説明

ポリサルファイド系硬化性組成物

【課題】高温高湿度環境においても作業に必要な可使時間を確保できると共に、硬化時の発泡が著しく改善された、作業性のバランスに優れたポリサルファイド系硬化性組成物を提供すること。
【解決手段】(A)ポリサルファイドエーテルポリマーと、(B)末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーおよび/またはポリイソシアネート化合物と、(C)有機錫化合物と有機カルボン酸金属塩(特に有機カルボン酸アルカリ土類金属塩)とを含んでなる硬化触媒とを含んでなる硬化性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリサルファイド系硬化性組成物、さらに詳しくは、高温高湿度環境においても作業に必要な可使時間を確保することができると共に、硬化時の発泡が著しく抑制された、特にシーリング材として有用なポリサルファイド系硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリサルファイド系硬化性組成物において、特に高温高湿度環境では硬化剤成分のイソシアネート基と作業環境中あるいは部材中の水分との反応により炭酸ガスが発生し、表面が過度に膨れる発泡現象が、意匠上、防水上、接着強度上の問題となっていた。また、ポリサルファイド系シーリング材は、石目地やタイル目地等の比較的容量の小さい目地に使用されることが多く、単位時間当たりに施工できるシーリング材量が少ないので、基剤と硬化剤を混合後2時間以上の可使時間が要求されている。
【0003】
しかしながら、高温高湿度環境における発泡現象を抑制するために触媒を増量する等して反応速度を調整すると、基剤/硬化剤混合後の増粘速度が速くなり、必要な可使時間が確保できず作業性を著しく低下させてしまう。また、可使時間を確保するために触媒を減量し反応速度を遅らせると、イソシアネートと水分との反応が相対的に増加し、発泡性に悪影響を及ぼす。
【0004】
このような現状において、発泡を抑制し、可使時間を確保する手段として、特開平10−121031(特許文献1)では3級アミンおよび/または有機金属化合物からなる硬化触媒と、硬化遅延剤として酸性リン酸エステルを含有させることが提案されているが、貯蔵後では効果が低減する、真夏の高温高湿度環境では十分な効果が得られない、等の問題があった。また、特開2000−273438(特許文献2)では、特定のイソシアネート化合物とイソシアネート基/チオール基との比率を限定し、反応遅延剤を含有させることが提案されているが、やはり真夏の厳しい環境では可使時間と発泡性のバランスを調整することは困難であった。
【特許文献1】特開平10−121031号公報
【特許文献2】特開2000−273438号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、高温高湿度環境においても作業に必要な可使時間を確保できると共に、硬化時の発泡が著しく改善された、作業性のバランスに優れたポリサルファイド系硬化性組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を進めた結果、ポリサルファイド系硬化性組成物において、硬化触媒として有機錫化合物と有機カルボン酸金属塩とを併用することで、高温高湿度環境等の悪条件下においても必要な可使時間を確保できると共に、イソシアネートと水分の反応を抑え、発泡を著しく抑制できることを見出した。
【0007】
本発明は、上述の知見に基づき完成されたもので、以下の好適な実施態様を含む:
〔1〕(A)ポリサルファイドエーテルポリマーと、
(B)末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーおよび/またはポリイソシアネート化合物と、
(C)有機錫化合物と有機カルボン酸アルカリ土類金属塩とを含んでなる硬化触媒と
を含んでなる硬化性組成物、
〔2〕有機カルボン酸アルカリ土類金属塩が、有機カルボン酸バリウムおよび/または有機カルボン酸カルシウムである上記〔1〕に記載の硬化性組成物、
〔3〕(D)ポリオールをさらに含んでなる上記〔1〕または〔2〕に記載の硬化性組成物、
〔4〕(D)ポリオールの配合量が(A)ポリサルファイドエーテルポリマー100重量部に対し、20〜450重量部である上記〔3〕に記載の硬化性組成物、
〔5〕(D)ポリオールが、ポリオキシアルキレンポリオールである上記〔3〕または〔4〕に記載の硬化性組成物、
〔6〕(1)(A)ポリサルファイドエーテルポリマーと、
(C)有機錫化合物と有機カルボン酸アルカリ土類金属塩とを含んでなる硬化触媒と
を含んでなる基剤、並びに
(2)(B)末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーおよび/またはポリイソシアネート化合物を含んでなる硬化剤
より構成される2成分形硬化性組成物、
〔7〕基剤(1)が(D)ポリオールをさらに含んでなる上記〔6〕に記載の硬化性組成物、
〔8〕(1)基剤と(2)硬化剤を、100対10〜35の範囲から選択される少なくとも一つの重量比で計量混合し、φ45mm×h18mm円筒形容器に充填後、50℃雰囲気において24時間放置後の容器から膨出した硬化物の発泡高さが1.5mm以下であることを特徴とする上記〔6〕または〔7〕に記載の硬化性組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る硬化性組成物は、硬化触媒として有機錫化合物と有機カルボン酸金属塩(特に有機カルボン酸アルカリ土類金属塩)とを併用することにより、十分な硬化性を有すると共に、高温高湿度環境においても十分な可使時間を示すことができ、さらに、硬化時に著しく抑制された発泡性を示すことができる、作業性のバランスに優れたものである。したがって、本発明に係る硬化性組成物は、特に2成分形のポリサルファイド系シーリング材として好適に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に係る硬化性組成物は、(A)ポリサルファイドエーテルポリマーと、(B)末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーおよび/またはポリイソシアネート化合物と、(C)有機錫化合物と有機カルボン酸金属塩(特に有機カルボン酸アルカリ土類金属塩)とを含んでなる硬化触媒とを含んでなる。当該硬化性組成物は、好適には(D)ポリオールをさらに含んでなる。
【0010】
本発明で基剤として用いるポリサルファイドポリエーテルポリマー(A)(以下、単に「ポリサルファイドポリマー」と称す)とは、主鎖中に式:
−(RO)n−
〔式中、Rは炭素数2〜4のアルキレン基であり、nは6〜200の整数である〕で示されるポリエーテル部分と、式:
−(COC2mOC−Sx)− (a)
−(CHCH(OH)CH−Sx)− (b)
〔式中、mは1〜2の整数であり、xは1〜5の整数である〕で示される構造単位を含有し、かつ、末端に式:
−COC2mOC−SHおよび/または−CHCH(OH)CH−SH
〔式中、mは1〜2の整数である〕のチオール含有基を有するものを指称し、通常、数平均分子量600〜200000、好適には800〜50000のものを使用すればよい。市販品としては、東レファインケミカル(株)製の「LP−282」(数平均分子量3500)等が例示される。なお、かかるポリサルファイドポリマーにあって、上記のポリエーテル部と、構造単位(a)および(b)は任意の配列をとることができ、またそれらの占める割合は、ポリエーテル部分が2〜95%(重量%、以下同様)、構造単位(a):−(COC2mOC−Sx)−部分が3〜70%、および構造単位(b):−(CHCH(OH)CH−Sx)−部分が1〜50%となるのが好ましい。なお、ポリサルファイド結合Sxの含有量は1〜60%であるのが好ましい。
【0011】
本発明に係る硬化性組成物は、好適には、基材として上記ポリサルファイドポリマーに加えてポリオール(D)を含むことができる。この場合、高温高湿度環境において、特に優れた発泡性(非発泡性)、可使時間等の作業性のバランスを得ることができる。
上記ポリオールとしては、従来公知の各種ポリオール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ショ糖等の多価アルコールにプロピレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドとエチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドとを付加重合したポリエーテルポリオール類;エチレングリコール、プロピレングリコールおよびこれらのオリゴグリコール類;ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール類;ポリカプロラクトンポリオール類;ポリカーボネートポリオール類;ポリエチレンアジペート等のポリエステルポリオール類;ポリブタジエンポリオール類;ヒマシ油等のヒドロキシル基を有する高級脂肪酸エステル類;ポリエーテルポリオール類またはポリエステルポリオール類にビニルモノマーをグラフト化したポリマーポリオール類等)等が挙げられる。市販品としては、三洋化成工業(株)製「サンニックスPP3000」(分子量3000のジオール)等が例示される。これらは、単独で、または2種以上の混合物で使用してもよい。
上記ポリオールの配合量は、通常、ポリサルファイドポリマー(A)100部(重量部、以下同様)に対して20〜450部(好適には25〜300部)の範囲で選定することができる。20部未満では、可使時間の調整が困難になる虞があり、また450部を超えると、耐久接着性が低下する傾向にある。
【0012】
本発明に係る硬化性組成物は、末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーおよび/またはポリイソシアネート化合物(B)を硬化剤として用いる。
上記末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーとしては、例えば、各種のポリオールに対して過剰量のポリイソシアネートを反応(通常、OH/NCO=1/1.3〜1/3.0)させることによって製造されるものが挙げられる。好適には、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ショ糖等の多価アルコールにプロピレンオキサイドまたはプロピレンオキサイドとエチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドとを付加重合したポリエーテルポリオール類;エチレングリコール、プロピレングリコールおよびこれらのオリゴグリコール類;ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール類;ポリカプロラクトンポリオール類;ポリカーボネートポリオール類;ポリエチレンアジペート等のポリエステルポリオール類;ポリブタジエンポリオール類;ヒマシ油等のヒドロキシル基を有する高級脂肪酸エステル類;ポリエーテルポリオール類またはポリエステルポリオール類にビニルモノマーをグラフト化したポリマーポリオール類等が挙げられる。これらは、単独で、または2種以上の混合物で使用してもよい。
上記ポリイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族、脂肪族または脂環族に属する任意のものが使用される。好適には、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、粗製TDI、粗製MDI、ポリメチレン・ポリフェニルイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、これらのイソシアヌレート化物、カルボジイミド化物、ビューレット化物等が挙げられる。これらは、単独で、または2種以上の混合物で使用してもよい。
上記硬化剤の配合量は、硬化剤中のイソシアネート基(NCO)と基剤中のチオール基(SH)および水酸基(OH)の当量比(NCO)/(SH+OH)が0.8〜1.7(好適には1.0〜1.3)の範囲になるように設定される。0.8未満では、硬化物の物性が低下し、表面タックが強くなり、一方、1.7を超えると、発泡の抑制が困難となるので好適でない。
【0013】
本発明に係る硬化性組成物における硬化触媒(C)は、有機錫化合物と有機カルボン酸金属塩とを含んでなる。すなわち、本発明においては、有機錫化合物と有機カルボン酸金属塩とを硬化触媒として併用する。
上記有機錫化合物としては、例えば、オクチル酸錫、ナフテン酸錫、ステアリン酸錫、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジバーサテート、ジブチル錫ビストリエトキシシリケート、ジブチル錫ジオレイルマレート、ジブチル錫ジアセテート、1,1,3,3−テトラブチル−1,3−ジラウリルオキシカルボニル−ジスタノキサン、ジブチル錫オキシビスエトキシシリケート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルとの反応物、ジブチル錫オキサイドとマレイン酸ジエステルとの反応物、ジブチル錫ジアセチルアセトナート等が好適である。市販品としては、日東化成(株)製「ネオスタンU−360」等が例示される。これらは、単独で、または2種以上の混合物で使用してもよい。
【0014】
上記有機錫化合物と併用する有機カルボン酸金属塩としては、例えば、有機カルボン酸バリウム、有機カルボン酸カルシウム、有機カルボン酸マグネシウム、有機カルボン酸ストロンチウム、有機カルボン酸チタン、有機カルボン酸ジルコニウム、有機カルボン酸亜鉛、有機カルボン酸鉄等が挙げられる。ここで有機カルボン酸としては、オクチル酸、ネオデカン酸、ナフテン酸等が挙げられる。これらは、単独で、または2種以上の混合物で使用してもよい。中でも有機カルボン酸アルカリ土類金属塩が好ましく、特に有機カルボン酸バリウムおよび/または有機カルボン酸カルシウムが望ましい。有機カルボン酸バリウムおよび有機カルボン酸カルシウムとしては、オクチル酸、ネオデカン酸、ナフテン酸等のバリウム塩、カルシウム塩、特にオクチル酸バリウム、オクチル酸カルシウムが好適である。また、さらにアミン系触媒を併用してもよい。
【0015】
有機錫化合物の使用量は、基剤成分(ポリサルファイドポリエーテルポリマー(A)および存在する場合にはポリオール(D)も含める)全量中に通常0.01〜3.0重量%、好適には0.02〜2.0重量%の範囲になるように選定することができる。使用量が0.01重量%に満たないと、硬化速度が十分でなく、物性低下、発泡、次工程の遅れ等の不具合が生じることがあり、また、使用量が3.0重量%を超えると、硬化速度が速すぎ、十分な可使時間が確保できない傾向にある。
また、有機カルボン酸金属塩の使用量は、基剤成分(同上)全量中に通常0.01〜3.0重量%、好適には0.02〜2.0重量%の範囲になるように選定することができる。使用量が0.01重量%に満たないと、併用効果が十分でないことがあり、発泡性や可使時間が改善されず、また、使用量が3.0重量%を超えて配合しても改善効果に著しい差はみられない傾向にある。
【0016】
本発明に係る硬化性組成物は、上記の各成分に加えて、必要であれば、可塑剤、充填剤、老化防止剤、接着付与剤等の当該分野で既知の添加剤を含んでいてもよい。これらの使用量は、特に限定されず、当該分野で既知の適量範囲で使用することができる。
【0017】
上記可塑剤としては、例えば、フタル酸ジエステル類、エポキシ化ヘキサヒドロフタル酸ジエステル類、アルキレンジカルボン酸ジエステル類、アルキルベンゼン類等が挙げられ、それぞれ単独で、または混合して使用することができる。
【0018】
上記充填剤としては、例えば、重質炭酸カルシウム、脂肪酸処理炭酸カルシウム、ヒュームシリカ、沈降性シリカ、カーボンブラック、タルク、マイカ、クレーや、ガラスビーズ、シラスバルーン、ガラスバルーン、シリカバルーン、プラスチックバルーン、粉体コーティングプラスチックバルーン等のバルーン類、プラスチック粒子、ガラス繊維,金属繊維等の無機繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等の有機繊維、ホウ酸アルミニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、チタン酸カリウム、グラファイト、針状結晶性炭酸カルシウム、ホウ酸マグネシウム、二ホウ化チタン、クリソタイル、ワラストナイト等の針状結晶性フィラー、アルミフレーク、アルミ粉、鉄粉等が挙げられ、それぞれ単独で、または混合して使用することができる。
【0019】
その他の添加剤としては、例えば、着色剤(ベンガラ、酸化チタン、カーボンブラック、他の着色顔料、染料等)、有機溶剤(アセトン、メチルエチルケトン、リグロイン、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、n−ヘキサン、ヘプタンや、イソパラフィン系高沸点溶剤等)、密着剤(アミノシラン、メルカプトシラン、エポキシシラン等のシランカップリング剤、エポキシ化合物等)、紫外線吸収剤・光安定剤(ベンゾトリアゾール類、ヒンダードアミン類等)、酸化防止剤(ヒンダードフェノール類等)、揺変剤(コロイダルシリカ、有機ベントナイト、脂肪酸アマイド、水添ひまし油等)、溶剤(脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素等)等が挙げられる。
【0020】
本発明に係る硬化性組成物は、
(1)(A)ポリサルファイドエーテルポリマーと、
(C)有機錫化合物と有機カルボン酸金属塩(特に有機カルボン酸アルカリ土類金属塩)とを含んでなる硬化触媒と
を含んでなる基剤、並びに
(2)(B)末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーおよび/またはポリイソシアネート化合物を含んでなる硬化剤
より構成される2成分形硬化性組成物の態様でも使用することができる。好適には、基剤(1)は、(D)ポリオールをさらに含んでなる。さらに、基剤(1)は、上記各成分に加えて、上記充填剤等の添加剤を含むことができる。
【0021】
また、上記2成分形硬化性組成物は、好適には、基剤(1)と硬化剤(2)を、100対10〜35(好適には100対15〜25、特には100対23)の範囲から選択される少なくとも一つの重量比で計量混合し、φ45mm×h18mm円筒形容器(好適にはポリプロピレン製)に充填後、50℃雰囲気において24時間放置後の容器から膨出した硬化物の発泡高さが、好適には1.5mm以下、より好適には1.0mm以下である。
このような基剤と硬化剤の組み合わせが、特にシーリング材等として本発明の硬化性組成物をしようする場合に有用である。
【実施例】
【0022】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれによって何ら限定されるものではない。
〔実施例1〜4および比較例1〜3〕
下記表1に示す重量部の各成分を用い、基剤と硬化剤を均一混合してポリサルファイド組成物を製造した。なお、表1中のウレタンプレポリマーは、ポリプロピレングリコールとキシリレンジイソシアネートを(NCO)/(OH)が1.85になるように配合し、80℃にて14時間反応させることによって得られたものであって、NCO含有量は3.0%、粘度は16000mPa・sであった。
得られたポリサルファイド組成物について、それぞれ性能試験に供し、結果を表1に併記した。
【0023】
[評価方法]
1.発泡性
基剤と硬化剤を、100対23の重量比で計量混合し、φ45mm×h18mm円筒形容器(材質:ポリプロピレン)に充填後、50℃雰囲気において24時間放置後の容器から膨出したシーリング材硬化物の発泡高さを測定した。
2.可使時間
基剤と硬化剤を混合し、ポリシート上に厚さ約3mmに打設した。これを50℃雰囲気に放置し、一定時間ごとに指触し、指に付着しなくなるまでの時間を可使時間として測定した。可使時間としては2.0時間以上確保されれば現場における作業に支障をきたさない。
3.硬化性
基剤と硬化剤を混合し、20℃雰囲気に放置した。24時間後、稠度を測定した。測定稠度80以下の場合、シーリング材が硬化し、流動、付着、粘着がほとんどなく、ゴム弾性が発揮され、次工程が可能なまでに硬化した状態になるので、硬化性は良好と判断できる。
【0024】
【表1】

【0025】
表1の結果から、本発明の組成物(実施例1〜4)は、本発明によらない比較例とは異なり、優れた発泡性(非発泡性)、可使時間、硬化性等の作業性のバランスを有することが認められた。また、本発明の組成物(実施例1〜4)は、40℃・90%雰囲気における施工においても発泡はみられず、可使時間等の作業性も良好であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリサルファイドエーテルポリマーと、
(B)末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーおよび/またはポリイソシアネート化合物と、
(C)有機錫化合物と有機カルボン酸アルカリ土類金属塩とを含んでなる硬化触媒と
を含んでなる硬化性組成物。
【請求項2】
有機カルボン酸アルカリ土類金属塩が、有機カルボン酸バリウムおよび/または有機カルボン酸カルシウムである請求項1に記載の硬化性組成物。
【請求項3】
(D)ポリオールをさらに含んでなる請求項1または2に記載の硬化性組成物。
【請求項4】
(D)ポリオールの配合量が(A)ポリサルファイドエーテルポリマー100重量部に対し、20〜450重量部である請求項3に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
(D)ポリオールが、ポリオキシアルキレンポリオールである請求項3または4に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
(1)(A)ポリサルファイドエーテルポリマーと、
(C)有機錫化合物と有機カルボン酸アルカリ土類金属塩とを含んでなる硬化触媒と
を含んでなる基剤、並びに
(2)(B)末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーおよび/またはポリイソシアネート化合物を含んでなる硬化剤
より構成される2成分形硬化性組成物。
【請求項7】
基剤(1)が(D)ポリオールをさらに含んでなる請求項6に記載の硬化性組成物。
【請求項8】
(1)基剤と(2)硬化剤を、100対10〜35の範囲から選択される少なくとも一つの重量比で計量混合し、φ45mm×h18mm円筒形容器に充填後、50℃雰囲気において24時間放置後の容器から膨出した硬化物の発泡高さが1.5mm以下であることを特徴とする請求項6または7に記載の硬化性組成物。

【公開番号】特開2008−95038(P2008−95038A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−281233(P2006−281233)
【出願日】平成18年10月16日(2006.10.16)
【出願人】(305032254)サンスター技研株式会社 (97)
【Fターム(参考)】