説明

プリント配線基板

【課題】数種類の外形をもったBGAを実装するプリント配線基板に関し、簡単で従来の製造プロセスを複雑にすることなく、低価格で、位置のずれを確認可能とする。
【解決手段】電子部品が搭載される基板において、基板の部品搭載位置に設置され得る第一の部品(1)の外形に対応する形状を有する第一のライン(6)と、部品搭載位置に設置され得る第二の部品(2)の外形に対応する形状を有する第二のライン(7)と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプリント配線基板に関し、更に詳しくは、表面実装可能な部品又はパッケージ部品をプリント配線基板に実装する場合において、機能が同一で、実装に関し互換性のある複数種類の外形を有する表面実装可能な部品又はパッケージ部品を実装可能なプリント配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高機能を有する小型コンピュータ等で使用される、集積回路且つ、表面実装可能な部品として、BGA(Ball Grid Array)が開発、多用され始めている。BGAは部品の裏面の電極部に対応して、球形のハンダボールをマトリックス状に並べ、はんだボールをプリント配線基板の接続部としている表面実装型部品である。
【0003】
また、BGAを更に小型化したCSP(Chip Size Package)も使用されてきている。これらのBGA又はCSPのパッケージはその底面に電極端子が設けられているため、部品実装後の実装ずれをプリント配線基板の接続部で確認できないという欠点がある。
【0004】
このようなBGAの実装後の簡易な位置ずれ確認方法として、例えば特開2000−133898号公報に提案されている。
【0005】
この特許公開公報に記載されたBGAは、搭載するパッケージ部品の外縁をプリント配線基板上でシルク印刷で囲み、シルク印刷と部品パッケージの位置関係でずれを確認するものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、近年のBGAパッケージのソケットが数社によって開発され、なお且つ機能が同一で、実装に関して互換性がありながら、各々の外形サイズが異なるため、上記の方法の場合一種類の外形分のシルク表示しかできないため、特定の製造者のみのソケットになり、供給や価格の面で有利な、数社の部品を購入して、プリント配線基板に対して適宜選択的に実装するという場合の利点を十分に活かすことができない。
【0007】
そこで、本発明は、上記の従来技術を考慮して、簡単で従来の製造プロセスを複雑にすることなく、低価格で、機能が同一で実装に関して互換性のある、数種類の外形をもったBGAの実装位置のずれを確認できるプリント配線基板を提供することを特徴とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を達成するために、本発明によれば、電子部品が搭載される基板において、前記基板の部品搭載位置に設置され得る第一の部品の外形に対応する形状を有する第一のラインと、前記部品搭載位置に設置され得る第二の部品の外形に対応する形状を有する第二のラインと、を備えたことを特徴とする、基板が提供される。
【0009】
また、本発明では、前記基板において、前記第一の部品と前記第二の部品は同等の機能をなす部品であり、互いに異なる外形を有するものであることを特徴とする。
【0010】
また、本発明では、複数の部品が搭載される可能性のある箇所に、前記複数の部品のそれぞれの外形を描いた確認ラインが設けられたことを特徴とするプリント基板が提供される。
【0011】
これらの構成によれば、1部品に対して、複数の外形をシルク印刷等により形成することにより位置ずれ確認ラインが形成することができるため、簡単な構成で、従来の製造プロセスを複雑にすることなく、低価格で、数種類の機能/実装互換を特徴とする数種類の外形を持つBGAやCSP等のはんだ接合等の外観が見えないパッケージ部品の実装位置ずれを確認することができる。
【0012】
また、本発明によれば、位置ずれの確認時に、どのラインと確認すればよいのか一目で判断することが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、1部品に対しても、製造者ごと或いは製造時期等で、異なる外形を有する場合においても、部品外形の確認ラインをシルク印刷等で形成することにより、部品の適正実装位置を容易に確認することができる。これにより、部品外形は異なるが、機能は同一であって、実装に関して互換性のある部品を、供給や価格の面等で複数の製造者のものでも同時に使用することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0015】
図1は機能/実装互換を特徴とする数種類の外形を持つBGA/CSP等のはんだ接合等の外観が見えないパッケージ部品の一例をBGAパッケージを代表として示すものである。これらの部品は、外形がそれぞれ異なるが、機能の点では同じであり、且つ実装互換性をもった部品である。
【0016】
即ち、図1(a)に示すBGA(タイプI)1、BGA(タイプII)2、BGA(タイプIII )3は、いずれも表面実装部品であり、プリント配線基板に実装するための接続端子(図示せず)は、部品のプリント配線基板への実装状態では、外観からは判別できない。また、これらの部品をプリント配線基板上の所定の実装位置に配置した状態では、プリント配線基板上の接続端子を見ることは出来ない。
【0017】
図1ではこれらの部品を平面図で示しているが、平面図で見た部品の外形は、図示のように互いに異なっている。換言すると、これらの部品をプリント配線基板上の所定位置に実装した状態において、部品の外形線の位置が互いに異なっている。図2は、各部品1、2、3にそれぞれ対応する確認ライン6、7、8をプリント配線基板上にシルク印刷で形成した状態を示す。
【0018】
図3〜図5は、各部品1、2、3の外形線とそれに対応する確認ライン6、7、8との関係を示したものである。
【0019】
BGA(タイプI)1は、実装状態で矩形状の外形を有するので、図3に示すように、右上の角部とその対角をなす左下の角部を基準とする。そして、プリント配線基板上では、所定実装位置におけるBGA(タイプI)の右上の角部とその対角をなす左下の角部の外形に対応するL字形の確認ライン6をシルク印刷によりプリント配線基板4上に予め描いておく。所定の許容誤差範囲を考慮して、プリント配線基板4の確認ライン6をBGA(タイプI)1の実際の部品外形よりもわずかな寸法xだけ外側にとっておくのが好ましい。
【0020】
BGA(タイプII)2でも、実装状態で矩形状の外形を有するので、図4に示すように、BGA(タイプI)1の基準と異なる箇所を基準とする。即ち、BGA(タイプII)2では、左上の角部とその対角をなす右下の角部を基準として、プリント配線基板上の所定実装位置におけるBGA(タイプII)の左上の角部とその対角をなす右下の角部の外形に対応するL字形の確認ライン7をシルク印刷によりプリント配線基板4上に予め描いておく。前述と同様に、所定の許容誤差範囲を考慮して、プリント配線基板4の確認ライン7をBGA(タイプII)2の部品の外形よりもわずかな寸法xだけ外側にとっておくのが好ましい。
【0021】
BGA(タイプIII )では、図5に示すように上記2つのBGAの基準と異なる箇所を基準とする。即ち、BGA(タイプIII )では、上部中央に外側へ突出した外形部分を有するので、この凸状の外形部分と、左右の側部、及び下部中央を基準として、プリント配線基板上の所定実装位置におけるBGA(タイプIII )3の上部中央の突出部分の外形に対応する逆コップ形状、左右の側部の一部に対応する直線状、下部中央の一部に対応する直線状の確認ライン8をシルク印刷によりプリント配線基板上に予め描いておく。前述の場合と全く同様に、所定の許容誤差範囲を考慮して、プリント配線基板4の確認ライン8をシルク印刷によりBGA(タイプIII )の部品の外形よりもわずかな寸法xだけ外側にとっておくのが好ましい。
【0022】
図6は、上記の3種類の部品を実装する場合の、各部品1、2、3に対応する確認ライン6、7、8と、各確認ラインに対応する部品名、TYPE1、TYPE2、TYPE3をそれぞれ表示したものである。確認ライン6、7、8及び部品表示は、あらゆる方法によって印刷可能であるが、一般には、プリント配線基板上での各種の表示に広く使用されているシルク印刷によるのが好適である。各部品の各確認ラインの近傍に表示する部品名により、どの部品がどの確認ラインの位置にセットすべきかを明確に把握することができる。
【0023】
プリント配線基板4に実装する部品、例えばこの実施形態において、BGA(タイプ1〜3)をプリント配線基板4上に実装する場合は、プリント配線基板4を予め所定位置にセットし、その状態でロボットアーム(図示せず)等に把持された部品をプリント配線基板上の所定実装位置へもたらす。
【0024】
いずれの場合においても、実際にはんだ接合する前に、部品が所定の実装位置に配置されているか否かを目視により確認することができる。即ち、部品を実装位置にセットした時点において、部品の外形が、当該部品に対応する確認ラインの内側に入っていれば、適正な実装位置にセットされているものと判断することができる。また、部品の外形が、当該部品に対応する確認ラインの内側に入っていない場合には、適正な実装位置にセットされていないものと判断し、適当な手段でもってセット位置を修正する。確認ラインは実際の部品の外形よりもわずかな寸法xだけ外側に形成されているので、その許容範囲内に部品が収まっているか否かを容易に判断することができる。
【0025】
尚、半田接合した後でも、半田接合時のプリント配線基板への加熱による基板の熱衝撃等を原因とする部品の位置ズレを確認できる。
【0026】
以上添付図面を参照して本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の精神ないし範囲内において種々の形態、変形、修正等が可能である。
【0027】
(付記1) 機能が同一で、実装に関し互換性のある複数種類の外形を有する表面実装部品を実装可能な配線基板において、
前記複数種類の外形を有する部品の実装位置に対応する部品外形の確認ラインを表面に設けたことを特徴とするプリント配線基板。
【0028】
(付記2) 前記確認ラインは実装位置に対応する部品外形のラインよりわずかな寸法だけ外側に形成されていることを特徴とする付記1に記載のプリント配線基板。
【0029】
(付記3) 前記確認ラインは、1種類の部品に対して部品外形に沿った複数の箇所に設けられていることを特徴とする付記1又は2に記載のプリント配線基板。
【0030】
(付記4) 1種類の部品に対する複数の確認ラインは、部品の対角位置の角部に沿ってL字形に形成されていることを特徴とする付記3に記載のプリント配線基板への部品実装構造。
【0031】
(付記5) 1種類の部品に対する複数の確認ラインは、部品の辺の一部に沿って直線状に形成されていることを特徴とする付記3に記載のプリント配線基板への部品実装構造。
【0032】
(付記6) 直線状の確認ラインは、部品の互いに平行な2つの辺の一部に沿った2つの平行な直線と、前記辺と平行でない他の少なくとも1つの辺の一部に沿った直線とを含むことを特徴とする付記5に記載のプリント配線基板への部品実装構造。
【0033】
(付記7) 実装状態の部品外形の平面形状において凸部又は凹部がある場合、前記複数の確認ラインの少なくとも1つに、前記凸部又は凹部に沿った確認ラインが含まれることを特徴とする付記3に記載のプリント配線基板への部品実装構造。
【0034】
(付記8) 前記部品は、実装の際、はんだ接合部分が外観から見えないものであることを特徴とする付記1〜7のいずれかに記載の部品実装構造。
【0035】
(付記9) 前記部品は、BGA或いはCSP等のパッケージ部品であることを特徴とする付記8に記載の部品実装構造。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】図1(a)〜(c)は機能は同一であって、実装互換性のある数種類の外形を持つBGA/CSP等の表面実装部品をBGAパッケージを一例として示した平面図である。
【図2】プリント配線基板の表面にシルク印刷により形成した確認ラインの例を示す。
【図3】確認ライン及びBGA(タイプI)を実装位置にセットした状態を示す。
【図4】確認ライン及びBGA(タイプII)を実装位置にセットした状態を示す。
【図5】確認ライン及びBGA(タイプIII )を実装位置にセットした状態を示す。
【図6】プリント配線基板上に各部品に対応する確認ライン及び部品名をシルク印刷により形成した例を示す。
【符号の説明】
【0037】
1 BGA(タイプI)
2 BGA(タイプII)
3 BGA(タイプIII )
4 プリント配線基板
5 基板
6 BGA(タイプI)の確認ライン
7 BGA(タイプII)の確認ライン
8 BGA(タイプIII )の確認ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が搭載される基板において、
前記基板の部品搭載位置に設置され得る第一の部品の外形に対応する形状を有する第一のラインと、
前記部品搭載位置に設置され得る第二の部品の外形に対応する形状を有する第二のラインと、を備えたことを特徴とする、基板。
【請求項2】
前記基板において、前記第一の部品と前記第二の部品は同等の機能をなす部品であり、互いに異なる外形を有するものであることを特徴とする、請求項1に記載の基板。
【請求項3】
複数の部品が搭載される可能性のある箇所に、前記複数の部品のそれぞれの外形を描いた確認ラインが設けられたことを特徴とするプリント基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−319356(P2006−319356A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−188539(P2006−188539)
【出願日】平成18年7月7日(2006.7.7)
【分割の表示】特願2001−313050(P2001−313050)の分割
【原出願日】平成13年10月10日(2001.10.10)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】