説明

マイクロバブル発生装置

【課題】十分な圧力と水量が確保できにくい状況下であっても、外気導入と自発的キャビテーション効果によって微細泡を発生させるマイクロバブル発生装置を提供する。
【解決手段】微細気泡発生に伴う洗浄効果、あるいは人体における生理活性作用を利用し、外気導入と自発的キャビテーション効果によって微細泡を発生させ洗浄すべき対象物を水面に分離浮上することが出来る技術で、健康面に用いれば、微細泡の破裂時のバーストインパクトにより血行の改善等に効果を持つマイクロバブル発生装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ノズルキャビテーションを利用したマイクロバブル発生装置である。
【背景技術】
【0002】
水はあらゆる物質と化合しやすい特性を持つために洗浄目的で多用されている。洗浄を目的として日常的に水があらゆる場面で大量に消費されている。家庭において毎日のように入浴、洗濯、シャワーによる体洗浄、用便による下水への廃棄、加工品の生産後の洗浄、消費が繰り返されていると共に多くの洗浄能力向上のための溶剤、界面活性剤等化学薬品あるいはその化合物が使われている。特に強力な界面活性剤等を多量に使用した排水においては、廃水浄化処理装置内に使用される有用微生物類に大きなダメージを与え易く極端な場合には、有用微生物の全滅によって廃水処理の続行が不可能になることも予測される。
【0003】
微細泡発生の手段として機械的高速回転体によって気泡を拡散させる方式、水流を高速回転させる旋回裁断方式、気泡を超音波によって分断破裂させることによって微細泡にする方式、加圧溶解方式等幾多の方式がマイクロバブル技術として実施され活用されているが、微細泡を発生させる比較的装置が大掛かりであると思われる。本発明によるところの外気導入機能を有した微細泡発生装置は簡易な構造であり既存法に比べて小型に製造できる。
【非特許文献1】ベルヌーイの法則
【非特許文献2】JIS Z 8762−1995.
【非特許文献3】ヘンリーの法則
【非特許文献4】ベンチュリ管の応用
【非特許文献5】クーロンの法則
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
微細泡発生技術がマイクロバブル技術としてさまざまな水処理、養殖、洗浄分野で積極的に活用されるさまを呈しているが、微細泡を発生させるための装置が比較的装置が大掛かりであるように思われる。
【0005】
マイクロバブル発生に伴いその殆どの発生機構において、外部より吸気を行い吸気導入する大気を微量調整する必要があり、吸入気体量が過剰になるとマイクロバブルと呼べないほどの大きさの巨大泡が発生するのみである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
通常公共より供給される水道水を例に挙げるならば、一般家庭で最低水圧は1.7kg/平方センチメートル以上の水圧を保持している。水道蛇口として4箇所を設置したとして、風呂周りは毎分17リットル他の蛇口は毎分12リットル以上の水道水が供給される。本装置においては毎分4リットル以上の流水を確保できない場合、請求項1および請求項5の機能により、装置外より微量の大気を吸入し、請求項5に説明する、キャビテーション発生ノズル先端部に球状、半球状、円柱状等の空洞を設ける事によって請求項1〜4によって発生する陰圧を補填し、微細泡を発生することを可能とする。より水を供給することにより請求項1〜4項の条件を満たし外部より大気を吸入することなく所望の微細泡を発生させることが出来る。また、流水量が増大した場合に過剰な外気導入によって、目的外の巨大泡の発生を防ぐため外気導入量は精密に制限されている。
【発明の効果】
【0007】
一般的マイクロバブル発生装置のように吸気を必要とする事なく液体そのものが内包している溶存空気をベルヌーイの法則より導き出される高速流体の周りは気圧が下がる原理を応用することにより、液体流路中の流速を高めることにより、充分な流速を持つ液体流路中に流れに対し直交あるいは、仰角を持って円柱状の構造体に上部より微量の通気可能な管柱状の構造物を配置することによって、流路上流に面を持って流路障害物とし、流路下流に流路直交面に適当なる仰角を持って管柱状構造物に開口面を持ちキャビテーションを発生すると共に、キャビテーションによって、発生する陰圧を構造物開口部を含む空洞内に蓄積し液体流動物が容易に溶存空気を排出すべく蒸気圧以上の陰圧によってあるいは外気導入により陰圧を補填することによって、気泡を発生させる機能を有すると共に構造物下流に発生するカルマン渦によって管柱状構造物空洞内に超音波による空洞共振を発生させることにより液中混入気泡を制御する。本装置によって発生した微細泡は泡直径70ミクロン程度の大きさからカルマン渦の発生に伴い、気泡発生ノズルと泡の高速摩擦で発生した静電気によって泡表面がマイナス電位によって帯電するようになり、一般的に言うイオン化している状態となる。
【0008】
本装置によって発生した微細泡は泡直径70ミクロン程度の大きさから泡表面がマイナス電位によって帯電するようになり、一般的に言うイオン化している状態となる。マイナス傾向のイオン化は水分子構造から遊離水素H+を勘案するならば、OH−イオンが活性分子となって、界面活性作用等さまざまな化学変化に大きく影響する。また、クーロンの法則により同一極性を持つ微細泡同士は電荷の大きさに比例して相互反発することにより泡同士の合一成長は少ない。
【0009】
本装置によって発生した微細泡は制御可能であるが、直径30ミクロン前後の微細泡はその体積から水中における浮力が小さいため、水中残留時間が長く対電子としてのプラスイオンに選択的に付着していく。一般に汚れと言われる物質はプラスイオン傾向が強いと言われOH−によるマイナスイオン傾向による界面活性作用と対電子による相互吸引作用によって微細泡が汚れの周囲に数多く付着していくと共に微細泡が持っているマイナス電荷がプラスイオンによって中和消滅されることにより、複数の微細泡が合一成長し大きな浮力となって汚れと共に遊離浮遊してくる。
【0010】
本装置によって発生した微細泡は流水量が少ない場合に外部から微量吸気導入すると共に流水量の増大によって液体中溶存空気量に比例した微細泡を発生させる。液体溶存空気から分離混合した泡は時間経過と共に元の状態に戻るために時間経過と共に気泡の内容物である空気は液中に微量溶出して気泡の大きさが縮小して行き、途中マイクロバブルからナノサイズの気泡となって長時間に亘って存在する。また、外気導入によって発生した微細泡は液体の溶存空気量が不足している状態であれば短時間で液体中に溶解吸収されるが、飽和状態であれば液体中に長時間に亘って存在する。
【実施例】
【0011】
図1・1はオス螺子溝を有したキャビテーション発生ノズルであり、先端部に鋭いエッジ図1・2を有している。また、図1・7は図5あるいは図6・16流入水流において供給される水量と圧力に従い、その流入水流断面積を減少させると共に、流速を増大させる効果を持つことによってベルヌーイの法則に従い高速流体周辺の圧力低下に伴い図1・7の持つ空間内は流速に応じた陰圧を発生する効果を持つ。
【0012】
一般水道供給水量が例えば毎分4リットル程度の低水量であっても、図1・5キャビテーションノズル締め込み六角レンチ穴に所定の六角レンチを左右に回転することによって、図1・3キャビテーションノズルオス螺子部のピッチにより図5および図6・15通水管断面積を調整して、図1・2キャビテーション発生部における流速が毎秒8mを超える速度があれば図1・7キャビテーション発生空間内は相当の陰圧が発生し、図1・6キャビテーションノズル通気吸入穴より大気を吸引する。
【0013】
図1・6キャビテーションノズル通気吸入穴より供給される大気が過大な場合に発生する気泡は図5および図6・18流出水流中に本件が要求する微細気泡とは掛け離れた大きさの巨大泡が発生する。よって、図1・6キャビテーションノズル通気吸入穴に供給される吸引大気量調整のため、図1・4キャビテーションノズル擦り合わせ調整部の存在が必要となる。図1・4キャビテーションノズル擦り合わせ調整部は平滑な面で構成されており、図2エアー調整ロッドとの組み合わせにより機能する。
【0014】
図2・10は平滑面を有したテーパー状の構造であり、図2・11エアー調整ロッド締め込み六角レンチ穴に所定工具を左右に回転することによって図2・9エアー調整ロッドオス螺子部のピッチに従い図1・4キャビテーションノズル擦り合わせ調整部との嵌め合いによる微細隙間を持って大気の通過量を制限する。
【0015】
図3はキャビテーション発生ノズルとエアー調整ロッドの組み合わせ図であり、これらの構成部品は図4保持スリー部内に装填される。図4・12保持スリーブには図4・13エアー調整ロッドメス螺子部とキャビテーションノズルメス螺子部が設けてあり、螺子山に若干の差異を設けてある。キャビテーションノズルメス螺子部は通常螺子ピッチよりも細めのタップで螺子山を構成しており、図5および図6・15通水管内に設置された場合の水密性を高める効果がある。
【0016】
図4・13エアー調整ロッドメス螺子部は通常螺子ピッチよりも太めのタップで螺子山を構成しており、図4に従って組み合わせた場合に大きめの螺子山は図4・13エアー調整ロッドメス螺子部の螺子山傾斜面上端に圧接されて、図4・13エアー調整ロッドメス螺子部の螺子山傾斜面下端に通気路が確保されるため大気吸引時の通気路として使用する。
【0017】
図5および図6は全体構成図の上面図、側面図である。供給された図6・16流入水流は適当なる断面積に調整された図4・2キャビテーション発生部左側に進入し流速を増すことによって、図6・7キャビテーション発生空間中に陰圧を発生する。発生した陰圧を補填するために図4・13エアー調整ロッドメス螺子部螺子山傾斜面下端通気路を経由して供給される微量大気が水流中に混入され気液混合流となる。エアー調整ロッドを強く締めれば図4・4および10の空隙が小さくなり供給される導入大気量は減少することは言うまでも無い。
【0018】
図5・7キャビテーション発生空間中において気液混合された図6・16流入水は図4・2キャビテーション発生部右側において更に下流層を通過してきた図6・16流入水と混合される。また、図6・16流入水流の一部は図1・3キャビテーション発生ノズルオス螺子部の傾斜角度に従って図6・19上昇並行水流となって導水管内上昇流となると同時に多量のカルマン渦を発生させる。図1キャビテーション発生ノズルの外形の複雑さと高流速のためレイノルズ係数は数万以上の値となり、図5・17カルマン渦群を構成する。
【0019】
図5・17カルマン渦群において単体渦中心は渦外周よりも圧力が低く図5・2キャビテーション発生部通過後の気液混合水は一様に渦中心に引き込まれ、カルマン渦単体よりも大きな泡は近傍カルマン渦との渦中心競合引き込み現象により3次元的に裁断分割されて気泡直径の平均化が行われる。同時に高速度気液混合水がカルマン渦に引き込まれることによる過激なまでに受ける摩擦運動によって静電気の発生を促し、気泡表面は発生した静電気の電荷を帯びる。
【0020】
気液混合水の電気伝導度、誘電率を勘案すれば大きな電圧を発生する事無く、水の電気分解以下の電圧と見做す事が出来る電圧による静電気作用と解釈すれば、H+とOH−に分割され気泡表面はマイナス電荷を帯びた状態で一般的表現のマイナスイオンの泡であり、通過水は水素原子が多い水と表現できる。泡表面にマイナス電荷を持って気泡はクーロンの法則における同一電荷同士を持った物体間には反発力が働くことにより、反発力以上の大きな物理的力あるいは帯電電荷を中和する電荷の存在が存在しなければ、通常気液状態の遊離気泡状態で微細泡同士の合一成長は無い。
【0021】
既に述べてきた説明における条件は比較的低い供給水量について述べてきたが、毎分供給水量が大幅に増加した場合、例えば毎分6リットルあるいはそれ以上の水量が供給された場合、図6・7キャビテーション発生空間中に低水量時よりも大きな陰圧を発生する。発生した陰圧を補填するために図4・13エアー調整ロッドメス螺子部螺子山傾斜面下端通気路を経由して供給される微量大気が水流中に混入される許容量を超えた場合、流速は毎秒10mを超えた値と考えられる。この場合には、外気導入を図る必要が無く図6・2キャビテーション発生部において、通常大気圧下で水は1気圧、25℃の条件下では、8.11mg/L(飽和溶存酸素量)の酸素が溶け込むと定義され、窒素を含む大気組成から考えれば溶存空気量は30ppm程度存在すると考えられる条件において、自発的に水中溶存空気が大きな陰圧による減圧下での発泡現象が発生すると共に通常の外気導入による気液混合も平行して発生するために図6・18流出水流における液中微細泡存在率は飛躍的に向上する。
【0022】
一般的解釈として、水中にマイナス電荷を持った水酸基が存在することは、微細気泡よりもプラス電荷が存在すれば分子の安定を保つためにクーロンの法則に従い存在電荷間に引力が働く換言すれば、プラス電荷を持つものに引き寄せられて行く。微細気泡自体その微細体積により、内包する気体量は極微量で大きな浮力を持たない結果として水中残留時間が長いが、帯電電荷の中和が発生すればクーロンの法則による同電荷同士の反発力は打ち消され微細泡同士の合一成長が発生し表面体積の増大と共に内包気体量の増大と共に大きな浮力を発生し水面上に上昇する。
【0023】
外部より大気補給を行わないで溶存空気量に大きな加圧減圧を加えて発生させた微細気泡は一時的に水中溶存空気量が低下した水中に存在するため微細気泡内からの内包気体の溶出時間が若干早い。これは通常言われるマイクロバブルが速く縮小することを物語っている。マイクロバブルが縮小するとナノバブルといわれる極微小泡の状態であり内包気体が極限まで圧縮された状態できわめて長期に存在する。
【0024】
極めて小さなサイズの泡が大きな洗浄力を持ち、定着した汚れ等を剥離し、健康面においても肌の洗浄生理活性を行うなど、極めて自然環境を汚染する事無く生活面、産業界などにおいても利用価値の高い気泡の活用法であると思われる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】キャビテーションノズル
【図2】エアー調整ロッド
【図3】キャビテーションノズル、エアー調整ノズル組み合わせ図
【図4】保持スリーブ内組み合わせ図
【図5】水流上面図
【図6】水流側面図
【図7】水流流速測定図
【符号の説明】
【0026】
1 キャビテーションノズル
2 キャビテーション発生部
3 キャビテーションノズルオス螺子部
4 キャビテーションノズル摺り合わせ調整部
5 キャビテーションノズル締め込み六角レンチ穴
6 キャビテーションノズル通気吸入穴
7 キャビテーション発生空間
8 エアー調整ロッド
9 エアー調整ロッドオス螺子部
10エアー調整ロッド先端部
11エアー調整ロッド締め込み六角レンチ穴
12保持スリーブ
13エアー調整ロッドメス螺子部
14キャビテーションノズルメス螺子部
15通水管
16流入水流
17カルマン渦群
18流出水流
19上昇並行水流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
適当なる圧力を持って供給される液体を所望する孔径を有するオリフィス等介して高断面積を有する流路内に高速流体として噴射し、流路中最高流速を有する部位に最適なる傾斜角を有し、貫通空洞を持つ構造物、および空洞を持たない構造物を対面に1対として配置し、液体が既構造物を通過する際液体最高流速を著しく低下させる事無く、構造物空洞内およびその直近の下流側に液体蒸気圧以上の負圧を発生させる事によりキャビテーションを発生せしめ、液体中の溶存空気を抽出し微細なる気泡を気液混合液体として出力できる構造を有する装置。
【請求項2】
請求項1における流路中最高流速を有する部位に既構造物あるいは、空洞を設けない対なる既構造物によって、液体最高流速を著しく低下させる事無く直列、並列、放射状あるいは螺旋状に複数配置し、微細なる気泡を気液混合液体とする比率の向上、あるいは微細なる気泡の更なる微細化を目的とした気液混合液体として出力できる構造を有する装置。
【請求項3】
請求項1、2における気液混合高速流体が既構造物を通過する際、既構造物空洞内およびその直近の下流側に発生する液体蒸気圧以上の負圧の制御を行い、液体中の溶存空気抽出および混入気体流入量を制御し、既構造物空洞内に供給する気体量を制御する事によって、微細なる気泡の気泡径あるいは発生量を制御する目的でニードル弁等気体流量制御機構を付加、あるいは内包した構造を有し気液混合液体として出力できる構造を有する機構装置。
【請求項4】
図1・3および図2・8の間隙を可変構造とすることにより、発生気泡の直径を制御する構造とし液体流量あたりに混合する気体量制御と共に気液混合量を可変とする構造。
【請求項5】
洗浄等の目的を持って既装置稼動時、洗浄対象物に複数の請求項3の機構を用いることにより、多種の気泡を発生せしめ洗浄対象物の攪拌あるいは振動を与え、洗浄時間の短縮と効果的目的を持って多種気泡の発生を促す構造を有した機構装置。
【請求項6】
請求項1〜4における気液混合液体出力により供給される負荷側装置において、供給水入力開閉装置を有する液路を閉じた場合、構造物空洞内およびその直近の下流側に発生する液体蒸気圧以上の負圧環境が壊れ、気体流量制御機構よりの漏液を防止する目的であると共に気体流量制御機構の気体導入を兼ねる、気体の一方通行目的の逆止め機能を有する機構を付加、あるいは内包した構造装置。
【請求項7】
請求項1〜5を水処理装置における爆気、微細泡表面電荷を利用した界面活性作用による汚物分離、油水分離、微細泡表面電荷を利用した界面活性作用による入浴および入浴付加装置、体洗浄装置、洗濯装置、清掃事業装置、可変飽和濃度溶存酸素量を利用した養殖事業等に用いる事項。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−40448(P2012−40448A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−292241(P2008−292241)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【出願人】(595150906)
【出願人】(308041934)株式会社シバタ (2)
【上記1名の代理人】
【識別番号】100095751
【弁理士】
【氏名又は名称】菅原 正倫
【Fターム(参考)】