説明

プリント基板の外観検査装置

【課題】プリント基板の検査対象領域が規格化されている一般のCCDラインセンサカメラ1台の有効撮像領域よりも大きくても、コストを極力抑え、且つ、検査処理時間が増大せず、検査処理効率を向上させながら、高精度に検査することのできるプリント基板の外観検査装置を提供する。
【解決手段】搬送機構と、前記搬送機構を介して搬送されるプリント基板15を撮像する撮像部10を有するプリント基板の外観検査装置である。撮像部10が、プリント基板15の検査対象領域を前記搬送方向に沿って複数に分割するプリズムミラー11と、プリズムミラー11で分割された複数の領域の像を、撮像するラインセンサカメラ12,13を有する。ラインセンサカメラ12,13が、互いに略等しい光学特性を持ち、且つ、入射面が、プリント基板15における前記搬送方向に対して垂直な同一仮想線L1上に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプリント基板の表面にできたキズやよごれを検出するプリント基板の外観検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント基板等の製造工程において、金パッド部の傷,レジスト部の剥離,シルク部のカスレ等の外観不良を検出するための最終外観検査工程は、極めて重要で欠かすことの出来ない工程の一つである。この外観検査を手作業により、プリント基板等の表面を照明し、拡大鏡を用いて直接目視で行うのでは、作業効率が悪い上に薄い傷等を見落とし易いという問題がある。
【0003】
そこで、近年、この種のプリント基板の外観検査装置としては、コンピュータ制御による搬送装置を組み合わせて自動的に行う検査装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。また、プリント基板を検査位置に搬送し、検査位置に設けたラインセンサを介してプリント基板の画像を取り込み、取り込んだ画像を予め用意しておいた正常状態の基準画像と比較して、その基準画像との違いから欠陥を検出することができるように構成された検査装置が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平09−171048号公報
【特許文献2】特開2004−325338号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年の電子情報機器の高性能化に伴い、実装するプリント基板も高密度化、高集積化してきており、プリント基板の外観の欠陥検査も高精度化、高効率化が求められている。しかるに、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistance:情報端末)などの携帯情報装置や、自動車に搭載されるプリント基板などの外観を、CCDラインセンサカメラ等の撮像装置を用いて高解像度で撮像するには、プリントの搬送速度をできるだけ遅くするのが好ましい。一方、搬送速度を遅くすれば、その分、検査処理枚数が減ってしまうことになる。このため、プリント基板の外観検査においては、高解像度に検査可能な搬送で搬送し、且つ、検査処理時間のロスを極力少なくすることが必要となる。
【0005】
ところで、一般のラインセンサカメラにおける撮像素子の有効撮像領域は所定の大きさに規格化されている。これに対し、プリント基板等は様々な大きさに設計されうる。このため、一般の規格化されたCCDラインセンサカメラにおける撮像素子の有効撮像領域よりも大きな検査対象領域を持つプリント基板は、既存のCCDラインセンサカメラを用いた装置では検査できない。
【0006】
これに対しては、プリント基板の検査対象領域に合わせて、撮像素子の有効撮像領域を大型化したCCDラインセンサカメラを設計・製造して用いることが考えられる。
しかし、それでは、撮像レンズ等も大型化する上、規格外のCCDラインセンサカメラの設計・製造に莫大なコストがかかってしまう。
【0007】
コストを極力かけない方法としては、一般の規格化されたCCDラインセンサカメラを複数台用いることが考えられる。その場合、CCDラインセンサカメラを並列配置したのでは、CCDラインセンサカメラの外枠等が干渉して隣り合う撮像素子同士の間隔があきすぎて、プリント基板に撮像できない部位が出来てしまう。そこで、既存のCCDラインセンサカメラを、複数台用いる場合には、プリント基板の搬送方向にずらして、各撮像素子でプリント基板の全てのサイズをカバーするように配置せざるを得ないことになる。
【0008】
しかし、各ラインセンサカメラの位置を搬送方向にずらしたのでは、その分、全てのラインセンサカメラでプリント基板の全領域を撮像する時間が長くかかることになる。これにより、プリント基板の検査時間もその分長くかかり、1枚当たりの検査処理効率が低下し、例えば1日当たりに検査できる処理枚数が減少してしまう。これでは、上述したように高解像度に検査可能な搬送で搬送し、且つ、検査処理時間のロスを極力少なくするという近年のプリント基板の外観検査に求められている要請に応えることができない。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、プリント基板の検査対象領域が規格化されている一般のCCDラインセンサカメラ1台の有効撮像領域よりも大きくても、コストを極力抑え、且つ、規格化されている一般のCCDラインセンサカメラ1台の有効像領域よりも小さな検査対象領域を持つプリント基板をそのCCDラインセンサカメラを1台備えた検査装置で検査する場合と同様の検査処理時間で済ますことができ、検査処理効率を向上させながら、高精度に検査することのできるプリント基板の外観検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明によるプリント基板の外観検査装置は、プリント基板を搬送する搬送機構と、前記搬送機構を介して搬送される前記プリント基板を撮像する撮像部を有し、前記撮像部で撮像された画像と基準画像とを比較してプリント基板の欠陥の有無を判定するプリント基板の外観検査装置であって、前記撮像部が、前記プリント基板の検査対象領域を前記搬送方向に沿って複数に分割する検査対象領域分割部材と、前記検査対象領域分割部材により分割された複数の領域の像を、それぞれ連続撮像する複数のラインセンサカメラを有し、前記複数のラインセンサカメラが、互いに略等しい光学特性を持ち、且つ、前記各ラインセンサカメラの入射面が、前記プリント基板における前記搬送方向に対して垂直な同一仮想線上に配置されていることを特徴としている。
【0011】
また、本発明によるプリント基板の外観検査装置は、プリント基板を搬送する搬送機構と、前記搬送機構を介して搬送される前記プリント基板を撮像する撮像部を有し、前記撮像部で撮像された画像と基準画像とを比較してプリント基板の欠陥の有無を判定するプリント基板の外観検査装置であって、前記検査部が、前記プリント基板の検査対象領域を前記搬送方向に沿って2つに分割する検査対象領域分割部材と、前記検査対象領域分割部材により分割された2つの領域の像を、それぞれ連続撮像する2つのラインセンサカメラを有し、前記2つのラインセンサカメラが、互いに略等しい光学特性を持ち、且つ、前記各ラインセンサカメラの入射面が、前記プリント基板における前記搬送方向に対して垂直な同一仮想線上に配置されていることを特徴としている。
【0012】
また、本発明のプリント基板の外観検査装置においては、前記検査対象領域分割部材が、前記プリント基板の前記分割される各領域からの光を、それぞれ対応するラインセンサカメラへ導く2つの反射面で構成されているのが好ましい。
【0013】
また、本発明によるプリント基板の外観検査装置は、プリント基板を搬送する搬送機構と、前記搬送機構を介して搬送される前記プリント基板を撮像する撮像部を有し、前記撮像部で撮像された画像と基準画像とを比較してプリント基板の欠陥の有無を判定するプリント基板の外観検査装置であって、前記撮像部が、前記プリント基板の検査対象領域を前記搬送方向に沿って3つに分割する検査対象領域分割部材と、前記検査対象領域分割部材により分割された3つの領域の像を、それぞれ連続撮像する3つのラインセンサカメラを有し、前記3つのラインセンサカメラが、互いに略等しい光学特性を持ち、且つ、前記各ラインセンサカメラの入射面が、前記プリント基板における前記搬送方向に対して垂直な同一仮想線上に配置されていることを特徴としている。
【0014】
また、本発明のプリント基板の外観検査装置においては、前記検査対象領域分割部材が、前記プリント基板の前記分割される3つの領域のうち、2つの領域からの光を、前記3つのラインセンサカメラのうち、それぞれ対応する2つのラインセンサカメラへ導く2つの反射面と、前記プリント基板の前記分割される3つの領域のうち、残りの1つの領域からの光を前記3つのラインセンサカメラのうち、残りの1つのラインセンサカメラへ導く開口部と、で構成されているのが好ましい。
【0015】
また、本発明のプリント基板の外観検査装置においては、前記2つの反射面が、直角プリズム部材の2つの面に備えられているのが好ましい。
【0016】
また、本発明のプリント基板の外観検査装置においては、前記2つの反射面が、それぞれ独立した反射部材で構成されているのが好ましい。
【0017】
また、本発明のプリント基板の外観検査装置においては、前記2つの反射面が、それぞれ独立したハーフミラーで構成されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、プリント基板の幅が通常のラインセンサカメラ1台の撮像領域を超える大きさであっても、コストを極力抑えながら、検査処理効率を向上させながら、高精度に検査することのできるプリント基板の外観検査装置が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は本発明の第一実施形態にかかるプリント基板の外観検査装置の全体構成を示す説明図である。図2は図1のプリント基板の外観検査装置における外観検査部署に設けられた撮像部の概略構成図で、(a)は下側からみた図、(b)は側面図である。
【0020】
図1において、Aは外観検査部署、Bは検査されるべきプリント基板等の搬入部署、Cは検査後のプリント基板等の良品と不良品との選別回収部署である。なお、図1においては、搬送機構は公知技術の単軸ロボットを用いてプリント基板を搬送するように構成した例を示してある。
【0021】
ここで、プリント基板の外観検査装置における上記各部署へのプリント基板等の基本的な搬送順序を簡単に説明する。
先ず、搬入部署Bにおいて、所定枚数の積重ねの形で準備された検査されるべきプリント基板等が搬入ロボット(図1では図示省略)により1枚1枚に分離されて、検査テーブル上へ置かれる。検査テーブル上に置かれたプリント基板等は、単軸ロボットを介して、検査部署Aから選別回収部署Cへと移動させられ、検査位置を通過する際に検査部署Aに設けられた撮像部のCCDラインセンサカメラ等で撮像されることによって必要な検査が行なわれる。その際、検査部署Aで不良品と判定された場合は、その判定信号に基づいて制御される該当するプリント基板等が選別回収部署Cへ送り込まれたとき、搬出ロボット(図1では図示省略)により、不良品置き場に回収される。これに対して、検査部署Aで良品と判定された場合は、搬出ロボットにより良品置き場に回収される。検査が終了すると、検査テーブルは単軸ロボットを介して搬入部署Bにおけるもとの位置に戻される。
【0022】
次に、本発明の特徴的な構成について説明する。
外観検査部署Aには、撮像部10が設けられている。
撮像部10は、1つの直角プリズムミラー11と、2つのCCDラインセンサカメラ12,13とで構成されている。なお、図1中、14は搬送テーブル、15はプリント基板である。
直角プリズムミラー11は、直角に交差する面11a、11bが反射面として構成されている。また、搬送路の真上において、反射面11a,11bを介して形成される辺11cが搬送路の中央に位置し、かつ、反射面11a,11bがそれぞれ搬送面に対して45度ずつ傾斜する状態に配置されている。
反射面11aは、搬送路上のプリント基板15の所定検査領域のうち、視野領域15aからの光をCCDラインセンサカメラ12に向けて反射する。また、反射面11bは、搬送路上のプリント基板15の所定検査領域のうち、視野領域15bからの光をCCDラインセンサカメラ13に向けて反射する。
【0023】
CCDラインセンサカメラ12,13は、直角プリズムミラー11を挟んで左右対称に配置されている。CCDラインセンサカメラ12は、撮像レンズ系12aとCCDラインセンサ12bを備えて構成されている。また、CCDラインセンサカメラ13は、撮像レンズ系13aと、CCDラインセンサ13bを備えて構成されている。
撮像レンズ系12aは、搬送路上のプリント基板15の所定検査領域のうち、視野領域15aからの像をCCDラインセンサ12bの撮像面にそれぞれ結像する。撮像レンズ系13aは、搬送路上のプリント基板の所定検査領域のうち、視野領域15bからの像をCCDラインセンサ12b,13bの撮像面にそれぞれ結像する。また、CCDラインセンサ12b,13bは、撮像レンズ系12a,13aを介して結像されたプリント基板15の視野領域の像を一ライン毎に撮像する。そして、所定速度で搬送されるプリント基板15を一ラインずつ連続的に撮像することで、プリント基板15の検査対象領域全面を撮像するようになっている。
【0024】
また、CCDラインセンサカメラ12を構成する撮像レンズ系12a及びCCDラインセンサ12bと、CCDラインセンサカメラ13を構成する撮像レンズ系13a及びCCDラインセンサ13bとは、互いに略等しい光学特性をしている。また、CCDラインセンサカメラ12,13は、入射面がプリント基板15の搬送方向に対して垂直な同一仮想線L1上に配置されている。
なお、プリント基板15の検査対象領域は、CCDラインセンサ12b,13bの有効撮像領域を足した大きさに一致していない。このため、各CCDラインセンサ12b,13bで撮像する検査対象の一ラインごとの領域15a,15bは一部分で重複する(重複部分15d)。この領域が重複した部分15dの画像は、図示省略した画像処理部を介して補正するように構成されている。
【0025】
このように構成された本実施形態のプリント基板の外観検査装置によれば、プリント基板15の検査対象における領域15aの像と領域15bの像とがそれぞれのラインセンサ12b,13bを介して同時に撮像される。このため、搬送機構を介してプリント基板15を搬送することにより、1台のCCDラインセンサカメラの有効撮像領域を超える大きさの検査対象領域を持つプリント基板15の検査対象領域全面を1台のCCDラインセンサカメラを用いた場合と同じ処理時間で撮像することができ、プリント基板の検査処理効率が大幅に向上する。
【0026】
この第一実施形態にかかるプリント基板の外観検査装置の効果を、比較例を用いてより詳細に説明する。
図3は第一実施形態の比較例にかかるプリント基板の外観検査装置の外観検査部署に設けられた撮像部10’の概略構成を示す下側からみた説明図である。
比較例のプリント基板の外観検査装置は、撮像部10’が、2台のCCDラインセンサカメラで12,13のみで構成されている。2つのCCDラインセンサカメラ12,13は、プリント基板15の搬送面の法線に平行で、且つ、上述したようにプリント基板15の搬送方向に沿ってずれて配置されている。
このように構成された比較例のプリント基板の外観検査装置では、プリント基板15の検査対象における領域15bの像が領域15aの像よりも遅れて撮像される。このため、搬送機構を介してプリント基板15を搬送することにより、プリント基板15の検査対象領域全面を1台のCCDラインセンサカメラを用いた場合に比べてCCDラインセンサカメラ13がCCDラインセンサカメラ12に対してプリント基板15の搬送方向に沿ってずれている分だけ、プリント基板15の一枚当たりの撮像時間が長くかかる。
【0027】
ここで、例えば、第一実施形態及び比較例にかかるプリント基板の外観検査装置における各ラインセンサカメラ12,13の有効撮像領域35mm、撮像倍率1倍として、検査対象領域全体の幅が68mmのプリント基板を検査するものと仮定する。
また、図3においてCCDラインセンサカメラ13のCCDラインセンサカメラ12に対する搬送方向に沿う位置ずれmが、150mmあるものとする。この位置ずれは、この種のCCDラインセンサカメラの一般的な大きさとして仮定したものである。また、プリント基板15が搬送速度12.5mm/秒で搬送されるものとする。この搬送速度は、1台のCCDラインセンサカメラを用いたこの種の検査装置の搬送機構の一般的な速度に基づいて仮定したものである。
【0028】
このような条件でプリント基板を検査すると、図3の比較例のプリント基板の外観検査装置では、第一実施例のプリント基板の外観検査装置に比べて、プリント基板1枚当たり、150mm/12.5mm/秒=12秒撮像に時間が余計にかかってしまうことになる。
また、従来のこの種の1台のラインセンサカメラを用いた場合のプリント基板の外観検査装置における1枚当たりの処理時間が60秒、1日当たりの処理枚数が1400枚、であると仮定する。
すると、図3の比較例では、1日当たりの処理枚数は、1400×(60/72)≒1166.6ないしは1167枚となり、処理枚数が約240枚減ってしまう。
【0029】
これに対し、第一実施形態のプリント基板の外観検査装置によれば、従来のこの種の1台のラインセンサカメラを用いた場合のプリント基板の外観検査装置と同様の1枚当たりの処理時間、1日当たりの処理枚数で検査処理を行うことができる。
【0030】
また、第一実施形態のプリント基板の外観検査装置によれば、既存のラインセンサカメラの増設とプリズムミラーを追加する程度のコストで済む。このため、新規にプリント基板の検査対象領域に合わせて有効撮像領域を新規に設計してラインセンサカメラを製造する場合に比べてコストを非常に低く抑えることができる。
【0031】
図4は本発明の第二実施形態にかかるプリント基板の外観検査部署に設けられた撮像部の概略構成を示す側面図である。
第二実施形態のプリント基板の外観検査装置は、撮像部20が、2つの直角プリズムミラー21,22と、3つのCCDラインセンサカメラ12,13,23とで構成されている。なお、図4中、14は搬送テーブル、15はプリント基板である。
直角プリズムミラー21,22は、直角に交差する面で挟まれた斜面21a,22aが反射面として構成されている。また、搬送路の真上には、直角プリズムミラー21,22に挟まれて開口部24が設けられている。開口部24は、搬送路の中央に位置する。そして、反射面21a,22aは、開口部24を挟んで、それぞれ搬送面に対して45度ずつ傾斜する状態に配置されている。
反射面21aは、搬送路上のプリント基板15の所定検査領域のうち、視野領域15aからの光をCCDラインセンサカメラ12に向けて反射する。また、反射面22aは、搬送路上のプリント基板15の所定検査領域のうち、視野領域15bからの光をCCDラインセンサカメラ13に向けて反射する。
【0032】
CCDラインセンサカメラ23は、開口部24の上方において、CCDラインセンサカメラ21,22の光軸に対して垂直となる向きで配置されている。
CCDラインセンサカメラ23は、撮像レンズ系23aと、CCDラインセンサ23bを備えて構成されている。
撮像レンズ系23aは、搬送路上のプリント基板15の所定検査領域のうち、視野領域15cからの像をCCDラインセンサ23bの撮像面に結像する。また、CCDラインセンサ12b,13b,23bは、撮像レンズ系12a,13a,23aを介して結像されたプリント基板15の視野領域の像を一ライン毎に撮像する。そして、所定速度で搬送されるプリント基板15を一ラインずつ連続的に撮像することで、プリント基板15の検査対象領域全面を撮像するようになっている。
【0033】
また、CCDラインセンサカメラ12を構成する撮像レンズ系12a及びラインセンサ12bと、CCDラインセンサカメラ13を構成する撮像レンズ系13a及びラインセンサ13bと、CCDラインセンサカメラ23を構成する撮像レンズ系23a及びラインセンサ23bとは、互いに略等しい光学特性をしている。また、CCDラインセンサカメラ12,13,23は、入射面がプリント基板15の搬送方向に対して垂直な同一仮想線上に配置されている(図4では図示省略)。
なお、プリント基板15の検査領域は、CCDラインセンサ12b,13b,23bの有効撮像領域を足した大きさに一致していない。このため、各CCDラインセンサ12b,13b,23bで撮像する検査対象の一ラインごとの領域15a,15b,15cは一部分で重複する(重複部分15d)。この領域が重複した部分15dの画像は、図示省略した画像処理部を介して補正するように構成されている。
【0034】
このように構成された本実施形態のプリント基板の外観検査装置によれば、プリント基板15の検査対象における領域15aの像と領域15bの像と領域15cの像とがそれぞれのラインセンサ12b,13b,23bを介して同時に撮像される。このため、搬送機構を介してプリント基板15を搬送することにより、2台のCCDラインセンサカメラの有効撮像領域を超える大きさの検査対象領域を持つプリント基板15の検査対象領域全面を1台のCCDラインセンサカメラを用いた場合と同じ処理時間で撮像することができ、プリント基板の検査処理効率が大幅に向上する。
【0035】
なお、上記各実施形態にかかるプリント基板の外観検査装置では、反射面を直角プリズムに設けたが、平板状のミラーで構成してもよい。
なお、直角プリズムに設けた場合には、反射面の位置が安定した状態で固定され、装置の振動等によるずれが生じなくなる。
平板状のミラーで構成した場合には、撮像レンズ系の撮像倍率の変更に合わせて、ミラーの入射角度を調整することで、CCDラインセンサカメラで撮像する検査対象範囲を調整することができる。
【0036】
また、反射面にハーフミラーを用いても良い。このようにすれば、例えば、検査対象側からハーフミラーを透過させてプリント基板に光を補助的に照射することができ、検査対象に対してより明るい照明をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第一実施形態にかかるプリント基板の外観検査装置の全体構成を示す説明図である。
【図2】図1のプリント基板の外観検査装置の外観検査部署に設けられた撮像部の概略構成図で、(a)は下側からみた図、(b)は側面図である。
【図3】第一実施形態の比較例にかかるプリント基板の外観検査装置の外観検査部署に設けられた撮像部10’の概略構成を示す下側からみた説明図である。
【図4】本発明の第二実施形態にかかるプリント基板の外観検査部署に設けられた撮像部の概略構成を示す側面図である。
【符号の説明】
【0038】
A 外観検査部署
B 搬入部署
C 選別回収部署
10,10’,20 撮像部
11,21,22 直角プリズムミラー
11a,11b,21a,22a 反射面
11c 辺
12,13,23 CCDラインセンサカメラ
12a,13a,23a 撮像レンズ系
12b,13b,23b CCDラインセンサ
14 搬送テーブル
15 プリント基板
15a,15b,15c 視野領域
24 開口部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板を搬送する搬送機構と、前記搬送機構を介して搬送される前記プリント基板を撮像する撮像部を有し、前記撮像部で撮像された画像と基準画像とを比較してプリント基板の欠陥の有無を判定するプリント基板の外観検査装置であって、
前記撮像部が、前記プリント基板の検査対象領域を前記搬送方向に沿って複数に分割する検査対象領域分割部材と、前記検査対象領域分割部材により分割された複数の領域の像を、それぞれ連続撮像する複数のラインセンサカメラを有し、
前記複数のラインセンサカメラが、互いに略等しい光学特性を持ち、且つ、前記各ラインセンサカメラの入射面が、前記プリント基板における前記搬送方向に対して垂直な同一仮想線上に配置されていることを特徴とするプリント基板の外観検査装置。
【請求項2】
プリント基板を搬送する搬送機構と、前記搬送機構を介して搬送される前記プリント基板を撮像する撮像部を有し、前記撮像部で撮像された画像と基準画像とを比較してプリント基板の欠陥の有無を判定するプリント基板の外観検査装置であって、
前記検査部が、前記プリント基板の検査対象領域を前記搬送方向に沿って2つに分割する検査対象領域分割部材と、前記検査対象領域分割部材により分割された2つの領域の像を、それぞれ連続撮像する2つのラインセンサカメラを有し、
前記2つのラインセンサカメラが、互いに略等しい光学特性を持ち、且つ、前記各ラインセンサカメラの入射面が、前記プリント基板における前記搬送方向に対して垂直な同一仮想線上に配置されていることを特徴とするプリント基板の外観検査装置。
【請求項3】
前記検査対象領域分割部材が、前記プリント基板の前記分割される各領域からの光を、それぞれ対応するラインセンサカメラへ導く2つの反射面で構成されていることを特徴とする請求項2に記載のプリント基板の外観検査装置。
【請求項4】
プリント基板を搬送する搬送機構と、前記搬送機構を介して搬送される前記プリント基板を撮像する撮像部を有し、前記撮像部で撮像された画像と基準画像とを比較してプリント基板の欠陥の有無を判定するプリント基板の外観検査装置であって、
前記撮像部が、前記プリント基板の検査対象領域を前記搬送方向に沿って3つに分割する検査対象領域分割部材と、前記検査対象領域分割部材により分割された3つの領域の像を、それぞれ連続撮像する3つのラインセンサカメラを有し、
前記3つのラインセンサカメラが、互いに略等しい光学特性を持ち、且つ、前記各ラインセンサカメラの入射面が、前記プリント基板における前記搬送方向に対して垂直な同一仮想線上に配置されていることを特徴とするプリント基板の外観検査装置。
【請求項5】
前記検査対象領域分割部材が、
前記プリント基板の前記分割される3つの領域のうち、2つの領域からの光を、前記3つのラインセンサカメラのうち、それぞれ対応する2つのラインセンサカメラへ導く2つの反射面と、
前記プリント基板の前記分割される3つの領域のうち、残りの1つの領域からの光を前記3つのラインセンサカメラのうち、残りの1つのラインセンサカメラへ導く開口部と、
で構成されていることを特徴とする請求項4に記載のプリント基板の外観検査装置。
【請求項6】
前記2つの反射面が、直角プリズム部材の2つの面に備えられていることを特徴とする請求項3に記載のプリント基板の外観検査装置。
【請求項7】
前記2つの反射面が、それぞれ独立した反射部材で構成されていることを特徴とする請求項3又は5に記載のプリント基板の外観検査装置。
【請求項8】
前記2つの反射面が、それぞれ独立したハーフミラーで構成されていることを特徴とする請求項3又は5に記載のプリント基板の外観検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−194685(P2006−194685A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−5365(P2005−5365)
【出願日】平成17年1月12日(2005.1.12)
【出願人】(000104618)キャビン工業株式会社 (6)
【Fターム(参考)】