説明

ヒンジ

【課題】部品点数を削減し、必要な機能や剛性を確保しながら小型・軽量化し、また各取付け面の精度向上を図ることができるヒンジを提供する。
【解決手段】フラットパネルディスプレイを左右に首振り自在に、及び/或いは、前後にチルト自在に支持すると共に箱形のフレームから構成されるヒンジにおいて、該フレームがダイカストから成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、液晶ディスプレイ等のフラットパネルディスプレイを左右に首振り自在に回動可能に、あるいは前後にチルト(傾動)自在に支持するヒンジであって、特に箱形のフレームにより構成されるヒンジに関する。
【背景技術】
【0002】
一般にヒンジのフレームは、その剛性を確保するために、金属板をプレス加工や、溶接または重ね合わせ構造により構成されていた。
また、必要トルクの上昇に伴う強度アップのために部品構成を変更して大型化する傾向にあった。
【0003】
しかし、上記従来のヒンジのフレームは、必要な機能や剛性を確保するために、部品点数が多くなって重量が重く、また、組立工程が長くなって、コスト高となる等の問題点があった。
さらに、構造上各取付け面の平面精度や垂直精度、あるいは寸法精度を確保することが困難となり、特に、高トルクのヒンジは大型になる等の問題点もあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、箱形のフレームをダイカストで一体型にすることにより、部品点数を削減し、必要な機能や剛性を確保しながら小型・軽量化し、また各取付け面の精度向上を図ることができるヒンジを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のヒンジは、フラットパネルディスプレイを左右に首振り自在に、及び/或いは、前後にチルト自在に支持すると共に箱形のフレームから構成されるヒンジにおいて、該フレームがダイカストから成ることを特徴とする。また、上記前後にチルト自在に回動させるチルト部材の圧入部を、上記フレームに形成した圧入孔に圧入して、ネジ止またはカシメ等の固定手段により固定して構成することを特徴とする。さらに、上記チルト部材により回動すると共に上記フラットパネルディスプレイを取り付ける取付部材の回動幅を規制するストッパーを、上記フレームに一体的に形成したことを特徴とする。また更に、2枚の平行な側板部を有するフレームの一方の側板部にシャフト部を一体に形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明のヒンジは、次のような利点がある。
1)必要な合成を確保しながら小型化できるため、従来品に比べ軽量化できる。
2)各取付け面を一体化できるため、各部の寸法精度・平面度・垂直度等を容易に出すことができる。
3)フレーム形状の自由度が高いため強度確保しやすく、別途補強部品等を取り付ける必要が無く、また、ストッパー、回転シャフトをフレームと一体化できることにより、部品点数を削減できる。
4)必要な強度を確保しながら小型化できるため、各種サイズ用のヒンジを共用化することが可能となり、コストを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は、本発明のヒンジの一実施例を取り付けたモニター装置の背面を示すもので、Bはベース部材、Hはヒンジ、Dはフラットパネルディスプレイである。該ヒンジHは、上記フラットパネルディスプレイDを左右に首振り自在に、また、前後にチルト(傾動)自在に、それぞれ回動できるようにベース部材B上に取り付けている。
【0008】
上記ヒンジHは、図2および図3に示すように、主としてフレーム1と、ベース取付部材2と、取付ボルト3と、チルト部材4と、ディスプレイ取付部材5から構成されている。
【0009】
上記フレーム1は、図4からも明らかなように、2枚の平行な側板部1aと、底板部1bと、前板部1cにより、隣接する2面が解放された4面板から成る箱形にダイカストにより一体構成されている。
【0010】
上記側板部1aには、チルト軸圧入孔1a−1が開設されていると共に、ストッパー片1a−2が突設されている。
【0011】
上記底板部1bの中央部には取付孔1b−1(図4を参照)が開けられていて、上記取付ボルト3により、上記フレーム1が上記ベース取付部材2に回動自在に取り付けられている。該ベース取付部材2は、上記ベース部材Bに取り付け固定される。なお、上記ベース取付部材2には切欠凹部2aが形成されていて、これに上記底板部1bに突設されたストッパー片1b−1が臨んでおり、上記フレーム1の回動幅を規制している。
【0012】
図3から明らかなように、上記チルト部材4は、主としてチルト軸4aと、複数枚のフリクション盤4bと、締付けナット4cから成る。さらに、上記チルト軸4aは、上記チルト軸圧入孔1a−1に圧入固定される圧入部4a−1とフランジ部4a−2とシャフト部4a−3から成る。該シャフト部4a−3には、上記ディスプレイ取付部材5が任意の回転位置に停止可能に取り付けられている。なお、上記ディスプレイ取付部材5には切欠凹部5aが形成されていて、これに上記側板部1aに突設されたストッパー片1a−2が臨んでおり、上記取付部材5のチルト(回動)幅を規制している。
【0013】
上記実施例では、2枚の側板部1aのいずれにもチルト軸圧入孔1a−1が形成されているが、図5〜図7に示すように、一方の側板部1aにはシャフト部1a−3を一体に形成して、該シャフト部1a−3に上記ディスプレイ取付部材5を回転自由に枢着せしめるように構成してもよい。
本第2の実施例では、チルト(傾動)用のフリクション盤4bが一方にしかないので、軽量小型のフラットパネルディスプレイDに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明のヒンジを取り付けたディスプレイ装置を裏側からみた斜視図である。
【図2】図1のヒンジの拡大斜視図である。
【図3】図2のヒンジの分解斜視図である。
【図4】図3のヒンジのダイカスト製のフレームの斜視図である。
【図5】別の実施例のヒンジの斜視図である。
【図6】図5のヒンジの分解斜視図である。
【図7】図6のヒンジのダイカスト製のフレームの斜視図である。
【符号の説明】
【0015】
1 フレーム
1a 側板部
1a−1 チルト軸圧入孔
1a−2 ストッパー片
1b 底板部
1b−1 取付孔
1b−2 ストッパー片
1c 前板部
2 ベース取付部材
2a 切欠凹部
3 取付ボルト
4 チルト部材
4a チルト軸
4a−1 圧入部
4a−2 フランジ部
4a−3 シャフト部
4b フリクション盤
4c 締付けナット
5 ディスプレイ取付部材
5a 切欠凹部
B ベース部材
D フラットパネルディスプレイ
H ヒンジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フラットパネルディスプレイを左右に首振り自在に、及び/或いは、前後にチルト自在に支持すると共に箱形のフレームから構成されるヒンジにおいて、該フレームがダイカストから成ることを特徴とするヒンジ。
【請求項2】
上記前後にチルト自在に回動させるチルト部材の圧入部を、上記フレームに形成した圧入孔に圧入して、ネジ止またはカシメ等の固定手段により固定して構成することを特徴とする請求項1に記載のヒンジ。
【請求項3】
上記チルト部材により回動すると共に上記フラットパネルディスプレイを取り付ける取付部材の回動幅を規制するストッパーを、上記フレームに一体的に形成したことを特徴とする請求項2に記載のヒンジ。
【請求項4】
2枚の平行な側板部を有するフレームの一方の側板部にシャフト部を一体に形成したことを特徴とする請求項1、2または3に記載のヒンジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−75846(P2008−75846A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−258692(P2006−258692)
【出願日】平成18年9月25日(2006.9.25)
【出願人】(592264101)下西技研工業株式会社 (108)
【Fターム(参考)】