説明

ボックスカルバートの連結部における止水構造、ボックスカルバートの連結部における止水方法、およびボックスカルバート

【課題】地震等によりボックスカルバートの目地間隔が拡がっても、ボックスカルバートの連結部を確実に止水する。
【解決手段】一方のボックスカルバート2aの端面12に無端状の外側突出部36を突設するとともに、外側突出部36に内嵌される無端状の内側突出部16を他方のボックスカルバート2bの端面14に突設し、内側突出部16または外側突出部36の一方の突出部に取り付ける止水材50を、境界部分56がくびれた状態で互いに連なる埋込部52と圧縮部54とで構成し、圧縮部54に、軟質のソリッドゴムからなる内側軟質層58と、硬質のソリッドゴムからなる外側硬質層60とを設け、埋込部52を上記一方の突出部16に予め埋め込み、圧縮部54を他方の突出部36と摩擦接触させることで上記一方の突出部16の基端側に引っ張るとともに、圧縮部54を内側突出部16の外周面30と外側突出部36の内周面38とで挟み込むことで圧縮させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地下道や共同溝等の構造物を構築するために複数連結した状態で設置されるボックスカルバート、並びにボックスカルバートの連結部における止水構造および止水方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図8に示すように、施工現場において複数のボックスカルバート102を連結する場合、図9に示す従来例のように、隣接する一対のボックスカルバート102a,102bの連結部は、予め一方のボックスカルバート102aの端面108aに取り付けた止水材110を、一対のボックスカルバート102a,102bの端面108a,108b間に挟み込んで圧縮させることで止水することが従来から行われている。
【0003】
このような止水構造に用いられる止水材としては、図10に示すように、ゴム発泡体からなる内側軟質層112がソリッドゴムからなる外側硬質層114で覆われてなるものが提案されている。なお、かかる構成の止水材は例えば特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特許第3012179号公報
【0004】
かかる構成の止水材110を、一方のボックスカルバート102aの端面108aに取り付けて、一対のボックスカルバート102a,102bの端面108a,108b間に挟み込んで圧縮させると、止水材110は、容易に圧縮できる内側軟質層112を備えているため優れた追従性を発揮でき、他方のボックスカルバート102bの端面108bに確実に密着する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、図10に示す従来の止水材110は、内側軟質層112の素材であるゴム発泡体が、復元性に乏しく、高い圧縮率で圧縮しなければ必要以上の圧縮応力が得られないため、地震等によりボックスカルバート102の目地間隔が拡がると、漏水する恐れがあった。
【0006】
そこで、本発明は、地震等によりボックスカルバートの目地間隔が拡がっても、ボックスカルバートの連結部における止水性を良好維持することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係るボックスカルバートの連結部における止水構造は、
互いに隣接する一対のボックスカルバートが、その一方のボックスカルバートの端面より突出する無端状の外側突出部に、他方のボックスカルバートの端面より突出する無端状の内側突出部が内嵌されることで連結され、
上記内側突出部の外周面または上記外側突出部の内周面に全周に亘って取り付けられた止水材が、上記内側突出部または上記外側突出部に埋め込まれた埋込部と、該埋込部に連なるとともに上記内側突出部の外周面と上記外側突出部の内周面との間に圧縮された状態で介在する圧縮部とを有し、
上記圧縮部は、軟質のソリッドゴムからなる内側軟質層と、該内側軟質層を被覆するとともに上記軟質のソリッドゴムよりも高硬度である硬質のソリッドゴムからなる外側硬質層とを有し、
上記埋込部と上記圧縮部との境界部分がくびれていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係るボックスカルバートの連結部における止水方法は、
互いに隣接する一対のボックスカルバートのうち一方のボックスカルバートの端面に無端状の外側突出部を突設するとともに、該外側突出部に内嵌される無端状の内側突出部を他方のボックスカルバートの端面に突設し、
上記内側突出部または上記外側突出部の一方の突出部に全周に亘って取り付ける止水材を、境界部分がくびれた状態で互いに連なる埋込部と圧縮部とで構成し、
上記圧縮部に、軟質のソリッドゴムからなる内側軟質層と、該内側軟質層を被覆するとともに上記軟質のソリッドゴムよりも高硬度である硬質のソリッドゴムからなる外側硬質層とを設け、
上記圧縮部が上記内側突出部の外周面の管径方向外側または上記外側突出部の内周面の管径方向内側に露出するように、上記埋込部を上記一方の突出部に予め埋め込み、
上記圧縮部を他方の上記突出部と摩擦接触させることで上記一方の突出部の基端側に引っ張るとともに、上記圧縮部を上記内側突出部の外周面と上記外側突出部の内周面とで挟み込むことで圧縮させながら、上記内側突出部を上記外側突出部の内側に差し込むことを特徴とする。
【0009】
本発明に係るボックスカルバートは、
隣接する他のボックスカルバートと連結可能なものであって、
上記他のボックスカルバートの端部に内嵌または外嵌させるための無端状の突出部が、少なくとも一方の端面に突設され、
上記突出部の外周面または内周面の全周に亘って止水材が取り付けられ、
該止水材は、上記突出部に埋め込まれた埋込部と、該埋込部に連なるとともに上記突出部の外周面の管径方向外側または内周面の管径方向内側に露出した圧縮部とを有し、
上記圧縮部は、軟質のソリッドゴムからなる内側軟質層と、該内側軟質層を被覆するとともに上記軟質のソリッドゴムよりも高硬度である硬質のソリッドゴムからなる外側硬質層とを有し、
上記埋込部と上記圧縮部との境界部分がくびれていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、止水材の圧縮部と埋込部との境界部分がくびれているため、この境界部分で止水材が折曲されて、止水材が取り付けられた内側突出部または外側突出部の基端側に圧縮部が引っ張られた状態で圧縮される。したがって、圧縮部に大きな復元力が働くため、内側突出部の外周面と外側突出部の内周面に対して圧縮部を高い面圧で密着させることができ、ボックスカルバートの連結部における止水性を向上させることができる。
【0011】
また、止水材の圧縮部は、軟質のソリッドゴムからなる内側軟質層を備えているため、ゴム発泡体からなる内側軟質層を備えた従来の止水材と同様、優れた追従性を発揮できるとともに、従来の止水材と比較して、復元性を顕著に高めることができるため、止水性を一層向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0013】
図1は、第1の実施形態に係るボックスカルバート2を示す。ボックスカルバート2は、例えば断面ロ字形のコンクリート製品であり、上下左右の壁部4から構成されている。ボックスカルバート2は、その管軸方向から見たときの1辺の長さが例えば1〜4mとされるが、ボックスカルバート2の大きさは時に限定されるものではない。
【0014】
ただし、本発明に係るボックスカルバートの形状は、筒状であれば特に限定されるものではなく、例えば、管軸方向から見てアーチ状のものであってもよい。
【0015】
ボックスカルバート2の本体部4の両端面12,14は略鉛直方向に沿って設けられている。本体部4の一方の端面14には、隣接する他のボックスカルバートの端部に内嵌させるための無端状の内側突出部16が突設され、本体部4の他方の端面12には、隣接する他のボックスカルバートの端部に外嵌させるための無端状の外側突出部36が突設されている。内側突出部16と外側突出部36の形状は、管軸方向から見て略ロ字形となっている。
【0016】
図2は、互いに隣接する一対のボックスカルバート2a,2bの上側壁部同士の連結部分を示している。図2に示すように、一対のボックスカルバート2a,2bは、一方のボックスカルバート2aの外側突出部36に、他方のボックスカルバート2bの内側突出部16が内嵌された状態で連結される。
【0017】
同様の連結構造により多数のボックスカルバート2を連結することで、それらのボックスカルバート2の内部に図3に示すような管路を形成でき、その管路を地下道や水路等として利用できる。
【0018】
図2に戻って、内側突出部16の端面24は、本体部4の端面14と同様、略鉛直方向に沿って設けられ、内側突出部16の内周面28は、本体部4の内周面8と連続して設けられている。内側突出部16の外周面30は、管軸方向における一方のボックスカルバート2a側から他方のボックスカルバート2b側へ向かうに連れて周長が徐々に増大する傾斜面とされている。
【0019】
外側突出部36の端面42は、本体部4の端面12と同様、略鉛直方向に沿って設けられ、外側突出部36の外周面40は、本体部4の外周面10と連続して設けられている。外側突出部36の内周面38は、管軸方向における一方のボックスカルバート2a側から他方のボックスカルバート2b側へ向かうに連れて周長が徐々に増大する傾斜面とされている。
【0020】
一対のボックスカルバート2a,2bの目地間隔(一方のボックスカルバート2aの外側突出部36の端面42と他方のボックスカルバート2bの本体部4の端面14との間の間隔)は、地震等によるボックスカルバート2a,2bの変位を考慮して、例えば5〜55mmとされている。
【0021】
内側突出部16の外周面30と外側突出部36の内周面38とは、互いに略平行に設けられている。内側突出部16の外周面30と外側突出部36の内周面38との間の間隔は、後述する止水材50の圧縮部54を適切な圧縮率(例えば20〜50%)で圧縮できる幅となるように構成され、具体的には例えば10mm以上30mm以下とされている。
【0022】
地震等によりボックスカルバート2a,2bが変位して目地間隔が変化したとき、内側突出部16の外周面30と外側突出部36の内周面38との間の間隔の変化量は、目地間隔の変化量の1/5以下となるように構成されている。
【0023】
図4に示すように、内側突出部16の外周面30には、全周に亘って止水材50が取り付けられている。止水材50は、内側突出部16に埋め込まれた埋込部52と、内側突出部16の外周面30より管径方向外側に露出した圧縮部54とを有する。
【0024】
図5に示すように、埋込部52と圧縮部54は、それらの境界部分56がくびれた状態で互いに連なっている。
【0025】
圧縮部54は、軟質のソリッドゴムからなる内側軟質層58と、その軟質のソリッドゴムよりも高硬度である硬質のソリッドゴムからなる外側硬質層60とを有する。内側軟質層58は、例えば断面略円形とされ、内側軟質層8の外周が、略一定の厚みを有する外側硬質層60によって被覆されている。
【0026】
圧縮部54は、低硬度の内側軟質層58を備えていることにより、圧縮しやすくなっており、高硬度の外側硬質層60を備えていることにより、復元性、物理的強度および耐摩耗性が高められている。
【0027】
内側軟質層58は、JIS K 6253に準拠したタイプE硬度が45以下に調製されている。内側軟質層58のJIS K 6253に準拠したタイプE硬度が45を超えると、圧縮応力が大きくなり圧縮部54を圧縮し難くなるためである。
【0028】
外側硬質層60は、JIS K 6253に準拠したタイプA硬度が30以上に調製されている。外側硬質層60のJIS K 6253に準拠したタイプA硬度が30未満の場合、必要以上の物理的強度を得ることができないためである。
【0029】
外側硬質層60の厚みは0.5mm以上とされている。外側硬質層60の厚みが0.5mm未満であると、必要以上の復元性および物理的強度を得ることができないためである。
【0030】
圧縮部54の長さ方向に直角な断面において、圧縮部54の全体の面積(S)に占める外側硬質層60の面積(S1)の比率(S1/S×100)は50%以下とされている。外側硬質層60の面積比率(S1/S×100)が50%を超えると、施工時における圧縮部54の圧縮応力が著しく大きくなり、圧縮し難くなるためである。
【0031】
埋込部52は、例えば断面四角形状に形成されている。図2(a)に示すように、埋込部52の厚みは、内側突出部16への埋め込み深さと同じか又は略同じ大きさとされており、埋込部52における圧縮部54に面する面が、内側突出部16の外周面30と面一または略面一な露出面53とされている。埋込部52の露出面53の幅は、圧縮部54の幅(直径)よりも大きくなるように構成されているが、必ずしもこれに限定されない。
【0032】
埋込部52は、圧縮部54の外側硬質層60と同じ素材、すなわち硬質のソリッドゴムからなる。ただし、埋込部52として、外側硬質層60の素材と異なる硬質のソリッドゴムを用いることもできる。
【0033】
埋込部52は、次のいずれかの方法により内側突出部16へ埋め込むようにする。第1の方法は、ボックスカルバート2の成型時において、型枠の所定位置に止水材50を取り付けた状態で、その型枠にコンクリートを打設することで、内側突出部16に埋込部52が埋め込まれた状態で止水材50を固定する方法である。第2の方法は、コンクリートの打設時に適当な型枠を用いることで、内側突出部16の外周面30に埋込部52と同一形状の凹部が形成されるようにボックスカルバート2を成型し、ボックスカルバート2を型枠から取り外した後、内側突出部16の凹部に埋込部52を接着する方法である。
【0034】
止水材50の素材となるソリッドゴムの具体的な材料としては、従来から一般的に使用されているゴムが用いられ、例えば、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、アクリルゴム、エピクロルヒドリンゴム、シリコーンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、又はフッ素系ゴム等が、単独で又は2種以上混合されて用いられる。
【0035】
軟質のソリッドゴム及び硬質のソリッドゴムの硬度は、上記の材料ゴムに添加される添加剤(例えば各種充填剤およびプロセスオイル)の配合組成を調整することにより、上述した所定の硬度となるように設定される。
【0036】
このように構成されたボックスカルバート2は、隣接する一対のボックスカルバート2a,2bを連結することで、その連結と同時に連結部を止水することができる。図2に基づき、具体的に説明する。
【0037】
隣接する一対のボックスカルバート2a,2bは、一方のボックスカルバート2aの外側突出部36の内側に、他方のボックスカルバート2bの内側突出部16を差し込むことで連結できる。
【0038】
先ず、一方のボックスカルバート2aの外側突出部36の先端部を、先に設置された他方のボックスカルバート2bの内側突出部16の先端部に外嵌させるように、一方のボックスカルバート2aを配置する。ここで、内側突出部16の外周面30と外側突出部36の内周面38は、管軸方向における一方のボックスカルバート2a側から他方のボックスカルバート2b側へ向かうに連れて周長が徐々に増大する傾斜面となっていることから、内側突出部16の周長は先端部において比較的小さく、外側突出部の周長は先端部において比較的大きいため、一方のボックスカルバート2aの位置決め作業を容易に行うことができる。
【0039】
続いて、一方のボックスカルバート2aの外側突出部36の端面42を他方のボックスカルバート2bの本体部4の端面14に近接させるように、一方のボックスカルバート2aを移動させ、他方のボックスカルバート2bの内側突出部16に取り付けられた止水材50の圧縮部54を、一方のボックスカルバート2aの外側突出部36の内周面38と摩擦接触させる。この摩擦接触により、止水材50が埋込部52と圧縮部54との境界部分56で折曲され、圧縮部54が内側突出部16の基端側へ倒されて引っ張られる。
【0040】
このとき、外側突出部36の内周面38と圧縮部54との摩擦接触に伴う外力が埋込部52にも作用するが、埋込部52は硬質のソリッドゴムからなるため、外力が加えられても変形しにくく内側突出部16から外れ難くなっている。
【0041】
上述の一方のボックスカルバート2aの移動を続けると、止水材50の圧縮部54は、外側突出部36の内周面38との摩擦接触により引っ張られることで内側突出部16の基端側へ伸長するとともに、内側突出部16の外周面30と外側突出部36の内周面38とで挟み込まれることで圧縮される。
【0042】
ここで、圧縮部54は、上述のように内側突出部16の基端側へ倒れているため、内側突出部16基端側へ伸長しやすくなっている。また、このとき、圧縮部54が、内側突出部16の基端側へ伸長して内側突出部16の外周面30と外側突出部36の内周面38との間の隙間の形状に沿うように変形するため、圧縮部54と外側突出部36の内周面38との間に働く摩擦力によって、外側突出部36の内側への内側突出部16の差し込み作業が妨げられないようになっている。
【0043】
この差し込み作業を、一方のボックスカルバート2aの外側突出部36の端面42と、他方のボックスカルバート2bの本体部4の端面14との間の距離が、所定の目地間隔となるまで行うと、図2(b)に示すように、一対のボックスカルバート2a,2bの連結作業が完了し、同時にその連結部の止水作業が完了する。
【0044】
このようにして連結されたボックスカルバート2a,2bの連結部では、内側突出部16の外周面30と外側突出部36の内周面38との間に介在する止水材50の圧縮部54が、内側突出部16の基端側に引っ張られた状態で圧縮される。経時に伴って、引っ張られた圧縮部54が元の状態に戻ろうとすることにより、圧縮部54と内周面38との間に作用する面圧が徐々に増大するとともに、その面圧の大きさと、圧縮部54と外周面30との間に作用する面圧の大きさが徐々に均一化される。したがって、圧縮部54は、内側突出部16の外周面30と、外側突出部36の内周面38に対して均一で且つ大きな面圧で密着するため、ボックスカルバート2a,2bの連結部において高い止水性を得ることができる。
【0045】
また、地震等によりボックスカルバート2a,2bの目地間隔が変化しても、内側突出部16の外周面30と外側突出部36の内周面38との間の間隔は、目地間隔の変化量の1/5以下の変化量しか変化しないため、止水性を良好に維持できる。
【0046】
さらに、圧縮部54は低硬度の内側軟質層58を備えているため、圧縮部54は外側突出部36の内周面38に対して優れた追従性を発揮できる。したがって、直角または略直角である外側突出部36の内周面38のコーナー部に対しても、圧縮部54は十分な大きさの面圧で密着し、連結部の全周に亘って確実に止水できる。
【0047】
さらにまた、内側軟質層58は、ソリッドゴムからなるため、従来のようにゴム発泡体からなるもの(図10参照)と比較して、復元性に優れるとともに、圧縮率が低い状態でも大きな圧縮応力が作用するようになっている。したがって、内側突出部16の外周面30と外側突出部36の内周面38との間の間隔が拡大したとしても、圧縮部54は内側突出部16の外周面30と外側突出部36の内周面38に対して大きな面圧で密着し、止水性が損なわれないようになっている。
【0048】
図6に示す第2の実施形態では、外側突出部36の内周面38が、第1の実施形態と同様、管軸方向における一方のボックスカルバート2a側から他方のボックスカルバート2b側へ向かって周長が徐々に増大する傾斜面とされているが、内側突出部16の外周面30は、管軸方向の全長に亘って周長が一定であり、第1の実施形態のような傾斜面となっていない。
【0049】
このような構成であっても、外側突出部36の内周面38の周長が先端部において大きくなっているため、第1の実施形態と同様、一方のボックスカルバート2aの位置決め作業を容易に行うことができる。
【0050】
このように、内側突出部16の外周面30または外側突出部36の内周面38の少なくとも一方を、上述の傾斜面となるように構成すれば、同様の効果を得ることができる。したがって、図示は省略するが、外側突出部36の内周面38の周長を管軸方向の全長に亘って一定とし、内側突出部16の外周面30を、管軸方向における一方のボックスカルバート2a側から他方のボックスカルバート2b側へ向かって周長が徐々に増大する傾斜面となるように構成してもよい。
【0051】
なお、第2の実施形態において、その他の構成及び効果は第1の実施形態と同様であり、図6において、第1の実施形態と同様の機能を有する部材については同符号を付してある。
【0052】
図7に示す第3の実施形態では、内側突出部16の外周面30、および外側突出部36の内周面38のコーナー部が緩やかな曲面となっている。
【0053】
本実施形態においても、内側突出部16の外周面30に取り付けた止水材50の圧縮部54は、外側突出部36の内周面38のコーナー部に対して大きな面圧で密着させることができ、高い止水性を得ることができる。
【0054】
なお、第3の実施形態において、その他の構成及び効果は第1の実施形態と同様であり、図7において、第1の実施形態と同様の機能を有する部材については同符号を付してある。
【0055】
以上、上述の実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
【0056】
例えば、上述の実施形態では、止水材50が内側突出部16の外周面30に取り付けられた構成について説明したが、本発明は、止水材50を外側突出部36の内周面38に取り付けることを妨げないものとする。
【0057】
また、上述の実施形態では、止水材50の圧縮部54が断面略円形であり、埋込部52が断面四角形となっているが、圧縮部54と埋込部52の断面形状としては種々の形状が考えられ、止水材50の断面形状は、圧縮部54と埋込部52との境界部分56がくびれたものであれば特に限定されるものではない。
【0058】
さらに、上述の実施形態では、一方のボックスカルバート2aの外側突出部36の内側に他方のボックスカルバート2bの内側突出部16を差し込む作業を、一方のボックスカルバート2aを移動させて行っているが、他方のボックスカルバート2bを移動させて行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】第1の実施形態に係るボックスカルバートを示す斜視図である。
【図2】図1に示すボックスカルバートの連結部を示す断面図である。
【図3】複数のボックスカルバートを連結した状態を示す斜視図である。
【図4】図1に示すボックスカルバートの内側突出部を示す拡大斜視図である。
【図5】止水材を示す斜視図である。
【図6】第2の実施形態に係るボックスカルバートの連結部を示す断面図である。
【図7】第3の実施形態に係るボックスカルバートを示す斜視図である。
【図8】従来のボックスカルバートが複数連結された状態を示す斜視図である。
【図9】従来のボックスカルバートの連結部における止水方法を示す断面図である。
【図10】図9に示す止水方法に用いられる止水材の従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0060】
2a 一方のボックスカルバート、
2b 他方のボックスカルバート、
12,14 ボックスカルバートの端面、
16 内側突出部、
30 内側突出部の外周面、
36 外側突出部、
38 外側突出部の内周面、
50 止水材、
52 止水材の埋込部、
54 止水材の圧縮部、
56 埋込部と圧縮部との境界部分、
58 内側軟質層、
60 外側硬質層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに隣接する一対のボックスカルバートが、その一方のボックスカルバートの端面より突出する無端状の外側突出部に、他方のボックスカルバートの端面より突出する無端状の内側突出部が内嵌されることで連結され、
上記内側突出部の外周面または上記外側突出部の内周面に全周に亘って取り付けられた止水材が、上記内側突出部または上記外側突出部に埋め込まれた埋込部と、該埋込部に連なるとともに上記内側突出部の外周面と上記外側突出部の内周面との間に圧縮された状態で介在する圧縮部とを有し、
上記圧縮部は、軟質のソリッドゴムからなる内側軟質層と、該内側軟質層を被覆するとともに上記軟質のソリッドゴムよりも高硬度である硬質のソリッドゴムからなる外側硬質層とを有し、
上記埋込部と上記圧縮部との境界部分がくびれていることを特徴とするボックスカルバートの連結部における止水構造。
【請求項2】
上記外側突出部の内周面または上記内側突出部の外周面の少なくとも一方が、管軸方向における上記一方のボックスカルバート側から上記他方のボックスカルバート側へ向かうに連れて周長が徐々に増大する傾斜面とされていることを特徴とする請求項1に記載のボックスカルバートの連結部における止水構造。
【請求項3】
上記内側軟質層は、JIS K 6253に準拠したタイプE硬度が45以下であり、
上記外側硬質層は、JIS K 6253に準拠したタイプA硬度が30以上であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のボックスカルバートの連結部における止水構造。
【請求項4】
上記圧縮部が、上記止水材が取り付けられた上記内側突出部または上記外側突出部の基端側へ引っ張られた状態で圧縮されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のボックスカルバートの連結部における止水構造。
【請求項5】
互いに隣接する一対のボックスカルバートのうち一方のボックスカルバートの端面に無端状の外側突出部を突設するとともに、該外側突出部に内嵌される無端状の内側突出部を他方のボックスカルバートの端面に突設し、
上記内側突出部または上記外側突出部の一方の突出部に全周に亘って取り付ける止水材を、境界部分がくびれた状態で互いに連なる埋込部と圧縮部とで構成し、
上記圧縮部に、軟質のソリッドゴムからなる内側軟質層と、該内側軟質層を被覆するとともに上記軟質のソリッドゴムよりも高硬度である硬質のソリッドゴムからなる外側硬質層とを設け、
上記圧縮部が上記内側突出部の外周面の管径方向外側または上記外側突出部の内周面の管径方向内側に露出するように、上記埋込部を上記一方の突出部に予め埋め込み、
上記圧縮部を他方の上記突出部と摩擦接触させることで上記一方の突出部の基端側に引っ張るとともに、上記圧縮部を上記内側突出部の外周面と上記外側突出部の内周面とで挟み込むことで圧縮させながら、上記内側突出部を上記外側突出部の内側に差し込むことを特徴とするボックスカルバートの連結部における止水方法。
【請求項6】
上記外側突出部の内周面または上記内側突出部の外周面の少なくとも一方を、管軸方向における上記一方のボックスカルバート側から上記他方のボックスカルバート側に向かうに連れて周長が徐々に増大する傾斜面となるように構成することを特徴とする請求項5に記載のボックスカルバートの連結部における止水方法。
【請求項7】
上記内側軟質層を、JIS K 6253に準拠したタイプE硬度が45以下である軟質のソリッドゴムで構成し、
上記外側硬質層を、JIS K 6253に準拠したタイプA硬度が30以上である硬質のソリッドゴムで構成することを特徴とする請求項5または6のいずれかに記載のボックスカルバートの連結部における止水方法。
【請求項8】
隣接する他のボックスカルバートと連結可能なボックスカルバートであって、
上記他のボックスカルバートの端部に内嵌または外嵌させるための無端状の突出部が、少なくとも一方の端面に突設され、
上記突出部の外周面または内周面の全周に亘って止水材が取り付けられ、
該止水材は、上記突出部に埋め込まれた埋込部と、該埋込部に連なるとともに上記突出部の外周面の管径方向外側または内周面の管径方向内側に露出した圧縮部とを有し、
上記圧縮部は、軟質のソリッドゴムからなる内側軟質層と、該内側軟質層を被覆するとともに上記軟質のソリッドゴムよりも高硬度である硬質のソリッドゴムからなる外側硬質層とを有し、
上記埋込部と上記圧縮部との境界部分がくびれていることを特徴とするボックスカルバート。
【請求項9】
上記止水材が取り付けられた上記突出部の外周面または内周面は、管軸方向における上記一方のボックスカルバート側から上記他方のボックスカルバート側へ向かうに連れて周長が徐々に増大する傾斜面とされていることを特徴とする請求項8に記載のボックスカルバート。
【請求項10】
上記内側軟質層は、JIS K 6253に準拠したタイプE硬度が45以下であり、
上記外側硬質層は、JIS K 6253に準拠したタイプA硬度が30以上であることを特徴とする請求項8または9のいずれかに記載のボックスカルバート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−63911(P2008−63911A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−245743(P2006−245743)
【出願日】平成18年9月11日(2006.9.11)
【出願人】(591135691)日本コンクリート株式会社 (5)
【出願人】(592086880)丸栄コンクリート工業株式会社 (22)
【出願人】(591000506)早川ゴム株式会社 (110)
【Fターム(参考)】