説明

フード組成物の美味しさを高めるための方法

美味しさを高める量の植物ヨモギ属のハーブまたはスパイスの抽出物をフード組成物に添加することによって、フード組成物を美味しくする方法。この抽出物は、フレーバラント作用においてタラゴン精油少なくとも約0.0001重量%に等しい量でフード組成物に添加する。得られたフード組成物は動物により好まれるので、動物が適切な量のフードを確実に摂取し、且つその健康を維持するのに役立つ。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連する出願のクロスリファレンス
本出願は2004年12月16日出願の米国仮特許出願第60/636,789号に優先権を主張し、本明細書中、その開示を参照として含む。
発明の背景
【0002】
本発明は、フード組成物の美味しさを高める方法と、美味しいフード組成物に関する。
従来技術の説明
【0003】
ネコ及びイヌなどのコンパニオンアニマルを含む動物用フードの設計において、優れた栄養物を与えることによって動物の健康を最適とすることが重要な目的である。しかしながら、フードが不味いがために動物がフードを食べたがらなかったり、動物のフード摂取が制限される場合には、もっとも栄養価の高い動物用フードであっても殆ど価値がない。
【0004】
好みのうるさい動物、高齢の動物、病気の動物及び高いエネルギーを必要とする動物は、その体重と活動レベルとを維持するのに十分な栄養分を摂っていないことが多い。特に高齢の動物や病気の動物に関しては、フードに興味が沸かず、そのため摂取量が少なくなって、筋肉が衰えたり、弱ったり、健康があまり回復しないことがある。フード摂取量が少ないと、結局のところ動物が入院したり及び/または死亡することがある。
【0005】
特にネコは好みがうるさく、気難しいことで有名であり、また自分が食べるものをひどく選ぶ。
【0006】
動物が食べるように気を引くのは金も時間もかかる。動物が食べるように仕向けるために、水分量、サプリメント及び楽しみが異なるフードが開発されてきた。しかし、これらの試みは問題を完全に解決してはいない。ハーブやスパイスを使用する方法を含む、美味しさを高める方法は当業界で公知である。たとえば米国特許出願第2003/0190343号は、美味しさを高める成分として天然のハーブとスパイスの混合物を使用することを開示する。そのような化合物中で使用する天然ハーブ及びスパイスの列挙されている例としては、オールスパイス、アニス、バジル、月桂樹、黒こしょう、キャラウェイ、カルダモン、桂皮、セロリの種子、シナモン、クローバー、コリアンダー、クミン、ディル、フェンネル、ショウガ、マジョラム、マスタード、ナツメグ、オレガノ、パプリカ、ローズマリー、サフラン、セージ、キダチハッカ、タラゴン、タイム、ターメリック及び白コショウが挙げられる。米国特許第4,514,431号は、キャットフードとドッグフードなどの肉味の製品を開示する。中でも黒コショウのオイル、セロリ、クローブ、コリアンダー、クミン、ショウガ、カラシ、ナツメグ及びピメンタ・ベリーならびに唐辛子含油樹脂(oleoresin capsicum)を含む粉砕ソーセージ混合物のレシピが挙げられている。欧州特許第1 063 897号では、ローズマリー、チョウジ及びパセリ・シード油などの成分を含むことができるテキスチャーが二つの部分からなるペットまたは動物用フードを開示する。米国特許第6,156,355号は、ローズマリー抽出物、ユッカ(Yucca schidigera)抽出物、パセリ・シード油粉末及びショウガ抽出物などのハーブ及びスパイスの特定の抽出物または油を含む種々のペットフード配合物を開示する。米国特許第6,379,727号は、ペットフードに局所適用するための種々のフレーバーパックを開示する。このフレーバーパックは、報告されているところによれば、含油樹脂(oleoresin)などの種々の乾燥または液体フレーバラント組成物を含む。米国特許第6,265,011号は、乾燥タラゴンを含むことができるイヌ用ビスケットを開示する。米国特許第6,495,176号は、吐く息をさわやかにするペットフード組成物を開示する。この消臭組成物は、精油などの植物抽出物を含むことができる。これらの方法は、フード組成物の美味しさを高めるのに有用であることが証明されているにもかかわらず、フード組成物の美味しさを高める新規方法に対する需要がいまだにある。
発明の概要
【0007】
本発明は、ヨモギ属(Artemisia:アルテミシア)植物ハーブまたはスパイスの抽出物の美味しさを高める量を組成物に添加することによる、フード組成物の美味しさを高める方法及び、前記抽出物を含む美味しさを高めた組成物を提供する。この抽出物を、フレーバラント作用(flavorant effect)においてタラゴン精油少なくとも約0.0001重量%に等しい量でフード組成物に添加する。得られたフード組成物は動物にとって口当たりがよいので、動物が確実に適切な量のフード組成物を摂取でき、その健康維持に役立つ。
【0008】
本発明の方法及び組成物のさらに好都合な点及び長所は、当業者には明らかになるであろう。
発明の詳細な説明
定義
【0009】
植物種または植物の部分の記載としての「ハーブ」及び「スパイス」なる用語は、当業界ではっきりとは区別されておらず、意味が重複している。これらの用語は、本明細書中、交換可能に使用する。
【0010】
「抽出物」なる用語は、ハーブまたはスパイスの特徴的なフレーバー及び/またはアロマ(芳香)に寄与する化合物を一般的に濃縮形で含む、ハーブまたはスパイスの任意の(単数または複数の)部分から製造した調製物を意味する。抽出物としては、これらに限定されないが、精油、含油樹脂(oleoresin)、煎じ薬(infusion)、チンキ剤及び蒸留液を含む天然エキスなどが挙げられる。抽出物には、丸のままであろうと粉砕物であろうと、粗な植物は含まない。たとえば上記米国特許出願第2003/0190343号で記載の提案された粗な形状の対応するハーブまたはスパイスを使用するよりも、本明細書で提供するように抽出物を使用するとかなり好都合な結果が得られる。そのような好都合な点としては、フレーバラント作用のさらなる標準化及び/または均一化、低コスト、優れたコスト安定性、加工の容易性などが挙げられる。
【0011】
「フレーバラント(flavorant)」化合物または成分とは、植物部分に自然発生していると、植物の特徴的なフレーバー及び/またはアロマに寄与する、及び/または植物から抽出されるか若しくは合成されると、その化合物若しくは成分を含む組成物に独特のフレーバーを与える化合物または成分を意味するものとする。ハーブ若しくはスパイスまたはその抽出物の「実質的なフレーバラント成分」は、ハーブ若しくはスパイスまたはその抽出物のフレーバー及び/またはアロマに関して感覚刺激的に(organoleptically)検出可能な作用をもつのに十分量で存在するフレーバラント成分である。通常、そのような成分は、ハーブまたはスパイスの精油少なくとも約1重量%、より典型的には少なくとも約5重量%の量で存在する。
【0012】
ハーブまたはスパイス抽出物を含むフード組成物の美味しさ(palatability:口当たり)を参照するときの「高める(enhanced)」なる用語は、ハーブまたはスパイス抽出物だけがない実質的に同一フード組成物と比較したときの美味しさを意味する。
【0013】
「ひとつのパッケージ」なる用語は、キットの成分がひとつ以上の容器に物理的に結合しており、製造、配送、販売または使用の単位とみなされることを意味する。容器としては袋、箱、ビン、収縮包装パッケージ、ホチキス留め、若しくは貼り付ける成分またはその組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。ひとつのパッケージは、製造、配送、販売または使用の単位とみなされるように、物理的に結合した個々のフード組成物の容器であってもよい。
【0014】
「バーチャル・パッケージ」なる用語は、キットの成分が、ひとつの成分を含むバッグなどに他の成分を入れる方法をユーザーに指示するひとつ以上の物理的またはバーチャル・キット成分に関する説明書及び、キットの使用法に関する説明を得るためにウェブサイトに行く、記録されたメッセージとコンタクトを取る、画像メッセージを見る、または介護人若しくはインストラクターとコンタクトをとるためにユーザーに指示する説明書と関連付けられていることを意味する。
本発明
【0015】
ひとつの側面において、本発明は、美味しさを高める量のヨモギ属植物のハーブまたはスパイス抽出物(アルテミシア抽出物)をフード組成物に添加することを含む、フード組成物の美味しさを高める方法を提供する。もうひとつの側面では、本発明は、実質的なフレーバラント成分として式(I):
【化1】

{式中、Yは、フェニル及びシクロヘキセニル環からなる群から選択される6員環であり;
Zは、−CH=、−C(CH3)=及び−CH2-CH=からなる群から選択される連結部分であり;
R1は、=CH2、=CH−CH3、=CH−CHO及び=CH−COOM(式中、Mは水素、一価アンモニウム、有機アンモニウムまたはアルカリ金属イオン、または低級アルキルである)からなる群から選択される基であり;
R2及びR3は、ヒドリド、ヒドロキシル、低級アルキル及び低級アルコキシからなる群から独立して選択される基であり;及び
R3は−Z=R1に対してパラであり、R2はメタである}を有する少なくとも一種の化合物を含む、美味しさを高める量のハーブまたはスパイスの抽出物をフード組成物に添加することを含む、フード組成物の美味しさを高める方法を提供する。
【0016】
たとえば、そのような化合物は、式(II):
【化2】

または式(III):
【化3】

{式中、R3は、ヒドロキシル(OH)またはメトキシ(OCH3)である}を有することができる。ヨモギ属抽出物及び/または式(I)の(単数または複数種類の)化合物を、フレーバラント作用においてタラゴン精油少なくとも約0.0001重量%に等しい量でフード組成物に添加する。
【0017】
もうひとつの側面では、本発明は、美味しさを高める量のヨモギ属抽出物及び/または式(I)の(単数または複数種類の)化合物を含む美味しくなったフード組成物を提供する。本組成物は、アルテミシア抽出物、式(I)の(単数または複数種類の)化合物または、その組み合わせをフレーバラント作用においてタラゴン精油少なくとも約0.0001重量%に等しい量で含む。
【0018】
本発明の方法及び組成物は、トリ、ウシ、イヌ、ウマ、ネコ、ヒクリン(hircine)、ネズミ、ヒツジ及びブタ、特にイヌ及びネコなどのコンパニオンアニマルなどの多くの非ヒト動物及びヒトのためのフード組成物の美味しさを高めるのに有用である。本発明の(単数または複数種類の)抽出物を含むフード組成物は、意外にも動物にとって高い嗜好性を示す。さらに本発明の方法は、意外にも動物にとって嗜好性の低いフードに高い嗜好性を与える。本発明の方法は特に、動物が食べ物の好みが激しかったり、激しくなってきたり、食欲がない、病気であるなどのときに有用であり、その全ての状態は全ての年齢の動物、特に高齢の動物では起き得ることである。本方法は、そのフード組成物が動物にとって慣れていないとき、または嗜好性に重点が置かれずに健康促進を意図した成分または成分バランスを含むときに、特に有用である。
【0019】
タラゴン精油は、本発明のアルテミシア抽出物の一例である。しかしながら、当業者にとっては明らかなように、タラゴン精油を示すとき、実質的なフレーバラント量の式(I)の化合物を含む任意のアルテミシア抽出物または任意のハーブ若しくはスパイス抽出物を、タラゴン精油、たとえば精油、含油樹脂、煎じ薬(infusion)、チンキ剤、または蒸留液を含む天然抽出物(natural extractive)と置き換えることができる。
【0020】
式(I)の多くの化合物はフレーバラント特性をもつものとして公知である。たとえば、式(II)は、エストラゴール(1-メトキシ-4-(2-プロペニル)ベンゼン)及びアネトール(1-メトキシ-4-(1-プロペニル)ベンゼン)を含み、式(III)は、オイゲノール(1-ヒドロキシ2-メトキシ-4-(2-プロペニル)ベンゼン)、メチルオイゲノール(1,2-ジメトキシ-4-(2-プロペニル)ベンゼン)、及びイソオイゲノール(1-ヒドロキシ2-メトキシ-4-(1-プロペニル)ベンゼン)を含む。式(I)は、シンナムアルデヒド(3-フェニル-2-プロペナール)、α-メチルシンナムアルデヒド及び桂皮酸(3-フェニル-2-プロペン酸)などのフレーバラント化合物及びその塩、ならびに低級アルキルエステル、たとえばメチルシンナメート、エチルシンナメート及びn-ブチルシンナメートも含む。式(I)は、以下の構造:
【化4】

をもつフレーバラント・リモネン(p-メタ-1,8-ジエン)も含む。リモネンは、そのd-若しくはl-配置で、またはd-及びl-形のラセミ混合物として本発明の組成物中に配合することができる。
【0021】
テルペン、アネトール、エストラゴール、オイゲノール、イソオイゲノール及びメチルオイゲノールを含み得るタラゴン精油は、本発明の標準である。タラゴン精油をフード組成物中で使用する場合、使用する量は、少なくとも約0.0001重量%でなければならない。タラゴン精油以外のハーブまたはスパイス抽出物を使用する場合、使用量は、アネトール、エストラゴール、オイゲノール、メチルオイゲノール及び/またはイソオイゲノールの量で、または味を良くする効果(palatant)において、タラゴン精油少なくとも約0.0001重量%に等しい量でなければならない。そのような全ての抽出物のタラゴン精油等価量は、当業者によって容易に決定することができる。
【0022】
タラゴンは、ヨモギ属(アルテミシア)ドラキュンキュルス(dracunculus)の薬草植物である。他のヨモギ属の種類の精油も同様に、テルペン類、アネトール、エストラゴール、オイゲノール、イソオイゲノール及びメチルオイゲノールを含むことがある。したがって、一態様において、本発明の目的に関して精油またはほかの抽出物は、タラゴン(A.dracunculus)、ニガヨモギ(A.absinthium)、ジェネピ(A.glacialis)、ヨモギ(A.vulgarisまたはA.pontica)、サザンウッド(A.abrotanum)、マウンテン・サザンウッド(A.valesiaca)及びほかのヨモギ属(たとえばA.anuua、A.myriantha、A.tridenata及びA.caruthii)などの、アネトール、エステトラゴール、オイゲノール、イソオイゲノール及び/またはメチルオイゲノールを含む任意のハーブから誘導することができるが、これらに限定されない。
【0023】
種々の態様において、抽出物は、エストラゴール、アネトールまたは、アネトール、エストラゴール、オイゲノール、イソオイゲノール及びメチルオイゲノールのいずれかひとつまたは二種以上の任意の組み合わせを含む。一態様において、抽出物は、タラゴン(Artemisia dracunculus)、ニガヨモギ(A.absinthium)、ジェネピ(A.glacialis)、ヨモギ(A.vulgaris)、サザンウッド(A.abrotanum)、マウンテン・サザンウッド(A.valesiaca)、他のヨモギ属(A.anuua、A.myriantha、A.tridenataまたはA.caruthii)から得られるものなどのアルテミシア抽出物少なくとも約0.0001重量%のタラゴン精油等価量を含む。
【0024】
本発明に従った有用な抽出物は、ヨモギ属または、任意の他のアネトール-、エストラゴール-、オイゲノール-、イソオイゲノール-及び/またはメチルオイゲノール-を含むハーブまたはスパイス植物から誘導することができる。上記以外のそのようなハーブまたはスパイスの非限定的な例としては、アニス(Pinpinella anisum)、スィートバジル(Ocimum basilicum)、月桂樹(Pimenta racemosa)、ボイス・デ・ローズ(bois de rose)(Eubatus節のRubas種)、ボルドー(Peumus boldus)、ショウブ(Acorus calamus)、クスノキ(Cinnamomum camphora)、カナネア及びイランイラン(Cananga odorata)、カスカリラ(Croton eluteria)、シナモン(Cinnamomum zeylanicum、C.loureirri及びC.cassia)、コウイヌガヤ(Cymbopogon winterianus及びC.nardus)、チョウジ(Eugenia caryophyllata)、チャービル(Anthriscus cerefolium)、インディアン・ディル(Anethum sowa及びPeucedanum graveolens)、フェンネル(Foeniculum vulgare)、たとえば一般的なフェンネル及びスウィート・フェンネル、ゼラニウム(Pelargonium graveolens、P.roseum、P.radula、P.capitatum、P.fragrans及びP.odoratissimum)、ヤマリンゴの種子(Aframomum meleguata)、永久花(immortelle)(Helichrysum angustifolium)、ジャスミン(Jasminum officinale及びほかの種)、ラブダナム(Cistus ladaniferus及びC.creticus)、月桂樹(Laurus nobilis)、スウィート・マジョラム(Origanum majorana)、ミルラ(Commiphora molmol、C.abysinica及びほかの種)、ニクズク(Myristica fragrans)、パチョリ(Pogostemon cablin及びP.heyneanus)、ピメンタ及びオールスパイス(Pimenta officinalis)、ササフラス(Sassafras albidum)、スター・アニス(Illicium verum)、月下香(Polyanthes tuberosa)及びクルミ(Juglans regia及びほかの種)が挙げられる。
【0025】
この態様に従った有用な抽出物の例としては、フレーバラント作用においてタラゴン精油少なくとも約0.0001重量%に等しい量のタラゴン、月桂樹、バジル、アニスまたはナツメグの精油が挙げられる。
【0026】
態様によっては、本発明は、本発明の抽出物の美味しさを高める量を組成物に添加することによってコンパニオンアニマル・フード組成物の美味しさを高める方法及び、そのような方法に従って製造したコンパニオンアニマル・フード組成物を提供する。通常、この抽出物は、タラゴン精油少なくとも約0.0001重量%に等しい量でフード組成物に添加する。一態様において、本方法は、アネトール、エストラゴール、オイゲノール、イソオイゲノール及びメチルオイゲノールの少なくとも一種を含むハーブまたはスパイス抽出物少なくとも約0.0001重量%のタラゴン精油等価量をコンパニオンアニマル・フード組成物に添加することを含む。
【0027】
別の態様では、本組成物及び方法は、さらに第二の抽出物、たとえば、アニス、ウサギギク、バジル、ベルガモット、キンセンカ、キャラウェイ、カミツレ、シナモン、かんきつ類(レモンを含む)、ニワトコ、ユーカリ、モミの葉(fir needle)、ニンニク、ホップ、ビャクシン、ラベンダー、レモンバーム、カンゾウ、マジョラム、オレガノ、トケイソウ、ペパーミント、マツヨイグサ、タイム及びバニラからなる群から選択されるハーブまたはスパイスの精油からの抽出物を含む。特に第二の抽出物は、シナモン、かんきつ類(レモンを含む)、ユーカリ、ラベンダー、オレガノ、ペパーミント、タイムまたはバニラから誘導することができる。この態様の組成物及び方法は、イヌ及びネコなどのコンパニオンアニマルを含む動物に本組成物を与えるときに、排泄物のにおい及びガスのにおいなどの動物の排泄物のにおいを軽減させるのに有用である。したがって、本発明は、
(1)アニス、ウサギギク、バジル、ベルガモット、キンセンカ、キャラウェイ、カミツレ、シナモン、かんきつ類、ニワトコ、ユーカリ、モミの葉、ニンニク、ホップ、ビャクシン、ラベンダー、レモンバーム、カンゾウ、マジョラム、オレガノ、トケイソウ、ペパーミント、マツヨイグサ、タイム及びバニラからなる群から選択されるハーブまたはスパイスの精油由来の抽出物;及び
(2)ヨモギ属植物のハーブ若しくはスパイスの抽出物の美味しさを高める量または、式(I)の少なくとも一種の化合物を実質的なフレーバラント成分として含むハーブ若しくはスパイスの抽出物の美味しさを高める量の少なくともひとつを含むフード組成物を動物に与えることによって、フード組成物の美味しさを高め、且つそのような組成物を摂取する動物から生じる動物排泄物のにおいを軽減する方法を提供する。
【0028】
本発明のフード組成物としては、たとえば缶に詰めた湿り気のあるペットフード、押出ドライペットフード、サプリメント及びトリート(お菓子)が挙げられる。これらは全てイヌやネコなどの動物に適応しているものであるが、必ずしも人間用ではない。一態様において、フード組成物は、加工手段または成分の品質若しくは由来のため、ヒトに適応していない。本明細書に定義したハーブまたはスパイス抽出物を含有することによって全てのペットフードの利益になり得るが、一態様においては、ペットフードは、場合により穀物などの炭水化物源と一緒に、筋肉組織及び臓物を含む動物(たとえば哺乳類、鳥または魚)のたんぱく質性組織から誘導した主(少なくとも約25重量%、たとえば少なくとも約50重量%)成分をもつものである。
【0029】
ハーブまたはスパイス抽出物は、フード組成物中にだいたい均一に分散させることができる。あるいは、ハーブまたはスパイス抽出物は、肉のぶつ切り、乾燥キブル(kibble)またはイヌ用ビスケットなどのひとつひとつのトリートなどのフード片の表面全体に、または部分的に配合することができる。
【0030】
ハーブまたはスパイス抽出物は、フード組成物の通常量を摂取するコンパニオンアニマルの健康に有毒でも有害でもない量で配合しなければならない。特に、抽出物は、不都合な消化作用、たとえば数日以上残る長期作用を引き起こさない濃度で配合すべきである。不都合な消化作用としては、たとえば便秘または下痢が挙げられる。
【0031】
通常、本方法は、タラゴン精油等価物として表して、約0.0001%〜約0.1%、約0.001%〜約0.05%、または約0.002%〜約0.01%の美味しさを高める量で、本発明の(単数または複数種類の)化合物を含むフード組成物を提供する。抽出物がフード片の表面に局在化している場合、局所的な濃度はここで提案している濃度を超えることがあるが、フード組成物全体での濃度は通常、この範囲内である。
【0032】
本発明の組成物の製造において、フード組成物の成分は、ハーブまたはスパイス抽出物が所望の濃度で組成物中に存在するように、フード組成物の成分を調節する。たとえば、ハーブまたはスパイス抽出物は、組成物の他の成分の混合中及び/または混合後などの、配合時にフード組成物に配合することができる。組成物にこれらの成分を分散させることは、標準的な混合手順を含む任意の慣用法によって実施することができる。
【0033】
本発明のフード組成物は、慣用のペットフードプロセスを使用してウェットまたは容器入り(たとえば缶詰またはパウチ)形に製造することができる。一態様において、粉砕動物(哺乳類、ブタ、魚及び/またはシーフード)たんぱく質性組織を、動物性脂肪及び植物油、穀物、他の栄養的にバランスをとる成分、特別な目的のための添加剤(たとえばビタミン及びミネラル成分、無機塩、セルロース及びビートパルプ、充填剤(bulking agent)などを含むほかの成分と混合し;加工するのに十分量の水も添加する。これらの成分は、通常、成分をブレンドしながら、加熱するのに好適な容器内で混合する。混合物の加熱は、たとえば直接蒸気を注入することにより、または熱交換器を備えた容器を使用することによって、任意の好適な方法で実施することができる。これらの最後の成分を添加した後、混合物を最高約100℃の温度まで予熱段階で加熱する。高温も許容できるが、他の加工助剤を使用しない場合には、商業的に現実的ではないことがある。好適な温度に加熱すると、材料は通常、粘ちょうな液体状態になる。この粘ちょうな液体を、缶、ジャー、パウチなどの好適な容器に充填する。蓋をして、容器を密封する。この封止容器を、内容物を滅菌するように設計された慣用の装置に設置する。これは通常、好適な時間、少なくとも約110℃の温度に加熱して実施するが、これは使用する温度及び組成物に依存する。製品は、無菌プロセスによっても製造することができ、この無菌プロセスでは、商業的滅菌まで加熱してから、滅菌容器に包装する。ハーブまたはスパイス抽出物を、予熱段階の前、間またはその後にペットフード製品に添加することができる。
【0034】
本発明のフード組成物は、慣用プロセスを使用して乾燥形に製造することができる。一態様において、動物たんぱく質源、植物たんぱく質源、穀物、ミネラルなどを含む乾燥成分を粉砕し、一緒に混合する。次いで、湿り気のある成分または液体成分(たとえば脂肪、油、動物たんぱく質源、水など)を添加し、乾燥混合物と混合する。ついでこの混合物をキブルまたは同様の乾燥片に加工する。キブル(kibble)は、乾燥成分と湿潤成分との混合物を高圧及び高温で機械的作用にかけて、小さな開口部を通して押出し、回転刃でキブルに切断する、押出プロセスを使用して形成することが多い。ついで湿潤キブルを乾燥し、場合によりフレーバー、脂肪、油、粉末などを含み得る一種以上の局所的コーティングでコーティングする。また、キブルは、押出ではなく、ベーキング工程を使用して生地から製造することができ、ここで生地を型に入れてから乾燥-加熱処理にかける。キブルはペレット化にかけるフードマトリックスから製造することができる。
【0035】
このハーブまたはスパイス抽出物は、押出前に上記混合物に添加して、または局所コーティング成分として抽出物で押出したキブル若しくはペレットをコーティングすることによって、フード組成物に配合することができる。たとえば、精油は乾燥加工ラインで液体に、プレコンディショナー組成物に、またはコーティング組成物に添加することができる。
【0036】
一態様において、フード組成物は、本明細書に定義したハーブまたはスパイス抽出物を含む栄養サプリメントである。サプリメントとしては、たとえば全体の栄養バランスまたは性能を改善するために、別のペットフードで使用されるあるペットフードが挙げられる。サプリメントとしては、他のペットフードに対するサプリメントとして希釈せずに用いたり、別々に利用可能な動物の割り当て分の別の部分と自由に選択することを提案したり、または完全な規定食(diet)を製造するために動物の通常食で希釈したり混合したりする組成物が挙げられる。AAFCOは、たとえば、the American Feed Control Officials,Inc.Official Publication(2003)、220ページでサプリメントに関する議論を提供している。サプリメントは、粉末、液体、シロップ、ピル、カプセル封入化組成物などの種々の形状である。
【0037】
別の態様では、本組成物は、ハーブまたはスパイス抽出物を含むイヌまたはネコ用のトリート(treat)である。トリートは、たとえば、食事の時間ではないときに動物の気を引いて食べさせるために与える組成物である。イヌ用のトリートとしては、たとえばイヌの骨の形のドッグビスケットが挙げられる。組成物が一種以上の栄養素を含む場合には、トリートには栄養があり、たとえばペットフードに関して上述のような組成物を有していてもよい。非栄養的なトリートとしては、非毒性の他の全てのトリートが包含される。ハーブまたはスパイス抽出物は、トリートの表面のコーティング、またはトリートの中に、またはその両方に配合することができる。
【0038】
所望により、ハーブまたはスパイス抽出物はペットフード系に封入することができる。ハーブまたはスパイス抽出物は、味を良くする処理(processing of palatant)の間のいつでも、味を良くするもの(たとえば消化物(digest)またはスープ(broth))に添加することができる。
【0039】
美味しさの強化(palatability enhancement)は、当業界で公知の任意の手順にて測定することができるが、具体的な手順では、高い美味しさ(enhanced palatability)は、嗜好試験で摂取比を測定することによって定量化することができる。実施例1及び2に具体的に示されている試験の一タイプでは、試験用配合物(たとえば本発明のフード組成物)を、一定期間、対照組成物または比較配合物(たとえば、本明細書で定義のハーブまたはスパイス抽出物を含まないフード組成物)と一緒に提供する。好適な期間はイヌに関しては約45分であり、ネコに関しては24時間であるが、所望により変動させることができる。試験期間中に摂取された全フード(試験フード+対照フード)に対して摂取された試験フードの重量比は摂取比の尺度であり、二つのフードの相対嗜好性の尺度である。実質的に約0.5を超える摂取比は、高い美味しさの指標である。
【0040】
ハーブまたはスパイス抽出物は、たとえば上述の混合またはコーティングプロセスによって、フード組成物の製造時に添加することができる。一態様において、ハーブまたはスパイス抽出物は、コンパニオンアニマルに与える責任がある人によってコンパニオンアニマルのフードに添加する。
【0041】
この目的に関しては、ハーブまたはスパイス抽出物は、たとえば希釈していない精油として、そのまま使用することができる。しかしながら、通常、植物油または食用粉末などの好適なキャリヤ中の希釈形または分散形で抽出物を提供するのがより好都合であり、不測の事態で抽出物を過剰添加する危険性を軽減する。ハーブまたはスパイス抽出物を含む粉末を、動物に与える直前にフードの上に振りかけることができる。あるいは、ハーブまたはスパイス抽出物を含む液体をフード上に噴霧することができる。そのような粉末または液体組成物は、「美味しさを高める組成物(palatability enhancer composition)」として本明細書中に記載され、「シーズニング(調味料)」と考えられ得る。これらはペットフード一盛り分の上に塗りつけることができるか、及び/または所望によりフードと混合することができる。ペットフード組成物の美味しさを高めるために本明細書に記載のハーブまたはスパイス抽出物を含む美味しさを高める組成物またはシーズニングは、本発明のひとつの態様である。
【0042】
さらなる態様において、式(I)の少なくとも一種のフレーバラント化合物、具体的には式(II)または式(III)の少なくとも一種の化合物の美味しさを高める量を組成物に添加することを含む、コンパニオンアニマルに対するフードの美味しさを高めるための方法を提供する。この化合物は、具体的には、アネトール、エストラゴール、オイゲノール、イソオイゲノールまたはメチルオイゲノールであってもよい。場合により、アネトール、エストラゴール、オイゲノール、イソオイゲノール及びメチルオイゲノールの二種以上の任意の組み合わせを本発明の方法に従って添加することができる。本発明の態様に従った有用なフレーバラント化合物は、天然または合成由来のものであってもよい。
【0043】
この態様にしたがって、少なくとも一種のフレーバラント化合物を、動物の健康に対して非毒性であり、有毒でもない任意の美味しさを高める量で、たとえばフード組成物の約0.0001重量%〜約0.1重量%、または約0.001重量%〜約0.05重量%、または約0.002重量%〜約0.01重量%をフード組成物に添加することができる。
【0044】
さらなる側面では、本発明は、
動物が摂取するのに好適な少なくとも一種の成分と、
(1)アニス、ウサギギク、バジル、ベルガモット、キンセンカ、キャラウェイ、カミツレ、シナモン、かんきつ類、ニワトコ、ユーカリ、モミの葉(fir needle)、ニンニク、ホップ、ビャクシン、ラベンダー、レモンバーム、カンゾウ、マジョラム、オレガノ、トケイソウ、ペパーミント、マツヨイグサ、タイム及びバニラからなる群から選択されるハーブまたはスパイスの精油由来の抽出物の少なくともひとつの美味しさを高める量と、
(2)ヨモギ属植物のハーブ若しくはスパイスのスパイスの美味しさを高める量または、式(I)の少なくとも一種の化合物を実質的なフレーバラント成分として含むハーブ若しくはスパイスの抽出物の美味しさを高める量の少なくとも一つの美味しさを高める量とをひとつのパッケージの中の別々の容器に含む、動物に美味しいフード組成物を投与するためのキットを提供する。追加の態様では、本キットはさらに、
(1)美味しい動物用組成物を製造するために抽出物と(単数または複数種類の)成分とを組み合わせる方法の説明書;
(2)特に動物の利益のために本発明の組成物を使用する方法の説明書;及び
(3)アニス、ウサギギク、バジル、ベルガモット、キンセンカ、キャラウェイ、カミツレ、シナモン、かんきつ類、ニワトコ、ユーカリ、モミの葉、ニンニク、ホップ、ビャクシン、ラベンダー、レモンバーム、カンゾウ、マジョラム、オレガノ、トケイソウ、ペパーミント、マツヨイグサ、タイム及びバニラからなる群から選択されるハーブまたはスパイスの精油由来の抽出物のひとつ以上を、キット成分に適したものとして、ひとつのパッケージ内の個別容器にまたはバーチャルパッケージ内の個別容器にさらに含む。キットがバーチャルパッケージを含むとき、キットは、ひとつ以上の物理的なキット成分と組み合わせたバーチャル環境(virtual environment)での説明書に限定される。キットは、組成物の美味しさを高めるのに十分量の美味しさを高める抽出物を含む。通常、キットは、そのような抽出物を、フレーバラント効果においてタラゴン精油少なくとも約0.0001重量%に等しい量の抽出物を含む組成物を製造するのに十分量で含む。通常、抽出物と(単数または複数種類の)フード組成物の成分は、動物に与える直前に混合する。一態様において、キットは、美味しさを高める抽出物の一包分と、動物に与えるフードの容器を含む。キットは、抽出物と成分を混合するためのデバイス、またはフードボウルなどの混合物を入れるためのデバイスなどの追加のアイテムも含むことができる。別の態様では、(単数または複数種類の)抽出物を、動物の健康を促進するビタミン及びミネラルなどの追加の栄養サプリメントと混合する。
【0045】
別の側面では、本発明は、フード組成物の美味しさを高めるため、美味しいフード組成物を製造するため、及び必要に応じて動物がフード組成物を沢山食べるように、本発明の組成物、方法及び/またはキットを使用するための情報または説明書を伝達するための手段を提供する。この伝達手段(communicating means)は、説明書、デジタル保存メディア、光学保存メディア、音声表示、または情報若しくは説明書を含む画像表示を含む。好ましくは、伝達手段は、そのような情報または説明書を含む表示されたウェブサイト若しくはパンフレット、製品ラベル、製品折込広告、宣伝または画像表示である。有用な情報としては、(1)抽出物と(単数または複数種類の)成分を混合し、投与するための方法及び技術と、(2)患者が本発明及びその使用に関して質問がある場合に使用するための連絡先のひとつ以上を含む。有用な説明としては、混合する量と投与量及び頻度が挙げられる。情報伝達手段は、本発明を使用し、本発明を動物に適用するための承認された方法を伝える利点について説明するのに役立つ。
【0046】
本発明は、本発明に記載の特定の方法論、プロトコル及び試薬が変動し得るものであるため、これらに限定されない。さらに、本明細書中で使用する専門用語は、特定の態様のみを記載するためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書及び付記請求項で使用するように、「ひとつ(a、an)」、及び「本、その(the)」なる単数形は、他ではっきりと規定しないかぎり、複数も包含するものとする。同様に、「含む(compriseとcomprising)」なる用語は、排他的というよりは包括的に解釈すべきである。
【0047】
他に記載しないかぎり、本明細書で使用する全ての技術的及び科学的用語及び頭字語は、本発明の技術分野における当業者によって通常理解されるものと同一の意味をもつ。本明細書に記載のものと同様または等価の全ての方法及び材料を本発明の実施で使用することができるが、好ましい方法、デバイス及び材料が本明細書で記載される。
【0048】
本明細書で記載した全ての特許、特許出願及び刊行物は、本発明と共に使用されるかもしれない本明細書に開示の化合物、プロセス、技術、手順、技術的方法、物品及び他の組成物及び方法を記載且つ開示する目的で法律によって許される程度まで本明細書中、参照として含まれる。しかしながら、本明細書のいかなるものも、先の発明による開示に先立つ権利がないものとして解釈されるべきではない。
実施例
【0049】
本発明は、その好ましい態様の以下の実施例によって詳細に説明することができる。しかし、これらの実施例は単に説明の目的のために含まれるものであって、他に特記しないかぎり、本発明の範囲を限定するものではない。
実施例1
【0050】
タラゴン精油を追加含有物として含む乾燥キャットフード製品を既存フォーミュラから製造した。
【0051】
表1及び表2は、フード製造の間にプレコンディショナー成分にタラゴン精油を任意に添加して製造した乾燥キャットフードをネコに試験フードとして提供した、ネコにおける嗜好試験(palatability test)の結果を示す。四種類の対照フードを提供した。
【0052】
摂取された試験フード対摂取された全フードの平均比として摂取比(intake ratio:IR)を、対応する対照フードと比較してそれぞれの試験フードに関して測定した。動物に、それぞれ、試験フードの入った予め秤量しておいたフード皿と、同時に対照フードの入った予め秤量しておいた皿を与えた。このフード皿を24時間、残したままにしておき、時間終了時に、フード皿を下げて、以下の式:
IR=A/(A+B)
{式中、Aは、動物が摂取した試験フードの量であり、Bは、動物が摂取した対照フードの量である}を使用して、摂取比を測定した。
【0053】
表1〜4において、「同等(parity)」とは、表示された対照よりも試験フードに有意な嗜好優先性(significant preference)が観察されなかったこと(IRは0.5に近い)を意味し、「成功(win)」とは、表示された対照よりも試験フードが好まれた(IRは実質的に0.5を超える)ことを意味する。すなわち、本研究においてネコが平均して試験フードをより気に入ったことを意味する。二セット以上のデータがひとつの試験フードフォーミュラに関して示されている場合、これらは別々の試験結果を示す。
【表1】

【0054】
この研究において、タラゴン油を、特に0.002%以上の量で添加した乾燥キャットフードは、使用した対照フード組成物にかかわらず、タラゴン油を含まないフードよりも高い摂取比を一般的に示した。タラゴン油を添加すると嗜好が強まって、それぞれの場合の対照フードに関して「成功」または少なくとも「同等」の結果となった。
【表2】

実施例2
【0055】
タラゴン精油を追加含有物として含む乾燥ドッグフード製品を既存フォーミュラから製造した。
【0056】
表3及び表4は、フード製造の間にプレコンディショナー成分にタラゴン精油を任意に添加して製造した乾燥ドッグフードをイヌに試験フードとして提供した、イヌにおける嗜好試験の結果を示す。表3の第4欄に示されているように、この研究において、フォーミュラによってはそのキブル密度が低いものから高いものまで様々であった。キブル密度の変動は、押出圧力を変えることによって、または成分比及び/または密度を変動させることによって達成される。6種類の対照フードを提供した。
【0057】
摂取された試験フード対摂取された全フードの平均比として摂取比(IR)を、対応する対照フードと比較してそれぞれの試験フードに関して測定した。動物に、それぞれ、試験フードの入った予め秤量しておいたフード皿と、同時に対照フードの入った予め秤量しておいた皿を与えた。このフード皿を45分間、残したままにしておき、時間終了時に、フード皿を下げて、再び秤量して、上記式を使用して摂取比を測定した。
【表3】

【表4】

【表5】

【0058】
データを参照して、タラゴン油を、特に低い割合で乾燥ドッグフードに添加すると、一般的に、タラゴン油を含まないドッグフードと比較して摂取比が増加した。
【0059】
本明細書において、本発明の典型的な好ましい態様について開示してきた。具体的な用語を使用するが、これらは以下の請求の範囲に説明されている本発明の範囲を一般的に説明するためのものであって、限定するものではない。上記教示の範囲内で、本発明の種々の変形及び変更が可能であることは明らかである。したがって、他に具体的に記載しない限り、付記請求の範囲内で本発明を実行し得ると理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
美味しさを高める量の植物ヨモギ属のハーブまたはスパイスの抽出物を含むフード組成物。
【請求項2】
フレーバラント作用においてタラゴン精油少なくとも約0.0001重量%に等しい量で前記抽出物を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ハーブまたはスパイスが、タラゴン、ヨモギ、ニガヨモギ及びジェネピからなる群から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記抽出物が精油、含油樹脂、煎じ薬、チンキ剤、または天然抽出物である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記抽出物がタラゴン精油である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記タラゴン精油が、約0.0001重量%〜約0.1重量%の量で存在する、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
アニス、ウサギギク、バジル、ベルガモット、キンセンカ、キャラウェイ、カミツレ、シナモン、かんきつ類、ニワトコ、ユーカリ、モミの葉、ニンニク、ホップ、ビャクシン、ラベンダー、レモンバーム、カンゾウ、マジョラム、オレガノ、トケイソウ、ペパーミント、マツヨイグサ、タイム及びバニラからなる群から選択されるハーブまたはスパイスの精油由来の抽出物をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
美味しさを高める量の植物ヨモギ属のハーブまたはスパイスの抽出物を前記組成物に添加することを含む、フード組成物を美味しくする方法。
【請求項9】
フレーバラント作用においてタラゴン精油少なくとも約0.0001重量%に等しい量で前記抽出物を添加する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ハーブまたはスパイスが、タラゴン、ヨモギ、ニガヨモギ及びジェネピからなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記抽出物が、精油、含油樹脂、煎じ薬、チンキ剤、または天然抽出物である、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記抽出物がタラゴン精油である、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記タラゴン精油が、約0.0001重量%〜約0.1重量%の量で存在する、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
実質的なフレーバラント成分として式(I):
【化1】

{式中、Yは、フェニル及びシクロヘキセニル環からなる群から選択される6員環であり;
Zは、−CH=、−C(CH3)=及び−CH2-CH=からなる群から選択される連結部分であり;
R1は、=CH2、=CH−CH3、=CH−CHO及び=CH−COOM(式中、Mは水素、一価アンモニウム、有機アンモニウムまたはアルカリ金属イオン、または低級アルキルである)からなる群から選択される基であり;
R2及びR3は、ヒドリド、ヒドロキシル、低級アルキル及び低級アルコキシからなる群から独立して選択される基であり;及び
R3は−Z=R1に対してパラであり、R2はメタである}を有する少なくとも一種の化合物を含む、美味しさを高める量のハーブまたはスパイスの抽出物を含むフード組成物。
【請求項15】
フレーバラント作用においてタラゴン精油少なくとも約0.0001重量%に等しい量で前記抽出物を含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記ハーブまたはスパイスが、タラゴン、ヨモギ、ニガヨモギ及びジェネピからなる群から選択される、請求項14に記載の組成物。
【請求項17】
前記抽出物が、アネトール、エストラゴール、オイゲノール、イソオイゲノール及びメチルオイゲノールからなる群から選択される、請求項14に記載の組成物。
【請求項18】
前記化合物がエストラゴールである、請求項14に記載の組成物。
【請求項19】
前記化合物がアネトールである、請求項14に記載の組成物。
【請求項20】
アニス、ウサギギク、バジル、ベルガモット、キンセンカ、キャラウェイ、カミツレ、シナモン、かんきつ類、ニワトコ、ユーカリ、モミの葉、ニンニク、ホップ、ビャクシン、ラベンダー、レモンバーム、カンゾウ、マジョラム、オレガノ、トケイソウ、ペパーミント、マツヨイグサ、タイム及びバニラからなる群から選択されるハーブまたはスパイスの精油由来の抽出物をさらに含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項21】
フード組成物の美味しさを高める方法であって、実質的なフレーバラント成分として式(I):
【化2】

{式中、Yは、フェニル及びシクロヘキセニル環からなる群から選択される6員環であり;
Zは、−CH=、−C(CH3)=及び−CH2-CH=からなる群から選択される連結部分であり;
R1は、=CH2、=CH−CH3、=CH−CHO及び=CH−COOM(式中、Mは水素、一価アンモニウム、有機アンモニウムまたはアルカリ金属イオン、または低級アルキルである)からなる群から選択される基であり;
R2及びR3は、ヒドリド、ヒドロキシル、低級アルキル及び低級アルコキシからなる群から独立して選択される基であり;及び
R3は−Z=R1に対してパラであり、R2はメタである}を有する少なくとも一種の化合物を含む、美味しさを高める量のハーブまたはスパイスの抽出物を前記組成物に添加することを含む前記方法。
【請求項22】
フレーバラント作用においてタラゴン精油少なくとも約0.0001重量%に等しい量で前記抽出物を添加する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記化合物が、アネトール、エストラゴール、オイゲノール、イソオイゲノール及びメチルオイゲノールからなる群から選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記化合物がエストラゴールである、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記化合物がアネトールである、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
フード組成物の美味しさを高め、且つそのような組成物を摂取する動物から生じる動物排泄物のにおいを軽減する方法であって、
(1)アニス、ウサギギク、バジル、ベルガモット、キンセンカ、キャラウェイ、カミツレ、シナモン、かんきつ類、ニワトコ、ユーカリ、モミの葉、ニンニク、ホップ、ビャクシン、ラベンダー、レモンバーム、カンゾウ、マジョラム、オレガノ、トケイソウ、ペパーミント、マツヨイグサ、タイム及びバニラからなる群から選択されるハーブまたはスパイスの精油由来の抽出物;及び
(2)ヨモギ属植物のハーブ若しくはスパイスの抽出物の美味しさを高める量または、式(I)の少なくとも一種の化合物を実質的なフレーバラント成分として含むハーブ若しくはスパイスの抽出物の美味しさを高める量の少なくともひとつを含むフード組成物を動物に与えることを含む、前記方法。
【請求項27】
フード組成物の美味しさを高める方法であって、アニス、スイートバジル、ボイス・デ・ローズ、ボルドー、ショウブ、クスノキ、カナネア、イランイラン、カスカリラ、シナモン、コウイヌガヤ、チョウジ、チャービル、インディアン・ディル、一般的なフェンネル、スウィート・フェンネル、ゼラニウム、ヤマリンゴの種子、永久花、ジャスミン、ラブダナム、月桂樹、マジョラム、ミルラ、ニクズク、パチョリ、ピメンタ、オールスパイス、ササフラス、八角、ゲッカコウ及びクルミからなる群から選択されるハーブまたはスパイスの抽出物の美味しさを高める量を前記組成物に添加することを含む、前記方法。
【請求項28】
前記抽出物が精油である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
動物によって摂取されるのが好適な少なくともひとつの成分、
(1)アニス、ウサギギク、バジル、ベルガモット、キンセンカ、キャラウェイ、カミツレ、シナモン、かんきつ類、ニワトコ、ユーカリ、モミの葉、ニンニク、ホップ、ビャクシン、ラベンダー、レモンバーム、カンゾウ、マジョラム、オレガノ、トケイソウ、ペパーミント、マツヨイグサ、タイム及びバニラからなる群から選択されるハーブまたはスパイスの精油由来の抽出物と、
(2)ヨモギ属植物のハーブ若しくはスパイスの抽出物の美味しさを高める量または、式(I)の少なくとも一種の化合物を実質的なフレーバラント成分として含むハーブ若しくはスパイスの抽出物の美味しさを高める量の少なくともひとつの美味しさを高める量とをひとつのパッケージの別々の容器に含むキット。
【請求項30】
(1)動物に食べさせるために美味しい動物用組成物を製造するために抽出物と(単数または複数種類の)成分とを組み合わせる方法の説明書;
(2)特に動物の利益のために本発明の組成物を使用する方法の説明書;及び
(3)アニス、ウサギギク、バジル、ベルガモット、キンセンカ、キャラウェイ、カミツレ、シナモン、かんきつ類、ニワトコ、ユーカリ、モミの葉、ニンニク、ホップ、ビャクシン、ラベンダー、レモンバーム、カンゾウ、マジョラム、オレガノ、トケイソウ、ペパーミント、マツヨイグサ、タイム及びバニラからなる群から選択されるハーブまたはスパイスの精油由来の抽出物のひとつ以上を、キット成分に適したものとして、一つのパッケージまたはバーチャルパッケージ中の別々の容器にさらに含む、請求項29に記載のキット。
【請求項31】
請求項29に記載のキットであって、フレーバラント作用においてタラゴン精油少なくとも約0.0001重量%に等しい量で前記抽出物を含む組成物を製造するのに十分な量の美味しさを高める抽出物を含む、前記キット。
【請求項32】
説明書、デジタル保存メディア、光学保存メディア、音声表示、または情報若しくは説明書を含む画像表示を含む、本発明の組成物、方法またはキットを使用するための情報または説明書を伝達する手段。
【請求項33】
表示されたウェブサイト、パンフレット、製品ラベル、製品折込広告、宣伝または画像表示からなる群から選択される、請求項32に記載の手段。

【公表番号】特表2008−523809(P2008−523809A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−546839(P2007−546839)
【出願日】平成17年12月12日(2005.12.12)
【国際出願番号】PCT/US2005/045131
【国際公開番号】WO2006/065841
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(502329223)ヒルズ・ペット・ニュートリシャン・インコーポレーテッド (138)
【Fターム(参考)】