説明

ヒンジベルトを有する濾過装置

【課題】汚染された液体の流れから固体粒子を分離して概ね清浄な液体を生成するための循環ベルト濾過システムを提供する。
【解決手段】第1の端及び第2の端をもち、且つ旋回軸を介して次々に連結された複数の板により形成されている連続的な環状のベルトを有している。前記複数の板は、開いた状態と閉じた状態との間で旋回可能である旋回フラップを有する旋回板を含む。前記フラップは、前記ベルトが上下逆転したとき、閉じこめられた粒子を解放するために落ちて開く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には、金属又は非金属のチップが懸濁して含まれている機器冷却液など、汚染された液体を濾過するための装置に関する。より具体的には、本発明は、大きな粒子を液体から除去するヒンジベルトと微細な粒子を除去するフィルタとを有する濾過装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ベルト型濾過装置においては、汚染された流体は循環ベルトコンベアに送り込まれ、流体はベルトを通過し、少なくともある汚染物はベルトを通過せず、そのような汚染物、例えば大きな粒子は、ベルトにより運び去られる。そして流体は、より微細な粒子などの汚染物を除去するため別に配置されたフィルタに送り込まれる。
【0003】
これらのベルト型濾過装置では、汚染された物は重力によりベルトに送り込まれて上方からベルトに掛かり、流体は、重力によってベルトを通過して収容容器へと送り込まれる。ベルトは、全体的にはこの流れに垂直に、すなわち水平に動き、ベルトは、汚染された流体のこの流れの下から横断するように汚染物を運ぶ。ヒンジベルトは、液体及び所定の小さなサイズの粒子を通過させ、所定の大きなサイズの粒子を通過させないように構成される。ベルトの配置及び粒子のサイズの所定値は、濾過されるべき汚染物に従って変化することは理解できる通りである。例としてのみ挙げるが、例えば、異なるタイプの金属の機械加工の動作は、長い螺旋状のチップから微細な粒子までサイズ及び形状の異なる「チップ」を生成するものであり、特定のチップの形状に適応させるために「大きな」粒子と「小さな」粒子とを分けるラインは大きく変化し得るものである。
【0004】
ヒンジベルトは大きな粒子を液体から濾過し、収集ビンに排出するため運び去る。部分的に浄化された流体は、ヒンジベルトからタンクへと流れる。この濾過装置はさらに、ベルトを通過したより小さな粒子のために二次的な濾過を行う構成を備えることができる。この点、このシステムは、タンク内で支持された、部分的に浄化されたタンク内の流体に部分的に浸された濾過用の幕を有する回転ドラムシステムを含み得る。部分的に浄化されたタンク内の流体ないし液体はドラムに向けて送り込まれ、浄化された流体は、ドラム内部に位置するタンク排出口を経由してタンクから排出される。結果として、部分的に浄化された流体は幕を通過してドラム内部に流れ込むことにより濾過を完了され、ドラム内部の流体は、所望の範囲の固体の大部分が流体から除去された「清浄な」流体となる。周知の通り、「清浄な」流体は100%の清浄さである必要はなく、通常そのような清浄さは不要である。
【0005】
濾過された、すなわち「清浄な」流体は、ドラムの一方の壁面及びこれに隣接するタンクの壁面にある排出口を通り、ドラムの軸に沿って流出する。濾過された流体の一部は、ドラム内に伸張されている幕を洗浄するために用いることができる。これは、濾過した液体を、幕に付着する粒子あるいはチップを取り除くためにドラムの幕に対向しているスプレーノズルに圧力をかけて送り込み、捕集された粒子を幕から洗い落とすことで実現できる。これらの粒子ないしチップは、流体中を浮遊する他の粒子と共に液体の外に出され、タンクないし貯蔵器の底に落ちる。しかしながら、これらの浮遊する粒子は除去される必要があり、そうしなければタンクの底に堆積して、ついには、例えば1個以上の可動部品の動作を妨げることによって、この濾過システムの動作に影響を与えるであろうことは理解できる通りである。
【0006】
これらの残留する汚染物は手動で除去でき、従来の構成ではしばしばそのようにされていた。この手法は費用がかさむものであること、また、この濾過システムの不稼働時間の発生をもたらすことは理解できる通りである。従来のシステムのいくつかは、貯蔵器の底面に沿って動くように配置された引き棒のような機械的システムにより、これらの汚染物を除去することを試みてきた。これらの引き棒は別個の機械的システムに接続され得るし、あるいはあるケースではベルトに機械的に結合され得る。
【0007】
より具体的には、これらの引き棒はタンクの底面に沿って動く別個のシステムであり得る。従来技術の別の構成では、引き棒はヒンジベルトの外側に固定されている。しかしながらこの構成では、タンクの上部通路と下部通路との間にある小さな粒子が捕捉されてしまい、ヒンジベルトの内側に沈下して集まり、ついにはシステムの渋滞ないし動作妨害を起こし、究極的には費用と不稼働時間の発生をもたらし得る。
【0008】
従来の他の構成では、引き棒は、ヒンジベルトとは別個の牽引ユニットのチェーンに固定され、ヒンジベルトは通常、この牽引ユニットの上部に位置する。この構成は、一方では、最初に述べた従来構成が有する、粒子が捕捉されるという問題を回避するものであるが、循環コンベアを2個有する構成が、それを支持し駆動する部材をも含めて必要となることから、かなり大きな費用、複雑さ及び空間的な不利益を発生させるものである。
【0009】
Lenhartの特許文献1は、フィルタを洗浄する目的専用のパイプを設けることなくフィルタを洗浄する構成を含む、フィルタードラムの装着及び操作のための構成を開示する。
Otaの特許文献2は、ヒンジベルトコンベアの構成を開示する。
非特許文献3は金属取扱用コンベアの構成を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許5,328,611号明細書
【特許文献2】米国特許5,992,642号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】「SteelTrak」と題する金属取扱用コンベアの小冊子
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明はフィルターに関し、より詳細には、汚染された液体の流れから固体粒子を分離して概ね清浄な液体を生成するための循環ベルト濾過システムに関する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
ひとつの実施の形態において提供されるのは、汚染された液体の流れから固体粒子を分離して概ね清浄な液体を生成するための、進歩した循環ベルト濾過システムである。この進歩したシステムは、第1の端及び第2の端をもち且つ間隔を置いた複数の水平軸の周りに旋回可能に互いに連結された複数の板により形成されている連続的な環状のベルトを備える。前記複数の板は共に、外側に対向する面と内側に対向する面とを形成しており、前記ベルトは前記外側の面が概ね上方に面しかつ前記第1の端から前記第2の端に向かって動く上部区画と、前記外側の面が概ね下方に面しかつ前記第2の端から前記第1の端に向かって動く反対側の下部区画とを更に含む。このシステムは、底部を有するタンクを含むハウジングと、前記第1の端の近傍にある端部壁面と、前記端部壁面から伸びる一対の側壁と、を備える。前記ベルトの前記下部区画は、前記タンクの底部の近傍を通過する底部領域を含み、前記複数の板は、開いた状態と閉じた状態との間で旋回可能である旋回フラップを有する旋回板を含む。前記フラップは、前記ベルトを通る粒子の前記一部の動きが前記入口領域において制約され、前記底部領域においては促進されるように、前記底部領域にあるとき前記開いた状態となり、前記入口領域にあるとき前記閉じた状態となる。
【0014】
これら及び本発明の他の目的、観点、特徴及び利点は、後述する発明の詳細な説明を、次項で説明する図面と共に読むことにより、当業者に明らかとなる。
【0015】
本発明は、一部の部品及び部品の配置において物理的な形状をとるものであり、以下、その好適な実施形態を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明のひとつの観点に係るフィルタシステムの側方の断面図である。
【図2】図2は、図1の線2−2に沿った断面図を部分的に含む平面図である。
【図3】図3は、図1の線3−3に沿った断面図である。
【図4】図4は、図1の線4−4に沿った断面図である。
【図5】図5は、ベルト上部の上面からの俯瞰図である。
【図6】図6は、ベルト下部の下面からの俯瞰図である。
【図7】図7は、カムにより作動するヒンジ板(入力側)の側面図である。
【図8】図8は、カムにより作動するヒンジ板(出力側)の側面図である。
【図9】図9は、中央旋回板の下面からの俯瞰図である。
【図10】図10は、図9の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下図面を参照するが、これらの図面は本発明の好適な実施形態及びその他の実施形態を図示することを目的とするものであり、発明の範囲を同範囲に限定することを目的とするものではなく、図1−4は、粒子12を液体L(すなわち、「汚染された液体」LD)の流れから濾過して清浄な液体LCの流れを生成するフィルタシステム10を示す。汚染された液体は、例えば、金属又は非金属のチップないし粒子により汚染された機器冷却液である。
【0018】
濾過装置10は、これを通過して液体が流れるものであるタンク14を含み、フィルタ10は、大きな粒子12Lを液体LDから濾過するために部分的にタンク14内に位置するヒンジベルトコンベア16と、液体Lから小さな粒子12Sを濾過するためにあるベルトタンク14内のドラムフィルター18とを含む。ひとつの実施形態では、この濾過装置はハウジング20を含み、ハウジング20は、全体的に水平である第1の支持部22と、第1の支持部の一端26から上方から傾斜した第2の傾斜支持部24とを有する。タンクは第1の支持部22に設置されており、側面28、30と端部32との間にある平坦な底部25を有する。第1の支持部22はさらに、汚染された液体LDを受け入れるための入口34を有した頂部27を含んでいる。タンクの側面28は、浄化された液体LCをサイドタンク38へと排出するための排出口36を有している。傾斜支持部はまた、側面28A、30Aと上端及び下端40及び42との間に傾斜した底面37を有するよう設けられている。傾斜支持部24の下端は水平支持部22の端26と結合している。上端40は、液体LDから除去された粒子126及び12Sを排出するための排出口44を有している。ヒンジベルトコンベア16は、上部46及び下部48を有するように配置されており、末端32と上端40との間で循環的な移動を行う(すなわち、ループする)。上部46は、タンクの上をタンクの長さ方向に、そしてさらに傾斜支持部に沿って通過するベルトを含み、上部46は、排出口44の上方で概ね終端する。ヒンジベルトの下部は開口部44から下端42に向かって下方に伸びており、下端42でタンク内の液体に浸されて水平支持部22を通過する。ヒンジベルト16の上端はスプロケット48aにより支持されており、スプロケット48aは、回転のためベアリング(図示せず)により軸受けされたシャフト50により駆動される。スプロケット48aは、ヒンジベルトを駆動しあるいはこれに動力を供給するために用いられ得ることは理解できる通りである。さらに、スプロケット48aは複数のスプロケットの組み合わせであってもよいし、より大きな径のスプロケットであってもよい。ひとつの実施形態では、上端にあるシャフト50は上方のシャフト及びスプロケットを回転させる回転駆動ユニット52に結合されており、これによりベルトを、矢印“A”(上方のベルト経路)及び“B”(下方のベルト経路)として図示したその循環軌道に沿って駆動する。下端もまた、ベルトが下部の通路から上部の通路へとループするときにこれを導く1個以上のスプロケット、及び/又は固定された支持部材48bを含んでいてよい。
【0019】
ヒンジベルト16は、以下詳述する連続的な、すなわち循環的なベルトを形成するため、複数のヒンジ板54と、ヒンジあるいは旋回軸ピンにより互いに結合された複数の回転板ないし回転連結部56とにより形成されていればよい。
【0020】
側板60は、それぞれのヒンジ板及び回転連結部の外縁に固定されている。ローラー62は、側板の外側で旋回軸ピンの両端に、回転可能なように設けられている。このローラーは、外側の結合部64のペアの間にあるピン上の位置に保持される。このローラーは、上部ベルト経路及び下部ベルト経路にあるときは、ハウジングの側部に固定されていて図示するベルトの通路をたどっている上部及び下部の固定ガイド66、68によってそれぞれ支持される(すなわち、それらの上を転がる)。これらはそれぞれ、ガイドの移行部分のための導入部あるいは導出部を含んでいてもよい。ヒンジ板は、液体及び小さな粒子12Sは通過するが大きな粒子12Lは通過しないような小さな孔を備えていてもよく、あるいは、液体及び小さな粒子が板の間及び周辺を通過するのであればそのような孔を備えなくてもよい。引き棒70(止め具又は押し棒とも呼ぶ)は、ヒンジベルト16と共に移動させるため、周期的な間隔でヒンジベルト16に固定されていればよい。ひとつの実施形態では、引き棒は、ヒンジベルトが回転するにつれタンク14の底部25と傾斜支持部の底部とを掃引して、これらの上に集積されたチップを、ハウジングの端部32に向かって、次いでベルト経路46の頂部、及び傾斜支持部の頂部にある排出用44へと浚うため、ヒンジベルトから外側に伸びている。
【0021】
ヒンジベルト16は、これら複数のヒンジ板54と、ピンにより旋回軸を介して互いに結合された複数の回転連結部ないし旋回板56とにより形成される。図示するように、ベルト16は、このベルトが概ね等量の板を含むよう、ヒンジ板と旋回板とが交互になる形で形成されている。もっとも、ひとつの実施形態においてベルトはそれぞれの板を概ね等量含んではいるものの、このような比率は必須のものではない。いくつかの実施形態では、動作条件及び液体から除去すべきチップあるいは粒子に応じて、いずれかの板がより多く含まれている。ひとつの実施形態では、ベルト16に用いられている旋回板56は75パーセント未満である。一方でその他の実施形態では、30パーセントから75パーセントの板が旋回板である。さらに別の実施形態では、板の約50パーセントが旋回板56である。
【0022】
フィルタードラム18は、タンクの側壁28及び30の間に回転可能に装着され、支持部22の、タンク14の移行部分26に近いところに配置されていればよく、タンク内の、部分的に浄化された液体LPの槽に部分的に浸される。このドラムは概ね円筒形であり、端の壁面74、76と、管状のフィルタエレメント78とを有し、フィルタエレメント78は、交換可能なフィルタエレメントとなる微細目の網状の幕を含む任意のフィルタ器具であってよいが、そのような器具に限定されるわけではない。このドラムはタンク内で水平軸79の周りに回転可能であり、ドラム18はヒンジベルトにより駆動されてもよい。この点について、ドラム18は、ヒンジベルト16が駆動されるにつれドラムが回転されるようにヒンジベルト16と適切に噛み合わされたスプロケット81a及び81bを含んでいてもよい。端の壁面74に形成された排出口80は、濾過されたドラム内の冷却液を、端の壁面を通過してドラムの外へと軸方向に排出させる。この排出口はタンクの側壁28の排出口36に通じており、濾過されたすなわち清浄な化された冷却液LCがドラムから清浄な冷却液のタンクへと漏れ出るよう、清浄な冷却液用タンク38の上方に位置するようにすればよい。フィルタシステム10はさらに、ドラム18の内側に位置する1個以上のスプレーノズル86を含んでいてもよい。ノズルは、清浄な液体LCを受け入れてフィルタをなす濾過物質78を通じて外側に噴霧し、集積した粒子をこのフィルタから洗い流すために接続される。参照のため取り込まれているLenhartの米国特許5,328,611号は、フィルタードラムの配置を開示している。
【0023】
濾過装置10の動作中、汚染された液体LDは、タンク14の上面のヒンジベルト16の上方に位置するチップフィルタの入口34に、重力により供給される。汚染された液体LDは、入口34から、液体LDの入口の流れを横断するように動いているヒンジベルトの上部46の上、周辺に流れ、また通過する。このヒンジベルトは、液体及び浮遊する小さな粒子12Sを通過させるが、大きな粒子12Lは通過させずにヒンジベルトの上部46により運び去られて開口部44を通じて排出され、その結果、排出された粒子が、定期的に空にされる収集ビン90へと落ちるように構成されている。このようにして、ヒンジベルトは大きな粒子12Lを液体から分離し、この大きな粒子を通路“A”に沿って排出口44まで運び、流体及び小さな粒子12Sはベルトを通過して、タンク14内に、半ば浄化された液体LPの槽92を形成する、部分的に清浄な液体LPをなす。槽92はタンク14を部分的に満たし、上部46の下に間隙をおいて設けられた最高液位93を有する。上側のヒンジベルトの側を流れる重いチップは槽92に移り、タンクの底部に沈下する。ヒンジベルト16の下部48に固定された引き棒70はタンクの底部25に沿って掃引し、ヒンジベルトは、タンクの底部にあるこれらのチップをタンクの端部32に向かって運び、次いで末端辺りからベルトの上部46の上へ運び、この結果これらのチップは、ベルトの上側経路にあるより大きなチップと共に、傾斜した側を運び上げられ、収集ビン90に排出される。ベルトの一部46の上にあるすべてのチップの動きを効率化するのを助けるために、ヒンジベルト16は、引き棒70に隣接するチップの取り込み口を有しない区画を含むようにしてもよい。
【0024】
槽92内で懸濁したままの状態でタンク内にある粒子12L及び/又は12Sは、ドラム18に向かって引き込まれ得る。しかしながら、管状のフィルタエレメント78は、残留しているチップが、液体がドラムフィルター18を通過するにつれてドラムに入り込むことを阻止する。これらの粒子はドラムの外側に留まり、多くは単に槽92内に落ちる。落ちないチップは、少なくとも1個のスプレー86による噴霧によってフィルタから離れて槽92に戻り、タンクの底部に向かって沈下していくため、エレメント78に詰まることが避けられる。そしてまた、これらの粒子及び泥状の混合物は、引き棒がドラムの下方でタンクの底部に沿って動くと、引き棒により運び去られる。
【0025】
ドラムフィルターにより濾過された清浄な冷却液LCは、ドラムの一端から軸方向に沿って流れ出し、ポンピングシステムを経由して利用対象のシステム(図示せず)へと配給されるために、清浄な冷却液用タンク38に集まる。この清浄な冷却液はまた、スプレー86を補給するためにも用いられる。
【0026】
ベルト上部部分46とベルト下部部分48との間に閉じこめられるチップ粒子の抽出を促進するために、ヒンジベルトは、タンク内から経路の頂部にある排出位置に至るまで、タンク14の下部48では「開き」、上部46では「閉じる」ヒンジ板又は回転連結部56によって構成されている。流れを十分に促進して、流域の制約を大きく減少させ、ベルトの上部区画及び下部区画の間の領域からタンクの底面へとタンク内の粒子を沈下させるために、ヒンジ板は、ドラムフィルター18の近傍を通過するとき開き、少なくとも、ドラム18と端部32との間にある下部通路48の相当の距離にわたって開いたままとなる。そしてヒンジ板は、端部32の近くで上側の通路に向かって進むときに閉じ、上部通路46では閉じたままとなって、粒子を排出口まで運搬する能力を増大させる。こうして本発明は、槽92内の粒子の下方への流れを促進する点、ベルトの上側がチップを捕らえてしまう特質によってこれが阻害されるという効果を生じさせないようにする点、について独特の利点を提供する。
【0027】
より詳しく述べると、ヒンジベルト16は、コンベアの動作が行われている間、微細なチップ粒子を上部48からその下方にある底面25上の引き棒70の経路へと移動させるため、ベルトの通過経路の下部の区画100を通過するとき旋回して開き、ないしは開き戸状に開くような複数の回転連結部56(単一の連結部でも連結部のグループでもよい)を有している。動力伝達用の連結部は、ヒンジベルトの経路の上部46にあるとき開き戸状に閉じ、通常のヒンジベルトの動作を行う。
【0028】
ひとつの実施形態では、回転連結部56は、従来の連結部又はヒンジ板と同様の構成を有する。ただし、回転連結部は、当該回転連結部をその一端で隣接している従来のヒンジ板と連結する旋回軸ピンを軸として一方の側に旋回し、他端が、重力、及び/又は、旋回軸ピンの一端又は両端に固定されベルトが循環する経路を動くにつれ移動するようになっているカムエレメントが通過する軌道すなわちカム面に反応して開くように配置されている。
【0029】
図5に図示されているのは、ヒンジ板54a及び54bと、ヒンジ板54の両側に位置する2個の回転連結部56a及び56bである。側板60はこれらの板を互いに結合し、また、ローラー62を対応する連結部に結合する。連結部56a及び56bは、前縁110と後縁112とを有し、これらの間には中央板114を有している。連結部56a及び56bはさらに、前縁110に沿ったヒンジナックル120と、後縁112上の変形ナックルすなわちスイング止め122とを含む。中央板は、全体的には側縁130及び132との間で横方向に伸びており、ヒンジ板54及び連結部56は全体的にこれと同一の幅を有している。さらにこの幅は、ヒンジベルトがタンクと全体的に同じ幅になるようにして、自由な運動はできるが側部28及び30に多量のチップが集積することがないように調整されてもよい。連結部56の前縁110において、ナックル120は、これと係合する隣の連結部及び/又はヒンジ板のナックルとともに軸上に並べられて、旋回軸ピンを収容するための従来の配置をとればよい。ひとつの実施形態では、それは隣接する従来型のヒンジ板である。隣接するこれらの板及び結合部は旋回軸ピン136を用いて次々に結合されており、これによりヒンジ板同士の結合と同様のヒンジ結合が形成されている。ひとつの実施形態では、ピン136をその軸に沿って軸方向にスライドさせて取り外せるようにするため、取り外し可能なピンが用いられてもよい。しかしながら、ピンは、その軸方向の位置を維持するため、隣接する板の一方に固定されていてもよい。これは例えば、一方の板にスポット溶接あるいは圧着すること、又はその他の公知の手段により行うことができる。
【0030】
この構成では、回転連結部56aは軸140aの周りに旋回し、連結部56bは軸140bの周りに旋回する。これらの軸はこれらの連結部のそれぞれの前縁110の近くにある。この旋回の動きは、開いた位置と閉じた位置との間で行われる。閉じた位置は、ベルトコンベアの循環するループの上部46の断面を示す図5に図示されている。より詳細に述べると、スイング止め122は、ヒンジナックル120の反対側に、回転連結部の後縁112に沿って位置しており、連結部56aが140aの周りに旋回できて、連結部56bが140bの周りに旋回できるようになっている。これらの連結部の旋回の動きは、所望の通りにコントロールできる。閉じた位置についていうと、止め具122は後続のヒンジ板のピン136と係合するように配置されており、このピンの係合により、閉じた位置でピンが回転を止める。ここで再言すると、連結部がこの位置のとき、連結板は上側すなわちベルトの経路の上側ないし上部区画46にあり、粒子12L及び12Sは回転連結部を通過できない。閉じた位置では、回転連結部56はヒンジ板54と同様な一般的な配置になる。これらの止め金ないしスイング止めは、対応する旋回軸ピンに係合する従来のヒンジナックルの約4分の1である。
【0031】
図6を参照すると、回転連結部56が、順路の下側であるベルトの区画48を通過するとき、連結部56a及び56bは開くことができるようになり、チップが区画48を通過してタンク14の底部25に到達するようになる。上述したように、チップはいったん底部25に到達すると、引き棒70により清掃される。すなわち、この引き棒がタンクの底部を掻いて、廃棄されるべきチップをホッパーすなわち収集ビン90へと運ぶ。より詳細に述べると、連結部あるいは板が区画48へと動くと、止め金122は隣接するピン136の下方に位置するようになり、重力のため、回転連結部が開いた位置に保たれなくなる。こうして回転連結部は、自然に(重力によって)、図5に示す閉じた位置から図6に示す開いた位置へと移る。ひとつの実施形態では、重力のみが、開いた位置と閉じた位置との間で回転連結部を動かす。
【0032】
図7及び8に示す、他の実施形態では、回転連結部56の開口と閉鎖は、機械的に補助される。この点、既述の通り、それぞれの回転連結部56を、対応する旋回軸ピン136に固定して、ピン136の回転が回転連結部に移されるようにしてもよい。より詳細には、連結部56aはピン136に、溶接150により固定されてもよく、これらの連結部が接続されたピンの端部にはカムエレメント152が固定されていてもよい。カムエレメント152は、カム面に従ってスライド又は回転して、特定の連結部を開き及び/又は閉じる。より詳細に述べると、フィルタシステムは、この実施形態において開いた状態をとることにつき主要な関心が置かれるところである底部の区画すなわち領域100を移動しているときに回転連結部を開口させるような、カム面162を有するカムトラック160をさらに含んでいてもよい。この動作には、重力による補助を加えても加えなくてもよいことは、理解できる通りである。カム面は開口した面162aを含んでおり、表面162aはカムエレメント152に係合したとき、回転連結部を開いた状態にさせる。次に表面162bは、システム10の流体の入口34の下を動く間、回転連結部を開いた状態に維持する。回転連結部がひとたび端部32に近づくと、表面162cは、連結部が端部32のあたりを下部48から上部46へと通過するとき、回転連結部を、その望ましい状態である閉じた状態にさせるために用いることができる。端部32辺りから伸びるこの位置では、チップを通過させるのではなく保持することが望ましいことは理解できる通りである。
【0033】
下部の区画と同様、上部通路のトラック部分もまた、カムを位置決めして回転連結部を閉じた位置に駆動するためのカム面を含んでいてよい。これらの区画ではチップを通過させる必要がないから、ベルトの行程のうちカム面が含まれている区画で、この閉じた位置が維持されてもよい。実際、チップがこれらの区画を通過できないのであればそれが最善である。
【0034】
本発明の回転連結部は、従来のヒンジベルトのうちのある数のヒンジ板の既存のナックルの構成に対して簡潔な変形を加えることによって実現してもよいこと、また、回転連結部の開口と閉鎖を確実にする必要に応じて、これとともにカムによる補助を追随させる構成を設けてもよいし、設けなくてもよいことは、明らかである。
【0035】
本願の別の実施形態では、回転連結部は、軸140の周りに回転できるようにして、本願発明を損ねることなく、連結部56が下方に動く代わりに上方に動いて開いた状態になるようにすることができる。この実施形態又は他の実施形態では、旋回軸は回転連結部の前縁の代わりに後縁の近くにあってもよい。旋回軸が後縁の近くにある結果、後続する連結部が冷却液92の中を動く際の動きで回転連結部を持ち上げることができる。しかしながら、適切な持ち上がりを確保するためにカムによる駆動装置も用いることができることは理解できる通りである。さらに別の実施の形態では、回転連結部を閉じた位置あるいは開いた位置に導くのを助けるために偏向用部材を用いてもよい。これらの偏向用部材は、バネ、ねじりバネ、伸張バネ、圧縮バネ、板状の幕及び/又は柔軟性のあるポリマー等、産業界で知られている偏向用部材でよいが、それらに限定されるものでもないということも理解できる通りである。
【0036】
図9及び10には、ヒンジ板54の間に位置し、回転しないベース板210及び軸214に沿った軸上に空けられた1個以上の回転連結部窓212を含む回転連結部200が図示されている。示されているのは、軸上に空けられた3個の窓212a、212b及び212cである。しかしながら、本願発明を損なうことなく1個以上の窓を用いることができる。窓の数が多いほど、軸上に開けられた窓の物理的サイズは小さくなることは理解できる通りである。これらの窓は、回転可能な態様で軸214と同軸になるよう、窓212の開口及ぶ閉鎖のために、中央ピボットシャフト220に固定されていてもよく、これは単一のシャフトでも別個の複数のシャフトでもよい。
【0037】
記述を簡潔にする観点から詳細は示していないが、一般的に、これらの窓は上述の回転連結部と同様の機能を行う。この点について、窓212は、上述した実施形態と同様、ベルトの底部48では開いた位置になり、ベルトの頂部46では閉じた位置になる。更に、上述した実施形態と同様、下部48の所望の区画のみで開いた位置がとられるようにすることができる。更に、窓を開け及び/又は閉めるために、重力、カム、バネ又はその他の力を用いることができる。ひとつの実施形態では、窓212はバネによって開口又は閉鎖の側に偏らされており、シャフト220の端に固定されたレバー又はカムによって逆方向に駆動されている。窓212は、開いた位置にあるとき、粒子12L及び12Sが通過できる開口部222を作る。
【0038】
他の実施の形態では、窓212の開口は、窓に対して固定されたレバー230によって補助される。このレバーは側部のレールの内側に位置しているが、全体的には上述したように機能するカム軌道232にレバー230が係合することによって、このレバーは上述したカムと同様の機能を行うことができる。より詳細には、レバー230はカム面234を含んでおり、この表面は、窓が軌道上を通過したときにカム軌道面240が窓212を開かせるように、カム軌道232に対向されている。そして、表面242は窓212を所望の長さの行程にわたって開いた位置に維持するために用いられる。所望の長さの行程が終わった後、窓は、重力のみ及び/又はこれと他のカム面若しくは上述した偏向用部材244との組み合わせによって、閉められるようになる。
【0039】
ここに説明した本発明の好適な実施形態が強調されるが、その他の実施の形態、及びその均等物を作ることも可能であり、また、好適な実施形態には、本発明の原理から離れることなく多くの変更を加えることもできることは理解されるであろう。更に、上述した以上の実施形態は、本発明の他の実施形態を形成するために組み合わせることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚染された液体の流れから固体粒子を分離して概ね清浄な液体を生成するための循環ベルト濾過システムであって、前記システムは、第1の端及び第2の端をもち且つ、間隔を置いた複数の水平軸の周りに旋回可能に互いに連結された複数の板により形成されている連続的な環状のベルトを備え、前記複数の板は共に、外側に対向する面と内側に対向する面とを形成しており、前記ベルトは前記外側の面が概ね上方に面しかつ前記第1の端から前記第2の端に向かって動く上部区画と、前記外側の面が概ね下方に面しかつ前記第2の端から前記第1の端に向かって動く反対側の下部区画とを更に含み、前記システムは、底部を有するタンクを含むハウジングと、前記第1の端の近傍にある端部壁面と、前記端部壁面から伸びる一対の側壁と、を更に備え、前記ベルトの前記下部区画は、前記板が前記端部壁面に向かって動くようにして前記タンクを通って動き、前記システムは、液体及び固体粒子の混合物を含む汚染された液体の流れが、前記液体の一部が前記ベルトを通過して流れかつ前記固体粒子の一部が前記ベルトを通過して流れるようにして前記ベルトに対して注がれる入口領域を前記上部区画内に更に含み、前記ベルトの前記下部区画は、前記タンクの底部の近傍を通過する底部領域を含み、前記複数の板は、開いた状態と閉じた状態との間で旋回可能である旋回フラップを有する旋回板を含み、前記フラップは、前記ベルトを通る粒子の前記一部の動きが前記入口領域において制約され、前記底部領域においては促進されるように、前記底部領域にあるとき前記開いた状態となり、前記入口領域にあるとき前記閉じた状態となる濾過システム。
【請求項2】
前記ベルトは引き棒を前記外側に更に含み、前記引き棒は前記タンクの前記下部区画にあるとき、前記タンクの底面に沿って前記第1の端に向かって動く、請求項1に記載の濾過システム。
【請求項3】
前記複数の板の75パーセント未満が前記旋回板である、請求項1に記載の濾過システム。
【請求項4】
前記複数の板の30パーセントから75パーセントが前記旋回板である、請求項1に記載の濾過システム。
【請求項5】
前記複数の板の約50パーセントが前記旋回板である、請求項1に記載の濾過システム。
【請求項6】
前記ベルトの板が1個おきに前記旋回板である、請求項3に記載の濾過システム。
【請求項7】
前記旋回板は、前記ベルトに対して概ね固定された中央板領域と、前記中央板領域に対して旋回可能な複数のフラップとを含む、請求項1に記載の濾過システム。
【請求項8】
前記複数のフラップは前記中央板領域にある、請求項7に記載の濾過システム。
【請求項9】
前記複数のフラップは3個のフラップである、請求項7に記載の濾過システム。
【請求項10】
前記旋回板は前記フラップであり、前記旋回板は水平板の軸の周りを前記ベルトに対して旋回する、請求項1に記載の濾過システム。
【請求項11】
前記ベルトはベルト行程の方向に動き、前記旋回板は、前記方向に対向する前縁と、反対側の後縁とを含み、前記板の軸は前記前縁の近くにある、請求項10に記載の濾過システム。
【請求項12】
前記旋回板は、前記後縁の近傍にある旋回止めを更に含み、前記旋回止めは、前記旋回板が前記ベルトの一方の側からのみ旋回するよう、前記ベルトの前記後縁近傍に係合可能となっている、請求項11に記載の濾過システム。
【請求項13】
前記一方の側は、前記外側の面である、請求項12に記載の濾過システム。
【請求項14】
前記旋回止めは、前記開いた状態を制約するために前記タンクの前記底面に係合し、前記閉じた状態を維持するために前記ベルトの前記後縁近傍に係合する請求項13に記載の濾過システム。
【請求項15】
前記旋回板は、重力により、前記開いた位置及び閉じた位置をとるよう導かれる、請求項14に記載の濾過システム。
【請求項16】
前記旋回板は、重力により、前記開いた位置及び閉じた位置をとるよう導かれる、請求項13に記載の濾過システム。
【請求項17】
前記旋回板は、前記板の軸と同軸に配置される旋回軸ピンと、前記ピンに固定されたカムエレメントとを更に含み、前記ハウジングはカム面を更に含み、前記カムは、前記板を前記開いた位置と閉じた位置との間で動かすため、前記カム面に係合する、請求項10に記載の濾過システム。
【請求項18】
前記旋回板は前記フラップであり、前記旋回板は水平板の軸の周りを前記ベルトに対して旋回し、前記ベルトはベルト行程の方向に動き、前記旋回板は、前記方向に対向する前縁と反対側の後縁とを含み、前記板の軸は前記後縁に近く、前記旋回板は、前記前縁の近傍にある旋回止めを更に含み、前記旋回止めは、前記旋回板が前記ベルトから内側に旋回するように、前記ベルトの前記前縁近傍に係合可能である、請求項1に記載の濾過システム。
【請求項19】
前記旋回板は、前記板の軸と同軸に配置される旋回軸ピンと、前記ピンに固定されたカムエレメントとを更に含み、前記ハウジングはカム面を更に含み、前記カムは、前記板を前記開いた位置と閉じた位置との間で動かすため、前記カム面に係合する、請求項18に記載の濾過システム。
【請求項20】
前記旋回板は、偏向用部材を更に含み、前記偏向用部材は、前記板を前記開いた位置と閉じた位置との間で動かす、請求項19に記載の濾過システム。
【請求項21】
前記旋回板は、偏向用部材を更に含み、前記偏向用部材は、前記板を前記開いた位置と閉じた位置との間で動かす、請求項1に記載の濾過システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2011−505250(P2011−505250A)
【公表日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−537160(P2010−537160)
【出願日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際出願番号】PCT/US2008/086389
【国際公開番号】WO2009/076513
【国際公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(510157362)
【Fターム(参考)】