説明

フィールド・レディ・スプレーおよびタンク混合物中における窒素含有イセチオン酸塩

本発明の具体化例においては、少なくとも1種の窒素含有イセチオン酸塩、少なくとも1種の農業用活性成分、および少なくとも1種の表面活性剤を含むフィールド・レディ・スプレーまたはタンク混合物である農業用組成物が記載されている。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は2009年4月24日出願の米国暫定特許願第61/172,398号に対する優先権を請求する。該特許願は引用により本明細書に包含される。
【連邦政府が支援する研究または開発に関する記述】
【0002】
適用なし。
【技術分野】
【0003】
本発明は一般に農業用組成物、特に窒素含有イセチオン酸塩を含むフィールド・レディ(field ready、畠において施用する準備ができている)・スプレーおよびタンク混合物に関する。
【背景技術】
【0004】
多価の硬水イオン(カルシウム、マグネシウム、鉄等)は多数の農薬、特に例えば弱酸性除草剤の効果を阻害し得ることは良く知られている。例えばグリフォセート(N−フォスフォノメチルグリシン)の効果は、カルシウムおよびマグネシウムイオンを含む硬水溶液と一緒にした場合低下する。カルシウムおよびマグネシウムイオンがグリフォセートと結合してその効果を低下させるためである。これは、アミノフォスフェート除草剤、並びに他の弱酸性除草剤に典型的な現象である。この問題を克服するために、最近の弱酸性除草剤組成物の製造業者は、噴霧溶液中に硫酸アンモニウムを含ませることを推奨する旨、製品のラベル上に記載している。多くの研究によれば、噴霧タンク溶液中に加えられた硫酸アンモニウムはグリフォセート組成物の効果に対する硬水イオンの阻害効果を減少させることが示されている。
【0005】
しかし硫酸アンモニウムを使用する噴霧溶液は欠点をもっている。硫酸アンモニウムの等級には色および純度に幅がある。また施用者は、水分を吸着して嵩張った硫酸アンモニウムの不溶性の固体の塊を大量に取扱わざるを得ないことがしばしば起こる。このような材料は取扱いが困難であり、噴霧溶液に容易には溶解しない。その結果施用の際に噴霧装置のフィルターの網目を塞ぎ、ノズルの先端を詰まらせる。
【0006】
この欠点を克服する一つの方法は、硫酸アンモニウムを配合したタンク混合用補助組成物の中に混入する方法である。不幸にしてこの方法にも限界があり、それ自身特有の問題点をもっている。硫酸アンモニウムを含む現在市販されている補助組成物には硫酸アンモニウムの溶解度に基いた制約がある。硫酸アンモニウムから水質調節効果を得るには高い固体分含量が必要なため、このことは硫酸アンモニウムが調合されたタンク混合用助剤と相容性をもつことができない原因となる。生成物中に水が存在しないために、組成物中の他の成分も相容性をもっていない。同様にこれらの材料は適切な割合で存在することができず、硫酸アンモニウムおよび補助成分の全体としての効果を低下させる。このことは、噴霧タンク中において或る種の除草剤および助剤を一緒に使用することを妨げるという欠点になる。
【0007】
硫酸アンモニウムの使用は植生に対する農薬としての効果を制約する可能性がある。硫酸アンモニウム組成物は、噴霧タンク中の噴霧溶液の表面特性を低下させ、目標とする生物に対する農薬としての効果を制約することができる。
【若干の好適具体化例の要約】
【0008】
第1の態様において本発明の具体化例では、少なくとも1種の窒素含有イセチオン酸塩、農業用活性成分、および少なくとも1種の表面活性剤を含むフィールド・レディ・スプレーまたはタンク混合物である農業用組成物が記載されている。
【0009】
本発明の一具体化例においては、少なくとも1種の窒素含有イセチオン酸塩は、アルキルアミン、アルキルアルカノールアミン、または環式アミンである陽イオン性の窒素含有基を有している。
【0010】
本発明の一具体化例においては、少なくとも1種の窒素含有イセチオン酸塩はアンモニウムイセチオン酸塩を含んで成っている。
【0011】
本発明の一具体化例においては、少なくとも1種の窒素含有イセチオン酸塩はタロウアミンイセチオン酸塩を含んで成っている。
【0012】
本発明の一具体化例においては、少なくとも1種の窒素含有イセチオン酸塩は窒素含有イセチオン酸塩の誘導体を含んで成っている。
【0013】
本発明の一具体化例においては、窒素含有イセチオン酸塩の誘導体は窒素含有メチルイセチオン酸塩を含んで成っている。
【0014】
本発明の一具体化例においては、少なくとも1種の窒素含有イセチオン塩はさらにイセチオン酸を含んで成っている。
【0015】
本発明の一具体化例においては、農業的に活性な成分は弱酸性の農業的に活性な成分である。
【0016】
本発明の一具体化例においては、農業用活性成分は、任意の通常使用される農業的に許容された塩の中に存在するn−フォスフォノメチルグリシン(グリフォセート)である。
【0017】
本発明の一具体化例においては、農業用活性成分は、殺虫剤、殺黴剤、殺生物剤、軟体動物駆除剤、殺藻剤、植物成長調節剤、駆虫剤、殺鼠剤、殺線虫剤、殺ダニ剤、殺アメーバ剤、殺原生動物剤、作物保護剤、およびこれらの組み合わせから成る群から選ばれる。
【0018】
本発明の一具体化例においては、少なくとも1種の表面活性剤は水の表面張力を減少させ得る1種またはそれ以上の表面活性剤を含んで成っている。
【0019】
本発明の第2の態様においては、農業用組成物を植生に接触させる段階を含んで成る植生の処理方法が記載されている。農業用組成物は少なくとも1種の窒素含有イセチオン酸塩、農業用活性成分、および少なくとも1種の表面活性剤を含むフィールド・レディ・スプレーまたはタンク混合物である。
【0020】
第3の態様において本発明の具体化例には、登録し得る安定な農業用調合物を、処理を必要とする基質と接触させる段階を含んで成る基質を処理する方法が記載されている。
【0021】
第4の態様において本発明の具体化例には、少なくとも1種の窒素含有イセチオン酸塩および少なくとも1種の表面活性剤を含む農業用補助組成物が記載されている。
【0022】
下記に記述した本発明の詳細な説明をいっそう良く理解するために、上記の説明では本発明の特徴をむしろ概括的に記述した。本発明の請求項の主題を構成する本発明の他の特徴および利点を下記に説明する。下記に記載された本発明の概念および特殊な具体化例は
、修正または設計を行い本発明と同じ目的を実施するための他の組成物を得る基礎として容易に利用できることを当業界の専門家は理解すべきである。またこのような同等な組成物は、添付特許請求の範囲に記載された本発明の精神および範囲を逸脱するものではないことも当業界の専門家は理解すべきである。
【好適具体化例の詳細な説明】
【0023】
本発明の具体化例において驚くべきことには、弱酸性の除草剤、および窒素含有イセチオン酸塩を含むフィールド・レディ・スプレーおよびタンク混合物は、典型的には独特な水質調節特性と増強された生物学的効果をもっていることが見出だされた。
【0024】
本発明の具体化例には、少なくとも1種の窒素含有イセチオン酸塩、農業用活性成分、および少なくとも1種の表面活性剤を含む農業用組成物が記載されている。該農業用組成物はフィールド・レディ・スプレーまたはタンク混合物である。
【0025】
本発明の具体化例は少なくとも1種の窒素含有イセチオン酸塩を含んでいる。該塩の窒素含有種は任意の陽イオン性窒素含有基であることができる。陽イオン性窒素含有基の例はアルキルアミン、アルコキシル化されたアルキルアミン、および環式アミンであることができる。窒素含有基の特定の例にはアンモニウム、アルキルアミンおよびそれらのエトキシル化された誘導体、脂肪アミン(例えばタロウアミン、ココアミン、および大豆アミン)およびそれらのエトキシル化された誘導体、エチレンアミン、エタノールアミン、モルフォリン、置換プロピルアミン、ポリオールアミン(例えば米国テキサス州のHuntsman Corporation of The Woodlandsから市販されているJEFFAMINE(R))、N−アルキルアルキルジアミンおよびそのアルコキシル化された誘導体、並びにこれらの組合せを含むことができる。当業界の専門家は、本発明の具体化例に使用するための適切な窒素含有陽イオン種を理解できるであろう。
【0026】
塩の陰イオン部分はイセチオン酸を含んでいる。イセチオン酸は一般式HSO−CH−CH−OHをもっている。イセチオン酸の二つの形態は下記の反応を用いてつくることができる。ここで第2の形態は第1の形態の誘導体(イセチオンメチル酸)である。
【0027】

【0028】
イセチオン酸を中和して塩をつくる。イセチオン酸はアンモニア、および上述した他の窒素含有基、および/またはタロウアミンエトキシレートを用い、別々にまたは一緒に中和することができる。例えばタロウアミンエトキシレートはイセチオン酸と次のような塩をつくるであろう。
【0029】
タロウアミンエトキシレート → R−N(EO)X&Y
【0030】
SO−CH−CH−OH
【0031】
窒素含有イセチオン酸塩はさらにイセチオン酸(中和しない化学種)を含んでいることができる。他の具体化例においては窒素含有イセチオン酸塩は窒素含有イセチオン酸塩の誘導体を含んで成っている。窒素含有イセチオン酸塩の誘導体の例は窒素含有イセチオン
酸塩(その中和しない酸が上記の特徴をもつもの)である。当業界の専門家は、上記の説明により本発明に使用される適切な窒素含有イセチオン酸を認知できるであろう。
【0032】
本発明の具体化例は少なくとも1種の農業用活性成分を含んでいる。この農業用活性成分は、何の制約もなくアミノ燐酸塩除草剤を含む水溶性の除草剤、肥料およびこれらの組み合わせを含んでいることができる。一具体化例においては、農業用活性成分は弱酸性の除草剤である。弱酸性の除草剤は、何の制約もなく、グリフォセート、グリフォシネート、ビピリドリル第4アンモニウム塩(ビピリジニウム塩)、例えばパラコートおよびジクヮット、例えば2,4−ジクロロフェノキシ酢酸、メタクロロフェノキシ酢酸(MCPA),ピクロラム、トリクロピルおよびフルオロピルのようなフェノキシ酸の塩、並びにブロモキシニルを含むことができる。
【0033】
本明細書において「グリフォセート」という言葉は、酸の形または任意の農業的に許容されるそれらの塩の形のN−フォスフォノメチルグリシン、並びにグリフォセート除草剤を含む任意の組成物または調合物を意味するものとする。「グリフォセート除草剤」と云う言葉は、水溶液中でグリフォセート陰イオンおよび適当な陽イオンまたはグリフォセート酸を与える形のグリフォセートを意味するものとする。このような適当な陽イオンはアルカリ金属の陽イオン、例えばナトリウムおよびカリウム、およびアンモニウムおよび置換アンモニウムの陽イオンである。置換アンモニウムは1級または二級アミン、例えばイソプロピルアミンまたはジメチルアミン、およびエチレンジアミンのようなジアミンから誘導される。グリフォセート除草剤にはグリフォセートのイソプロピルアミン塩、および例えば米国特許第3,799,758号明細書記載のようなグリフォセートの他の農業的に許容される塩が含まれる。さらにグリフォセートの農業的に許容される塩としては例えばヨーロッパ特許EP−A−0088 180号明細書記載のトリメチルスルフォニウム塩(「スルフォセート」)またはアミノグアニジン塩がある。グリフォセートは2個以上の置換可能な水素原子をもっているから、モノ−およびジ−塩、並びにこのような塩の混合物が存在し得る。典型的なグリフォセート塩はカリウム、アンモニウムおよびトリメチルスルフォニウム塩、並びに混合アルキルスルフォニウム塩およびトリアルキルアンモニウム塩である。
【0034】
本明細書においては、「グルフォシネート」と云う言葉は酸の形または任意の農業的に許容されるそれらの塩の形のN−フォスフォノメチルアラニンを意味し、この中には何の制約もなくアンモニウム塩が含まれる。
【0035】
本発明の他の具体化例においては、農業用活性成分は肥料である。適当な肥料は何の制約もなく無機性および/または有機性の肥料、肥料用の塩、および鉱物性肥料、例えば尿素、燐酸尿素、尿素含有混合肥料、硝酸アンモニウム、硫酸硝酸アンモニウム、燐酸一アンモニウムおよび二アンモニウム、燐酸一カリウム、チリ硝石、燐酸カリウムアンモニウム、塩化カリウム、硝酸カリウム、硫酸カリウム、硝酸ナトリウム、窒素肥料、カリウム塩、N、P、K−化合物の肥料、痕跡量の元素を含むN、P、K−化合物の肥料、並びにこのような肥料と鉱物性肥料との組合せを含んでいることができる。
【0036】
適切な肥料はまたCa、Mg、Fe、Ni、Mn、Zn、Cu、およびCoの塩化物、硫酸塩、または硝酸塩、並びに水溶性のモリブデン酸塩の形のMo、および硼酸または硼酸無水物の形の硼素を含んでいることができる。これらの肥料はN−カルボキシアルキルアミノ酸のアルカリ金属塩と錯体をつくることができる。当業界の専門家は本発明に使用するための他の適当な肥料を認知することができよう。
【0037】
他の具体化例においては、農業用活性成分は何の制約もなく、殺虫剤、殺黴剤、殺生物剤、軟体動物駆除剤、殺藻剤、植物成長調節剤、駆虫剤、殺鼠剤、殺線虫剤、殺ダニ剤、
殺アメーバ剤、殺原生動物剤、作物保護剤、およびこれらの組み合わせを含んでいることができる。このような農業用成分の例はPesticide Dictionary(the Farm Chemicals Handbookの中に含まれている)、またはthe British Crop Protection Society発行のPesticides Manualから検索することができる。これらの文献の内容は引用により本明細書に包含される。農業用活性成分はさらに国際公開WO 2010/009820号明細書に「生物活性物質」として記載された化学物質を含んでいることができる。この特許は引用により本明細書に包含される。国際公開WO 2010/009820号明細書には何の制約もなく本発明の具体化例に使用できる種々の農薬、殺黴剤、除草剤、殺虫剤、植物成長調節剤、殺鼠剤、殺ダニ剤, 殺軟体動物剤, 殺線虫剤および抗微生物剤に関する説明およびリストが含まれている。当業界の専門家は本発明に使用するための適当な農業用活性成分およびそれらの組み合わせを認知することができよう。
【0038】
本発明の具体化例は少なくとも1種の表面活性剤を含んでいる。この少なくとも1種の表面活性剤は水の表面張力を低下させ得る1種またはそれ以上の表面活性剤を含んでいることができる。本発明の表面活性剤は何の制約もなくアルキルエトキシレートおよび/またはアルキルアリールエトキシレートの燐酸エステル;アルキルアミンエトキシレートおよび/またはエーテルアミンエトキシレート;エタノールアミン(例えばモノエタノールアミン(MEA)、ジエタノールアミン(DEA)、トリエタノールアミン(TEA))およびこれらの組合せを含んでいることができる。表面活性剤は一般にフィールド・レディ・スプレーまたはタンク混合物の中に存在し得るすべての表面活性剤を含んでいる。このような表面活性剤は何の制約もなくアルキルポリサッカリド、ソルビトールおよびソルビタンエステル並びにこのようなエステルのエトキシレート、脂肪酸エトキシレート、エトキシル化された脂肪族アルカノールアミン、スルフォスクシネート、ナフタレンスルフォネート、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体、アルキルポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体、アルキルエトキシレート、アルキルアリールエトキシレート、アルコールエーテルサルフェート、アルコールサルフェート、α−オレフィンスルフォネート、ドデシルベンゼンスルフォン酸の塩、およびこれらの組み合わせを含んでいることができる。当業界の専門家は本発明の具体化例に使用するための適当な表面活性剤を認知することができよう。
【0039】
本明細書に記載された組成物はさらに他の添加物を含んで成ることができる。添加物としては、これだけには限定されないが、加湿剤、発泡防止剤、染料および非表面活性性の助剤、例えば硫酸アンモニウムを含む種々の用途をもつ添加物を含んでいることができる。
【0040】
本発明の農業用組成物はフィールド・レディ・スプレーまたはタンク混合物である。タンク混合物は、農業従事者のような消費者がタンクの中に注入し、水および恐らくは他の助剤/添加物を加え、混合した後畠に噴霧/施用する組合わせ混合物または農業用製品である。これらの混合物は、中にはそうでないものもあるが、典型的には長期間に亙って安定ではない。フィールド・レディ・スプレーまたはタンク混合物は、かなり安定な貯蔵寿命をもち従って典型的には行政機関の(例えばFIFRA)登録番号を必要とするような市販の組成物とは区別される。フィールド・レディ・スプレーは、薬剤を使用する畠の近くで調製される。これとは対照的に市販の農薬調合物は、行政機関が承認した製造場所において、施用の際に製品を水で希釈して使用するような濃度で調製さる。
【0041】
本発明の具体化例には、少なくとも1種の窒素含有イセチオン酸塩および少なくとも1種の表面活性剤を含んで成る農業用助剤が記載されている。これらの助剤はフィールド・レディ・スプレーまたはタンク混合物に使用することができる。
【0042】
また本発明の具体化例には、本発明の農業用組成物を植生または土壌に接触させる段階を含んで成る植生の処理方法が記載されている。本発明の組成物は植物または土壌に対して施用される。
【0043】
また本発明の具体化例には、本発明の農業用組成物を基質に接触させる段階を含んで成る基質の処理方法が記載されている。このような例は殺虫剤の公衆衛生分野における使用また家畜衛生用組成物を含んでいる。一例として、防虫処理のために殺虫剤を床または壁に施用することができる。また殺黴剤を種子および土壌に施用することができる。本発明の組成物は他の適当な用途にも使用することができる。
【0044】
下記実施例を考察することにより本発明をさらに例示する。これらの実施例は単に本発明を例示するものである。
【実施例】
【0045】
下記の助剤組成物をつくった。
【0046】
【表1】

【0047】
対照実施例と実施例1〜11との比較。 イセチオン酸(実施例1)およびイセチオン酸の10種の中和生成物(実施例2〜11)を用いてイソプロピルアミングリフォセートのスプレー・タンク水溶液を処理し、イセチオン酸および他のイセチオネートの水質調節効果を測定した。イセチオン酸はナトリウム(実施例2、6、および7)、アンモニア(実施例3〜5)およびタロウアミンエトキシレート(実施例8〜11、SURFONIC(R) T−5表面活性剤)で中和した。イソプロピルアミングリフォセート(対照実施例)の水性タンク混合物中において、これらの候補試料を標準の農業用水質調節剤、即ち硫酸アンモニウムに対して評価した。特定的に述べれば、グリフォセートのような農薬が候補試料の水質を調節する能力を、水の硬度によりそれが阻害される効果を抑制する関数として試験した。すべての試験は表面活性剤を存在させずにWorld Health Organizationの標準硬水として定義される標準の硬水中で行った。試験は種々の植物種に関し温室の条件で行った。報告されたデータは目標の雑草種を抑制した%および作物種に損傷を与えた%の値である。すべての試験(1種の産業標準を除く)は表面活性剤を存在させずに行った。
【0048】
これらの試験における驚くべき結果は、イセチオン酸およびその中和物が農業用産業標準である硫酸アンモニウムに匹敵するレベルで機能したことである。
【0049】
実施例12および13は農業用助剤組成物の具体化例を示す。2種の組成物をつくり、それを表2に示した。使用した表面活性剤はSURFONIC(R) N−95表面活性剤およびTERWET(R) 3001助剤であった。SURFONIC(R) N−95表面活性剤はノニルフェノールエトキシレートである。TERWET(R) 3001はC8〜10アルキルポリグルコシドである。両方の表面活性剤は米国テキサス州、Huntsman Corporation of The Woodlandsから市販されている。
【0050】
【表2】

【0051】
実施例12および13は、イセチオン酸アンモニウムを用いると透明で均一な組成物をつくり得ることを示している。
【0052】
以上本発明およびその利点を詳細に説明したが、添付特許請求の範囲に定義された本発明の精神および範囲を逸脱することなく種々の変更、置き換え、および代替が可能であることを了解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1種の窒素含有イセチオン酸塩、
(b)少なくとも1種の農業用活性成分、および
(c)少なくとも1種の表面活性剤を含んで成る農業用組成物であって、
該農業用組成物は、フィールド・レディ・スプレーまたはタンク混合物であることを特徴とする農業用組成物。
【請求項2】
該少なくとも1種の窒素含有イセチオン酸塩は陽イオン性の窒素含有基を有し、該基はアルキルアミン、アルキルアルカノールアミン、または環式アミンであることを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項3】
該少なくとも1種の窒素含有イセチオン酸塩はアンモニウムイセチオン酸塩を含んで成ることを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項4】
該少なくとも1種の窒素含有イセチオン酸塩はタロウアミンイセチオン酸塩を含んで成ることを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項5】
該少なくとも1種の窒素含有イセチオン酸塩は窒素含有イセチオン酸塩の誘導体を含んで成ることを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項6】
該窒素含有イセチオン酸塩の誘導体は窒素含有メチルイセチオン酸塩を含んで成ることを特徴とする請求項5記載の組成物。
【請求項7】
該少なくとも1種の窒素含有イセチオン酸塩はさらにイセチオン酸を含んで成ることを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項8】
該農業用活性成分は弱酸性の農業用活性成分を含んで成ることを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項9】
該農業用活性成分はn−フォスフォノメチルグリシンを含んで成ることを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項10】
該農業用活性成分は殺虫剤、殺黴剤、殺生物剤、殺軟体動物剤、殺藻剤、植物成長調節剤、駆虫剤、殺鼠剤、殺線虫剤、殺ダニ剤、殺アメーバ剤、殺原生動物剤、作物保護剤、およびこれらの組み合わせから成る群から選ばれることを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項11】
該少なくとも1種の表面活性剤は水の表面張力を低下させ得る1種またはそれ以上の表面活性剤を含んで成ることを特徴とする請求項1記載の組成物。
【請求項12】
請求項1記載の農業用組成物を植生または土壌に接触させる段階を含んで成ることを特徴とする植生の処理方法。
【請求項13】
請求項1記載の農業用組成物を基質に接触させる段階を含んで成ることを特徴とする基質の処理方法。
【請求項14】
(a)少なくとも1種の窒素含有イセチオン酸塩、および
(b)少なくとも1種の表面活性剤
を含んで成ることを特徴とする農業用助剤。

【公表番号】特表2012−524812(P2012−524812A)
【公表日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−507403(P2012−507403)
【出願日】平成22年4月23日(2010.4.23)
【国際出願番号】PCT/US2010/032146
【国際公開番号】WO2010/124151
【国際公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(509344984)ハンツマン ペトロケミカル エルエルシー (10)
【Fターム(参考)】