説明

マイクロ波画像のバックグラウンドノイズを最小にするシステムおよび方法

【課題】プログラム可能な反射板アレイを使用して捕捉されたマイクロ波画像のバックグラウンドノイズを最少にするシステムを提供すること。
【解決手段】マイクロ波源と、マイクロ波受信器と、各アンテナ素子が、ターゲットにマイクロ波放射を反射し、前記ターゲットから反射されたマイクロ波照明を前記マイクロ波受信器の方に反射するように位相ずれをプログラムされた反射板アンテナアレイと、前記複数のアンテナ素子に第1の位相ずれと第2の位相ずれをプログラムすることができ、前記それぞれの複数のアンテナ素子の前記第1の位相ずれと前記第2の位相ずれが180度異なるプロセッサとを具備し、前記プロセッサが、さらに、前記第1のマイクロ波画像と前記第2のマイクロ波画像の組み合わせからノイズを最小にするように動作可能である、マイクロ波画像形成システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ波画像のバックグラウンドノイズを最小にするシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロ波画像形成における最近の進歩により、物体や他の対象物(例えば、被験者)の二次元マイクロ波画像、さらには三次元マイクロ波画像を生成することができるマイクロ波画像形成システムの商業開発が可能になった。現在、使用可能ないくつかのマイクロ波画像形成技術がある。例えば、1つの技術は、マイクロ波検出器アレイ(今後「アンテナ素子」と呼ぶ)を使用して、人や他の対象物と関連付けられたターゲットから放射された受動的マイクロ波放射あるいはターゲットの能動的マイクロ波照明に応じてターゲットから反射された反射マイクロ波放射を捕捉する。アンテナ素子アレイをターゲットの位置に対して走査しかつ/または送信または検出されるマイクロ波放射の周波数(または波長)を調整することによって、人や他の対象物の二次元または三次元画像が構成される。
【0003】
マイクロ波画像形成システムは、一般に、対象物との間でマイクロ波放射を送信し、受信しかつ/または反射するための送信、受信および/または反射アンテナアレイを含む。そのようなアンテナアレイは、従来のアナログフェイズドアレイまたは二値反射板アレイを使用して構成することができる。いずれの場合も、アンテナアレイは、マイクロ波放射のビームを、以下でターゲットと呼ぶ対象物の画像内のボクセルに対応する三次元空間内のポイントに導く。これは、アレイ内の各アンテナ素子にそれぞれの位相ずれをプログラムすることによって達成される。プログラム可能なアンテナアレイの例は、「A Device for Reflecting Electromagnetic Radiation」と題する特許文献1と、「Broadband Binary Phased Antenna」と題する特許文献2に記載されている。
【0004】
反射板アンテナアレイを使用するとき、代表的なマイクロ波画像形成システムは、マイクロ波源、マイクロ波源と同じ場所に配置されたマイクロ波受信器、および1つまたは複数の反射板アンテナアレイを含む。マイクロ波源から送られたマイクロ波放射は、反射板アンテナアレイで受け取られ、アレイ内の各反射アンテナ素子にそれぞれの位相ずれをプログラムすることによってターゲットの方に反射される。同様に、ターゲットから反射されてアレイに受け取った反射マイクロ波放射は、個別の各反射アンテナ素子にそれぞれの位相ずれをプログラムすることによってマイクロ波受信器の方に反射される。マイクロ波受信器は、アレイ内の各アンテナ素子から反射された受信マイクロ波放射を組み合わせてターゲットにおける反射マイクロ波放射の実効強度値を生成し、この値は、対象物上のターゲットに対応するピクセル(2次元画素)またはボクセル(3次元画素)の値を表す。
【0005】
しかしながら、マイクロ波源からのマイクロ波放射の一部は、アレイで反射されず、ターゲットで反射することなくマイクロ波受信器の方に直接送られる。さらに、マイクロ波源からのマイクロ波放射の一部は、三次元空間内の様々な望ましくないポイント(例えば、画像形成する対象物上の他のターゲットまたは他の対象物)からアレイの方に散乱し、マイクロ波受信器に反射される。そのような漂遊マイクロ波放射は、バックグラウンドノイズ(「クラッタ」と呼ばれることもある)をもたらし、マイクロ波画像形成システムの信号ノイズ比(SNR)を低下させる。プログラム可能な反射板アレイを使用して捕捉されたマイクロ波画像のバックグラウンドノイズを最少にする機構が必要である。
【特許文献1】米国特許出願第10/997,422号明細書
【特許文献2】米国特許出願第10/997,583号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、マイクロ波源からのマイクロ波放射の一部は、アレイで反射されず、ターゲットで反射することなくマイクロ波受信器の方に直接送られる。さらに、マイクロ波源からのマイクロ波放射の一部は、三次元空間内の様々な望ましくないポイント(例えば、画像形成する対象物上の他のターゲットまたは他の対象物)からアレイの方に散乱し、マイクロ波受信器に反射される。そのような漂遊マイクロ波放射は、バックグラウンドノイズ(「クラッタ」と呼ばれることもある)をもたらし、マイクロ波画像形成システムの信号ノイズ比(SNR)を低下させる。プログラム可能な反射板アレイを使用して捕捉されたマイクロ波画像のバックグラウンドノイズを最少にする機構が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態は、ターゲットのマイクロ波画像を捕捉しかつ位相微分を使用してマイクロ波画像内のノイズを最小にするマイクロ波画像形成システムを提供する。マイクロ波放射をターゲットの方に反射し、ターゲットから反射されたマイクロ波放射をマイクロ波受信器の方に反射する複数のアンテナ素子を含む反射板アンテナアレイを提供する。プロセッサは、ターゲットの第1のマイクロ波画像を捕捉するようにそれぞれの第1の位相ずれをアンテナ素子にプログラムし、ターゲットの第2のマイクロ波画像を捕捉するようにそれぞれの第2の位相ずれをアンテナ素子にプログラムする。各アンテナ素子の第1の位相ずれは、そのアンテナ素子の第2の位相ずれと180度異なる。プロセッサは、第1のマイクロ波画像と第2のマイクロ波画像の組み合わせからノイズを最小にする。
【0008】
1つの実施形態において、マイクロ波受信器で受け取ったマイクロ波放射は、アレイによってマイクロ波源からターゲットに反射され、ターゲットからマイクロ波受信器に反射される二重反射マイクロ波放射と、最初にアレイによってマイクロ波源からターゲットに反射されることなくアレイによってマイクロ波源からマイクロ波受信器に反射される単反射マイクロ波放射の両方を含む。第1のマイクロ波画像内の二重反射マイクロ波放射の位相は、第2のマイクロ波画像内の二重反射マイクロ波放射の位相と同じである。しかしながら、第1のマイクロ波画像内の単反射マイクロ波放射の位相は、第2のマイクロ波画像内の単反射マイクロ波放射の位相と180度異なる。
【0009】
もう1つの実施形態において、プロセッサは、第1のマイクロ波画像と第2のマイクロ波画像を加算して第1のマイクロ波画像と第2のマイクロ波画像の両方の二重反射マイクロ波放射だけを含む最終マイクロ波画像を生成する。第1と第2のマイクロ波画像を合計することによって、プロセッサは、最終マイクロ波画像からノイズ成分に対応する単反射マイクロ波放射を除去することができる。ノイズ成分は、マイクロ波画像を修正する際に後で使用するために、マイクロ波画像形成システムの較正中に決定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
開示した発明は、本発明の重要な実施例を示し参照により本明細書に組み込まれた添付図面を参照して説明される。
【0011】
本明細書で使用されるとき、マイクロ波放射(microwave radiation)とマイクロ波照明(microwave illumination)という用語はそれぞれ、約1GHz〜約1,000GHzの周波数に対応する0.3ミリメートル〜30cmの波長を有する帯域の電磁放射を指す。したがって、マイクロ波放射とマイクロ波照明という用語はそれぞれ、従来のマイクロ波放射ならびに一般にミリメートル波放射として知られるものを含む。
【0012】
図1は、本発明の実施形態による簡略化した例示的なマイクロ波画像形成システム10の概略図である。このマイクロ波画像形成システム10は、物体(例えば、スーツケース、被験者、または他の対象物)のマイクロ波画像を捕捉するために、それぞれアンテナ素子80によってマイクロ波放射を送受信することができる1つまたは複数のアレイ50(便宜上そのうちの1つだけを示す)を含む。
【0013】
1つの実施形態において、アレイ50は、反射アンテナ素子80で構成された受動的プログラム可能な反射板アレイを含む。反射アンテナ素子にはそれぞれ、画像形成する物体150上のターゲット155の方にマイクロ波放射ビームを導くようにそれぞれの位相ずれをプログラムすることができる。位相ずれは、二値でもよく連続でもよい。例えば、個別の各反射アンテナ素子80にそれぞれの位相ずれをプログラムすることによって、アレイ50がマイクロ波源(図示せず)から受け取ったマイクロ波放射は、対象物150上のターゲット155の方に反射され、ターゲット155から反射されアレイ50が受け取った反射マイクロ波放射がマイクロ波受信器(図示せず)の方に反射される。
【0014】
マイクロ波画像形成システム10は、さらに、プロセッサ100、コンピュータ可読媒体110、および表示装置120を含む。プロセッサ100は、ターゲット155および/または対象物150のマイクロ波画像を構成するためにアレイ50を制御しターゲット155から反射された受信マイクロ波放射を処理する任意のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはこれらの組み合わせを含む。例えば、プロセッサ100は、1つまたは複数のマイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、プログラム可能な論理素子、コンピュータプログラム命令を実行するように構成されたディジタル信号処理プロセッサや他のタイプの処理装置、およびプロセッサ100によって使用される命令や他のデータを記憶する1つまたは複数のメモリ(例えば、キャッシュメモリ)を含む。しかしながら、プロセッサ100の他の実施形態を使用できることを理解されたい。メモリ110は、ハードドライブ、ランダムアクセス記憶装置(RAM)、読み出し専用記憶装置(ROM)、コンパクトディスク、フロッピディスク、ZIP(登録商標)ドライブ、テープドライブ、データベース、または他のタイプの記憶装置または記憶媒体を含む任意のタイプのデータ記憶装置であるが、これらに限定されない。
【0015】
プロセッサ100は、対象物150上の複数のターゲット155にマイクロ波放射を照射しかつ/または対象物150上のターゲット155からの反射マイクロ波照明を受け取るように、アレイ50内の個々のアンテナ素子80のそれぞれの位相遅れまたは位相ずれをプログラムする働きをする。したがって、プロセッサ100はアレイ50と協力して対象物150を走査する働きをする。
【0016】
プロセッサ100は、さらに、対象物150上の各ターゲット155からアレイ50が捕捉した反射マイクロ波放射の強度を使用して対象物150のマイクロ波画像を構成することができる。例えば、アレイ50が反射板アレイである実施形態において、マイクロ波受信器(図示せず)は、アレイ50内の各アンテナ素子80から反射された反射マイクロ波放射を組み合わせて、ターゲット155における反射マイクロ波放射の実効強度値を生成することができる。この強度値は、プロセッサ100に渡され、プロセッサ100は、その強度値を対象物150上のターゲット155に対応する画素またはボクセルの値として使用する。動作において、マイクロ波画像形成システム10は、毎秒数百万個のターゲット155を走査できる周波数で動作することができる。
【0017】
その結果得られたターゲット155および/または対象物150のマイクロ波画像をプロセッサ100から表示装置120に渡して、マイクロ波画像を表示することができる。1つの実施形態において、表示装置120は、対象物30の三次元マイクロ波画像あるいはターゲット155および/または対象物150の1つまたは複数の一次元または二次元マイクロ波画像を表示する二次元表示装置である。もう1つの実施形態において、表示装置120は、対象物150の三次元マイクロ波画像を表示することができる三次元表示装置である。
【0018】
複数のアレイ50を使用して対象物150の様々な部分を走査できることを理解されたい。例えば、対象物150が高さ2メートルで幅1メートルの人であるとき、マイクロ波画像形成システム10は、対象物150の半分を走査するアンテナ素子80の1mx1mアレイをそれぞれ含む2つのアレイで実現することができる。もう1つの例として、マイクロ波画像形成システム10は、人対象物150の4分の1を走査できるアンテナ素子80の0.5mx0.5mアレイをそれぞれ含む8つのアレイ50で実現することができる。
【0019】
図2は、アンテナ素子200のインピーダンス状態によって変化する位相で電磁放射を反射するように動作する反射アンテナ素子200(図1のアンテナ素子80に対応する)の断面図を示す。反射アンテナ素子200は、アンテナ(パッチアンテナ220a)と非理想的スイッチング素子(表面実装電界効果トランジスタ「FET」222)を含む。
【0020】
反射アンテナ素子200は、プリント回路基板214上とその中に形成されており、表面実装FET222、パッチアンテナ220a、ドレインビア232、接地平面236、およびソースビア238を含む。表面実装FET222は、プリント回路基板214の平面パッチアンテナ220aの反対側に取り付けられており、接地平面236は、平面パッチアンテナ220aと表面実装FET222の間にある。ドレインビア232は、表面実装FET222のドレイン228を平面パッチアンテナ220aに接続し、ソースビア238は、表面実装FET222のソース226を接地平面236に接続する。
【0021】
実際の製品において、反射板アンテナアレイは、ドライバ電子回路を含むコントローラ基板240に接続される。例示的なコントローラ基板240は、図2にも示されており、接地平面244、駆動信号ビア246、およびドライバ電子回路242を含む。コントローラ基板240は、また、反射板アンテナアレイのコネクタ250と互換性を有するコネクタ248を含む。2つの基板のコネクタ248および250は、例えばウェーブはんだ付けを使用して接続することができる。他の実施形態において、FET222が、プリント回路基板214の平面パッチアンテナ220aと同じ側に表面実装されてもよいことを理解されたい。さらに、ドライバ電子回路242は、反射アンテナ素子200を構成した同じプリント回路基板に直接はんだ付けされてもよい。
【0022】
パッチアンテナ素子220aは、反射アンテナ素子200のインピーダンスレベルに依存して位相が多少ずれた状態で反射する働きをする。反射アンテナ素子200は、アンテナ設計パラメータの関数であるインピーダンス特性を有する。アンテナの設計パラメータには、構造の絶縁性材料、絶縁性材料の厚さ、アンテナの形状、アンテナの長さと幅、給電位置、アンテナ金属層の厚さなどの物理的属性があるがこれらに限定されない。
【0023】
FET230(非理想的スイッチング素子)は、抵抗状態を変化させることによって反射アンテナ素子200のインピーダンス状態を変化させる。低抵抗状態(例えば、閉じた状態すなわち「短絡」)は、低インピーダンスになる。反対に、高抵抗状態(例えば、開いた状態)は、高インピーダンスになる。理想的な動作特性を有するスイッチング素子(本明細書において「理想的」スイッチング素子と呼ばれる)は、抵抗がその最低状態にあるときに実質的にゼロのインピーダンス(Z=0)を生成し、抵抗がその最大状態にあるときに実質的に無限大のインピーダンス(Z=∞)を生成する。本明細書で説明するように、スイッチング素子は、そのインピーダンスがその最低状態(例えば、Zon=0)のときに「オン」であり、そのインピーダンスがその最大状態(例えば、Z0ff=∞)のときに「オフ」である。理想的スイッチング素子のオンとオフのインピーダンス状態は、実質的にZon=0とZoff=∞なので、理想的スイッチング素子は、電磁放射の吸収なしにオン状態とオフ状態の間で最大の位相ずれを実現することができる。すなわち、理想的スイッチング素子は、0度と180度の位相状態の間でスイッチングを実現することができる。理想的スイッチング素子の場合、任意の有限の非ゼロインピーダンスを示すアンテナによって最大位相−振幅性能を達成することができる。
【0024】
理想的スイッチング素子と対照的に、「非理想的」スイッチング素子は、それぞれZon=0とZoff=∞でオンとオフのインピーダンス状態を示さないスイッチング素子である。より正確に言うと、非理想的スイッチング素子のオンとオフのインピーダンス状態は、一般に、例えば0<|Zon|<|Zoff|<∞のどこかである。しかしながら、用途によっては、オンとオフのインピーダンス状態は|Zoff|<=|Zon|でもよい。非理想的スイッチング素子は、特定の周波数範囲(例えば、<10GHz)内で理想的なインピーダンス特性を示し、他の周波数範囲(例えば、>20GHz)できわめて非理想的なインピーダンス特性を示すことになる。
【0025】
非理想的スイッチング素子のオンとオフのインピーダンス状態は、Zon=0とZoff=∞の間のどこかに位置しているため、非理想的スイッチング素子によれば、必ずしも、対応するアンテナのインピーダンスと関係なく最大位相状態性能を得ることはできない。ここで、最大位相状態性能は、0度から180度の位相状態の間のスイッチングを必要とするものである。本発明によれば、図2の反射アンテナ素子200は、最適な位相性能を提供するように特別に設計されており、この反射アンテナ素子の最適な位相状態性能とは、反射素子が0度と180度の位相−振幅状態の間のスイッチングに最も近い地点のことである。1つの実施形態において、このような最適な位相状態性能を達成するために、非理想的スイッチング素子(FET230)のインピーダンスの関数としてアンテナ素子200が構成される。例えば、アンテナ素子200のインピーダンスがFET230のインピーダンス特性の関数になるようにアンテナ素子200が設計される。
【0026】
さらに、アンテナ素子200は、オン状態Zonにおける非理想的スイッチング素子(FET230)のインピーダンスと、オフ状態Zoffにおける非理想的スイッチング素子230のインピーダンスの関数として構成される。特定の実施形態において、反射アンテナ素子200の位相状態性能は、オンとオフのインピーダンス状態ZonとZoffのときにアンテナ素子200のインピーダンスが非理想的スイッチング素子230のインピーダンスの平方根と共役になるようにアンテナ素子200が構成されるときに最適化される。具体的には、アンテナ素子200のインピーダンスは、対応する非理想的スイッチング素子230のオンとオフのインピーダンス状態ZonとZoffの相乗平均の複素共役である。この関係は次のように表される。
【数1】

【0027】
ここで、()*は複素共役を表す。前述の関係は、ソースインピーダンス(source impedance)と負荷インピーダンスの間の複素反射係数の周知の公式を使用して導出される。アンテナ素子200をソース(source)として選択し、非理想的スイッチング素子230を負荷として選択し、オン状態の反射係数がオフ状態の反射係数の逆に等しくなるように設定することにより、式(1)が得られる。
【0028】
最適な位相振幅性能を示すようにアンテナ素子200を設計するには、反射アンテナ素子200(この場合は、FET230)に使用される特定の非理想的スイッチング素子のオンとオフのインピーダンスZonとZoffを決定することが必要である。次に、アンテナ素子200の設計パラメータを、前述の式(1)で表した関係と一致するインピーダンスを有するアンテナ素子200を作成するように操作する。ZonとZoffが異なる値になるように決定される限り、式(1)に適合するアンテナ素子200を設計することができる。
【0029】
対象とする周波数帯全体にわたって非理想的インピーダンス特性を示す、図2に示した表面実装FET230以外の別のタイプのスイッチング素子は、表面実装ダイオードである。しかしながら、表面実装ダイオードは、対象とする周波数帯全体にわたって表面実装FETよりも優れたインピーダンス特性を示すが、表面実装FETは、比較的安価であり、反射板アンテナアレイ用途に使用するように個別にパッケージ化することができる。
【0030】
非理想的スイッチング素子としてFETを利用する反射板アンテナアレイにおいて達成可能なビーム走査速度は、信号ノイズ比、クロストーク、およびスイチッング時間を含むいくつかの要因に依存する。FETの場合、スイチッング時間は、ゲートキャパシタンス、ドレイン−ソース間キャパシタンス、およびチャネル抵抗(すなわち、ドレイン−ソース間抵抗)に依存する。チャネル抵抗は、実際には、空間依存であり時間依存でもある。インピーダンス状態の間のスイチッング時間を最小にするために、FETのドレインは、常に直流短絡されることが好ましい。ドレインをフローティング状態にしておくと、パッチアンテナの巨大な平行プレート領域によって、オフ状態のチャネル抵抗が大きくなりドレイン−ソース間キャパシタンスが大きくなるので、ドレインは、常に直流短絡されることが好ましい。これは、アンテナが直流短絡されることが好ましいが、電源においてアンテナが単に「高周波短絡」のみを観察することが望ましいことを意味している。したがって、追加のアンテナ/ドレイン短絡は、アンテナの混乱(perturb)を最小にするように最適に配置されなければならない。
【0031】
反射アンテナ素子200に、パッチアンテナ220aの代わりに他のタイプのアンテナを使用できることを理解されたい。限定ではなく1つの例として、他のアンテナタイプには、ダイポールアンテナ、モノポールアンテナ、ループアンテナ、および誘電体共振器型アンテナがある。さらに、他の実施形態において、反射アンテナ素子200は、FET230を可変キャパシタ(例えば、バリウムチタン酸ストロンチウム(BST)キャパシタ)と置き換えることによって連続位相シフトアンテナ素子200でもよい。可変キャパシタを実装したパッチの場合、FETを実装したパッチによって生成される2進位相ずれの代わりに、各アンテナ素子200ごとに連続位相ずれを達成することができる。マイクロ波ビームをビーム走査パターンで任意の方向に操縦するために、連続フェイズドアレイを調整して任意の所望の位相ずれを実現することができる。
【0032】
図3は、本発明の実施形態によるマイクロ波照明を反射する例示的なアレイ50の平面概略図である。図3において、マイクロ波源(アンテナ)60から送られたマイクロ波放射のソースビーム300をアレイ50の様々なアンテナ素子80が受け取る。マイクロ波源は、点放射源、ホーンアンテナまたは他のタイプのアンテナを含むがこれらに限定されないアレイ50を照明するのに十分な任意の放射源でよい。アレイ50内のアンテナ素子80にはそれぞれ、反射マイクロ波放射の送信ビーム310をターゲット155の方に導くようにそれぞれの位相ずれがプログラムされる。位相ずれは、ターゲット155に各アンテナ素子80からの反射マイクロ波照明310の正の干渉を作成するように選択される。理想的には、各アンテナ素子80の位相ずれは、照射源(アンテナ素子80)からターゲット155までの反射マイクロ波照明310の各経路ごとに同じ位相遅れを提供するように調整される。
【0033】
同様に、図4に示したように、ターゲット155から反射されアレイ50で受け取ったマイクロ波放射の反射ビーム410を、反射マイクロ波放射の受信ビーム420としてマイクロ波受信器400の方に反射させてもよい。マイクロ波受信器400は、マイクロ波源60と異なる空間位置に示しているが、他の実施形態では、マイクロ波源60を、個別のアンテナとしてまたはマイクロ波受信器400の一部として、マイクロ波受信器400と同じ空間位置に配置してもよいことを理解されたい(例えば、共焦点画像形成システム)。
【0034】
前述のように、マイクロ波源からマイクロ波受信器への漂遊放射線により生じるバックグラウンドノイズは、マイクロ波画像形成システムの信号対ノイズ比(SNR)を低下させる。次に図5を参照すると、マイクロ波源60とマイクロ波受信器400の間の例示的な漏れ(漂遊)マイクロ波放射が示されている。図4の場合のように、マイクロ波源(アンテナ)60から送られたマイクロ波放射のソースビーム300は、アレイ50の様々なアンテナ素子80によって受け取られる。アンテナ素子80はそれぞれ、マイクロ波放射の送信ビーム310をターゲット155の方に反射するようにそれぞれの位相ずれがプログラムされる。しかしながら、ソースビーム300内のマイクロ波放射の一部は、アレイ50から漂遊マイクロ波放射(stray microwave radiation)の漂遊ビーム500でマイクロ波受信器400の方に反射される。さらに、図示していないが、漂遊マイクロ波放射の漂遊ビーム500は、他の漂遊マイクロ波放射源も含むことを理解されたい。例えば、漂遊ビーム500は、三次元空間内の様々な望ましくないポイント(例えば、画像形成している対象物や他の対象物上の他のターゲット)からアレイの方に散乱され、マイクロ波受信器400の方に反射されたマイクロ波放射を含む。この漂遊マイクロ波放射500は、SNRを低下させることによって、得られるマイクロ波画像の品質を低下させる可能性がある。
【0035】
本発明の実施形態によれば、マイクロ波画像のノイズは、位相微分を使用して漂遊マイクロ波放射を除去することによって最小にされる。図6Aと図6Bは、マイクロ波画像からノイズを分離し除去する連続マイクロ波画像間の位相微分の例を示す。図6Aに見ることができるように、マイクロ波源60は、マイクロ波放射のソースビーム300をアレイ50内の様々なアンテナ素子80aと80bの方に送る。各アンテナ素子80aと80bには、マイクロ波放射の送信ビーム310をターゲット155の方に反射させるようにそれぞれの第1の位相ずれがプログラムされる。例えば、アンテナ素子80aには、P1の第1の位相ずれがプログラムされ、アンテナ素子80bには、P2の第1の位相ずれがプログラムされる。単純にするために、図6Aと図6Bに、異なる2つの位相ずれ(例えば、0度と180度)だけを生成できる二値アレイ50を示す。したがって、例えば、P1は0度の位相ずれに対応し、P2は180度の位相ずれに対応する。しかしながら、本発明の実施形態が、他の量子化されたアレイと連続的に位相を変化させたアレイに等しく適用可能であることを理解されたい。
【0036】
図6Aにおいて、アンテナ素子80aからターゲット155の方に反射されたマイクロ波放射310は、ターゲット155からアレイ50の方に反射マイクロ波放射410として反射される。反射マイクロ波放射410は、アンテナ素子80cに受け取られ、アンテナ素子80cには、反射マイクロ波放射410をマイクロ波受信器400の方に二重反射マイクロ波放射420aとして反射するために第1の位相ずれP2がプログラムされている。しかしながら、反射された放射のすべてが80aと80bからターゲットに送られるわけではなく、マイクロ波放射の一部は、漂遊(単反射)マイクロ波放射500aとして受信器の方に直接反射される。本明細書で使用されるとき、「単反射マイクロ波放射」は、マイクロ波源60からアレイ50に次にマイクロ波受信器400に直接送られる漂遊マイクロ波放射と、アレイ50の方に次にマイクロ波受信器400の方に直接反射される望ましくない散乱体の漂遊マイクロ波放射とを含む。したがって、マイクロ波受信器400に受け取った反射マイクロ波放射のビーム600は、二重反射マイクロ波放射420a(信号)と単反射マイクロ波放射500a(ノイズ)の両方を含む。その結果、マイクロ波放射ビーム600を使用して捕捉されたマイクロ波画像はノイズ要素を含む。
【0037】
マイクロ波画像内のノイズ要素を最小限に抑えるために、ターゲットの追加のマイクロ波画像は、アンテナ素子80a〜80cを、そのアンテナ素子80a〜80cにプログラムされた第1の位相ずれとそれぞれ180度異なるそれぞれの第2の位相ずれをプログラムすることによって捕捉される。例えば、アンテナ素子80aには、P2の第2の位相ずれがプログラムされ、アンテナ素子80bには、P1の第2の位相ずれがプログラムされる。この場合も、アンテナ素子80aからターゲット155の方に反射されたマイクロ波放射310は、ターゲット155からアレイ50の方に反射マイクロ波放射410として反射される。反射マイクロ波放射410は、反射マイクロ波放射410をマイクロ波受信器400の方に二重反射マイクロ波放射420bとして反射するようにP1の第2の位相ずれがプログラムされたアンテナ素子80cで受け取られる。さらに、アンテナ素子80bに受け取ったマイクロ波放射の一部は、漂遊(単反射)マイクロ波放射500bとして受信器の方に直接反射される。したがって、マイクロ波受信器400に受け取った反射マイクロ波放射ビーム610は、二重反射マイクロ波放射420b(信号)と単反射マイクロ波放射500b(ノイズ)の両方を含む。
【0038】
図6Aと図6Bを比較すると、アンテナ素子80aにプログラムされた第1の位相ずれがP1(例えば、0度)であり、アンテナ素子80aにプログラムされた第2の位相ずれは、P1と位相が異なるP2(例えば、180度)であることが分かる。同様に、アンテナ素子80bにプログラムされた第1の位相ずれがP2(例えば、180度)で、アンテナ素子80bにプログラムされた第2の位相ずれは、P2と位相が逆のP1(例えば、0度)である。したがって、アンテナ素子80bに受け取られ、図6Bに漂遊(単反射)マイクロ波放射500bとして受信器の方に直接反射されたマイクロ波放射は、図6A内の単反射マイクロ波放射500aから位相が180度ずれている。しかしながら、図6B内の二重反射マイクロ波放射420bは、図6Aの二重反射マイクロ波放射420aと同じ位相を有する。二重反射マイクロ波放射420bはアレイ50で2回反射されるので、図6Bの二重反射マイクロ波放射420bが受ける位相ずれの合計は、図6Aの二重反射マイクロ波放射420aが受ける位相ずれと同じである。
【0039】
例えば、P1の位相ずれが0度の位相ずれに対応し、P2の位相ずれが180度の位相ずれに対応すると仮定すると、図6Aのアンテナ素子80aに受け取ったマイクロ波放射300は、ターゲット155の方に0度の位相ずれで反射される。ターゲット155から反射されアンテナ素子80cに受け取った反射マイクロ波放射410は、180度の位相ずれでマイクロ波受信器400の方に反射される。したがって、二重反射マイクロ波放射420aが受ける位相ずれの合計は、180度である。同様に、図6Bにおいて、図6Bのアンテナ素子80aで受け取ったマイクロ波放射300は、ターゲット155の方に180度の位相ずれで反射される。ターゲット155から反射されアンテナ素子80cに受け取った反射マイクロ波放射410は、0度の位相ずれでマイクロ波受信器400の方に反射される。したがって、二重反射マイクロ波放射420bが受ける位相ずれの合計も180度である。アレイ50内のすべてのアンテナ素子の位相が2つの画像間で180度ずらされて得られた2つのマイクロ波画像によって、第1のマイクロ波画像からノイズを除去することができる。
【0040】
1つの実施形態において、第1のマイクロ波画像と第2のマイクロ波画像の間の位相ずれの切り換えは、個々のアンテナ素子80に各マイクロ波画像ごとの異なる位相ずれパターンを別々にプログラムすることによって実現することができる。もう1つの実施形態において、各アンテナ素子80は、第1の位相ずれと第2の位相ずれを切り換える論理回路を含むことができる。例えば、新しいパターンを第2のマイクロ波画像のアレイにロードする代わりに、位相ずれが「1」の論理状態と「0」の論理状態に対応する二値アレイによって、各アンテナ素子80は、第1と第2の画像間でアンテナ素子80の論理状態を「1」から「0」あるいはその逆に切り換える論理回路を含むことができる。
【0041】
図7は、本発明の実施形態によりターゲットのマイクロ波画像からノイズを除去する処理構成要素を示すブロック図である。図6Aと図6Bと関連して前に説明したように、マイクロ波受信器400は、第1のマイクロ波放射ビーム600と第2のマイクロ波放射ビーム610を受け取る。各ビーム600と610は、信号成分(例えば、図6Aと図6Bに示した二重反射マイクロ波放射420aと420b)とノイズ成分(例えば、図6Aと図6Bに示した単反射マイクロ波放射500aと500b)の両方を含む。各ビーム600と610の測定強度700と710はそれぞれプロセッサ100内の加算器720に入力され、第1のマイクロ波画像に対応する第1の測定強度70が、第2のマイクロ波画像に対応する第2の測定強度710と加算される。
【0042】
各ビーム600と610内の二重反射マイクロ波放射(信号成分)が受ける位相ずれの合計が同じなので、加算器720によって行われる加算によってビーム600と610内の信号成分が加算される。しかしながら、各ビーム600と610内の単反射マイクロ波放射(ノイズ成分)が、2つのビーム600と610間で180度の位相ずれを受けるので、加算器720によって行われる加算によってノイズ成分が除去される(すなわち、ノイズ成分が相殺される)。加算器720によって得られた結果は、両方のビーム600と610の信号成分を含む最終マイクロ波画像730である。したがって、最終マイクロ波画像730は、システム内にノイズのない図4の反射マイクロ波放射420によるマイクロ波画像に対応する。
【0043】
1つの実施形態において、第1のビーム600と第2のビーム620の組み合わせ(combination)の全露光時間は、実質的にマイクロ波受信器400の全積分時間と等しい。各ビーム600と610の信号成分が加算されるので、各信号成分の積分時間が加算されて、受信器がターゲットの最終マイクロ波画像730を捕捉するのに必要な全積分時間が得られる。したがって、単一マイクロ波画像の時間フレーム内で2つの位相をずらしたマイクロ波画像を得ることができる。
【0044】
1つの実施形態において、前述のノイズ除去手順が、マイクロ波画像形成システムによって得られる各マイクロ波画像ごとに実施されることを理解されたい。他の実施形態において、ノイズ除去手順は、マイクロ波画像形成システムの較正中に実施され、較正プロセス中に決定されるノイズ成分は、マイクロ波画像形成システムによって得られたマイクロ波画像を修正するために、マイクロ波画像形成システムによって行われる後の測定で使用される。
【0045】
図8は、本発明の実施形態によりターゲットのマイクロ波画像を捕捉するマイクロ波画像形成システムを最適化する例示的な方法800を示すフローチャートである。最初に、ブロック810で、プログラム可能なマイクロ波アンテナ素子のアレイを提供する。ブロック820で、アレイ内の各アンテナ素子に、マイクロ波放射ビームをターゲットの方に導くようにそれぞれの第1の位相ずれをプログラムする。ブロック830で、ターゲットの第1のマイクロ波画像を捕捉する。
【0046】
次に、ブロック840で、各アンテナ素子のプログラムした位相ずれを180度反転させて、ブロック850で、ターゲットの第2のマイクロ波画像を捕捉する。ブロック860で、第1と第2のマイクロ波画像を加算して、画像からノイズ成分を除去し、第1と第2のマイクロ波画像から信号成分だけを含む最終マイクロ波画像を生成する。ブロック870で、最終マイクロ波画像が、ターゲットのマイクロ波画像として出力される。
【0047】
当業者によって理解されるように、本出願に記載された革新的な概念は、幅広い用途にわたって修正し変更することができる。したがって、特許の主題の範囲は、説明した特定の例示的教示のいずれにも限定されず、添付の特許請求の範囲によって定義される。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施形態によるプログラム可能なアンテナアレイを含む簡略化した例示的なマイクロ波画像形成システムの概略図である。
【図2】本発明の実施形態による反射板アレイに使用する受動アンテナ素子の断面図である。
【図3】本発明の実施形態によるマイクロ波放射を反射する反射アンテナ素子を含む例示的な反射板アレイの平面概略図である。
【図4】本発明の実施形態によるプログラム可能なアンテナアレイを使用するマイクロ波源とマイクロ波受信器の間のマイクロ波放射の反射を示す概略図である。
【図5】マイクロ波源とマイクロ波受信器の間の漏れマイクロ波放射を直接示す概略図である。
【図6A】本発明の実施形態による信号とノイズの両方を含むマイクロ波放射からそれぞれ得られた2つの連続したマイクロ波画像間の位相ずれの変化を示す概要図である。
【図6B】本発明の実施形態による信号とノイズの両方を含むマイクロ波放射からそれぞれ得られた2つの連続したマイクロ波画像間の位相ずれの変化を示す概要図である。
【図7】本発明の実施形態による、ターゲットのマイクロ波画像からノイズを除去する処理構成要素を示すブロック図である。
【図8】本発明の実施形態によるターゲットのマイクロ波画像からノイズを除去する例示的なプロセスを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0049】
10 マイクロ波画像形成システム
50 走査パネル
70 送信ビーム
80 アンテナ素子
90 受信ビーム
100 プロセッサ
110 コンピュータ可読媒体
120 表示装置
150 物体
155 ターゲット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲットのマイクロ波画像を捕捉するためのマイクロ波画像形成システムであって、
マイクロ波放射を提供するマイクロ波源と、
マイクロ波放射を受け取るマイクロ波受信器と、
複数のアンテナ素子を含む反射板アンテナアレイであって、前記アンテナ素子がそれぞれ、送信ビームでターゲットの方にマイクロ波放射を反射し、前記ターゲットから反射されたマイクロ波照明の受信ビームを前記マイクロ波受信器の方に反射するようにそれぞれの位相ずれをプログラム可能な反射板アンテナアレイと、
前記複数のアンテナ素子に前記ターゲットの第1のマイクロ波画像を捕捉するようにそれぞれの第1の位相ずれをプログラムし、前記複数のアンテナ素子に前記ターゲットの第2のマイクロ波画像を捕捉するようにそれぞれの第2の位相ずれをプログラムすることができ、前記それぞれの複数のアンテナ素子の前記第1の位相ずれと前記第2の位相ずれが180度異なるプロセッサとを具備し、
前記プロセッサが、さらに、前記第1のマイクロ波画像と前記第2のマイクロ波画像の組み合わせからノイズを最小にするように動作可能である、マイクロ波画像形成システム。
【請求項2】
前記受信ビームが、前記アレイによって前記マイクロ波源から前記ターゲットに反射され前記ターゲットから前記マイクロ波受信器に反射される二重反射マイクロ波放射と、最初に前記アレイによって前記マイクロ波源からターゲットに反射されることなく前記アレイによって前記マイクロ波受信器に反射される単反射マイクロ波放射とを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1のマイクロ波画像内の前記二重反射マイクロ波放射の位相が、前記第2のマイクロ波画像内の前記二重反射マイクロ波放射の前記位相と同じであり、前記第1のマイクロ波画像内の前記単反射マイクロ波放射の位相が、前記第2のマイクロ波画像内の前記単反射マイクロ波放射の前記位相と180度異なる、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記プロセッサが、さらに、前記第1のマイクロ波画像と前記第2のマイクロ波画像を加算して前記第1のマイクロ波画像と前記第2のマイクロ波画像の両方の前記二重反射マイクロ波放射だけ含む最終マイクロ波画像を生成するように動作でき、前記第1のマイクロ波画像と前記第2のマイクロ波画像の両方の前記二重反射マイクロ波放射が信号成分に対応する、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記プロセッサが、前記第1のマイクロ波画像と前記第2のマイクロ波画像を加算することによって前記最終マイクロ波画像から前記単反射マイクロ波放射を除去するように動作でき、前記最終マイクロ波画像から除去された前記単反射マイクロ波放射がノイズ成分に対応する、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記アレイが、前記第1の位相ずれと前記第2の位相ずれを切り換えるように構成された前記複数のアンテナ素子のそれぞれの論理回路を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1のマイクロ波画像と前記第2のマイクロ波画像の組み合わせの全露出時間が、前記マイクロ波受信器の積分時間と同等である、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
ターゲットのマイクロ波画像内のノイズを最小にする方法であって、
複数のアンテナ素子を含むアレイを提供するステップであって、前記アンテナ素子にそれぞれ、送信ビームにおいてマイクロ波放射をターゲットの方に反射しかつ前記ターゲットから反射されたマイクロ波照明の受信ビームをマイクロ波受信器の方に反射するように、それぞれの位相ずれをプログラムすることができるステップと、
前記複数のアンテナ素子にそれぞれの第1の位相ずれをプログラムして、前記ターゲットの第1のマイクロ波画像を捕捉するステップと、
前記複数のアンテナ素子にそれぞれの第2の位相ずれをプログラムして、前記ターゲットの第2のマイクロ波画像を捕捉するステップであって、前記それぞれの複数のアンテナ素子のそれぞれの前記第1の位相ずれと前記第2の位相ずれが180度異なるステップと、
前記第1のマイクロ波画像と前記第2のマイクロ波画像の組み合わせからノイズを最小にするステップとを有する、方法。
【請求項9】
前記受信ビームが、前記アレイによって前記マイクロ波源から前記ターゲットに反射され前記ターゲットから前記マイクロ波受信器に反射される二重反射マイクロ波放射と、最初に前記アレイによって前記マイクロ波源から前記ターゲットに反射されることなしに前記アレイによって前記マイクロ波源から前記マイクロ波受信器に反射される単反射マイクロ波放射とを含み、前記第1のマイクロ波画像内の前記二重反射マイクロ波放射の位相が、前記第2のマイクロ波画像内の前記二重反射マイクロ波放射の位相と同じであり、前記第1のマイクロ波画像内の前記単反射マイクロ波放射の位相が、前記第2のマイクロ波画像内の前記単反射マイクロ波放射の位相と180度異なる、請求項10に記載の方法。
【請求項10】
前記ノイズを最小にするステップが、さらに、前記第1のマイクロ波画像と前記第2のマイクロ波画像を加算して、前記第1のマイクロ波画像と前記第2のマイクロ波画像の両方の前記二重反射マイクロ波放射だけを含む最終マイクロ波画像を生成するステップを含む、請求項9に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−267104(P2006−267104A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−75796(P2006−75796)
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【出願人】(399117121)アジレント・テクノロジーズ・インク (710)
【氏名又は名称原語表記】AGILENT TECHNOLOGIES, INC.
【住所又は居所原語表記】395 Page Mill Road Palo Alto,California U.S.A.
【Fターム(参考)】