3は非停電の場合)
パワーコンディショナ1の施工に伴う初期の電源投入時などのように、系統3からの電力供給はあるが、太陽光パネル2からの電力供給がない(非発電の)場合、DCリンク部7には電荷がたまっていないのでDCリンク部7から電源部11への電力供給は行われないが、接点常閉のリレー13は閉じられているので、系統3から供給される交流電力がブリッジダイオード14を介して電源部11に入力される。
【0040】
したがって、この場合、電源部11には系統3からの電力が供給されるので、上記電力計測部8および通信部9にも電源部11から電力が供給され、電力計測部8での受電電力等の演算ならびに通信部9による外部の表示装置20への演算結果の送信が可能となり、その結果、表示装置20は受電電力等の表示が可能となる。
【0041】
なお、このとき、電源部11の入力側のコンデンサの容量がDCリンクコンデンサの容量よりも小さく設定されていることと、DCリンク部7との間に逆流防止用のダイオード12が備えられていることから、系統3からの電流がDCリンク部7に流れるのが抑制され(DCリンク部7への突入電流がなくなり)、系統3から電源部11に至る経路に備えられた部品が過大な突入電流によって破損することが防止される。
【0042】
B.発電時(太陽光パネル2は発電中、系統3も非停電の場合)
系統3からの電力供給が正常であり(停電しておらず)、かつ、太陽光パネル2が発電している場合、太陽光パネル2で発電された直流電力はコンバータ4で昇圧されてDCリンク部7に供給される。このとき、電源部11と系統3との間に介装される常閉のリレー13の接点を閉じたままにしておくと、電源部11には電圧の高い方から電力が供給されることになるが、DCリンク部7の電圧が十分に上昇していれば、DCリンク部7からの直流電力が電源部11に供給されることとなる。
【0043】
したがって、この場合、電源部11にはDCリンク部7からの電力が供給され、上記電力計測部8および通信部9にも電源部11からの電力が供給されるので、電力計測部8での受電電力等の演算ならびに通信部9による外部の表示装置20への演算結果の送信も可能となり、表示装置20に受電電力等の表示が可能となる。
【0044】
なお、太陽光パネル2が発電中に上記リレー13の接点を閉じたままにしておくと、パワーコンディショナ1側で生じたノイズが系統3側に出てしまうおそれがあるので、太陽光パネル2が発電を開始すると上記リレー13の接点を開放(開成)するのが望ましく、本実施形態では、太陽光パネル2が発電中の場合、上記制御部10は上記リレー13の接点を開放するように構成している。
【0045】
C.発電停止時(太陽光パネル2は非発電、系統3は非停電の場合)
系統3からの電力供給は正常であるが、夜間など太陽光パネル2が発電していない場合には、太陽光パネル2での発電停止に伴って、制御部10が上記リレー13を短絡(閉成)させるので、この場合は、上述した電源投入時と同様に、系統3から供給される電力が電源部11に与えられ、これによって、電力計測部8および通信部9が動作し、表示装置20に受電電力等の表示が行われる。つまり、本発明のパワーコンディショナ1では、太陽光パネル2が発電していなくても、電力計測部8および通信部9を動作させて、表示装置20に受電電力等の表示を行わせることができる。
【0046】
D.自立発電時(太陽光パネルは発電、系統3は停電の場合)
太陽光パネル2が発電している状態で、系統3が停電した場合には、制御部10は上記系統連系リレー6を開放(開成)して、太陽光パネル2を系統3から解列し、太陽光パネル2による自立発電運転を開始させることができる。このような自立発電運転が行われている場合、太陽光パネル2は発電を行っているので、電源部11にはDCリンク部7から電力が供給される。したがって、この場合も、電力計測部8および通信部9には電源部11から電力が供給され、これらの動作を停止させることなく動作を継続することができる。そして、このとき、表示装置20が上記通信部9から電力供給を受けるように構成されている場合(通信部9が電源重畳方式で通信を行っている場合)には、表示装置20は表示を継続することができる。
【0047】
そのため、制御部10が自立発電運転を許容するように設定(プログラム)されている場合には、制御部10が上記通信部9を使って表示装置20に太陽光パネル2の発電量を表示させたり、系統3が停電している旨を表示させる(あるいは、これらを組み合わせて表示させる)ように設定しておくことができる。
【0048】
このように、本発明のパワーコンディショナによれば、受電電力や家庭内消費電力などを計測する電力計測部8が、DCリンク部7と系統3の双方から電力供給を受ける電源部11から電力供給を受けるようになっているので、太陽光パネル3が発電していないときであっても電力計測部8は系統3から電源部11に供給される電力を用いて受電電力や家庭内消費電力などを計測することができる。
【0049】
また、電力計測部8での計測結果を外部の表示装置20に送信する通信部9も上記電源部11から電力供給を受けるので、夜間など太陽電池が発電していないときでも、受電電力等を外部の表示装置に表示させることができる。しかも、その計測結果の送信にあたり電源重畳方式を利用することで、系統停電時でも表示装置20を表示可能な状態とすることができ、ユーザに様々な情報を提供することができる。
【0050】
なお、上述した実施形態は本発明の好適な実施態様を示すものであって、本発明はこれらに限定されることなく発明の範囲内で種々の設計変更が可能である。
【0051】
たとえば、上述した実施形態では、系統3から電源部11に供給する電力の交流−直流変換を行う整流回路としてブリッジダイオード14を使用した場合を示したが、他の態様の整流回路を用いることも勿論可能である。ただし、その場合は、DCリンク部7からの電力が系統3に逆流しないようにダイオード15などの逆流防止素子を設けておく必要がある。
【0052】
また、上述した実施形態では、電力計測部8での計測結果を外部の表示装置20に表示させる構成を示したが、電力計測部8での計測結果はパワーコンディショナ1に備えた表示部(図示せず)に表示するように構成することもできる。なお、その場合、当該表示部も上記電源部10から電力供給を受けるように構成しておく必要がある。
【符号の説明】
【0053】
1 パワーコンディショナ
2 太陽光パネル(太陽電池)
3 系統
4 コンバータ
5 インバータ
6 系統連系リレー
7 DCリンク部
8 電力計測部
9 通信部
10 制御部
11 電源部
12 ダイオード(逆流防止素子)
20 表示装置
30 給湯器
31 給湯器のリモコン(表示装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池から供給される直流電力を昇圧するコンバータと、前記コンバータで昇圧された直流電力を系統に連系可能な交流電力に変換するインバータとを備えたパワーコンディショナにおいて、
前記コンバータとインバータの間に設けられるDCリンク部と前記系統の双方から電力供給を受けることができる電源部と、
前記電源部から電力供給を受けて少なくとも系統からの受電電力を計測する電力計測部とを備えていることを特徴とするパワーコンディショナ。
【請求項2】
前記電源部の入力側のコンデンサに前記DCリンク部のコンデンサよりも容量の小さいコンデンサが用いられるとともに、前記DCリンク部と前記電源部との間に逆流防止素子が備えられていることを特徴とする請求項1に記載のパワーコンディショナ。
【請求項3】
前記電源部から電力供給を受けて動作する通信部を備え、この通信部を用いて前記電力計測部での計測結果を外部の表示装置に送信するように構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のパワーコンディショナ。
【請求項4】
前記通信部は前記外部の表示装置と有線接続されており、前記外部の表示装置に対して前記電力計測部の計測結果を電源重畳方式を用いて送信するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載のパワーコンディショナ。
【請求項5】
前記電力計測部は、太陽電池で発電される発電電力も演算するように構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のパワーコンディショナ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−99058(P2013−99058A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−238201(P2011−238201)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】