説明

フレネルレンズライト用、特にスポットライトあるいはフラッドライト用光学系

【課題】照明領域の光強度の一様性を維持すると同時に光効率が改善されたフレネルレンズライト用、特にスポットライトあるいはフラッドライト用の改善された光学系を提供する。
【解決手段】本発明はフレネルレンズ用光学系に関する。このフレネルレンズ用光学系は、楕円反射器(1)、光源(2)及び少なくとも1つのフレネルレンズ(3)から構成され、前記少なくとも1つのフレネルレンズ(3)と前記楕円反射器(1)との間の距離(a)が、前記光源(2)と前記楕円反射器(1)との間の距離(b)に所定の関係に従って関連し、フレネルレンズライトの伝播光ビーム用の所定の口径角度により測定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、楕円反射器、光源及び少なくとも1つのフレネルレンズを備えた、フレネルレンズライト用、特にスポットライトあるいはフラッドライト(投光)用光学系に関する。
【背景技術】
【0002】
フレネルレンズライト用の従来の光学系は、照明工学関連部品として光源、フレネルレンズ、及び球面補助反射器を有する。光源のフィラメントは該球面補助反射器の焦点に実質的に変えられないで配置されている。そのために、光源から放射された光の一部が反射してその光源に戻り、光の前方に光を補助している。フレネルレンズは前方に放射された光を集束させる。この集束の程度はフレネルレンズと光源との間の距離による。フィラメントがフレネルレンズの焦点にあれば、最も細い光ビームが生じ、あるいは伝播する。その場合、スポットライトとして公知の準平行ビームが得られる。フレネルレンズと光源との間の距離を短縮することにより伝播光ビームのビーム角が連続的に増大する。その場合、フラッドライトとも呼ばれる発散ビームが得られる。
このタイプの光は、フレネルレンズが比較的小さな角度幅にわたってのみ光源から受光するために、特にスポットライトの場合に光効率が悪いという欠点がある。さらに、球面反射器で反射した光の大部分が光源のフィラメントに当たり、そこで吸収され、さらにフィラメントを加熱することが欠点である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、照明領域の光強度の均一性を維持すると同時に光効率が改善されたフレネルレンズライト用、特にスポットライトあるいはフラッドライト用の改善された光学系を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係るフレネルレンズの光学系は、楕円反射器、光源及び少なくとも1つのフレネルレンズから構成され、前記楕円反射器(1)はその頂点に近い方に第1焦点(F1)を、その頂点から遠い方に第2焦点(F2)を有し、
前記少なくとも1つのフレネルレンズ(3)は前記楕円反射器(1)側に焦点(F3)を有し、
前記少なくとも1つのフレネルレンズ(3)と前記楕円反射器(1)の頂部(V)との間の距離をaとして、
前記光源(2)と前記楕円反射器(1)との距離をbとして、
前記光源(2)が前記第1焦点(F1)に位置した時に、その第2焦点(F2)と前記少なくとも1つのフレネルレンズ(3)の焦点(F3)が一致すると共に、その際のビーム角による光源(2)よりのビーム光の外周がフレネルレンズの外周に位置するスポットライトとなるaとbの関係と、
前記光源(2)が前記少なくとも1つのフレネルレンズ(3)に対して前記第1焦点(F1)より近づき、前記第2焦点(F2)が前記少なくとも1つのフレネルレンズ(3)に対して前記少なくとも1つのフレネルレンズ(3)の前記焦点(F3)より近づく位置とされると共に、その際のビーム角による光源(2)よりのビーム光の外周がフレネルレンズの外周に位置するフラッドライトのaとbの関係に変えられる
特にスポットライト及びフラッドライト用途の光効率の明確な改善が、本発明の光学系により達成される。それと同時に照明領域の光強度の均一性が、特に好ましい実施形態により維持される。
本発明によれば、楕円反射器にはより大きな口径が備える。光源のフィラメントが、楕円反射器の、反射器頂点に最も近い第1焦点に配置されれば、スポットライトが得られる。この反射器で反射した光は、その後、反射器頂点から最も遠い楕円反射器の第2焦点に略完全に集束される。該反射器に最も近い第1焦点に配置されたフィラメントは、その反射器から離れた第2焦点に結像される。従って、反射光はフィラメントには当たらない。そしてフレネルレンズは、フレネルレンズの焦点が楕円反射器の第2焦点に合致するように配置される。フレネルレンズは、口径の適切な選択によって反射器で反射した光の略全てを受光する。その後、フレネルレンズは前向きスポットライトを発生させる。光効率あるいは歩留まりは、従来のフレネルレンズライト用光学系の場合よりかなり大きい。
【0005】
光源の位置が反射器に対して変化させられ、反射器までのフレネルレンズの距離が適切なやり方で変えられれば、フレネルレンズから伝播された光ビームのビーム角を任意に大きくすることができる。光強度の一様性に関して従来のフレネルレンズライトの良好な特性を維持できるように、これらの間隔又は距離の変更が適切な条件下で行なわれなければならない。
本発明の1つの実施形態によれば、上記楕円反射器は金属又は透明材料から好適に作られる。これにはガラス及び高分子材料の使用が好ましい。反射器の両面の一方には反射面を形成するために薄い層の系が設けられる。この特徴のために入射輻射線の可視部分は反射されるが、可視範囲から外れた入射輻射線、特に熱線の部分は反射器を通過する。
【0006】
この光学系の好ましい1つの実施形態において、楕円反射器の光反射面は光を分散するように構成され、フレネルレンズの1つ、又は2つの表面は光を分散するようには構成されない。照明領域の照度はこの構成のためにさらに一様である。
上記フレネルレンズ用光学系の別の好ましい実施形態においては、フレネルレンズの表面の少なくとも一方が光を分散するように構成され、反射器の光反射面は光を分散するように構成されない。照明領域の照度はこの構成のためにより一様である。
本発明に係る光学系は、映画、ステージ、スタジオ及び写真術用のライトに有効である。
本発明の目的、特徴、利点は、添付図面を参照して、以下の好ましい実施形態の説明により、より詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1はスポットライトを発生させるために配置されるフレネルレンズライト用の本発明に係る光学系を示している。この光学系は楕円(長円)反射器1、光源2及びフレネルレンズ3を有する。この光源から伝播される光ビームが模式的に示されている。フレネルレンズ3と反射器1の先端Eとの間の距離a及び光源2と反射器1の頂点Vとの間の距離bを図面に示す。スポットライト構成は、光源2のフィラメントが、楕円反射器1の、この反射器に最も近い第1焦点F1に配置されたときに確立される。反射器1から反射された光は、楕円反射器1の、該反射器から離れたあるいは最も遠い第2焦点F2に殆ど完全に集束される。反射器1に最も近い第1焦点F1に配置された光源2のフィラメントは、反射器から最も遠い第2焦点F2に実際には結像される。
【0008】
図2はフラッドライト(投光)を発生させるために配置されるフレネルレンズライト用の本発明に係る光学系を示している。この構造は図1に示した光学系の構造に対応している。フレネルレンズ3から伝播された光ビームのビーム角は、光源2と楕円反射器1の頂点Vとの間の距離bと、フレネルレンズ3と楕円反射器1の先端Eとの間の距離aを変えることにより任意に大きくすることができる。照度の一様性が維持されるように、適切な拘束装置(図1及び図2には図示せず)によりこのような距離の変更が行なわれる。光源2は反射器側の第1焦点F1の外部に配置される。フレネルレンズの焦点F3は楕円反射器1のその反射器から最も遠い又は離れた第2焦点F2に合致しない。
【0009】
本発明はフレネルレンズライト用、特にスポットライトあるいはフラッドライト用の光学系に具体化されるように例示され、説明されたが、本発明の趣旨から何ら逸脱することなく種々の改良と変更が実施されるため、図示された詳細に限定されるものではない。
他の分析が無くとも、前述の説明は本発明の要旨を十分に示しているので、従来技術の観点からこの発明の一般的あるいは特殊な面の基本的な特性をかなり構成する特徴を省略することなく現在の知識を適用することで本発明を他人が種々の用途に容易に利用できるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】スポットライトを発生させるフレネルレンズライト用光学系の1つの実施形態の概略図である。
【図2】フラッドライトを発生させるフレネルレンズライト用光学系の他の実施形態の概略図である。
【符号の説明】
【0011】
1…反射器、2…光源、3…フレネルレンズ、F1…第1焦点、F2…第2焦点、E…反射器の先端、V…反射器の頂点。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレネルレンズ用光学系であって、前記光学系は、楕円反射器(1)、光源(2)及び少なくとも1つのフレネルレンズ(3)から構成され、
前記楕円反射器(1)はその頂点に近い方に第1焦点(F1)を、その頂点から遠い方に第2焦点(F2)を有し、
前記少なくとも1つのフレネルレンズ(3)は前記楕円反射器(1)側に焦点(F3)を有し、
前記少なくとも1つのフレネルレンズ(3)と前記楕円反射器(1)の頂部(V)との間の距離をaとして、
前記光源(2)と前記楕円反射器(1)との距離をbとして、
前記光源(2)が前記第1焦点(F1)に位置した時に、その第2焦点(F2)と前記少なくとも1つのフレネルレンズ(3)の焦点(F3)が一致すると共に、その際のビーム角による光源(2)よりのビーム光の外周がフレネルレンズの外周に位置するようなスポットライトとなるaとbの関係と、
前記光源(2)が前記少なくとも1つのフレネルレンズ(3)に対して前記第1焦点(F1)より近づき、前記第2焦点(F2)が前記少なくとも1つのフレネルレンズ(3)に対して前記少なくとも1つのフレネルレンズ(3)の前記焦点(F3)より近づく位置とされると共に、その際のビーム角による光源(2)よりのビーム光の外周がフレネルレンズの外周に位置するようなフラッドライトとなるaとbの関係間に変えられる
フレネルレンズ用光学系。
【請求項2】
前記距離(b)が、前記楕円反射器(1)の頂点(V)の方へ又はそれから離れるように前記光源(2)を移動させることにより設定されることを特徴とする請求項1記載の光学系。
【請求項3】
前記楕円反射器(1)が金属材料又は透明材料から構成されることを特徴とする請求項1記載の光学系。
【請求項4】
前記楕円反射器(1)がその両側にそれぞれ表面を有し、前記表面の少なくとも一方には複数の薄い層が設けられることを特徴とする請求項3記載の光学系。
【請求項5】
前記楕円反射器の前記表面の一方が、前記少なくとも1つのフレネルレンズに面し、光反射用表面であり、前記光反射用表面は入射光を分散するように構成され、前記少なくとも1つのフレネルレンズの1つ又は2つの表面は、前記少なくとも1つのフレネルレンズに当たる光を分散するように構成されないことを特徴とする請求項4記載の光学系。
【請求項6】
少なくとも一つのフレネルレンズに面する前記楕円反射器の前記表面の一方が、光反射用表面であり、前記光反射用表面は入射光を分散せず、前記少なくとも1つのフレネルレンズの少なくとも1つの表面が、前記少なくとも1つのフレネルレンズに当たる光を分散するように構成されることを特徴とする請求項4記載の光学系。
【請求項7】
映画、ステージ、スタジオ又は写真術用のフレネルレンズライトであって、前記フレネルレンズライトは、楕円反射器(1)、光源(2)及び少なくとも1つのフレネルレンズ(3)を有する光学系から構成され、
前記楕円反射器(1)はその頂点に近い方に第1焦点(F1)を、その頂点から遠い方に第2焦点(F2)を有し、
前記少なくとも1つのフレネルレンズ(3)は前記楕円反射器(1)側に焦点(F3)を有し、
前記少なくとも1つのフレネルレンズ(3)と前記楕円反射器(1)の頂部(V)との間の距離をaとして、
前記光源(2)と前記楕円反射器(1)との距離をbとして、
前記光源(2)が前記第1焦点(F1)に位置した時に、その第2焦点(F2)と前記少なくとも1つのフレネルレンズ(3)の焦点(F3)が一致すると共に、その際のビーム角による光源(2)よりのビーム光の外周がフレネルレンズの外周に位置するスポットライトとなるaとbの関係と、
前記光源(2)が前記少なくとも1つのフレネルレンズ(3)に対して前記第1焦点(F1)より近づき、前記第2焦点(F2)が前記少なくとも1つのフレネルレンズ(3)に対して前記少なくとも1つのフレネルレンズ(3)の前記焦点(F3)より近づく位置とされると共に、
その際のビーム角による光源(2)よりのビーム光の外周がフレネルレンズの外周に位置するフラッドライトのaとbの関係に変えられる
フレネルレンズライト。
【請求項8】
前記楕円反射器(1)は前記頂点(V)に最も近い第1焦点(F1)と前記頂点(V)から最も遠い第2焦点(F2)を有し、前記光源(2)はフィラメントを有し、前記所定の関係は、前記フィラメントが前記第1焦点(F1)に配置され、前記第2焦点(F2)が前記少なくとも1つのフレネルレンズの焦点(F3)と合致することによってスポットライトを得るように光源が配置されることを特徴とする請求項7記載のフレネルレンズライト。
【請求項9】
前記楕円反射器(1)は前記頂点(V)に最も近い第1焦点(F1)と前記頂点(V)から最も遠い第2焦点(F2)を有し、前記光源(2)はフィラメントを有し、前記所定の関係は、前記フィラメントが前記第1焦点(F1)より前記少なくとも1つのフレネルレンズ(3)に近くに配置され、前記第2焦点(F2)が前記少なくとも1つのフレネルレンズの焦点(F3)より前記少なくとも1つのフレネルレンズ(3)に近くすることによって、スポットライトを得るように光源が配置されることを特徴とする請求項7記載のフレネルレンズライト。
【請求項10】
前記楕円反射器(1)がその両側にそれぞれ表面を有し、前記表面の少なくとも一方には複数の薄い層が設けられることを特徴とする請求項7記載のフレネルレンズライト。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−288215(P2008−288215A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−184507(P2008−184507)
【出願日】平成20年7月16日(2008.7.16)
【分割の表示】特願2002−64701(P2002−64701)の分割
【原出願日】平成14年3月11日(2002.3.11)
【出願人】(508015531)オウアー ライティング ゲーエムベーハー (1)
【Fターム(参考)】