説明

ヒンジキャップ

【課題】ベースの貫通孔での目詰まりを防止しつつ、蓋体を閉じた状態での気密性を確保できるヒンジキャップを提供する。
【解決手段】本発明のヒンジキャップ20は、容器の内部に通じる貫通孔11aを有し当該容器の口部に装着されるベース11と、このベース11の貫通孔11aに挿入可能な突起13pを有しヒンジHを介して揺動可能に繋がる蓋体13とを備える。ベース11の外表面に、貫通孔11aを取り囲むように配置され、蓋体13の閉じ状態において、蓋体13に接触して貫通孔11aの周りを密封する環状の弾性部材2aを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓋体を自動的に開放できるワンタッチキャップに代表されるヒンジキャップであって、その目詰まりの防止と蓋体の閉じ状態における気密性の向上を目的とした技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のヒンジキャップには、容器の内部に通じる複数の貫通孔を有し当該容器の口部に装着されるベースと、このベースにコイルスプリングを介して揺動可能に連結される蓋体とを備え、蓋体の裏面に、その閉じ状態において、ベースの貫通孔に間隔を空けて挿入可能な突起を有し、当該貫通孔の目詰まりを防止するワンタッチキャップがある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平5−35709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、こうした従来のヒンジキャップは、貫通孔での目詰まりを防止できるものの、蓋体を閉じた状態での気密性の確保は、蓋体とベースの上部外表面とが面一状態となるようにすることで行なうのみであり、必ずしも気密性を確保できるものではなかった。
【0005】
本発明の解決すべき課題は、ベースの貫通孔での目詰まりを防止しつつ、蓋体を閉じた状態での気密性を確保できるヒンジキャップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明であるヒンジキャップは、容器の内部に通じる貫通孔を有し当該容器の口部に装着されるベースと、このベースの貫通孔に挿入可能な突起を有しヒンジを介して揺動可能に繋がる蓋体とを備えるヒンジキャップであって、前記ベースの外表面に、前記貫通孔を取り囲むように配置され、当該蓋体の閉じ状態において、前記蓋体に接触して前記貫通孔の周りを密封する環状の弾性部材を備えることを特徴とするものである。
【0007】
上記発明において、前記弾性部材は、蓋体の閉じ状態において、当該蓋体の裏面に接触する凸形状をしてなるものとすることができる。
【0008】
また、上記発明は、前記弾性部材の内縁全周に、当該内縁の内側の前記貫通孔を除いた全体を満たすように繋がり、蓋体の閉じ状態において、当該蓋体との相互間に隙間を形成する補助弾性部を設けてもよく、また、上記発明において、前記弾性部材は、その内縁を前記貫通孔の口径に対応させてなり、当該弾性部材の外縁全周に、当該外縁の外側全体をシート状に繋ぎ、前記蓋体の閉じ状態において、当該蓋体との相互間に隙間を形成する補助弾性部を設けてもよい。
【0009】
更に、上記発明は、前記環状部材に、前記蓋体に折り曲げ可能に繋がり当該蓋体を開き状態に付勢する延長弾性部を設けてなることが好ましい。
【0010】
また、本発明に係る、ヒンジキャップは、容器の内部に通じる貫通孔が前方に形成された天壁部を有し当該天壁部から容器の口部に装着される装着部が垂下するベースと、このベースの壁部の背面を窪ませて棚面を有する窪みを形成して当該窪みの棚面に傾動可能に一体に立設した押圧板と、ベースの貫通孔に挿入可能な突起を有し前記押圧板の上端部にヒンジを介して揺動可能に繋がる蓋体とを備えるヒンジキャップであって、前記押圧板の上端部のうち、その裏面側を一部切り欠いて押圧板の幅方向に延在する段部を形成する一方、当該押圧板の幅方向に沿って延在すると共に前記段部に一体に成形される横架弾性部材を設け、当該横架弾性部材の端部をそれぞれ、前記ベースに形成された窪みの側縁に固定保持して当該窪みに向けての前記押圧板の押し込みに抗する付勢力を得るものとすることができる。
【0011】
なお、本発明において、前記貫通孔は、少なくとも1つであればよい。また、「環状」とは円形に閉じられたものだけでなく、三角や矩形等の多角形に閉じられたものも含む。加えて、上記弾性部材と各弾性部とは、例えば、インサート成形により一体成形できる。更に、弾性部材に用いる材質は、エラストマやこれに類する弾性を有する材質等が挙げられる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の如く、蓋体の裏面に、当該蓋体の閉じ状態にて、ベースの貫通孔に挿入される突起を有し、更に、ベースの外表面に、前記貫通孔を取り囲むように配置され、当該蓋体の閉じ状態において、前記蓋体に接触して前記貫通孔の周りを密封する環状の弾性部材を設ければ、前記突起の挿入によりベースの貫通孔での目詰まりを防止し、更に、前記貫通孔を取り囲んだ環状の弾性部材が蓋体と接触することにより当該蓋体を閉じた状態での気密性も確保することもできる。
【0013】
また、上記発明において、前記弾性部材が、蓋体の閉じ状態において、当該蓋体の裏面に接触する凸形状をしてなるものであれば、蓋体を閉じた状態での接触は、凸形状をしてなる環状の弾性部材の頂部に集中するため、蓋体を閉じた状態での気密性の確保を更に確実なものとすることができる。
【0014】
更に、上記発明において、前記弾性部材に、前記蓋体に折り曲げ可能に繋がり前記蓋体を開き状態に付勢する弾性延長部を設ければ、上述した効果を奏する操作性に優れたヒンジキャップを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a),(b)はそれぞれ、本発明を説明するための参考技術としてのワンタッチキャップを、蓋体の開き状態で示す上面図及び、同キャップを、ヒンジを断面として示す背面図である。
【図2】(a),(b)はそれぞれ、図1(a)のX−X断面図及び、蓋体の閉じ状態を図1(a)のX−X断面で示す断面図である。
【図3】図2(b)の拡大断面図である。
【図4】本発明の第一の形態であるワンタッチキャップを、蓋体の開き状態で示す上面図である。
【図5】(a),(b)はそれぞれ、図4(a)のX−X断面図及び、蓋体の閉じ状態を図4(a)のX−X断面で示す断面図である。
【図6】図5(b)の拡大断面図である。
【図7】(a),(b)はそれぞれ、本発明の第二の形態であるワンタッチキャップを、蓋体の開き状態で示す上面図及び、同キャップを、ヒンジを断面として示す背面図である。
【図8】(a),(b)はそれぞれ、図7(a)のX−X断面図及び、蓋体の閉じ状態を図7(a)のX−X断面で示す断面図である。
【図9】図8(b)の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明のヒンジキャップを詳細に説明する。
【0017】
図1(a),(b)はそれぞれ、本発明を説明するための参考技術としてのワンタッチキャップ10を、蓋体13の開き状態で示す上面図及び、同キャップ10を、ヒンジHを断面として示す背面図である。また、図2(a),(b)はそれぞれ、図1(a)のX−X断面図及び、蓋体13の閉じ状態を図1(a)のX−X断面で示す断面図である。更に、図3は、図2(b)の拡大断面図である。
【0018】
符号11は、図1(a)に示すように、図示せぬ容器の内部に通じる5つの貫通孔11aを有するベースである。ベース11は、図1(b)に示すように、その内側下部に容器の口部に螺着される装着部11bを有し、その外表面には、貫通孔11aの前方から背面に亘って延在する窪みC(C1,C2,C3)が形成されている。窪みCのうち、ベース11の背面を窪ませた窪みC3は、図2(a)に示すように、装着部11bとの間に平坦な棚部11cを形成する。
【0019】
符号12は、図1(b)に示すように、窪みC3を形成する2つの側縁e1,e2のうち、窪みC3の狭幅部分を形成する側縁e2との間にスリットSを形成し、棚面11cから一体に立設された平板状の押圧板である。押圧板12には更に、棚面11cより高い位置に、横方向に沿って伸びる折り曲げ可能な薄肉部12tが形成されている。
【0020】
これにより、押圧板12は、薄肉部12tを起点に、図2(a)の矢印D1に示すように、ベース11の前面側及び背面側に揺動することができる。押圧板12は、使用者が実際に押し込む側に、使用者の指先が当たる突条12aを有する。
【0021】
符号13は、図1(a)に示すように、ベース11に形成した窪みCに略等しい幅を有し、押圧板12の上端部12eにそれぞれヒンジHを介して一体に繋がる蓋体である。この蓋体13は、図2(a)の矢印D2に示すように、ヒンジHを起点に揺動すると共に、蓋体13の閉じ状態を維持する係合手段f(図3参照。)として、蓋体13の閉じ状態にあっては、ベース11の前方に設けた係止凸部f11と係合し、その係合を所定の力で解除可能な係止凸部f13が設けられている。
【0022】
これにより、図2(b)に示す蓋体13の閉じ状態は、押圧板12を窪みC3に向けて押し込んで係合手段fを解除しない限り維持できる。なお、かかる係合手段fは、凸部同士の係合のみならず、凹部と凸部による係合であってもよい。
【0023】
蓋体13は、図1(a)に示すように、その裏面13fに、円形の凹部13aを有し、この円形の凹部13aの内側には、図2,3に示すように、蓋体13の閉じ状態において、5つの貫通孔11aを取り囲むように配置された環状の凸形状部13sが一体に形成されており、更に、その内側には、蓋体13の閉じ状態において、5つの貫通孔11aにそれぞれ間隔を空けて挿入可能な5つの突起13pが一体に形成されている。
【0024】
これにより、円形凹部13aの内側にて、図1(a)に示すように、間隔ΔY1を空けて凸形状部13sを覆うように環状の弾性部材を設ければ、蓋体13の裏面13fに、5つの突起13pを取り囲むように配置され、当該蓋体13の閉じ状態において、ベース11に接触して突起13pの周りを密封する凸形状をしてなる環状の弾性部材1aが形成される。
【0025】
従って、蓋体13を図2(b)のように閉じれば、図3に示すように、5つの突起13pがベース11の貫通孔11aそれぞれに間隔を空けた状態で挿入されることにより当該貫通孔11aでの目詰まりを防止し、更に、突起13pを取り囲んだ環状の弾性部材1aがベース11の外表面と接触することにより蓋体13を閉じた状態での気密性を確保することができる。
【0026】
なお、環状の弾性部材1aが、同形態のように、蓋体13の閉じ状態において、ベース11の外表面に接触する凸形状をしてなるものであれば、蓋体13を閉じた状態での接触は、凸形状をしてなる環状の弾性部材1aの頂部に集中するため、蓋体13を閉じた状態での気密性の確保を更に確実なものとすることができる。
【0027】
なお、弾性部1aを凸形状としたことによる効果は、ベース11の外表面に環状の凸形状部を設け、環状の弾性部材1aが、蓋体13の閉じ状態において、ベース11に設けた前記凸形状部に接触する接触面を有してなるものであっても同様である。
【0028】
そして、本参考技術では更に、環状の弾性部材1aの内側を覆うように弾性部材を設け、図1(a)等に示すように、弾性部材1aの内縁全周に、当該内縁の内側全体を満たすように繋がり、図3に示すように、当該蓋体13の閉じ状態において、ベース11との相互間に隙間ΔZ1を形成する補助弾性部1bが一体に形成されている。
【0029】
加えて、蓋体13の裏面13fには、図1(a)に示すように、円形の凹部13aからヒンジHとの連結端部に至るまで切り欠かれた延長凹部13bが形成されている。そして、押圧板12の上端部12eには、図1(b)に示すように、延長凹部13bと整列する切り欠き凹部12bが形成されており、更に、上端部12eの窪みC3側には、破線で示すように、切り欠き凹部12bと直交するように押圧板12の幅方向に沿って切り欠かれた段部12cが形成されている。
【0030】
これにより、押圧板12の窪みC3側上端部12eに弾性部材を保持固定すれば、図1(a)に示すように、押圧板12の幅方向に沿って延在する横架弾性部1cが一体に形成され、更に、この横架弾性部1cの端部1eをそれぞれ、窪みC3を形成する側縁e2に保持固定すれば、押圧板12は、窪みC3に向けての押し込みに抗する付勢力を得ることができる。
【0031】
しかも、押圧板12の上端部12eには、上述のように、切り欠き凹部12bが形成されているため、環状の弾性部材1aから延長凹部13b のΔY2だけ内側を当該延長凹部13bに沿って延長し切り欠き凹部12bを通して横架弾性部1cに繋げれば、環状の弾性部材1aからベース11に繋がり蓋体13を開き状態に付勢する弾性延長部1dが一体に形成されることになる。
【0032】
従って、環状の弾性部材1aが弾性延長部1dを介して横架弾性部1cに繋がることにより、蓋体13は、係合手段fが解除されると、蓋体13の閉じ状態で図2(b)に示すように折り曲げられていた弾性延長部1dの弾性復帰に伴う付勢力により、初期の位置まで自動的に広がるため、上述した効果を奏する操作性に優れたヒンジキャップを提供することができる。しかも、横架弾性部1cは、窪みC3に向けて押し込んだ押圧板12をその撓みに抗する復元力で復帰すべく付勢力を与えるため、材質の異なる弾性材料を適宜選択するだけで、目的や用途に応じて、押圧板12の押し込みによる操作感を重視するタイプ、押し込みがスムースな操作性を重視するタイプに容易に変更することができる。
【0033】
図4(a),(b)はそれぞれ、本発明の第一の形態であるワンタッチキャップ20を、蓋体13の開き状態で示す上面図である。また、図5(a),(b)はそれぞれ、図4(a)のX−X断面図及び、蓋体13の閉じ状態を図4(a)のX−X断面で示す断面図である。更に、図6は、図5(b)の拡大断面図である。なお、以下の説明において、図1〜3と同一部分は、同一符号をもって、その説明を省略する。
【0034】
同形態は、図4に示すように、ベース11の外表面に、5つの貫通孔11aを取り囲むように環状の弾性部材を埋め込んで、蓋体13の閉じ状態において、蓋体13に設けた環状の凸形状部13sに接触してこれら貫通孔11aの周りを密封する環状の弾性部材2aを形成し、更に、環状の弾性部材2aの内側を覆うように弾性部材を設けることで、同図に示すように、環状の弾性部2aの内縁全周に、当該内縁の内側の5つの貫通孔11aを除いた全体を満たすように繋がり、蓋体13の閉じ状態において、図6に示すように、蓋体13の裏面13fとの相互間に隙間ΔZ2を形成する補助弾性部2bを一体に形成し、環状の弾性部材2aと補助弾性部2bとの面を同一の接触面2fとしたものである(図5,6では便宜上、符号2として示す。)。
【0035】
この場合も、図5(b)に示すように蓋体13を閉じれば、図6に示すように、5つの突起13pが貫通孔11aそれぞれに間隔を空けて挿入されることにより当該貫通孔11aでの目詰まりを防止し、更に、貫通孔11aを取り囲んだ環状の弾性部材2aがベース11の外表面と接触することにより蓋体13を閉じた状態での気密性を確保することができる。
【0036】
なお、環状の弾性部材2aは、図5,6に示すように、蓋体13の閉じ状態において、当該蓋体13の裏面13fに設けた環状の凸形状部13sに接触する接触面2fを有してなるものであるから、蓋体13を閉じた状態での接触は、凸形状部13sの頂部と接触する接触面2fに集中するため、蓋体13を閉じた状態での気密性の確保を更に確実なものとすることができるが、環状の弾性部材2aが、蓋体13の閉じ状態において、当該蓋体13の裏面13fに接触する凸形状をしてなるものとしても、蓋体13を閉じた状態での接触は、凸形状をしてなる環状の弾性部材2aの頂部に集中するため、同様の効果を奏する。
【0037】
また、補助弾性部2bに形成した貫通孔は、図6に示すように、突起13sに対して大径となり、当該突起13sとの間に目詰まりを防止すべく上述の隙間が形成されることが好ましい。
【0038】
図7(a),(b)はそれぞれ、本発明の第二の形態であるワンタッチキャップ30を、蓋体13の開き状態で示す上面図及び、同キャップ30を、ヒンジHを断面として示す背面図である。また、図8(a),(b)はそれぞれ、図7(a)のX−X断面図及び、蓋体13の閉じ状態を図7(a)のX−X断面で示す断面図である。更に、図9は、図8(b)の拡大断面図である。なお、以下の説明においても、他の図面と同一部分は、同一符号をもって、その説明を省略する。
【0039】
同形態は、図7に示すように、5つの環状の弾性部材3aがそれぞれ、その内縁を貫通孔11aの口径に対応してなり、当該弾性部材3aの外縁全周に、当該外縁の外側全体をシート状に繋ぐ補助弾性部3bを一体に設けてなるものである。補助弾性部3bは、図8に示すように、ベース11の外表面に形成した凹部11dに埋め込まれる凸部3dを有し、図9に示すように、5つの環状の弾性部材3aがそれぞれ、蓋体13の閉じ状態において、蓋体13の裏面13fに接触して各突起13pの周りを密封すると共に、蓋体13の裏面13fとの相互間に隙間ΔZ3を形成するものである。
【0040】
この場合も、蓋体13を図8(b)に示すように閉じれば、図9に示すように、5つの突起13pが貫通孔11aそれぞれに間隔を空けて挿入されることにより当該貫通孔11aでの目詰まりを防止し、更に、突起13pを取り囲んだ環状の弾性部材3aが蓋体13の裏面13fと接触することにより蓋体13を閉じた状態での気密性を確保することができる。
【0041】
このため、環状の弾性部材3aの内径も、図9に示すように、突起13sに対して大径となり、当該突起13sとの間に隙間が形成されることが好ましい。
【0042】
なお、環状の弾性部3aは、図8,9に示すように、蓋体13の閉じ状態において、当該蓋体13の裏面13fに接触する凸形状をしてなるものであるから、蓋体13を閉じた状態での接触は、凸形状をしてなる環状の弾性部材3aの頂部に集中するため、蓋体13を閉じた状態での気密性の確保を更に確実なものとすることができるが、環状の弾性部材3aが、蓋体13の閉じ状態において、当該蓋体13の裏面13fに個々の突起13p周りに設けた環状の凸形状部13sに接触する前述した接触面2fと同様の接触面を有してなるものとしても、蓋体13を閉じた状態での接触は、凸形状部13sの頂部と接触する環状の弾性部材3aの接触面に集中するため、同様の効果を奏する。
【0043】
補助弾性部3bは更に、図7に示すように、窪みCに沿って伸びる2つの延長弾性部3cを一体に有し、これら延長弾性部3cが、横架弾性部1cの端部1eそれぞれに一体に繋がる。この場合、操作性や操作感について、第一の形態と同様の効果を奏する。
【0044】
上述したところは、本発明の好適な形態をしたものであるが、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。例えば、弾性部材としてはエラストマが挙げられるが、密封性や耐久性を考慮すれば、弾性を有する種々の材質のものが適用できる。また、環状の弾性部材と各弾性部は、インサート成形等により一体に形成することができ、更に、環状の弾性部材のみを単独のパーツとすることもできる。加えて、キャップの構造も蓋体の開きが自動で行われるワンタッチキャップに限らず、蓋体の開きが自動で行われないヒンジキャップに適用することもできる。
【0045】
更に、上述した各構成はそれぞれ、目的及び用途に応じて、例えば、参考技術の延長弾性部1dと第一の形態の弾性部材2aとの組み合わせや、第二の形態の延長弾性部3cと参考技術の延長弾性部1dとの置換等、適宜組み合わせや置換等の変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0046】
1a,1a,3a 環状の弾性部材
1b,2b,3b 補助弾性部
1c 横架弾性部
1d,3c 延長弾性部
1e 横架弾性部の端部
10,20,30 ワンタッチキャップ
11 ベース
11a 貫通孔
12 押圧板
13 蓋体
13f 蓋体の裏面
13p 突起
13s 環状の凸形状部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の内部に通じる貫通孔を有し当該容器の口部に装着されるベースと、このベースの貫通孔に挿入可能な突起を有しヒンジを介して揺動可能に繋がる蓋体とを備えるヒンジキャップであって、
前記ベースの外表面に、前記貫通孔を取り囲むように配置され、当該蓋体の閉じ状態において、前記蓋体に接触して前記貫通孔の周りを密封する環状の弾性部材を備えることを特徴とするヒンジキャップ。
【請求項2】
前記弾性部材は、前記蓋体の閉じ状態において、当該蓋体の裏面に接触する凸形状をしてなる、請求項1に記載のヒンジキャップ。
【請求項3】
前記弾性部材の内縁全周に、当該内縁の内側の前記貫通孔を除いた全体を満たすように繋がり、前記蓋体の閉じ状態において、当該蓋体との相互間に隙間を形成する補助弾性部を設けてなる、請求項1又は2に記載のヒンジキャップ。
【請求項4】
前記弾性部材は、その内縁を前記貫通孔の口径に対応させてなり、当該弾性部材の外縁全周に、当該外縁の外側全体をシート状に繋ぎ、前記蓋体の閉じ状態において、当該蓋体との相互間に隙間を形成する補助弾性部を設けてなる、請求項1又は2に記載のヒンジキャップ。
【請求項5】
前記環状部材に、前記蓋体に折り曲げ可能に繋がり当該蓋体を開き状態に付勢する延長弾性部を設けてなる、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のヒンジキャップ。
【請求項6】
前記ヒンジキャップは、容器の内部に通じる貫通孔が前方に形成された天壁部を有し当該天壁部から容器の口部に装着される装着部が垂下するベースと、このベースの壁部の背面を窪ませて棚面を有する窪みを形成して当該窪みの棚面に傾動可能に一体に立設した押圧板と、ベースの貫通孔に挿入可能な突起を有し前記押圧板の上端部にヒンジを介して揺動可能に繋がる蓋体とを備えるヒンジキャップであって、
前記押圧板の上端部のうち、その裏面側を一部切り欠いて押圧板の幅方向に延在する段部を形成する一方、
当該押圧板の幅方向に沿って延在すると共に前記段部に一体に成形される横架弾性部材を設け、当該横架弾性部材の端部をそれぞれ、前記ベースに形成された窪みの側縁に固定保持して当該窪みに向けての前記押圧板の押し込みに抗する付勢力を得るものである、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のヒンジキャップ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−12116(P2012−12116A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228323(P2011−228323)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【分割の表示】特願2006−295606(P2006−295606)の分割
【原出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】