説明

プロジェクタシステム及びプロジェクタ並びにスクリーン装置

【課題】 投写画像のアスペクト比に拘わらず、コントラスト感の低減を容易に抑制することが可能なプロジェクタシステムを提供する。
【解決手段】 プロジェクタ2の制御信号送信部13は、無線通信を用いて信号の送信が可能になっており、プロジェクタ制御部10は、各種指示を表すコマンドや、画像処理部15から取得したアスペクト比に応じた制御信号(以下、「アスペクト信号」という。)を、制御信号送信部13を介してスクリーン装置3に送信することができる。スクリーン装置3の制御信号受信部32は、プロジェクタ2の制御信号送信部13から無線通信によって送信されるコマンドやアスペクト信号等を受信する。スクリーン駆動部33は、プロジェクタ2から取得したアスペクト信号に応じてスクリーンSCを駆動し、画像が表示される画像表示領域のアスペクト比を変更することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクタによってスクリーンに画像を表示するプロジェクタシステム及びプロジェクタ並びにスクリーン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光学像を投写してスクリーン等に画像を表示するプロジェクタは、光源から射出した光を、複数の画素が形成された液晶ライトバルブ等の光変調装置によって画素毎に変調して光学像を形成する。各画素は、例えば、アスペクト比が4:3の画素領域内にマトリクス状に配設されており、複数の画素のうち、映像ソースのアスペクト比に応じた範囲の画素を用いて光学像を形成することにより、種々のアスペクト比の画像を表示することができる。
【0003】
一方、スクリーンには、周縁部に光反射率の低い黒枠部が備えられ、黒枠部の内側には、光反射率が高く、プロジェクタからの投写光を反射して画像を表示可能な画像表示領域が備えられている。
【0004】
例えば、画像表示領域のアスペクト比が4:3であるスクリーンに、アスペクト比が16:9の画像を表示させる場合、プロジェクタは、光変調装置の画素領域のうち、実際に画像を形成する領域(有効画素領域)のアスペクト比を16:9とするとともに、有効画素領域外の画素の光透過率を最小とする。この画像を画像表示領域の幅に合わせて表示させると、画像表示領域内で画像が表示されない領域が、有効画素領域外の画素から漏れる漏れ光や環境光等を反射するため、画像のコントラスト感を低減させることになる。このため、常に適度なコントラスト感を得るためには、画像のアスペクト比に応じてスクリーンを切り替えたり、或いは、特許文献1に示すように、スクリーンの投写面側にマスクシート等を備えたりすることにより、画像のアスペクト比と、スクリーンの実質的な画像表示領域のアスペクト比とを常に一致させることが好ましい。
【0005】
【特許文献1】特開平6−235975号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、画像のアスペクト比としては、4:3や16:9のみならず、ビスタサイズやスコープサイズ等があり、これらの全てに対応した複数のスクリーンを備えることは、コスト的にもスペース的にも困難である。また、特許文献1に記載のスクリーンにおいては、画像のアスペクト比が切り替わるたびに、マスクシートのマスク状態を変更する操作が必要になってしまうという問題を有していた。
【0007】
本発明は上記問題を鑑みてなされたものであり、その目的は、投写画像のアスペクト比に拘わらず、コントラスト感の低減を容易に抑制することが可能なプロジェクタシステム及びプロジェクタ並びにスクリーン装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のプロジェクタシステムは、画像信号を入力して前記画像信号に応じた光学像を投写するプロジェクタと、前記光学像を受光するスクリーン装置とを備えたプロジェクタシステムであって、前記プロジェクタは、前記スクリーン装置に対して制御信号を送信する制御信号送信部を備え、前記スクリーン装置は、前記光学像を受光して前記画像信号に応じた画像を表示可能な画像表示領域を有するスクリーンと、前記制御信号を受信する制御信号受信部と、前記制御信号に応じて、前記画像表示領域のアスペクト比を変更するアスペクト比変更手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
このプロジェクタシステムによれば、スクリーン装置が、プロジェクタから送信される制御信号に応じて、画像表示領域のアスペクト比を変更可能であるため、画像表示領域のアスペクト比を変更する際の操作の煩雑さを抑制することが可能となる。
【0010】
このプロジェクタシステムにおいて、前記プロジェクタは、入力した前記画像信号に基づいて、画像のアスペクト比を認識可能なアスペクト比認識手段を有し、前記制御信号は、前記アスペクト比認識手段によって認識された前記画像のアスペクト比に応じた信号であり、前記アスペクト比変更手段は、前記画像表示領域のアスペクト比を、前記画像のアスペクト比と略同一になるよう変更することが望ましい。
【0011】
このプロジェクタシステムによれば、スクリーン装置のアスペクト比変更手段が、画像表示領域のアスペクト比を、画像のアスペクト比と略同一となるように変更するため、画像表示領域の全域に渡って画像を表示させることが可能となる。つまり、画像の外側に漏れ光等を反射する領域がなくなるため、コントラスト感の低減を抑制することが可能となる。
【0012】
このプロジェクタシステムにおいて、前記スクリーン装置は、受光した光学像を反射して、受光面側に画像を表示するとともに、前記画像表示領域の外周に、光の反射を抑制可能な低反射部を備えていることが望ましい。
【0013】
このプロジェクタシステムによれば、受光した光学像を反射して受光面側に画像を表示する画像表示領域の外周に、光の反射を抑制可能な低反射部を備えているため、画像表示領域の外側に漏出する漏れ光の反射を抑制することが可能となり、コントラスト感の低減を一層抑制することが可能となる。
【0014】
このプロジェクタシステムにおいて、前記スクリーン装置は、受光した光学像を透過して、受光面の反対面側に画像を表示するとともに、前記画像表示領域の外周に、光の透過を抑制可能な低透過部を備えていることが望ましい。
【0015】
このプロジェクタシステムによれば、受光した光学像を透過して受光面の反対面側に画像を表示する画像表示領域の外周に、光の透過を抑制可能な低透過部を備えているため、画像表示領域の外側に漏出する漏れ光の透過を抑制することが可能となり、コントラスト感の低減を一層抑制することが可能となる。
【0016】
このプロジェクタシステムにおいて、前記制御信号送信部と前記制御信号受信部との通信は、無線通信であることが望ましい。
【0017】
このプロジェクタシステムによれば、プロジェクタからスクリーン装置に、無線通信によって制御信号が送信されるため、プロジェクタとスクリーン装置とをケーブルで接続する必要がなく、プロジェクタ及びスクリーン装置の配設が容易になる。
【0018】
本発明のプロジェクタは、画像信号を入力して前記画像信号に応じた光学像を投写するプロジェクタであって、入力した前記画像信号が表す画像のアスペクト比を認識可能なアスペクト比認識手段と、前記画像のアスペクト比に応じた制御信号を送信する制御信号送信部とを備えたことを特徴とする。
【0019】
このプロジェクタによれば、画像のアスペクト比に応じた制御信号を送信可能な制御信号送信部を備えているため、画像のアスペクト比に応じたユーザの操作を低減することが可能となる。
【0020】
本発明のスクリーン装置は、光学像を受光して画像を表示可能な画像表示領域を有するスクリーンと、前記画像のアスペクト比に応じた制御信号を受信可能な制御信号受信部と、前記制御信号に応じて、前記画像表示領域のアスペクト比を変更するアスペクト比変更手段とを備えたことを特徴とする。
【0021】
このスクリーン装置によれば、画像のアスペクト比に応じて、画像表示領域のアスペクト比を変更可能であるため、画像のアスペクト比に応じたユーザの操作を低減することが可能となる。さらに、画像表示領域のアスペクト比を画像のアスペクト比に一致させることにより、画像表示領域の全域に渡って画像を表示させることが可能となる。つまり、画像の外側に漏れ光等を反射又は透過する領域がなくなるため、コントラスト感の低減を抑制することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係るプロジェクタシステムについて、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態のプロジェクタシステムの概略構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態のプロジェクタシステム1は、外部の画像供給装置(図示せず)から画像信号を入力し、当該画像信号に応じた光学像を投写するプロジェクタ2と、前記プロジェクタ2から投写された光学像を受光して、画像を表示するスクリーン装置3とを備えている。
【0023】
プロジェクタ2は、プロジェクタ制御部10と、プロジェクタ記憶部11と、リモコンRCと、操作信号受信部12と、制御信号送信部13と、A/D変換部14と、画像処理部15と、フレームメモリ16と、ライトバルブ駆動部17と、液晶ライトバルブ18と、光源20と、投写レンズ21とを備えている。
【0024】
プロジェクタ制御部10は、前記各部11〜13,15に接続されており、プロジェクタ記憶部11に記憶されている制御プログラムに従って、プロジェクタ2の動作を統括制御する。プロジェクタ記憶部11は、フラッシュROM(Read Only Memory)等のメモリによって構成され、前記制御プログラムが記憶されるとともに、各種設定値等の記憶に用いられる。
【0025】
リモコンRCには、プロジェクタ2の電源のオン・オフや、画質の調整等を行うためのスイッチが備えられており、ユーザがリモコンRCを操作すると、リモコンRCは、ユーザの操作内容に応じた赤外線の操作信号を発する。操作信号受信部12は、リモコンRCからの操作信号を受信して、これをプロジェクタ制御部10に伝達する。
【0026】
外部の画像供給装置から入力したアナログの画像信号は、A/D変換部14によってデジタルの画像信号に変換された後、画像処理部15に入力する。
【0027】
画像処理部15は、入力した画像信号を1フレーム(1画面)毎にフレームメモリ16に記憶させるとともに、液晶ライトバルブ18の解像度に合わせるための解像度変換や、ガンマ補正や輪郭強調等の各種画像処理を施す。処理が済んだ画像信号は、ライトバルブ駆動部17に出力される。
【0028】
また、画像処理部15は、画像信号が表す画像のアスペクト比を認識可能であり、認識したアスペクト比をプロジェクタ制御部10に出力する。つまり、画像処理部15は、画像のアスペクト比を認識するアスペクト比認識手段として機能する。アスペクト比の認識方法としては、例えば、画像信号に多重されている識別信号(通称ID−1信号)によってアスペクト比が4:3か、16:9かを識別可能である。また、画像信号がS端子を介して供給される場合には、画像信号に含まれる識別信号により4:3か16:9かを識別することもできる。
【0029】
さらに、画像の実質的な形状がビスタサイズ(アスペクト比は、例えば1.85:1)やスコープサイズ(アスペクト比は、例えば2.35:1)の場合のように、画像信号が表す画像が、上下に帯状の黒色画像を含む場合には、当該黒色画像を構成する水平方向のライン数を計数することによって、画像の実質的なアスペクト比(以下、単に「アスペクト比」ともいう。)を認識することができる。
【0030】
ライトバルブ駆動部17は、入力した画像信号に基づいて液晶ライトバルブ18を駆動し、液晶ライトバルブ18に画像信号に応じた画像を形成する。
【0031】
ここで、液晶ライトバルブ18及びその駆動方法について、図面を参照して説明する。図2(a)〜(c)は、本実施形態のプロジェクタ2に備えられた液晶ライトバルブ18の正面図である。
【0032】
図2(a)に示すように、液晶ライトバルブ18は、一対の透明基板間に液晶が封入されており、各透明基板の内面には、液晶に対して微小領域(画素18P)毎に駆動電圧を印加可能な透明電極(画素電極)が所定の領域(画素領域18A)内にマトリクス状に形成されている。ライトバルブ駆動部17によって、液晶ライトバルブ18の各画素18Pに画像信号に応じた駆動電圧が印加されると、各画素18Pは、画像信号に応じた光透過率となり、画素領域18Aに画像が形成される。
【0033】
本実施形態では、画素領域18Aのアスペクト比(LX0:LY0)が4:3になっており、画像のアスペクト比が4:3の場合には、画素領域18Aの全体に画像を形成する。また、画像のアスペクト比が16:9の場合には、図2(b)に示すように、画素領域18A内の下側でアスペクト比(LX0:LY1)が16:9の領域(有効画素領域18B)に画像を形成するとともに、有効画素領域18B外の領域(無効画素領域18C)に含まれる各画素18Pの光透過率を最小とする。さらに、画像の実質的なアスペクト比が上記以外(例えば、2.35:1)の場合にも、図2(c)に示すように、画素領域18Aの下側の領域で、アスペクト比(LX0:LY2)が画像の実質的なアスペクト比と同一となる有効画素領域18Bに画像を形成する。
【0034】
図1に戻って、光源20は、液晶ライトバルブ18を照射可能に備えられており、光源20から射出した光は、液晶ライトバルブ18を透過する際に変調され、この変調光(光学像)が投写レンズ21によって拡大投写される。なお、投写レンズ21には、ズーム機能が備えられており、投写画像の拡大率を変更可能になっている。
【0035】
なお、図示は省略しているが、プロジェクタ2は、R(赤),G(緑),B(青)の各色光を変調するための3枚の液晶ライトバルブ18を備えており、光源20から射出した光は、図示しない色光分離光学系によって各色光に分離された後、対応する液晶ライトバルブ18によって変調され、図示しない合成光学系によって合成されて投写レンズ21に入射する。
【0036】
制御信号送信部13は、赤外線通信やブルートゥース(Bluetooth)、微弱無線通信等の無線通信を用いて信号の送信が可能になっており、プロジェクタ制御部10は、スクリーン装置3に対する各種指示を表すコマンドや、画像処理部15から取得した実質的なアスペクト比に応じた制御信号(以下、「アスペクト信号」という。)を、制御信号送信部13を介してスクリーン装置3に送信することができる。
【0037】
一方、スクリーン装置3は、スクリーンSCと、スクリーン制御部30と、スクリーン記憶部31と、制御信号受信部32と、スクリーン駆動部33とを備えており、プロジェクタ2から投写された光学像を受光してスクリーンSCに画像を表示することができる。
【0038】
スクリーン制御部30は、前記各部31〜33に接続されており、スクリーン記憶部31に記憶されている制御プログラムに従って、スクリーン装置3の動作を統括制御する。スクリーン記憶部31は、フラッシュROM(Read Only Memory)等のメモリによって構成され、前記制御プログラムが記憶されるとともに、各種設定値等の記憶に用いられる。
【0039】
制御信号受信部32は、プロジェクタ2の制御信号送信部13から無線通信によって送信されるコマンドやアスペクト信号等を受信して、受信信号をスクリーン制御部30に出力する。
【0040】
スクリーン駆動部33は、プロジェクタ2から取得したアスペクト信号に応じてスクリーンSCを駆動し、画像が表示される画像表示領域のアスペクト比を変更することができる。つまり、本実施形態では、スクリーン駆動部33がアスペクト比変更手段として機能する。
【0041】
ここで、スクリーン装置3について詳述する。図3は、スクリーン装置3を示す正面図であり、(a)は、スクリーンSCを露出して画像の表示が可能な状態を表し、(b)は、スクリーンSCが収納された状態を表す。
【0042】
図3(a)に示すように、スクリーン装置3は、シート状のスクリーンSCと、スクリーンSCを巻き取って収納可能な収納箱41と、収納箱41を床面から所定の高さで支持する脚部42と、スクリーンSCの上端縁を支持する支持部材43とを有している。
【0043】
スクリーンSCには、白色で光反射率の高く、受光した光学像を反射して画像を表示可能な矩形状の部位(高反射領域Pw)と、高反射領域Pwの外周(左右及び上側)に形成され、黒色で光反射率が低いコの字状の低反射領域Pbとが形成されている。
【0044】
スクリーンSCの下端縁は、収納箱41の内部でスクリーンSCを巻き取るための巻取軸44に固定されている。巻取軸44には、常にトルクが作用しており、スクリーンSCを巻き取ったり、スクリーンSCを引き上げた状態でスクリーンSCに適度な張力を与えたりすることが可能になっている。
【0045】
収納箱41には、制御ボックス45が固定されており、制御ボックス45には、前述したスクリーン制御部30、スクリーン記憶部31、制御信号受信部32が形成された回路基板、及びスクリーン駆動部33等が収容されている。収納箱41の背面側には、収納箱41に対して支持部材43を昇降させるための昇降機構(図示せず)が備えられており、スクリーン駆動部33は、前記昇降機構を駆動することによって、スクリーンSCの露出量を変更することができる。ここで、スクリーンSCを最も露出させた状態(図3(a)参照)では、露出する高反射領域Pwのアスペクト比(SX0:SY0)が4:3になるように設定されており、スクリーンSCの露出量を変更することにより、露出する高反射領域Pwのアスペクト比(SX0:SY0)を変更することができる。
【0046】
なお、図3(b)は、スクリーンSCを完全に巻き取った状態を示しており、この状態にすることで、スクリーン装置3の移動を容易にするとともに、未使用時にスクリーンSCを保護することが可能となる。
【0047】
また、収納箱41、支持部材43、制御ボックス45は、その表面が黒色で塗装されて光反射率が低くなっており、スクリーンSCの低反射領域Pbとともに低反射部を構成する。つまり、露出している高反射領域Pwは、その外周が常に低反射部によって囲まれていることになる。
【0048】
次に、本実施形態のプロジェクタシステム1の動作について、図面を参照して説明する。図4は、本実施形態のプロジェクタ2の動作を説明するフローチャートであり、図5は、スクリーン装置3の動作を説明するフローチャートである。なお、プロジェクタ2及びスクリーン装置3は、当該フローに基づく動作を開始する前には待機状態になっているものとする。また、プロジェクタ2とスクリーン装置3とは、スクリーンSCを最も露出させたときに、液晶ライトバルブ18の画素領域18Aを透過した光(光学像)が、露出した高反射領域Pw(以降、「画像表示領域G」という。)の全域に投写されるように互いの位置関係やズーム状態等が調整されているものとする。
【0049】
図4に示すように、ステップS100では、プロジェクタ制御部10は、操作信号受信部12からの操作信号を監視して、ユーザがリモコンRCを用いて電源ONを指示する操作を行ったか否かを判断する。プロジェクタ制御部10は、電源ONの操作が行われるまで本ステップを繰り返し、当該操作が行われるとステップS110に移行する。
【0050】
電源ONの操作が行われてステップS110に移行すると、プロジェクタ制御部10は、プロジェクタ2内の各部を待機状態から動作可能な状態とする。これにより、プロジェクタ2は、画像信号を入力して画像信号に応じた光学像を投写可能な状態となる。
【0051】
ステップS120では、プロジェクタ制御部10は、制御信号送信部13を介してスクリーン装置3にパワーオンコマンドを送信し、スクリーン装置3を待機状態から動作可能な状態にする。
【0052】
ステップS130では、プロジェクタ制御部10は、画像処理部15に画像信号が入力されたか否かを判断する。プロジェクタ制御部10は、画像信号が入力されるまで本ステップを繰り返し、画像信号が入力されるとステップS140に移行する。
【0053】
ステップS140では、画像処理部15は、入力した画像信号から画像の実質的なアスペクト比を認識し、認識したアスペクト比に応じたアスペクト信号をプロジェクタ制御部10に出力するとともに、認識したアスペクト比に応じて液晶ライトバルブ18の有効画素領域18B(図2参照)を決定する(ステップS150)。さらに、ステップS160では、プロジェクタ制御部10は、当該アスペクト信号を、制御信号送信部13を介してスクリーン装置3に送信する。
【0054】
以降、画像処理部15は、液晶ライトバルブ18の有効画素領域18Bに画像信号に応じた画像が形成されるように画像信号を処理し、処理された画像信号に基づいて、ライトバルブ駆動部17が液晶ライトバルブ18を駆動する。これにより、投写レンズ21から画像信号に応じた光学像が投写される。一方、プロジェクタ制御部10は、操作信号受信部12からの操作信号を監視しており、ユーザがリモコンRCを用いて電源OFFを指示する操作を行ったか否かを判断する(ステップS170)。電源OFFを指示する操作が行われるとステップS180に移行し、当該操作が行われなければ、ステップS130に戻って、画像信号の入力判断、アスペクト比の認識等を繰り返す。なお、ステップS160においてプロジェクタ制御部10は、画像の実質的なアスペクト比に変更があった場合にのみ、スクリーン装置3にアスペクト信号を送信するようにしている。
【0055】
ユーザにより電源OFFを指示する操作が行われ、ステップS180に移行した場合には、プロジェクタ制御部10は、制御信号送信部13を介してスクリーン装置3にパワーオフコマンドを送信し、スクリーン装置3を動作状態から待機状態にする。
【0056】
その後、ステップS190では、プロジェクタ制御部10は、プロジェクタ2内の各部を待機状態としてステップS100に戻る。
【0057】
次に、スクリーン装置3の動作について説明する。なお、スクリーン装置3は、スクリーンSCが完全に巻き取られて収納箱41に収納された状態(図3(b)参照)になっているものとする。
【0058】
図5に示すように、ステップS300では、スクリーン制御部30は、制御信号受信部32からの受信信号を監視して、プロジェクタ2からパワーオンコマンドが送信されたか否かを判断する。スクリーン制御部30は、パワーオンコマンドを受信するまで本ステップを繰り返し、前記ステップS120でプロジェクタ2が送信したパワーオンコマンドを受信すると、スクリーン装置3内の各部を動作可能な状態として、ステップS310に移行する。
【0059】
スクリーン記憶部31には、前回動作した際のアスペクト比が記憶されており、ステップS310では、スクリーン制御部30が当該アスペクト比をスクリーン記憶部31から読み出す。
【0060】
ステップS320では、スクリーン制御部30は、スクリーン駆動部33に指示をしてスクリーンSCを駆動する。具体的には、スクリーン駆動部33が昇降機構を駆動して、画像表示領域Gのアスペクト比が、読み出したアスペクト比と同一になるようにスクリーンSCを上昇させる。
【0061】
ステップS330では、スクリーン制御部30は、制御信号受信部32がアスペクト信号を受信したか否かを判断する。制御信号受信部32が、前記ステップS160でプロジェクタ2が送信したアスペクト信号を受信するとステップS340に移行し、受信しなければステップS350に移行する。
【0062】
アスペクト信号を受信してステップS340に移行した場合には、スクリーン制御部30は、受信したアスペクト信号によって画像の実質的なアスペクト比を認識してステップS320に戻り、画像表示領域Gのアスペクト比が、画像の実質的なアスペクト比と同一になるようにスクリーン駆動部33によってスクリーンSCを駆動する。
【0063】
ステップS330において、アスペクト信号を受信せずステップS350に移行した場合には、スクリーン制御部30は、制御信号受信部32がプロジェクタ2からパワーオフコマンドを受信したか否かを判断する。制御信号受信部32が、ステップS180でプロジェクタ2が送信したパワーオフコマンドを受信していればステップS360に移行し、受信していなければステップS330に戻り、新たなアスペクト信号、及びパワーオフコマンドの受信を監視する。
【0064】
ステップS360に移行した場合には、スクリーン制御部30は、最後に受信したアスペクト信号に対応するアスペクト比をスクリーン記憶部31に記憶する。その後、スクリーン駆動部33によってスクリーンSCを下降させて収納箱41に収納し(ステップS370)、スクリーン装置3内の各部を待機状態にした後、ステップS300に戻る。
【0065】
ここで、上記フローに従ってプロジェクタシステム1を動作させた場合の画像のアスペクト比と画像表示領域Gのアスペクト比との関係を、図面を参照して説明する。
図6(a)〜(c)は、画像のアスペクト比がそれぞれ4:3、16:9、2.35:1の場合のスクリーン装置3を示す正面図である。
【0066】
画像のアスペクト比が4:3の場合、つまり、液晶ライトバルブ18の画素領域18Aの全域が有効画素領域18Bである場合には、図6(a)に示すように、スクリーンSCを最も露出させて、画像表示領域Gのアスペクト比(SX0:SY0)を4:3とする。これにより、画像表示領域Gの全域に液晶ライトバルブ18の画素領域18Aを透過した光が投写される。
【0067】
また、画像のアスペクト比が4:3よりも横長の場合(例えば、16:9、2.35:1)には、図6(b)、(c)に示すように、スクリーンSCを駆動して、画像表示領域Gのアスペクト比(SX0:SY1、SX0:SY2)を画像のアスペクト比に一致させる。これにより、画像表示領域Gの全域に液晶ライトバルブ18の有効画素領域18B(図2参照)を透過した光が投写される。このとき、液晶ライトバルブ18の無効画素領域18Cから僅かな光が漏出したとしても、当該漏れ光は、スクリーンSCの低反射領域Pbに照射されることになる。
【0068】
以上説明したように、本実施形態のプロジェクタシステム1によれば、以下の効果を得ることができる。
【0069】
(1)本実施形態のプロジェクタシステム1によれば、スクリーン装置3が、プロジェクタ2から送信される制御信号(アスペクト信号)に応じて、画像表示領域Gのアスペクト比を変更可能であるため、画像表示領域Gのアスペクト比を変更する際の操作の煩雑さを抑制することが可能となる。
【0070】
(2)本実施形態のプロジェクタシステム1によれば、スクリーン装置3のスクリーン駆動部33が、画像表示領域Gのアスペクト比を、画像の実質的なアスペクト比と一致するように駆動するため、画像表示領域Gの全域に渡って画像を表示させることが可能となる。つまり、無効画素領域18Cからの漏れ光等が高反射領域Pwで反射されることがなくなるため、コントラスト感の低減を抑制することが可能となる。
【0071】
(3)本実施形態のプロジェクタシステム1によれば、画像表示領域Gの外周に、光の反射を抑制可能な低反射部(低反射領域Pb及び収納箱41)を備えているため、無効画素領域18Cからの漏れ光等の反射を抑制することが可能となり、コントラスト感の低減を一層抑制することが可能となる。
【0072】
なお、図6(c)に示すように、無効画素領域18Cから漏出する漏れ光の一部が、スクリーンSCの外側に照射される場合でも、高反射領域Pwに漏れ光等が反射する場合と比較すれば、コントラスト感の低減は抑制される。
【0073】
(4)本実施形態のプロジェクタシステム1によれば、プロジェクタ2からスクリーン装置3に、無線通信によって制御信号が送信されるため、プロジェクタ2とスクリーン装置3とをケーブルで接続する必要がなく、プロジェクタ2及びスクリーン装置3の配設が容易になる。
【0074】
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態に係るプロジェクタシステムについて、図面を参照して説明する。図7(a)〜(c)は、本実施形態のプロジェクタ2に備えられた液晶ライトバルブ18の正面図である。
【0075】
図7(b)に示すように、本実施形態の液晶ライトバルブ18では、画素領域18Aのアスペクト比(LX0:LY0)が16:9になっている。このため、この液晶ライトバルブ18を駆動する際、画像のアスペクト比が16:9の場合には、画素領域18Aの全体に画像を形成する。また、画像のアスペクト比が16:9よりも横長の場合(例えば、アスペクト比が2.35:1)には、図7(c)に示すように、画素領域18Aの下側の領域で、アスペクト比(LX0:LY1)が画像のアスペクト比と同一となる有効画素領域18Bに画像を形成するとともに、有効画素領域18B外の領域(無効画素領域18C)に含まれる各画素18Pの光透過率を最小とする。
【0076】
一方、画像の実質的なアスペクト比が16:9よりも縦長の4:3の場合には、図7(a)に示すように、画素領域18A内の左右両側を無効画素領域18Cとし、無効画素領域18Cに挟まれた有効画素領域18Bのアスペクト比(LX1:LY0)を4:3とする。
【0077】
次に、本実施形態のプロジェクタ2で形成された画像をスクリーン装置3に投写する際の画像のアスペクト比と画像表示領域Gのアスペクト比との関係を、図面を参照して説明する。図8(a)〜(c)は、画像のアスペクト比がそれぞれ4:3、16:9、2.35:1の場合のスクリーン装置3を示す正面図である。
【0078】
画像のアスペクト比が16:9の場合、つまり、液晶ライトバルブ18の画素領域18Aの全域が有効画素領域18Bである場合には、図8(b)に示すように、スクリーンSCを駆動して、画像表示領域Gのアスペクト比(SX0:SY1)を16:9とする。これにより、画像表示領域Gの全域に液晶ライトバルブ18の画素領域18Aを透過した光が投写される。
【0079】
また、画像のアスペクト比が16:9よりも横長の場合(例えば、2.35:1)には、図8(c)に示すように、スクリーンSCを駆動して、画像表示領域Gのアスペクト比(SX0:SY2)を画像のアスペクト比に一致させる。これにより、画像表示領域Gの全域に液晶ライトバルブ18の有効画素領域18B(図7(c)参照)を透過した光が投写される。このとき、液晶ライトバルブ18の無効画素領域18Cから僅かな光が漏出したとしても、当該漏れ光は、スクリーンSCの低反射領域Pbに照射されることになる。
【0080】
一方、画像のアスペクト比が16:9よりも縦長の4:3の場合には、図8(a)に示すように、スクリーンSCを最も露出した状態として、画像表示領域Gのアスペクト比(SX0:SY0)を4:3とする。さらに、画像表示領域Gの全域に液晶ライトバルブ18の有効画素領域18B(図7(a)参照)を透過した光が投写されるように、投写レンズ21のズーム機能により投写画像を拡大する。なお、本実施形態のプロジェクタ2は、投写光を上方に向けて投写するあおり投写を行うようになっており、投写画像は、ズーム動作によってその下端縁を基準に拡縮するようになっている。この場合も、液晶ライトバルブ18の無効画素領域18Cから漏出する漏れ光は、スクリーンSCの低反射領域Pbに照射されることになる。
【0081】
図9は、本実施形態のプロジェクタ2の動作を示すフローチャートである。図9に示すように、前記第1実施形態のプロジェクタの動作フローと異なり、スクリーン装置3にアスペクト信号を送信(ステップS160)した後に、画像のアスペクト比が4:3である場合に前記ズーム動作を行うようになっている(ステップS165)。
【0082】
以上説明したように、本実施形態のプロジェクタシステム1によれば、前記第1実施形態の効果と同様の効果を得ることができる。
【0083】
(第3実施形態)
以下、本発明の第3実施形態に係るプロジェクタシステムについて、図面を参照して説明する。図10(a)、(b)は、本実施形態のスクリーン装置を示す正面図である。本実施形態のスクリーン装置3は、天井又は壁面からスクリーンを垂下させるものである。
【0084】
図10(a)に示すように、スクリーン装置3は、シート状のスクリーンSCと、天井又は壁面に固定されるとともに、スクリーンSCを巻き取って収納可能な収納箱41と、スクリーンSCの下端縁に備えられ、スクリーンSCに張力を与えるための荷重部材46とを有している。スクリーンSCの上端縁は、収納箱41の内部でスクリーンSCを巻き取るための巻取軸44に固定されている。
【0085】
スクリーンSCには、白色で光反射率の高く、受光した光学像を反射して画像を表示可能な高反射領域Pwと、高反射領域Pwの外周(左右及び下側)に形成され、黒色で光反射率が低いコの字状の低反射領域Pbとが形成されている。
【0086】
さらに、図10(b)に示すように、スクリーン装置3にはマスクシート47が備えられている。マスクシート47は、黒色で光反射率が低く、スクリーンSCの前面に垂下してスクリーンSCの一部を遮蔽可能になっている。マスクシート47の上端縁は、マスクシート巻取軸48に固定されているとともに、マスクシート巻取軸48に巻き取られて収納箱41の内部に収納可能になっている。
【0087】
図11は、本実施形態のスクリーン装置3の概略構成を示すブロック図である。
図11に示すように、スクリーン装置3には、スクリーン制御部30に接続されてマスクシート47を駆動可能なマスクシート駆動部34が備えられており、スクリーンSCとは独立してマスクシート47の昇降を制御可能になっている。
【0088】
図10に戻って、収納箱41には、制御ボックス45が固定されており、制御ボックス45には、スクリーン制御部30、スクリーン記憶部31、制御信号受信部32が形成された回路基板、及びスクリーン駆動部33、マスクシート駆動部34等が収容されている。スクリーン駆動部33は、巻取軸44を回転させることによりスクリーンSCを昇降させることが可能であり、マスクシート駆動部34は、マスクシート巻取軸48を回転させることによりマスクシート47を昇降させることが可能になっている。ここで、スクリーン装置3は、スクリーンSCを最も露出させた状態で、かつマスクシート47で遮蔽されていない状態では、露出する高反射領域Pw(画像表示領域G)のアスペクト比(SX0:SY0)が4:3になるように設定されている。
【0089】
なお、収納箱41及び制御ボックス45は、その表面が黒色で塗装されて光反射率が低くなっており、低反射領域Pb及びマスクシート47とともに低反射部を構成する。つまり、前記第1実施形態と同様、露出している高反射領域Pwは、その外周が常に低反射部によって囲まれていることになる。
【0090】
図12は、本実施形態のスクリーン装置3の動作を説明するフローチャートである。なお、本実施形態のプロジェクタ2は、アスペクト比が4:3の画素領域18Aを備えた液晶ライトバルブ18(図2参照)を有するものとする。また、プロジェクタ2とスクリーン装置3とは、スクリーンSCを最も露出させた状態で、かつマスクシート47で遮蔽されていない状態で、液晶ライトバルブ18の画素領域18Aを透過した光(光学像)が画像表示領域Gの全域に投写されるように互いの位置関係やズーム状態等が調整されているものとする。
【0091】
図12に示すように、ステップS300において、プロジェクタ2からパワーオンコマンドを受信すると、スクリーン制御部30は、スクリーン駆動部33によってスクリーンSCを垂下させ、スクリーンSCが最も露出した状態とする(ステップS305)。
【0092】
ステップS310でスクリーン記憶部31から読み出した前回のアスペクト比、或いは、ステップS330で制御信号受信部32が受信したアスペクト信号に対応するアスペクト比が、4:3よりも横長(例えば、16:9)の場合には、スクリーン制御部30は、マスクシート駆動部34によってマスクシート47を垂下させ、画像表示領域Gのアスペクト比(SX0:SY1)が画像のアスペクト比(16:9)と一致するように、マスクシート47によってスクリーンSCの上部を遮蔽する。これにより、画像表示領域Gの全域に液晶ライトバルブ18の有効画素領域18B(図2参照)を透過した光が投写される。このとき、液晶ライトバルブ18の無効画素領域18Cから漏出する当該漏れ光は、マスクシート47に照射されることになる。つまり、本実施形態では、マスクシート47及びマスクシート駆動部34が、アスペクト比変更手段として機能することになる。
【0093】
なお、図2(b)、(c)において、有効画素領域18Bを画素領域18A内の上側に形成し、無効画素領域18Cが有効画素領域18Bの下側に位置するようにすれば、図13(a)、(b)に示すように、スクリーン駆動部33によってスクリーンSCの垂下量を調整することで画像表示領域Gのアスペクト比を変更することが可能となり、マスクシート47を備える必要はない。
【0094】
また、本実施形態のスクリーン装置3は、液晶ライトバルブ18の画素領域18Aのアスペクト比(LX0:LY0)が16:9の場合にも適用可能であり、この場合で画像のアスペクト比が4:3の場合には、無効画素領域18C(図7(a)参照)から漏出する当該漏れ光は、低反射領域Pb(画像表示領域Gの左右外側)に照射される。さらに、この場合において、プロジェクタ2がレンズシフト機能を備え、投写画像の上端縁を基準にしたズーム動作(拡大率の変更)が可能であれば、図13に示すように、スクリーンSCの垂下量を調整することで画像表示領域Gのアスペクト比を変更することが可能となる。
【0095】
さらに、図10に示したスクリーン装置3において、スクリーンSCの垂下量とマスクシート47の垂下量との両方で画像表示装置Gのアスペクト比を変更するようにすれば、ズーム動作によって投写画像の上下両端が動く場合にも適用することが可能となる。
【0096】
以上説明したように、本実施形態のプロジェクタシステム1によれば、前記第1実施形態の効果と同様の効果を得ることができる。
【0097】
(変形例)
なお、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・前記第1〜第3実施形態では、画像表示領域Gの全外周に低反射部が備えられているが、必ずしも全外周を低反射部で囲う必要はない。低反射部で囲われていない部位があっても、高反射領域Pwに漏れ光等が反射する場合と比較すれば、コントラスト感の低減は抑制される。
【0098】
・前記第1〜第3実施形態では、プロジェクタ2から投写される光学像をスクリーン装置3に反射させて画像を表示するフロントプロジェクション方式について述べているが、スクリーン装置3が受光した光学像を透過させて受光面の反対面側に画像を表示可能なリアプロジェクション方式にも適用可能である。この場合には、高反射領域Pwの代わりに光透過率の高い部材を用いて画像表示領域Gを構成し、低反射部(低反射領域Pb等)の代わりに光透過率の低い(遮光性が高い)部材からなる低透過部を用いることで、前記第1〜第3実施形態と同様の効果を有することが可能となる。
【0099】
・前記第1〜第3実施形態において、実質的な画像の外側(帯状の黒色画像上)に字幕等の情報を表示する場合には、前記黒色画像を含む画像のアスペクト比に応じて、画像表示領域Gのアスペクト比を変更するようにしてもよい。
或いは、図14(a)、(b)に示すように、画像表示領域Gのアスペクト比(SX0:SY1)を実質的な画像のアスペクト比に一致するように変更し、字幕を含む黒色画像(以下、「字幕領域Bs」と呼ぶ。)を低反射部(低反射領域Pbや収納箱41等)上に投写するようにしてもよい。これによれば、字幕領域Bs(字幕の背景となる黒色画像部分)からの漏れ光等によってコントラスト感が低減するのを抑制可能となるうえ、前記漏れ光等に起因して字幕領域Bsが明るくなることによる目の疲労を低減することが可能となる。なお、字幕領域Bsを表す画像信号は、実質的な画像部分と比較して黒色を表す画像信号を多く含むことから、字幕領域Bsと実質的な画像とを画像信号によって識別することが可能である。これにより、前記第1〜第3実施形態と同様、ステップS140(図4、図9参照)において実施的な画像のアスペクト比を導出することができる。
ここで、字幕領域Bsを画像表示領域Gと低反射部のいずれに投写するかを、リモコンRC等を用いてユーザが選択できるようにしてもよい。
【0100】
・前記第1〜第3実施形態において、プロジェクタ2とスクリーン装置3との通信は、無線通信に限られず、有線での通信であってもよい。
【0101】
・前記第1〜第3実施形態では、光変調装置として、透過型の液晶ライトバルブ18を用いているが、反射型のLCOS(Liquid Crystal On Silicon)等を用いることも可能である。また、入射した光の射出方向を、画素としてのマイクロミラー毎に制御することにより、光源から射出した光を変調するDMD(テキサスインスツルメンツ社の登録商標)(デジタル・マイクロミラー・デバイス)等を用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】第1実施形態のプロジェクタシステムの概略構成を示すブロック図。
【図2】(a)〜(c)は、第1実施形態のプロジェクタ2に備えられた液晶ライトバルブの正面図。
【図3】スクリーン装置を示す正面図であり、(a)は、スクリーンを露出して画像の表示が可能な状態を表し、(b)は、スクリーンが収納された状態を表す図である。
【図4】第1実施形態のプロジェクタの動作を説明するフローチャート。
【図5】第1実施形態のスクリーン装置の動作を説明するフローチャート。
【図6】第1実施形態のスクリーン装置を示す正面図であり、(a)は、画像の実質的なアスペクト比が4:3の場合を表し、(b)は、画像の実質的なアスペクト比が16:9の場合を表し、(c)は、画像の実質的なアスペクト比が2.35:1の場合を表す図である。
【図7】(a)〜(c)は、第2実施形態のプロジェクタに備えられた液晶ライトバルブの正面図。
【図8】第2実施形態のスクリーン装置を示す正面図であり、(a)は、画像の実質的なアスペクト比が4:3の場合を表し、(b)は、画像の実質的なアスペクト比が16:9の場合を表し、(c)は、画像の実質的なアスペクト比が2.35:1の場合を表す図である。
【図9】第2実施形態のプロジェクタの動作を示すフローチャート。
【図10】(a)、(b)は、第3実施形態のスクリーン装置を示す正面図。
【図11】第3実施形態のスクリーン装置の概略構成を示すブロック図。
【図12】第3実施形態のスクリーン装置の動作を説明するフローチャート。
【図13】(a)、(b)は、第3実施形態のスクリーン装置の変形例を示す正面図。
【図14】(a)、(b)は、変形例に係るスクリーン装置を示す正面図。
【符号の説明】
【0103】
1…プロジェクタシステム、2…プロジェクタ、3…スクリーン装置、10…プロジェクタ制御部、11…プロジェクタ記憶部、12…操作信号受信部、13…制御信号送信部、14…A/D変換部、15…画像処理部、16…フレームメモリ、17…ライトバルブ駆動部、18…液晶ライトバルブ、18A…画素領域、18B…有効画素領域、18C…無効画素領域、18P…画素、20…光源、21…投写レンズ、30…スクリーン制御部、31…スクリーン記憶部、32…制御信号受信部、33…スクリーン駆動部、34…マスクシート駆動部、41…収納箱、42…脚部、43…支持部材、44…巻取軸、45…制御ボックス、46…荷重部材、47…マスクシート、48…マスクシート巻取軸、G…画像表示領域、Pw…高反射領域、Pb…低反射領域、SC…スクリーン、RC…リモコン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像信号を入力して前記画像信号に応じた光学像を投写するプロジェクタと、前記光学像を受光するスクリーン装置とを備えたプロジェクタシステムであって、
前記プロジェクタは、前記スクリーン装置に対して制御信号を送信する制御信号送信部を備え、
前記スクリーン装置は、
前記光学像を受光して前記画像信号に応じた画像を表示可能な画像表示領域を有するスクリーンと、
前記制御信号を受信する制御信号受信部と、
前記制御信号に応じて、前記画像表示領域のアスペクト比を変更するアスペクト比変更手段と、
を備えたことを特徴とするプロジェクタシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクタシステムであって、前記プロジェクタは、入力した前記画像信号に基づいて、画像のアスペクト比を認識可能なアスペクト比認識手段を有し、前記制御信号は、前記アスペクト比認識手段によって認識された前記画像のアスペクト比に応じた信号であり、前記アスペクト比変更手段は、前記画像表示領域のアスペクト比を、前記画像のアスペクト比と略同一になるよう変更することを特徴とするプロジェクタシステム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のプロジェクタシステムであって、前記スクリーン装置は、受光した光学像を反射して、受光面側に画像を表示するとともに、前記画像表示領域の外周に、光の反射を抑制可能な低反射部を備えていることを特徴とするプロジェクタシステム。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のプロジェクタシステムであって、前記スクリーン装置は、受光した光学像を透過して、受光面の反対面側に画像を表示するとともに、前記画像表示領域の外周に、光の透過を抑制可能な低透過部を備えていることを特徴とするプロジェクタシステム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のプロジェクタシステムであって、前記制御信号送信部と前記制御信号受信部との通信は、無線通信であることを特徴とするプロジェクタシステム。
【請求項6】
画像信号を入力して前記画像信号に応じた光学像を投写するプロジェクタであって、
入力した前記画像信号が表す画像のアスペクト比を認識可能なアスペクト比認識手段と、
前記画像のアスペクト比に応じた制御信号を送信する制御信号送信部と、
を備えたことを特徴とするプロジェクタ。
【請求項7】
光学像を受光して画像を表示可能な画像表示領域を有するスクリーンと、
前記画像のアスペクト比に応じた制御信号を受信可能な制御信号受信部と、
前記制御信号に応じて、前記画像表示領域のアスペクト比を変更するアスペクト比変更手段と、
を備えたことを特徴とするスクリーン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−201222(P2006−201222A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−9970(P2005−9970)
【出願日】平成17年1月18日(2005.1.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】