説明

ボンディング方法およびボンディング装置

【課題】縦長タイプのチップであっても、横長タイプのチップであっても効率よくピックアップして行くことができ、また、画像処理の効率化を図ることが可能なボンディング方法及びボンディングを提供する。
【解決手段】テーブル横方向の移動回数がテーブル縦方向の移動回数よりも多くなる縦長チップ用ピックアップ順番の設定と、テーブル縦方向の移動回数がテーブル横方向の移動回数よりも多くなる横長チップ用ピックアップ順番の設定とを行う。縦方向寸法が横方向寸法よりも大きい縦長チップ21Aに対して、縦長チップ用ピックアップ順番に従ってピックアップする。横方向寸法が縦方向寸法よりも大きい横長チップ21Bに対して、横長チップ用ピックアップ順番に従ってピックアップする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボンディング方法およびボンディング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造においては、多数個の素子を一括して造り込まれたウエハをダイシングして個々のチップ(半導体チップ)に分離し、これを一個ずつリードフレーム等の所定位置にボンディングするというボンディング(チップボンディング)の手法が採用されている。そして、このボンディングにはボンディング装置が用いられる。
【0003】
このようなボンディング装置は、図8に示すように、供給部2のチップ1を吸着するコレット3を有するボンディングアーム(図示省略)と、供給部2のチップ1を観察する確認用カメラ(図示省略)と、ボンディング位置でリードフレーム4のアイランド部5を観察する確認用カメラ(図示省略)とを備える。
【0004】
供給部2は半導体ウエハ6(図9参照)を備え、半導体ウエハ6が多数のチップ1に分割されている。すなわち、ウエハ6は粘着シート(ダイシングシート)に貼り付けられ、このダイシングシートが環状のフレームに保持される。そして、このダイシングシート上のウエハ6に対して、円形刃(ダイシング・ソー)等を用いて、個片化してチップ1を形成する。また、コレット3を保持しているボンディングアームは搬送手段を介して、ピックアップ位置とボンディング位置との間の移動が可能となっている。
【0005】
また、このコレット3は、その下端面に開口した吸着孔を介してチップ1が真空吸引され、このコレット3の下端面にチップ1が吸着する。なお、この真空吸引(真空引き)が解除されれば、コレット3からチップ1が外れる。
【0006】
次にこのボンディング装置を使用したボンディング方法を説明する。まず、供給部2の上方に配置される確認用カメラにてピックアップすべきチップ1を観察して、コレット3をこのピックアップすべきチップ1の上方に位置させた後、矢印Aのようにコレット3を下降させてこのチップ1をピックアップする。その後、矢印Bのようにコレット3を上昇させる。
【0007】
次に、ボンディング位置の上方に配置された確認用カメラにて、ボンディングすべきリードフレーム4のアイランド部5を観察して、コレット3を矢印C方向へ移動させて、このアイランド部5の上方に位置させた後、コレット3を矢印Dのように下降移動させて、このアイランド部5にチップ1を供給する。また、アイランド部5にチップ1を供給した後は、コレット3を矢印Eのように上昇させた後、矢印Fのように、ピップアップ位置の上方の待機位置に戻す。
【0008】
すなわち、コレット3を、順次、矢印A、B、C、D、E、Fのように移動させることによって、ピックアップ確認用カメラの観察に基づいて位置決めされたチップ1をコレット3でピックアップし、このチップ1をアイランド部5に実装することになる。
【0009】
ところで、多数個のチップを保持しているフレームは、例えば、XYテーブル等に保持され、このテーブルを移動させることによって、ピックアップすべきチップをピックアップ位置に位置させる。
【0010】
そのため、ピックアップすべきチップを順次ピックアップ位置に位置させるため、XYテーブルを移動させる必要がある。従って、XYテーブルを効率よく移動させていかなければ、全チップをピックアップする作業時間が大となる。そこで、従来では、チップ配列の乱れ等による作業能率の低下や取り残し等の問題を改善しようとしたものがある(特許文献1)。
【0011】
この特許文献1に記載のものは、ピックアップの優先順位テーブルを作成し、このテーブルの優先順位に従ってチップをピックアップしていくことになる。この場合、ピックアップが左取りの場合の優先順位テーブルと、ピックアップが右取りの場合の優先順位テーブルとがある。
【0012】
この特許文献1に記載のボンディング方法は、まず左取り優先順位テーブルに従って、位置記憶テーブルの良品チップの存在を検索し、良品チップが存在したならば、その位置記憶テーブルに記憶されている位置ズレ量ステージを移動させてその良品チップをピックアップする。そして、左側に良品チップが存在しない場合には右取り優先順位テーブルに従って位置記憶テーブルにより良品チップの検索ピックアップを行う。従って左取り又は右取りのピックアップ進行方向とピックアップ列の制御は優先順位テーブルと位置記憶テーブルによってなされる。
【0013】
また、認識範囲内すなわち位置記憶テーブル内に良品チップの情報が存在しない場合には、チップ記憶テーブルを参照し、以前に良品チップと認識されたチップ位置にXYステージが移動する。この移動は現在ステージ位置から最も近い良品チップの位置が選択される。チップ記憶テーブル内にも良品チップが存在しない場合このウエハについてピックアップが終了したものとする。
【0014】
良品チップがピックアップされたときにはチップ記憶テーブルのピックアップ状況は済の標識が付される。ピックアップ作業を数回実行したけれども粘着シートの粘着力のバラツキなどによりピックアップできなかったときは、チップ記憶テーブルのピックアップ状況を済の標識に修正しそのチップのピックアップ作業を中止して取り残すとともに次回のピックアップ作業は禁止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特公平7−22166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、特許文献1に記載のものでは、チップの位置決めを行う際のXYテーブルは、X方向及びY方向の移動回数としてほぼ同一となる。ところが、ヒップアップするチップには、縦方向(Y方向)が横方向(X方向)よりも長い縦長タイプと、横方向(X方向)が縦方向(Y方向)よりも長い横長タイプとがある。縦長タイプの場合、Y方向の移動ピッチがX方向の移動ピッチよりも大きくなる。また、横長タイプの場合、X方向の移動ピッチがY方向の移動ピッチよりも大きくなる。
【0017】
このため、縦長タイプのチップを前記特許文献1に記載のようなピックアップ装置を用いてピックアップ作業を行った場合、Y方向の移動時間が大であるので、テーブル移動と認識処理との時間(処理時間)が大となり、コレットによるボンディングサイクル時間内に前記処理時間が収まらず、コレットによるボンディング工程に待ち時間が生じる。このため、全体としての工程時間が大となって作業能率の低下を招くことになる。
【0018】
逆に、横長タイプのチップをピックアップする場合、X方向の移動時間が大であるので、テーブル移動と認識処理との時間(処理時間)が大となり、コレットによるボンディングサイクル時間内に前記処理時間が収まらず、縦長タイプの場合と同様、全体としての工程時間が大となって作業能率の低下を招くことになる。
【0019】
また、撮像画像に含まれる同一チップ位置について画像処理を重複して実行するので、撮像画像に含まれるチップ位置数を増加させると、画像処理時間が長くなり、処理効率が低下することになる。
【0020】
そこで、本発明は斯かる実情に鑑み、縦長タイプのチップであっても、横長タイプのチップであっても効率よくピックアップして行くことができ、また、画像処理の効率化を図ることが可能なボンディング方法及びボンディング装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明のボンディング方法は、X方向である横方向の移動とこのX方向に対して直交するY方向である縦方向の移動とに保持テーブルを移動させることによって、保持テーブル上のチップを順次ピックアップ位置に位置させてコレットにてピックアップしていくボンディング方法であって、テーブル横方向の移動回数がテーブル縦方向の移動回数よりも多くなる縦長チップ用ピックアップ順番の設定と、テーブル縦方向の移動回数がテーブル横方向の移動回数よりも多くなる横長チップ用ピックアップ順番の設定とを行い、縦方向寸法が横方向寸法よりも大きい縦長チップに対して、前記縦長チップ用ピックアップ順番に従ってピックアップし、横方向寸法が縦方向寸法よりも大きい横長チップに対して、前記横長チップ用ピックアップ順番に従ってピックアップするものである。
【0022】
本発明のボンディング方法によれば、縦方向寸法が横方向寸法よりも大きい縦長チップに対しては、テーブル横方向の移動回数がテーブル縦方向の移動回数よりも多くなる縦長チップ用ピックアップ順番にて行うことになる。このため、テーブル移動と認識処理との時間(処理時間)が大となるテーブル縦方向の移動回数を少なくでき、全チップをピックアップする際のコレットによるボンディング工程に待ち時間を少なくできる。また、横方向寸法が縦方向寸法よりも大きい横長チップに対しては、テーブル縦方向の移動回数がテーブル横方向の移動回数よりも多くなる横長チップ用ピックアップ順番にて行うことになる。このため、テーブル移動と認識処理との時間(処理時間)が大となるテーブル横方向の移動回数を少なくでき、全チップをピックアップする際のコレットによるボンディング工程の待ち時間を少なくできる。
【0023】
一度画像処理を行ったチップに対して画像処理を行なわないのが好ましい。このような画像処理を行うことによって、すでに画像処理を行ったチップに対して再度画像処理を行わなくて済む。つまり無駄な画像処理を行わなくてもよい。
【0024】
縦長チップ用ピックアップ順番および横長チップ用ピックアップ順番は、ピックアップの際に観察される画像内におけるピックアップ対象の外周のチップに決められる順番であるのが好ましい。このような順番を設定することによって、次にピックアップすべきチップの決定が安定する。
【0025】
本発明のボンディング装置は、前記ボンディング方法を用いたものである。このため、全チップをピックアップする際のコレットによるボンディング工程の待ち時間を少なくできる。
【発明の効果】
【0026】
本発明のボンディング方法では、全チップをピックアップする際のコレットによるボンディング工程の待ち時間を少なくでき、1ウエハトータルの処理時間を短縮でき、生産性の向上を図ることができる。
【0027】
一度行った画像処理エリア内に含まれるチップに対する画像処理を行なわないものでは、無駄な画像処理を行わなくてもよく、全体としての工程時間の短縮化を図ることができる。
【0028】
順番が、ピックアップ対象の外周のチップに決められる順番であれば、ピックアップすべきチップの決定が安定して、効率よいピックアップ動作が可能となる。
【0029】
本発明のボンディング装置は、1ウエハトータルの処理時間を短縮でき、生産性の向上を図ることができ、作業効率の優れた半導体製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態を示すボンディング方法のピックアップ順番を示す簡略図である。
【図2】本発明のボンディング装置を示す斜視図である。
【図3】前記ボンディング方法におけるピックアップ優先順位テーブルを示し、(a)は縦長チップに対する順位配置図であり、(b)は横長チップに対する順位配置図である。
【図4】本発明のボンディング装置の制御部の簡略ブロック図である。
【図5】前記ボンディング方法のフローチャート図である。
【図6】横長チップをピックアップする順番を示す簡略図である。
【図7】縦長チップや横長チップを考慮しないピックアップする順番を示す簡略図である。
【図8】ボンディング方法を示す簡略図である。
【図9】チップを示す簡略斜視図である。
【0031】
以下本発明の実施の形態を図1〜図7に基づいて説明する。
【0032】
図2は本発明に係るボンディング装置を示し、このボンディング装置は、リードフレーム24にチップ21を実装するボンディングを行うものである。
【0033】
このようなボンディング装置は、供給部22のチップ21を吸着するコレット23を有するボンディングアーム30と、供給部22のチップ21を観察する確認用カメラ26と、ボンディング位置でリードフレーム24のアイランド部25を観察する確認用カメラ32とを備える。
【0034】
供給部22は、ウエハ支持装置27に載置支持された半導体ウエハ28を備えるものである。半導体ウエハ28は環状フレーム35(図1等参照)に保持されている粘着テープに貼り付けられ、多数のチップ21に分割されている。また、コレット23はコレットホルダ29に連結され、このコレット23とコレットホルダ29等でボンディングアーム30が構成される。そして、このボンディングアーム30は搬送手段31を介して、ピックアップ位置とボンディング位置との間の移動が可能となっている。搬送手段31は、ボンディングアーム30をX、Y、θ及びZ方向に駆動させることができる。なお、ウエハ支持装置27は、例えば、XYテーブル40(図4参照)からなる保持テーブルにて構成できる。
【0035】
また、このコレット23は、その下端面に開口した吸着孔を介してチップ21が真空吸引され、このコレット23の下端面にチップ21が吸着する。なお、この真空吸引(真空引き)が解除されれば、コレット23からチップ21が外れる。
【0036】
次に、このボンディング装置を使用したボンディング方法を説明する。まず、供給部22の上方に配置される確認用カメラ26にてピックアップすべきチップ21を観察して、コレット23をこのピックアップすべきチップ21の上方に位置させた後、このコレット23を下降させてこのチップ21をピックアップする。この際、XYテーブルをX方向及び/Y方向に移動させることによって、ピックアップすべきチップ21をピックアップ位置に位置させる。ここで、ピックアップ位置とは、コレット23が下降してチップ21を吸着できる位置である。
【0037】
また、ボンディング位置の上方に配置された確認用カメラ32にて、ボンディングすべきリードフレーム24のアイランド部25を観察して、矢印A1に示すように、このアイランド部25上にコレット23を移動させ、その後コレット23を下降させてアイランド部25にチップ21を供給する。
【0038】
コレット23の動作とXYテーブル40との動作とは図4に示す制御手段50にて制御することになる。制御手段50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を中心としてROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等がバスを介して相互に接続されたマイクロコンピューターである。なお、ROMには、CPUが実行するプログラムやデータが格納されている。
【0039】
ところで、チップ21には、X方向である横方向よりもY方向(X方向に対して直交する方向)である縦方向が長いタイプ(縦長チップ21A)と、逆に、縦方向よりも横方向が長いタイプ(横長チップ21B)とがある。
【0040】
そこで、本発明では、縦長チップ21Aをピックアップする場合と、横長チップ21Bをピックアップする場合とで、ピックアップするチップの順番を相違させている。このため、図3(a)に示す縦長チップ用のピックアップ優先順位テーブルと、図3(b)に示す横長チップ用のピックアップ優先順位テーブルとを設定する。
【0041】
縦長チップ用のピックアップ優先順位テーブルは、図3(a)に示すように、ピックアップするチップ21(21A)を基準として、この周囲8個のチップ21Aにピックアップ優先順位を設定している。すなわち、各チップ21Aに付設されている番号が順位を表している。この場合、まず、Sのチップ21Aをピップアップした状態で、番号1の位置にピックアップすべきチップ21Aがあれば、このチップ21Aをピックアップすることになる。番号1の位置にピックアップすべきチップ21Aがなければ、番号2の位置のピックアップすべきチップ21Aをピックアップすることになる。また、番号2の位置にピックアップすべきチップ21Aがなければ、番号3の位置のピックアップすべきチップ21Aをピックアップすることになる。このように、番号1の位置のチップ21Aが最優先のチップで、以下順次若い番号のチップを優先してピックアップすることになる。
【0042】
横長チップ用のピックアップ優先順位テーブルは、図3(b)に示すように、ピックアップするチップ21(21B)を基準として、この周囲8個のチップ21Bにピックアップ優先順位を設定している。この場合も、番号1の位置のチップ21Bが最優先のチップで、以下順次若い番号のチップ21Bを優先してピックアップすることになる。
【0043】
このため、ピックアップ位置での確認用カメラ26は、ピックアップすべきチップ21(ピックアップ対象チップ)を基準(中心)に周り8個のチップ21の観察(撮像)が可能である。そして、この撮像によって、ピックアップ対象チップ21及び各番号のチップ21を観察することになる。前記ピックアップすべきチップとは、この観察によって製品として良品と判断されたものである。
【0044】
つまり、ピックアップすべきチップ21は、図3(a)(b)に示すように、3行3列の9個のチップに対して、前記制御手段50にて画像処理が施される。すなわち、良品か否か、及び各配置位置にチップが存在するか否かが判断される。そして、この判断データが制御手段50の記憶部に記憶される。この場合、XYテーブルにはXY座標軸があり、この記憶されたチップがこのXY座標上のいずれの位置にあるかが記憶される。このため、一度画像処理がなされたチップデータは記憶され、再度画像処理を行う必要がない。
【0045】
次に、このボンディング装置を用いてチップ21をピックアップする方法を説明する。まず、図5のステップS1に示すように、ピックアップするチップ21が縦長チップか否かを判断する。ステップS1でピックアップするチップ21が縦長チップ21Aと判断した場合、ステップS2へ移行して縦長チップ用ピックアップ順番でのピックアップを開始する。ステップS1でピックアップするチップ21が横長チップと判断した場合、ステップS3へ移行して横長チップ用ピックアップ順番でのピックアップを開始する。
【0046】
縦長用ピックアップ順位でピックアップする方法を説明する。この場合、図1に示すように、ウエハ6の中央のチップ21A(図1のSのチップ)のピックアップから始める。このため、このSのチップ21Aと、このチップ21Aの周りの8個のチップ21Aの画像処理を行う。なお、このスタート位置にはチップ21Aが存在し、かつこのチップ21Aが良品とする。また、図1に示すウエハ6においては、不良のチップ21Aが存在せず、チップ21Aが無い領域(チップ無領域)が2箇所存在するものとする。
【0047】
Sのチップ21Aをピックアップした後、次にピックアップするチップ21Aは、図3(a)のテーブルの順位に従って、番号1のチップ21Aとなる。Sのチップ21Aをコレット23にてピックアップしてこのチップ21Aをボンディング位置に搬送して、ボンディングし、再度コレット23をピックアップ位置に戻す間に、XYテーブル40を駆動させてこの番号1のチップ21A(y1のチップ)をピックアップ位置に位置させる。すなわち、Y方向にテーブルを移動させる。そして、このチップ21Aをピックアップする。なお、この図1において、Sを基準としてピックアップするチップに対する移動方向であって、実際のテーブル40の移動は矢印と逆方向である。また、Sのチップ21Aを撮像した際には、y23,y1,y17、y22,y20、x37、y21、x36の位置の画像処理が行われる。そして、これらの画像処理データが記憶部に記憶される。
【0048】
その後は、y1の位置が基準となって、このy1の周りである、y24、y2、x19、y23、y17、y22、S,y20の位置のチップを撮像することになる。しかしながら、前回の撮像において、y23,y1,y17、y22,y20、x37、y21、x36の位置の画像処理が行われているので、今回の撮像において、一度画像処理を行ったチップに対して画像処理を行なわない。このため、y24,2y、19xのみの画像処置を行うことになる。
【0049】
そして、y1のチップ21Aをピックアップした後は、同様に、図3(a)に示すテーブルに従って、次にピックアップするチップ21Aが決定され、このチップ21Aがピックアップされる。以後同様の動作が行われる。
【0050】
この図1に示すものでは、ピックアップする順番は、y1→y5→x1→x4→y6→x5→x6→y7→x7→x8→y8→x9→y9→x10→x11→y10→x12→y11→x13→x15→y12→y14→x16→x17→y15→x18→y16→x19→y17→x20→y18→x21→x28→y19→x29→x36→y20→y21→x37→y22→y27→x38→x40→y28→x41→x42→y29→x43→x45→y30→x46→y31→y32→x47→x50→y33→x51→x55→y34→y35→x56→y36→x57→y37→x58→y38→x59→x64→y39→y40→x65→x75→y41→x76→x86→y42→y43→x87→x92→y44→x93→y45→x94→x96→y46→x97→x98→y47→x99→x110→y48→x111→x118となる。
【0051】
すなわち、Y方向の移動を48回行うとともに、X方向の移動を118回行うことになる。また、斜め方向や隣接しない位置に対する移動を6回行うことになる。このような移動を行えば、この図1に示す縦長チップ21Aを全てピックアップすることができる。そして、図5のステップS3に示すように、全てのチップのピックアップが終了か否かを判断して、終了していれば、このピックアップ作業が終了する。このように、縦長チップ21Aをピックアップする場合、テーブル横方向の移動回数がテーブル縦方向の移動回数よりも多くなる縦長チップ用ピックアップ順番にて行うことになる。
【0052】
次に、横長用ピックアップ順位でピックアップする方法を説明する。この場合も、図6に示すように、ウエハ6の中央のチップ21B(図6のSのチップ)のピックアップから始める。この場合も、このSのチップ21Bと、このチップ21Bの周りの8個のチップ21Bの画像処理を行う。このスタート位置にはチップ21Bが存在し、かつこのチップ21Bが良品とする。また、図6に示すウエハ6においては、不良のチップ21Bが存在せず、チップ21Bが無い領域(チップ無領域)が2箇所存在するものとする。なお、図6の図示では、チップが縦長タイプのように描いているが、実際には、横長タイプのチップである。
【0053】
そして、Sのチップ21Bをピックアップした後、次にピックアップするチップ21Bは、図3(b)のテーブルの順位に従って、ピックアップすることになる。具体的には、Sのチップ21をピックアップした後は、x1→x10→y1→y2→x11→y3→x12→y4→y5→x13→y6→y9→x14→y10→y12→x15→y13→y16→x16→y17→y20→x17→y21→y24→x18→y25→y28→x19→y29→y32→x20→y33→y38→x21→x30→y39→x31→x34→y40→x35→x37→y41→x38→x39→y42→x40→y43→x41→y44→y45→x42→y46→y48→x43→y49→y50→y51→y52→x44→y53→y55→x45→y56→y65→x46→y65→y75→x47→y76→y81→x48→y82→y86→x49→y87→y94→x50→x51→y95→y96→y102→x52→y103→y108→y109→y110→y113→y114となる。
【0054】
すなわち、Y方向の移動を114回行うとともに、X方向の移動を51回行うことになる。また、斜め方向や隣接しない位置に対する移動を6回行うことになる。このような移動を行えば、この図6に示す縦長チップ21Bを全てピックアップすることができる。そして、この図5に示す横長チップ21Bを全てピックアップすることができる。このため、図5のステップS4に示すように、全てのチップのピックアップが終了か否かを判断して、終了していれば、このピックアップ作業が終了する。このように、横長チップ21Bをピックアップする場合、テーブル縦方向の移動回数がテーブル横方向の移動回数よりも多くなる。
【0055】
本発明のボンディング方法では、縦方向寸法が横方向寸法よりも大きい縦長チップ21Aに対しては、テーブル横方向の移動回数がテーブル縦方向の移動回数よりも多くなる縦長チップ用ピックアップ順番にて行うことになる。このため、テーブル移動と認識処理との時間(処理時間)が大となるテーブル縦方向の移動回数を少なくでき、全チップ21をピックアップする際のコレット23によるボンディング工程の待ち時間を少なくできる。また、横方向寸法が縦方向寸法よりも大きい横長チップ21Bに対しては、テーブル縦方向の移動回数がテーブル横方向の移動回数よりも多くなる横長チップ用ピックアップ順番にて行うことになる。このため、テーブル移動と認識処理との時間(処理時間)が大となるテーブル横方向の移動回数を少なくでき、全チップ21をピックアップする際のコレット23によるボンディング工程の待ち時間を少なくできる。
【0056】
このように、本発明のボンディング方法では、全チップ21をピックアップする際のコレットによるボンディング工程に待ち時間を少なくでき、1ウエハトータルの処理時間を短縮でき、生産性の向上を図ることができる。
【0057】
すでに画像処理を行ったチップに対して再度画像処理を行わなくて済む。つまり無駄な画像処理を行わなくてもよいので、全体としての工程時間の短縮化を図ることができる。
【0058】
縦長チップ用ピックアップ順番および横長チップ用ピックアップ順番は、ピックアップの際に観察される画像内におけるピックアップ対象の外周のチップに決められる順番であるので、次にピックアップすべきチップの決定が安定する。
【0059】
本発明のボンディング装置は、前記ボンディング方法を用いたものである。このため、全チップをピックアップする際のコレットによるボンディング工程の待ち時間を少なくできる。
【0060】
ところで、図7は縦長チップ用のピックアップ優先順位テーブルと、横長チップ用のピックアップ優先順位テーブルとを設けない場合のピックアップ順番を示している。この場合、優先順位テーブルとして、特許文献1に記載のテーブルを用いた。
【0061】
この場合、Sのチップ21をピックアップした後は、y1→y5→x1→x4→y6→x5→x6→y7→x7→x8→y8→x9→y9→y10→x10→y11→x11→y12→y13→x12→y14→x13→x14→y15→x15→x16→y16→x17→x18→y17→y21→x19→x20→y22→y27→x21→x23→y28→x24→x25→y29→x26→x27→y30→x28→y31→y32→x29→y33→x30→y34→y35→x31→y36→x32→x33→y37→y38→x34→x36→y39→y41→x37→y42→y43→x38→y44→y45→x39→x40→y46→x41→x42→y47→y48→x43→y49→x44→x46→y50→y51→x47→x50→y52→y56→y57→x51→y58→x52→x53→y59→x54→y60→y61→x55→x56→y62→x57→x58→y63→y64→x59→y65→x60→x61→y66→y67→x62→y68→y69→x63→x68→y70→y71→x69→y72→x70→y73→y74→x71→y75→y76→x72→x81→y77→x82→x89となる。
【0062】
すなわち、Y方向の移動を77回行うとともに、X方向の移動を89回行えば、この図7に示すチップ21を全てピックアップすることができる。しかしながら、X方向の移動とY方向の移動とはあまり差が生じない。このため、この方法で、縦長チップ21Aをピックアップしても、横長チップ21Bをピックアップしても、チップをピックアップする際のコレットによるボンディング工程の待ち時間を少なくできない。
【0063】
しかも、図7に示すように、斜め方向や隣接しない位置に対して移動する回数も多くなって、より一層作業時間の長時間化を招くことになる。図7に示す場合、斜め方向や隣接しない位置に対して移動する回数は11回である。これに対して、図1に示す場合、斜め方向や隣接しない位置に対して移動する回数は6回であり、図6に示す場合、斜め方向や隣接しない位置に対して移動する回数は6回である。
【0064】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、例えば、ピックアップ優先順位テーブルとして、前記実施形態では、縦長チップ21Aでは図3(a)の順位とし、横長チップ21Bでは図3(b)の順位としたが、これに限るものではない。要は、縦長チップ21Aの場合、XYテーブルの縦方向の移動回数が横方向の移動回数よりも少なく、横長チップ21Bの場合、XYテーブルの横方向移動が縦方向の移動回数よりも少なくなればよい。なお、これらの順位テーブルは、経験則や予めのシュミューレーション等によって設定できる。
【0065】
一枚のウエブ6から個片化されてなるチップ21の数は、前記実施形態の数に限定されるものではなく、また、前記実施形態では、3行3列の合計9個のチップ21の撮像が可能であったが、9個以上の撮像が可能であってもよい。
【符号の説明】
【0066】
21 チップ
21A 縦長チップ
21B 横長チップ
23 コレット
40 保持テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X方向である横方向の移動とこのX方向に対して直交するY方向である縦方向の移動とに保持テーブルを移動させることによって、保持テーブル上のチップを順次ピックアップ位置に位置させてコレットにてピックアップしていくボンディング方法であって、
テーブル横方向の移動回数がテーブル縦方向の移動回数よりも多くなる縦長チップ用ピックアップ順番の設定と、テーブル縦方向の移動回数がテーブル横方向の移動回数よりも多くなる横長チップ用ピックアップ順番の設定とを行い、縦方向寸法が横方向寸法よりも大きい縦長チップに対して、前記縦長チップ用ピックアップ順番に従ってピックアップし、横方向寸法が縦方向寸法よりも大きい横長チップに対して、前記横長チップ用ピックアップ順番に従ってピックアップすることを特徴とするボンディング方法。
【請求項2】
一度画像処理を行ったチップに対して画像処理を行なわないことを特徴とする請求項1に記載のボンディング方法。
【請求項3】
縦長チップ用ピックアップ順番および横長チップ用ピックアップ順番は、ピックアップの際に観察される画像内におけるピックアップ対象の外周のチップに決められる順番であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のボンディング方法。
【請求項4】
前記請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のボンディング方法を用いたことを特徴とするボンディング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−42038(P2013−42038A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179022(P2011−179022)
【出願日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(000110859)キヤノンマシナリー株式会社 (179)
【Fターム(参考)】