説明

フラノン誘導体およびその製造方法

新規合成法、そのような新規方法の生成物、およびこれらの生成物の使用に関する。特に、本発明はフラノン、詳細にはフィンブロリドをアミンと反応させる方法を提供する。本発明は、ハロゲン化1,5-ジヒドロ-ピロール-2-オン、5-ハロメチレン置換1,5-ジヒドロピロール-2-オン(フィンブロリドのラクタム類似化合物)、5-アミノ置換フラノンおよび5-アミノメチレン-2(5H)-フラノン、ならびにそれらの合成類似化合物の合成に特に用途を有する。本発明はまた、新規化合物、およびそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規合成法、そのような新規方法の生成物、およびにこれらの生成物の使用に関する。特に、本発明はフラノン、詳細にはフィンブロリド(fimbrolide)をアミンと反応させる方法を提供する。本発明は、特にハロゲン化1,5-ジヒドロ-ピロール-2-オン、5-ハロメチレン置換1,5-ジヒドロピロール-2-オン(フィンブロリドのラクタム類似化合物)、5-アミノ置換フラノンおよび5-アミノメチレン-2(5H)-フラノン、ならびにそれらの合成類似化合物の合成に適用される。本発明はまた、新規化合物およびその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
フィンブロリド(ハロゲン化5-メチレン-2(5H)-フラノン)は、抗真菌性および抗菌性を含めた広範囲にわたる重要な生物学的特性を保有する(国際公開公報第96/29392号および国際公開公報第99/53915号を参照されたい。これらの開示は相互参照により本明細書に含めるものとする)。これらの代謝物は、海生の紅藻類、Delisea fimbriata、Delisea elegansおよびDelisea pulchraから単離することができる。
【0003】
そうした生物学的活性にもかかわらず、上記分子のヘテロ原子含有類似化合物はほとんど文献に報告されていない。フィンブロリドに関する公表された合成の大半は、天然に存在するフィンブロリドそれ自体の調製に主眼をおいている。最近、本発明者らは、天然および非天然フィンブロリドをいずれも高収率で生成する方法を開発した(国際公開公報第99/54323号および国際公開公報第0200639号を参照されたい。これらの開示は相互参照により本明細書に含めるものとする)。
【0004】
本発明者らは、フィンブロリドが意外にも穏やかな条件でアミンと反応することを最近発見した。本発明者らはこの発見が5-ヒドロキシ-5-アルキル置換1,5-ジヒドロ-ピロール-2-オン、5-アミノ-5-アルキル置換2(5H)-フラノンおよび5-アミノメチレン置換2(5H)-フラノンの合成に特に有用であることを見出した。その上、このような条件下で生成した5-ヒドロキシ-5-ハロメチル置換1,5-ジヒドロピロール-2-オンを脱水して5-ハロメチレン置換1,5-ジヒドロピロール-2-オン(フィンブロリドのラクタム類似化合物)を生じること、および5-アミノ-5-ブロモメチル置換2(5H)-フラノンから水素と臭素を除去して一連の5-アミノメチレン置換2(5H)-フラノンを生じることができる。これらのフラノンにさらに官能基を付して、一連の新規類似化合物を生じることができる。
【発明の開示】
【0005】
第1の態様において、本発明は式II
【化1】

【0006】
〔式中、R1およびR2は独立して、H、ハロゲン、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換オキソアルキル、置換もしくは非置換アルケニル、アリール、または置換もしくは非置換アリールアルキルの一群から選択され、場合により1または複数のヘテロ原子が割り込んでいてもよく、直鎖もしくは分枝鎖であって、親水性または親フッ素性である;
R3およびR4は独立して、H、ハロゲン、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換アリールアルキルの一群から選択される;
R5はH、ヒドロキシ、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換オキソアルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換アリールアルキルからなる一群から選択され、場合により1または複数のヘテロ原子が割り込んでいてもよく、直鎖もしくは分枝鎖であって、親水性もしくは親フッ素性である、または
R5はアミノ酸の一部を形成する、または
R5はヌクレオシド、オリゴマー、ポリマー、デンドリマー、基体もしくは表面である〕
の化合物を調製する方法を与えるが、
その方法は式I
【化2】

【0007】
〔式中、R1およびR2は独立して、H、ハロゲン、アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換オキソアルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換アリールアルキルであり、場合により1または複数のヘテロ原子が割り込んでいてもよく、直鎖もしくは分枝鎖であって、親水性または親フッ素性である;
R3およびR4は独立して、H、ハロゲン、アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アリール、またはアリールアルキルであり;Rはヒドロキシ、ハロゲンである;さらに
R1、R2、R3およびR4のうち少なくとも1つがハロゲンであるならば、“- - - - -”は一重結合を表すが、その場合Rは存在せず、または二重結合を表す〕
の化合物を式R5NH2
〔式中、R5はH、置換もしくは非置換アルキル、ヒドロキシ、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換オキソアルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換アリールアルキルからなる一群から選択されるが、場合により1または複数のヘテロ原子が割り込んでいてもよく、直鎖もしくは分枝鎖であって、親水性または親フッ素性である、または
R5はアミノ酸の一部を形成する、または
R5はヌクレオシド、オリゴマー、ポリマー、デンドリマー、基体もしくは表面である〕
の化合物と反応させることを含む。
【0008】
反応は、場合により溶媒の存在下で実施することができる。
【0009】
好ましくは、式IIの化合物において、R1、R2、R3およびR4のうち少なくとも1つはハロゲンである。
【0010】
本明細書に記載の構造式において、特定の幾何学的配置が指定されたと解釈されるべきではない。たとえば、式はZ-およびE-異性体をいずれも包含する。
【0011】
溶媒の存在下または非存在下で、反応を行うことができる。溶媒は、あらゆる適切な溶媒とすることができる。本発明において好ましい溶媒は、酢酸アルキル、芳香族炭化水素、塩素化アルカン、環状もしくは鎖状エーテル(たとえばテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン)およびC1-C3酸を包含する。さらに好ましくは、溶媒は芳香族炭化水素および塩素化アルカンである。もっとも好ましくは、溶媒はジクロロメタン、ならびにジクロロエタンおよびトリクロロエタンである。
【0012】
反応は穏やかな温度で行うことが好ましい。好ましくは、環化反応は20-150℃の範囲内の温度で行われる。
【0013】
溶媒が存在する場合、還流温度、たとえばジクロロメタンの還流温度で環化を行うことができる。場合により、加圧条件下で還流温度より低い温度で反応を行うこともできる。
【0014】
反応時間はおよそ2時間から12時間以上までさまざまであると考えられるが、典型的には約2時間以上である。当然のことながら、基体の個別の性質および望ましい反応速度に応じて反応条件を変えることができる。
【0015】
式IIの化合物の限定的でない例を下記に挙げるが、これらは5-アルキル-5-ヒドロキシ置換1,5-ジヒドロ-ピロール-2-オンと称することができ、本発明の方法によって合成することができる:
【化3】

【0016】
第2の態様において、本発明は式II
【化4】

【0017】
〔式中、R1およびR2は独立して、H、ハロゲン、アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換オキソアルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換アリールアルキルであって、場合により1または複数のヘテロ原子が割り込んでいてもよく、直鎖もしくは分枝鎖であって、親水性または親フッ素性である;
R3およびR4は独立して、H、ハロゲン、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アリール、またはアリールアルキルである;
R5はH、ヒドロキシ、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換オキソアルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換アリールアルキルからなる一群から選択され、場合により1または複数のヘテロ原子が割り込んでいてもよく、直鎖もしくは分枝鎖であって、親水性もしくは親フッ素性である、または
R5はアミノ酸の一部を形成する、または
R5はヌクレオシド、オリゴマー、ポリマー、デンドリマー、基体もしくは表面である〕の化合物を与える。
【0018】
式IIにおいて、R1、R2、R3およびR4のうち少なくとも1つがハロゲンである化合物が特に好ましい。
【0019】
本発明者らは、式IIの5-アルキル-5-ヒドロキシ置換1,5-ジヒドロ-ピロール-2-オンを脱水して一連の5-(ハロメチレン)-1,5-ジヒドロ-ピロール-2-オン、5-(ジハロメチレン)-1,5-ジヒドロ-ピロール-2-オンを生成することができることを見出した。
【0020】
したがって、第3の態様において、本発明は式III
【化5】

【0021】
〔式中、R1およびR2は独立して、H、ハロゲン、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換オキソアルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換アリールアルキルから選択され、場合により1または複数のヘテロ原子が割り込んでいてもよく、直鎖もしくは分枝鎖であって、親水性または親フッ素性である;
R3およびR4は独立して、H、ハロゲン、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換アリールアルキルから選択される;および
R5は上記で定義された通りである〕
の化合物を調製するための、上記式IIの化合物の脱水方法を与えるが、その方法は、式IIの化合物を脱水剤と接触させることを含む。
【0022】
好ましくは、式IIIにおいて、R1、R2、R3およびR4のうち少なくとも1つはハロゲンである。
【0023】
適当な脱水剤の例は、五酸化リン、シリカゲル、モレキュラーシーブ、アルミナ、酸性樹脂およびポリマー、オキシ塩化リン、無水酢酸、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド (DCC)、トリフルオロ酢酸、硫酸、トリフルオロ酢酸無水物、トリフルオロスルホン酸無水物 (トリフリック酸無水物)を包含する。
【0024】
好ましくは、脱水は溶媒存在下で五酸化リンを用いて行われる。溶媒はあらゆる適切な溶媒とすることができる。本発明において好ましい溶媒は、酢酸アルキル、芳香族炭化水素、塩素化アルカン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサンおよびC1-C3酸を包含する。さらに好ましくは、溶媒は芳香族炭化水素および塩素化アルカンである。もっとも好ましくは、溶媒はジクロロメタン、ならびにジクロロエタンおよびトリクロロエタンである。
【0025】
反応は穏やかな温度で行うことが好ましい。好ましくは、脱水反応は約20-150℃の範囲内の温度で行われる。
【0026】
溶媒が存在する場合、溶媒の還流温度、たとえばジクロロメタンの還流温度で環化を行うことができる。
【0027】
反応時間はおよそ2時間から12時間以上までさまざまであると考えられるが、典型的には約2時間以上である。当然のことながら、基体の個別の性質および望ましい反応速度に応じて反応条件を変えることができる。
【0028】
本発明の方法で合成することができるフラノン(III)の非限定的な例を下記に挙げる。
【化6】

【0029】
本発明者らは、調製された式IIIの1,5-ジヒドロ-ピロール-2-オンは新規化合物であると考えている。
【0030】
したがって、第4の態様において、本発明は式III
【化7】

【0031】
〔式中、R1およびR2は独立して、H、ハロゲン、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換オキソアルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換アリールアルキルから選択され、場合により1または複数のヘテロ原子が割り込んでいてもよく、直鎖もしくは分枝鎖であって、親水性または親フッ素性である;
R3およびR4は独立して、H、ハロゲン、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アリール、またはアリールアルキルから選択される;および
R5は上記で定義された通りである〕
の化合物を与える。
【0032】
好ましくは、R1、R2、R3およびR4のうち少なくとも1つはハロゲンである。
【0033】
さらに、本発明者らは、式(I)のフラノンを特定のアミンで処理すると5-アミノ置換、または5-アミノメチレン置換フラノンを生成することができることも見出した。あるいはまた、式Iの化合物をアルコールで処理して5’-アルコキシ置換フラノンを生じることができる。たとえば、4-ブロモ-5-ブロモメチレン-2(5H)-フラノンをアニリンで処理した場合、4-ブロモ-5-フェニルアミノメチレン-2(5H)-フラノンが良好な収率で与えられた。これに対して、4-ブロモ-5-ブロモメチレン-2(5H)-フラノンのベンジルアミンとの反応は、対応する5-ベンジルアミノ-4-ブロモ-5-ブロモメチル-2(5H)-フラノンを与えた。
【0034】
したがって、第5の態様において、本発明は式IV
【化8】

【0035】
〔式中、R1およびR2は独立して、H、ハロゲン、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換オキソアルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換アリールアルキルから選択され、場合により1または複数のヘテロ原子が割り込んでいてもよく、直鎖もしくは分枝鎖であって、親水性または親フッ素性である;
R3およびR4は独立して、H、ハロゲン、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換アリールアルキルから選択される;および
R5は上記で定義された通りであって、
XはOまたはNR6であるが、ここでR6はR1とすることができる〕
の化合物を調製する方法を与えるが;
その方法は、式I〔式中R3は水素であり、“- - - - -”は二重結合を表す〕の化合物を反応させることを含む。
【0036】
好ましくは、R1、R2、R3およびR4のうち少なくとも1つはハロゲンである。好ましくは、R6はHである。
【0037】
本発明の方法で合成することができるフラノン(IV)の代表的な例を下記に列挙する。
【化9】

【0038】
さらに第6の態様において、本発明は式IV
【化10】

【0039】
〔式中、R1およびR2は独立して、H、ハロゲン、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換オキソアルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換アリールアルキルから選択され、場合により1または複数のヘテロ原子が割り込んでいてもよく、直鎖もしくは分枝鎖であって、親水性または親フッ素性である;
R3およびR4は独立して、H、ハロゲン、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換アリールアルキルから選択される;および
R5およびXは上記で定義された通りである〕
の化合物を与える。
【0040】
好ましくは、R1、R2、R3およびR4のうち少なくとも1つはハロゲンである。
【0041】
したがって第7の態様において、本発明は式V
【化11】

【0042】
〔式中、R1およびR2は独立して、H、ハロゲン、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換オキソアルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換アリールアルキルから選択され、場合により1または複数のヘテロ原子が割り込んでいてもよく、直鎖もしくは分枝鎖であって、親水性または親フッ素性である;
R3は、H、ハロゲン、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アリール、またはアリールアルキルから選択される;式中、R5は、H、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換オキソアルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換アリールアルキルであり、場合により1または複数のヘテロ原子が割り込んでいてもよく、直鎖もしくは分枝鎖であって、親水性または親フッ素性である;
XはOまたはNR6であるが、ここでR6は上記で定義された通りである;および
R5は上記で定義されたとおりである〕
の化合物を調製する方法を与える。
【0043】
本発明の方法によって合成することができる式(V)のフラノンの限定的でない例を以下に挙げる。
【化12】

【0044】
第8の態様において、本発明は式V
【化13】

【0045】
〔式中、R1およびR2は独立して、H、ハロゲン、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換オキソアルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換アリールアルキルから選択され、場合により1または複数のヘテロ原子が割り込んでいてもよく、直鎖もしくは分枝鎖であって、親水性または親フッ素性である;
R3は、H、ハロゲン、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アリール、またはアリールアルキルから選択される;
XはOまたはNR6であるが、ここでR6は上記で定義された通りである;および
R5は上記で定義されたとおりである〕
の化合物を与える。
【0046】
さらに第9の態様において、本発明は式VI
【化14】

【0047】
式中、R1およびR2は独立して、H、ハロゲン、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換オキソアルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換アリールアルキルから選択され、場合により1または複数のヘテロ原子が割り込んでいてもよく、直鎖もしくは分枝鎖であって、親水性または親フッ素性である;
R3およびR4は独立して、H、ハロゲン、アルキル、置換もしくは非置換アリール、またはアリールアルキルから選択される;式中、R5は、H、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換オキソアルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換アリールアルキルであり、場合により1または複数のヘテロ原子が割り込んでいてもよく、直鎖もしくは分枝鎖であって、親水性または親フッ素性である;
R5は上記で定義されたとおりである;および
Zは、R2、ハロゲン、OC(O)R2、=O、アミンアジド、チオール、R2、メルカプトアリール、アリールアルコキシ、メルカプトアリールアルキル、SC(O)R2、OS(O)2R2、NHC(O)R2、=NR2またはNHR2の一群から選択される〕
の化合物を与える。
【0048】
式VIの化合物は、式IIIのフィンブロリド〔式中、R1、R2、R3およびR4は上記で定義されたとおりである〕に、国際公開公報第99/54323号(この開示は、相互参照により本明細書に含めるものとする)に記載の試薬を用いて官能基を導入することによって調製することができる。
【0049】
官能基Zを導入して操作するための試薬は、ハロゲン化および酸化剤(N-ハロスクシンイミド、四酢酸鉛、二酸化セレン、ジョーンズ試薬)、求核試薬(有機金属カルボキシレート、有機アルコール、ジメチルスルホキシドおよび有機ニトリルを含む)ならびに求電子試薬(有機酸、イソシアナート、カルボン酸もしくはスルホン酸ハロゲン化物および三フッ化ジエチルアミノ硫黄を含む)を包含する。
【0050】
本発明の方法によって合成することができる式(VI)のフラノンの限定的でない例を下記に挙げる。
【化15】

【0051】
第10の態様において、本発明は、本明細書に記載の式II-VIの化合物を、直接、または1もしくは複数の他のモノマーとともに、オリゴマー化もしくは重合することによって生成されるオリゴマーまたはポリマーを与える。
【0052】
1または複数の他のモノマーは、あらゆる適当な重合可能なコポリマー、たとえば、アクリル酸エステル(例としてはアクリル酸もしくはメタクリル酸アルキル、アクリル酸もしくはメタクリル酸ヒドロキシアルキル、アクリル酸もしくはメタクリル酸アミノアルキル、またはアクリル酸もしくはメタクリル酸の置換もしくは非置換アリールエステル)、クロトン酸エステル、置換もしくは非置換アクリロニトリル、ビニルアルコールもしくは酢酸ビニル、スチレン、およびシロキサンとすることができる。
【0053】
R5は天然化合物もしくは合成化合物の残基とすることができる。R5は生物学的もしくは非生物学的化合物であってもよい。たとえばR5は、補酵素またはコファクターとすることができる。R5はオリゴマーまたはポリマーとすることができるが、これらは生物学的であっても合成であってもよい。たとえば、オリゴマーまたはポリマーは、ペプチドもしくはポリアミドとすることができる。このポリマーはタンパク質、たとえば酵素もしくはレセプターであってもよい。R5は、核酸残基を含むオリゴマーもしくはポリマーとすることができる。このポリマーは、ポリヌクレオチド、たとえばDNAまたはRNAであってもよい。R5がヌクレオシドの一部を形成し、もしくはヌクレオシドと結合していてもよい。このヌクレオシドはD-もしくはL-ヌクレオシドとすることができる。R5はヌクレオシドの糖部分に結合していてもよい。
【0054】
R5は窒素が結合している表面もしくは基体とすることができる。この結合は化学的な結合、たとえば共有結合であると考えられる。この表面もしくは基体は生物学的または合成であってよい。あるいはまた、この結合は吸着によるものであってもよい。このような結合を生じる方法は下記に、より詳細に記載される。
【0055】
R5はまた、デンドリマーであってもよい。デンドリマーに関する総説が、Klajnert, B. and Bryszewska, M. (2001) Dendrimers:properties and applications, Acta Biochemica Polonica Vol. 48 No.1/2001において与えられるが、その開示は参考として本明細書に含めるものとする。本発明による複数の化合物を、デンドリマーによって担持することができる。
【0056】
化合物を、基体材料表面上の少なくとも一部に直接固定化する、または基体材料と固定化されるべき層との間に差し挟まれた1または複数の中間層を介して固定化することもできる。中間層は結合層であるとすることができる。
【0057】
基体は成形または非成形とすることができる。基体は固体、半固体もしくは曲げやすいものとすることができる。基体は、織物である、または織物でないフィルムもしくはシートとすることができる。基体は、天然の、または合成のフィラメントまたは繊維とすることができる。基体は天然材料、たとえば植物種子であってもよい。基体を形成する材料は特定の用途に適するように選択することができる。たとえば、成形された生物医学的デバイスの場合、その材料は、力学的および光学的特性といった、使用に関する他の具体的条件に対処することができる。
【0058】
基体は、医療用デバイス、たとえば、導尿カテーテル、経皮的カテーテル、ステントといった埋込型生物医学的デバイス、ならびにコンタクトレンズ、コンタクトレンズ保存容器などのような非埋込型デバイスを含めた成型品とすることができるが、これに限定されない。
【0059】
こうした物品を形成する材料は、金属、セラミック、固体合成ポリマー、または固体天然ポリマー、たとえば固体バイオポリマーとすることができる。本発明に役立つ材料の例は、チタン、ヒドロキシアパタイト、ポリエチレン(これは整形外科用インプラントのための有用な材料である)、ポリウレタン、オルガノシロキサン・ポリマー、過フッ素化ポリマー(これは、たとえばカテーテル、軟組織増大、および心臓弁のような血液と接触するデバイスのために有用な材料である)、アクリル系ヒドロゲルポリマー、およびシロキサン系ヒドロゲルポリマー(たとえば、コンタクトレンズおよび眼内レンズ用)など、ならびにそれらの任意の組み合わせである。これらの材料の表面は化学的に不活性であってもよく、または反応性の官能基を有していてもよい。
【0060】
基体のこの他の例としては、保存したい記録保管文書、骨董品および美術品、希少かつ貴重な種子(たとえば、自然保護団体の種子バンク)などがあるが、この場合、基体は紙、生地、または他の天然もしくは合成材料とすることができる。
【0061】
基体は、たとえば、PCT/AU98/00508に記載の甲殻類もしくは水産養殖装置とすることができるが、この開示は参考として本明細書に含めるものとする。
【0062】
上記のように、R5を基体の表面に結合することができる。必要ならば、基体の表面を少なくとも一部分処理して表面を活性化することも場合により可能であり、その表面に対して本発明の化合物を反応させて、その化合物を固定化することができる。
【0063】
基体表面の少なくとも一部分に対する言及は、その表面に適用された1または複数の中間層の表面を包含する。
【0064】
化合物を、あらゆる適当な技法によって基体表面に固定化することができる。固定化は、共有もしくは非共有結合によることができる。好ましくは、化合物は基体表面に共有結合によって固定化される。
【0065】
フラノン化合物の基体上への固定化は、基体表面からの化合物の損失を防ぎ、それによって長期間持続する抗菌作用を保証する。
【0066】
本発明の化合物と基体との結合は、式:X-Y-Zによって特徴付けることができるが、式中、Xは基体、Yは選択可能な化学的結合部分であり、Zは本発明の化合物である。結合部分が存在するとすれば、それはホモ二官能性もしくはヘテロ二官能性結合部分とすることができる。Yは簡単な1成分(たとえば短い分子)であってもよく、複数のユニットもしくは成分(これらは同一であっても異なっていてもよい)を含んでいてもよい。Yは、段階的に“構築”することができる多数の成分もしくはユニットを含むことができる。
【0067】
界面に共有結合を形成することはイオン結合よりも非常に好ましいが、それは塩の含有量がイオン結合を妨害するほどである生物学的媒体、および塩含有量が逆にイオン結合を付与するほどである生物学的媒体において、分子が表面からはずされる可能性があるためである。
【0068】
医療用デバイスである基体との関連において、本発明の化合物の共有結合はまた、デバイスから離れた部位、たとえば生きているヒトの器官の肝臓、脳、もしくは腎臓組織においてその化合物が引き起しうる、可能性のある有害な影響に関する懸念を除くためにも役立つ。医療用として、生物医学的デバイスが取り付けられるべき受容者の環境において切断を受けることのない界面共有結合を介して、フラノン化合物を結合することが重要である。
【0069】
固体表面に有機分子を共有結合で固定化する方法は、当業者によく知られている。界面共有結合の形成をもたらす界面反応は、公知の有機合成反応から導かれる。固定化反応の選択は、基体材料の性質と、特定の用途のために望ましいフラノン誘導体の化学組成の双方によって決まる。
【0070】
たとえば、環系の末端の側鎖にヒドロキシル基を含有する化合物を、エポキシ化表面への多糖の固定化に関するLi et al., Surface Modification of Polymeric Biomaterials (BD Ratner and DG Castner, Eds), Plenum Press, NY, 1996、165-173ページ(その開示は全体として本明細書に含めるものとする)に記載の反応経路に類似したエポキシド化学反応によって、表面に付着した、イソシアナート基を介して熱処理によって安定なウレタン結合を生成することにより、または表面上のカルボン酸基もしくはその同等物、たとえば酸塩化物を介してエステル結合を生成することにより、表面に共有結合させることができる。アルデヒド基を含有する化合物は、還元的アミノ化反応によって表面のアミン基に結合することができる。カルボン酸基を含有する化合物は、カルボジイミド化学反応によって表面のアミン基に結合することができる。
【0071】
界面カップリング反応は、当然、望ましい共有結合を達成する能力だけでなく、付着させるべきフラノン化合物に対する悪影響の回避を目的として選択されるべきである。特にフラノン環系はアルカリ性条件に対して不安定となる傾向がある。こうした制限は当業者によく知られている。当技術分野で知られている、多くの考えられる界面カップリング反応の中に、適当なpH範囲で進行する反応、しかもさまざまな位置で様々な官能基により置換されたフラノンとの反応を選択する十分な余地がある。
【0072】
固体基体材料のあるものは、化合物上のパートナー基との化学反応を受けて、その結果、直接、共有結合性の界面結合を形成することができる、反応性の表面化学基を保有する。
【0073】
あるいはまた、適当な化合物の存在下で二官能基を有するリンカー分子を活性表面に添加することによって直接的に、または二官能基を有するリンカー分子を加えた後に適当な化合物を順次添加することによって段階的に、in situ共有結合を形成することができる。フラノン化合物を直接、固体基体材料上に固定化することが常に可能であるとは限らない;このような場合、化合物の共有結合による固定化を行うために、表面活性化、または1もしくは複数の界面結合層が使用される。こうした表面活性化は、化合物を、フルオロポリマーおよびポリオレフィンのようなポリマー材料に固定化する場合には必須である。
【0074】
固体の基体材料の表面活性化は、多くの方法によって達成可能である。例としては、ポリマーのコロナ放電処理もしくは定圧プラズマ処理がある。これらの方法はポリマー表面に様々な官能基を導入することがよく知られている。
【0075】
また別の方法は、固体基体材料もしくは医療用デバイスと化合物層の間に散在する界面結合層を提供することである。ディップコーティング、スピンコーティングもしくはプラズマ重合といった方法によって、薄い界面結合層を付けることができる。結合層の化学的性質は、適当な反応性化学基、本発明の化合物との反応のために利用しやすい基が、この結合層の表面上に与えられるように選択される。
【0076】
特に用途が広いのは、多層の薄い界面結合層を後から付けることである;この方法は、さまざまな官能基を有するフラノンを固定化するために、非常に広範な望ましい化学基を表面上に提供することが可能であり、生物学的有効性について最適化された化合物の使用を可能にする。
【0077】
薄い表面コーティングされた化合物層を与えることによって、本発明の抗菌性デバイスの光学的な品質が低下することはなく、そのことによって本発明は、コンタクトレンズや眼内レンズのような透明な眼科用デバイスに適用することができる。
【0078】
本発明は、表面にコーティングが施された固体材料に抗菌性および/または抗真菌性を与える、薄い表面コーティングを提供する。より詳細には、コーティングは、医用デバイスが細菌によって汚染されたとき、そのデバイスの使用者の健康に悪影響をもたらす、細菌による医用デバイスの汚染を減少もしくは防止するようにデザインされる。
【0079】
活性のある抗菌層は、細胞傷害性がなく、加えてコーティングされたデバイスが接する受容者の環境に対する他の有害な生物医学的影響もないこと、ならびに抗菌活性を有することの両方に関して選択される、1または複数のフラノン化合物を含む。
【0080】
第11の態様において、本発明は、第1、第3、第5、第7、第9もしくは第10の態様に記載の方法によって製造される化合物の、表面コーティングもしくはポリマーのいずれかへの、分子の任意の部分、たとえばアルキル鎖に新たに導入された官能基、アルキル基、またはハロメチレン官能基それ自体による、直接的な重合もしくは適当なモノマーとの共重合を介した取り込みを与えるものである。
【0081】
第12の態様において、本発明は、本発明の第1、第3、第5、第7、第9もしくは第11の態様に記載の方法によって製造される化合物を与える。
【0082】
第13の態様において、本発明は、本発明にしたがって製造された化合物の使用を与える。本発明者らは、式(II)、(III)、(IV)、(V)および(VI)を有する、1,5-ジヒドロ-ピロール-2-オン誘導体およびフラノンの多くが、抗菌性および/または防汚性を有することを見出した。したがって、フィンブロリド誘導体は、抗菌剤および/または防汚剤としての使用に適している。
【0083】
これにより、第14の態様において、本発明は、医学、科学および/または生物学的用途において、式(II)、(III)、(IV)、(V)および(VI)の化合物を使用する方法を提供する。
【0084】
上記および他の用途を目的として、本発明の化合物を組成物として製剤することができる。
【0085】
第15の態様において、本発明は少なくとも1つの、式(II)、(III)、(IV)、(V)もしくは(VI)の化合物を含む組成物を与える。
【0086】
本発明の第3の態様の組成物は、任意の適当な形態をとることができる。組成物は担体もしくは希釈剤を包含することができる。担体は液体または固体とすることができる。たとえば、組成物は、液体中の少なくとも1つの化合物の溶液もしくは懸濁液の形態をとることができる。液体は水性溶媒または非水性溶媒とすることができる。液体は1または複数の溶媒からなる、またはそれを含むことができる。液体はイオン性液体であってもよい。担体もしくは希釈剤の特定の例は、水、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、シクロデキストリンおよびそれらの誘導体を包含するがそれらに限定されない。
【0087】
組成物は、デリバリーのためにエアロゾルもしくは粉末状に製剤することができる。
【0088】
組成物は、有機もしくは無機ポリマー物質を含むことができる。たとえば、本発明の化合物を、ポリマーと混合する、ポリマーに結合する、またはポリマーに吸着させることができる。
【0089】
組成物が防疫用殺菌消毒薬もしくは洗浄剤として製剤されるべき場合には、組成物はそういった製剤において使用される従来の添加物を包含することができる。この製剤の物理的形態の例は、限定するものではないが、粉末、溶液、懸濁液、分散体、乳濁液およびゲルを包含する。
【0090】
医薬品のための製剤は、当業者に知られている薬学上許容される担体、希釈剤および賦形剤を含めることができる。経口または非経口投与のために組成物を製剤することができる。局所、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻内、硬膜外、眼および経口経路を包含するがそれに限定されない導入方法用に、本発明の組成物を製剤することができる。組成物は、あらゆる使いやすい経路、たとえば注入もしくはボーラス注射、または上皮もしくは皮膚粘膜(たとえば、口腔粘膜、直腸および超粘膜など)を通した吸収による投与のために製剤することができるが、それを他の生物学的に活性な薬剤とともに投与してもよい。投与は局所的にも全身的にも行うことができる。脳室内およびくも髄腔内注入のために組成物を製剤することができる。たとえば吸入器もしくはネブライザーを使用すること、およびエアゾール化剤とともに製剤することによって、肺投与も採用することができる。
【0091】
特定の好ましい実施形態において、組成物はさらに、抗生物質および洗浄剤といった他の活性のある薬剤を含む。
【0092】
第16の態様において、本発明は、ヒトもしくは動物被験体において感染症を処置する方法を提供するが、その方法は被験体に有効量の本発明の化合物を投与することを含む。
【0093】
処置は、治療的および/または予防的とすることができる。
【0094】
本発明の化合物は、クオラムセンシング阻害薬として作用することができるので、そうした効果が求められるあらゆる応用に用途を見出すことができる。たとえば、本発明の化合物は、クオラムセンシングシステムおよび/または他の細胞外システムの阻害を通じて微生物によるビルレンス(毒性)の確立および発現を予防する用途がある(たとえば、国際特許出願PCT/AU01/01621号を参照されたく、その開示は全体として本明細書に含めるものとする)。
【0095】
本発明は、1種類の生物に由来するバイオフィルムおよび混合バイオフィルムに適している。「混合バイオフィルム」は2種類以上の微生物によって作り出されたバイオフィルムを意味する。もっとも好ましくは。バイオフィルムは、細菌、藻類、真菌および原生動物からなる一群から、少なくとも2種類の生物によって作られることが想定される。
【0096】
ホモセリンラクトン(HSL)でバイオフィルムを処理する効果が、緑膿菌について証明された。HSLは一般に、バイオフィルムを生成することが知られている広範な細菌から単離された。これらの中に腸内細菌が含まれる。広範な細菌におけるHSLの存在は、本発明の化合物を使用して、緑膿菌バイオフィルムのみならず、Pseudomonas属細菌を含む混合バイオフィルム、および緑膿菌以外の細菌からなるバイオフィルムも効果的に処理することができることを示す。
【0097】
下記は、細胞間コミュニケーションのためにホモセリンラクトンを使用する細菌を構成員として含むグラム陰性細菌群の一覧である:例として、嫌気性グラム陰性直線状、屈曲型、およびらせん状桿菌;バクテロイデス科;リケッチア属およびクラミジア属;異化型硫酸還元細菌または硫黄還元細菌;マイコプラズマ;マイコバクテリウム属;出芽および/または付属器付細菌;有鞘細菌;ノカルディア型細菌;および放線菌類。Bergey's Manual of Systematic Bacteriology, First Ed., John G. Holt, Editor in Chief (1984)を参照されたい(これは参考として本明細書に含めるものとする)。
【0098】
第16の態様の方法を用いて、バイオフィルムの形成を特徴とする、被験体の感染または症状を処置することができる。バイオフィルムの関与するヒト感染症の例は、限定するものではないが、齲蝕、歯周炎、中耳炎、筋骨格感染症、壊死性筋膜炎、胆道感染症、骨髄炎、細菌性前立腺炎、心弁性心内膜炎、嚢胞性線維症肺炎、類鼻疽、および院内感染、たとえば、ICU肺炎、縫合線、出口部、動静脈部位、強膜バックル、コンタクトレンズ、導尿カテーテル膀胱炎、腹膜透析(CAPD)腹膜炎、IUD、気管内チューブ、ヒックマンカテーテル、中心静脈カテーテル、人工心臓弁、人工血管、胆管ステント閉塞、および整形外科用デバイス、人工陰茎を包含する。これ以上の応用は、Costerton J et al, (1999) Vol. 284, Science pp1318-1322 and Costerton J and Steward, (2001) Battling Biofilms, Scientific American pp 75-81に記載され、その開示は参考として本明細書に含めるものとする。
【0099】
バイオフィルムが形成される可能性のある他の場所は、飲料水の配管(これは腐食または疾病の原因となる可能性がある)、家庭用排水管、歯垢(歯肉の病気および虫歯の原因となる可能性がある)、コンタクトレンズ(眼の感染症を引き起こす可能性がある)、耳(慢性感染症を引き起こす可能性がある)および肺(肺炎を引き起こす可能性がある)を包含する。
【0100】
病気は嚢胞性線維症が考えられる。感染は、皮膚感染、熱傷後感染および/または創傷感染の結果生じるものと考えられる。本発明の方法および組成物は、免疫無防備状態の個体における感染の治療に特に好適であると考えられる。
【0101】
さらに第17の態様において、本発明は、本発明の化合物と表面を接触させることによって、表面上でのバイオフィルムの形成を処理する方法を与える。
【0102】
本明細書で使用される「表面」という用語は、バイオフィルム層によって覆われる可能性のある、あらゆる表面に関する。表面は、生物学的(たとえば、組織、膜、皮膚など)もしくは非生物学的表面とすることができる。
【0103】
表面は、天然の表面、たとえば植物種子、木、繊維などの表面とすることができる。
【0104】
表面もしくは基体は、あらゆる硬い表面、たとえば金属、有機および無機ポリマー表面、天然および合成エラストマー、板、ガラス、木、紙、コンクリート、岩石、大理石、石膏およびセラミック製品(これらは、場合によりたとえば塗料、エナメルなどでコーティングされていてもよい);またはあらゆる柔らかい表面、たとえばあらゆる種類の繊維(糸、織物、植物繊維、ロックウール、毛など);または多孔質表面;皮膚(ヒトもしくは動物);ケラチン質(爪など)とすることができる。堅い表面は、プロセス装置、または冷却装置もしくはその構成部品、たとえば冷却塔、水処理プラント、乳製品工場、食品加工プラント、化学品もしくは製薬プラントに存在することが考えられる。多孔質表面は、フィルター、たとえばメンブランフィルターに存在すると考えられる。
【0105】
本発明にしたがって処理することができる表面の特別な例としては、便器、浴槽、排水管、子供用食事椅子、調理台、野菜、食肉加工処理場、肉屋、食品調理場、通風ダクト、空調装置、カーペット、紙もしくは織物製品処理、おむつ、個人衛生製品(たとえば生理用ナプキン)および洗濯機が含まれるがそれらに限定されない。清浄化組成物は、汚れが付かないようにする、および汚れを除去するための、トイレの投入型もしくはスプレー式デバイス、ならびにトイレ用のunder-rim洗剤の形態をとることができる。本発明の組成物および方法はまた、床、作業台、壁などのような産業に関わる表面、および病院(手術室内の表面)、動物病院といった医療施設、ならびに死体置き場および葬儀場における、他の表面の清浄化にも用途を有する。
【0106】
本発明の組成物は、表皮用の包帯およびローションに含めることができる。あるいはまた、本発明の組成物を化粧品、たとえば、アフターシェーブローションに含めることもできる。
【0107】
本発明の組成物は、上記の活性化合物を清浄化に有効な量で含有する水溶液もしくは水性懸濁液の形態をとることができる。清浄化組成物は、家庭もしくは工場環境におけるトイレおよび他の濡れた、もしくは断続的に濡れる表面の汚れを防ぎ、除去し、きれいにするための、スプレー、分配可能な液体、またはトイレタンク投入型、under-rim製品の形態をとることができる。
【0108】
本発明の組成物は、陰イオン性、非イオン性、両性、生物学的界面活性剤およびそれらの混合物からなる一群から選択される界面活性剤をさらに含むことができる。もっとも好ましくは、界面活性剤はドデシル硫酸ナトリウムである。
【0109】
1または複数の補助化合物を本発明の清浄化溶液に加えることができる。これらの化合物は、浮遊生物に影響を及ぼす、1または複数の殺生物剤、殺真菌剤、抗生物質およびそれらの混合物から選択される。pH調節剤、香料、染料もしくは着色料を添加してもよい。
【0110】
活性化合物の「清浄化に有効な」量は、活性化合物に曝露されていないバイオフィルムと比較したときのバイオフィルム中の細菌数の減少によって判定されるように、バイオフィルムから少なくとも10%の細菌を取り除くために必要な化合物の量を表す。
【0111】
本発明の清浄化の方法は、表面を清浄化することに適している。その方法を用いて、排水管、釉薬のかかった陶器、磁器、ガラス、金属、木、クロム、プラスチック、ビニールおよび加熱硬化性合成樹脂といった堅い硬質な表面、またはシャワーカーテン、室内装飾材料、洗濯物および敷物材料といった柔らかく曲げやすい表面を処理することができる。また、織物および不織布ならびに多孔質および非多孔質のいずれの表面も適合すると想定される。
【0112】
本発明の異なる実施形態において、本発明の組成物は、歯磨き剤、洗口剤、または齲蝕治療用の組成物として製剤することができる。座瘡治療、またはコンタクトレンズの洗浄および消毒のために組成物を製剤することができる(たとえば生理的食塩水として)。
【0113】
本発明の方法を用いて、医療用デバイスを処理することができる。
【0114】
さらに別の態様において、本発明は、本発明の化合物と結合した少なくとも1つの表面を有する医療用デバイスを包含する。
【0115】
本発明の方法を用いて、人工心臓弁もしくは人工股関節といった恒久的な埋込型デバイス、および留置カテーテル、ペースメーカー、外科用ピンなどのような恒久的でない埋込型デバイスを処理することができる。この方法をこのほかに、ヒトもしくは動物のいずれでも受容者の細菌感染に関わる状況、たとえば熱傷患者に対する局所の手当において使用することができる。こうした状況の例として、たとえば熱傷患者において、または嚢胞性線維症患者の肺において認められる、緑膿菌による表在性創傷の感染が考えられる。
【0116】
他の形態において、本発明を使用して、集積回路、回路基板、または他の電子もしくはミクロ電子工学デバイスを処理することができる。
【0117】
さらに別の態様において、本発明は細胞内の生物学的経路を阻害する方法を与えるが、その方法は、本発明の化合物を細胞に投与することを含む。
【0118】
専門用語
「アルキル」という用語は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチルなどといった、いずれの直鎖アルキル基も意味すると理解される。好ましくは、アルキル基は1から6までの炭素原子からなる低級アルキルである。アルキル基は場合により、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、カルボキシル、ハロアルキル、ハロアルキニル、ヒドロキシ、置換もしくは非置換アルコキシ、アルケニルオキシ、ハロアルコキシ、ハロアルケニルオキシ、ニトロ、アミノ、ニトロアルキル、ニトロアルケニル、ニトロアルキニル、ニトロヘテロシクリル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルケニルアミン、アルキニルアミノ、アシル、アルケノイル、アルキノイル、アシルアミノ、ジアシルアミノ、アシルオキシ、アルキルスルホニルオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロキシ、ヘテロシクラミノ、ハロヘテロシクリル、アルキルスルフェニル、アルキルカルボニルオキシ、アルキルチオ、アシルチオ、リン含有基、たとえばホスホノおよびホスフィニル、から選択される1または複数の基で置換されていてもよい。
【0119】
「アルコキシ」という用語は、直鎖もしくは分枝鎖アルコキシ、好ましくはC1-10アルコキシを示す。例としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシおよび種々のブトキシ異性体が挙げられる。
【0120】
「アルケニル」という用語は、直鎖、分枝鎖、または単環もしくは多環式アルケンおよびポリエンから形成される基を包含する。置換基は、前記で定義されたように、単不飽和もしくは多価不飽和アルキルまたはシクロアルキル基を包含し、好ましくはC2-10アルケニルを包含する。アルケニルの例には、ビニル、アリル、1-メチルビニル、ブテニル、イソブテニル、3-メチル-2-ブテニル、1-ペンテニル、シクロペンテニル、1-メチル-シクロペンテニル、1-ヘキセニル、3-ヘキセニル、シクロヘキセニル、1-ヘプテニル、3-ヘプテニル、1-オクテニル、シクロオクテニル、1-ノネニル、2-ノネニル、3-ノネニル、1-デセニル、3-デセニル、1,3-ブタジエニル、1,4-ペンタジエニル、1,3-シクロペンタジエニル、1,3-ヘキサジエニル、1,4-ヘキサジエニル、1,3-シクロヘキサジエニル、1,4-シクロヘキサジエニル、1,3-シクロヘプタジエニル、1,3,5-シクロヘプタトリエニル、または1,3,5,7-シクロオクタテトラエニルが包含される。
【0121】
「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素、もしくはヨウ素を包含するが、好ましくは臭素もしくはフッ素が挙げられる。
【0122】
「ヘテロ原子」という用語は、O、N、SもしくはSiを意味する。
【0123】
単独で、または「アシルオキシ」、「アシルチオ」、「アシルアミノ」もしくは「ジアシルアミノ」といった複合語として、のいずれかで用いられる「アシル」という用語は、アルカノイル、アロイル、ヘテロイル、カルバモイル、アルコキシカルボニル、アルカンスルホニル、アリールスルホニルを意味するが、好ましくはC1-10アルカノイルである。アシルの例としては、カルバモイル;直鎖もしくは分枝鎖アルカノイル、たとえばホルミル、アセチル、プロパノイル、ブタノイル、2-メチルプロパノイル、ペンタノイル、2,2-ジメチルプロパノイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、ノナノイル、デカノイル;アルコキシカルボニル、たとえばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t-ブトキシカルボニル、t-ペンチルオキシカルボニルもしくはヘプチルオキシカルボニル;シクロアルカンカルボニル、たとえばシクロプロパンカルボニル、シクロブタンカルボニル、シクロペンタンカルボニルもしくはシクロヘキサンカルボニル;アルカンスルホニル、たとえばメタンスルホニルもしくはエタンスルホニル;アルコキシスルホニル、たとえばメトキシスルホニルもしくはエトキシスルホニル;ヘテロシクロアルカンカルボニル;ヘテロシクリルアルカノイル、たとえばピロリジニルアセチル、ピロリジニルプロパノイル、ピロリニルアセチル、ピロリルアセチル、ピロリジニルブタノイル、ピロリジニルペンタノイル、ピロリジニルヘキサノイルもしくはチアゾリジニルアセチル;ヘテロシクリルアルケノイル、たとえばヘテロシクリルプロペノイル、ヘテロシクリルブテノイル、ヘテロシクリルペンテノイルもしくはヘテロシクリルヘキセノイル;またはヘテロシクリルグリオキシロイル、たとえばチアゾリジニルグリオキシロイルもしくはピロリジニルグリオキシロイルが挙げられる。
【0124】
「アリール」という用語は、6から10個までの炭素原子を有するアリール基を表し、たとえば、フェニル、ナフチル、インデニルを包含する。典型的にはアリール基は、フェニルもしくはナフチルであると考えられるが、それはそういった基を有する化合物のほうが他のアリール化合物よりも市販品を容易に利用しやすいためである。
【0125】
「置換アリール」という用語は、1から3個までの置換基を有するアリール基を表すが、この置換基は、独立して、低級アルキル、低級置換もしくは非置換アルコキシ、ハロニトロ、または1から3個までの炭素原子および1から3個までハロゲン原子を有するハロアルキルからなる一群から選択される。典型的な置換アリール基には、たとえば2-フルオロフェニル、2-クロロフェニル、2,6-ジメチルフェニル、4-フルオロフェニル、2-メチルフェニル、2-クロロ、3-クロロメチルフェニル、2-ニトロ、5-メチルフェニル、2,6-ジクロロフェニル、3-トリフルオロメチルフェニル、2-メトキシフェニル、2-ブロモナフト-1-イル、3-メトキシインデン-1-イルなどがある。
【0126】
カルボキシアリール、たとえばカルボキシフェニル、アミノアリール、たとえばアミノフェニル
「親フッ素性」という用語は、高度にフッ素化された鎖長C4-C10のアルキル基のような特定の基と、パーフルオロアルカンおよびパーフルオロアルカンポリマーとの間の強力に引きつける相互作用を示すために使用される。
【0127】
本明細書で使用される「アミノ酸」という用語は、少なくとも1つのアミノ基および少なくとも1つのカルボキシル基を有するあらゆる化合物を包含する。アミノ酸は、天然に存在するアミノ酸でもよいが、非天然型アミノ酸とすることもできる。
【0128】
本発明で使用されるアミンは、反応媒体中に可溶性、または反応媒体に不溶性であってもよい。可溶性アミンの例としては、アンモニア、アルキル-、アリールアルキル-、および複素環式アミンがある。
【0129】
不溶性アミンの例としては、塩基性アミン樹脂、ならびにアミン含有生体高分子および合成高分子がある。
【0130】
「場合により置換されていもよい」という用語は、ハロゲン;ヒドロキシ;ヒドロキシ置換アルキル;置換もしくは非置換S(O)mアルキルまたはS(O)mアリール(mは0、1または2である)、たとえばメチルチオ、メチルスルフィニルまたはメチルスルホニル;アミノ、一または二置換アミノ;アルキル、シクロアルキルまたはシクロアルキルアルキル基;ハロ置換アルキル、たとえばCF3;置換基を有していてもよいアリール、置換基を有していてもよいアリールアルキル、たとえばベンジルもしくはフェネチル(これらのアリール部分はさらに1回から2回ハロゲン;ヒドロキシ;ヒドロキシ置換アルキル;アルコキシ;S(O)mアルキル;アミノ、一および二置換アミノ、置換もしくは非置換アルキルSiO-、たとえば(CH3)3SiO-によって置換されていてもよい)といった基を包含するがそれらに限定されない。
【0131】
本明細書で使用される「医療用デバイス」という用語は、ディスポーザブルもしくはパーマネントカテーテル(たとえば、中心静脈カテーテル、透析用カテーテル、長期トンネル中心静脈カテーテル、短期中心静脈カテーテル、末梢挿入中心カテーテル、末梢静脈カテーテル、肺動脈Swan-Ganzカテーテル、導尿カテーテル、および腹膜カテーテル)、長期排尿デバイス、組織結合型排尿デバイス、人工血管、血管カテーテルポート、創傷ドレーンチューブ、脳室カテーテル、水頭症シャント、心臓弁、心臓補助デバイス(たとえば、左心室補助デバイス)、ペースメーカーカプセル、失禁用デバイス、陰茎インプラント、小さな、または一時的な関節置換、尿路拡張器、カニューレ、エラストマー、ヒドロゲル、外科用器具、歯科用器具、チュービング(たとえば、静脈チューブ、呼吸チューブ、歯科用送水管、歯科用排水管および栄養チューブ)、ファブリック、紙、指示薬試験片(たとえば、指示薬試験紙またはプラスチック製指示薬試験片)、接着剤(たとえば、ヒドロゲル接着剤、ホットメルト接着剤、または溶媒ベースの接着剤)、包帯、整形外科用インプラント、および医学分野で使用される他のあらゆるデバイスを包含する。「医療用デバイス」はまた、ヒトもしくは他の動物に挿入し、もしくは埋め込むことができるあらゆるデバイス、または挿入もしくは埋込部位の近くの皮膚といった、挿入もしくは埋込部位に設置することができるあらゆるデバイスであって、しかもバイオフィルムに埋め込まれた微生物による感染定着を受けやすい少なくとも1つの表面を含むあらゆるデバイスを包含する。医療用デバイスはまた、バイオフィルムに埋め込まれた微生物がその医療用デバイスの少なくとも1つの表面で生育または増殖しないようにすること、およびバイオフィルムに埋め込まれた微生物をその医療用デバイスの少なくとも1つの表面から除去または清浄化することが、望ましくまたは必要とされるあらゆる他の表面、たとえば、手術室、救急処置室、病室、診療室および浴室内の設備機器の表面を包含する。ある特定の実施形態において、バイオフィルム浸透性組成物は粘着テープのような粘着性のものに組み込まれ、それによって粘着物の少なくとも1つの表面でバイオフィルムに埋め込まれた微生物の生育もしくは増殖を予防することができる粘着物が与えられる。
【0132】
埋込可能な医療用デバイスは、整形外科用インプラントを包含する。挿入可能な医療用デバイスは、カテーテルおよびシャントを包含する。医療用デバイスは、当業者に公知のあらゆる適当な金属材料もしくは非金属材料の形態とすることができる。金属材料の例としては、tivanium、チタンおよびステンレス鋼、ならびにそれらの誘導体もしくはそれらの組み合わせがあるが、それらに限定されない。非金属材料の例は、熱可塑性もしくは高分子材料、たとえば、ゴム、プラスチック、ポリエステル、ポリエチレン、ポリウレタン、シリコーン、ゴアテックス(Gortex)(商標)(ポリテトラフルオロエチレン)、ダクロン(Dacron)(商標)(ポリエチレンテレフタラート)、テフロン(Teflon)(ポリテトラフルオロエチレン)、ラテックス、エラストマー、およびゼラチン、コラーゲンもしくはアルブミンでシールされたダクロン(商標)、ならびにそれらの誘導体もしくはそれらの組み合わせを包含するがそれらに限定されない。
【0133】
本発明はまた、AHLによるクオラムセンシングまたはAI-2経路を特徴とする細胞を調節する方法であって、本発明の化合物と細胞を接触させることを含む前記方法も包含する。
【0134】
本明細書の全体を通じて、「含む(comprise)」という言葉、または「含む(comprises)」もしくは「含んでいる(comprising)」といった語形変化は、1つの要素、完全体もしくは段階、または複数の要素、完全体もしくは段階の集合体を包含することを意味するが、それ以外のいずれの1つの要素、完全体もしくは段階、または複数の要素、完全体もしくは段階の集合体も除外するものではないと理解することができる。
【0135】
フラノンおよびその類似体、ならびにこれらの化合物の使用に関わる特許出願PCT/AU01/01621、PCT/AU02/00797、PCT/AU99/00284、PCT/AU99/00285、PCT/AU00/01553、PCT/AU01/00296、PCT/AU01/00295、PCT/AU01/00407、PCT/AU89/00508およびPCT/AU01/00781を参照しているが、これらの開示の全体を参考として本明細書に含めるものとする。
【実施例】
【0136】
発明を実施するための形態
本発明は、下記の実施例においてさらに説明され、それによって例証される。実施例は決して、本発明を制限するものと解釈されるべきでない。
【0137】
実験の詳細
概要
融点は未補正である。微量分析はニューサウスウェールズ大学微量分析研究室(The University of New South Wales Microanalytical Laboratory)のH.P. Pham博士が実施した。1H NMRスペクトルは、CDCl3中でBruker AC300F (300 MHz)またはBruker DMX500 (500 MHz)分光計で測定された。13C NMRは、同じ溶媒中で、Bruker AC300F (75.5 MHz)またはBruker DMX500 (125.8 MHz)分光計で測定された。ケミカルシフトは、溶媒ピーク:CDCl3 (δ 7.26、δ 77.04)を内部標準としてδスケールで測定した。紫外スペクトルは、Hitachi U-3200分光光度計で測定し、無水MeOH溶液を対照とする。赤外スペクトルはPerkin-Elmer 298またはPerkin-Elmer 580B分光光度計で記録したが、パラフィン粒子を対照とする。電子衝撃質量分析法は、VG Quattro質量分析計で、イオン化電圧70eV、イオン源温度200℃にて記録した。FABスペクトルは、AutoSpecQ質量分析計で記録した。カラムクロマトグラフィーは、Merck シリカゲル 60H (Art. 7736)を使用して行い、分取薄層クロマトグラフィーはMreck シリカゲル 60GF254 (Art. 7730)を用い2mmプレートで行った。
【0138】
3-ブチル-5-ジブロモメチル-5-ヒドロキシ-1-フェニル-1,5-ジヒドロピロール-2-オン
3-ブチル-5-ジブロモメチレン-2(5H)フラノン(0.20 g; 0.65 mmol)のアニリン(5 ml)溶液を室温に24時間放置した。その混合物をジクロロメタン(25 ml)で希釈して希塩酸(2M, 20 ml)で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させて黄色の粘稠な油状物(0.30 g)を得た。粗生成物を、ジクロロメタン/酢酸エチル(19:1; v:v)を溶出液として使用してシリカでクロマトグラフ分析した。主生成物である淡黄色のバンドを集めて、軽質石油系溶剤(石油エーテル)から再結晶させ、3-ブチル-5-ジブロモメチル-5-ヒドロキシ-1-フェニル-1,5-ジヒドロピロール-2-オンを融点96-98°Cの無色の柱体(0.24 g、92%)として得た。νmax 3211, 2957, 1679, 1597, 1500, 1417, 1117, 1058, 760, 698 cm-1、λmax: 263nm (εmax 2,955)、202 (2,464). 1H n.m.r. δ(CDCl3): 7.54-7.37, m, Ph; 6.82, 1H, s, C4-H; 5.56, 1H, s, -CHBr2; 3.42, s, C5-OH; 2.43-2.41, m, 2H, CH2; 1.64-0.97, m, C3-鎖。13C n.m.r. δ(CDCl3): 13.7, 14.0, 22.3, 46.6, 92.2, 126.7, 127.4, 129.0, 134.0, 135.5, 136.0, 144.3, 169.0。
【0139】
5-ジブロモメチル-3-ヘキシル-5-ヒドロキシ-1-フェニル-1,5-ジヒドロピロール-2-オン
3-ヘキシル-5-ジブロモメチレン-2(5H)フラノン(0.40g, 1.18 mmol)およびアニリン(1 ml)混合物のエタノール(6 ml)溶液を3時間還流した。溶媒を蒸発させて除き、残渣をジクロロメタン(25 ml)で抽出した。有機相を希塩酸(2M, 2 x 20 ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させて半固体(0.39 g)を得た。粗生成物を、溶出液としてジクロロメタン/酢酸エチル(19:1; v:v)を使用して、シリカでクロマトグラフ分析した。主生成物の淡黄色バンドを集めて軽質石油系溶剤から再結晶し、5-ジブロモメチル-3-ヘキシル-5-ヒドロキシ-1-フェニル-1,5-ジヒドロピロール-2-オンを融点43-45℃の半晶質固体(23%)として得た。(測定値(HRESMS) 451.982217. C17H21Br2NO2Na+ (79Br)の理論値 451.983106)。νmax: 3186, 2926, 1680, 1659, 1492, 1372, 1095, 1059, 897, 850, 766, 747, 699, 671 cm-1. λmax: 261nm (εmax 4051), 206 (26.550). 1H n.m.r. δ(CDCl3): 7.5-7.25, m, 5H, Ph; 6.8, s, 1H, C4-H; 5.5, s, 1H, -CHBr2; 3.77, brs, 1H, C5-OH; 2.44-2.34, m, 2H, CH2; 2.03-0.91, 11H, C3-鎖。13C n.m.r. δ( CDCl3): 14.2, 25.3, 29.0, 31.0, 46.6, 92.0, 104.8, 126.7, 127.0, 136.0, 144.0, 169.0, 172.0。
【0140】
1-ベンジル-3-ブチル-5-ジブロモメチル-5-ヒドロキシ-1,5-ジヒドロピロール-2-オン
3-ブチル-5-ジブロモメチレン-2(5H)フラノン(1.03 g: 3.32 mmol)のベンジルアミン(2ml)溶液を1時間室温に放置し、その間に反応混合物は凝固した。この固体をジクロロメタン(25 ml)に溶解し、希塩酸(2M、20 ml)で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させて黄色の粘稠な油状物を得た。粗生成物を軽質石油系溶剤とともに粉砕して白色固体(1.0 g; 74%)を得たが、これを軽質石油系溶剤から再結晶して1-ベンジル-3-ブチル-5-ジブロモメチル-5-ヒドロキシ-1,5-ジヒドロピロール-2-オンを、融点92-93℃の無色の針状結晶として得た。(測定値(HRESMS) m/z 479.974243. C18H21Br2NO3Na+ (79Br) の理論値 479.978123)。νmax: 2987, 2953, 2920, 1677, 1650, 1449, 1424, 1069 cm-1. λmax: 207 (88,250). 1H n.m.r. δ(CDCl3): 7.4-7.29, m, 5H, Ph; 6.72, s, 1H, C4-H; 5.56, s, 1H, -CHBr2; 4.54, bs, 2H, CH2Ph; 3.0, 1H, C-5 OH; 1.54-0.97, m, C-3 鎖。13C n.m.r.δ(CDCl3): 13.7, 22.3, 29.3, 42.6, 46.8, 91.5, 127.6, 128.3, 128.7, 136.9, 137.0, 160.8, 170.6。
【0141】
1-ベンジル-5-ジブロモメチル-3-ヘキシル-5-ヒドロキシ-1,5-ジヒドロピロール-2-オン
方法A
3-ヘキシル-5-ジブロモメチレン-2(5H)フラノン(1.03 g: 3.32 mmol)のベンジルアミン(2 ml)溶液を室温にて0.5時間撹拌した。ジクロロメタン(15 ml)を反応混合物に添加して、沈澱した固形物を濾別した。濾液を希塩酸(2M、20 ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させて黄色い粘稠な油状物を得た(0.36g)。粗生成物を、溶出液としてジクロロメタン/酢酸エチル(19:1)を使用して、シリカでクロマトグラフ分析し、軽質石油系溶剤から再結晶して、1-ベンジル-5-ジブロモメチル-3-ヘキシル-5-ヒドロキシ-1,5-ジヒドロピロール-2-オン (0.11g)を融点105-108℃の無色の針状結晶として得た。(測定値(HRESMS) m/z 465.994011. C18H23Br2NO2Na+ (79Br)の理論値 465.998758. νmax: 3195, 2987, 2924, 2858, 1676, 1649, 1425, 1153, 1068, 968, 845, 730, 599 cm-1. λmax: 205 (εmax 7740) nm. 1H n.m.r.δ(CDCl3): 7.39-7.26, m, 5H, Ph; 6.7, s, 1H, C4-H; 5.6, s, 1H, -CHBr2; 4.54, d, J 15 Hz, 2H, CH2Ph; 2.89-2.35, m, 2H, CH2; 1.60-0.87, m, 13H, C3-鎖。13C n.m.r. δ (CDCl3): 14, 22.45, 25, 27, 28.8, 31.4, 42,5, 46.7, 91.5, 127.6, 128.5, 128.6, 136.6, 136.7, 144.0, 170.0。
【0142】
方法B
3-ヘキシル-5-ジブロモメチレン-2(5H)フラノン (1.03 g: 3.32 nmol)およびベンジルアミン(2 ml)のエタノール(5 ml)中の混合物を室温にて2.5時間撹拌した。粗生成物を分離し、上記のように精製して、1-ベンジル-5-ジブロモメチル-3-ヘキシル-5-ヒドロキシ-1,5-ジヒドロピロール-2-オンを72%の収率で得た。
【0143】
1-ブチル-5-ジブロモメチル-3-ヘキシル-5-ヒドロキシ-1,5-ジヒドロピロール-2-オン
5-ジブロモメチレン-3-ヘキシル-2(5H)フラノン(0.314 g; 0.93 mmol) のCH2Cl2 (10 ml)溶液に、n-ブチルアミン(0.272 g; 3.72 mmol)を滴下した。この混合物を室温にて5時間撹拌した。CH2Cl2とそれに引き続いてCH2Cl2/EtOAc (19:1)を用いたシリカによるカラムクロマトグラフィーによって主生成物が無色の油状物(0.20 g)として与えられ、これを石油系溶剤から再結晶して1-ブチル-5-ジブロモメチル-3-ヘキシル-5-ヒドロキシ-1,5-ジヒドロピロール-2-オン (52%)が融点85-86℃の無色の針状結晶として与えられた。(測定値(HRESMS) m/z 432.013664. C15H25Br2NO2Na+ (79Br) の理論値 432.014407). νmax: 3230, 2957, 2859, 1672, 1650, 1458, 1422, 1375, 1270, 1233, 1139, 1079, 1023, 728, 666, 612 cm-1. λmax: 259 (εmax 945), 206 (9658) nm. 1H n.m.r. δ (CDCl3): 6.68, s, 1H, C4-H; 5.8, s, 1H, CHBr2; 3.45, m, 1H, N-CH2; 3.10, m, 1H, N-CH2; 3.15, bs, OH; 3.20, m, 2H, -CH2; 2.33-2.31, m, -CH2-鎖; 1.65-0.88, m, 14H, アルキル鎖。13C n.m.r. δ (CDCl3): 13.6, 20, 22, 25, 27, 29, 30.75, 31, 39, 46.6, 91.4, 136, 144.5, 170。
【0144】
N-(2-ヒドロキシエチル)-3-ブチル-5-ジブロムメチル-5-ヒドロキシ-2(5H)ピロリノン
エタノールアミン(1.13g; 18.5 mmol)のCH2Cl2 (5 ml)溶液を、氷冷した3-ブチル-5-ジブロモメチレン-2(5H)-フラノン(1.0g; 9.25 mmol)のジクロロメタン溶液に滴下した。その混合物をこの温度で1時間撹拌した後、室温でさらに1時間撹拌した。混合物を水(3 x 50 ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させて粘稠な油状物(0.63 g)を得た。粗生成物を、溶出液としてEtOAcを用いてシリカでクロマトグラフィー分析し、N-(2-ヒドロキシエチル)-3-ブチル-5-ジブロムメチル-5-ヒドロキシ-2(5H)ピロリノンを、保存中に凝固する油状物として得た。(CH2Cl2/petrol)からの結晶化によって標記の化合物が、融点68-70℃の無色の針状結晶として与えられた。νmax: 3439, 3105, 3065, 2957, 2927, 1701, 1593, 1496, 1465, 1370, 1189, 1139, 1095, 1069, 1037, 945, 835, 763 cm-1. λmax: 203 nm 1H nmr δ(CDCl3): 0.93, t, 3H, CH3; 1.25-1.45, m, 4H, CH2; 2.35, m, 2H, CH2; 3.10, m, 1H, NCH2CH2OH; 3.84, m, 2H, NCH2CH2OH; 4.10, m, 1H, NCH2CH2OH; 5.43, bs, 1H, OH; 5.84, s, 1H, CHBr2; 6.78, s, 1H, H4. 13C n.m.r. δ(CDCl3): 13.73, 22.2, 24.9, 29.3 41.3, 46.7, 61.3, 90.3, 137.5, 142.8, 171.1。
【0145】
5-ジブロモメチル-3-ヘキシル-5-ヒドロキシ-1,5-ジヒドロピロール-2-オン
アセトン/液体窒素浴中の封管内の5-ジブロモメチレン-3-ヘキシル-2(5H)フラノン(0.50 g; 1.48 mmol)に液体アンモニア(5 ml)を添加した。反応混合物を徐々に加温して室温で一晩放置した。アンモニアを徐々に蒸発させた後、生成物をEtOAc (20 ml)で抽出し、水で洗浄してNa2SO4で乾燥し、蒸発させて固体(0.30 g)を得た。粗生成物をシリカカラムで、最初に溶出液としてCH2Cl2を用い、次にEtOAc/MeOH (4:1)を用いて精製した。黄色いバンドが、溶媒除去および石油系溶剤からの結晶化によって、5-ジブロモメチル-3-ヘキシル-5-ヒドロキシ-1,5-ジヒドロピロール-2-オンの融点106-109℃の黄色結晶性固体(0.07g)を与えた。1H n.m.r. δ (CDCl3): 6.61; s, 1H, C4-H; 6.26, s, 1H, -NH; 5.68, s, 1H, CHBr2; 3.2, s, C5-OH; 2.28-2.23, m, -CH2, chain; 1.55-0.91, m, 11 H, chain. 13C n.m.r. δ(CDCl3): 13.9, 22, 25.5, 27, 29, 31.4, 129, 140, 142, 170.5。
【0146】
4-ブロモ-5-ヒドロキシ-5-ヒドロキシメチル-1,5-ジヒドロピロール-2-オン
4-ブロモ-5-ブロモメチレン-2(5H)-フラノン(1.30g, 5.16 mmol)をアンモニア水溶液(20% W/W)に懸濁して室温で1/2時間撹拌した。この間に、フラノンの完全な溶解が認められた。その溶液をおよそ35-40℃で減圧し、最終的には室温にて高真空下で蒸発乾固させた。その結果得られた固体(1.70 g)をエタノールから再結晶して、4-ブロモ-5-ヒドロキシ-5-ヒドロキシメチル-1,5-ジヒドロピロール-2-オンを、融点140-142℃(分解)の無色の粒状体(1.0 g)として得た;νmax: 3259, 3100, 2949, 1667, 1592, 1419, 1370, 1152, 1076, 981, 872, 563 cm-1. λmax 220 (εmax 6077). 1H n.m.r. δ(CDCl3): 8.09, s, -NH; 6.22, d, 2 Hz, H3; 4.97, t, 2 Hz, -CH2OH; 3.37, q, J 2 Hz, OH; 2.48, d, 2Hz, -CH2OH. 13C n.m.r. δ (CDCl3): 69.6, 84.3, 132,8, 152,3, 174.1。
【0147】
4-ブロモ-3-ヘキシル-5-ヒドロキシ-5-ヒドロキシメチル-1,5-ジヒドロピロール-2-オン
4-ブロモ-3-ヘキシル-5-ブロモメチレン-2(5H)-フラノン(0.50 g; 1.48 mmol)をアンモニア水溶液(30 mls; 28%)に懸濁して室温で2時間撹拌し、その間に固体は完全に溶解した。その溶液を蒸発乾固し、残渣をジクロロメタン(25 ml)で抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させて赤色の粘稠油状物を得た。酢酸エチルに引き続いて酢酸エチル/メタノール(4:1)を用いたシリカでのクロマトグラフィーによって固体が与えられたが、これを軽質石油系溶剤から再結晶して4-ブロモ-3-ヘキシル-5-ヒドロキシ-5-ヒドロキシメチル-1,5-ジヒドロピロール-2-オンを、融点134-135℃の無色粒状体 (0.16g; 36%)として得た。νmax: 3304, 3256, 3185, 2961, 1670, 1589, 1441, 1350, 1136, 1069, 983 cm-1; λmax: 221 (εmax 6,678), 196 (3,415) nm。
【0148】
5-エチル-5-ヒドロキシ-4-メチル-1,5-ジヒドロピロール-2-オン
5-エチリデン-4-メチル-2(5H)フラノン(0.02 g; 0.162 mmol)をアンモニア水溶液( 5 ml; 28% w/w)に混合して室温にて1.5時間撹拌し、その間にフラノンは完全に溶解した。この溶液を減圧下で蒸発乾固し、5-エチル-5-ヒドロキシ-4-メチル-1,5-ジヒドロピロール-2-オンが融点182-186℃の白色固体(0.015g; 65%)として残った。(測定値(HRESMS) m/z 164.067448. C6H11NO2Na+ の実測値 160.06815). νmax: 3204, 2980, 1698, 1664, 1633.5, 1445, 1157, 1080, 1016, 983, 852, 769, 578. λmax 207 (εmax23,180 ) nm. 1H n.m.r. δ (DMSO)-d6) 7.97, s, 1H, -NH; 5.55, s, 1H, C3-H; 3.18, s, 1H, C5-OH; 1.79, s, 3H, C4-Me; 1.69-1.52, m, 2H, C5-CH2-Me; 0.34, t, 3H, Me. 13C n.m.r. δ(DMSO-d6): 7.9, 11.9, 29.2, 90.2, 121,7, 162, 171.6。
【0149】
1-ベンジル-5-エチル-5-ヒドロキシ-4-メチル-1,5-ジヒドロピロール-2-オン
5-エチリデン-4-メチル-2(5H)フラノン(0.124 g; 10 mmol)のベンジルアミン(0.128g; 12 mmol)溶液を室温に72時間放置し、その間に反応液から固体が沈澱した。この反応混合物をCH2Cl2/石油系溶剤(1:3)とともに粉砕し、沈澱した固体を濾過し、EtOAc/石油系溶剤から再結晶して、1-ベンジル-5-エチル-5-ヒドロキシ-4-メチル-1,5-ジヒドロピロール-2-オンを融点129-132℃の無色結晶(70%)として得た。νmax: 3247, 3082, 2964, 1669, 1638, 1496, 1353, 1101, 1053, 902, 708 cm-1. λmax: 276 (εmax 2,101), 237 (16,321), 243 (39,646) nm.1H n.m.r. δ(CDCl3): 7.4-7.24, m, 5H, Ph; 5.79, s, 1H, C3-H; 4.46, 2 d, J 15 Hz, -CH2Ph; 3.81, bs, C5-OH; 1.92, s, C4-Me; 1.83-168, m, C5-CH2Me; 0.34, t, J 7.51 Hz, C5-CH2Me. 13C n.m.r. δ (CDCl3): 6.8, 11.85, 26, 41.9, 94, 122, 127, 128, 128.5, 138, 159, 170。
【0150】
5-アミノメチル-4-ヘプチル-5-ヒドロキシ-1,5-ジヒドロピロール-2-オン
5-ブロモ-5-ブロモメチル-4-ヘプチル-2(5H)フラノン(0.50 g; 1.47 mmol)を封管中の液体アンモニアに溶解し、室温に72時間放置した。アンモニアを徐々に蒸発させて、あとには黄色結晶性固体が残留した。この固体を熱酢酸エチル(およそ25 ml)に溶解して、臭化アンモニウムを除去し、透明な濾液を少量 (約7 ml)にまで濃縮して、5-アミノメチル-4-ヘプチル-5-ヒドロキシ-1,5-ジヒドロピロール-2-オンが融点176℃の結晶性固体(0.1 g; 34%)として得られた。νmax: 3370, 3248, 2956, 2926, 2855, 1674, 1627, 1469, 1350, 1227,1095, 1082, 954, 855 cm-1. λmax: 208 (εmax 6845), 291 (2754) nm. 1H n.m.r. δ(CDCl3): 7.53, s, -NH; 5.49, d, C5-CH2NH2; 3.35, 3H, m, -C5-OH and -CH2NH2; 2.23-2.0, m, CH2; 1.52-0.85, m, 13H, アルキル鎖 13C δ(CDCl3): 14, 22.4, 26, 26.5, 28.9, 29, 31.6, 66, 73, 78, 120.5, 167.5, 171.6。
【0151】
5-ブロモメチル-4-ヘプチル-5-ヒドロキシ-1-フェニル-1,5-ジヒドロピロール-2-オン
5-ブロモ-5-ブロモメチル-4-ヘプチル-2(5H)フラノン(0.51g; 1.5 mmol)を無水アニリン(5 ml)に溶解した。混合物はまもなく凝固した;それを室温に24時間放置した。ジクロロメタン(25 ml)をこの混合物に添加し、有機相を希塩酸(2M)および食塩水で洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥した有機相を蒸発させて、黄色固体(0.50 g; 91%)を得た。軽質石油系溶剤から再結晶して、5-ブロモメチル-4-ヘプチル-5-ヒドロキシ-1-フェニル-1,5-ジヒドロピロール-2-オンが融点152-154℃の無色針状結晶として与えられた。λmax: 257( εmax 3947), 202 (27,313) nm. 1H n.m.r. δ(CDCl3): 7.55-7.26, m, 5H, Ph; 5.79, s, C3-H; 4.52, 1H, C5-OH; 3.39, d, 2H, C5-CH2Br; 2.27-2.12, m, 2H, chain; 1.6-0.91, m, 13H, chain. 13C n.m.r. δ(CDCl3): 14, 22.5, 25.6, 25.8, 29, 29.2, 30.4, 31.6, 121.6, 126, 126.7, 130, 134.6, 163, 170.5。
【0152】
1-ベンジル-5-ブロモメチル-4-ヘプチル-5-ヒドロキシ-1,5-ジヒドロピロール-2-オン
エタノール(6 ml)中にベンズアミン(0.30g; 2.82 mmol)と5-ブロモ-5-ブロモメチル-4-ヘプチル-2(5H)フラノン(0.51g, 1.5 mmol)を入れた混合物を室温で1時間撹拌した。ジクロロメタン(25 ml)をこの反応混合物に添加し、有機相を希塩酸(2M)で、次に食塩水で洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧下で蒸発させ、1-ベンジル-5-ブロモメチル-4-ヘプチル-5-ヒドロキシ-1,5-ジヒドロピロール-2-オンを、粘稠な油状物(0.52 g; 97%)として得たが、これは冷蔵庫内におくと凝固した。軽質石油系溶剤から無色の針状結晶;融点94-96℃。νmax: 3270, 3062, 3033, 2957, 2854, 1667, 1637, 1607, 1496, 1416, 1335, 1297, 1257, 1190, 1161, 1140, 1109, 1030, 950, 884, 865, 769 cm-1. λmax: 251 ( εmax 2391), 206 (18,974) nm. 1H n.m.r. δ (CDCl3): 7.36-7.28, m, 5H, Ph; 5.85, s, C3-H; 4.54 および 3,42, 2d, それぞれ2H, C5-CH2Br および CH2Ph; 3.42, bs, 1H, C5-OH, 2.31-2.15, m, 2H, CH2; 1.62-0.88, m, 13H, アルキル鎖。13C, n.m.r. δ(CDCl3): 14, 22.5, 25.5, 26, 29, 29.2, 30.87, 41.9, 122, 127, 128.3, 137.5, 163, 171。
【0153】
3-アルキル-5-ハロメチレン-1,5-ジヒドロピロール-2-オンの合成
3-ブチル-5-ジブロモメチレン-1-フェニル-1,5-ジヒドロピロール-2-オン
3-ブチル-5-ジブロモメチル-5-ヒドロキシ-1-フェニル-1,5-ジヒドロピロール-2-オンのクロロホルム溶液に五酸化リンを添加した。その結果得られた混合物を一晩室温にて撹拌し、セライトパッドに通した。粗生成物をシリカのクロマトグラフィーにかけ、軽質石油系溶剤から再結晶して3-ブチル-5-ジブロモメチレン-1-フェニル-1,5-ジヒドロピロール-2-オンを橙色針状結晶(78%)として、石油系溶剤から橙色結晶として得た。(測定値(HRESMS) m/z 419.954622. C16H17Br2NONa+ (79Br) の理論値 419.955896) λmax 202 (εmax 8137), 195 (3850) nm. 1H n.m.r. δ (CDCl3): 7.22-7.17, m, 5H, Ph; 7.17, s, C4-H; 2.38-2.36, m, 2H, CH2; 1.65-0.96, m, C3-鎖。 13C n.m.r. δ(CDCl3): 13.6, 22,3, 25.2, 29,5, 128.3, 128.8, 132.1, 139, 140, 171.8。
【0154】
3-ヘキシル-5-ジブロモメチレン-1-フェニル-1,5-ジヒドロピロール-2-オン
3-ヘキシル-5-ジブロモメチル-5-ヒドロキシ-1-フェニル-1,5-ジヒドロピロール-2-オンから上記のようにして3-ヘキシル-5-ジブロモメチレン-1-フェニル-1,5-ジヒドロピロール-2-オンを調製した。石油系溶剤からの黄色粒状体。νmax: 3378, 2957, 2925, 2854, 1692, 1598, 1501, 1492, 1445, 1122, 1081, 743, 677 cm-1。 λmax: 309 (εmax 19,681) nm. 1H n.m.r. δ(CDCl3): 7.4-7.17, m, 6H, Ph および H4; 2.37-2.34, m, 2H, CH2; 1.57-0.89, m, 11H, C3-鎖。
【0155】
1-ベンジル-3-ブチル-5-ジブロモメチレン-1,5-ジヒドロピロール-2-オン
P2O5 のCHCl3溶液を用いて、室温にて72時間、1-ベンジル-3-ブチル-5-ジブロモメチル-5-ヒドロキシ-1,5-ジヒドロピロール-2-オンを脱水した。混合物をセライトで濾過し、減圧下で溶媒を蒸発させて粘稠の油状物を得たが、これは冷蔵庫で保存中に凝固した。その固体をメタノール/水から再結晶して1-ベンジル-3-ブチル-5-ジブロモメチレン-1,5-ジヒドロピロール-2-オンを融点56-58℃(91%)の無色板状結晶を得た。νmax: 2954, 1706, 1626, 1495, 1453, 1494, 1435, 1386, 1352, 1269, 1235, 1095, 765 cm-1。 λmax: 324 (εmax 5985), 283 (16,201), 206 (10,972) nm.1H n.m.r. δ(CDCl3): 7.3-7.07, m, 6H, Ph および H4; 5.26, s, CH2Ph, 2.4-2.36, m, 2H, CH2; 1.6-0.95, m, C3-鎖。 13C n.m.r. δ(CDCl3): 13.7, 22, 25, 29.6, 44.2, 74.7, 89.25, 126, 127, 128, 132, 137.8, 138.8, 140, 172.1。
【0156】
1-ベンジル-5-ジブロモメチレン-3-ヘキシル-1,5-ジヒドロピロール-2-オン
この化合物は1-ベンジル-3-ブチル-5-ジブロモメチレン-1,5-ジヒドロピロール-2-オンについて記載の方法にしたがって調製された。νmax: 2960, 2848, 2923, 2854, 1696, 1592, 1496, 1453, 1354, 1316, 977, 830, 738, 630 cm-11H n.m.r. δ(CDCl3): 7.3-7.08, m, 5H, Ph; 7.26, s, 1H, H4; 5,26, 2H, -CH2Ph; 2.4-2.36, m, 2H, CH2; 1.56-1.32, m, C3-鎖。
【0157】
1-ブチル-5-ジブロモメチレン-3-ヘキシル-1,5-ジヒドロピロール-2-オン
この化合物は1-ベンジル-3-ブチル-5-ジブロモメチレン-1,5-ジヒドロピロール-2-オンについて記載の方法にしたがって調製された。収率(30%)。νmax: 2956, 2928, 2858, 1705, 1586, 1452, 1360, 1335, 1194, 1135, 1058, 846, 829 741 cm-1 ; λmax: 290 (εmax 18,927), 203 (9,409) nm. 1H n.m.r. δ (CDCl3): 7.0, s, 1H, C4-H,; 3.99-3.93, t, 2H, -CH2N-; 2.3, t, -CH2- 鎖; 1.56-0.88, m, 16H, 鎖。 13C n.m.r. δ(CDCl3): 13.7, 14, 19.7, 22.4, 25, 27, 29, 31.4, 32.1, 40.6, 132, 137, 139, 140.6, 172.0。
【0158】
5-ジブロモメチレン-3-ヘキシル-1,5-ジヒドロピロール-2-オン
この生成物は上記のような5-ジブロモメチル-3-ヘキシル-5-ヒドロキシ-1,5-ジヒドロピロール-2-オンの脱水によって調製された;融点103-105℃。
【0159】
5-エチリデン-4-メチル-1,5-ジヒドロピロール-2-オン
5-エチル-5-ヒドロキシ-4-メチル-2(5H)ピロリノンをP2O5のジクロロメタン溶液で脱水して5-エチリデン-4-メチル-1,5-ジヒドロピロール-2-オンとした。νmax: 3158, 3093, 3036, 1670, 1495, 1434, 1397, 1381, 1356, 1279, 956, 867, 796, 639. λmax: 173 (εmax 33,010) nm. 1H n.m.r. δ (CDCl3): 8.94, s, 1H, -NH; 5.85, 1H, s, C3-H; 5.33, q, J 7.53 Hz, -=CHCH3; 2.1, s, 3H, C4-Me; 1.92, d, J 7.53, C5-Me-CH=. 13C n.m.r. δ(CDCl3): 11.7, 12.9, 107, 120.5, 140, 148, 172.0。
【0160】
1-ベンジル-5-エチリデン-4-メチル-1,5-ジヒドロピロール-2-オン
1-ベンジル-5-エチリデン-4-メチル-1,5-ジヒドロピロール-2-オンは、前記のように1-ベンジル-5-エチル-5-ヒドロキシ-4-メチル-1,5-ジヒドロピロール-2-オンの脱水によって調製された。λmax: 206 (εmax 2132) nm。
【0161】
5-ブロモメチレン-4-ヘプチル-1-フェニル-1,5-ジヒドロピロール-2-オン
5-ブロモメチル-5-ヒドロキシ-4-ヘプチル-1-フェニル-1,5-ジヒドロピロール-2-オンのトルエン溶液にp-トルエンスルホン酸(0.05g)を添加した。混合物を1/2時間還流し、冷却後、飽和NaHCO3で洗浄した。有機相をNa2SO4で乾燥し、蒸発させて、5-ブロモメチレン-4-ヘプチル-1-フェニル-1,5-ジヒドロピロール-2-オンのE、Z混合物を無色油状物として得たが、これは放置すると凝固した;融点63-65℃。νmax: 3414, 3080, 2952, 2853, 1695, 1627, 1597, 1499, 1446, 1382, 1269, 1074, 907, 831 cm-1; λmax: 317 (εmax 22,834), 278 (43,910), 204 (46,925) nm; 1H n.m.r. δ (CDCl3): 7.4-7.24, m, 5H, Ph, 6.04 および 5.94, 2 s, それぞれ1H, =CHBr および C3-H; 2.45, m, 2H, CH2; 1.65-0.9, m, 13H, アルキル鎖。
【0162】
1-ベンジル-5-ブロモメチレン-4-ヘプチル-1,5-ジヒドロピロール-2-オン
トルエン中で1-ベンジル-5-ブロモメチル-4-ヘプチル-5-ヒドロキシ-1,5-ジヒドロピロール-2-オン溶液をp-トルエンスルホン酸とともに加熱すると、1-ベンジル-5-ブロモメチル-4-ヘプチル-5-ヒドロキシ-1,5-ジヒドロピロール-2-オンは、容易に脱水して1-ベンジル-5-ブロモメチレン-4-ヘプチル-1,5-ジヒドロピロール-2-オンのEおよびZ混合物となった;融点52-55℃;νmax: 3096, 2927, 2857, 1704, 1630, 1387, 1357, 954, 855, 843 cm-1max: 319 (εmax 10,220), 276 (19,433), 206 (17,040) nm; 1H n.m.r. δ(CDCl3): 7.29-7.15, m, 5H, Ph; 6.15 および 5.98, 2s, それぞれ1H, =CHBr および C3-H; 2.39, m, 2H, CH2; 1.7-0.89, m, 13H, アルキル鎖。
【0163】
N-(2-ヒドロキシエチル)-3-ブチル-2(5H)ピロリノンの無水酢酸およびトリエチルアミンとの反応
N-(2-アセトキシエチル)-3-ブチル-5-(ジブロモメチレン)-2(5H)ピロリノン
無水ジクロロメタン(10 ml)中のN-(2-ヒドロキシエチル)-3-ブチル-5-ジブロモメチル-5-ヒドロキシ-2(5H)ピロリノン(0.2g, 0.54 mmol)、無水酢酸(0.44g; 4.4 mmol)およびトリエチルアミン(0.44g; 4.4 mmol)の混合物を2時間還流した。室温に冷却後、混合物を炭酸水素ナトリウム水溶液および食塩水で洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させて粘稠な油状物を得た。1H n.m.rは、それが、モノ- (88%)およびジ-アセタート(12%)誘導体の混合物であることを示した。溶出液としてEtOAc/CH2Cl2 (5:1)を用いたシリカでのクロマトグラフィーによって、5-アセトキシ-N-(2-アセトキシエチル)-3-ブチル-5-ジブロモメチル-2(5H)ピロリノン (12%)が油状物として得られた。νmax: 2957, 2931, 2875, 1766, 1720, 1433, 1369, 1236, 1044, 1013, 855, 707 cm-1. λmax: 217 (εmax 1692), 268 (738) nm. 1H n.m.r. δ (CDCl3) 0.91 (t, 3H, CH3); 1.38 (m, 2H, CH2); 1.55 (m, 2H, CH2); 2.05 および 2.10 (それぞれ s, 3H, CH3); 2.34 (m, 2H, CH2); 3.61 (m, 1H, NCH2CH2); 3.64 (m, 1H, NCH2CH2); 4.27 (m, 2H, NCH2CH2); 6.26 (s, 1H, CHBr2); 6.83 (s, 1H, H4). 13C n.m.r. δ (CDCl3) 13.7, 20.8, 21.2, 22.1, 24.9, 38.7, 44.1, 61.5, 94.1, 134.2, 144.3, 168.4, 170.6, 171.0。N-(2-アセトキシエチル)-3-ブチル-5-ジブロモメチル-5-ヒドロキシ-2(5H)ピロリノン (88%) 1H n.m.r. δ (CDCl3) 0.93 (t, 3H, CH3); 1.38 (m, 2H, CH2); 1.55 (m, 2H, CH2); 2.21 (s, 3H, CH3); 2.34 (m, 2H, CH2); 3.27 (m, 1H, NCH2CH2); 4.04 (m, 2H, NCH2CH2); 4.30 (s, 1H, OH); 4.62 (m, 1H, NCH2CH2); 5.85 (s, 1H, CHBr2); 6.73 (s, 1H, H4). 13C n.m.r. δ (CDCl3) 13.7, 20.9, 22.2, 24.9, 29.3, 38.1, 45.9, 62.5, 91.0, 137.4, 143.3, 170.4, 171.9。
【0164】
トルエン中でp-トルエンスルホン酸によってN-(2-アセトキシエチル)-3-ブチル-5-ジブロモメチル-5-ヒドロキシ-2(5H)ピロリノンを脱水することによって、定量的にN-(2-アセトキシエチル)-3-ブチル-5-(ジブロモメチレン)-2(5H)ピロリノンが与えられた。νmax: 2957, 2929, 2870, 1744, 1705, 1441, 1368, 1229, 1177, 1161, 1130, 1035, 830, 764 cm-1. 1H n.m.r. δ(CDCl3) 0.93 (t, 3H, CH3); 1.36 (m, 2H, CH2); 1.55 (m, 2H, CH2); 2.02 (s, 3H, CH3); 2.32 (m, 2H, CH2); 4.25-4.31 (m, 4H, NCH2CH2); 7.05 (s, 1H, H4). 13C n.m.r. δ (CDCl3) 13.7, 20.7, 22.3, 25.1, 29.5, 39.5, 62.3, 73.8, 132.4, 138.6, 140.3, 170.6, 172.0。
【0165】
N-(2-アセトキシエチル)-3-ブチル-2(5H)ピロリノンの加水分解
N-(2-ヒドロキシエチル)-3-ブチル-5-(ジブロモメチレン)-2(5H)ピロリノン
N-(2-アセトキシエチル)-3-ブチル-5-(ジブロモメチレン)-2(5H)ピロリノン(0.2g, 0.51 mmol)のメタノール(7ml)溶液に、炭酸カリウム(1 g)水溶液(水3ml)を滴下した。混合物を室温で20分間撹拌した後、減圧下でメタノールを除去し、生成物を酢酸エチル(2 x 40 ml)で抽出した。その結果得られた抽出物を合わせて食塩水で洗浄し、乾燥(Na2SO4)して蒸発させ、油状物(0.18 g; 94.5%)を得たが、これは冷蔵庫保存で凝固した。軽質石油系溶剤から再結晶してN-(2-ヒドロキシエチル)-3-ブチル-5-ジブロモメチレン-2(5H)ピロリノンが融点48-50℃の無色の粒状体として与えられた。νmax 3404, 2957, 2930, 2880, 1720, 1651, 1465, 1348, 1207, 1081, 1054, 1018, 936, 850, 716 cm-1. λmax 206 (εmax 25,389), 239 (6,758), 288 (2,186) nm. 1H n.m.r. δ(CDCl3) 0.91 (t, 3H, CH3); 1.36 (m, 2H, CH2); 1.54 (m, 2H, CH2); 2.29 (m, 2H, CH2); 3.83 (m, 2H, NCH2CH2); 4.20 (m, 2H, NCH2CH2); 7.02 (s, 1H, H4). 13C n.m.r δ(CDCl3) 13.7, 22.3, 24.9, 29.5, 43.3, 46.8, 61.9, 74.5, 132.3, 138.6, 140.5, 173.2。
【0166】
5-フェニルアミノメチレン-2(5H)フラノンの合成
4-ブロモ-5-フェニルアミノメチレン-2(5H)フラノン
4-ブロモ-5-ブロモメチレン-2(5H)-フラノン(0.30 g; 0.79 mmol)をアニリン(5 ml)に溶解し、その溶液を室温に3時間放置したが、その間に混合物は凝固した。その固体をCH2Cl2/石油系溶剤 (1:1; v/v, 20 ml)とともに粉砕して濾過した。その結果得られた固体を乾燥し、エタノールから再結晶して、4-ブロモ-5-フェニルアミノメチレン-2(5H)フラノン(0.24g, 49%)を融点200-202℃(分解)の黄色針状結晶として得た。(測定値(HRESMS) m/z 287.963053. C11H8BrNO2Na+ (79Br) の理論値 m/z 287.963840). νmax 3233, 3127, 1730, 1697, 1595, 1498, 1276, 1195, 932, 798, 756 cm-1. λmax 397 nm (εmax 50,686); 246 (12,769), 202 (15,961). 1H n.m.r. δ(CDCl3): 9.99, d, J 10.44 Hz, 1H, -NHPh; 7.31-6.99, m, Ph; 7.07, d, J 10.44 Hz, 1H, =CHNHPh; 6.16, s, C3-H. 13C n.m.r. δ(CDCl3): 109.0, 116.2, 117.9, 129.9, 129.8, 133.9, 167.5。
【0167】
5-フェニルアミノメチレン-4-ブロモ-3-ブチル-2(5H)-フラノン
4-ブロモ-3-ブチル-5-ブロモメチレン-2(5H)-フラノン(0.25 g; 0.81 mmol)のアニリン(0.082 g; 0.88 mmol)溶液を室温に72時間放置した。その混合物をCH2Cl2 (50 ml)で希釈し、希塩酸(2M)で洗浄して無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒を除去し、あとに褐色の粘稠油状物(0.29 g)が残された。粗生成物を、ジクロロメタンを用いてシリカのクロマトグラフィーにかけ、5-フェニルアミノメチレン-4-ブロモ-3-ブチル-2(5H)-フラノンを黄色固体として得た。1H n.m.r δ (CDCl3): 7.40-6.80, m, 5H, Ph; 6.70, d J 12.5 Hz, =CH(NH)Ph; 2.42-2.40, m, 2H, CH2-鎖; 1.7-1.2, m, 4H, CH2-鎖; 0.95, t J 7.3 Hz, CH3. (測定値 (HRESMS) m/z 344.021931. C15H16BrNO2Na+ (79Br) の理論値 m/z 344.021891)。
【0168】
4-ブロモ-5-フェニルアミノメチレン-3-ヘキシル-2(5H)フラノン
4-ブロモ-3-ヘキシル-5-ブロモメチレン-2(5H)-フラノン(0.50g; 1.48 mmol)およびアニリン(1 ml)をエタノール(10 ml)に入れた混合物を2時間加熱還流した。室温に冷却した後、混合物を蒸発乾固して、残渣をジクロロメタン(20 ml)で抽出した。有機相を希塩酸(2M)で洗浄して無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を除去し、その固体を軽質石油系溶剤から再結晶して、3-ブロモ-5-フェニルアミノメチレン-3-ヘキシル-2(5H)フラノンが黄色針状結晶;融点147-148℃として与えられた。νmax: 3242, 3161, 3109, 29212, 2842, 1728, 1683, 1600, 1581, 1500, 1350, 1236, 1055, 960, 750, 673 cm-1. λmax: 394 (εmax 26,287) , 247 (8002) nm. 1H n.m.r.δ (CDCl3): 7.32-6.97, m, 5H, Ph: 6.98, s, -NHPh; 6.73, s, C5 =CH-NHPh; 2.4, t, -CH2-鎖; 1.61-0.88, m, 11H, chain. 13C n.m.r.δ (CDCl3): 14.0, 22.0, 24.8, 27.6, 29, 31.0, 103.0, 113.0, 115.0, 122.5, 124.0, 129.5, 129.5, 131.0, 139.9, 167.0。
【0169】
5-フェニルアミノメチレン-4-ヘプチル-2(5H)フラノン
5-フェニルアミノメチル-4-ヘプチル-5-ヒドロキシ-2(5H)ピロリノン
5-ブロモメチレン-4-ヘプチル-2(5H)フラノン(0.44g; 1.61 mmol)を無水アニリン(2 ml)に溶解して室温で24時間放置した。ジクロロメタン(10 ml)を反応混合物に添加し、有機相を希塩酸(2M)、次いで水で洗浄した。硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を蒸発させて淡黄色固体を得た。粗生成物を、溶出液としてジクロロメタン、次いでCH2Cl2/EtOAc (2:1; v:v)を用いたシリカカラムのクロマトグラフィーにかけて、5-フェニルアミノメチル-4-ヘプチル-5-ヒドロキシ-2(5H)フラノン (0.43g; 88%)を、融点172-174℃の淡黄色固体として得た。νmax: 3192, 3037, 2957, 2931, 2953, 1676, 1643, 1598, 1502, 1493, 1336, 1250, 1160, 923, 757 cm-1. λmax 278 (εmax 7188), 203 (8609) nm. 1H n.m.r. δ(CDCl3): 7.53-7.25, 6H, Ph and -NHPh; 5.73, s, 1H,C3-H; 5.11,s, 1H, C5-OH; 3.37, d, 2H, -CH2NHPh; 2.2-2.0, m, 2H, -CH2-chain; 1.25-0.91, m, 13H, chain. 13C n.m.r.δ(CDCl3): 14.0, 22.6, 25.5, 25.3, 25.8, 29.0, 29.2, 30.4, 31.6, 93.4, 121.8, 126.0, 126.7, 129.0, 134.6, 163.0, 170.4。
【0170】
5-フェニルアミノメチレン-4-ヘプチル-2(5H)フラノン
5-フェニルアミノメチル-4-ヘプチル-5-ヒドロキシ-2(5H)フラノン試料を、p-トルエンスルホン酸のトルエン溶液を用いて脱水し、5-フェニルアミノメチレン-4-ヘプチル-2(5H)フラノンのEおよびZ混合物を無色油状物として得たが、これは冷蔵庫で保存中に凝固した。νmax: 3088(-NH), 3052, 2927, 2856, 1712, 1626, 1598, 1499, 1454, 1264, 1195, 759, 699 cm-1. λmax 292 (εmax 7623), 204 (4728) nm. 1H n.m.r. δ (CDCl3): 7.4-7.25, 6H, Ph and -NHPh; 6.19-6.1, d, 1H, C3-H; 5.93-6.0, 1H, d, C5- =CHNHPh; 1.68-0.90, 15H, chain. 13C n.m.r.δ (CDCl3): 14, 22.5, 26.4, 28.1, 28.9, 29.0, 29.2, 30.0, 31.6, 31.7, 88.7, 93.0, 118.5, 122.6, 127.8, 128.2, 128.4, 128.6, 128.7, 129.3, 129.5, 134.0, 135.0, 142.0, 143.0, 152.0, 153.2, 168.0。
【0171】
4-メチル-5-(1-フェニルアミノ-エチリデン)-5H-フラン-2-オン
5-エチリデン-4-メチル-2(5H)フラノン(0.31 g; 2.5 mmol)のアニリン(0.26 g; 2.75 mmol)溶液を室温に3時間放置し、その間にその混合物から固体が沈澱した。反応混合物をCH2Cl2/石油系溶剤 (1:1)でとともに粉砕し、EtOAc/石油系溶剤から再結晶して、5-エチル-5-ヒドロキシ-4-メチル-1-フェニル-1,5-ジヒドロピロール-2-オンを融点97-100℃の無色結晶(70%)として得た。νmax: 3287, 1884, 1704, 1530, 1496, 1353, 1101, 1053, 971, 897, 790, 756, 688, 638 cm-1. λmax: 273 (εmax 15,256), 226 (16,382), 243 (39,646) nm. 1H n.m.r. δ(DMSO-d6) 10.11, s, 1H, -NH; 7.57, d, 2H, ArH; 7.30, t, 3H, ArH; 6.08, s, 1H, C3-H; 3.27, s, 3H, CH3; 1.96, s, 3H, CH3. 13C n.m.r. δ(CDCl3): 20.9, 119.6, 123.7, 123.8, 129.1, 139.3, 142.9, 163.1, 170.4。
【0172】
5-アリールアミノおよびアリールアルキルアミノ-2(5H)フラノンの合成
4-ブロモ-5-ベンジルアミノ-5-ブロモメチル-2(5H)フラノン
氷冷した4-ブロモ-5-(ブロモメチレン)-2(5H)フラノン(0.16 g; 0.64 mmol)のジクロロメタン(10 ml)溶液にベンジルアミン(0.10 g; 0.95 mmol)を撹拌しながら添加した。その混合物を室温で2.5時間撹拌し、希塩酸(1M, 10 ml)で洗浄し、乾燥(Na2SO4)し、蒸発させて褐色の油状物を得た。粗生成物を、溶出液としてジクロロメタン/酢酸エチル(1:4; v:v)を用いたシリカのクロマトグラフィーにかけ、ジクロロメタン/軽質石油系溶媒から再結晶して4-ブロモ-5-ベンジルアミノ-5-ブロモメチル-2(5H)フラノンを融点137-139℃の橙色薄片として得た。(測定値 (HRESMS) m/z 381.901032. C12H11Br2NO2Na+ (79Br) の理論値 381.904812). νmax 3256, 1674, 1655, 1431, 1413, 1352, 1072, 1054, 699 cm-1. λmax 257 (εmax 2879) nm. 1H n.m.r. δ(CDCl3): 7.38,d, J 11 Hz, 1H,-NHCH2-; 7.37-7.29, m, Ph; 6.38, s, C3-H, 4.65, d, J 15 Hz, 1H, -CH2Br; 4.44, d, J 15 Hz, 1H, -CH2Br および 3.58-3.44, dd, J 15 Hz, CH2Ph. 13C n.m.r.δ(CDCl3): 30.6, 42.8, 53.0, 92.2, 128.0, 128.2, 128.9, 137.0, 142.0, 168.0。
【0173】
4-ブロモ-5-ベンジルアミノ-5-ブロモメチル-3-ヘキシル-2(5H)フラノン
4-ブロモ-3-ヘキシル-5-ブロモメチレン-2(5H)-フラノンの(0.50 g; 1.48 mmol)のエタノール(6 ml)溶液にベンジルアミンを(0.32g; 2.96 mmol)を撹拌しながら添加した。その混合物を室温で1時間撹拌し、蒸発乾固した。残渣をジクロロメタン(20 ml)で抽出し、このジクロロメタン抽出物を希塩酸(2M)で洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を除去して濃厚な粘稠油状物が与えられた。ジクロロメタンに引き続いてジクロロメタン/酢酸エチル(19:1)を溶出液として用いてシリカゲルカラムクロマトグラフィーを行い、4-ブロモ-5-ベンジルアミノ-5-ブロモメチル-3-ヘキシル-2(5H)フラノン(0.36g; 56%)が融点72-75℃の粘稠油状物として与えられた。νmax3277, 3065, 3032, 2954, 2928, 2857,1681, 1496, 1411, 1355, 1151, 1064, 1104, 1030, 988, 907, 726, 698. λmax: 277 (εmax: 39,542), 205 (38,034) nm. 1H n.m.r. δ (CDCl3): 7.4-7.26, m, Ph; 4.8-4.74, d, および 4.4, d, C5-CH2Br; 3.6 および 3.53, d, C5-NHCH2Ph; 2.42-2.33. m. -CH2, chain; 1.56-0.85, m, 11H, chain. 13C n.m.r. δ (CDCl3): 22.0, 25.0, 27.0, 28.8, 31.4, 42.9, 46.7, 49.5, 90.6, 91.6, 127.0, 128.0, 129.0, 136.0, 136.7, 136.9, 138.0, 140.0, 144.0, 168.0, 170.6。
【0174】
5-フェニルアミノ-3,5-ジメチル-2(5H)-フラノン
方法A
3,5-ジメチル-5-ヒドロキシ-2(5H)-フラノン(0.13g; 1.02 mmol)の無水アニリン溶液(2 ml)を室温で1時間撹拌した。この混合物の薄層クロマトグラフィー分析(展開溶媒;CH2Cl2)は、出発物質の消失によって示されるように、反応の完了を示した。ジクロロメタン(25 ml)をこの混合物に添加し、その溶液を希塩酸(1M; 3 x 20 mls)で洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させて5-フェニルアミノ-3,5-ジメチル-2(5H)-フラノンを粘稠な油状物として得たが、これは保存中に凝固した(0.013 g)。試料をジクロロメタン/軽質石油系溶剤から再結晶して、上記フラノンを無色針状結晶として得た。νmax 3360, 3088, 2965, 1770, 1601, 1570, 1536, 1294, 1246, 1132, 1040, 999, 867, 756, 697 cm-1. λmax 236 nm. 1H n.m.r. δ(CDCl3): 7.18, t, 2H Ph; 6.90, t, 1H, ArH, 6.89, s, 1H, H4, 6.83, d, 2H, ArH; 4.24, bs, 1h, OH; 1.91, s, 3H, C3-Me;1.75, s, 3H, -Me. 13C n.m.r. δ(CDCl3): 10.4, 26.2, 95.5, 121.3, 122.7, 128.9, 132.4, 133.5, 141.9, 148.8, 156.5, 171.9。
【0175】
方法B
3,5-ジメチル-5-ヒドロキシ-2(5H)-フラノン(0.13g; 1.02 mmol)およびアニリン(2 ml)を無水トルエン(10 ml)に入れた混合物を5時間還流した。混合物を冷却し蒸発させた。残渣をジクロロメタン(25 ml)に溶解し、その溶液を希塩酸(1M; 3 x 20 ml)で洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させて5-フェニルアミノ-3,5-ジメチル-2(5H)-フラノンを粘稠な油状物として得た。粗生成物を、溶出液としてジクロロメタン/酢酸エチル(19:1)を用いたシリカのクロマトグラフィーにかけた(収率58.0%)。
【0176】
5-フェニルアミノ-5-メチル-4-フェニル-2(5H)-フラノン
5-ヒドロキシ-5-メチル-4-フェニル-2(5H)-フラノン(0.13g; 1.02 mmol)およびアニリン(2 ml)を無水トルエン(10 ml)に入れた混合物を5時間還流した。混合物を冷却し、希塩酸(2M; 3 x 20 ml)で洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させて粘稠な油状物を得た。粗生成物を、溶出液としてジクロロメタン/酢酸エチル(19:1)を用いたシリカのクロマトグラフィーにかけ、ジクロロメタン/軽質石油系溶剤から再結晶して、5-フェニルアミノ-5-メチル-4-フェニル-2(5H)-フラノン(0.10 g; 72%)を融点158-160℃の無色の薄片として得た。νmax: 3355, 1724, 1608, 1534, 1501, 1320, 1291, 1376, 1030, 943, 846, 770, 756, 691, 639. λmax 276(εmax 7056), 238 (5615)nm. 1H n.m.r. δ (CDCl3): 7.94-7.44, m, 5H, -Ph; 7.14-6.82, m, 5H,Ph; 6.4, s, 1H, C3-H; 4.53, bs, 1H, -NHPh; 1.9, s, C5-Me. 13C n.m.r.δ(CDCl3): 117.3, 120, 122,5, 128, 129,5, 131, 142, 159, 166, 170。
【0177】
5-ベンジルアミノメチル-3-メチル-2(5H)フラノン
3,5-ジメチル-5-ヒドロキシ-2(5H)-フラノン(0.50g; 2.15 mmol)のジクロロメタン(25 ml)溶液に五酸化リン(2g)を添加した。その混合物を2時間還流し、冷却した溶液をセライトで濾過して、減圧蒸発させ、3-メチル-5-メチレン-2(5H)-フラノンを無色油状物(0.37 g; 82%)として得た。このメチレン生成物をジクロロメタン(5 ml)に溶解し、ベンジルアミン(1.15 g; 10.8 mmol)を室温で添加した。混合物を室温にて1時間撹拌した。溶媒を蒸発させた後、粗生成物を、溶出液としてジクロロメタン/軽質石油系溶剤を用いてシリカのクロマトグラフィーにかけ、5-ベンジルアミノメチル-3-メチル-2(5H)フラノンを無色油状物(0.12 g; 26%)として得た。νmax: 2929, 2854, 1788, 1747, 1715, 1618, 1456, 1388, 1373, 845, 712 cm-1. λlmax: 308 nm (εmax 1462), 260 (5243).1H n.m.r.δ(CDCl3): 7.29-7.21, m, 6H, Ph および -NHCH2Ph; 6.65, s, 1H, C4-H; 4.82,s, 2H, -CH2Ph; 4.70, d, -CH2NHPh; 2.02, s, C3-Me. 13C n.m.r. δ(CDCl3): 10.8, 25.9, 42.9, 95.0, 105.3, 126.9, 127.1, 128.5, 131.2, 134.2, 137.2, 148.4。
【0178】
側鎖官能基の導入
3-(1’-ブロモヘキシル)-1-ブチル-5-ジブロモメチレン-1,5-ジヒドロピロール-2-オン
少量の過酸化ベンゾイル結晶(0.01 g)を含む1-ブチル-5-ジブロモメチル-3-ヘキシル-1,5-ジヒドロピロール-2-オン(0.64 g; 1.63 mmol)のCCl4 (25 ml)溶液にN-ブロモスクシンイミド(0.32g; 1.79 mmol)を添加した。混合物を100ワット蛍光灯の下で24時間加熱還流した。この反応混合物を冷却し、セライトパッドを通過させた。濾液を蒸発乾固して褐色の油状物を得たが、これを、溶出液としてCH2Cl2/石油系溶剤(1:1)を用いてシリカカラムクロマトグラフィーにかけ、3-(1’-ブロモヘキシル)-1-ブチル-5-ジブロモメチレン-1,5-ジヒドロピロール-2-オン(0.46 g; 59.8%)を淡黄色油状物として得た。(測定値(HRESMS): m/z 483.849575. C15H14NB4O3の理論値 483.851758). νmax: 3017,2950, 1709, 1598, 1593, 1480, 1215, 1194, 845, 695, 668 cm-1. λmax: 326 (εmax 4070) nm. 1H n.m.r. δ (CDCl3): 7.28, s, 1H, H4; 4.78, t, -CHBr-鎖; 2.19-2.11,m, -CH2-鎖; 1.53-0.98, m, アルキル鎖. 13C n.m.r. δ (CDCl3): 13.12, 20.95, 26.8, 39, 43.9, 79.5, 95, 128.6, 128.9, 129.4, 133.8, 134.5, 138.2, 139.6, 168.7。
【0179】
3-(1’-ブロモブチル)-1-ブチル-5-ジブロモメチレン-1,5-ジヒドロピロール-2-オン
少量の過酸化ベンゾイル結晶(0.01 g)を含むN-ブチル-5-ジブロモメチル-3-ヘキシル-2(5H)ピロリノン(0.64 g; 1.63 mmol)のCCl4 (25 ml)溶液にN-ブロモスクシンイミド(0.32g; 1.79 mmol)を添加した。混合物を100ワット蛍光灯の下で24時間加熱還流した。この反応混合物を冷却し、セライトパッドを通過させた。濾液を蒸発乾固して半固体(0.69g)を得たが、これを、溶出液としてCH2Cl2/石油系溶剤(1:1)を用いてシリカカラムクロマトグラフィーにかけ、3-(1’-ブロモブチル)-1-ブチル-5-ジブロモメチレン-1,5-ジヒドロピロール-2-オン(0.46g; 60%)を淡黄色油状物として得た。λmax: 2930, 2957, 2871, 1705, 1584, 1357, 1192, 1055, 902, 769, 651 cm-1; λmax: 325 (εmax 11,669), 202 (9,879) nm. 1H n,m,r, δ (CDCl3): 7.29, d, 1H, C4-H; 4.78, t, 1H, C3-CHBr- 鎖; 3.98,t, 2H, >NCH2-; 2.10, m, -CH2-chain; 1.58-0.93, m, 12H, chain; 13C n.m.r. δ (CDCl3): 13.78, 13.96, 19,8, 22.4, 27.4, 31, 32.2, 37, 41, 43.9, 98.7, 132.5, 138.2, 140, 169.0。
【0180】
3-(1’-ブロモブチル)-5-ジブロモメチレン- N-フェニル-1,5-ジヒドロピロール-2-オン
少量の過酸化ベンゾイル結晶(0.01 g)を含む5-ジブロモメチル-3-ブチル-1-フェニル-1,5-ジヒドロピロール-2-オン(0.64 g; 1.63 mmol)のCCl4 (10 ml)溶液にN-ブロモスクシンイミド(0.056g; 0.316 mmol)を添加した。混合物を100ワット蛍光灯の下で24時間加熱還流した。この反応混合物を冷却し、セライトパッドを通過させた。濾液を蒸発乾固して褐色油状物(0.17g)を得たが、これを、溶出液としてCH2Cl2/石油系溶剤(1:1)を用いてシリカカラムクロマトグラフィーにかけ、3-(1’-ブロモブチル)-5-ジブロモメチレン-1-フェニル-1,5-ジヒドロピロール-2-オンを淡色の粘稠油状物(0.10g)として得た。(測定値:HRESMS) m/z: 483.849575, C15H14Br3NONa+ (Br79) の理論値 483.851758. νmax: 3017, 2950, 1709, 1598, 1593, 1480, 1215, 1194, 1122, 845, 756, 695, 668 cm-1max: 326 (εmax 3,896), 202 (5,566) nm. 1H n.m.r. δCDCl3): 7.45, m, 6H, Ph および C3-H; 4.86, t, 1H, C3-CHBr- 鎖; 2.16, m, -CH2 鎖; 1.53-0.98, m, 5H, アルキル鎖. 13C n.m.r.δ (CDCl3): 13, 21, 26.8, 39, 43, 79.5, 95, 107, 128.6, 129.4, 134, 134.5, 138, 139.6, 169。
【0181】
N-フェニル-3-(1’-ヒドロキシブチル)-5-ジブロモメチレン-2(5H)ピロリノン
2,3滴の水を含有するN-フェニル-3-(1-ブロモブチル)-5-ジブロモメチレン-2(5H)ピロリノン(0.0194 mol)のDMSO (60 ml)溶液を室温で6日間放置した。その混合物をジクロロメタン(100 ml)で希釈して、その結果得られた溶液を食塩水(3 x 120 ml)で洗浄した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させて淡黄色の油状物(9.08g)を得た。最初にジクロロメタン、引き続いてジクロロメタン/酢酸エチルを用いてシリカカラムで粗生成物を精製し、N-フェニル-5-ジブロムメチレン-3(1’-ヒドロキシブチル)-2(5H)ピロリノン (6.83g; 88%)が融点93-95℃の淡黄色針状結晶(ジクロロメタン/軽質石油系溶剤)として与えられた。νmax: 3439, 3065, 2957, 2927, 2871, 1701, 1496, 1455, 1370, 1189, 1139, 1095, 1069, 1038, 945, 835, 763, 697 cm-1. λmax 203 (εmax 11,968), 313 (10,707) nm. 1H n.m.r. δ(CDCl3) 0.97 (t, 3H, CH3); 1.39 (m, 2H, CH2); 1.79 (m, 2H, CH2); 4.61, m, 1H, H1’; 2.71, bs, 1H, OH; 7.23 (s, 1H, H4); 7.21-7.44 (m, 5H, ArH). 13C n.m.r. δ (CDCl3) 13.7, 14, 18.5, 37.8, 67.4, 128.6, 128.9, 128.3, 129.5, 131.5, 134.5, 139.8, 170.8。
【0182】
N-フェニル-3-(1’-アセトキシブチル)-5-ジブロモメチレン-2(5H)ピロリノン
トリエチルアミン(0.25 ml, 2.47 mmol)を含有するN-フェニル-3-(1-ヒドロキシブチル)-5-ジブロモメチレン-2(5H)ピロリノン(0.1g, 0.25mmol)の氷冷ジクロロメタン(10 ml)溶液に、塩化アセチル(0.25 ml, 3.2 mmol)のジクロロメタン(3 ml)溶液を滴下した。混合物を氷中で1時間、その後室温で一晩撹拌した。その混合物を飽和炭酸水素ナトリウム溶液(20 ml)に注ぎ入れ、ジクロロメタンで抽出した(3 x 30 ml)。有機相を水で洗浄し(3 x 20 ml)、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させて淡黄色の油状物(0.11g)を得た。ジクロロメタン/酢酸エチル(15:1)を用いてシリカカラムで粗生成物を精製し、N-フェニル-5-ジブロムメチレン-3(1’-アセトキシブチル)-2(5H)ピロリノン (0.1g)が粘稠な油状物として与えられた。νmax: 2960, 2931, 2873, 1753,1712, 1592, 1494, 1454, 1362, 1262, 1232, 1193, 1148, 1096, 1060, 836, 753, 698 cm-1. λmax 281, 321 nm. 1H n.m.r. δ(CDCl3) 0.96 (t, 3H, CH3); 1.38 (m, 2H, CH2); 1.91 (m, 2H, CH2); 5.72, m, 1H, H1’; 7.21 (s, 1H, H4); 7.21-7.40 (m, 5H, ArH)。
【0183】
マロン酸 モノ-[1-(5-ジブロモメチレン-2-オキソ-1-フェニル-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-3-イル)-ブチル] エステル
トリエチルアミン(0.25 ml, 2.47 mmol)を含有するN-フェニル-3-(1-ヒドロキシブチル)-5-ジブロモメチレン-2(5H)ピロリノン(0.5g, 1.25 mmol)のジクロロメタン(15 ml)溶液を9時間かけて一滴ずつ、二塩化マロニル(0.36g, 25 mmol)の氷冷ジクロロメタン(10 ml)溶液に添加した。その混合物を室温に一晩放置して、食塩水で洗浄し(3 x 20 ml)、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発させて褐色の粘稠油状物を得た。酢酸エチル/メタノール(1:4)を用いてシリカカラムで粗生成物を精製し、マロン酸 モノ-[1-(5-ジブロモメチレン-2-オキソ-1-フェニル-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-3-イル)-ブチル] エステル(0.48g)が粘稠油状物として与えられた。νmax: 3470, 2959, 2873,1709, 1594, 1494, 1454, 1362, 1245, 1194, 1148, 1096, 1060, 835, 753, 698 cm-1. λmax 271, 303 nm. 1H n.m.r. δ(CDCl3) 0.96 (t, 3H, CH3); 1.46 (m, 2H, CH2); 1.88 (m, 2H, CH2); 3.01, m, 2H, COCH2CO; 5.67, m, 1H, H1’; 7.23, m, 2H, ArH; 7.43 (m, 3H, ArH); 7.59, s, 1H, H4。
【0184】
2(5H)ピロリノン-ポリスチレン共重合体の調製
スチレン(7.13g)、3-(1’-ブロモブチル)-5-ジブロモメチレン- N-フェニル-1,5-ジヒドロピロール-2-オン(0.37g)およびAIBN (0.026 g)の混合物を、アルゴンガスによるパージによって2時間脱気した後、3時間65℃に加熱した。重合が終了した後、混合物をメタノール中に注ぎ入れ、沈澱した重合物を濾過し、大量のメタノールで洗浄して乾燥し、共重合体(2.38g, 32%)を得た。
【0185】
2(5H)ピロリノンの表面付着
マロン酸 モノ-[1-(5-ジブロモメチレン-2-オキソ-1-フェニル-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-3-イル)-ブチル] エステルの層を、アミノ基を含有する表面に共有結合させたが、これはNHS、N-ヒドロキシスクシンイミドを含有する2(5H)ピロリノン(2 mg/ml)のアセトニトリル/水溶液中に表面を浸漬することによる。混合物を10分間振盪し、EDC、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミドヒドリドを終濃度2 mg/mlとなるように前記溶液に添加した。溶液を24時間浸透した後、表面を溶液から取り出し、水で十分に洗浄し、乾燥した。XPSにより表面の分析を行い、%臭素を、共有結合の程度を判定するマーカーとして使用した。
【0186】
フラノンの生物活性
AHLを介したクオラムセンシング、Al-2経路および黄色ブドウ球菌増殖の阻害薬としてのフラノンの効果
方法
Gfpアッセイ
簡単に述べると、GfpアッセイはAHLを介したクオラムセンシングの阻害薬としての、化合物の相対的な有効性を測定する。アッセイはレポータープラスミドを保有する細菌菌株に依存する。このプラスミドは、AHL(2)の存在下で緑色蛍光タンパク質(Gfp)を発現する。競合物質の存在は、レポーターのAHLを介したGfp発現を妨げると考えられる。このアッセイを用いて、各化合物の阻害指数を作成することができる。ここで得られた結果は、高、中、または低として示されるが、このバイオアッセイによる、AHLを介したクオラムセンシングの阻害薬としての各化合物の指数に基づくものである。
【0187】
付着/バイオフィルム形成
フラノンがバイオフィルム形成もしくは付着を阻害する能力は、Christensen ら( ADDIN ENRfu (1))により記載された96ウェルマイクロタイター法の変法により測定された。フラノンをマイクロプレートのウェルに添加して、溶媒を蒸発させ、フラノンをプレート表面に吸着させた。次にモニター細菌、緑膿菌の懸濁液を各ウェルに添加して、24時間インキュベートした。インキュベーション後ウェルをすすいで、付着していない細胞または緩く付着した細胞を除去した。付着したウェルをホルムアルデヒドで固定し、続いてクリスタルバイオレットで染色した。十分に洗浄してクリスタルバイオレットを除去した後、ウェルを600nmで読み取る。フラノン存在下での付着/バイオフィルムの形成は、フラノンに曝露されていない対照に対するパーセンテージとして算出した。
【0188】
二成分シグナル伝達アッセイ
Taz-1アッセイ
Tazアッセイは、下記の変更を加えたJinおよびInouye (1993)の方法にしたがって実施した。大腸菌RU 1012 (pYT0301)を37℃にて一晩、100μg/mlアンピシリンおよび50μg/mlカナマイシンを添加したM9培地で培養した。次にこの一晩培養した培養物を使用して枝付きフラスコ中の50 ml M9培地に接種し、その後これを37℃にて180 rpmで振盪培養した。培養物のOD610を定期的にモニターし、OD610=0.2となったとき、培養物を氷上に移した。アスパラギン酸を枝付きフラスコに加え、終濃度3 mMとした(アスパラギン酸保存溶液はM9塩類溶液として作製された)。
【0189】
試験化合物、および試験化合物の混合物をエタノールに溶解し、必要な終濃度となるように培養物に添加した。陰性対照は同量のエタノールを用いて調製した。次に培養物を37℃のインキュベーターに入れ、4時間振盪した(OD610、約0.7)後、取り出して氷上に置いた。その後Miller (1972)の方法にしたがって実施されるβ-ガラクトシダーゼアッセイのために、サンプルを採取した。
【0190】
Al-2活性を測定するためのV. harveyiバイオアッセイ
既述(Surette and Bassler, 1998)のようにV. harveyiバイオアッセイを行った。V. harveyiレポーター菌株BB170をAB培地中で30℃にて16時間振盪培養した。細胞を、30℃に予め加温しておいたAB培地中に1:5,000で希釈し、希釈した懸濁液90μlを、上清を含むウェルに加えた。フラノンをそのウェルに添加して望ましい終濃度となるようにし、各ウェルの最終容量を滅菌培地によって100μlに調整した。V. harveyi BB152 (AI-1-, AI-2+)上清10μlを陽性対照として使用し、大腸菌DH5α上清または滅菌培地10μlを陰性対照として使用した。大腸菌のこの菌株は、Al-2合成遺伝子、ygaGに変異を有し、その結果Al-2活性のないトランケート型タンパク質を生じることがすでに示されている(Surette ら、1998)。マイクロタイタープレートを175 rpmで振盪しながら30℃でインキュベートした。Wallac (Gaithersburg, MD) 1450型 Microbeta Plus 液体シンチレーションカウンターの化学発光設定によって、1時間当たりの全発光の測定値を定量した。V. harveyi細胞密度は、マイクロプレートリーダー(Bio-Rad, Hercules, CA)を使用してモニターした。活性は、V. harveyi BB152無細胞上清から得られた活性のパーセンテージとして記録した。発光の絶対値は実験ごとにかなり変動したが、得られた結果のパターンは再現性があった。
【0191】
黄色ブドウ球菌の増殖
材料および方法
フラノンに対する黄色ブドウ球菌の増殖を枝付きフラスコでテストした。一晩培養した培養物の1%を、フラノンを1-50μg/mlの濃度で含有する増殖培地、Nutrient Brothに添加した。細菌を37℃にてインキュベートし、増殖を610 nmで測定した。この実験の結果を表1に要約する。
【表1】


【0192】

【0193】


【0194】
本明細書における先行技術文献の記載はいずれも、その文献が関連技術に関する広く知られた一般知識の一部であるという承認として解釈されるべきではない。
【0195】
当業者には当然のことながら、広範に記載される本発明の精神または範囲から逸脱することなく、具体的な実施形態において示される本発明に多くの変更および/または改変を加えることができる。したがって、本発明の実施形態はあらゆる点で例示的なものであり、制限するものではないと考えるべきである。
【0196】
本明細書における先行技術文献の記載はいずれも、その文献が関連技術に関する広く知られた一般知識の一部であるという承認として解釈されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式II
【化1】

〔式中、R1およびR2は独立して、H、ハロゲン、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換オキソアルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アリールまたはアリールアルキルの一群から選択され、場合により1または複数のヘテロ原子が割り込んでいてもよく、直鎖もしくは分枝鎖であって、親水性または親フッ素性である;
R3およびR4は独立して、H、ハロゲン、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換アリールアルキルの一群から選択される;
R5はH、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アルキルシリル、置換もしくは非置換オキソアルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換アリールアルキルからなる一群から選択され、場合により1または複数のヘテロ原子が割り込んでいてもよく、直鎖もしくは分枝鎖であって、親水性もしくは親フッ素性である、または
R5はアミノ酸の一部を形成する、または
R5はヌクレオシド、オリゴマー、ポリマー、デンドリマー、基体もしくは表面である〕
の化合物を調製する方法であって、
式I
【化2】

〔式中、R1およびR2は独立して、H、ハロゲン、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換オキソアルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換アリールアルキルであり、場合により1または複数のヘテロ原子が割り込んでいてもよく、直鎖もしくは分枝鎖であって、親水性または親フッ素性である;
R3およびR4は独立して、H、ハロゲン、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アリール、またはアリールアルキルであり;Rはヒドロキシ、ハロゲンである;さらに
R1、R2、R3およびR4のうち少なくとも1つがハロゲンであるならば、“- - - - -”は一重結合を表すが、その場合Rは存在せず、または二重結合を表す〕
の化合物を式R5NH2
〔式中、R5はH、置換もしくは非置換アルキル、ヒドロキシ、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換オキソアルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換アリールアルキルからなる一群から選択されるが、場合により1または複数のヘテロ原子が割り込んでいてもよく、直鎖もしくは分枝鎖であって、親水性または親フッ素性である、または
R5はアミノ酸の一部を形成する、または
R5はヌクレオシド、オリゴマー、ポリマー、デンドリマー、基体もしくは表面である〕
の化合物と反応させることを含む前記方法。
【請求項2】
R1、R2、R3およびR4のうち少なくとも1つはハロゲンである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
R5が天然に存在する化合物の残基である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
R5が生体分子である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
R5が補酵素またはコファクターである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
R5がオリゴマーまたはポリマーである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記オリゴマーまたはポリマーが生体分子である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
R5がペプチドまたはポリアミドである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
R5がタンパク質残基である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
R5が酵素またはレセプターである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
R5が核酸残基を含むオリゴマーまたはポリマーである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
R5がポリヌクレオチドである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ポリヌクレオチドがDNAまたはRNAである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
R5が表面または基体であって、これに化合物IIの窒素原子が結合している、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記結合が化学的な結合である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記結合が共有結合である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記表面または基体が生物学的または合成であってよい、請求項1または14に記載の方法。
【請求項18】
式II
【化3】

〔式中、R1およびR2は独立して、H、ハロゲン、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換オキソアルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換アリールアルキルであり、場合により1または複数のヘテロ原子が割り込んでいてもよく、直鎖もしくは分枝鎖であって、親水性または親フッ素性である;
R3およびR4は独立して、H、ハロゲン、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換アリールアルキルである;
R5はH、ヒドロキシ、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換オキソアルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換アリールアルキルからなる一群から選択され、場合により1または複数のヘテロ原子が割り込んでいてもよく、直鎖もしくは分枝鎖であって、親水性もしくは親フッ素性である、または
R5はアミノ酸の一部を形成する、または
R5はヌクレオシド、オリゴマー、ポリマー、デンドリマー、基体もしくは表面である〕
の化合物。
【請求項19】
R5がD-またはL-ヌクレオシドである、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
R5がオリゴマーまたはポリマーである、請求項18に記載の化合物。
【請求項21】
R5がデンドリマーである、請求項18に記載の化合物。
【請求項22】
R5が基体である、請求項18に記載の化合物。
【請求項23】
R5が表面である、請求項18に記載の化合物。
【請求項24】
R1、R2、R3およびR4のうち少なくとも1つはハロゲンである、請求項18に記載の化合物。
【請求項25】
式III
【化4】

〔式中、R1およびR2は独立して、H、ハロゲン、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換オキソアルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換アリールアルキルから選択され、場合により1または複数のヘテロ原子が割り込んでいてもよく、直鎖もしくは分枝鎖であって、親水性または親フッ素性である;
R3およびR4は独立して、H、ハロゲン、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アリール、またはアリールアルキルから選択される;および
R5はH、置換もしくは非置換アルキル、ヒドロキシ、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換オキソアルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換アリールアルキルの一群から選択され、場合により1または複数のヘテロ原子が割り込んでいてもよく、直鎖もしくは分枝鎖であって、親水性または親フッ素性である、または
R5はアミノ酸の一部を形成する、または
R5はヌクレオシド、オリゴマー、ポリマー、デンドリマー、基体もしくは表面である〕
の化合物を調製する方法であって、請求項18または19に記載の式IIの化合物を脱水することを含む前記方法。
【請求項25】
式IIIにおいてR1、R2、R3およびR4のうち少なくとも1つはハロゲンである、請求項25に記載の方法。
【請求項26】
前記脱水が脱水剤の存在下で行われる、請求項24または25に記載の方法。
【請求項27】
前記脱水剤が、五酸化リン、シリカゲル、モレキュラーシーブ、アルミナ、酸性樹脂およびポリマー、オキシ塩化リン、無水酢酸、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド (DCC)、トリフルオロ酢酸、硫酸、トリフルオロ酢酸無水物、トリフルオロスルホン酸無水物 (トリフリック酸無水物)からなる一群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
式III
【化5】

〔式中、R1およびR2は独立して、H、ハロゲン、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換オキソアルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換アリールアルキルから選択され、場合により1または複数のヘテロ原子が割り込んでいてもよく、直鎖もしくは分枝鎖であって、親水性または親フッ素性である;
R3およびR4は独立して、H、ハロゲン、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アリール、またはアリールアルキルから選択される;および
R5はH、置換もしくは非置換アルキル、ヒドロキシ、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換オキソアルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換アリールアルキルの一群から選択され、場合により1または複数のヘテロ原子が割り込んでいてもよく、直鎖もしくは分枝鎖であって、親水性または親フッ素性である、または
R5はアミノ酸の一部を形成する、または
R5はヌクレオシド、オリゴマー、ポリマー、デンドリマー、基体もしくは表面である〕
の化合物。
【請求項29】
R1、R2、R3およびR4のうち少なくとも1つはハロゲンである、請求項28に記載の化合物。
【請求項30】
下記の化合物
【化6】

からなる一群から選択される、請求項28または29に記載の化合物。
【請求項31】
式IV
【化7】

〔式中、R1およびR2は独立して、H、ハロゲン、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換オキソアルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換アリールアルキルから選択され、場合により1または複数のヘテロ原子が割り込んでいてもよく、直鎖もしくは分枝鎖であって、親水性または親フッ素性である;
R3およびR4は独立して、H、ハロゲン、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アリール、またはアリールアルキルから選択される;
R5はH、置換もしくは非置換アルキル、ヒドロキシ、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換オキソアルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換アリールアルキルからなる一群から選択され、場合により1または複数のヘテロ原子が割り込んでいてもよく、直鎖もしくは分枝鎖であって、親水性もしくは親フッ素性である、または
R5はアミノ酸の一部を形成する、または
R5はヌクレオシド、オリゴマー、ポリマー、デンドリマー、基体もしくは表面である、
XはOまたはNR6であるが、ここでR6は独立してR1から選択される〕
の化合物を調製する方法であって;
請求項1に記載の式I〔式中R3は水素であり、“- - - - -”は二重結合を表す〕の化合物を反応させることを含む前記方法。
【請求項32】
R1、R2、R3およびR4のうち少なくとも1つはハロゲンである、請求項32に記載の方法。
【請求項33】
R6がHである、請求項31または32に記載の方法。
【請求項34】
式IV
【化8】

〔式中、R1およびR2は独立して、H、ハロゲン、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換オキソアルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換アリールアルキルから選択され、場合により1または複数のヘテロ原子が割り込んでいてもよく、直鎖もしくは分枝鎖であって、親水性または親フッ素性である;
R3およびR4は独立して、H、ハロゲン、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アリール、またはアリールアルキルから選択される;
R5はH、置換もしくは非置換アルキル、ヒドロキシ、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換オキソアルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換アリールアルキルからなる一群から選択され、場合により1または複数のヘテロ原子が割り込んでいてもよく、直鎖もしくは分枝鎖であって、親水性もしくは親フッ素性である、または
R5はアミノ酸の一部を形成する、または
R5はヌクレオシド、オリゴマー、ポリマー、デンドリマー、基体もしくは表面である、
XはOまたはNR6であるが、ここでR6は独立してR1から選択される〕
の化合物。
【請求項35】
R1、R2、R3およびR4のうち少なくとも1つはハロゲンである、請求項30に記載の化合物。
【請求項36】
XがNR6である、請求項34または35に記載の化合物。
【請求項37】
R6が場合により置換されたアリールアルキルである、請求項36に記載の化合物。
【請求項38】
下記の化合物
【化9】

からなる一群から選択される、請求項34に記載の化合物。
【請求項39】
式V
【化10】

〔式中、R1およびR2は独立して、H、ハロゲン、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換オキソアルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換アリールアルキルから選択され、場合により1または複数のヘテロ原子が割り込んでいてもよく、直鎖もしくは分枝鎖であって、親水性または親フッ素性である;
R3は、H、ハロゲン、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換アリール、またはアリールアルキルから選択される;
XはOまたはNR6であるが、ここでR6は上記で定義された通りである;および
R5はH、置換もしくは非置換アルキル、ヒドロキシ、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換オキソアルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アリール、置換もしくは非置換アリールアルキルからなる一群から選択され、場合により1または複数のヘテロ原子が割り込んでいてもよく、直鎖もしくは分枝鎖であって、親水性もしくは親フッ素性である、または
R5はアミノ酸の一部を形成する、または
R5はヌクレオシド、オリゴマー、ポリマー、デンドリマー、基体もしくは表面である〕
の化合物。
【請求項40】
式VI
【化11】

〔式中、R1およびR2は独立して、H、ハロゲン、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換オキソアルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換アリールアルキルから選択され、場合により1または複数のヘテロ原子が割り込んでいてもよく、直鎖もしくは分枝鎖であって、親水性または親フッ素性である;
R3およびR4は独立して、H、ハロゲン、置換もしくは非置換アルキル、置換もしくは非置換アリール、またはアリールアルキルから選択される;
R5は、H、置換もしくは非置換アルキル、ヒドロキシ、置換もしくは非置換アルコキシ、置換もしくは非置換オキソアルキル、置換もしくは非置換アルケニル、置換もしくは非置換アリール、または置換もしくは非置換アリールアルキルであり、場合により1または複数のヘテロ原子が割り込んでいてもよく、直鎖もしくは分枝鎖であって、親水性または親フッ素性である;または
R5はアミノ酸の一部を形成する、または
R5はヌクレオシド、オリゴマー、ポリマー、デンドリマー、基体もしくは表面である;および
Zは、R2、ハロゲン、OC(O)R2、=O、アミンアジド、チオール、R2、メルカプトアリール、アリールアルコキシ、メルカプトアリールアルキル、SC(O)R2、OS(O)2R2、NHC(O)R2、=NR2またはNHR2の一群から選択される〕
の化合物。
【請求項41】
式II-VIの化合物を、直接、または1もしくは複数の他のモノマーとともに、オリゴマー化もしくはポリマー化することによって生成されるオリゴマーまたはポリマー。
【請求項42】
1または複数の他のモノマーが、アクリル酸エステル、たとえばアクリル酸もしくはメタクリル酸の置換もしくは非置換アルキルエステル、アクリル酸もしくはメタクリル酸のヒドロキシアルキルエステル、アクリル酸もしくはメタクリル酸のアミノアルキルエステル、またはアクリル酸もしくはメタクリル酸の置換もしくは非置換アリールエステル、クロトン酸エステル、置換もしくは非置換アクリロニトリル、ビニルアルコールもしくは酢酸ビニル、スチレン、およびシロキサンの一群から選択される、請求項41に記載のオリゴマーまたはポリマー。
【請求項43】
前記請求項のいずれか1項に記載の化合物が組み込まれた、表面コーティングまたはポリマー。
【請求項44】
抗菌剤および/または防汚剤としての前記請求項のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項45】
医学、科学および/または生物学的用途における、請求項18、28、34、38、39、または40のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項46】
請求項18、28、34、38、39、または40のいずれか1項に記載の少なくとも1つの化合物、および担体もしくは希釈剤を含む組成物。
【請求項47】
担体または希釈剤が液体である、請求項46に記載の組成物。
【請求項48】
前記組成物が少なくとも1つの前記化合物の溶液もしくは懸濁液の形態をとる、請求項46に記載の組成物。
【請求項49】
前記液体が水性溶媒または非水性溶媒である、請求項47または48に記載の組成物。
【請求項50】
前記溶媒が1または複数の有機溶媒である、請求項46に記載の組成物。
【請求項51】
前記液体がイオン性の液体である、請求項47に記載の組成物。
【請求項52】
エアゾール製剤もしくは粉末製剤である、請求項46〜51のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項53】
有機もしくは無機ポリマー物質を含む、請求項46〜52のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項54】
化合物がポリマーと混合されている、またはポリマーに結合している、またはポリマーに吸着されている、請求項53に記載の組成物。
【請求項55】
殺菌剤もしくは洗浄剤として製剤された、請求項46〜54のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項56】
粉末、溶液、懸濁液、分散体、乳濁液またはゲルの形態をとる、請求項46〜55のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項57】
薬学上許容される担体、希釈剤および/または賦形剤を含む医薬組成物の形態をとる、請求項46〜54のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項58】
前記組成物が経口または非経口投与に適した形態である、請求項57に記載の組成物。
【請求項59】
局所、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻内、硬膜外、眼および経口投与用に製剤された、請求項58に記載の組成物。
【請求項60】
注入もしくはボーラス注射、上皮もしくは皮膚粘膜を通した吸収による投与のために製剤され、他の生物学的に活性な薬剤とともに投与することができる、請求項57に記載の組成物。
【請求項61】
吸入器もしくはネブライザーで使用するために製剤された、請求項57に記載の組成物。
【請求項62】
ヒトもしくは動物被験体において感染症を処置する方法であって、被験体に有効量の、請求項18、28、34、38、39または40のいずれか1項に記載の化合物を投与することを含む前記方法。
【請求項63】
処置が治療的または予防的である、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
バイオフィルムの形成を特徴とする、被験体の感染または症状を処置する方法であって、請求項18、28、34、38、39または40のいずれか1項に記載の化合物を投与することを含む前記方法。
【請求項65】
症状が嚢胞性線維症である、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
症状が齲蝕、歯周炎、中耳炎、筋骨格感染症、壊死性筋膜炎、胆道感染症、骨髄炎、細菌性前立腺炎、心弁性心内膜炎、嚢胞性線維症肺炎、類鼻疽である、請求項64に記載の方法。
【請求項67】
症状が院内感染である、請求項64に記載の方法。
【請求項68】
感染が、ICU肺炎、または縫合線、出口部、動静脈部位、強膜バックル、コンタクトレンズ、導尿カテーテル膀胱炎、腹膜透析(CAPD)腹膜炎、IUD、気管内チューブ、ヒックマンカテーテル、中心静脈カテーテル、人工心臓弁、人工血管、胆管ステント閉塞、および整形外科用デバイス、人工陰茎と関連した感染である、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
感染が皮膚感染、熱傷後感染および創傷感染の一群から選択される、請求項64に記載の方法。
【請求項70】
被験体が免疫無防備状態の個体である、請求項64〜69のいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
表面上でのバイオフィルムの形成を処理する、または防止する方法であって、請求項18、28、34、38、39または40のいずれか1項に記載の化合物を表面に接触させることを含む前記方法。
【請求項72】
表面が非生物学的表面である、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
表面が天然の表面である、請求項71に記載の方法。
【請求項74】
表面が、植物、種子、木、繊維または毛の表面である、請求項71に記載の方法。
【請求項75】
表面が生物学的表面である、請求項71に記載の方法。
【請求項76】
表面が、組織、膜、または皮膚の表面である、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
表面が硬い表面である、請求項71に記載の方法。
【請求項78】
表面が金属、有機および無機ポリマー、天然または合成エラストマー、板、ガラス、木、紙、コンクリート、岩石、大理石、石膏およびセラミック製品(これらは、場合によりコーティングされていてもよい)で形成されている、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
表面がコーティングである、請求項71に記載の方法。
【請求項80】
コーティングがエナメル、ニスまたは塗料である、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
表面が柔らかい表面である、請求項71に記載の方法。
【請求項82】
表面が繊維の表面である、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
繊維が糸、織物、植物繊維、ロックウールの形態をとる、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
表面が多孔質表面である、請求項71に記載の方法。
【請求項85】
表面が、プロセス装置、または冷却装置の構成部品の表面である、請求項71に記載の方法。
【請求項86】
プロセス装置が、冷却塔、水処理プラント、乳製品工場、食品加工プラント、化学品プラントもしくは製薬プラント、またはそれらの部品のためのものである、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
表面がフィルターの表面である、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
フィルターがメンブランフィルターである、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
表面が、便器、浴槽、排水管、子供用食事椅子、調理台、野菜、食肉加工処理場、肉屋、食品調理場、通風ダクト、空調装置、カーペット、紙もしくは織物製品処理、おむつ、個人衛生製品および洗濯機の表面である、請求項71に記載の方法。
【請求項90】
表面が産業に関わる表面である、請求項71に記載の方法。
【請求項91】
表面が医療に関わる表面である、請求項71に記載の方法。
【請求項92】
表面が、病院、動物病院の表面、死体置き場の表面、および葬儀場の表面である、請求項71に記載の方法。
【請求項93】
請求項18、28、34、38、39または40のいずれか1項に記載の化合物を含む、歯磨き剤、洗口剤、または齲蝕治療用の組成物。
【請求項94】
請求項18、28、34、38、39または40のいずれか1項に記載の化合物を含む、座瘡治療用の組成物。
【請求項95】
請求項18、28、34、38、39または40のいずれか1項に記載の化合物を含む、コンタクトレンズの洗浄および消毒用の組成物。
【請求項96】
その少なくとも1つの表面上に、請求項18、28、34、38、39または40のいずれか1項に記載の化合物を組み込んで含む、医療用デバイス。
【請求項97】
請求項18、28、34、38、39または40のいずれか1項に記載の化合物と結合した少なくとも1つの表面を有する、埋込型デバイス。
【請求項98】
デバイスが、人工心臓弁もしくは人工股関節、留置カテーテル、ペースメーカー、外科用ピンなどである、請求項97に記載の埋込型デバイス。
【請求項99】
請求項18、28、34、38、39または40のいずれか1項に記載の化合物を有効な量含む、防汚剤組成物。
【請求項100】
請求項18、28、34、38、39または40のいずれか1項に記載の化合物を有効な量含む、防汚コーティング組成物。
【請求項101】
請求項18、28、34、38、39または40のいずれか1項に記載の化合物と結合した少なくとも1つの表面を有する、甲殻類もしくは水産養殖装置。
【請求項102】
請求項18、28、34、38、39または40のいずれか1項に記載の化合物を一定量、およびビヒクルもしくは担体を含む、バイオフィルムを除去または抑制する組成物であって、その混合物の量が微生物バイオフィルムを除去もしくは破壊するために、または通常のバイオフィルム形成を抑えるために効力を有する、前記組成物。
【請求項103】
陰イオン性、非イオン性、両性、生物学的界面活性剤およびそれらの混合物からなる一群から選択される界面活性剤をさらに含む、請求項102に記載の組成物。
【請求項104】
殺生物剤、殺真菌剤、抗生物質およびそれらの混合物からなる一群から選択される化合物をさらに含む、請求項103に記載の組成物。
【請求項105】
請求項18、28、34、38、39または40のいずれか1項に記載の化合物の清浄化に有効な量を、バイオフィルムを有する表面に塗布するステップを含む、表面からバイオフィルムを除去する方法。
【請求項106】
請求項18、28、34、38、39または40のいずれか1項に記載の化合物の有効量を表面に塗布するステップを含む、表面でのバイオフィルムの形成を妨げる方法であって、その量がバイオフィルム形成を妨げるために有効である、前記方法。
【請求項107】
表面が堅い硬質な表面である、請求項106に記載の方法。
【請求項108】
表面が排水管、釉薬のかかった陶器、磁器、ガラス、金属、木、クロム、プラスチック、ビニールおよび加熱硬化性合成樹脂からなる一群から選択される、請求項106に記載の方法。
【請求項109】
表面が柔らかく曲げやすい表面である、請求項106に記載の方法。
【請求項110】
表面がシャワーカーテンもしくは裏地、室内装飾材料、洗濯物および敷物材料からなる一群から選択される、請求項106に記載の方法。
【請求項111】
バイオフィルムがシュードモナス(Pseudomonas)属のクラスの細菌によって作られる、請求項106に記載の方法。
【請求項112】
細菌が緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)という種に属する、請求項106に記載の方法。
【請求項113】
バイオフィルムが細菌、藻類、真菌および原生動物からなる一群から選択される生物によって作られる、請求項106に記載の方法。
【請求項114】
請求項18、28、34、38、39または40のいずれか1項に記載の化合物を有効量含み、その量はバイオフィルムの生成を予防または除去するのに有効である、歯磨き剤。
【請求項115】
請求項18、28、34、38、39または40のいずれか1項に記載の化合物を有効量含み、その量はバイオフィルムの生成を予防または除去するのに有効である、洗口剤。
【請求項116】
レンズ表面の少なくとも一部が、請求項18、28、34、38、39または40のいずれか1項に記載の化合物と結合している、光学レンズ。
【請求項117】
レンズがコンタクトレンズである、請求項116に記載の光学レンズ。

【公表番号】特表2006−514610(P2006−514610A)
【公表日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−528184(P2004−528184)
【出願日】平成15年8月19日(2003.8.19)
【国際出願番号】PCT/AU2003/001053
【国際公開番号】WO2004/016588
【国際公開日】平成16年2月26日(2004.2.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
テフロン
TEFLON
【出願人】(505057923)バイオシグナル リミテッド (1)
【Fターム(参考)】