説明

ヒンジ装置及びヒンジ装置を用いた電子機器

【課題】簡単な構成で、回転範囲が異なると回転トルクも異なり得る構造のヒンジ装置を提供すること。
【解決手段】ヒンジ筒4とヒンジ軸3との間に形成される筒状空間部と、筒状空間部の箇所に装着される筒状体5と、筒状体5の端縁に形成される凹み部8と、凹み部8の円周方向の両側に形成される段部6,6と、ヒンジ軸3に設けられるピン7と、を備え、ヒンジ筒4と前記筒状体5は、これらの相対回転により、摩擦回転抵抗を生じるように設けられ、筒状体5とヒンジ軸3は、相対回転自在に設けられ、ヒンジ軸3のピン7は、凹み部8の箇所に位置しているとともに、ヒンジ軸3と筒状体5の相対回転により、当該ピン7が段部6,6の一方又は他方に当接する位置関係を備えているヒンジ装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パソコン等の折り畳み式開閉機器に用いられるヒンジ装置及びヒンジ装置を用いた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
パソコン等の折り畳み式開閉機器において、ディスプレー表示部の開き角度は使用者によって種々異なることから、どの開き角度においてもその位置でディスプレー表示部が保持できるような所謂フリーストップ機構を備えたヒンジ装置が用いられている。この種のヒンジ装置として、ヒンジ筒の内側にヒンジ軸が挿通され、ヒンジ軸とヒンジ筒との間に摩擦回転抵抗を生じるタイプのヒンジ装置が知られている。
【0003】
ヒンジ軸とヒンジ筒との間に摩擦回転抵抗を生じるタイプのヒンジ装置は、例えば、ヒンジ軸を断面楕円形状に設け、円形状のヒンジ筒の内部には、徐々に盛り上がる壁面部を形成し、ヒンジ軸の回転に伴い、ヒンジ軸の外周面が前記壁面部に摺接して、摩擦回転抵抗を徐々に大きくするもの(実開平3−50178号公報)や、ヒンジ軸を断面楕円形状に設け、円形状のヒンジ筒の内部には、内径が連続的に変化する段部を形成し、ヒンジ軸の回転に伴い、ヒンジ軸の外周面が前記段部に摺接して、摩擦回転抵抗を徐々に大きくするもの(特開平8−121009号公報)等が提案されている。
【特許文献1】実開平3−50178号公報
【特許文献2】特開平8−121009号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したヒンジ装置において、ヒンジ筒の内部に徐々に盛り上がる壁面部を形成するものや、ヒンジ筒の内部に内径が連続的に変化する段部を形成するものは、当然ながら、ヒンジ筒の内部に別途、徐々に盛り上がる壁面部や連続的に変化する段部を形成しなければならない。
【0005】
本発明は、ヒンジ筒の内部に別途、徐々に盛り上がる壁面部や連続的に変化する段部を形成することなく、しかも、簡単な構成で、回転範囲が異なると回転トルクも異なり得る構造のヒンジ装置を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、後記具体例で用いた符号を付して記すと、ヒンジ筒4の内側にヒンジ軸3が挿通され、前記ヒンジ筒4と前記ヒンジ軸3は、これらの相対回転により、摩擦回転抵抗が生じるタイプのヒンジ装置Hにおいて、
前記ヒンジ筒4と前記ヒンジ軸3との間に形成される筒状空間部50と、
前記筒状空間部50の箇所に装着される筒状体5と、
前記筒状体5の端縁に形成される凹み部8と、
前記凹み部8の円周方向の両側に形成される段部6,6と、
前記ヒンジ軸3に設けられるピン7と、を備え、
前記ヒンジ筒4と前記筒状体5は、これらの相対回転により、摩擦回転抵抗を生じるように設けられ、
前記筒状体5と前記ヒンジ軸3は、相対回転自在に設けられ、
前記ヒンジ軸3の前記ピン7は、前記筒状体5の前記凹み部8の箇所に位置しているとともに、前記ヒンジ軸3と前記筒状体5の相対回転により、当該ピン7が前記段部6,6の一方又は他方に当接する位置関係を備えていることを特徴とするヒンジ装置である。
【0007】
また、本発明は、ヒンジ筒4の内側にヒンジ軸3が挿通され、前記ヒンジ筒4と前記ヒンジ軸3は、これらの相対回転により、摩擦回転抵抗が生じるタイプのヒンジ装置Hにおいて、
前記ヒンジ軸3の一方の端部に設けられるサブヒンジ軸30と、
前記ヒンジ軸3と前記サブヒンジ軸30との対向部の一方に形成される凹み部8と、
前記凹み部8の円周方向の両側に形成される段部6,6と、
前記ヒンジ軸3と前記サブヒンジ軸30との対向部の他方に設けられるピン7と、を備え、
前記ヒンジ筒4と前記ヒンジ軸3及び、前記ヒンジ筒4と前記サブヒンジ軸30は、これらの相対回転により、摩擦回転抵抗を生じるように設けられ、
前記ピン7は、前記凹み部8の箇所に位置しているとともに、前記ヒンジ筒4と、前記ヒンジ軸3との相対回転により、当該ピン7が前記段部6,6の一方又は他方に当接する位置関係を備えていることを特徴とするヒンジ装置である。
【0008】
また、本発明は、操作部11を備えた本体部1と、ディスプレー表示部12を備えた回動部2との間に、前記ヒンジ装置Hを設けたことを特徴とするヒンジ装置を用いた電子機器である。
【発明の効果】
【0009】
上述した第1のヒンジ装置Hによれば、前記ヒンジ筒4と前記ヒンジ軸3の相対回転によって、当初、前記筒状体5は前記ヒンジ筒4と同行回転している。そして、前記ピン7が、前記筒状体5の前記一方又は他方の段部6に当接すると、爾後、ヒンジ筒4と前記ヒンジ軸3の相対回転に伴い、ピン7と筒状体5は同行回転する。
【0010】
筒状体5がピン7と同行回転すると、爾後、筒状体5とヒンジ筒4は相対回転し、これらの間に摩擦回転抵抗が生じる。即ち、本発明のヒンジ装置Hは、ヒンジ筒4、ヒンジ軸3及び筒状体5の三者間において、ヒンジ筒4とヒンジ軸3との間に相対回転が生じると、筒状体5はヒンジ筒4と同行回転するので、ヒンジ軸3は筒状体5に対し相対回転する。その後、ピン7が、筒状体5の前記一方又は他方の段部6に当接すると、爾後、ピン7と筒状体5は同行回転する。筒状体5がピン7と同行回転すると、爾後、筒状体5とヒンジ筒4は相対回転し、これらの間に摩擦回転抵抗が生じる。
【0011】
従って、本発明のヒンジ装置Hにおいては、ヒンジ筒4とヒンジ軸3との相対回転により、ヒンジ軸3の前記ピン7が、筒状体5の前記凹み部8の前記一方の段部6と他方の段部6との間を相対回転する「ヒンジ軸3の第1回転範囲」と、前記ピン7が、前記凹み部8の前記一方又は他方の段部6に当接した状態で前記筒状体5と共に回転移行する「ヒンジ軸3の第2回転範囲」とを備える。
【0012】
ヒンジ装置Hの摩擦回転抵抗は、前記の第1回転範囲では、ヒンジ軸3とヒンジ筒4との間における回転抵抗のみであるが、前記の第2回転範囲では、第1回転範囲における回転抵抗に、更に筒状体5とヒンジ筒4との間における回転抵抗が加わることになる。
【0013】
上述した第2のヒンジ装置Hによれば、ヒンジ筒4とヒンジ軸3の相対回転によって、摩擦回転抵抗を生じる。このとき、サブヒンジ軸30は、ヒンジ筒4と同行回転する。更に、ヒンジ筒4とヒンジ軸3の相対回転が進むと、前記ピン7と、前記一方又は他方の段部6との当接により、爾後、サブヒンジ軸30は、ヒンジ軸3と同行回転する。
【0014】
サブヒンジ軸30がヒンジ軸3と同行回転すると、ヒンジ筒4との間に摩擦回転抵抗が生じる。即ち、本発明のヒンジ装置Hは、ヒンジ筒4、ヒンジ軸3及びサブヒンジ軸30の三者間において、ヒンジ筒4とヒンジ軸3との間に相対回転が生じると、サブヒンジ軸30はヒンジ筒4と同行回転する。その後、ピン7が、前記一方又は他方の段部6に当接すると、爾後、サブヒンジ軸30がヒンジ軸3と同行回転するので、サブヒンジ軸30とヒンジ筒4は相対回転し、これらの間に摩擦回転抵抗が生じる。
【0015】
従って、本発明のヒンジ装置Hにおいては、ヒンジ筒4とヒンジ軸3との相対回転により、前記ピン7が、前記凹み部8の前記一方の段部6と他方の段部6との間を相対回転する「ヒンジ軸3の第1回転範囲」と、前記ピン7が、前記凹み部8の前記一方又は他方の段部6に当接した状態で前記サブヒンジ軸30と共に回転移行する「ヒンジ軸3の第2回転範囲」とを備える。
【0016】
ヒンジ装置Hの摩擦回転抵抗は、前記の第1回転範囲では、ヒンジ軸3とヒンジ筒4との間における回転抵抗のみであるが、前記の第2回転範囲では、第1回転範囲における回転抵抗に、更にサブヒンジ軸30とヒンジ筒4との間における回転抵抗が加わることになる。
【0017】
以上のように、本発明のヒンジ装置によれば、簡単な構成で、回転範囲が異なると回転トルクも異なり得る構造のヒンジ装置を得ることができ、これにより、従来のヒンジ装置のようなヒンジ筒の内部に別途、徐々に盛り上がる壁面部や連続的に変化する段部を形成することを要しない。また、本発明によれば、改良されたヒンジ装置を具備する電子機器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一具体例に係るヒンジ装置を携帯電話機に用いた状態を示す斜視図である。
【図2】本発明の一具体例に係るヒンジ装置をノート型パソコンに用いた状態を示す斜視図である。
【図3】本例のヒンジ装置を示す斜視図である。
【図4】本例のヒンジ装置を示す分解斜視図である。
【図5】本例のヒンジ装置を示す断面図であって、(a)は筒状体5を備えた図、(b)は筒状体5を外して筒状空間部50を示す図である。
【図6】本例のヒンジ装置を示す一部切欠き斜視図であって、(a)(b)(c)は順次、ヒンジ軸3が作動した状態を示す図である。
【図7】本例のヒンジ装置を示す一部切欠き側面図であって、(a)(b)(c)は順次、ヒンジ軸3が作動した状態を示す図である。
【図8】本例の電子機器を示す側面図であって、(a)(b)(c)は順次、回動部2が作動した状態を示す図である。
【図9】本例のヒンジ軸3の連結部10と、これに装着されるピン7を示す斜視図である。
【図10】本例のヒンジ軸3の連結部10と、これに突設されるピン7を示す斜視図である。
【図11】本例のヒンジ装置を示す一部切欠き側面図であって、図10におけるピン7を用いた場合の図である。
【図12】本例のヒンジ装置を示す一部切欠き側面図であって、図10におけるピン7を用いた場合の図である。
【図13】本例のヒンジ装置を示す一部切欠き側面図であって、(a)(b)(c)は順次、ヒンジ軸3が作動した状態を示す図である。
【図14】本発明の他の具体例に係るヒンジ装置を示す分解斜視図である。
【図15】本発明の他の具体例に係るヒンジ装置を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1及び図2において、本発明のヒンジ装置Hは、操作部11を備えた本体部1に対し、ディスプレー表示部12を備えた回動部2が回動する電子機器に用いられる。ヒンジ装置Hは、ヒンジ筒4の内側にヒンジ軸3が挿通される。ヒンジ筒4と前記ヒンジ軸3は、これらの相対回転により、摩擦回転抵抗が生じる。
【0020】
この例では、ヒンジ筒4に連結部9を延設し、この連結部9を本体部1に連結する。また、ヒンジ軸3の端部をヒンジ筒4の外部に延設して連結部10を形成し、この連結部10を回動部2に連結する。
【0021】
更に、図3〜図5に示すように、本例のヒンジ装置Hは、ヒンジ筒4の内側にヒンジ軸3が挿通された際、ヒンジ筒4とヒンジ軸3との間に筒状空間部50が形成される。
【0022】
この筒状空間部50の箇所には、筒状体5が装着される。この筒状体5は、ヒンジ軸3に対し相対回転自在に設けられるが、ヒンジ筒4に対しては、これらの相対回転により、摩擦回転抵抗を生じるように設けられている。
【0023】
尚、ヒンジ筒4と前記ヒンジ軸3の相対回転により、摩擦回転抵抗が生じるのは、図5の間隔Aの部位である。また、筒状体5とヒンジ軸3が相対回転自在に設けられ、且つ、筒状体5とヒンジ筒4の相対回転により摩擦回転抵抗が生じるのは、間隔Bの部位である。
【0024】
前記筒状体5は、その端縁に凹み部8が形成されている。この凹み部8の円周方向の両側には、段部6,6が形成されている。
【0025】
また、ヒンジ軸3には、ピン7が設けられる。このピン7は、筒状体5の前記凹み部8の箇所に位置している。そして、ヒンジ軸3と筒状体5の相対回転により、当該ピン7が前記段部6,6の一方又は他方に当接する位置関係を備えている。
【0026】
以上のように構成される本例のヒンジ装置Hにおいて、ヒンジ筒4とヒンジ軸3の相対回転が、図6(a)及び図7(a)に示すように、前記ピン7が筒状体5の前記一方の段部6に当接する箇所と、図6(b)及び図7(b)に示すように、ピン7が他方の段部6に当接する箇所との間、この例では、120°の範囲では、ヒンジ筒4とヒンジ軸3の相対回転により、これらの間に摩擦回転抵抗が生じる。このとき、筒状体5は前記ヒンジ筒4と同行回転する。
【0027】
更に、図6(b)及び図7(b)に示す位置から、図6(c)及び図7(c)に示す位置(この例では120°の位置から180°の位置)へとヒンジ軸3が回転して、ピン7が筒状体5を同行回転させると、この同行回転により、筒状体5とヒンジ筒4は相対回転し、これらの間に摩擦回転抵抗が生じる。
【0028】
上述した例では、0°〜120°の間(ヒンジ軸3の第1回転範囲)ではヒンジ筒4とヒンジ軸3との相対回転による摩擦回転抵抗が生じ、120°〜180°の間(ヒンジ軸3の第2回転範囲)では、更に筒状体5とヒンジ筒4との相対回転による摩擦回転抵抗が加わることになる。
【0029】
また、図6(c)及び図7(c)に示す状態を、図8(a)の二点鎖線の回動部2が本体部1に重なり合わさっている状態に対応させてみると、回動部2を0〜120°開放する迄は、前記の「ヒンジ軸3の第1回転範囲」であり、所定の摩擦回転抵抗が生じる。更にこの120°を越えると、上記の「ヒンジ軸3の第2回転範囲」に移行し、更なる摩擦回転抵抗が加わる(図8(b)(c)における実線の回動部2)。これにより、フリーストップ作用が発揮されて、所望位置でディスプレー表示部(回動部2)を保持することができる。
【0030】
図8(c)における実線の回動部2を、本体部1に重ね合わせようとすると、図8(b)における二点鎖線の回動部2の60°の箇所から、更なる摩擦回転抵抗が加わることになり、回動部2の回転ストッパーとしての作用を奏する。これにより、ディスプレー表示部(回動部2)の急激な本体部への閉塞動作を緩和させることができる。
【0031】
本例のヒンジ装置Hにおいて、ピン7は、図9に示すように、ヒンジ軸3とは別部材であるが、図10及び図11に示すように、ヒンジ軸3に一体形成してもよい。また、図12及び図13に示すように、ピン7を複数形成したり、筒状体5に突き当たり部60を形成して、この突き当たり部60にピン7を当接させるようにしてもよい。
【0032】
尚、図12及び図13に示すヒンジ装置において、筒状体5に突き当たり部60を形成する例では、突き当たり部60が形成されていない部位が、前例の凹み部8に相応し、また、突き当たり部60の両側が、前例の段部6,6に相応する。従って、この筒状体5に突き当たり部60を形成する例においても、前例と同様の構成を備えるとともに、前例同様の作用効果を奏するものである。
【0033】
図14及び図15は、本発明の他の具体例を示すもので、前例同様に、ヒンジ筒4の内側にヒンジ軸3が挿通され、ヒンジ筒4とヒンジ軸3は、これらの相対回転により、摩擦回転抵抗が生じるタイプのヒンジ装置Hである。
【0034】
この例のヒンジ装置Hは、ヒンジ軸3の一方の端部に、サブヒンジ軸30を設ける。サブヒンジ軸30は、ヒンジ筒4に装着されるものであり、ヒンジ軸3の軸線と同一軸線上に位置している。
【0035】
この例では、ヒンジ筒4とヒンジ軸3及び、ヒンジ筒4とサブヒンジ軸30は、これらの相対回転により、摩擦回転抵抗を生じるように設けられている。
【0036】
また、ヒンジ軸3とサブヒンジ軸30との対向部の一方には、凹み部8が形成され、他方には、ピン7が設けられている。前記凹み部8の円周方向の両側には、段部6,6が形成される。
【0037】
そして、ピン7は、凹み部8の箇所に位置しているとともに、ヒンジ筒4と、ヒンジ軸3との相対回転により、当該ピン7が段部6,6の一方又は他方に当接する位置関係を備えている。
【0038】
この例では、ヒンジ軸3にピン7が設けられ、サブヒンジ軸30に凹み部8が形成されている。尚、図15に示す具体例では、図14の具体例とは反対に、ヒンジ軸3に凹み部8が形成され、サブヒンジ軸30にピン7が設けられている。
【0039】
図14及び図15に示すヒンジ装置Hによれば、ヒンジ筒4とヒンジ軸3の相対回転によって、摩擦回転抵抗を生じる。このとき、サブヒンジ軸30は、ヒンジ筒4と同行回転する。更に、ヒンジ筒4とヒンジ軸3の相対回転が進むと、前記ピン7と、前記一方又は他方の段部6との当接により、爾後、サブヒンジ軸30は、ヒンジ軸3と同行回転する。
【0040】
サブヒンジ軸30がヒンジ軸3と同行回転すると、ヒンジ筒4との間に摩擦回転抵抗が生じる。即ち、本例のヒンジ装置Hは、ヒンジ筒4、ヒンジ軸3及びサブヒンジ軸30の三者間において、ヒンジ筒4とヒンジ軸3との間に相対回転が生じると、サブヒンジ軸30はヒンジ筒4と同行回転する。その後、ピン7が、前記一方又は他方の段部6に当接すると、爾後、サブヒンジ軸30がヒンジ軸3と同行回転するので、サブヒンジ軸30とヒンジ筒4は相対回転し、これらの間に摩擦回転抵抗が生じる。
【0041】
従って、本例のヒンジ装置Hにおいては、ヒンジ筒4とヒンジ軸3との相対回転により、ピン7が、凹み部8の前記一方の段部6と他方の段部6との間を相対回転する「ヒンジ軸3の第1回転範囲」と、ピン7が、凹み部8の前記一方又は他方の段部6に当接した状態で前記サブヒンジ軸30と共に回転移行する「ヒンジ軸3の第2回転範囲」とを備える。
【0042】
ヒンジ装置Hの摩擦回転抵抗は、前記の第1回転範囲では、ヒンジ軸3とヒンジ筒4との間における回転抵抗のみであるが、前記の第2回転範囲では、第1回転範囲における回転抵抗に、更にサブヒンジ軸30とヒンジ筒4との間における回転抵抗が加わることになる。
【0043】
以上説明した各例のヒンジ装置において、例えば第1具体例では筒状体5を2つ用いて説明したが、2つに限られずに1つでもよく、また、図12及び図13に示す具体例では筒状体5を1つ用いて説明したが、筒状体5を2つ用いてもよい。このように、本発明は、上述した具体例に限られることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、適宜の改変を加えることができるものである。
【0044】
以上のように、本発明の各ヒンジ装置によれば、簡単な構成で、回転範囲が異なると回転トルクも異なり得る構造のヒンジ装置を得ることができ、これにより、従来のヒンジ装置のようなヒンジ筒の内部に別途、徐々に盛り上がる壁面部や連続的に変化する段部を形成することを要しない。また、本発明によれば、改良されたヒンジ装置を具備する電子機器を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明のヒンジ装置は、パソコン等を対象とするものであるが、その他、化粧用コンパクト、ドア、便器の蓋等、開閉又は回動するものでその開閉又は回動にフリーストップの要請があるもの一般に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0046】
H ヒンジ装置
1 本体部
2 回動部
3 ヒンジ軸
30 サブヒンジ軸
4 ヒンジ筒
5 筒状体
50 筒状空間部
6 段部
60 突き当たり部
7 ピン
8 凹み部
9 連結部
10 連結部
11 操作部
12 ディスプレー表示部
A 間隔
B 間隔


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒンジ筒4の内側にヒンジ軸3が挿通され、前記ヒンジ筒4と前記ヒンジ軸3は、これらの相対回転により、摩擦回転抵抗が生じるタイプのヒンジ装置Hにおいて、
前記ヒンジ筒4と前記ヒンジ軸3との間に形成される筒状空間部50と、
前記筒状空間部50の箇所に装着される筒状体5と、
前記筒状体5の端縁に形成される凹み部8と、
前記凹み部8の円周方向の両側に形成される段部6,6と、
前記ヒンジ軸3に設けられるピン7と、を備え、
前記ヒンジ筒4と前記筒状体5は、これらの相対回転により、摩擦回転抵抗を生じるように設けられ、
前記筒状体5と前記ヒンジ軸3は、相対回転自在に設けられ、
前記ヒンジ軸3の前記ピン7は、前記筒状体5の前記凹み部8の箇所に位置しているとともに、前記ヒンジ軸3と前記筒状体5の相対回転により、当該ピン7が前記段部6,6の一方又は他方に当接する位置関係を備えていることを特徴とするヒンジ装置。
【請求項2】
ヒンジ筒4の内側にヒンジ軸3が挿通され、前記ヒンジ筒4と前記ヒンジ軸3は、これらの相対回転により、摩擦回転抵抗が生じるタイプのヒンジ装置Hにおいて、
前記ヒンジ軸3の一方の端部に設けられるサブヒンジ軸30と、
前記ヒンジ軸3と前記サブヒンジ軸30との対向部の一方に形成される凹み部8と、
前記凹み部8の円周方向の両側に形成される段部6,6と、
前記ヒンジ軸3と前記サブヒンジ軸30との対向部の他方に設けられるピン7と、を備え、
前記ヒンジ筒4と前記ヒンジ軸3及び、前記ヒンジ筒4と前記サブヒンジ軸30は、これらの相対回転により、摩擦回転抵抗を生じるように設けられ、
前記ピン7は、前記凹み部8の箇所に位置しているとともに、前記ヒンジ筒4と、前記ヒンジ軸3との相対回転により、当該ピン7が前記段部6,6の一方又は他方に当接する位置関係を備えていることを特徴とするヒンジ装置。
【請求項3】
操作部11を備えた本体部1と、ディスプレイ部12を備えた回動部2との間に、前記ヒンジ装置Hを設けたことを特徴とするヒンジ装置を用いた電子機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−47505(P2011−47505A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−198642(P2009−198642)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(396019022)株式会社ストロベリーコーポレーション (88)
【Fターム(参考)】