説明

プラズマ処理による活性化段階を含むポリマー積層体の製造方法

本発明は、水性接着ポリマー材料(C)の少なくとも一つの層によって互いに結合される層(A)及び層(B)である2つのポリマー層を少なくとも含む積層体の製造方法に関する。本方法は、(a)酸化性又は還元性の連続大気圧コールドプラズマ処理による予備洗浄により、基材(A)の層及び/又は基材(B)の層を予備洗浄する段階と、(b)基材(A)の層及び/又は基材(B)の層の連続大気圧コールドプラズマ処理による活性化段階とを有している。そのプラズマ処理は、(i)層がショアーD硬度が厳密に35〜60のポリマーから形成されている場合又は層がショアーD硬度≧60のポリマーから形成されており且つプラズマ源と層の活性化される表面との距離≦3cmの場合には、酸化性又は還元性であり、(ii)層がショアーD硬度≧60のポリマーから形成されており且つプラズマ源と層の活性化される表面との距離>3cmの場合には、還元性である。基材(A)及び(B)の層は同一でも異なっていてもよく、又、基材(A)及び(B)の層は非滲出性ポリマーで作られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に言うならば、基材(A)の層と基材(B)の層が互いに結合した2つの基材層を少なくとも含む積層品、特に、靴の構成部品、特に靴底に関するものである。基材(A)の層及び/又は基材(B)の層は少なくとも一種のポリマーを含み、このポリマーには少なくとも一種の充填剤を添加してもしなくてもよく、このポリマーは、滲出性がなく、下記の中から選択される:(i)ポリアミド(PA)ホモポリマー又はコポリマー、(ii)PEBA(ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとのコポリマー)、TPU(熱可塑性ポリウレタンポリマー)、COPE(ポリエーテルブロックとポリエステルブロックとを有するコポリマー)の中から選択される熱可塑性エラストマー(TPE)及び(iii)これらの混合物。基材(A)及び基材(B)の層の製造に用いるポリマーは同一でも異なっていてもよい。
【0002】
基材(A)及び基材(B)の層は、水性接着材料、すなわち有機溶剤の含有量が低い(接着材料の重量に対して<10重量%の溶剤)接着材料又は有機溶剤を含まない接着材料の少なくとも一つの層によって互いに結合される。
【0003】
本発明は更に、このような積層体、及び、製靴業、特に靴の構成部品、例えば靴底、特に運動靴の靴底の製造でのその使用に関するものである。
【背景技術】
【0004】
最近ここ十年間に、PEBAコポリマーをベースにした材料、例えばアルケマ社から商品名Pebax(登録商標)で市販の材料は、その機械特性、特に、非常に優れた跳ね返り特性によって、トップ商品の靴、特に運動靴の分野に徐々に導入されてきた。
【0005】
一般に、積層体を製造するためのこれらのPEBA材料から作られたこの種の基材の結合には下記の操作が必要とされる:
(1)有機溶剤、例えばメチルエチルケトン(MEK)で、結合すべき基材の表面を洗浄し、
(2)プライマー組成物の層を基材の少なくとも接触表面に、一般的にはブラシで塗布し、
(3)オーブン内でプライマー層を乾燥させ、
(4)二成分ポリウレタン型接着剤の層を、プライマー層と、他方の基材の接触表面に、一般的にはブラシで塗布し、
(5)オーブン内で接着層を乾燥させ、
(6)2つの接着剤塗布基材を接触させ、
(7)接触操作で得られた組立体をプレスする。
【0006】
一般に、用いるプライマー組成物は二成分型であり、下記の成分を含む:
有機溶剤中で溶液状態の官能化樹脂である第1成分、及び、
同様に有機溶剤中で溶液状態であり且つ架橋官能基を有するイソシアネート又はイソシアネートの混合物である第2成分。この成分は「硬化剤」ともよばれる。この成分は使用直前に第1成分に添加される。
【0007】
二成分接着剤自体は、有機溶剤及び/又は水中で分散状態又は溶液状態の官能化有機樹脂である第1成分、及び、架橋官能基を有し且つ少なくとも一種のイソシアネート又は溶剤中の溶液にした少なくとも一種のイソシアネートである「硬化剤」ともよばれる第2成分を更に含む。
【0008】
従来技術のプライマー組成物と接着剤の両方で、乾燥操作中に、多量の有機溶剤が蒸発する。従って、一つの靴のための積層体を製造する場合は、靴一つ当たり、接着剤の平均使用量は5gで、プライマー組成物の平均使用量は3gであると推計される。排出される溶剤の量は靴一つ当たり2.9gと推計できる。製造ユニットとして一日当たり10,000の靴を製造すると、このユニットで排出される溶剤の総量は一日当たり29kgである。
【0009】
しかも、従来技術のシステムの結合の品質(基材の剥離強度で表される)は最適とはほど遠いものである。すなわち、低硬度(ショアーD<35)〜中間硬度(35<ショアーD<60)の基材では剥離強度が約6〜6.5 daN/cmであるが、高硬度(ショアーD>60)の基材では剥離強度は約3 daN/cm未満しかない。従って、Pebax(登録商標)55−1は中間硬度の基材とみなされ、Pebax(登録商標)70−1は高硬度の基材とみなされる。しかし、製靴業は少なくとも3 daN/cmの剥離強度を課している。従って、従来技術のシステムを用いた結合は最も硬いポリマー(ショアーD>60)の場合には十分ではないことが確認される。
【0010】
更に、あるグレードのポリマーは「滲出」する傾向を有する。すなわち、これらは完成部品の表面に、グレードに応じて程度の差はあるが大きい白色堆積物を発生させる。この堆積物は時間とともに部品の表面に「現れる」、ポリマー中に存在する添加物、不純物又はオリゴマーの存在に対応させることができる。この堆積物は部品の結合に関して不利であることがわかり、この堆積物によってこの結合の正確な操作が妨げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、従来技術の問題点を解決した、上記のような積層体の製造方法を提供することにある。本発明の方法は更に、製造ラインで連続的に実施でき且つ複雑な形状を有する靴の構成部品の部分を三次元作用で処理するという利点を有する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者はこれらの技術的課題の解決策を見出した。
特に、本発明者は、少なくとも2つの基材層、すなわち、基材(A)の層及び基材(B)の層を含む積層品を製造するのに成功した。この2つの基材層は靴の構成部品中でこのような積層品の使用が可能である剥離強度を有する少なくとも一種の水性接着ポリマー材料によって互いに接着され、この基材層は中間又は高硬度(上記定義参照)を有するポリマーで全部又は一部を作ることができる。
以下に、基材層の種類、接着ポリマー材料の種類、及び、積層品の製造方法の種類を詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
水性接着ポリマー材料(以下、水性接着剤(C)):
接着ポリマー材料は架橋可能なホットメルト材料である。
この材料は少なくとも一種の官能化プレポリマーと、遊離(−N=C=O)又はブロック化イソシアネート官能基を有する少なくとも一種の硬化剤との反応で製造される。後者の場合、反応は接着材料を用いる直前にこの官能基を非ブロック化して行う。
当業者に知られている二成分又は単一成分の接着材料を参照されたい。
一般に、遊離又はブロック化イソシアネート官能基を有する硬化剤の含有量は、官能化プレポリマーの全重量に対して0.5〜25重量%、好ましくは2〜10重量%である。
特に、本発明に適した架橋可能なホットメルト材料の官能化プレポリマーはヒドロキシル化ポリエステル、ヒドロキシル化ポリエーテル及びこれらの混合物の中から選択される。
接着ポリマー材料は例えば一種以上の下記のようなアジュバントを通常の比率で更に含むことができる:
塩化ベンゾイル、リン酸、酢酸、p−トルエンスルホニルイソシアネートのような安定剤、及び、
充填剤。
【0014】
水性プライマー:
水性プライマー組成物は水性接着剤に関して上記で挙げたものの中から選択される。しかし、水性プライマー組成物は当業者に周知な配合物によってより流動性になり、使用中に基材によりよく塗布される。
水性プライマーは二成分組成物にすることもでき、第1成分はヒドロキシル化有機樹脂を水中に分散させたもので、第2成分は有機溶剤中の少なくとも一種のポリイソシアネートである。
単一成分水性プライマー、特に、温度上昇の作用によって反応性にしたブロック化イソシアネートをベースにした系を用いることもできる。
【0015】
基材:
基材(A)及び/又は(B)の層は少なくとも一種のポリマーを含む。ポリマーの例としては、PAホモポリマー又はコポリマー、及び、熱可塑性エラストマー、特にブロックコポリマーが挙げられる。ブロックコポリマーの例としては、ポリエステルブロックとポリエーテルブロックとを有するコポリマー(COPE、コポリエーテルエステルともよばれる)、ポリウレタンブロックとポリエーテルブロック又はポリエステルブロックを有するコポリマー(熱可塑性ポリウレタンの略語であるTPUともよばれる)及びポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを有するコポリマー(IUPACに従って、ポリエーテル−ブロック−アミド(PEBA)ともよばれる)が挙げられる。
【0016】
「熱可塑性エラストマー(TPE)」という用語は、いわゆる硬質又はリジッドブロック又はセグメントと、いわゆる軟質又は可撓性ブロック又はセグメントとを交互に含むブロックコポリマーを意味する。硬質ブロックと軟質ブロックとを有するコポリマーの例としては、それぞれ、(a)ポリエステルブロックとポリエーテルブロックとを有するコポリマー(COPE又はコポリエーテルエステルともよばれる)、(b)ポリウレタンブロックとポリエーテルブロック又はポリエステルブロックを有するコポリマー(熱可塑性ポリウレタンの略語であるTPUともよばれる)及び(c)ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを有するコポリマー(IUPACに従ってPEBAともよばれる)が挙げられる。
【0017】
COPE又はコポリエーテルエステル
これらはポリエステルブロックとポリエーテルブロックとを有するコポリマーである。これらはポリエーテルジオールに由来の軟質ポリエーテルブロックと、少なくとも一種のジカルボン酸と少なくとも一種の連鎖延長剤の短いジオール単位との反応で得られるリジッドなポリエステルブロックとからなる。ポリエステルブロックとポリエーテルブロックはジカルボン酸の酸官能基とポリエーテルジオールのOH官能基との反応で得られるエステル結合を介して結合される。ポリエーテルと二酸との連鎖によって軟質ブロックが形成され、グリコール又はブタンジオールと二酸との連鎖によってコポリエーテルエステルのリジッドブロックが形成される。鎖延長剤の短いジオールはネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、式:HO(CH2nOHの脂肪族グリコール(ここで、nは2〜10の整数)から成る群の中から選択できる。
【0018】
二酸は8〜14の炭素原子を有する芳香族ジカルボン酸であるのが有利である。最大で50モル%の芳香族ジカルボン酸を、8〜14の炭素原子を有する少なくとも一種のその他の芳香族ジカルボン酸で置換でき、及び/又は、最大で20モル%を2〜14の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸で置換できる。
【0019】
芳香族ジカルボン酸の例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、二安息香酸、ナフタレン−ジカルボン酸、4,4’−ジフェニレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)−メタン酸、エチレンビス(p−安息香酸)、1,4−テトラメチレンビス(p−オキシ安息香酸)、エチレンビス(p−オキシ安息香酸)及び1,3−トリメチレンビス(p−オキシ安息香酸)が挙げられる。
【0020】
グリコールの例としては、エチレングリコール、1,3−トリメチレングリコール、1,4−テトラメチレングリコール、1,6−ヘキサメチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,8−オクタメチレングリコール、1,10−デカメチレングリコール及び1,4−シクロヘキシレンジメタノールが挙げられる。ポリエステルブロックとポリエーテルブロックとを有するコポリマーは例えば、ポリエーテルジオールに由来のポリエーテル単位、例えばポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリトリメチレングリコール(PO3G)又はポリテトラメチレングリコール(PTMG)、ジカルボン酸単位、例えばテレフタル酸及びグリコール(エタンジオール)又は1,4−ブタンジオール単位を有するコポリマーである。このようなコポリエーテルエステルは下記文献に記載されている。これらのポリエーテルエステルは熱可塑性エラストマーである。これらは可塑剤を含むことができる。
【特許文献1】欧州特許第402,883号
【特許文献2】欧州特許第405,227号
【0021】
TPU
TPUとしては、ポリエーテルジオールである軟質ポリエーテルブロックと、芳香族ジイソシアネート(例えばMDI、TDI)及び脂肪族ジイソシアネート(例えばHDI又はヘキサメチレンジイソシアネート)の中から選択できる少なくとも一種のジイソシアネートと少なくとも一種の短いジオールとの反応で得られるリジッドなポリウレタンブロックとの縮合で得られるポリエーテルウレタンが挙げられる。鎖延長剤の短いジオールはコポリエーテルエステルの説明で挙げたグリコールの中から選択できる。ポリウレタンブロックとポリエーテルブロックはイソシアネート官能基とポリエーテルジオールのOH基との反応で得られる連結部を介して結合される。
【0022】
更に、ポリエステルジオールである軟質ポリエステルブロックと、少なくとも一種のジイソシアナネートと少なくとも一種の短いジオールとの反応で得られるリジッドなポリウレタンブロックとの縮合で得られるポリエステルウレタンも挙げられる。ポリエステルジオールは2〜14の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸の中から選択されるのが有利なジカルボン酸と、コポリエーテルエステルの説明で挙げたグリコールの中から選択される鎖延長剤の短いジオールであるグリコールとの縮合で得られる。これらは可塑剤を含むことができる。
【0023】
PEBA
PEBAは特に下記(1)〜(3)のような反応性末端基を有するポリアミドブロックと反応性末端基を有するポリエーテルブロックとの重縮合で得られる:
(1)ジアミン鎖末端を有するポリアミドブロックと、ジカルボン鎖末端を有するポリオキシアルキレンブロック、
(2)ジカルボン鎖末端を有するポリアミドブロックと、ポリエーテルジオールとよばれる脂肪族ジヒドロキシル化α,ω−ポリオキシアルキレンブロックをシアノエチル化及び水素添加して得られるジアミン鎖末端を有するポリオキシアルキレンブロック、
(3)ジカルボン鎖末端を有するポリアミドブロックと、ポリエーテルジオール(この場合に得られる生成物を特にポリエーテルエステルアミドという)。
【0024】
ジカルボン鎖末端を有するポリアミドブロックは例えば連鎖制限剤のジカルボン酸の存在下でのポリアミド先駆体の縮合で得られる。
ジアミン鎖末端を有するポリアミドブロックは例えば連鎖制限剤のジアミンの存在下でのポリアミド先駆体の縮合で得られる。ポリアミドブロックの数平均分子量Mnは400〜20,000g/モル、好ましくは500〜10,000g/モルである。
ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを有するポリマーはランダムに分散した単位を更に含むことができる。
【0025】
3種類のポリアミドブロックを使用できるのが有利である。
第1のタイプ
ポリアミドブロックはジカルボン酸、特に4〜20の炭素原子、好ましくは6〜18の炭素原子を有するものと、脂肪族又は芳香族ジアミン、特に2〜20の炭素原子、好ましくは6〜14の炭素原子を有するものとの縮合で得られる。
ジカルボン酸の例としては、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸、ブタンジオン酸、アジピン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸及びテレフタル酸、及びイソフタル酸、及びダイマー化脂肪酸が挙げられる。
【0026】
ジアミンの例としては、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,10−デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン(BACM)、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン(BMACM)、2,2−ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン(BMACP)及びpara−アミノジシクロヘキシルメタン(PACM)の異性体、及びイソフォロンジアミン(IPDA)及び2,6−ビス(アミノメチル)ノルボルナン(BAMN)及びピペラジン(Pip)が挙げられる。
PA−4,12、PA−4,14、PA−4,18、PA−6,10、PA−6,12、PA−6,14、PA−6,18、PA−9,12、PA−10,10、PA−10,12、PA−10,14及びPA−10,18ブロックを利用できるのが有利である。
【0027】
第2のタイプ
ポリアミドブロックは4〜12の炭素原子を有するジカルボン酸又はジアミンの存在下で6〜12の炭素原子を有する一種以上のα,ω−アミノカルボン酸及び/又は一種以上のラクタムの縮合で得られる。
ラクタムの例としてはカプロラクタム、エナントラクタム及びラウリラクタムが挙げられる。
α,ω−アミノカルボン酸の例としてはアミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、11−アミノウンデカン酸及び12−アミノドデカン酸が挙げられる。
第2のタイプのポリアミドブロックはポリアミドPA−11、ポリアミドPA−12又はポリアミドPA−6で作られるのが有利である。
【0028】
第3のタイプ
ポリアミドブロックは少なくとも一種のα,ω−アミノカルボン酸(又はラクタム)、少なくとも一種のジアミン及び少なくとも一種のジカルボン酸の縮合で得られる。
この場合は、ポリアミドPAブロックは下記の重縮合で調製される:
(1)Xの炭素原子を有する一種以上の直鎖の脂肪族又は芳香族ジアミン、
(2)Yの炭素原子を有する一種以上のジカルボン酸、及び、
(3)一種以上のコモノマー{Z}であって、Zの炭素原子を有するラクタム及びα,ω−アミノカルボン酸、及び、X1の炭素原子を有する少なくとも一種のジアミンと、Y1の炭素原子を有する少なくとも一種のジカルボン酸との等モル混合物であって、(X1,Y1)は(X,Y)とは異なる等モル混合物の中から選択される一種以上のコモノマー{Z}、
(4)上記一種以上のコモノマー{Z}は、ポリアミド先駆体モノマーの全重量に対して50%以下、好ましくは20%以下、更に有利には10%以下の重量比率で導入され、
(5)ジカルボン酸の中から選択される連鎖制限剤の存在下で行う。
【0029】
Yの炭素原子を有するジカルボン酸を連鎖制限剤として用い、一種以上のジアミンの化学量論に対して過剰に導入するのが有利である。
【0030】
この第3のタイプの一変形例では、ポリアミドブロックは6〜12の炭素原子を有する少なくとも2種のα,ω−アミノカルボン酸又は少なくとも2種のラクタム又は一種のラクタムと、炭素原子の数が同じではない一種のアミノカルボン酸とを必要に応じて連鎖制限剤の存在下で縮合して得られる。
【0031】
脂肪族α,ω−アミノカルボン酸の例としてはアミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、11−アミノウンデカン酸及び12−アミノドデカン酸が挙げられる。
ラクタムの例としてはカプロラクタム、エナントラクタム及びラウリラクタムが挙げられる。
脂肪族ジアミンの例としてはヘキサメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン及びトリメチルヘキサメチレンジアミンが挙げられる。
脂環式二酸の例としては1,4−シクロヘキシルジカルボン酸が挙げられる。
【0032】
脂肪族二酸の例としては、ブタンジオン酸、アジピン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、ダイマー化脂肪酸(このダイマー化脂肪酸はダイマー含有量が少なくとも98%であるのが好ましく、水素添加されるのが好ましく、Uniqema社から商品名PRIPOLで市販又はHenkel社から商品名EMPOLで市販されている)及びα,ω−ポリオキシアルキレン二酸が挙げられる。
【0033】
芳香族二酸の例としてはテレフタル(T)酸及びイソフタル(I)酸が挙げられる。
脂環式ジアミンの例としては、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン(BACM)、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン(BMACM)、2,2−ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン(BMACP)及びpara−アミノジシクロヘキシルメタン(PACM)の異性体が挙げられる。一般に用いられるその他のジアミンとしてはイソフォロンジアミン(IPDA)、2,6−ビス(アミノメチル)ノルボルナン(BAMN)及びピペラジンが挙げられる。
【0034】
第3のタイプのポリアミドブロックの例としては、下記が挙げられる:
(1)PA−6,6/6 ここで、6,6はアジピン酸と縮合したヘキサメチレンジアミン単位を示し、はカプロラクタムの縮合で得られる単位を示す、
(2)PA−6,6/Pip.10/12 ここで、6,6はアジピン酸と縮合したヘキサメチレンジアミン単位を示し、Pip.10はピペラジンとセバシン酸との縮合で得られる単位を示し、12はラウリルラクタムの縮合で得られる単位を示す。
重量比率はそれぞれ、25〜35/20〜30/20〜30(合計80)、有利には30〜35/22〜27/22〜27(合計80)である。例えば、32/24/24の重量比率では融点が122〜137℃になる。
(3)PA−6,6/6,10/11/12 ここで、6,6はアジピン酸と縮合したヘキサメチレンジアミンを示し、6,10はセバシン酸と縮合したヘキサメチレンジアミンを示し、11はアミノウンデカン酸の縮合で得られる単位を示し、12はラウリルラクタムの縮合で得られる単位を示す。
重量比率はそれぞれ、10〜20/15〜25/10〜20/15〜25(合計70)、有利には12〜16/18〜25/12〜16/18〜25(合計70)である。
例えば、14/21/14/21の重量比率では融点が119〜131℃になる。
【0035】
ポリエーテルブロックはポリアミドブロックとポリエーテルブロックとのコポリマーの5〜85重量%にすることができる。ポリエーテルブロックの重量Mnは100〜6000g/モル、好ましくは200〜3000g/モルである。
ポリエーテルブロックはアルキレンオキシド単位からなる。この単位は例えばエチレンオキシド単位、プロピレンオキシド単位又はテトラヒドロフラン単位にすることができる(ポリテトラメチレングリコール鎖となる)。従って、PEG(ポリエチレングリコール)ブロック、すなわちエチレンオキシド単位からなるもの、PPG(プロピレングリコール)ブロック、すなわちプロピレンオキシド単位からなるもの、PO3G(ポリトリメチレングリコール)ブロック、すなわちポリトリメチレンエーテルグリコール単位からなるもの(ポリトリメチレンエーテルブロックを有するこのようなコポリマーは米国特許第6590065号に記載されている)及びPTMGブロック、すなわち、ポリテトラヒドロフランブロックともよばれるテトラメチレングリコール単位からなるものを用いる。
【特許文献3】米国特許第6590065号
【0036】
PEGブロック又はビスフェノール、例えばビスフェノールAのオキシエチル化によって得られるブロックを用いるのも有利である。後者の生成物は下記文献に記載されている。
【特許文献4】欧州特許第613 919号
【0037】
ポリエーテルブロックはエトキシ化第1アミンで構成することもできる。これらのブロックを用いるのも有利である。エトキシ化第1アミンの例としては、下記式の生成物が挙げられる:
【化1】

【0038】
ここで、m及びnは1〜20で、xは8〜18である。この生成物はセカ(CECA)社から商品名NORAMOX(登録商標)及びClariant社から商品名GENAMIN(登録商標)で市販されている。
【0039】
エーテル単位(A2)は例えば、少なくとも一種のポリアルキレンエーテルポリオール、特にポリアルキレンエーテルジオール、好ましくは下記の中から選択されるものから得られる:ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、ポリトリメチレングリコール(PO3G)、ポリテトラメチレングリコール(PTMG)及びこれらの混合物又はこれらのコポリマー。
【0040】
軟質ポリエーテルブロックはNH2鎖末端を有するポリオキシアルキレンブロックを含むことができ、このブロックはポリエーテルジオールとよばれる脂肪族α,ω−ジヒドロキシル化ポリオキシアルキレンブロックをシアノアセチル化して得ることができる。特に、ジェファミン(例えばハンツマン(Huntsmann社)の製品であるジェファミン(登録商標)D400、D2000、ED2003及びXTJ542。日本国特許第2004346274号、日本国特許第2004352794号、及び、欧州特許第1,482,011号)を用いることができる。
【特許文献5】日本国特許公開公報2004‐346274
【特許文献6】日本国特許公開公報2004‐352794
【特許文献7】欧州特許第1,482,011号
【0041】
ポリエーテルジオールブロックをそのまま用い、カルボキシ末端基を有するポリアミドブロックと共重合するか、アミノ化してポリエーテルジアミンに変換し、カルボキシ末端基を有するポリアミドブロックと縮合する。ポリエーテルジオールブロックはポリアミド先駆体及び連鎖制限剤の二酸と混合してランダムに分散した単位を有するポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを含むポリマーにすることもできる。
【0042】
これらのポリマーはポリエーテル及びポリアミドブロック先駆体の同時反応で製造することができ、重縮合は180〜300℃の温度で行うのが好ましい。例えば、ポリエーテルジオールと、ポリアミド先駆体と、連鎖制限剤の二酸とを反応させることができる。基本的に種々の長さのポリエーテルブロックとポリアミドブロックとを有するポリマーが得られるが、各種成分がランダムに反応し、ポリマー鎖中に分散したものも含まれる。
【0043】
ポリエーテルジアミンと、ポリアミド先駆体と、連鎖制限剤の二酸とを反応させることもできる。基本的に種々の長さのポリエーテルブロックとポリアミドブロックとを有するポリマーが得られるが、各種成分がランダムに反応し、ポリマー鎖中に分散したものも含まれる。
しかし、これらのポリマーはポリエーテルブロックとポリアミドブロックとの縮合反応で調製できるのも有利である。
【0044】
触媒は、ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとの結合をエステル化又はアミド化によって容易にできる任意の生成物と定義される。エステル化触媒はチタン、ジルコニウム及びハフニウムからなる群の中から選択される金属の誘導体又は強酸、例えばリン酸又はホウ酸であるのが有利である。触媒の例は下記文献に記載されたものである。
【特許文献8】米国特許第4,331,786号
【特許文献9】米国特許第4,115,475号
【特許文献10】米国特許第4,195,015号
【特許文献11】米国特許第4,839,441号
【特許文献12】米国特許第4,864,014号
【特許文献13】米国特許第4,230,838号
【特許文献14】米国特許第4,332,920号
【0045】
PAブロックとPEブロックとの間にエステル結合を有するPEBAコポリマーの2段階調製の一般的な方法は公知であり、例えば下記文献に記載されている。
【特許文献15】欧州特許第1,482,011号
【0046】
PAブロックとPEブロックとの間にアミド結合を有する本発明のPEBAコポリマーを製造する一般的方法は公知であり、例えば下記文献に記載されている。
【特許文献16】欧州特許第1,482,011号
【0047】
PAブロックを生成する反応は通常180〜300℃、好ましくは200〜290℃で行い、反応器内の圧力は5〜30バールに設定し、約2〜3時間維持する。反応器を大気圧にすることによって圧力を徐々に下げ、次いで、過剰水を例えば1時間又は2時間かけて蒸留する。
カルボン酸末端を有するポリアミドを調製した後に、ポリエーテル及び触媒を添加する。触媒の場合と同様に一つ又は複数の順番でポリエーテルを添加できる。有利な一実施例では、最初に、ポリエーテルを添加し、ポリエーテルのOH末端と、ポリアミドのCOOH末端との反応がエステル結合の形成と水の除去と一緒に開始する。蒸留によって反応媒体からできるだけ多くの水を除去し、次いで、触媒を導入してポリアミドブロックとポリエーテルブロックとの結合を完了する。この第2段階は撹拌下に、好ましくは少なくとも6mmHg(800Pa)の真空下に、得られる反応物及びコポリマーが溶融状態となるような温度で行う。例えば、この温度は100〜400℃、通常は200〜300℃にすることができる。反応の後に、溶融ポリマーが撹拌器に与えるトルクの測定又は撹拌器が消費する電力の測定を行う。反応終了はトルク又は電力の目標値によって決定する。
【0048】
合成中の、最適であると判断される時に、酸化防止剤として用いられる一種以上の分子、例えばIRGANOX(登録商標)1010又はIRGANOX(登録商標)245を添加することもできる。
ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを有するコポリマーの製造は、ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを結合できる任意の手段によって調製できる。実際には、主に2つの方法を用い、一方は2段階法で、他方は一段階法である。
【0049】
2段階法では、第1にポリアミドブロックを製造し、第2段階でポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを結合する。1段階法では、ポリアミド先駆体と、連鎖制限剤と、ポリエーテルとを混合する。すなわち、基本的に種々の長さのポリエーテルブロックとポリアミドブロックとを有するポリマーが得られるが、各種成分がランダムに反応し、ポリマー鎖中に分散したものも含まれる。1段階法であれ、2段階法であれ、触媒の存在下で操作するのが有利である。下記文献に記載の触媒を用いることができる:[特許文献8]の米国特許第4,331,786号、[特許文献9]米国特許第4,115,475号、[特許文献10]米国特許第4,195,015号、[特許文献11]米国特許第4,839,441号、[特許文献12]米国特許第4,864,014号、[特許文献13]米国特許第4,230,838号、[特許文献14]米国特許第4,332,920号、[特許文献17]国際特許第04,037898号、[特許文献18]欧州特許第1,262,527号、[特許文献19]欧州特許第1,270,211号、[特許文献20]欧州特許第1,136,512号、[特許文献21]欧州特許第1,046,675号、[特許文献22]欧州特許第1,057,870号、[特許文献23]欧州特許第1,155,065号、[特許文献24]欧州特許第506,495号、[特許文献25]欧州特許第504,058号、
【特許文献17】国際特許第04,037898号
【特許文献18】欧州特許第1,262,527号
【特許文献19】欧州特許第1,270,211号
【特許文献20】欧州特許第1,136,512号
【特許文献21】欧州特許第1,046,675号
【特許文献22】欧州特許第1,057,870号
【特許文献23】欧州特許第1,155,065号
【特許文献24】欧州特許第506,495号
【特許文献25】欧州特許第504,058号
【0050】
1段階法では、ポリアミドブロックも製造されるので、このパラグラフの冒頭に、これらのポリマーはポリアミドブロック(PAブロック)とポリエーテルブロック(PEブロック)とを結合する任意の手段によって調製できることが書かれている。
【0051】
PEBAコポリマーはPA−6、PA−11、PA−12、PA−6,12、PA−6,6/6、PA−10,10及びPA−6,14からなるPAブロックと、PTMG、PPG、PO3G及びPEGからなるPEブロックとを有するのが有利である。
【0052】
ポリアミド
ポリアミドはホモポリアミド又はコポリアミドである。
第1のタイプ
ポリアミドはジカルボン酸、特に4〜20の炭素原子、好ましくは6〜18の炭素原子を有するものと、脂肪族又は芳香族ジアミン、特に2〜20の炭素原子、好ましくは6〜14の炭素原子を有するものとの縮合で得られる。
ジカルボン酸の例としては、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸、ブタンジオン酸、アジピン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、オクタデカンジカルボン酸及びテレフタル酸、及びイソフタル酸、及びダイマー化脂肪酸が挙げられる。
【0053】
ジアミンの例としては、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,10−デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン(BACM)、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン(BMACM)、2,2−ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン(BMACP)及びpara−アミノジシクロヘキシルメタン(PACM)の異性体、及びイソフォロンジアミン(IPDA)及び2,6−ビス(アミノメチル)ノルボルナン(BAMN)及びピペラジン(Pip)が挙げられる。
PA−4,12、PA−4,14、PA−4,18、PA−6,10、PA−6,12、PA−6,14、PA−6,18、PA−9,12、PA−10,10、PA−10,12、PA−10,14及びPA−10,18ブロックを利用できるのが有利である。
【0054】
第2のタイプ
ポリアミドは4〜12の炭素原子を有するジカルボン酸又はジアミンの存在下で6〜12の炭素原子を有する一種以上のα,ω−アミノカルボン酸及び/又は一種以上のラクタムの縮合で得られる。
ラクタムの例としてはカプロラクタム、エナントラクタム及びラウリラクタムが挙げられる。
α,ω−アミノカルボン酸の例としてはアミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、11−アミノウンデカン酸及び12−アミノドデカン酸が挙げられる。
第2のタイプのポリアミドはポリアミドPA−11、ポリアミドPA−12又はポリアミドPA−6で作られるのが有利である。
【0055】
第3のタイプ
ポリアミドは少なくとも一種のα,ω−アミノカルボン酸(又はラクタム)、少なくとも一種のジアミン及び少なくとも一種のジカルボン酸の縮合で得られる。
この場合は、ポリアミドPAブロックは、第1段階で、下記の重縮合によって調製される:
(1)Xの炭素原子を有する一種以上の直鎖の脂肪族又は芳香族ジアミン、
(2)Yの炭素原子を有する一種以上のジカルボン酸、及び、
(3)一種以上のコモノマー{Z}であって、Zの炭素原子を有するラクタム及びα,ω−アミノカルボン酸、及び、X1の炭素原子を有する少なくとも一種のジアミンと、Y1の炭素原子を有する少なくとも一種のジカルボン酸との等モル混合物であって、(X1,Y1)は(X,Y)とは異なる等モル混合物の中から選択される一種以上のコモノマー{Z}、
(4)上記一種以上のコモノマー{Z}は、ポリアミド先駆体モノマーの全重量に対して50%以下、好ましくは20%以下、更に有利には10%以下の重量比率で導入される。
【0056】
脂肪族α,ω−アミノカルボン酸の例としてはアミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、11−アミノウンデカン酸及び12−アミノドデカン酸が挙げられる。
ラクタムの例としてはカプロラクタム、エナントラクタム及びラウリラクタムが挙げられる。
脂肪族ジアミンの例としてはヘキサメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン及びトリメチルヘキサメチレンジアミンが挙げられる。
脂環式二酸の例としては1,4−シクロヘキシルジカルボン酸が挙げられる。
【0057】
脂肪族二酸の例としては、ブタンジオン酸、アジピン酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、ダイマー化脂肪酸(このダイマー化脂肪酸はダイマー含有量が少なくとも98%であるのが好ましく、水素添加されるのが好ましく、Uniqema社から商品名PRIPOLで市販又はHenkel社から商品名EMPOLで市販されている)及びα,ω−ポリオキシアルキレン二酸が挙げられる。
【0058】
芳香族二酸の例としてはテレフタル(T)酸及びイソフタル(I)酸が挙げられる。
脂環式ジアミンの例としては、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン(BACM)、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン(BMACM)、2,2−ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン(BMACP)及びpara−アミノジシクロヘキシルメタン(PACM)の異性体が挙げられる。一般に用いられるその他のジアミンとしてはイソフォロンジアミン(IPDA)、2,6−ビス(アミノメチル)ノルボルナン(BAMN)及びピペラジンが挙げられる。
【0059】
第3のタイプのポリアミドの例としては、下記が挙げられる:
(1)PA−6,6/6 ここで、6,6はアジピン酸と縮合したヘキサメチレンジアミン単位を示し、はカプロラクタムの縮合で得られる単位を示す、
(2)PA−6,6/Pip.10/12 ここで、6,6はアジピン酸と縮合したヘキサメチレンジアミン単位を示し、Pip.10はピペラジンとセバシン酸との縮合で得られる単位を示し、12はラウリルラクタムの縮合で得られる単位を示す。
重量比率はそれぞれ、25〜35/20〜30/20〜30(合計80)、有利には30〜35/22〜27/22〜27(合計80)である。例えば、32/24/24の重量比率では融点が122〜137℃になる。
(3)PA−6,6/6,10/11/12 ここで、6,6はアジピン酸と縮合したヘキサメチレンジアミンを示し、6,10はセバシン酸と縮合したヘキサメチレンジアミンを示し、11はアミノウンデカン酸の縮合で得られる単位を示し、12はラウリルラクタムの縮合で得られる単位を示す。
重量比率はそれぞれ、10〜20/15〜25/10〜20/15〜25(合計70)、有利には12〜16/18〜25/12〜16/18〜25(合計70)である。例えば、14/21/14/21の重量比率では融点が119〜131℃になる。
【0060】
基材(A)及び(B)は下記のようにすることができる
(a)同一である。すなわち、この2つの基材(A)及び(B)は(i)ポリアミド(PA)ホモポリマー又はコポリマー、(ii)PEBA(ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとのコポリマー)、TPU(熱可塑性ポリウレタンポリマー)、COPE(ポリエーテルブロックとポリエステルブロックとを有するコポリマー)の中から選択される熱可塑性エラストマー(TPE)及び(iii)これらの混合物の中から選択される一種以上の同じポリマーからなる。
【0061】
(b)異なるが、同じ性質である。すなわち、基材(A)及び(B)は両者が、軟質ポリエーテルブロックを有するが、異なる硬質ブロックを有するブロックコポリマーである〔例えば、基材(A)がPEBA且つ基材(B)がTPUからなる、基材(A)がPEBA且つ基材(B)がCOPEからなる、基材(A)がTPU且つ基材(B)がCOPEからなる〕。
【0062】
(c)異なり、且つ、異なる性質である、すなわち、これらは(a)にも(b)にも入らない部類である。〔例えば、基材(A)がPEBA且つ基材(B)が皮革からなる、基材(A)がTPU且つ基材(B)が皮革からなる〕。後者の場合は、基材(A)は上記定義のPA及びTPEの中から選択され、基材(B)は基材(D)の中から選択される。基材(D)の例としては、下記のものが挙げられる:ホモポリマー又はコポリマー、例えばポリオレフィン、ポリアミン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリイミド、ポリカーボネート、フェノール樹脂、架橋又は未架橋ポリウレタン、特に発泡体、ポリ(エチレン/酢酸ビニル)、天然又は合成エラストマー、例えばポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン/ブタジエン/スチレン(SBS)、スチレン/ブタジエン/アクリロニトリル(SBN)、ポリアクリロニトリル及び天然又は合成織物、特に有機ポリマー繊維で作られた織物、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル又はポリアラミド繊維で作られた織物、ガラス繊維と炭素繊維で作られた織物、及び材料、例えば皮革、紙、ボード。
(d)異なる。一方がPAで作られ、他方がTPEで作られる。
これら全ての材料は可能であれば発泡体の形状にすることもできる。
【0063】
積層体:
下記の選択肢を有することができる。ここで、プライマー(a)は水性プライマーを示し、プライマー(s)は有機溶剤型プライマーを示す。
接着剤(E)の種類は基材(B)の種類に依存する。基材(B)がPA又はTPEから作られる場合は接着剤(E)が水性であり、その他の場合は溶剤型又は水性、好ましくは水性にすることができる。
基材(A)/プライマー(a)/水性接着剤(C)/接着剤(E)/プライマー(s)/基材(B)、
基材(A)/プライマー(a)/水性接着剤(C)/接着剤(E)/プライマー(a)/基材(B)、
基材(A)/プライマー(a)/水性接着剤(C)/接着剤(E)/基材(B)、
基材(A)/水性接着剤(C)/接着剤(E)/プライマー(s)/基材(B)、
基材(A)/水性接着剤(C)/接着剤(E)/プライマー(a)/基材(B)、
基材(A)/水性接着剤(C)/接着剤(E)/基材(B)
【0064】
下記の特定の有利な選択肢を有することができるが、これらに限定されるものではない:
PAホモポリマー又はコポリマー/プライマー(a)/水性接着剤(C)/水性接着剤(C)/プライマー(a)/PAホモポリマー又はコポリマー、
PAホモポリマー又はコポリマー/プライマー(a)/水性接着剤(C)/水性接着剤(C)/プライマー(a)/TPE、
TPE/プライマー(a)/水性接着剤(C)/水性接着剤(C)/プライマー(a)/TPE、
PAホモポリマー又はコポリマー/プライマー(a)/水性接着剤(C)/水性接着剤(C)/プライマー(a)/ポリマー(D)、
TPE/水性接着剤(C)/水性接着剤(C)/ポリマー(D)、
PAホモポリマー又はコポリマー/水性接着剤(C)/水性接着剤(C)/PAホモポリマー又はコポリマー、
PAホモポリマー又はコポリマー/水性接着剤(C)/水性接着剤(C)/TPE、
TPE/水性接着剤(C)/水性接着剤(C)/TPE、
PAホモポリマー又はコポリマー/水性接着剤(C)/水性接着剤(C)/ポリマー(D)、
TPE/水性接着剤(C)/水性接着剤(C)/ポリマー(D)。
【0065】
例えば、下記のものが挙げられる:
PEBA/プライマー(a)/水性接着剤(C)/水性接着剤(C)/プライマー(a)/TPU、
PEBA/プライマー(a)/水性接着剤(C)/接着剤(E)/皮革、
PEBA/プライマー(a)/水性接着剤(C)/接着剤(E)/ポリウレタンフォーム、
PEBA/プライマー(a)/水性接着剤(C)/接着剤(E)/ゴム、
PEBA/プライマー(a)/水性接着剤(C)/接着剤(E)/ポリオレフィン不織布。
【0066】
PA/プライマー(a)/水性接着剤(C)/水性接着剤(C)/プライマー(a)/TPU、
PA/プライマー(a)/水性接着剤(C)/接着剤(E)/皮革、
PA/プライマー(a)/水性接着剤(C)/接着剤(E)/ポリウレタンフォーム、
PA/プライマー(a)/水性接着剤(C)/接着剤(E)/ゴム、
PA/プライマー(a)/水性接着剤(C)/接着剤(E)/ポリオレフィン不織布。
【0067】
TPU/プライマー(a)/水性接着剤(C)/水性接着剤(C)/プライマー(a)/TPU、
TPU/プライマー(a)/水性接着剤(C)/接着剤(E)/皮革、
TPU/プライマー(a)/水性接着剤(C)/接着剤(E)/ポリウレタンフォーム、
TPU/プライマー(a)/水性接着剤(C)/接着剤(E)/ゴム、
TPU/プライマー(a)/水性接着剤(C)/接着剤(E)/ポリオレフィン不織布。
【0068】
基材層の厚さは一般に0.4〜5mmである。
【0069】
滲出性
目視観測が必ずしも容易とは限らない滲出液の検出、その定量化、必要に応じて更に、その同定は、単一反射音ATRとして知られる表面分析技術による赤外線分光学によって行うことができる。
滲出液の存在は、ポリマー部分(シート、靴底部品等)の表面で定義され、ポリマー部分を単一反射音ATR装置のゲルマニウムクリスタルの表面と密接に接触して置き、クリスタルから抜き出した後に、ポリマー部分がクリスタル上に赤外線スペクトルを得ることができる堆積物を残す時に、定義される。厳密には、ピークの強度が背景雑音の2倍以上大きい赤外線スペクトルが得られるときに滲出がある。これは赤外分光計の検出限界に対応する。ゲルマニウムATRクリスタルによって、厚さがごく薄い堆積物(ミクロン断片)を分析でき、大なり小なりの量の滲出液を、ブランクスペクトルを減算した後の赤外線スペクトルの光学密度(OD)で表されるラインの強度から評価できる。スペクトル帯が背景雑音に比べて高ければ高いほど、滲出液も大きくなる。本発明では、ATRクリスタル上に得られた堆積物の赤外線信号が、光学密度が0.005以上の強度のラインを有するときに、下記の方法に従って滲出ポリマーのグレードが定義される。
【0070】
積層体の製造方法
本発明では、積層体の製造方法は下記の段階を含む:
(a)酸化性又は還元性の連続大気圧コールドプラズマ処理による予備洗浄の形で、基材(A)の層及び/又は基材(B)の層を予備洗浄する任意の段階、
(b)基材(A)の層及び/又は基材(B)の層の連続大気圧コールドプラズマ処理による活性化段階であって、このプラズマが(i)又は(ii)である段階:
(i)酸化性又は還元性の。この層がショアーD硬度が厳密に35〜60のポリマーから作られる場合又はこの層がショアーD硬度≧60且つプラズマ源と活性化する層の表面との距離≦3cmのポリマーから作られる場合、
(ii)還元。この層がショアーD硬度≧60且つプラズマ源と活性化する層の表面との距離>3cmのポリマーから作られる場合
(c)水性プライマーを用いる基材(A)の層及び/又は基材(B)の層の任意の接着剤塗布段階、
(d)水性接着ポリマー材料(C)を用いる基材(A)の層及び/又は基材(B)の層の接着剤塗布段階、
(e)基材(A)及び(B)の層を接触させて、積層体を形成する段階、
(f)(e)で得られた組立体を湿潤雰囲気でプレスする段階、
(g)プレスから取り出し、積層品を回収する。
【0071】
プレス段階で加える圧力は1〜15kg/cm2、好ましくは3〜10kg/cm2で、温度は20〜150℃である。本発明の方法で用いるプレスは積層体製造の分野で一般的なプレスである。
湿潤雰囲気は相対湿度RH≧5%、好ましくはRH≧10%、更に好ましくはRH≧20%の空気であるのが好ましい。
【0072】
コールドプラズマ処理
プラズマは化学種、原子又は分子が励起及び/又はイオン化される電気的に中性のガスである。コールドプラズマは、電子のみが高温になり、その他の粒子(中性の安定分子のイオン、ラジカル、断片)は周囲温度のままである熱力学不均衡状態のイオン化ガスである。コールドプラズマは、高温噴霧に用いられる熱プラズマとは違って、基材を損傷せずに低温での表面改質(成膜、グラフト、エッチング等)を可能にする媒質である。プラズマは界磁室で、不完全真空下又は大気圧下で、プラズマガスを射出して発生させる。放電の作用でこのガスにエネルギーを移すことによってプラズマを発生させることができる。放電は電気エネルギーを運動エネルギーに、次いで、原子及び分子を励起及びイオン化するエネルギーに急速に変換する。
【0073】
システムに供給される電気エネルギーはこうして生成した荷電粒子(電子、イオン)によって一部が運動エネルギーに変換される。自由電子は低質量であるため、一般にこのエネルギーの大部分を回収し、ガスの重粒子との衝突によって励起又は解離し、従って、イオン化を維持する。
【0074】
プラズマ処理は主に、湿潤性(表面エネルギー)、接着特性(インク、接着剤等)又は非接着特性、及び、ポリマーの表面の生体適合性の改良に用いられる。プラズマ処理は更に、ポリマーの表面層を洗浄及び架橋する手段として用いられる。
【0075】
プラズマ内で形成されたエネルギー化学種によるポリマーの表面の衝撃によって、共有結合を切断し(高分子鎖の切断)、フリーラジカルを生成する。このフリーラジカルはプラズマの活性種と反応し、それによって、材料の表面に気相の種類に依存する官能化学基が形成する。従って、この処理は表面活性化又は官能化とよばれる。
【0076】
1.酸化プラズマ
酸化プラズマ(O2、CO2、H2O等)によって、酸素化(ヒドロキシル、カルボニル、カルボキシル、過酸化物、ヒドロペルオキシド、炭酸塩等の)官能基が形成される。この種の親水基による表面の官能化によって、その湿潤性、基本的にはその接着性を増大できる。
【0077】
2.還元プラズマ
同様に、還元プラズマ(N2、N22、NH3等)によって、親水基、特にアミン基(−NH、−NH2:NH3プラズマの場合)又はアミド基(−N−C=O)が形成される。酸素化基は窒素含有プラズマで処理されるポリマー材料の表面に常に存在することは理解できよう。これは、これらの材料の表面に形成するフリーラジカルが、プラズマ処理中に反応器内に存在する残留酸素化化学種と反応することによる。同様に、処理後もまだ材料の表面に存在するフリーラジカルは、処理サンプルを空気中に戻した後に、大気中の酸素と反応する。NO又はNO2雰囲気中のプラズマ処理は更に、窒素含有及び酸素含有基を形成することは明らかである。
【0078】
3.表面のプラズマ予備洗浄
酸素及び還元プラズマ、特にO2プラズマは一般に、ポリマー基材の表面の痕跡の有機汚染物質、及び、これらの同じ基材の表面に存在するポリマー(オリゴマー)の弱く結合された断片を除去するのに用いられる。これはプラズマ予備洗浄とよばれる。これは上述のプラズマ処理である。プラズマ酸化によってこれらの化学種が解離し、揮発性化合物(CO、CO2、H2O等)が脱着し、この揮発性化合物は反応器のポンプ装置によって除去される。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明が下記実施例に限定されるものではない。以下の実施例において特に記載のない限り全ての%及び部は重量で表される。
【実施例】
【0079】
用いるPebax 55及びPebax 70は、[表1]に記載の特徴を有するポリアミドブロックとポリエーテルブロックとを有するコポリマーを示す。これらはPA12及びPTMGからなる交互ブロックで構成されるPEBAである。
【表1】

【0080】
ポリマー表面での滲出液の測定方法論:
(1)装置
ゲルマニウムクリスタルを有する単一反射音ATRアクセサリを備えたTF−IR機:ゲルマニウムクリスタルを有するThunderdome(Spectra-Tech)アクセサリを備えたNicolet 460 ESP分光光度計(Thermo Fisher)。
ゲルマニウムによって約1ミクロンの深さまで分析できる。従って、ごく小さな堆積物の分析に適している。
【0081】
(2)手順
分析するサンプルの表面をゲルマニウムクリスタルに当てる。
圧力塔を用いて5つの連続したプレス操作を行い、毎回サンプルを数ミリずつ動かす。
サンプルを取り出し、堆積物のスペクトルを実施する。
スペクトル条件:
実験:Thunderdome
スキャン回数:64
分解能:4cm−1
補正:ATR
ゼロ充填:2つのレベル
ブランクスペクトルはそれ自体でクリスタルを用いて実施した。
非滲出性ポリマー、微滲出ポリマー、及び、滲出ポリマーの堆積物又は滲出液のスペクトルを測定した(図1参照)。
【0082】
実施例(Ex)及び比較例(Cp)の製造方法
上記のPEBAX 55及びPEBAX 70は更に下記に定義された種々のタイプにすることができる。これらは以下の通り:
タイプ1:PEBAX 70−1及びPEBAX 55−1は安定剤を含まない、
タイプ2:PEBAX 70−2及びPEBAX 55−2はバーの表面に滲出しない安定剤の配合物を含む、
タイプ3:PEBAX 70−3及びPEBAX 55−3はバーの表面に滲出する安定剤の配合物を含む。
【0083】
積層体を下記の方法で進め、製造した:
(1)任意段階として、実施例24の場合にはN2/O2プラズマ予備洗浄を行い、比較例22の場合にはMEKによる化学予備洗浄を行い、比較例23の場合には石鹸水による予備洗浄を行った。
(2)[表2]に示す大気圧プラズマ処理による基材(A)の活性化、
(3)水性プライマーの層(Dongsung W104(登録商標))を、結合すべき基材(A)の表面にブラシで塗布し、これを換気オーブンで乾燥した(70℃で5分)。
【0084】
(4)予め水性プライマーで処理した基材(A)の表面に、水性接着剤(Dongsung W-01(登録商標))を塗布し、これを換気オーブンで乾燥した(70℃で5分)。
(5)基材(B)をMEKで予備洗浄した。
(6)溶剤ベースのプライマーの層(Dongsung 171-2(登録商標))を、結合すべき基材(B)の表面にブラシで塗布し、これを換気オーブンで乾燥した(70℃で3分)。
(7)予め溶剤ベースのプライマーを塗布した基材(B)の表面に、水性接着剤(Dongsung W-01(登録商標))を塗布し、これを換気オーブンで乾燥した(70℃で5分)。
(8)2つの基材をそれらの接着剤塗布表面で接触させ、この組立体を空気中で、1分間、4バールの圧力、周囲温度でプレスに入れた。
【0085】
接着剤接合(接着剤層+プライマー層)の厚さは50〜150μmであった。
最終積層体の幾何形状は以下の通り:
幅=15mm、長さ=100mm、厚さ=2〜5mm。
積層体に関するパラメータ(実施例及び比較例)及び剥離試験の結果(ISO規格 11339、速度:100mm/分)を[表2]に示す。
【0086】
【表2】

【0087】
この結果から、用いるPebax(登録商標)の硬度にかかわらず、本発明の積層体の製造方法によって3daN/cmよりはるかに高い高剥離強度が得られることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性接着ポリマー材料(C)の少なくとも一つの層によって互いに結合される層(A)及び層(B)である2つのポリマー層を少なくとも含む積層体の製造方法であって、
(a)酸化性又は還元性の連続大気圧コールドプラズマ処理による予備洗浄で、基材(A)の層及び/又は基材(B)の層を予備洗浄する段階と、
(b)基材(A)の層及び/又は基材(B)の層の連続大気圧コールドプラズマ処理による活性化段階であって、そのプラズマ処理が、
(i)層がショアーD硬度が厳密に35〜60のポリマーから形成されている場合又は層がショアーD硬度≧60のポリマーから形成されており且つプラズマ源と層の活性化される表面との距離≦3cmの場合には、酸化性又は還元性であり、(ii)層がショアーD硬度≧60のポリマーから形成されており且つ且つプラズマ源と層の活性化される表面との距離>3cmの場合には、還元性である、
活性化段階と、
(c)水性プライマーを用いる、基材(A)の層及び/又は基材(B)の層の任意の接着剤塗布段階と、
(d)水性接着ポリマー材料(C)を用いる、基材(A)の層及び/又は基材(B)の層の接着剤塗布段階と、
(e)基材(A)及び(B)の層を接触させる段階と、
(f)(e)で得られた組立体を湿潤雰囲気中でプレスして、積層体を形成する段階
を含み、
基材(A)の層は一種以上のポリマーを含み、少なくとも一種の充填剤を添加してもしなくてもよく、この一種以上のポリマーはポリアミド、熱可塑性エラストマー(TPE)及びこれらの混合物の中から選択され、
基材(A)及び(B)の層は同一でも異なっていてもよく、
基材(A)及び(B)の層は非滲出性ポリマーで作られる
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
基材(A)及び(B)が同一である、すなわち、この2つの基材(A)及び(B)は下記の中から選択される一種以上の同じポリマーからなる請求項1に記載の方法:
(i)ポリアミド(PA)ホモポリマー又はコポリマー、
(ii)PEBA(ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとのコポリマー)、TPU(熱可塑性ポリウレタンポリマー)、COPE(ポリエーテルブロックとポリエステルブロックとを有するコポリマー)の中から選択される熱可塑性エラストマー(TPE)及び
(iii)これらの混合物。
【請求項3】
基材(A)及び(B)が異なるが同じ性質であり、すなわち、基材(A)及び(B)は両者が、軟質ポリエーテルブロックを有するが、異なる硬質ブロックを有するブロックコポリマーである請求項1に記載の方法。
【請求項4】
基材(A)及び(B)が異なり、且つ、異なる性質であり、基材(A)がPA及びTPEの中から選択され、基材(B)が下記の群(i)、(ii)、(iii)で形成される基材(D)の中から選択される請求項1に記載の方法:
(i)ホモポリマー又はコポリマー、例えばポリオレフィン、ポリアミン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリイミド、ポリカーボネート、フェノール樹脂、架橋又は未架橋ポリウレタン、特に発泡体、ポリ(エチレン/酢酸ビニル)、天然又は合成エラストマー、例えばポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン/ブタジエン/スチレン(SBS)、スチレン/ブタジエン/アクリロニトリル(SBN)、ポリアクリロニトリル及び
(ii)天然又は合成織物、特に有機ポリマー繊維で作られた織物、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル又はポリアラミド繊維で作られた織物、ガラス繊維と炭素繊維で作られた織物、及び
(iii)材料、例えば皮革、紙、ボード。
【請求項5】
基材(A)及び(B)が異なり、一方がPAで作られ、他方がTPEで作られる請求項1に記載の方法。
【請求項6】
このTPE(熱可塑性エラストマー)が、PEBA(ポリアミドブロックとポリエーテルブロックとのコポリマー)、TPU(ポリウレタンブロックとポリエーテルブロックとを有するコポリマー)、COPE(ポリエーテルブロックとポリエステルブロックとを有するコポリマー)の中から選択される請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
接着ポリマー材料(C)が、少なくとも一種の官能化プレポリマーと、遊離(−N=C=O)又はブロック化イソシアネート官能基を有する少なくとも一種の硬化剤との反応で製造される架橋可能なホットメルト材料である請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
遊離又はブロック化イソシアネート官能基を有する硬化剤の含有量が、官能化プレポリマーの全重量に対して0.5〜25重量%、好ましくは2〜10重量%である請求項7に記載の方法。
【請求項9】
官能化プレポリマーが、ヒドロキシル化ポリエステル、ヒドロキシル化ポリエーテル及びこれらの混合物の中から選択される請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
積層体が下記構造体の中から選択される請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法:
基材(A)/プライマー(a)/水性接着剤(C)/接着剤(E)/プライマー(s)/基材(B)、
基材(A)/プライマー(a)/水性接着剤(C)/接着剤(E)/プライマー(a)/基材(B)、
基材(A)/プライマー(a)/水性接着剤(C)/接着剤(E)/基材(B)、
基材(A)/水性接着剤(C)/接着剤(E)/プライマー(s)/基材(B)、
基材(A)/水性接着剤(C)/接着剤(E)/プライマー(a)/基材(B)、
基材(A)/水性接着剤(C)/接着剤(E)/基材(B)、
プライマー(a)は水性プライマーを示し、
プライマー(s)は有機溶剤型プライマーを示し、
水性接着剤(C)は水性接着ポリマー材料(C)を示し、
接着剤(E)は水性接着剤又は有機溶剤型接着剤を示す。
【請求項11】
接着剤(E)が、基材(B)がPA又はPTEから作られる場合は水性であり、その他の場合は溶剤型又は水性、好ましくは水性である請求項10に記載の方法。
【請求項12】
積層体が下記構造体の中から選択される請求項10又は11に記載の方法:
PAホモポリマー又はコポリマー/プライマー(a)/水性接着剤(C)/水性接着剤(C)/プライマー(a)/PAホモポリマー又はコポリマー、
PAホモポリマー又はコポリマー/プライマー(a)/水性接着剤(C)/水性接着剤(C)/プライマー(a)/TPE、
TPE/水性接着剤(C)/水性接着剤(C)/プライマー(a)/TPE、
PAホモポリマー又はコポリマー/プライマー(a)/水性接着剤(C)/水性接着剤(C)/プライマー(a)/ポリマー(D)、
TPE/水性接着剤(C)/水性接着剤(C)/ポリマー(D)、
PAホモポリマー又はコポリマー/水性接着剤(C)/水性接着剤(C)/PAホモポリマー又はコポリマー、
PAホモポリマー又はコポリマー/水性接着剤(C)/水性接着剤(C)/TPE、
TPE/水性接着剤(C)/水性接着剤(C)/TPE、
PAホモポリマー又はコポリマー/水性接着剤(C)/水性接着剤(C)/ポリマー(D)、
TPE/水性接着剤(C)/水性接着剤(C)/ポリマー(D)、
PEBA/プライマー(a)/水性接着剤(C)/水性接着剤(C)/プライマー(a)/TPU、
PEBA/プライマー(a)/水性接着剤(C)/接着剤(E)/皮革、
PEBA/プライマー(a)/水性接着剤(C)/接着剤(E)/ポリウレタンフォーム、
PEBA/プライマー(a)/水性接着剤(C)/接着剤(E)/ゴム、
PEBA/プライマー(a)/水性接着剤(C)/接着剤(E)/ポリオレフィン不織布。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の積層体の製造方法を含む靴の構成部品の製造方法。
【請求項14】
構成要素が靴底、好ましくは運動靴の靴底である請求項13に記載の製造方法。

【公表番号】特表2011−501710(P2011−501710A)
【公表日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−530521(P2010−530521)
【出願日】平成20年10月21日(2008.10.21)
【国際出願番号】PCT/FR2008/051892
【国際公開番号】WO2009/056723
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(505005522)アルケマ フランス (335)
【Fターム(参考)】