説明

ベニヤ単板の乾燥方法及びベニヤ単板の乾燥装置

【課題】熱盤の加熱面に付着する異物を適確に除去して、常に良好な乾燥処理を行う。
【解決手段】少なくとも一対の対向する離隔状態の熱盤34Bの間に単板aを搬入すると共に、対向する熱盤同士を閉塞して単板aを所望時間だけ熱圧し、該単板aを乾燥する乾燥方法であって、乾燥済の単板aの搬出動作に使用すべく、対向する熱盤34Bの間へ昇降可能に介入させる搬出用把持部材45e・45hの下端部に、各々が、各熱盤34Bの加熱面の全幅と同等の幅を有し、且つ、各々の先端部が、対向する熱盤34Bの夫々の加熱面へ弾性変位可能に当接する薄板状の摺接部材兼用のガイド板を具備し、単板aの搬出動作に関連させて、搬出用把持部材45e・45hを下降させる際に、前記摺接部材兼用のガイド板の先端部によって、対向する熱盤34Bの加熱面を掻き取り清掃してから、図示しない搬入用把持部材を介して、次に乾燥すべき単板を搬入し、熱圧する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベニヤ単板の乾燥方法及びベニヤ単板の乾燥装置に関するものであり、詳細には、熱盤式の乾燥装置を用いてベニヤ単板を乾燥する乾燥方法と、該乾燥方法の実施に用い得る熱盤式のベニヤ単板の乾燥装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば「熱板乾燥機における単板の処理方法」(特公平2−32961号公報)・「横型多段プレスの処理済板体取出し方法およびその装置」(特公平3−39443号公報)等に開示される如く、ベニヤ単板(以下、単に単板と称す)の乾燥に用いる乾燥装置として、加熱蒸気・加熱油・電熱器等の適宜の熱源によって適温に加熱した熱盤の間に、単板を挟んで熱圧する、所謂、熱盤式の乾燥装置が公知であり、該熱盤式の乾燥装置を用いる乾燥方法は、単板に熱風を吹き付けて乾燥する、所謂、熱風循環式の乾燥装置を用いる乾燥方法に比べて、理論的には熱効率が良いとされているものの、既知の乾燥処理態様には、後述する問題点を含めた、種々の弱点・難点があることから、現実として、広く汎用化されるには至っていない。
【0003】
即ち、既知のこの種の乾燥処理態様に於ける問題点の内の一つは、前記熱盤を用いて、単板を熱圧処理すると、既に単板の外面に存在する樹脂や、熱圧に伴って単板の内部からから滲出する樹脂が、熱盤の加熱面に付着して硬化し、熱盤の加熱面の平滑性や伝熱性を劣化させることであり、樹脂の付着をそのまま放置すると、付着の広さ及び高さが雪ダルマ的に増大する傾向があるので、比較的短期間の間に、所望する良好な熱圧処理が不能化することとなる。また、熱盤の加熱面に付着した樹脂に、加算的に木片が付着することもあり、そのままで次に乾燥すべき単板を熱圧すると、熱盤の加熱面が全面に亘って単板に当接せず、乾燥が極端に不均一化する虞も生じる。
【0004】
而して、述上の如く熱盤に付着する異物の除去を図る技術としては、特許文献1に開示される如く、ガラス繊維と四弗化エチレン、或は六弗化プロピレンと四弗化エチレン等から成る剥離性に富む耐熱性シートを、合板を熱圧接着する熱盤の加熱面に被覆することによって、熱盤の加熱面に付着する合板用接着剤等の異物の剥離を容易化すると共に、熱盤の幅と同等の幅を有する上下一対のブラシを付設したブラケットを、熱盤の両側部に張架した左右一対の無端状チェーンに掛け渡すように具備し、該無端状チェーン及びブラケットを介して、前記上下一対のブラシを、対向する熱盤の加熱面に対して摺動させることにより、熱盤の加熱面を清掃する技術が公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公昭45−37351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、前記四弗化エチレン等から成る耐熱性シートの剥離性は、単板に含有される樹脂の強大な付着力を無効化するには甚だ不十分であって、ブラシの摺動による軽微な清掃力を以って、熱盤の加熱面に付着した樹脂を除去することは極めて困難であるのみならず、前記剥離性に富む耐熱性シートは、耐久性(特に耐摩耗性)に欠けるので、対向する熱盤の間に単板を出し入れする際の、単板との摺接に伴って、比較的早期に摩滅する弱点もあり、当初の剥離性を維持する為には、多額の更新費用を必要とすることから、少なくとも単板の熱圧乾燥処理については、実用化に至った例を見ない。また、前記特許文献1の従来技術は、ブラシの摺動時期について特に言及されていないが、不適切な時期にブラシを摺動させると、熱盤による熱圧処理の能率性を損なう虞も生じる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、熱盤式の乾燥装置を用いて単板を乾燥する際に、熱盤の加熱面に付着する異物の除去を図って、常に良好な熱圧処理を行うことが可能な単板の乾燥方法と、該乾燥法方法の実施に用いることが可能であって、而も、能率的・安定的に単板を乾燥することが可能な乾燥装置とを提供することを、主たる目的として開発したものであって、具体的には、少なくとも一対の対向する離隔状態の熱盤の間に単板を搬入すると共に、対向する熱盤同士を閉塞して単板を所望時間だけ熱圧し、次いで、対向する熱盤同士を離隔して、対向する熱盤の間から単板を搬出する乾燥方法であって、単板の搬入動作又は搬出動作の少なくともいずれか片方の動作に使用すべく、対向する熱盤の間へ変位可能(移動可能)に介入させる適数個の搬送用部材の適宜位置に、各々が、各熱盤の加熱面の全幅と同等の幅を有し、且つ、各々の先端部が、対向する熱盤の夫々の加熱面へ弾性変位可能に当接する適数個の薄板状の摺接部材を具備し、単板の搬入動作又は搬出動作のいずれかの動作に関連させて、搬送用部材を変位(移動)させる際に、該搬送用部材に付設した摺接部材の先端部によって、対向する熱盤の加熱面を掻き取り清掃してから、乾燥すべき単板を熱圧することを特徴とする単板の乾燥方法(請求項1)を基礎的な発明として提案する。
【0008】
また、前記単板の乾燥方法に用いる乾燥装置として、上下方向に並設された多数枚の熱盤が、最上位又は最下位の熱盤に係合する昇降作動部材の作動と、各熱盤に係合する連結機構の規制とを得て、相互に接近及び平均的に離隔すべく、適宜の昇降作動部材と適宜の連結機構とを、前記所要の各熱盤に係合させると共に、上側に加熱面を有する熱盤の上面の左右方向に延在し、且つ、前後方向に適宜の間隔を隔てて平行状に穿設された、適宜深さを有する複数条の収容溝に、該収容溝の長さの2倍よりも適宜寸法だけ長い長さと、収容溝の深さ未満の高さとを有し、且つ、上側の適宜部位に、前記収容溝から突出する高さを有する多数の突刺体を並立的に凸設した略長鋸状の単板移送部材の複数本を並列的に収容し、而も、各段の単板移送部材を一斉に左右方向に往復移動させるべく、適宜の往復移動機構を各段の単板移送部材に係合させ、更に、左右方向への移動に伴って各収容溝から熱盤の左右両側にはみ出す単板移送部材の近傍に、単板を単板移送部材の移動方向と直交方向へ搬送する単板搬送部材を、熱盤の昇降に伴って追従的に昇降する単板移送部材に対して上下方向へ入れ替り可能に配設して成る多段熱盤式の乾燥装置であって、各熱盤の加熱面の全幅と同等の幅を有する台座を、前記単板移送部材の長さ方向の中央部へ直交状に係止すると共に、該台座の進行方向側の上隅及び下隅の少なくともいずれか2箇所に、各々が、各熱盤の加熱面の全幅と同等の幅を有し、且つ、各々の先端部が、対向する熱盤の夫々の加熱面へ弾性変位可能に当接する薄板状の摺接部材の少なくとも2個を、夫々が対向する熱盤の加熱面と斜交状を成すように、締付け具を介して対称的に付設し、前記単板移送部材の長さ方向への移動に伴って、進行方向の前側に位置する摺接部材の先端部が、対向する熱盤の加熱面を掻き取り清掃するよう構成したことを特徴とする単板の乾燥装置(請求項2)と、複数本の単板移送部材の間隔内に平行状に配設した、適数本のロール状の単板搬送部材を用いて成る請求項2記載の単板の乾燥装置(請求項3)と、前記各熱盤が相互に接近する際の最少間隔が、前記収容溝から突出する部分の突刺体の高さよりも、適宜寸法だけ広くなるように規制する規制部材を備えて成る請求項2又は請求項3記載の単板の乾燥装置(請求項4)と、少なくとも下側に加熱面を有する熱盤の下面に、下方に位置する熱盤の各収容溝に収容された単板移送部材の突刺体の突出部分のみの介入を許容する逃げ溝を、前記各収容溝と対称的に穿設して成る請求項2又は請求項3記載の単板の乾燥装置(請求項5)と、左右に対設されたフレーム間に、等間隔をおいて開閉自在となる複数段の熱盤を、並立的に立設して成る横型多段プレスに於て、前記左右のフレームを連結するベッド・横梁・連結腕等の連結部材、各熱盤の左右方向への移動を案内する案内軌道・案内輪等の案内部材、各熱盤毎の離隔間隔を等間隔に規制する間隔規制部材、各単板の下端位置を規制する規制部材等の付属部材類を、熱盤群の前方、後方、及び下方に限定して備えることにより、熱盤群の上方を開放状と成すと共に、熱盤群の前位に於て、繊維方向を垂直方向に揃えて並立的に待機させた複数枚の単板を各別に把持することが可能な、適宜形状の複数対の搬入用把持部材を、熱盤群の前位から熱盤群の上方まで、前後方向へ移動可能に、且つ、熱盤群の上方から、把持した各単板の少なくとも大部分を、各熱盤の間隔内に下降させ得る高さまで、垂直方向へ昇降可能に備え、更に、所定の間隔を隔てて対向する各熱盤の加熱面に於ける少なくとも単板の供給領域の全長に亘って、先端部が弾性的に当接する摺接部材兼用の薄板状のガイド板を、下端部に具備し、離隔状態にある各熱盤の間隔内に介入して、処理済みの各単板を各別に把持することが可能な、適宜形状の適数対の搬出用把持部材を、熱盤群の上方から、下端部に具備したガイド板の先端が、熱盤の下端に至る高さまで、垂直方向へ昇降可能に、且つ、熱盤群の上方から熱盤群の後位まで、前後方向へ移動可能に備え、前記搬出用把持部材を、離隔状態にある熱盤の間隔内に介入させて、処理済みの各単板を各別に把持するのに先立って、ガイド板の先端により、対向する熱盤の加熱面を掻き取り清掃するようにしたことを特徴とする単板の乾燥装置(請求項6)と、各ガイド板の先端を、尖鋭状に形成して成る請求項6記載の単板の乾燥装置(請求項7)とを提案する。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る単板の乾燥方法によれば、熱盤式の乾燥装置に於ける単板の搬入動作又は搬出動作のいずれかの動作に関連させて、単板の搬送に用いる搬送用部材を変位させる際に、該搬送用部材に付設した摺接部材の先端部によって、対向する熱盤の加熱面を掻き取り清掃してから、乾燥すべき単板を熱圧するものであるから、熱盤の加熱面に付着する異物を適確に除去して、所望する良好な熱圧処理を長期に亘って安定的に施し得るのは勿論のこと、熱盤の加熱面へ弾性変位可能に当接する薄板状の摺接部材は、格別特殊な材質とする必要はなく、例えば普通鋼・軟鋼・ステンレス鋼・バネ鋼等を用いて、比較的安価に作製・交換できるので、保守管理費も低額で済み、而も、単板の搬入動作又は搬出動作のいずれかの動作に関連させて、掻き取り清掃するものであるから、熱圧処理の能率性に悪影響を及ぼす虞もない。
【0010】
而して、本発明に係る単板の乾燥方法の実施には、請求項2〜請求項7に開示する構成で成る単板の乾燥装置が用い得るが、各構成の特性と、夫々の作用・効果については、後述する実施例の説明に併せて詳述する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の請求項2に係る乾燥装置の実施例の正面説明図である。
【図2】図1に例示した乾燥装置の側面説明図である。
【図3】図1に例示した乾燥装置の一部破断平面説明図である。
【図4】単板移送部材の正面説明図である。
【図5】連結部材の斜視説明図である。
【図6】熱盤の部分斜視説明図である。
【図7】掻き取り機構の斜視説明図である。
【図8】図1〜図3に例示した乾燥装置の正面作動説明図である。
【図9】図1〜図3に例示した乾燥装置の側面作動説明図である。
【図10】図1〜図3に例示した乾燥装置の平面作動説明図である。
【図11】図1〜図3に例示した乾燥装置の平面作動説明図である。
【図12】図1〜図3に例示した乾燥装置の平面作動説明図である。
【図13】図1〜図3に例示した乾燥装置の平面作動説明図である。
【図14】図1〜図3に例示した乾燥装置の平面作動説明図である。
【図15】図1〜図3に例示した乾燥装置の平面作動説明図である。
【図16】図1〜図3に例示した乾燥装置の平面作動説明図である。
【図17】図1〜図3に例示した乾燥装置の平面作動説明図である。
【図18】図1〜図3に例示した乾燥装置の平面作動説明図である。
【図19】熱盤の異なる実例の一部破断側面説明図である。
【図20】請求項2に係る乾燥装置の異なる実施例の正面説明図である。
【図21】図20に例示した乾燥装置の側面説明図である。
【図22】図20に例示した乾燥装置の平面説明図である。
【図23】図20〜図22に例示した乾燥装置の正面作動説明図である。
【図24】図20〜図22に例示した乾燥装置の側面作動説明図である。
【図25】請求項6に係る乾燥装置の本体部分の実施例の正面説明図である。
【図26】図25に例示した乾燥装置の本体部分の一部破断平面説明図である。
【図27】図25に例示した乾燥装置の本体部分の側面説明図である。
【図28】各熱盤の離隔時に於ける間隔規制部材の拡大斜視説明図である。
【図29】請求項6に係る乾燥装置の単板搬入機構の実施例の正面説明図である。
【図30】図29に例示した単板搬入機構の側面説明図である。
【図31】請求項6に係る乾燥装置の単板搬出機構の実施例の背面説明図である。
【図32】図31に例示した単板搬出機構の側面説明図である。
【図33】図29に例示した単板搬入機構の作動説明図である。
【図34】図25〜図27に例示した乾燥装置の本体部分の作動説明図である。
【図35】各熱盤の接近時に於ける間隔規制部材の拡大斜視説明図である。
【図36】図31に例示した単板搬出機構の作動説明図である。
【図37】図31に例示した単板搬出機構の部分拡大作動工程説明図である。
【図38】図31に例示した単板搬出機構の作動説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を図面に例示した実施の一例と共に更に詳述するが、本発明に係る乾燥装置を構成する機器類の内で、熱盤群への単板の搬出入処理に関連する機器類以外の機器類に関しては、特に制約なく、従来公知の機器類を用いて差支えないので、該機器類については、詳細な図示及び説明を省略若しくは簡略化した。また、本発明に係る乾燥装置を構成する機器類の作動を制御する制御機構についても、格別な制約はなく、各機器類が所望通り作動するよう制御できれば、従来公知の制御手段・制御態様で差支えないので、制御回路(制御系統)を含めて、詳細な図示及び説明を省略した。更に、各実施例に共通する部材については、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。また、本発明の請求項6に係る乾燥装置の全体を一つの図に収めるように図示すると、比較的小型の機器類の表示が過小となって、細部の構成の認識が不便となることから、便宜上、全体を三つの主な構成部分に分けて図示すると共に、関連する他図の機器類の一部を、各図毎に表示することによって、各図相互の位置関係が認識できるよう計らった。而して、実施例の説明は、分けて図示した三つの主な構成部分毎に区切って順に詳述する。
【実施例】
【0013】
図1は、本発明の請求項2に係る乾燥装置の実施例の正面説明図であり、図2は、図1に例示した乾燥装置の側面説明図であり、図3は、図1に例示した乾燥装置の一部破断平面説明図であり、図4は、単板移送部材の正面説明図であり、図5は、連結部材の斜視説明図であり、図6は、熱盤の部分斜視説明図であり、図7は、掻き取り機構の斜視説明図であり、図8は、図1〜図3に例示した乾燥装置の正面作動説明図であり、図9は、図1〜図3に例示した乾燥装置の側面作動説明図である。図中、1は、後述する熱盤3の収容溝3aの夫々に収容された、略長鋸状の単板移送部材であって、各々が前記収容溝3aの長さの2倍よりも適宜寸法だけ長い長さと、収容溝3aの深さ未満の高さ(後記鍔状部1a・係止突起体1b・突刺体1cを除いた高さ)とを有し、而も、両端部には、連結用の鍔状部1aを、また、中央部には、後述する掻き取り機構8の台座8a等と係合する係止突起体1bを、更に、両端部の鍔状部付近と中央部近辺のゆとり部分以外の部分には、前記収容溝3aから突出する高さを有する多数の突刺体1cを夫々備えており、図示しない制御機構の制御に基づき、後述する往復移動機構7の作動を得て、適時、左右方向へ一斉に移動せしめられ、各熱盤3の間隔内と間隔外へ交互に単板aを移送する。
【0014】
2は、各段の熱盤3の収容溝3aに収容された複数本(図示例は、3本)の単板移送部材1を、両端部に於て連結する連結部材の具体例である連結軸であって、該単板移送部材1、及び転動用の軸受2bの取付け位置を規制する複数個の環状の鍔2aと、後述する往復移動機構7の可動部材7bと係合する2個の糸巻状の係合部材2bとを備えており、前記可動部材7bの作動を、各単板移送部材1に伝達する。
【0015】
3は、加熱蒸気・加熱油・電熱器等の適宜の熱源によって適温に加熱される熱盤であって、断熱材付の座金4を介して後述する昇降作動部材10に固着された、最上位の熱盤3を除く、上側に加熱面を有する下位の熱盤3の上面には、前記単板移送部材1を収容すべく、適宜深さを有して左右方向に延在する複数条(図示例は、3条)の収容溝3aが、前後方向に適宜の間隔を隔てて平行状に穿設されている。また、各熱盤3は、最上位の熱盤3に固着された前後一対の支持杆5、最上位の熱盤3を除く下位の各熱盤3に固着された前後一対の連結杆6、前記各支持杆5及び各連結杆6に付設された連結螺子6a等を介して、相互に均等的に接近及び離隔自在に連結されており、前記単板移送部材1を介して、間隔内に単板aが移送される都度、図示しない制御機構の制御に基づき、後述する昇降作動部材10の作動を得て、相互に接近せしめられる際に、単板aを熱圧して乾燥させる。また更に、各連結杆6に付設された規制螺子6bの規制作用を得た際には、相互に接近する際の最少間隔が、前記収容溝3aから突出する部分の突刺体1aの高さよりも、適宜寸法だけ広くなるように規制され、仮に、誤っていずれかの段への単板aの搬入が欠如した場合でも、突刺体1aの先端が上位の熱盤3に当接しないように予防されている。
【0016】
7は、基台11に固着された前後左右複数対のガイドレール7a、該ガイドレール7aの夫々へ左右方向に移動自在に嵌装された長丸窓付柱状の可動部材7b、螺子・チェーン等から成る移動用部材、及び減速機付電動機等から成る駆動源等を備えた移動機構(図示省略)等を有する往復移動機構であって、図示しない制御機構の制御に基づき、適時、前記可動部材7b、係合部材2b、連結軸2等介して、前記単板移送部材1を一斉に左右方向へ交互に移動させる。
【0017】
8は、各熱盤3の加熱面の全幅と同等の幅を有する台座8a、各々が、各熱盤3の加熱面の全幅と同等の幅を有し、且つ、各々の先端部が、対向する熱盤3の夫々の加熱面へ弾性変位可能に当接すべく、前記台座8aの進行方向側の上隅及び下隅の都合4箇所へ、各熱盤3の加熱面と斜交状を成すよう対称的に配設された薄板状の摺接部材8b、該薄板状の摺接部材8bを台座8aに固定する締付け具8c、該締付け具8c及び前記台座8aを貫通するよう穿設されており、前記単板移送部材1の係止突起体1bと係合する係合孔8d等を具備する掻き取り機構であって、単板aの搬入動作(本例にあっては、搬出動作も併せて行う)に伴って、単板移送部材1が変位(移動)する際に、摺接部材8bの先端部によって、対向する熱盤3の加熱面を掻き取り清掃する。
【0018】
9は、単板搬送部材の実例である複数本のロール9a、基台11に固着された軸受部材9b、最下位及び下方から二番目の連結杆6に夫々固着された、前記軸受2b用の案内部材を兼用する軸受部材9c、各段毎の最後位のロール9aに付設された減速機付電動機等から成る駆動源9d等を有する左右一対の搬送機構であって、各熱盤3の昇降作動に伴って、各段毎のロール9aが、図1・図2の状態と、図7・図8の状態とに変位し、各段毎の単板移送部材1に対して、高さ方向に入れ替ることにより、単板aを相互に移乗させるよう備えられており、更に、図示しない制御機構の制御を得て、適時、駆動せしめられ、乾燥装置の左前側及び右前側に夫々設定した搬入口から個別に搬入した未乾燥の単板aを、単板移送部材1に適合する位置まで搬送する作用と、単板移送部材1による刺着を解除した乾燥済み単板aを、乾燥装置の左後側及び右後側に夫々設定した搬出口から搬出する作用とを成す。
【0019】
10は、基端側が、機枠・天井等に、可動端側が、断熱材付の座金4を介して、最上位の熱盤3aに夫々固着された、流体シリンダ等から成る昇降作動部材であって、図示しない制御機構の制御を得て、適時、作動せしめられ、複数段の熱盤3を相互に均等的に接近(図8・図9参照)及び離隔(図1・図2参照)させる。
【0020】
尚、乾燥装置には、前記各機器類の他に、制御機構も配備されており、前記各機器類の作動を適切に制御するが、制御機構の制御態様は、極めて多岐に亘り、而も、各機器類の作動状態と密接に関連させながら、順を追って制御することが肝要であるので、以下、図10〜図18に例示した前記乾燥装置の平面作動説明図を併用しつつ、前記乾燥装置の作動態様と各機器類の作動態様とを併せて説明する。
【0021】
本発明に係る単板の乾燥方法は、例えば前記の如き各機器類を以って構成した乾燥装置を用いて実施することが可能であり、当初、各熱盤3は、相互に接近させた待機位置(図8・図9参照)で待機させるように、制御機構を介して、昇降作動部材10の作動を制御し、また、各単板移送部材1は、左右いずれか片側、例えば左側の待機位置(図1・図3参照)で待機させるように、制御機構を介して、往復移動機構7の作動を制御する。尚、当初は、各熱盤3の間に単板aが挿入されていないので、各熱盤3は、図8・図9の状態よりも若干余分に接近するが、先記規制螺子6bの規制作用によって、最少間隔が規制されている故に、いずれの突刺体1aの先端も、上位の熱盤3に当接する虞はない。
【0022】
而して、各単板移送部材1が、左側の待機位置で待機している際には、左側の搬送機構9を作動させると共に、ロールフィーダー等の適宜の挿入機構を介して、図10に例示する如く、乾燥装置の左前側に設定した搬入口から単板a1、a2、a3を搬入し、該単板a1、a2、a3を、点線で示す移乗位置まで搬送してから、搬送を停止するように、制御機構を介して、搬送機構9の作動を制御する。尚、単板搬送の停止時期を定める信号の発信手段としては、例えば搬送機構9の各段毎に、反射型光電管スイッチ等から成る単板検知器(図示省略)を備えて、単板の先端の到来を検知し、所要の信号を発信する手段、或は例えば挿入機構の単板挿入動作と、搬送機構の搬送速度とを関連づけて、時限的に所要の信号を発信する手段等が挙げられるが、その形態について特に制約はなく、要は、所要の信号を発信し得る手段であれば足りる。
【0023】
然る後に、各熱盤3を、相互に隔離させるように、制御機構を介して、昇降作動部材10の作動を制御すると、各熱盤3の上昇に伴って、左側の搬送機構9のロール9a上に在った単板a1、a2、a3が、単板移送部材1の突刺体1aの上に移乗されるので(図1参照)、次に、図11に例示する如く、制御機構及び往復移動機構7を介して、単板移送部材1を右側へ移動させることにより、単板a1、a2、a3を、各熱盤3の間隔内へ移送し、次いで、各熱盤3を、相互に接近させるように、制御機構を介して、昇降作動部材10の作動を制御すると、各単板a1、a2、a3が、各熱盤3によって熱圧される(図9参照)。その際、熱盤の収容溝3aから突出している突刺体1aの先端側の部分は、各単板a1、a2、a3に突刺される。
【0024】
次に、図12に例示する如く、制御機構を介して、右側の搬送機構9を作動させ、乾燥装置の右前側に設定した搬入口から単板a4、a5、a6を搬入し、該単板a4、a5、a6を、点線で示す移乗位置まで搬送してから、搬送を停止するように、制御機構を介して、右側の搬送機構9の作動を制御する。尚、単板搬送の停止時期を定める信号の発信手段としては、前記段落「0024」の記載に準ずる。
【0025】
そして次に、所定の熱圧時間が経過したら、各熱盤3を、相互に隔離させるように、制御機構を介して、昇降作動部材10の作動を制御すると、各熱盤3の上昇に伴って、右側の搬送機構9のロール9a上に在った単板a4、a5、a6が、単板移送部材1の突刺体1aの上に移乗されるので、次に、制御機構及び往復移動機構7を介して、図13に矢印で示する如く、単板移送部材1を左側へ移動させることにより、図14に例示する如く、単板a1、a2、a3を、各熱盤3の間隔外へ移送すると共に、単板a4、a5、a6を、各熱盤3の間隔内へ移送し、次いで、各熱盤3を、相互に接近させるように、制御機構を介して、昇降作動部材10の作動を制御すると、各単板a4、a5、a6が、各熱盤3によって熱圧されると共に、単板a1、a2、a3は、左側の搬送機構9のロール9aに当接することにより、移送部材1の突刺体1aによる刺着が解除され、左側の搬送機構9のロール9a上に移乗される(図8参照)。
【0026】
而して、述上の如く、前記単板移送部材1は、各単板の搬入動作と搬出動作とを併せて行うが、左側へ移動する際には、単板移送部材1の中央部に付設した掻き取り機構8の摺接部材8bの先端部が、対向する熱盤3の加熱面を掻き取り清掃するので、仮に、先行する単板a1、a2、a3の熱圧に伴って、いずれかの熱盤3の加熱面に樹脂・木片等の異物が付着することがあっても、後続する単板a4、a5、a6が搬入される前に、異物は除去され、所望通りの良好な熱圧処理を施すことができる。
【0027】
そこで更に、図14に例示する如く、制御機構を介して、左側の搬送機構9を作動させ、乾燥装置の左前側に設定した搬入口から単板a7、a8、a9を搬入し、先記移乗位置まで搬送してから、搬送を停止することと併せて、図15に例示する如く、乾燥装置の左後側に設定した搬出口へ、乾燥済みの単板a1、a2、a3を搬出する。
【0028】
そして次に、所定の熱圧時間が経過したら、各熱盤3を、相互に隔離させるように、制御機構を介して、昇降作動部材10の作動を制御すると、各熱盤3の上昇に伴って、左側の搬送機構9のロール9a上に在った単板a7、a8、a9が、単板移送部材1の突刺体1aの上に移乗されるので、次に、制御機構及び往復移動機構7を介して、図15に矢印で示する如く、単板移送部材1を右側へ移動させることにより、図16に例示する如く、単板a4、a5、a6を、各熱盤3の間隔外へ移送すると共に、単板a7、a8、a9を、各熱盤3の間隔内へ移送し、次いで、各熱盤3を、相互に接近させるように、制御機構を介して、昇降作動部材10の作動を制御すると、各単板a7、a8、a9が、各熱盤3によって熱圧されると共に、移送部材1の突刺体1aによる刺着が解除された単板a4、a5、a6が、右側の搬送機構9のロール9a上に移乗される。
【0029】
而して、この場合にも、単板移送部材1が右側へ移動する際には、先記と同様に摺接部材8bの先端部が、対向する熱盤3の加熱面を掻き取り清掃するので、仮に、単板a4、a5、a6の熱圧に伴って、いずれかの熱盤3の加熱面に樹脂・木片等の異物が付着することがあっても、単板a7、a8、a9が搬入される前に、異物は除去され、所望通りの良好な熱圧処理を施すことができる。
【0030】
そこで更に、図16に例示する如く、制御機構を介して、右側の搬送機構9を作動させ、乾燥装置の右前側に設定した搬入口から単板a10、a11、a12を搬入し、先記移乗位置まで搬送してから、搬送を停止することと併せて、図17に例示する如く、乾燥装置の右後側に設定した搬出口へ、乾燥済みの単板a4、a5、a6を搬出する。
【0031】
そして次に、所定の熱圧時間が経過したら、各熱盤3を、相互に隔離させるように、制御機構を介して、昇降作動部材10の作動を制御すると、各熱盤3の上昇に伴って、右側の搬送機構9のロール9a上に在った単板a10、a11、a12が、単板移送部材1の突刺体1aの上に移乗されるので、次に、制御機構及び往復移動機構7を介して、図17に矢印で示する如く、単板移送部材1を左側へ移動させることにより、図18に例示する如く、単板a7、a8、a9を、各熱盤3の間隔外へ移送すると共に、単板a10、a11、a12を、各熱盤3の間隔内へ移送し、次いで、各熱盤3を、相互に接近させるように、制御機構を介して、昇降作動部材10の作動を制御すると、各単板a10、a11、a12が、各熱盤3によって熱圧されると共に、移送部材1の突刺体1aによる刺着が解除された単板a7、a8、a9が、左側の搬送機構9のロール9a上に移乗される(図8参照)。
【0032】
そこで再び、制御機構を介して、左側の搬送機構9を作動させ、乾燥装置の左前側に設定した搬入口から単板a13、a14、a15を、図18に矢印で示す如く搬入し、先記移乗位置まで搬送してから、搬送を停止することと併せて、乾燥装置の左後側に設定した搬出口へ、乾燥済みの単板a7、a8、a9を搬出する。以下、順次同様の操作を繰り返すことによって、殆ど間断なく能率的に単板aを乾燥処理することができるが、いずれにせよ、各単板aの搬入動作(及び搬出動作)に関連して、単板の搬送用部材として備えた単板移送部材1が左右に移動する毎に、摺接部材8bの先端部が、対向する熱盤3の加熱面を掻き取り清掃するので、常に、所望通りの良好な熱圧処理を施すことができる。
【0033】
因に、既知のこの種の乾燥装置に於て、熱盤を上下に一対のみ備える単段式の乾燥装置は、単位時間当たりの処理容量が過度に少ないので、甚だ実用性に欠ける難点を有し、或は、処理容量の増大を図る為に、単板の処理方向と同方向へ複数基を連結的に備える構成を採ると、占有面積が過度に広くなる問題が発生する。また一方、例えば先記特公平2−32961号公報に開示される如く、熱盤を上下に複数段備える態様であって、熱盤に穿設した適数条の走行溝内に無端状の搬送部材を走行させて、単板を一定方向へ間歇的に搬送する過程で熱圧処理を施す形式の乾燥装置は、搬送部材の往動用の走行溝と復動用の走行溝とを、最上位と最下位の熱盤とを除いた残り全ての熱盤、つまり、中間部に位置する全ての熱盤の上面及び下面に穿設する必要があることから、該中間部の熱盤の厚さを過度に厚くせざるをえず、処理容量の顕著な増大を意図するような多段化を図るのには不向きである難点を有するのみならず、中間部の熱盤に於ける加熱面以外の四周の側面からの放熱が増大するので、熱効率も劣化する弱点を有する。
【0034】
それに対して、前記図示例の如き構成で成る乾燥装置は、多段状のいずれの段にあっても、単板移送部材を左右に移動させて、各単板の搬入動作と搬出動作とを交互に行うものであるから、既知の如何なる乾燥装置と比べても、甚だ狭小の占有面積を以って、極めて能率的な乾燥処理を行い得ると共に、多段式であるにも拘わらず、単板移送部材の収容溝は原則的に熱盤の上面側のみで足り、各熱盤の厚さを過度に厚くする必要はないので、例えば数十段に達するほどの多段化を図ることも可能であり、而も、熱盤に於ける加熱面以外の四周の側面からの放熱を軽減して、熱効率の劣化を阻止できるので有効である。
【0035】
尚、前記実施例に例示する如く、適数本のロール状の単板搬送部材を、複数本の単板移送部材の間隔内に平行状に配設して成る乾燥装置は、比較的簡単な構成を以って、安定的に単板の搬入・搬出が行い得るので好都合であるが、単板搬送部材の形態としては、ロール状に限定するものではなく、図示は省略したが、例えば適数条の鍔付軸、或は例えば適数条の無端鎖等々、要は、単板を所望の方向へ搬入・搬出する形態の単板搬送部材であれば足りる。
【0036】
また、前記実施例に例示する如き規制螺子を備えて、各熱盤が相互に接近する際の最少間隔を規制して成る乾燥装置は、誤っていずれかの段への単板の搬入が欠如することがあっても、単板を突刺していない単板移送部材の突刺体と、該突刺体に対向する上位の熱盤とが当接する虞がないので好都合であり、処理する単板の厚さが変わる場合には、螺子の作用で、最少間隔を変えることも容易であるが、前記最少間隔の規制に用いる規制部材の形態としては、規制螺子に限るものではなく、図示は省略したが、例えば処理する単板の厚さが一定である場合であれば、規制間隔も一定で支障ないから、単なる棒状・柱状・板状等であっても差支えなく、要は、所望の最少間隔に規制できる形態であれば足りる。因に、単板の搬入が欠如した段の熱盤が密着しないことによって、放熱が若干増えることがあっても、単板の搬入の欠如は、少数の例外的事項であるから、実用的に格別問題はない。
【0037】
次に、図19は、熱盤の異なる実例の一部破断側面説明図であって、図中、3bは、少なくとも下側に加熱面を有する熱盤(最下位の熱盤を除く、上位の熱盤)3の下面に穿設された逃げ溝であって、下方に位置する熱盤3の各収容溝3aと対称的な位置に在り、而も、各収容溝3aに収容された単板移送部材1の突刺体1cの突出部分のみの介入を許容する深さを有している。
【0038】
述上の如き逃げ溝3bを有する熱盤3を具備した乾燥装置を用いる場合には、誤っていずれかの段(図示例は、中央の段)への単板aの搬入が欠如することがあっても、単板aを突刺していない単板移送部材1の突刺体1cと、該突刺体1cに対向する上位の熱盤3とが当接する虞はなく、当然ながら、前記規制部材の配設は無用となる。因に、前記逃げ溝は、突刺体の突出部分のみの介入を許容するに足る浅い溝で差支えないから、該当する熱盤の厚さを過度に厚くする必要はなく、而も、誤って単板の搬入が欠如した場合には、該当する熱盤の密着が保障されるので、放熱の増大に伴う熱効率の劣化も回避できる。
【0039】
また一方、図20は、本発明の請求項2に係る乾燥装置の異なる実施例の正面説明図であり、図21は、図20に例示した乾燥装置の側面説明図であり、図22は、図20に例示した乾燥装置の平面説明図である。図中、15は、断熱材付の座金4を介して機枠・天井等に固着される最上位の熱盤3に付設された前後一対の支持杆であって、先記実施例と同様の構成で成る連結杆6、連結螺子6a、規制螺子6b等を介して、下位の複数枚の熱盤3を、接近及び平均的に離隔可能に支持すると共に、各段毎の単板移送部材1を、左右方向へ往復移動させる為に、先記実施例と同様の構成で成る往復移動機構7を具備している。
【0040】
21は、基端側が基台・床等に固着された流体シリンダ等から成る昇降作動部材10の先端側に付設された昇降盤であって、断熱材付の座金4と、先記実施例と同様の構成で成る、左右一対の搬送機構9とを具備しており、図示しない制御機構の制御を得て、昇降作動部材10が上昇作動する際に、座金4を介して、各熱盤3を均等的に上昇させる。
【0041】
述上の如く構成して成る乾燥装置を用いても、本発明に係る単板の乾燥方法を実施することが可能であって、当初、各熱盤3は、相互に接近させた待機位置(図23・図24参照)で待機させるように、制御機構を介して、昇降作動部材10の作動を制御し、また、各単板移送部材1は、左右いずれか片側、例えば左側の待機位置で待機させるように、制御機構を介して、往復移動機構7の作動を制御する。尚、先記実施例と同じく、当初は、各熱盤3の間に単板aが挿入されていないので、各熱盤3は、図23・図24の状態よりも若干余分に接近するが、やはり規制螺子6bの規制作用によって、最少間隔が規制されている故に、突刺体1aの先端が上位の熱盤3に当接する虞はない。
【0042】
而して、各単板移送部材1が、左側の待機位置で待機している際には、左側の搬送機構9を作動させると共に、適宜の挿入機構を介して、乾燥装置の左前側に設定した搬入口から各段毎に単板aを搬入し、該各段毎の単板aを、図22に於て点線で示す移乗位置まで搬送してから、搬送を停止するように、制御機構を介して、搬送機構9の作動を制御し、次いで、各熱盤3を、相互に隔離させるように、制御機構を介して、昇降作動部材10の作動を制御すると、各熱盤3の下降に伴って、左側の搬送機構9のロール9a上に在った単板aが、各段毎に単板移送部材1の突刺体1aの上に移乗されるので(図20参照)、次に、制御機構及び往復移動機構7を介して、単板移送部材1を右側へ移動させることにより、各段毎の単板aを、各熱盤3の間隔内へ移送し、次いで、各熱盤3を、相互に接近させるように、制御機構を介して、昇降作動部材10の作動を制御すると、各段毎の単板aが、各熱盤3によって熱圧される(図23・図24参照)。
【0043】
次に、制御機構を介して、右側の搬送機構9を作動させ、乾燥装置の右前側に設定した搬入口から各段毎に単板aを搬入し、該各段毎の単板aを、図22に於て点線で示す移乗位置まで搬送してから、搬送を停止するように、制御機構を介して、右側の搬送機構9の作動を制御し、次いで、所定の熱圧時間が経過したら、各熱盤3を、相互に隔離させるように、制御機構を介して、昇降作動部材10の作動を制御すると、各熱盤3の下降に伴って、右側の搬送機構9のロール9a上に在った単板aが、各段毎に単板移送部材1の突刺体1aの上に移乗されるので、次に、制御機構及び往復移動機構7を介して、単板移送部材1を左側へ移動させることにより、各熱盤3の間隔内に在る単板aを、各熱盤3の間隔外へ移送すると共に、各熱盤3の右側に在る単板aを、各熱盤3の間隔内へ移送し、次いで、各熱盤3を、相互に接近させるように、制御機構を介して、昇降作動部材10の作動を制御すると、各熱盤3の間隔内に在る単板aが、各熱盤3によって熱圧されると共に、各熱盤3の左側に移送された単板aは、左側の搬送機構9のロール9aに当接して、移送部材1の突刺体1aによる刺着が解除され、左側の搬送機構9のロール9a上に移乗される。
【0044】
そこで、制御機構を介して、左側の搬送機構9を作動させ、乾燥装置の左前側に設定した搬入口から各段毎に新たに処理する単板aを搬入し、先記移乗位置まで搬送してから、搬送を停止すると共に、乾燥済みの単板aを、乾燥装置の左後側に設定した搬出口へ搬出するように、制御機構を介して、左側の搬送機構9の作動を制御し、次いで、所定の熱圧時間が経過したら、各熱盤3を、相互に隔離させるように、制御機構を介して、昇降作動部材10の作動を制御すると、各熱盤3の下降に伴って、左側の搬送機構9のロール9a上に在った単板aが、各段毎に単板移送部材1の突刺体1aの上に移乗されるので、次に、制御機構及び往復移動機構7を介して、単板移送部材1を右側へ移動させることにより、各熱盤3の間隔内に在る単板aを、各熱盤3の間隔外へ移送すると共に、各熱盤3の左側に在る単板aを、各熱盤3の間隔内へ移送し、次いで、各熱盤3を、相互に接近させるように、制御機構を介して、昇降作動部材10の作動を制御すると、各熱盤3の間隔内に在る単板aが、各熱盤3によって熱圧されると共に、各熱盤3の右側に移送された単板aは、右側の搬送機構9のロール9a上に移乗される。
【0045】
そこで、制御機構を介して、右側の搬送機構9を作動させ、乾燥装置の右前側に設定した搬入口から各段毎に新たに処理する単板aを搬入し、先記移乗位置まで搬送してから、搬送を停止すると共に、乾燥済みの単板aを、乾燥装置の右後側に設定した搬出口へ搬出するように、制御機構を介して、右側の搬送機構9の作動を制御し、次いで、所定の熱圧時間が経過したら、各熱盤3を、相互に隔離させるように、制御機構を介して、昇降作動部材10の作動を制御すると、各熱盤3の下降に伴って、右側の搬送機構9のロール9a上に在った単板aが、各段毎に単板移送部材1の突刺体1aの上に移乗されるので、次に、制御機構及び往復移動機構7を介して、単板移送部材1を左側へ移動させることにより、各熱盤3の間隔内に在る単板aを、各熱盤3の間隔外へ移送すると共に、各熱盤3の右側に在る単板aを、各熱盤3の間隔内へ移送し、次いで、各熱盤3を、相互に接近させるように、制御機構を介して、昇降作動部材10の作動を制御すると、各熱盤3の間隔内に在る単板aが、各熱盤3によって熱圧されると共に、各熱盤3の左側に移送された単板aは、左側の搬送機構9のロール9a上に移乗される。
【0046】
そこで再び、制御機構を介して、左側の搬送機構9を作動させ、乾燥装置の左前側に設定した搬入口から各段毎に新たに処理する単板aを搬入し、先記移乗位置まで搬送してから、搬送を停止すると共に、乾燥済みの単板aを、乾燥装置の左後側に設定した搬出口へ搬出する。以下、順次同様の操作を繰り返すことによって、先記実施例の場合と同様に、殆ど間断なく能率的に単板を乾燥処理することができるが、やはり、各単板aの搬入動作(及び搬出動作)に関連して、単板移送部材1が左右に移動する毎に、摺接部材8bの先端部が、対向する熱盤3の加熱面を掻き取り清掃するので、常に、所望通りの良好な熱圧処理を施すことが可能である。
【0047】
尚、単板搬送の停止時期を定める信号の発信手段、熱盤の最少間隔の規制手段等に関する設計変更例については、先記実施例の場合と同様に、所望の機能を奏し得る範囲で適宜に変更して差支えない。また、請求項2〜5に係る乾燥装置に用いる昇降作動部材としては、図示例の如き流体シリンダ(一般的には、油圧式を用いる)が簡便であるが、要は、複数枚の熱盤を均等的に昇降させる機能を奏し得る部材であれば足り、必ずしも流体シリンダに限定するものではない。
【0048】
また、前記各図示実施例の如く、台座の進行方向側(単板移送部材が左右に往復移動するので、台座の進行方向も交互に入れ替る)の上隅及び下隅の都合4箇所に、摺接部材を配設する構成を採れば、台座がいずれの向きに進行する場合であっても、進行方向の前側に位置する摺接部材の先端部が、熱盤の加熱面に突き掛かるよう斜交状に当接して適確に異物を掻き取る作用を成すので、極めて有効であるが、摺接部材の配設形態としては、前記各図示実施例の形態に限るものではなく、図示は省略したが、いずれかの向きの進行方向側に於ける上隅及び下隅の2箇所のみに摺接部材を付設する構成を採っても、摺接部材が、進行方向の前側に位置する際には、適確に異物を掻き取る作用を成し、また、進行方向の後側に位置する際であっても、少なくとも加熱面上にある木片を除去する程度の掻き取り作用は成すので、異物の付着が雪だるま式に増大する虞はなく、実用的には相応に有効である。
【0049】
また、単板移送部材を収容する収容溝の条数や穿設間隔については、処理する単板の厚さや大きさに対応させて、実験に基づいて定めれば良い。また、単板移送部材の長さについては、収容溝の長さの2倍よりも更に長い長さが必要であり、左右両端の連結用の鍔状部や中央部近辺のゆとり部分の長さを含めて、乾燥装置全体の設計寸法に応じて適宜に設定すれば差支えない。更に、単板移送部材に凸設する突刺体の形態につては、形成の容易性からして、前記実施例に例示する如き楔状が適当ではあるが、要は、樹脂等の接着作用に起因して、熱盤に貼着することがある単板を、強制的に離脱し得る程度に刺着可能な形態であれば足りるので、楔状以外の形態に設計変更しても差支えない。
【0050】
また、単板移送部材の突刺体は、熱盤に貼着することがある単板を、強制的に離脱させる作用の他に、単板の乾燥に伴う全体的な収縮を規制する作用も併せて成し、結果的に、刺着した部分に、本来の刺着跡よりも幾分広い小割れを残存させて(該小割れは、突刺体が刺着した面とは反対側の面まで拡大的に到達する例も多いが、前記図示例に於ては、図示を省略してある)、単板の柔軟性を増大させる効果も奏するので、斯様な効果を期待する観点から、単板移送部材の配設本数や、突刺体の形態、突刺体の凸設間隔、突刺体の突刺深さ等を、実験に基づいて定めるのも有意義である。
【0051】
また、単板移送部材の収容溝は、単板の乾燥に伴って発生する蒸気を、外方へ誘導して排出する作用も成し、単板の内部に蒸気が滞留することに起因して、熱圧の開放時に、単板が爆発的に損壊する虞を予防する効果も併せて奏するが、必要に応じては、図示は省略したが、各熱盤の加熱面に、蒸気排出用の極く浅い排出溝を、別途に穿設しても差支えなく、特に、単板移送部材の収容溝を有しない最上位の熱盤の加熱面には、優先的な穿設を推奨する。
【0052】
また、前記いずれの実施例の態様であっても、当然、熱盤の増設が可能であって、必要に応じては、支持杆及び上位の熱盤に付設する連結杆の剛性を増強したり、連結螺子の本数を増やすなどの、補強処置を施すのが適切である。また、図20〜図22に例示した実施例の如く、最上位の熱盤を固定し、下位の熱盤を昇降させる形式に限っては、前記連結螺子に代えて、公知の合板用のホットプレスと同様に、熱盤層の周辺(例えば、四隅のすぐ外側)に、又は乾燥装置自体の周辺に、適宜形状の支持柱を立設すると共に、適宜形状の複数個のストッパーを、前記支持柱に階段状に付設して、各熱盤(及び単板搬送部材を付設した連結杆)を、均等的に離隔させる際に、下方周辺から個別に均等間隔を以って支持するよう構成しても差支えなく、斯様な支持形態を採れば、熱盤等の総重量を、前記支持柱によって一段と安定的に支持することが可能となるから、公知の合板用のホットプレスと同等程度の多段式とすることも容易である。
【0053】
次に、本発明の請求項6に係る乾燥装置について、先ず、図25〜図28に例示した乾燥装置の本体部分(主要部分)について説明すると、図25〜図28に於て、31Aは、後述する可動フレーム31Bと対を成す固定フレームであって、可動フレーム用の前後一対のフレームガイドを兼用する基台32上の右側に固定的に備えられている。
【0054】
31Bは、前後の側面側の夫々に、後述する鉤付アーム39の鉤部位39aと係合する窓状の鉤掛け部位31a(但し、実質的に鉤部位39aと直接係合するのは窓の縁に相当する部位である)を有して成り、前記固定フレーム31Aの反対側(基台32上の左側)に配設された可動フレームであって、下部に付設されたコロ31bを介して、左右方向へ移動可能に備えられており、図示しない制御機構の制御に基づき、後述するフレーム移動機構38の作動を得て、適時、処理すべき単板aの押圧方向と同方向へ前進・後退移動させられる。尚、前記窓状の鉤掛け部位の穿設位置、及び大きさについては、単板の厚さの変更、処理枚数の不足等に適応し得るよう、鉤付アームの長さに対して、相応の余裕を有する穿設位置、及び大きさとする必要がある。
【0055】
32は、前記可動フレーム31Bの前進・後退移動をガイドする前後一対のフレームガイド兼用の基台であって、後述する熱盤ガイド35、支持部材37、フレーム移動機構38等の取付けを許容する部位も有している。
【0056】
33は、前記固定フレーム31Aの内側に配設された加圧盤であって、後述する片面加熱型の熱盤34Aと一体状を成すように断熱材34aを介して固着されると共に、該熱盤34Aに付設されたコロ34bを介して、後述する熱盤ガイド35に沿って左右方向へ移動可能に備えられており、図示しない制御機構の制御に基づき、前記固定フレーム31Aに配設された適数個(実施例は二個であるが、必要に応じて、変更可)の流体シリンダ33aの作動を得て、適時、単板aの押圧方向と同方向へ前進・後退移動させられる。尚、図示実施例は、圧締用の流体シリンダを所定位置へ固定的に備える態様であるが、必要に応じては、図示は省略したが、処理する単板の寸法変更等に適応し得るように、流体シリンダを水平方向又は/及び垂直方向へ変位可能に備える態様を採ることも可能である。
【0057】
34Aは、断熱材34aを介して、前記可動フレーム31B、及び加圧盤33の夫々の内側に固着された片面加熱型の熱盤であって、加圧盤33に固着された熱盤34Aは、該熱盤34Aの前後に付設された一対のコロ34bを介して、後述する熱盤ガイド35に沿って左右方向へ移動可能に備えられいる。尚、図示する如く、加熱面の上側に面取りを施すか、或は図示は省略したが、適宜形状の単板挿入用ガイドを付設すれば、上方からの単板の挿入が容易化するので好ましい。
【0058】
34Bは、前記片面加熱型の熱盤34Aの内側に配設された複数枚の両面加熱型の熱盤であって、各熱盤34Bの前後に付設された一対のコロ34bを介して、後述する熱盤ガイド35に沿って左右方向へ移動可能に備えられている。尚、図示する如く、各加熱面の上側に面取りを施すか、或は図示は省略したが、適宜形状の単板挿入用ガイドを付設すれば、上方からの単板の挿入が容易化するので好ましい。
【0059】
35は、一端を前記固定フレーム31Aに、他端を前記基台32に夫々固着された逆L字状の加圧盤ガイド兼用の熱盤ガイドであって、上面に載せられたコロ34bを介して、前記加圧盤と一体状を成す片面加熱型の熱盤34Aと、両面加熱型の熱盤34Bの前進・後退をガイドする。尚、図示は省略したが、必要に応じては、上面側の適宜部分に、左右方向に延在するガイド溝を設けることにより、ガイドの一層の安定化を図ることも可能であり、実用的にも好ましい。
【0060】
36、36aは、各々が隣合う熱盤34A、34B、又は隣合う熱盤34B同士に分けて付設された二個で一組の間隔規制部材であって、各熱盤の前後端面の夫々に適数(少なくとも単板の処理枚数と同じ数、例えば1〜3組)付設されており、前記各熱盤同士の接近は無条件で許容し(図35参照)、且つ、各熱盤同士の離隔は一定限度までしか許容しないように規制する(図28参照)。
【0061】
37は、帯板状の支持部材であって、前記各熱盤34A、34B同士が離隔した際に、各熱盤34A、34B同士の間隔を下方から筋状に遮るように、複数条(実施例は7条)が、左右一対の連結支持具37aを介して、前記基台32の上方に付設されており、後述する単板搬入機構43を介して、前記各熱盤34A、34Bの間に挿入される単板aの下辺を支持して、間隔内からの落下を防止する。
【0062】
38は、軸38a、軸受38b、鎖車38c、無端状の鎖38d、繋止具38e、連結具38f、減速機付電動機等から成る駆動源38g等を有するフレーム移動機構であって、図示しない制御機構の制御に基づき、適時、駆動源38gを正逆駆動させて、前記可動フレーム31Bを前進・後退移動させる。
【0063】
39は、先端側に、前記可動フレーム31Bの鉤掛け部位31aと係合する鉤部位39a(但し、実質的に鉤掛け部位31aと直接係合するのは鉤の内側面に相当する部位である)を有する鉤付アームであって、基端側が、前記固定フレーム31Aに付設された枢軸受け39b、該枢軸受け39bに嵌装された枢軸39cを介して、回動自在に枢支されており、図示しない制御機構の制御に基づき、後述する揺動機構40の作動を得て、適時、図示矢印の如く揺動することにより、単板aの熱圧処理に先立って、単板aの押圧方向に対する固定フレーム31Aと可動フレーム31Bとの係止を可能化し、また熱圧処理の終了後には、当該係止を無用化する。
【0064】
40は、流体シリンダ等から成る作動部材40a、接続具40b、支軸受40c等を有する揺動機構であって、図示しない制御機構の制御に基づき、適時、前記鉤付アーム39を図示矢印の如く揺動させる。
【0065】
44は、適宜の長さを有する左右一対のガイドレールであって、前述した乾燥装置の本体部分の前位から、開放状態にある固定フレーム31A、及び可動フレーム31Bの上方を経て、乾燥装置の本体部分の後位に至るまで、固定的に配設されており、後述する単板搬入機構43、及び単板搬出機構45の移動をガイドする.
【0066】
次に、図29及び図30に例示した請求項6に係る乾燥装置の単板搬入機構について説明すると、図29及び図30に於て、42は、左右一対の軸42a、鎖車42b、無端状の鎖42c、複数個の樋状の受け板42d、複数対の単板支え板42e、42f等を有する単板搬送機構であって、前述した乾燥装置の本体部分の前位に配設されており、図示しない制御機構の制御に基づき、適時、駆動源(図示省略)を作動させることにより、受け板42d、及び単板支え板42e・42fを、実線で示す位置と点線で示す位置とへ交互に移動させるよう構成されており、点線で示す位置に於て、図示矢印で示す如く、各単板支え板42e・42fの間へ次々と充填される単板aの複数枚を、実線で示す位置まで移送して、後述する単板搬入機構43による単板aの抜き出しを待機する。尚、全ての単板aは、実線の位置に於て、繊維方向が垂直方向に揃うように充填する。
【0067】
43は、4本の柱部分を有する櫓状の移動枠43a、該移動枠43aの各柱部分の内側に付設された昇降ガイド43b、該昇降ガイド43bに沿って昇降可能に配設された昇降枠43c、該昇降枠43cを昇降させる流体シリンダ等から成る昇降部材43d、左右毎に各々の長さが異なって複数対を成すようスライド軸43f・43jに固着された搬入用把持部材43e・43h、スライド軸43f・43jを介して、図示矢印で示す如く、前記複数対を成す搬入用把持部材43e・43hを、実線で示す位置と点線で示す位置とへ交互に往復移動させる流体シリンダ等から成るスライド部材43g、43k等を有する単板搬入機構であって、図示しない制御機構の制御に基づき、適時、適宜の構成で成る作動機構、例えば軸、軸受、鎖車、無端状の鎖、繋止具、連結具、駆動源等を有する作動機構(図示省略)を作動させることにより、先記ガイドレール44に沿って、乾燥装置の本体部分の前位から上位に至る位置の間を交互に前後移動するよう構成されており、乾燥装置の本体部分の前位に於て、前記単板搬送機構42によって実線で示す位置に搬送された複数枚の単板aを、前記搬入用把持部材43e・43hにより把持して抜き出して、点線で示す位置まで上昇させ、次いで、乾燥装置の本体部分の上位まで移送した後に、開放状態にある先記熱盤34A・34Bの間隔内へ下降させてから把持を解除することによって、熱盤34A・34Bの間隔内に複数枚の単板aを供給する。尚、図には表されていないが、長い方の搬入用把持部材43hには、スライド軸43fの貫通を許容する貫通孔が穿設されている。
【0068】
次に、図31及び図32に例示した請求項6に係る乾燥装置の単板搬出機構について説明すると、図31及び図32に於て、45は、4本の柱部分を有する櫓状の移動枠45a、該移動枠45aの各柱部分の内側に付設された昇降ガイド45b、該昇降ガイド45bに沿って昇降可能に配設された昇降枠45c、該昇降枠45cを昇降させる流体シリンダ等から成る昇降部材45d、左右毎に各々の長さが異なって複数対を成すようスライド軸45f・45jに固着された搬出用把持部材45e・45h、スライド軸45f・45jを介して、図示矢印で示す如く、前記複数対を成す搬出用把持部材45e・45hを、実線で示す位置と点線で示す位置とへ交互に往復移動させる流体シリンダ等から成るスライド部材45g、45k、前記搬出用把持部材45e・45hの下端部に付設された各々の先端部が、開放状態にある先記熱盤34A・34Bの加熱面へ弾性的に当接する摺接部材兼用の薄板状のガイド板45m等を有する単板搬出機構であって、図示しない制御機構の制御に基づき、適時、適宜の構成で成る作動機構、例えば軸、軸受、鎖車、無端状の鎖、繋止具、連結具、駆動源等を有する作動機構(図示省略)を作動させることにより、先記ガイドレール44に沿って、乾燥装置の本体部分の上位から後位に至る位置の間を交互に前後移動するよう構成されており、乾燥装置の本体部分に於て熱圧処理された単板aを、前記搬出用把持部材45e・45hにより把持して抜き出して、点線で示す位置まで上昇させ、次いで、乾燥装置の本体部分の後位まで移送した後に、後述する単板移送機構46の単板支え板46e・46eの間隔内へ下降させてから把持を解除するように、熱圧処理済みの単板aを搬出する。尚、図には表されていないが、長い方の搬出用把持部材45hには、スライド軸45fの貫通を許容する貫通孔が穿設されている。
【0069】
46は、左右一対の軸46a、鎖車46b、無端状の鎖46c、複数個の樋状の受け板46d、複数対の単板支え板46e等を有する単板移送機構であって、前述した乾燥装置の本体部分の後位に配設されており、図示しない制御機構の制御に基づき、適時、駆動源(図示省略)を作動させることにより、受け板46d及び単板支え板46eを、実線で示す位置と点線で示す位置とへ交互に移動させるよう構成されており、実線で示す位置に於て、前記単板搬出機構45により、対向する単板支え板46e・46eの間に搬出される複数枚の単板aを、次々と点線で示す位置まで移送し、図示矢印で示す如く、機外への抜き取りを可能化する。
【0070】
次に、述上の如き構成で成る乾燥装置全体の作動状態を、図33〜図38に例示した説明図をも併用しつつ説明すると、当初、単板搬入機構43は、単板搬送機構42の上方に於て、単板搬出機構45は、単板移送機構46の上方に於て夫々待機(図30、図32参照)させると共に、搬入用把持部材43eと43h、及び搬出用把持部材45eと45hは、最も上方の待機位置に於て、個別に相互に離隔する状態で待機するよう制御する。また、乾燥装置の本体部分の熱盤34A・34Bは、少なくとも単板搬入機構43が、乾燥装置の本体部分の上方へ移動されるまでに、開放状態(図25、図26、図28参照)とするように制御する。
【0071】
而して、複数枚の単板aが、単板搬送機構42を介して、図29に於て実線で示す位置に移送されたら、単板搬入機構43の昇降部材43dを作動させることにより、昇降枠43cを介して、搬入用把持部材43eと43hを、図29に於て実線で示す位置に下降させるよう制御し、次いで、スライド部材43g、43kを作動させて、対向する搬入用把持部材43eと43hを相互に接近させることにより、複数枚の単板aを一斉に把持してから、昇降部材43dを作動させることにより、昇降枠43cを介して、搬入用把持部材43eと43hを、図29に於て点線で示す位置に上昇させるよう制御する。
【0072】
次いで、単板搬入機構用の作動機構(図示省略)を作動させることにより、単板搬入機構43を、乾燥装置の本体部分の上方まで移動させた後に、昇降部材43dを作動させることにより、昇降枠43c、及び搬入用把持部材43e・43hを介して、複数枚の単板aを、図33に於て実線で示す位置(乃至はそれよりも若干上方の位置)まで下降させ、次いで、スライド部材43g、43kの作動を休止させて、対向する搬入用把持部材43eと43hとによる単板aの把持を一斉に解除し、更に、昇降部材43dを作動させることにより、昇降枠43cを介して、搬入用把持部材43eと43hを、乾燥装置の本体部分の上方へ上昇させるよう制御することにより、各熱盤34A・34Bの間隔内に複数枚の単板aを供給する。
【0073】
然る後に、先記移動機構38を作動させて、可動フレーム31Bを右側(固定フレーム側)に向けて移動させると共に、該可動フレーム31Bが概ね最右端まで移動したら、先記揺動機構40を介して、鉤付アーム39を揺動させることにより、該鉤付アーム39の鉤部位39aを可動フレーム31Bの鉤掛け部位31aに挿入し、更に、先記流体シリンダ33aを介して、先記加圧盤33を左側(可動フレーム側)に向けて移動させるよう制御することにより、各熱盤34A・34Bの間隔内に供給された複数枚の単板aを一斉に熱圧する(図34、図35参照)。
【0074】
尚、単板群の供給を終了した単板搬入機構43は、単板搬入機構用の作動機構(図示省略)を作動させることにより、単板搬送機構42の上方へ復動させ、更に、スライド部材43g、43kを作動させて、対向する搬入用把持部材43eと43hを相互に離隔させることにより、当初の状態に復帰させ、次の単板群の供給に備えるよう制御する。また一方、単板搬入機構43が単板搬送機構42の上方へ復動するのと入れ替りに、単板搬出機構用の作動機構(図示省略)を作動させることにより、単板搬出機構45を乾燥装置の本体部分の上方まで移動させ、熱圧処理した単板群の搬出に備えるよう制御する。
【0075】
而して、所要の熱圧時間が経過した後には、先記流体シリンダ33aを介して、先記加圧盤33を右側(固定フレーム側)に向けて移動させ、単板aの熱圧を一斉に解除すると共に、先記揺動機構40を介して、鉤付アーム39を揺動させることにより、該鉤付アーム39の鉤部位39aを可動フレーム31Bの鉤掛け部位31aから外し、更に、先記移動機構38を作動させて、可動フレーム31Bを元の位置に向けて移動させることにより、各熱盤34A・34Bを開放状態(図25、図26、図28参照)とするように制御する。
【0076】
然る後に、単板搬出機構45の昇降部材45dを作動させることにより、昇降枠45cを介して、搬出用把持部材45eと45hを、一旦、図36に於て実線で示す位置(搬出用把持部材45eと45hの下端部に付設した摺接部材兼用のガイド板45mの先端が、各熱盤の加熱面の最下端に達する位置)まで下降させるよう制御するが、その際には、スライド部材45g、45kを作動させて、図37(イ)に例示する如く、前記ガイド板45mの先端が、各熱盤(34B・34A)の加熱面へ弾性的に当接するよう制御する。従って、仮に、樹脂の滲出などに起因して、単板aがいずれかの熱盤(34B・34A)の加熱面に貼着される現象が生じたとしても、図37(ロ)に例示する如く、ガイド板45mの下降に伴って、単板aの貼着が上方から下方へ徐々に剥されるようにガイドされるので、乾燥処理した単板aの取り出しに全く支障が無いのは勿論のこと、ガイド板45mの先端が、対向する熱盤(34B・34A)の加熱面を掻き取り清掃するので、仮に、いずれかの熱盤(34B・34A)の加熱面に異物が付着することがあっても、異物は適確に除去され、次に搬入される単板に対する所望通りの良好な熱圧処理が保障される。
【0077】
述上の如く、前記ガイド板45mの先端による単板aの貼着の解除を確保した後には、図38に例示する如く、昇降部材45dを、所望時間だけ暫時作動させることによって、搬出用把持部材45eと45hを、実線で示す如く、適宜位置まで上昇させると共に、スライド部材45g、45kを作動させて、対向する搬出用把持部材45eと45hを相互に接近させることにより、複数枚の単板aを一斉に把持し、次いで、再び昇降部材45dを作動させて、搬出用把持部材45eと45hを、図38(図36)に於て点線で示す位置まで上昇させるよう制御する。
【0078】
而して、搬出用把持部材45eと45hを、図38に於て点線で示す位置に上昇させた後には、単板搬出機構用の作動機構(図示省略)を作動させることにより、単板搬出機構45を乾燥装置の本体の後位へ移動させ、次いで、昇降部材45dを作動させることにより、昇降枠45cを介して、搬出用把持部材45eと45hを、図31に於て実線で示す位置(乃至はそれよりも若干上方の位置)まで下降させるよう制御し、更に、スライド部材45g、45kを作動させて、対向する搬出用把持部材45eと45hを相互に離隔させることにより、複数枚の単板aを、単板移送機構46の単板支え板46e・46eの間に搬出し、更に、昇降部材45dを作動させることにより、昇降枠45cを介して、搬出用把持部材45eと45hを、当初の待機位置まで上昇させるよう制御する。
【0079】
また更に、単板搬出機構による単板群の取り出しと概ね並行して、単板搬入機構による次位の単板群の把持を、先記手順通りに実施すると共に、単板搬出機構の乾燥装置本体の後位への移動に概ね同期させて、単板搬入機構の乾燥装置本体の上方への移動を実施し、以下、同様の動作の繰り返しによって、複数枚の単板を次々と熱圧処理することができるが、本発明の請求項6に係る乾燥装置の構成によっても、やはり、各単板の搬出動作に関連して、搬出用把持部材が下降する毎に、摺接部材兼用のガイド板の先端部が、対向する熱盤の加熱面を掻き取り清掃するので、常に、所望通りの良好な熱圧処理を施すことが可能である。
【0080】
因に、既知の横型多段熱盤式のホットプレスにあっても、単板の乾燥処理が試みられているが、公知の通り、単板は、繊維方向と同方向には相当な強度を有する反面、繊維方向と直交方向には甚だ軟弱であるという、顕著な強度の異方性を有する特異な材料である故に、後述する如く円滑な搬入及び搬出が不能化する問題が発生し易く、結果的に実用化には至っていないのが実態である。即ち、例えば先記特公平3−39443号公報に開示される如く、横型多段熱盤式のホットプレスに於て、合板を熱圧処理する場合と同様に、ホットプレスの下方に搬送機構を具備して、ホットプレスの側方から単板を搬出入する態様を採ると、仮に、単板の繊維方向を水平方向に揃えて熱盤の間隔内に搬入せんとする際には、例えば薄い単板や、或は厚い単板であっても、既に割れ(繊維方向に延在)が内在する単板等にあっては、単板全体の姿勢を、熱盤の間隔内への搬入に適する垂直な平板状の姿勢に維持すること自体が困難であるから、円滑な搬入は不可能であり、更に、樹脂の滲出等に起因して、単板が熱盤に貼着されると、前記公報に開示された押体による押し下げでは、貼着を完全に開放するには至らないから、搬送機構による搬出が不能化する問題も発生する。また一方、単板の繊維方向を垂直方向に揃えて熱盤の間隔内に搬入せんとする際には、軟弱な単板の進行方向の先端側が、熱盤の加熱面等と接触して僅かな抵抗を受けるだけで、単板が途中で座屈したり、或は割れの残余部分(割れに隣合う割れていない部分)が裂断して、単板の一部が重なったりする問題が発生し易いから、やはり、円滑な搬入は困難であって、結果的に実用化には至っていない。
【0081】
それに対して、前記図示例の如き構成で成る乾燥装置は、述上の如く、熱盤群の上方を開放状と成し、熱盤群の前位に於て、繊維方向を垂直方向に揃えて並立的に待機させた複数枚の単板を、適数対の搬入用把持部材を用いて各別に把持して、熱盤群の上方まで移送すると共に、繊維方向と平行方向に下降させて、各熱盤の間隔内に供給し、次いで、相互の間隔内に供給された各単板を所要時間だけ熱圧し終えた各熱盤を離隔状態とした後に、処理済の各単板を、適数対の搬出用把持部材を用いて各別に把持して、熱盤群の上方まで繊維方向と平行方向に上昇させると共に、熱盤群の上方から、熱盤群の後位まで移送するものであるから、処理する単板が厚い場合は勿論のこと、たとえ、処理する単板が薄い場合であっても、或は既に割れが内在する単板であっても、処理の途中に於て、各単板のいずれかの部分が座屈して、処理が滞ったり不能化したりする虞はなく、所謂、横型多段熱盤式の乾燥装置であるにも拘わらず、既知のこの種の如何なる乾燥装置と比べても、格段に安定的な乾燥処理が実施し得る。
【0082】
尚、前記図示実施例の如く、各ガイド板の先端を、尖鋭状に形成すれば、たとえ単板が熱盤の加熱面に貼着している場合であっても、各熱盤の加熱面と単板との境界への進入が適確化するので好ましいが、例えばガイド板の厚さが比較的薄い場合(例えば0.5mm程度)には、斯様に尖らせなくても、前記境界への進入に格別問題はなく、要は、各ガイド板の先端は、前記境界への進入に支障の無い形態であれば足りる。而して、該ガイド板は、摺接部材の機能も兼備する必要があるから、やはり、熱盤の加熱面に対して斜交状を成すよう備えるのが望ましい。
【0083】
また、前記図示例の如く、横型多段熱盤式の乾燥装置に於ける左右一対のフレームの一方を、可動式とする構成によると、熱圧に必須である高価な流体シリンダ(一般的には、油圧式を用いる)の作動長さの短縮化が図り得るので、総じて、プレス製造コストの低減化に有効であるが、本発明に係る横型多段熱盤式の乾燥装置の本体部分に於ける左右一対のフレームとしては、図示は省略したが、例えば先記特公平3−39443号公報に開示される如き既知の横型多段熱盤式の乾燥装置と同様に、左右双方共に固定式のフレームであっても差支えなく、斯様な構成を採る場合には、当然ながら、フレーム移動機構、鉤付アーム、揺動機構等の付設は無用となる。
【0084】
また、前記図示例に於ては、単板搬入機構の搬入用把持部材を、飛石の如く、相互に隙間を設けて、断続的に並ぶように備える態様としたが、必要に応じては、前記図示例に於ける単板搬出機構の搬出用把持部材と同様に、水平方向(熱圧する単板の繊維方向と直交方向)へ概ね連なって並ぶように備える態様とすることも可能であり、斯様な態様によれば、繊維方向と直交方向の結合強度が不安定乃至は著しく不安定な単板(例えば繊維方向に延在する割れが、比較的狭い間隔で2条以上実在する単板、或は例えば接着テープ等を用いて剥ぎ合わされた横矧単板等)でも、安定的に処理することができる。
【0085】
また、前記図示例の如く、単板搬入機構の搬入用把持部材、単板搬出機構の搬出用把持部材、及び摺接部材兼用のガイド板の夫々を、単一形状の複数対(図示例は各4対)に分割して備えるようにすれば、前記各部材の加工・組み付けが比較的容易になるので実用的であるが、前記各部材の形態としては、必ずしも斯様な分割状に限るものではなく、図示は省略したが、例えば非分割の一体状として、一対だけ備える形態でも差支えなく、或は例えば単板搬入機構の搬入用把持部材、及び単板搬出機構の搬出用把持部材を、単一形状の複数対に分割して備えると共に、摺接部材兼用のガイド板のみを非分割の一体状とする形態であっても差支えない。
【0086】
また、前記搬入用把持部材、搬出用把持部材の作動に用いる作動部材としては、図示実施例の如きスライド部材に限るものではなく、図示は省略したが、例えば前記搬入用把持部材、搬出用把持部材のいずれの対であれ、所望の対の部材を、適宜位置に配設した支軸を介して対称的に枢支すると共に、上端側に介在させた適数対のカムを用いて(必要に応じては、バネ類・ゴム類等の弾性部材を併用して)、下端側を一斉に開閉作動させることにより、単板の把持と解除とを交互に行う形態とすることも可能であり、要は、適時、単板の把持と解除とを交互に行い得る構成であれば足りる。
【0087】
また、本例に於ても、必要に応じて、各熱盤の加熱面に、蒸気排出用の極く浅い排出溝を穿設しても差支えないが、本例にあっては、概ね水平方向に蒸気排出用の溝を穿設する必要があるので、ガイド板の先端部が溝に突き当たって下降が阻害されないよう、溝の断面形状を、例えば半円状・傘状・片流れ状等にするなどの配慮が望まれる。
【0088】
以上、本発明に係る単板の乾燥方法の実施に適する乾燥装置の代表的な実例を数例挙げたが、本発明に係る単板の乾燥方法の実施に用い得る装置の構成としては、前記各実施例の態様に限るものではなく、要は、単板の搬入動作又は搬出動作の少なくともいずれか片方の動作に使用すべく、対向する熱盤の間へ変位可能に介入させる適数個の搬送用部材の適宜位置に、各々が、各熱盤の加熱面の全幅と同等の幅を有し、且つ、各々の先端部が、対向する熱盤の夫々の加熱面へ弾性変位可能に当接する適数個の薄板状の摺接部材を具備し、単板の搬入動作又は搬出動作のいずれかの動作に関連させて、搬送用部材を変位させる際に、該搬送用部材に付設した摺接部材の先端部によって、対向する熱盤の加熱面を掻き取り清掃する構成の装置であれば足り、適宜設計して差支えない。
【産業上の利用可能性】
【0089】
以上明らかな如く、本発明は、未だ広く汎用化されるには至っていない熱盤式の乾燥装置を用いる乾燥方法の実用性を著しく向上させて、能率的で省エネルギーにも適した乾燥処理を実現するものであり、更に、単板に類似する他の板状体の乾燥にも転用し得る可能性を有するもので、斯界に於ける本発明の実施効果は多大である。
【符号の説明】
【0090】
1 :単板移送部材
1a :突刺体
2 :連結軸
3 :熱盤
3a :単板移送部材の収容溝
3b :逃げ溝
4 :断熱材付の座金
5、15 :支持杆
6 :連結杆
6a :連結螺子
6b :規制螺子
8 :掻き取り機構
8b :摺接部材
7 :往復移動機構
9 :搬送機構
9a :ロール
10 :昇降作動部材
11 :基台
21 :昇降盤
31A :固定フレーム
31B :可動フレーム
32 :フレームガイド兼用の基台
33 :加圧盤
34A :片面加熱型の熱盤
34B :両面加熱型の熱盤
35 :加圧盤ガイド兼用の熱盤ガイド
36、36a :間隔規制部材
37 :支持部材
38 :フレーム移動機構
39 :鉤付アーム
40 :揺動機構
42 :単板搬送機構
43 :単板搬入機構
44 :左右一対のガイドレール
45 :単板搬出機構
45m :摺接部材兼用のガイド板
46 :単板移送機構
a :単板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一対の対向する離隔状態の熱盤の間にベニヤ単板を搬入すると共に、対向する熱盤同士を閉塞してベニヤ単板を所望時間だけ熱圧し、次いで、対向する熱盤同士を離隔して、対向する熱盤の間からベニヤ単板を搬出する乾燥方法であって、ベニヤ単板の搬入動作又は搬出動作の少なくともいずれか片方の動作に使用すべく、対向する熱盤の間へ変位可能に介入させる適数個の搬送用部材の適宜位置に、各々が、各熱盤の加熱面の全幅と同等の幅を有し、且つ、各々の先端部が、対向する熱盤の夫々の加熱面へ弾性変位可能に当接する適数個の薄板状の摺接部材を具備し、ベニヤ単板の搬入動作又は搬出動作のいずれかの動作に関連させて、搬送用部材を変位させる際に、該搬送用部材に付設した摺接部材の先端部によって、対向する熱盤の加熱面を掻き取り清掃してから、乾燥すべきベニヤ単板を熱圧することを特徴とするベニヤ単板の乾燥方法。
【請求項2】
上下方向に並設された多数枚の熱盤が、最上位又は最下位の熱盤に係合する昇降作動部材の作動と、各熱盤に係合する連結機構の規制とを得て、相互に接近及び平均的に離隔すべく、適宜の昇降作動部材と適宜の連結機構とを、前記所要の各熱盤に係合させると共に、上側に加熱面を有する熱盤の上面の左右方向に延在し、且つ、前後方向に適宜の間隔を隔てて平行状に穿設された、適宜深さを有する複数条の収容溝に、該収容溝の長さの2倍よりも適宜寸法だけ長い長さと、収容溝の深さ未満の高さとを有し、且つ、上側の適宜部位に、前記収容溝から突出する高さを有する多数の突刺体を並立的に凸設した略長鋸状の単板移送部材の複数本を並列的に収容し、而も、各段の単板移送部材を一斉に左右方向に往復移動させるべく、適宜の往復移動機構を各段の単板移送部材に係合させ、更に、左右方向への移動に伴って各収容溝から熱盤の左右両側にはみ出す単板移送部材の近傍に、ベニヤ単板を単板移送部材の移動方向と直交方向へ搬送する単板搬送部材を、熱盤の昇降に伴って追従的に昇降する単板移送部材に対して上下方向へ入れ替り可能に配設して成る多段熱盤式の乾燥装置であって、各熱盤の加熱面の全幅と同等の幅を有する台座を、前記単板移送部材の長さ方向の中央部へ直交状に係止すると共に、該台座の進行方向側の上隅及び下隅の少なくともいずれか2箇所に、各々が、各熱盤の加熱面の全幅と同等の幅を有し、且つ、各々の先端部が、対向する熱盤の夫々の加熱面へ弾性変位可能に当接する薄板状の摺接部材の少なくとも2個を、夫々が対向する熱盤の加熱面と斜交状を成すように、締付け具を介して対称的に付設し、前記単板移送部材の長さ方向への移動に伴って、進行方向の前側に位置する摺接部材の先端部が、対向する熱盤の加熱面を掻き取り清掃するよう構成したことを特徴とするベニヤ単板の乾燥装置。
【請求項3】
複数本の単板移送部材の間隔内に平行状に配設した、適数本のロール状の単板搬送部材を用いて成る請求項2記載のベニヤ単板の乾燥装置。
【請求項4】
前記各熱盤が相互に接近する際の最少間隔が、前記収容溝から突出する部分の突刺体の高さよりも、適宜寸法だけ広くなるように規制する規制部材を備えて成る請求項2又は請求項3記載のベニヤ単板の乾燥装置。
【請求項5】
少なくとも下側に加熱面を有する熱盤の下面に、下方に位置する熱盤の各収容溝に収容された単板移送部材の突刺体の突出部分のみの介入を許容する逃げ溝を、前記各収容溝と対称的に穿設して成る請求項2又は請求項3記載のベニヤ単板の乾燥装置。
【請求項6】
左右に対設されたフレーム間に、等間隔をおいて開閉自在となる複数段の熱盤を、並立的に立設して成る横型多段プレスに於て、前記左右のフレームを連結するベッド・横梁・連結腕等の連結部材、各熱盤の左右方向への移動を案内する案内軌道・案内輪等の案内部材、各熱盤毎の離隔間隔を等間隔に規制する間隔規制部材、各ベニヤ単板の下端位置を規制する規制部材等の付属部材類を、熱盤群の前方、後方、及び下方に限定して備えることにより、熱盤群の上方を開放状と成すと共に、熱盤群の前位に於て、繊維方向を垂直方向に揃えて並立的に待機させた複数枚のベニヤ単板を各別に把持することが可能な、適宜形状の複数対の搬入用把持部材を、熱盤群の前位から熱盤群の上方まで、前後方向へ移動可能に、且つ、熱盤群の上方から、把持した各ベニヤ単板の少なくとも大部分を、各熱盤の間隔内に下降させ得る高さまで、垂直方向へ昇降可能に備え、更に、所定の間隔を隔てて対向する各熱盤の加熱面に於ける少なくともベニヤ単板の供給領域の全長に亘って、先端部が弾性的に当接する摺接部材兼用の薄板状のガイド板を、下端部に具備し、離隔状態にある各熱盤の間隔内に介入して、処理済みの各ベニヤ単板を各別に把持することが可能な、適宜形状の適数対の搬出用把持部材を、熱盤群の上方から、下端部に具備したガイド板の先端が、熱盤の下端に至る高さまで、垂直方向へ昇降可能に、且つ、熱盤群の上方から熱盤群の後位まで、前後方向へ移動可能に備え、前記搬出用把持部材を、離隔状態にある熱盤の間隔内に介入させて、処理済みの各ベニヤ単板を各別に把持するのに先立って、ガイド板の先端により、対向する熱盤の加熱面を掻き取り清掃するようにしたことを特徴とするベニヤ単板の乾燥装置。
【請求項7】
各ガイド板の先端を、尖鋭状に形成して成る請求項6記載のベニヤ単板の乾燥装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【公開番号】特開2011−208869(P2011−208869A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−76629(P2010−76629)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000155182)株式会社名南製作所 (77)
【Fターム(参考)】