説明

フォトクロミック材料

【課題】高速調光材料を実用的な消色反応速度もしくは発色濃度とするための制御方法並びに実用的な消色反応速度もしくは発色濃度の高速調光材料を提供する。
【解決手段】ラジカル重合基をもつパラシクロファンで架橋されたヘキサアリールビスイミダゾール化合物を重合させて得られる重合体、もしくは(メタ)アクリル酸系の化合物あるいはラジカル重合基をもつ増感剤と共重合させた共重合体により、消色反応速度や光感度や色調を制御することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、サングラスや光変調素子をはじめとする光学材料や、記録材料や表示体などのデバイス用材料や、表示・非表示や発色・消色の切り替えが可能なインクやコート剤などの印刷材料に使用される調光染料に関する。
【背景技術】
【0002】
光反応によって発消色するフォトクロミズムを示すフォトクロミック材料は、主にサングラス用調光染料などに用いられてきた。また光ディスクなどの記録材料やホログラムなどの表示材料として研究が進められている。
【0003】
サングラス用調光材料にはスピロピラン系化合物、ナフトピラン系化合物、フルギド系化合物、ジアリールエテン系化合物などが用いられてきたが室温での消色反応速度が小さく、例えば屋外から屋内に移動してもしばらく着色したままであったり、車を運転中にトンネルに入っても消色せずに前方の視界の回復が遅れたりするといった欠点があった。
【0004】
こうした状況の中で本発明者らは、非特許文献1(第1世代HABI)および非特許文献2(第2世代HABI)に示すように、消色反応が極めて速く、発色体の半減期がミリ秒単位と短時間であるラジカル散逸抑制型フォトクロミック分子を開発した。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Journal of Physical Organic Chemistry 20, pp857-863(2007)
【非特許文献2】Journal of American Chemical Society 131(12), pp4227-4229(2009)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このラジカル散逸抑制型フォトクロミック分子にてサングラス用調光材料を作製した場合、消色反応速度が大きいため上述の欠点を克服できると期待される。しかしながら、上記分子はこれまで実用化されてきたフォトクロミック分子に比べあまりに消色反応速度が大きいため、その実用的な用途を広げるためには、その反応速度や発色濃度を適当なものとする制御方法が必要とされた。
【0007】
上記ラジカル散逸抑制型フォトクロミック分子の有する課題としては、例えばサングラス用調光材料として使用する場合、調光材料に励起光が当たって発色体となっても消色体へ戻る時間がミリ秒単位と極めて短いため発色体が蓄積せず発色濃度が低い(色づきにくい)という課題があげられる。そこで発色濃度を向上させるため、または所望の発色濃度を実現するために発色体から消色体への反応速度を低減させる方法が必要となる。
【0008】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、実用的な反応速度や発色濃度を有するフォトクロミック材料を開発するべく消色反応速度の低減方法、励起光に対する感度を向上させる方法、色調のコントロール方法を提供し、またこれら方法によって作製されたフォトクロミック材料を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題を解決するために、まず高速光応答性フォトクロミック分子の光応答速度の制御法について鋭意検討を進めた。
【0010】
一般式(I)で表されるフォトクロミック分子は、二つのイミダゾール環がイミダゾリルラジカルになりそれらがほぼ平行状態のときに発色体となり、二つのイミダゾリルラジカルが結合して片方のイミダゾール環が他方とほぼ垂直になるような立体配置を取るときに消色体となると考えられている。そこで、少なくともどちらか一方のイミダゾール環をポリマー主鎖に結合させて垂直状態へ戻りにくくすることにより、消色反応速度を低下させることができると考えるに到った。
【0011】
上述の推察から一般式(I)で表わされる重合性官能基を有したフォトクロミック分子モノマーを重合させてポリマーもしくはオリゴマーとすることを見出した。
【0012】
【化6】

【0013】
一般式(I)で表されるフォトクロミック分子を重合させることにより、下記構造を有するフォトクロミック分子ホモ重合体1−1を合成した。この重合体は図1に示すようにモノマーよりも発色体の半減期が長くなっており消色反応速度が効果的に低減したことがわかる。
【0014】
【化7】

【0015】
また、一般式(I)で表されるフォトクロミック分子とメタクリル酸メチルや一般式(II)で表されるような重合性官能基を有する光増感剤とを共重合させることによっても図2に示すように上記ホモポリマーと同様に半減期を長くすることができ消色反応速度を低下させる効果を得られることが判明した。
【0016】
【化8】

【0017】
また、励起光に対する感度を向上させるべく鋭意検討したところ、一般式(I)で表されるフォトクロミック分子のR〜Rのいずれかまたは全てに電子供与性の官能基を導入することにより消色体のフォトクロミック分子の紫外可視吸収が長波長側でも増加することが見出され、可視光照射でも効率良く発色体を生成できるフォトクロミック分子を得ることが可能となった。
【0018】
図3に示すように、例えばR〜R全てがメトキシ基である場合は、全てが水素である場合に比べて消色体の紫外可視吸収が長波長側で増加していることがわかる。
【0019】
また、図4および図5に示すように、この可視光照射でも感度良く発色体を生成するR〜Rがメトキシ基であるフォトクロミック分子を重合させることにより合成したホモ重合体は、重合することによる消色反応速度を低下させる効果と可視光感度の良い効果の組み合わさった材料であることが明らかとなった。
【0020】
さらに、一般式(I)においてR〜Rの全てが水素であるフォトクロミック分子とR〜Rの全てがメトキシ基であるフォトクロミック分子との共重合体の発色体の吸収スペクトルはそれぞれの分子の発色体の吸収スペクトルの単純な足し合わせになる。したがって、励起光照射後は両フォトクロミック分子発色体の足し合わせの色となっており、時間経過とともにまず消色速度の早いR〜Rの全てが水素であるフォトクロミック分子の発色体の色が消え徐々に色が変化することがわかった。このことから発色体の色が違う分子同士の混合比を変えることで発色体色調をコントロールすることが可能であることがわかった(図6および図7)。
【0021】
フォトクロミック分子の重合体を用いてガラス基板上にフィルムを作製した結果、発色体の吸収スペクトルは重合体の溶媒中でのスペクトルとほぼ一致しフィルム状態でも発色体色調をコントロール可能であることがわかった(図8)。
【発明の効果】
【0022】
本発明のフォトクロミック分子を含む重合体を使用することにより高速フォトクロミック分子の消色反応速度を小さくしたり、色調をコントロールさせたりすることが可能となり、発色濃度の向上や色調を制御した調光材料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】過渡吸収測定によるモノマーとホモ重合体1−1との発色体半減期の比較である。
【図2】ホモ重合体と共重合体の過渡吸収測定結果の比較である。
【図3】R〜Rが水素のフォトクロミック分子とR〜Rがメトキシ基のフォトクロミック分子の消色体の紫外可視吸収スペクトルの比較である。
【図4】R〜Rが水素のフォトクロミック分子のホモ重合体とR〜Rがメトキシ基のフォトクロミック分子のホモ重合体の紫外可視吸収スペクトルの比較である。
【図5】R〜Rがメトキシ基のフォトクロミック分子のホモ重合体とR〜Rがメトキシ基のフォトクロミック分子のモノマーの過渡吸収測定の比較である。
【図6】R〜Rが水素のフォトクロミック分子とR〜Rがメトキシ基のフォトクロミック分子との共重合体の発色体の吸収スペクトルである。
【図7】R〜Rが水素のフォトクロミック分子とR〜Rがメトキシ基のフォトクロミック分子との共重合体の発色体の過渡吸収測定であり、R〜Rがメトキシ基のフォトクロミック分子のホモ重合体やR〜Rが水素のフォトクロミック分子のホモ重合体のものと比較してある。
【図8】R〜Rが水素のフォトクロミック分子のホモ重合体で作製したフィルムとR〜Rがメトキシ基のフォトクロミック分子のホモ重合体で作製したフィルムの発色体吸収スペクトルの比較である。
【図9】ホモ重合体1−1のフィルムの過渡吸収測定結果である。
【図10】化合物1−10と化合物1−7とメタクリル酸メチルとの共重合体のフィルムの過渡吸収測定である。
【図11】ホモ重合体1−2のフィルムの過渡吸収測定結果である。
【図12】ホモ重合体と共重合体の紫外可視吸収スペクトルの比較である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<本発明のフォトクロミック材料>
本発明では、一般式(I)で表わされるフォトクロミック分子モノマーを重合させてポリマーもしくはオリゴマーを合成することを特徴とする。
【0025】
【化9】

【0026】
また、本発明ではフォトクロミック分子モノマーを重合させてホモ重合体を合成したり、フォトクロミック分子と他の重合性モノマーや重合基を有した一般式(II)で表されるような光増感性化合物と混合して共重合体を合成したりすることも可能である。この共重合体はブロック共重合体であっても、ランダム共重合体であってもよい。
【0027】
【化10】

【0028】
一般式(I)で表されるフォトクロミックモノマー分子について説明する。本発明のフォトクロミック分子は、ヘキサアリールビスイミダゾール(HABI)の誘導体であり、イミダゾール基の2位がパラシクロファンで結合しトリフェニルイミダゾール基が2量化した骨格を有する。
【0029】
一般式(I)および一般式(II)における置換基R〜Rについて説明する。R、Rはそれぞれ独立して水素またはメチル基を表す。R〜Rはそれぞれ独立して水素または種々の置換基である。RやRが水素ではなく置換基である場合、その置換位置はパラ位が好ましい。R〜Rが水素ではなく置換基である場合、その置換位置はパラ位が好ましく、1つの環に2つの置換基が結合する場合にはメタ位とパラ位が好ましい。
【0030】
この置換基としては、アルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルキル基、ヒドロキシル基、ハロゲン、シアノ基またはニトロ基などが例示できる。これらの中でもアルコキシ基、アルキルアミノ基を有する分子は消色体が可視光領域も効率よく吸収するため、またフォトクロミック分子自体の消色反応速度が小さいため太陽光中で発色濃度を高めるためには好ましい。
【0031】
アルコキシ基として好ましくは、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基があげられる。アルキルアミノ基として好ましくはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基があげられる。
【0032】
n、mは自然数を示しており、フォトクロミック分子の重合度を上げるためにn=6以上、m=6以上であることが好ましいがこれに限られたものではない。具体的には、nは2〜20が好ましく、4〜20がより好ましく、6〜20が特に好ましい。また、mは2〜20が好ましく、4〜20がより好ましく、6〜20が特に好ましい。
【0033】
ラジカル重合のための重合開始剤としては一般的な化合物が各種使用できるが、フォトクロミック分子の損傷を防ぐためには、高温反応は好ましくない。この観点からは2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)や、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)などを使用することが好適であるが、この例示化合物に限定されるものではない。
【0034】
共重合させるラジカル重合性モノマーとしてはアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニルなどの基を有している化合物が挙げられる。
【0035】
また、光増感性化合物としては重合基を有する光増感化合物であれば良く一般式(II)で表される化合物などが挙げられる。具体的には、ベンジル、メトキシベンジル、ベンゾフェノン、メトキシベンゾフェノン、アミノベンゾフェノン、ジメチルアミノベンゾフェノン、キサントン、チオキサントン、アセトフェノン、ブチロフェノン、プロピオフェノン、アントロン、フルオレン、トリフェニレン、アントラキノン、ピレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、クリセン、コロネン、ビフェニル、ベンズアルデヒドなどがあげられる。
【0036】
なお、本発明ではポリマーを合成するために、それぞれの化合物に重合のための官能基を導入することが必要である。この重合性官能基としては、重合反応を起こすものであれば特に限定されないが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン、アルキルスチレン、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、ブタジエン、エポキシ、プロピレンオキシド、塩化ビニルなどの基があげられる。
【0037】
本発明に係るフォトクロミック分子モノマーの重合で用いられる溶媒としては、THFやトルエンなどがあげられる。また、重合条件としては、重合温度は30〜150℃が好ましく、30〜100℃がより好ましく、30〜60℃が特に好ましく、反応時間は反応温度や必要とされる分子量によって異なるが2時間〜1週間が好ましく、より1〜5日間が好ましく、特に2〜4日間が好ましい。
【0038】
<本発明のフォトクロミック材料を用いた消色反応速度、光感度または色調の制御方法>
本発明に係るフォトクロミック材料は、上述するように一般式(I)で表わされるフォトクロミック分子モノマーを重合させてポリマーもしくはオリゴマーにすることにより、モノマーのときの大きすぎる消色反応速度を制御して、様々な用途に合わせた消色反応速度にすることができる。
【0039】
具体的にはフォトクロミック分子(モノマー)を重合させることで小さい消色反応速度に制御することができるが、重合度と消色反応速度との関係はフォトクロミック分子(モノマー)の構造にも依存するため、具体的な数値で一義的に規定することは困難である。また、消色反応速度を小さくするためには必ずしもフォトクロミック分子のホモ重合体である必要はなく、メタクリル酸メチルや重合基を有する光増感剤など、他の重合性モノマーとフォトクロミック分子を共重合体させてもよい。
【0040】
また、図12に示したように光増感剤との共重合によりフォトクロミック分子単体の場合よりも光の吸収量が増加し光感度が向上する。フォトクロミック分子に電子供与性官能基を導入することにより図4に示すように紫外可視吸収が長波長側でも増加し可視光感度を増加させることもできる。
【0041】
さらに、図6および図7に示したように、発色体の色が違う2種以上のフォトクロミック分子の混合比を変えることで発色体色調をコントロールすることが可能である。ただし、具体的な混合比はフォトクロミック分子(モノマー)の構造に依存するため一義的に規定することは困難である。
【実施例】
【0042】
<実施例1:フォトクロミックポリマーのホモ重合体>
一般式(I)で表されるフォトクロミック分子モノマーの合成方法の一例を以下に示す。
【0043】
まず、公知の合成方法(Chemische Berichte 120, 1825-1828(1987)など)を参考にして、化合物1−4(パラシクロファンジアルデヒド)0.96gを得た。
【0044】
【化11】

【0045】
次に、4,4’−ジメトキシベンジル6.0gと塩化ピリジニウム13.3gを180℃に加熱し3時間撹拌し反応させた。この反応液を水と酢酸エチルにより分液し酢酸エチル層を分離した。この酢酸エチル層を濃縮した後、ジクロロメタンを加えて抽出を行った。溶解せずに残った固体をろ過により除去した。ろ液にNaOH水溶液(10重量%)を加えて分液した。水層に塩酸(35%)を加えて中和し、析出した固体をろ過により回収し化合物1−5を1.2g得た。
【0046】
【化12】

【0047】
次に、1.00gの化合物1−5、炭酸カリウム0.755g、ヨウ化カリウム0.013gをDMF14mLに溶解、懸濁し6−クロロ−1−ヘキサノール0.8mLを加えて80℃にて1.5時間加熱した。反応溶液を水と酢酸エチルで分液し有機層を分離し濃縮した後ジクロロメタンを加えて溶解した。ここにヘキサンを加えることで析出した固体を回収し化合物1−6を1.3g得た。
【0048】
【化13】

【0049】
化合物1−6のH−NMR、および13C−NMR測定結果を以下に示す。
H−NMR(500MHz,CDCl) δ: 7.95-7.92 (m, 4H), 6.97-6.94 (m, 4H), 4.04 (t, J=6.5Hz, 2H), 3.88 (s, 3H), 3.66 (t, J=6.5Hz, 2H), 1.84-1.81 (m, 2H), 1.62-1.59 (m, 2H), 1.52-1.44 (m, 4H), 1.32 (s, 1H).
13C−NMR(125MHz,CDCl) δ: 193.88, 193.83, 165.19, 164.79, 132.71, 126.70, 126.46, 115.06, 114.62, 68.65, 63.17, 55.97, 32.96, 29.33, 26.13, 25.84.
【0050】
次に、1.0gの化合物1−6とパラヒドロキシフェノール6.1mgの入った容器を窒素置換した後、ジクロロメタン6mLを加え氷冷した。この後、トリエチルアミン0.86mLとメタクリロイルクロリド0.52mLを加え室温にて3時間反応させた。反応液に水を加えて分液することで有機層を分離し、ヘキサンを加えて析出した固体を回収して、化合物1−7を1.0g得た。
【0051】
【化14】

【0052】
化合物1−7のH−NMR、13C−NMR測定結果を以下に示す。
H−NMR(500MHz,CDCl) δ: 7.96-7.92 (m, 4H), 6.98-6.94 (m, 4H), 6.09 (s, 1H), 5.55 (s ,1H), 4.16 (t, J=7.0Hz, 2H), 4.04 (t, J=7.0Hz, 2H), 3.89 (s, 3H), 1.94 (s, 3H), 1.84-1.73 (m, 2H), 1.57-1.39 (m, 4H).
13C−NMR(125MHz,CDCl) δ: 193.87, 193.82, 167.85, 165.18, 164.75, 136.82, 132.71, 126.69, 126.48, 125.57, 115.04, 114.62, 68.58, 64.90, 55.96, 29.25, 28.87, 26.08, 25.99, 18.66.
【0053】
次に、0.5gの化合物1−4とベンジル0.40gと酢酸アンモニウム2.19gを酢酸8mLに溶解し100℃にて5時間加熱した。アンモニア水で反応溶液を中和しジクロロメタンで生成物を抽出した。ジクロロメタン層を濃縮後シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて生成物を分離し化合物1−8を0.38g得た。
【0054】
【化15】

【0055】
化合物1−8のH−NMR、13C−NMR測定結果を以下に示す。
H−NMR(500MHz,DMSO−d) δ: 12.14 (s, 1H), 9.55 (s, 1H), 7.58 (d, J=7.5Hz, 2H), 7.51 (d, J=7.0Hz, 2H), 7.47 (dd, J=7.5Hz, 2H), 7.40 (t, J=7.0Hz, 1H), 7.31 (dd, J=7.0Hz, 2H), 7.16 (t, J=7.0Hz, 1H), 7.10 (s, 1H), 6.96 (s, 1H), 6.84 (d, J=7.5Hz, 1H), 6.71 (d, J=8.0Hz, 1H), 6.66 (d, J=7.5Hz, 2H), 4.49-4.45 (m, 1H), 3.95-3.92 (m, 1H), 3.15-2.97 (m, 6H).
13C−NMR(125MHz,CDCl) δ: 190.45, 145.29, 140.38, 140.17, 138.52, 138.15, 138.10, 136.78, 136.57, 136.10, 135.37, 133.24, 132.84, 131.44, 131.10, 130.85, 129.20, 128.61, 128.30, 127.93, 127.14, 53.76, 35.28, 35.24, 35.09, 31.82.
【0056】
次に、0.35gの化合物1−8、0.35gの化合物1−7、パラメトキシフェノール51.3mg、酢酸アンモニウム0.95gを酢酸6.5mLに溶解して80℃で5日間加熱した後、アンモニア水で中和しジクロロメタンで抽出した。ジクロロメタン層を濃縮後シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて生成物を分離し化合物1−9を0.54g得た。
【0057】
【化16】

【0058】
化合物1−9のH−NMR、13C−NMR測定結果を以下に示す。
H−NMR(500MHz,CDCl) δ: 9.06 (br, 2H), 7.39-7.30 (br, 3H), 7.14-6.98 (m, 12H), 6.73-6.61 (m, 9H), 6.10 (s, 1H), 5.55 (s, 1H), 4.23-4.15 (m, 4H), 3.91-3.88 (m, 4H), 3.76 (s, 3H), 3.20-3.12 (m, 6H), 1.94 (s, 3H), 1.85-1.71 (m, 4H), 1.54-1.43 (m, 4H).
13C−NMR(125MHz,CDCl) δ: 167.49, 146.21, 145.51, 139.66, 137.51, 136.65, 136.28, 133.27, 132.95, 130.46, 128.88, 128.08, 125.39, 67.81, 64.81, 55.29, 35.31, 35.13, 29.36, 28.72, 25.96, 18.48.
【0059】
次に、0.49gの化合物1−9をベンゼン90mLに溶解し撹拌した。これに水酸化カリウム3.28gとフェリシアン化カリウム9.63gを溶解させた水溶液65mLを滴下した。ベンゼン層を水で洗浄しシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて生成物を分離し化合物1−10を0.3g得た。
【0060】
【化17】

【0061】
化合物1−10のH−NMR、13C−NMR測定結果を以下に示す。
H-NMR(500MHz,CDCl) δ: 7.47 (br, 1H), 7.31-7.03 (m, 15H), 6.92 (br, 1H), 6.82 (dd, J=9.0Hz, 2H), 6.71 (dd, J=9.5Hz, 2H), 6.64-6.61 (m, 2H), 6.48 (d, J=7.5Hz, 1H), 6.42 (d, J=8.0Hz, 1H), 6.09 (br, 1H), 5.54 (br, 1H), 4.54-4.51 (m, 1H), 4.18-4.15 (m, 2H), 4.00-3.93 (m, 2H), 3.84-3.80 (m, 3H), 3.33-2.94 (m, 7H), 1.94 (m, 3H), 1.83-1.70 (m, 4H), 1.55-1.42 (m, 4H).
13C−NMR(125MHz,CDCl) δ: 167.95, 164.69, 147.42, 141.21, 138.34, 137.48, 136.84, 136.34, 134.98, 134.76, 133.78, 133.19, 132.82, 132.56, 132.05, 131.81, 128.52, 128.39, 128.29, 128.09, 127.19, 126.37, 125.57, 114.06, 113.71, 113.62, 113.26, 111.91, 68.17, 64.92, 55.68, 55.61, 35.65, 35.57, 34.78, 34.46, 29.42, 28.89, 26.14, 18.67.
【0062】
次に、以上のようにして合成したフォトクロミック分子モノマーを用いて、ポリマーを合成する方法の一例を以下に示す。
【0063】
60mgの化合物1−10と2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.26mgを200μLのTHFに溶解し凍結アンプルに入れ、凍結脱気を10回行なった後に封管した。この溶液を40℃に温め撹拌しながら3日間反応させた。この後、反応液をジクロロメタンに溶解しメタノール中に滴下し再沈殿精製を行なった。析出した固体をろ過により回収しフォトクロミック分子のポリマー(ホモ重合体1−1)を33.2mg得た。GPCによって重量平均分子量を測定した結果、28400であった。
【0064】
【化18】

【0065】
他のフォトクロミック分子のポリマーも出発物質を適宜選択することで同様に合成することができる。
【0066】
<実施例1のホモ重合体の試験1>
以上のようにして合成したホモ重合体1−1を0.5mg測り取り、10mLのジクロロメタンに溶解した。この溶液を四面石英セルに入れ時間分解分光法にてポリマーの過渡吸収を測定した。この結果、図1に示すようにモノマーの状態よりもポリマーの方が発色体の半減期が長くなっており、発色体から消色体への反応速度を効果的に遅くすることに成功したことがわかった。
【0067】
<実施例1のホモ重合体の試験2>
以上のようにして合成したホモ重合体1−1を2.5mg測り取り、50μLのクロロホルムに溶解した。この溶液10μLをカバーガラス上に乗せスピンコートによりキャスティングしフォトクロミックポリマーのフィルムを作製した。
【0068】
フォトクロミックポリマー(ホモ重合体1−1)のフィルムの発色体の過渡吸収を時間分解分光法にて測定した。波長355nm(Nd−YAGレーザーの第三高調波)の励起光を照射し400nmの吸収を検出した。この結果、図9に示すように励起光を照射してから800ミリ秒後にも発色している成分が存在しており、発色体から消色体への反応速度を効果的に遅くすることに成功した。
【0069】
<実施例2:フォトクロミックポリマーの共重合体>
40mgの化合物1−10、4mgの化合物1−7、メタクリル酸メチル3.74mgと2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.7mgを267μLのTHFに溶解して凍結アンプルに入れ、凍結脱気を10回行なった後、封管した。この溶液を40℃に温め撹拌しながら3日間反応させた。この後、反応液をジクロロメタンに溶解しメタノール中に滴下し再沈殿精製を行なった。析出した固体をろ過により回収しフォトクロミック分子(化合物1−10)と光増感性化合物(化合物1−7)とメタクリル酸メチルとの共重合体を33.3mg得た。GPCによって重量平均分子量を測定した結果、19500であった。
【0070】
<実施例2の共重合体の試験1>
以上のようにして合成した、フォトクロミック分子(化合物1−10)と光増感性化合物(化合物1−7)とメタクリル酸メチルとのランダム共重合体0.5mgを測り取り10mLのジクロロメタンに溶解した。この溶液を四面石英セルに入れ時間分解分光法にてポリマーの過渡吸収を測定した。この結果、図2に示すように共重合体もホモ重合体1−1と同様の発色体半減期を有しており、モノマーよりも消色反応速度を効果的に遅くすることに成功したことがわかった。
【0071】
<実施例2の共重合体の試験2>
実施例1のホモ重合体の試験2と同様にしてフォトクロミックポリマーのフィルムを作製後、過渡吸収測定を行なった。その結果、図10に示すように、共重合体のフィルムでもホモ重合体の結果と同様に励起光を照射してから800ミリ秒経過後にも発色している成分が存在しており、発色体から消色体への反応速度を効果的に遅くすることに成功した。
【0072】
<実施例3:フォトクロミックポリマーのホモ重合体>
まず、0.5gの化合物1−4と0.63gの化合物1−11と酢酸アンモニウム2.19gを酢酸8mLに溶解した後、100℃にて5時間加熱した。アンモニア水で反応溶液を中和しジクロロメタンで生成物を抽出した。ジクロロメタン層を濃縮後シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて生成物を分離し化合物1−12を0.48g得た。
【0073】
【化19】

【0074】
化合物1−12のH−NMR、13C−NMR測定結果を以下に示す。
H−NMR(500MHz,CDCl) δ: 9.82 (s, 1H), 9.19 (s, 1H), 7.32-7.26 (m, 2H), 7.13-7.12 (m, 1H), 7.09-7.08 (m, 2H), 6.89-6.83 (m, 2H), 6.79-6.77 (m, 1H), 6.69-6.68 (m, 2H), 6.63-6.61 (m, 2H), 4.27-4.25 (m, 1H), 4.02-4.00 (m, 1H), 3.90 (s, 6H), 3.88 (s, 6H), 3.13-3.03 (m, 6H).
13C−NMR(125MHz,CDCl) δ: 190.44, 149.24, 149.12, 148.96, 148.28, 144.73, 144.27, 140.38, 140.12, 138.23, 138.06, 137.87, 136.74, 136.47, 136.10, 132.86, 132.67, 131.23, 130.88, 128.45, 127.51, 124.19, 121.18, 120.24, 112.21, 111.63, 111.43, 111.33, 56.25, 56.22, 56.02, 35.33, 35.20, 35.06, 31.58.
【0075】
次に、0.46gの化合物1−12と0.35gの化合物1−7とパラメトキシフェノール51.3mg、酢酸アンモニウム0.95gを酢酸6.5mLに溶解し80℃で5日間加熱した後、アンモニア水で中和しジクロロメタンで抽出した。ジクロロメタン層を濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて生成物を分離して化合物1−13を0.65g得た。
【0076】
【化20】

【0077】
化合物1−13のH−NMR、13C−NMR測定結果を以下に示す。
H−NMR(500MHz,DMSO−d) δ: 11.47-11.42 (m, 2H), 7.13-7.08 (m, 4H), 7.01-6.98 (m, 1H), 6.92-6.86 (m, 3H), 6.78-6.76 (m, 3H), 6.69-6.51 (m, 9H), 6.02 (br, 1H), 5.66 (br, 1H), 4.61-4.45 (m, 2H), 4.11 (t, J=6.0Hz, 2H), 3.89-3.79 (m, 2H), 3.75-3.58 (m, 15H), 3.13-3.01 (m, 6H), 1.88 (s, 3H), 1.76-1.65 (m, 4H), 1.50-1.35 (m, 4H).
13C−NMR(125MHz,CDCl) δ: 167.88, 148.91, 148.03, 145.93, 145.78, 139.94, 136.85, 136.63, 136.42, 133.54, 133.13, 130.71, 129.59, 128.67, 126.85, 125.86, 125.58, 123.91, 120.73, 120.34, 114.74, 114.19, 113.58, 111.72, 111.33, 111.17, 68.30, 68.02, 64.98, 56.10, 55.95, 55.45, 35.75, 35.58, 35.04, 34.57, 30.66, 29.55, 28.93, 26.19, 25.95, 18.68.
【0078】
次に、0.56gの化合物1−13をベンゼン100mLに溶解し撹拌した。これに水酸化カリウム3.61gとフェリシアン化カリウム10.6gが溶解した水溶液70mLを滴下した。ベンゼン層を水で洗浄した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて生成物を分離して化合物1−14を0.52g得た。
【0079】
【化21】

【0080】
化合物1−14のH−NMR、13C−NMR測定結果を以下に示す。
H−NMR(500MHz,CDCl) δ: 7.30-6.42 (m, 22H), 6.10 (br, 1H), 5.55 (br, 1H), 4.61-4.45 (m, 1H), 4.17-4.12 (m, 2H), 3.99-3.89 (m, 2H), 3.91-3.55 (m, 15H), 3.35-2.90 (m, 7H), 1.94 (m, 3H), 1.85-1.62 (m, 4H), 1.50-1.35 (m, 4H).
13C−NMR(125MHz,CDCl) δ: 167.86, 151.85, 141.74, 136.83, 136.49, 136.36, 136.12, 132.44, 132.23, 131.07, 131.00, 130.90, 129.51, 129.16, 128.83, 128.59, 128.55, 126.92, 126.44, 125.93, 125.85, 125.59, 115.08, 114.98, 114.81, 114.66, 114.37, 64.95, 64.90, 55.63, 55.59, 54.51, 35.41, 35.03, 34.85, 34.56, 33.17, 31.92, 30.66, 29.45, 29.39, 28.91, 28.87, 26.17, 26.08, 26.06, 22.98, 21.52, 18.67, 14.45.
【0081】
次に、以上のようにして合成したフォトクロミック分子モノマーを用いて、ポリマーを合成する方法の一例を以下に示す。
【0082】
60mgの化合物1−14と2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.23mgを200μLのTHFに溶解し凍結アンプルに入れ、凍結脱気を10回行なった後、封管した。この溶液を40℃に温め撹拌しながら3日間反応させた。この後、反応液をジクロロメタンに溶解しメタノール中に滴下し再沈殿精製を行なった。析出した固体をろ過により回収しフォトクロミック分子のポリマー(ホモ重合体1−2)を22.3mg得た。GPCによって重量平均分子量を測定した結果、9500であった。
【0083】
【化22】

【0084】
<実施例3のホモ重合体の試験1>
以上のようにして合成したホモ重合体1−2を0.5mg測り取り、10mLのジクロロメタンに溶解した。この溶液を四面石英セルに入れ時間分解分光法にてポリマーの過渡吸収を測定した。この結果、図5に示すようにモノマーの状態よりもポリマーの方が発色体の半減期が長くなっており、発色体から消色体への反応速度を効果的に遅くすることに成功したことがわかった。
【0085】
<実施例3のホモ重合体の試験2>
以上のようにして合成したホモ重合体1−2を2.5mg測り取り、50μLのクロロホルムに溶解した。この溶液10μLをカバーガラス上に乗せスピンコートによりキャスティングしフォトクロミックポリマーのフィルムを作製した。
【0086】
フォトクロミックポリマー(ホモ重合体1−2)のフィルムの発色体の過渡吸収を時間分解分光法にて測定した。波長355nm(Nd−YAGレーザーの第三高調波)の励起光を照射し400nmの吸収を検出した。この結果、図11に示すように励起光を照射してから800ミリ秒後にも発色している成分が存在しており、発色体から消色体への反応速度を効果的に遅くすることに成功した。
【産業上の利用可能性】
【0087】
フォトクロミック分子をポリマー化することにより、フォトクロミック分子の消色反応速度を低減させる方法が示された。この方法を用いれば消色反応速度が速すぎて発色体が蓄積せず、発色濃度が薄いフォトクロミック分子の消色反応速度を低減させることができ色づきの良いフォトクロミック分子材料の提供が可能となる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(III)で表されるフォトクロミック分子のホモ重合体。
【化1】

構造式中、Aは上記構造を有するフォトクロミック分子であり、Rは水素またはメチル基であり、R〜Rはそれぞれ独立して水素またはアルコキシ基であり、nは2〜20の整数である。
【請求項2】
下記一般式(IV)で表されるフォトクロミック分子のブロックまたはランダム共重合体。
【化2】

構造式中、Aは上記構造を有するフォトクロミック分子であり、R、R1−2およびR1−3はそれぞれ独立して水素またはメチル基であり、R〜Rはそれぞれ独立して水素またはアルコキシ基であり、nは2〜20の整数である。
【請求項3】
下記一般式(V)表されるフォトクロミック分子のブロックまたはランダム共重合体。
【化3】

構造式中、Aは上記構造を有するフォトクロミック分子であり、Bは上記構造を有する光増感性化合物であり、R、R1−2、R1−3およびR1−4はそれぞれ独立して水素またはメチル基であり、R〜Rはそれぞれ独立して水素またはアルコキシ基であり、mは2〜20の整数であり、nは2〜20の整数である。
【請求項4】
下記一般式(VI)で表されるフォトクロミック分子のブロックまたはランダム共重合体。
【化4】

構造式中、Aは上記構造を有するフォトクロミック分子であり、Bは上記構造を有する光増感性化合物であり、R、R1−2はそれぞれ独立して水素またはメチル基であり、R〜Rはそれぞれ独立して水素またはアルコキシ基であり、mは2〜20の整数であり、nは2〜20の整数である。
【請求項5】
下記一般式(VII)で表されるフォトクロミック分子のブロックまたはランダム共重合体。
【化5】

構造式中、AおよびAは上記構造を有するフォトクロミック分子であり、RおよびR1−2はそれぞれ独立して水素またはメチル基であり、RおよびRはそれぞれ独立して水素またはアルコキシ基であり、R〜Rは水素であり、R10〜R13はアルコキシ基であり、mは2〜20の整数であり、nは2〜20の整数である。
【請求項6】
請求項1に示したフォトクロミック分子のホモ重合体においてR〜Rがそれぞれ独立して水素またはメトキシ基であるフォトクロミック分子のホモ重合体。
【請求項7】
請求項6に示したフォトクロミック分子のホモ重合体においてRはメトキシ基でパラ位に結合しており、R〜Rは全て水素であるフォトクロミック分子のホモ重合体。
【請求項8】
請求項6に示したフォトクロミック分子のホモ重合体においてRはメトキシ基でパラ位に結合しており、R〜Rは全てメトキシ基でメタ位とパラ位に結合しているフォトクロミック分子のホモ重合体。
【請求項9】
請求項2に示した共重合体においてR〜Rがそれぞれ独立して水素またはメトキシ基であるフォトクロミック分子の共重合体。
【請求項10】
請求項9に示した共重合体においてRはメトキシ基でパラ位に結合しており、R〜Rは全て水素であるフォトクロミック分子の共重合体。
【請求項11】
請求項9に示した共重合体においてRはメトキシ基でパラ位に結合しており、R〜Rは全てメトキシ基でメタ位とパラ位に結合しているフォトクロミック分子の共重合体。
【請求項12】
請求項3に示した共重合体においてR〜R8がそれぞれ独立して水素またはメトキシ基であるフォトクロミック分子の共重合体。
【請求項13】
請求項12に示した共重合体においてRおよびR8はメトキシ基でパラ位に結合しており、R〜Rは全て水素であるフォトクロミック分子の共重合体。
【請求項14】
請求項12に示した共重合体においてRおよびR8はメトキシ基でパラ位に結合しており、R〜Rは全てメトキシ基でメタ位とパラ位に結合しているフォトクロミック分子の共重合体。
【請求項15】
請求項4に示した共重合体においてR〜R8がそれぞれ独立して水素またはメトキシ基であるフォトクロミック分子の共重合体。
【請求項16】
請求項15に示した共重合体においてRおよびR8はメトキシ基でパラ位に結合しており、R〜Rは全て水素であるフォトクロミック分子の共重合体。
【請求項17】
請求項15に示した共重合体においてRおよびR8はメトキシ基でパラ位に結合しており、R〜Rは全てメトキシ基でメタ位とパラ位に結合しているフォトクロミック分子の共重合体。
【請求項18】
請求項5に示した共重合体においてRおよびRはメトキシ基でパラ位に結合しており、R〜Rは全て水素であり、R10〜R13はメトキシ基でメタ位とパラ位に結合しているフォトクロミック分子の共重合体。
【請求項19】
フォトクロミック分子を重合させて請求項1〜18のいずれかに記載された重合体にすることにより、フォトクロミック材料の消色反応速度を低減させる方法。
【請求項20】
請求項5または請求項18に記載されたフォトクロミック分子の共重合体において、A構造を有するフォトクロミック分子とA構造を有するフォトクロミック分子との構成比を変えることにより、フォトクロミック材料の光感度や色調を制御する方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2011−122089(P2011−122089A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−281966(P2009−281966)
【出願日】平成21年12月11日(2009.12.11)
【出願人】(000004466)三菱瓦斯化学株式会社 (1,281)
【出願人】(508353271)
【Fターム(参考)】