説明

ピリミジンヌクレオシド誘導体の結晶を含有する医薬

【課題】優れた抗腫瘍活性を有するピリミジンヌクレオシド誘導体の結晶を提供する。
【解決手段】 式(I)


で表される化合物又はその水和物の結晶を有効成分として含有する医薬。式(I)の化合物は、粉末状物質と比較して、保存安定性及び取り扱いの容易性が著しく改善されておりまた経口吸収性等の体内動態に優れるので、医薬として実用化する上で極めて有用な結晶である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた抗腫瘍活性を有するピリミジンヌクレオシド誘導体の結晶を有効成分として含有する医薬、特に抗腫瘍剤に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、式(I)で表されるピリミジンヌクレオシド誘導体(以下、化合物(I)という。)が開示されている。化合物(I)は、優れた抗腫瘍活性を示し、腫瘍性疾患の治療薬及び予防薬としての有用性が期待できる。
【0003】
しかし、本化合物を医薬の原体として実用化するには、さらに原体の保存安定性、取り扱いの容易性が要求される。
【特許文献1】特許第2569251号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者等は、種々の検討を行った結果、化合物(I)を含有する結晶を得ることに成功した。本結晶は、特許第2569251号公報に実施例1として記載された化合物(I)の粉末状物質と比較して、保存安定性及び取り扱いの容易性が著しく改善されており、また経口吸収性等の体内動態に優れるので、医薬として実用化する上で極めて有用な結晶であることを見出し、本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、
1)式(I)
【0006】
【化1】

【0007】
で表される化合物又は水和物の結晶であって、
(1)銅のKα線(波長λ=1.54オングストローム)の照射で得られる粉末X線回折において、面間隔が19.53, 13.03, 9.75, 4.17, 4.00, 3.82, 3.68 及び 3.41オングストロームに主ピークを示す結晶、
(2)銅のKα線(波長λ=1.54オングストローム)の照射で得られる粉末X線回折において、面間隔が19.36, 12.87, 9.63, 4.70, 4.64, 4.28, 4.10, 3.92, 3.77 及び 3.48オングストロームに主ピークを示す結晶、
(3)銅のKα線(波長λ=1.54オングストローム)の照射で得られる粉末X線回折において、面間隔が19.62, 13.06, 9.82, 4.72, 4.63, 4.56, 4.15, 3.98, 3.93, 3.82, 3.45 及び 3.40オングストロームに主ピークを示す結晶、及び
(4)銅のKα線(波長λ=1.54オングストローム)の照射で得られる粉末X線回折において、面間隔が22.52, 5.17, 4.60, 4.28 及び 3.87オングストロームに主ピークを示す結晶
からなる群より選択されるいずれか1項に記載された結晶を有効成分として含有する医薬及び
2)前記1)に記載される(1)、(2)、(3)及び(4)からなる群より選択されるいずれか1項に記載された結晶を有効成分として含有する抗腫瘍剤
を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の化合物(I)の結晶は、非晶形粉末と比較して保存安定性に優れ、実用的に取り扱いやすい結晶であり、また経口吸収性等の体内動態に優れているので、医薬(特に腫瘍性疾患の治療剤又は予防剤)の原体として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の結晶は、その内部構造が三次元的に構成原子(又はその集団)の規則正しい繰り返しでできている固体をいい、そのような規則正しい内部構造を持たない無定形の固体とは区別される。
【0010】
同じ化合物の結晶であっても、結晶化の条件によって、複数の異なる内部構造及び物理化学的性質を有する結晶(結晶多形)が生成することがあるが、本発明の結晶は、これら結晶多形のいずれであってもよく、2以上の結晶多形の混合物であってもよい。
【0011】
本発明の化合物(I)を含有する結晶の一形態として、例えば、銅のKα線(波長λ=1.54オングストローム)の照射で得られる粉末X線回折において、面間隔d=19.53, 13.03, 9.75, 4.17, 4.00, 3.82, 3.68 及び 3.41オングストロームに主ピークを示す結晶を挙げることができる。ここで主ピークは、面間隔d=9.75オングストロームを示すピークの強度を100としたときの相対強度が36以上のピークである。
【0012】
なお、面間隔dは、式2dsinθ=nλにおいてn=1として算出することができる。
【0013】
また、例えば、銅のKα線(波長λ=1.54オングストローム)の照射で得られる粉末X線回折において、面間隔d=19.36, 12.87, 9.63, 4.70, 4.64, 4.28, 4.10, 3.92, 3.77 及び 3.48オングストロームに主ピークを示す結晶を挙げることができる。ここで主ピークは、面間隔d=3.92オングストロームを示すピークの強度を100としたときの相対強度が53以上のピークである。
【0014】
さらに、例えば、銅のKα線(波長λ=1.54オングストローム)の照射で得られる粉末X線回折において、面間隔d=19.62, 13.06, 9.82, 4.72, 4.63, 4.56, 4.15, 3.98, 3.93, 3.82, 3.45 及び 3.40オングストロームに主ピークを示す結晶を挙げることができる。ここで主ピークは、面間隔d=4.56オングストロームを示すピークの強度を100としたときの相対強度が30以上のピークである。
【0015】
さらにまた、例えば、銅のKα線(波長λ=1.54オングストローム)の照射で得られる粉末X線回折において、面間隔d=22.52, 5.17, 4.60, 4.28 及び 3.87オングストロームに主ピークを示す結晶を挙げることができる。ここで主ピークは、面間隔d=22.52オングストロームを示すピークの強度を100としたときの相対強度が36以上のピークである。
【0016】
化合物(I)の結晶は、大気中に放置したり、水又は有機溶媒と混和することによって水又は溶媒を吸収し、水和物又は溶媒和物を形成する場合があるが、これらの水和物及び溶媒和物も本発明に含まれる。
【0017】
化合物(I)は、特許第2569251号公報に開示された方法又はそれに準ずる方法に従って製造することができる。
【0018】
化合物(I)の結晶は、化合物(I)を適当な溶媒に溶解し、pHの調整、溶液の濃縮、冷却、良溶媒と貧溶媒の混合等を行い、化合物(I)を過飽和状態に導いて析出させることによって製造することができる。
【0019】
また、ある結晶又は無定形の固体を適当な溶剤に懸濁し、スラリー状態にした後、攪拌することにより、他の結晶へ溶媒媒介転移させることもできる。
【0020】
なお、結晶の析出は、反応容器中で自然に開始し得るが、種結晶の接種、超音波刺激、反応器の表面を擦る等の機械的刺激を与えることによっても開始又は促進させることができる。
【0021】
化合物(I)またはその薬理上許容される塩を結晶化させるための温度としては、通常、0乃至60℃であり、好適には、5乃至45℃である。
【0022】
析出した結晶は、例えば、ろ過、遠心分離、または傾斜法によって単離することができる。単離した結晶は必要に応じて適当な溶媒で洗浄してもよい。洗浄は、例えば、水;エタノール、イソプロパノールのようなアルコール類;アセトンのようなケトン類;ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチルのようなエステル類;トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;アセトニトリルのようなニトリル類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル類等の溶媒及びこれらの混合溶媒を用いて行なうことができるが、好適には、含水又は無水の酢酸メチルである。
【0023】
単離した結晶は、通常、10乃至100℃で、好適には、30乃至50℃で重量がほぼ一定になるまで乾燥させる。結晶の乾燥は、必要に応じて、シリカゲルまたは塩化カルシウムのような乾燥剤の存在下、または、減圧下で行うこともできる。
【0024】
乾燥した結晶は、通常、10乃至30℃の温度で、かつ、20乃至90%の相対湿度で、好適には、20乃至30℃の温度で、かつ、50乃至80%の相対湿度で重量がほぼ一定になるまで吸湿させてもよい。
【0025】
得られた結晶は、再結晶やスラリー精製によって、その純度及び品質を向上させることができる。
【0026】
再結晶は、化合物(I)またはその薬理上許容される塩の結晶を、(i)加熱溶解した後冷却する方法、(ii)溶解後、溶媒を留去して濃縮する方法、(iii)良溶媒に溶解し、貧溶媒を加えることによって結晶を析出させる方法等、有機合成化学の分野で通常使用される方法によって達成される。
【0027】
スラリー精製とは、化合物の結晶を適当な溶媒に懸濁して、その懸濁液を撹拌し、結晶を再び採取する精製法である。
【0028】
スラリー精製に使用される溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン類;酢酸メチル、酢酸エチルのようなエステル類;アセトニトリルのようなニトリル類;塩化メチレン、クロロホルムのようなハロゲン化炭化水素類;トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;エタノール、イソプロパノールのようなアルコール類;ジエチルエーテル、テトラヒドロフランのようなエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミドのようなアミド類;水;ヘキサンのような脂肪族炭化水素類;ジイソプロピルエーテル、ジエチルエーテルのようなエーテル類等の溶媒及びこれらの混合溶媒を挙げることができ、好適には、アセトン、メチルエチルケトンのようなケトン類;ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチルのようなエステル類;アセトニトリルのようなニトリル類;又はエタノール、イソプロパノールのようなアルコール類及びこれらの含水溶媒であり、更に好適には、含水又は無水の酢酸メチルである。
【0029】
再結晶及びスラリー精製で得られた結晶についても、上記と同様にして単離することができる。
【0030】
化合物(I)の結晶を医薬、特に腫瘍性疾患の治療剤または予防剤として使用する場合には、それ自体、あるいは適宜の薬理学的に許容される賦形剤、希釈剤等と混合し、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤、注射剤、軟膏剤、液剤、懸濁剤、エアゾール剤、トローチ剤等によって、経口的または非経口的に投与することができる。
【0031】
これらの製剤は、賦形剤(例えば、乳糖、白糖、ブドウ糖、マンニット、ソルビットのような糖類;トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、α−デンプン、デキストリン、カルボキシメチルデンプンのようなデンプン誘導体;結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、内部架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムのようなセルロース誘導体;アラビアゴム;デキストラン;プルラン;軽質無水珪酸、合成珪酸アルミニウム、メタ珪酸アルミン酸マグネシウムのような珪酸塩類;リン酸カルシウムのようなリン酸塩類;炭酸カルシウムのような炭酸塩類;硫酸カルシウムのような硫酸塩類等)、結合剤(例えば、前記の賦形剤;ゼラチン;ポリビニルピロリドン;マクロゴール等)、崩壊剤(例えば、前記の賦形剤;クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、架橋ポリビニルピロリドンのような化学修飾された、デンプンまたはセルロース誘導体等)、滑沢剤(例えば、タルク;ステアリン酸;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムのようなステアリン酸金属塩;コロイドシリカ;ビーガム;ビーズワックス、ゲイロウのようなワックス類;硼酸;グリコール;フマル酸、アジピン酸のようなカルボン酸類;安息香酸ナトリウムのようなカルボン酸ナトリウム塩;硫酸ナトリウムのような硫酸類塩;ロイシン;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウムのようなラウリル硫酸塩;無水珪酸、珪酸水和物のような珪酸類;前記の賦形剤におけるデンプン誘導体等)、安定剤(例えば、メチルパラベン、プロピルパラベンのようなパラヒドロキシ安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコールのようなアルコール類;塩化ベンザルコニウム;フェノール、クレゾールのようなフェノール類;チメロサール;無水酢酸;ソルビン酸等)、矯味矯臭剤(例えば、通常使用される、甘味料、酸味料、香料等)、懸濁化剤(例えば、ポリソルベート80、カルボキシメチルセルロースナトリウム等)、希釈剤、製剤用溶剤(例えば、水、エタノール、グリセリン等)等の添加物を用いて周知の方法で製造される。
【0032】
その使用量は投与される者の症状・体重・年齢等により異なるが、1日当たり下限0.1mg(好適には1mg)、上限100mg(好適には、50mg)を、1日当り1乃至数回、症状に応じて投与することが望ましい。
【0033】
以下に実施例、試験例及び製剤例を示し、本発明を更に詳細に説明する。
【実施例】
【0034】
(実施例1)B結晶
(a) 特許第2569251号公報の実施例1(1d)の化合物、2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシルシトシン 30g に 2.5vol%含水酢酸メチル 300ml を注加し、約55℃まで加熱し溶解させた。約0.5℃/minで5℃まで冷却した。冷却中45℃付近で板状の結晶が析出した。5℃で20分攪拌後、これをろ過し、2.5vol%含水酢酸メチル 30ml で洗浄することにより、目的の結晶 28.78g(含量97.9%)を収率96.0%[N/N]で得た。
(b)特許第2569251号公報の実施例1(1d)の化合物、2’-シアノ-2’-デオキシ-N4-パルミトイル-1-β-D-アラビノフラノシルシトシン8.7Kgに1.9vol%含水酢酸メチル80Lを注加し、約23℃で1.5時間攪拌後、これをろ過し、1.9vol%含水酢酸メチル20Lで洗浄して乾燥することにより、目的の結晶7.7Kg(含量97.3%)を収率90.1%[N/N]で得た。
【0035】
(実施例2)C結晶
(a) 特許第2569251号公報の実施例1(1d)の化合物、2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシルシトシン 30g に 4vol%含水酢酸メチル 600ml を注加し、約50℃まで加熱し溶解させた。約0.5℃/minで40℃まで冷却し、攪拌した。攪拌中にB結晶が析出したが、徐々に針状の結晶へと転移した。60分間攪拌後、約0.5℃/minで25℃まで冷却した。25℃で60分攪拌後、これをろ過し、4vol%含水酢酸メチル 30ml で洗浄することにより、目的の結晶 23.74g(含量98.5%)を収率79.7%[N/N]で得た。
(b) 特許第2569251号公報の実施例1(1d)の化合物、2’-シアノ-2’-デオキシ-N4-パルミトイル-1-β-D-アラビノフラノシルシトシン60gに2.5vol%含水酢酸メチル600mLを注加し、約23℃で2時間攪拌した。約0.5℃/minで12℃まで冷却した。1時間攪拌後、ろ過して2.5vol%含水酢酸メチル180mL乾燥することにより、目的の結晶55.1g(含量94.5%)を収率89.6%[N/N]で得た。
【0036】
(実施例3)C(I)結晶
1)乾燥したC結晶を湿度45%以上の雰囲気下に約20分間放置することにより、目的の結晶を得た。
【0037】
2)乾燥したC結晶に、約1/3重量%の水を入れて、3分間練合することにより、目的の結晶を得た。
【0038】
(実施例4)D結晶
(a) 特許第2569251号公報の実施例1(1d)の化合物、2’−シアノ−2’−デオキシ−N−パルミトイル−1−β−D−アラビノフラノシルシトシン 10.0g に無水酢酸メチル 400ml を注加し、約60℃まで加熱し溶解させた。約0.5℃/minで冷却すると、43℃で結晶が析出してきた。25℃まで冷却後、濾過して、目的の結晶 8.8gを収率88.4%で得た。
(b)特許第2569251号公報の実施例1(1d)の化合物、2’-シアノ-2’-デオキシ-N4-パルミトイル-1-β-D-アラビノフラノシルシトシン50gに酢酸メチル1500mLを注加し、約50℃まで加熱して1時間攪拌した。約0.5℃/minで40℃まで冷却した。30分攪拌後、ろ過して乾燥することにより、目的の結晶37.0g(含量99.2%)を収率74.2%[N/N]で得た。
【0039】
(試験例1)安定性試験
実施例1、2及び4で得られた本発明の結晶B、結晶C及び結晶D、並びに、対照として、特許第2569251号公報に実施例1(1d)として記載されている化合物(I)の非晶形粉末(アモルファス A)を、60℃、窒素雰囲気下で密栓をして保存し、5日、10日、17日後の残存率を測定した。
【0040】
化合物の残存率(%)は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いた測定により、開始時の含量を100%とした場合の、保存後の化合物の含量値から算出した。なお、HPLC測定条件は次の通りである。
カラム :化学品検査協会 L-column ODS (4.6mm x 250mm)
移動相 :アセトニトリル:水:酢酸=750:250:1
流量 :1.0 mL/min
検出 :249 nm
カラム温度 :40℃
【0041】
(表1)
各化合物の60℃、窒素雰囲気下での安定性(残存率)
--------------------------------------------------------------------
化合物 5日後 10日後 17日後
--------------------------------------------------------------------
アモルファス A 92.7% 78.6% 62.5%
実施例1で得られた結晶 B 101.0% 100.3% 100.4%
実施例2で得られた結晶 C 101.0% 100.4% 100.1%
実施例4で得られた結晶 D 99.9% 98.3% 98.4%
--------------------------------------------------------------------
表1の結果より、化合物(I)の非晶形粉末(アモルファス A)は、60℃、窒素雰囲気下で極めて安定性が低く、17日後には残存率62.5%まで低下した。これに対して、本発明の実施例1及び2で得られた結晶B及びCは、同条件下で残存率100%を、また実施例4で得られた結晶Dは、98.4%を示し、極めて高い安定性を有した。
【0042】
(製剤例1)液剤1
実施例1の化合物が10%(W/W)、塩化ベンザルコニウムが0.04%(W/W)、フェネチルアルコールが0.40%(W/W)、精製水が89.56%(W/W)となるように液剤を調製する。
【0043】
(製剤例2)液剤2
実施例1の化合物が10%(W/W)、塩化ベンザルコニウムが0.04%(W/W)、ポリエチレングリコール400が10%(W/W)、プロピレングリコールが30%(W/W)、精製水が39.96%(W/W)となるように液剤を調製する。
【0044】
(製剤例3)散剤
実施例1の化合物が40%(W/W)、ラクトースが60%(W/W)となるように散剤を調製する。
【0045】
(製剤例4)エアゾール剤
実施例1の化合物が10%(W/W)、レシチンが0.5%(W/W)、フロン11が34.5%(W/W)、フロン12が55%(W/W)となるようにエアゾール剤を調製する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1は、実施例1で得られたB結晶について、銅のKα線(波長λ=1.54オングストローム)の照射で得られる粉末X線回折パターンである。
【図2】図2は、実施例2で得られたC結晶について、銅のKα線(波長λ=1.54オングストローム)の照射で得られる粉末X線回折パターンである。
【図3】図3は、実施例3で得られたC(I)結晶について、銅のKα線(波長λ=1.54オングストローム)の照射で得られる粉末X線回折パターンである。
【図4】図4は、実施例4で得られたD結晶について、銅のKα線(波長λ=1.54オングストローム)の照射で得られる粉末X線回折パターンである。
【0047】
なお、図1乃至図4において、粉末X線解析パターンの縦軸は回折強度をカウント/秒(cps)単位で示し、横軸は回折角度2θ(度)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】


で表される化合物又は水和物の結晶であって、
(1)銅のKα線(波長λ=1.54オングストローム)の照射で得られる粉末X線回折において、面間隔が19.53, 13.03, 9.75, 4.17, 4.00, 3.82, 3.68 及び 3.41オングストロームに主ピークを示す結晶、
(2)銅のKα線(波長λ=1.54オングストローム)の照射で得られる粉末X線回折において、面間隔が19.36, 12.87, 9.63, 4.70, 4.64, 4.28, 4.10, 3.92, 3.77 及び 3.48オングストロームに主ピークを示す結晶、
(3)銅のKα線(波長λ=1.54オングストローム)の照射で得られる粉末X線回折において、面間隔が19.62, 13.06, 9.82, 4.72, 4.63, 4.56, 4.15, 3.98, 3.93, 3.82, 3.45 及び 3.40オングストロームに主ピークを示す結晶、及び
(4)銅のKα線(波長λ=1.54オングストローム)の照射で得られる粉末X線回折において、面間隔が22.52, 5.17, 4.60, 4.28 及び 3.87オングストロームに主ピークを示す結晶
からなる群より選択されるいずれか1項に記載された結晶を有効成分として含有する医薬。
【請求項2】
請求項1に記載される(1)、(2)、(3)及び(4)からなる群より選択されるいずれか1項に記載された結晶を有効成分として含有する抗腫瘍剤。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−8699(P2006−8699A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−230800(P2005−230800)
【出願日】平成17年8月9日(2005.8.9)
【分割の表示】特願2002−26232(P2002−26232)の分割
【原出願日】平成14年2月4日(2002.2.4)
【出願人】(000001856)三共株式会社 (98)
【Fターム(参考)】