説明

マスターバッチペレット及びプロピレン樹脂組成物成形体の製造方法

【課題】剛性を高いレベルで保持しつつ、0℃以下のような低温下においても高いアイゾット衝撃強度や面衝撃強度を示すプロピレン樹脂組成物成形体を製造するのに有利に用いることができるマスターバッチペレットを提供する。
【解決手段】(A)オレフィン重合体、(B)繊維状塩基性硫酸マグネシウム、(C)エラストマー、(D)特定の滑剤、(E)繊維状塩基性硫酸マグネシウムに親和性を有する表面処理剤の各成分を、(A)、(B)及び(C)の合計量を100質量部としたときに、(A)が1〜45質量部の範囲の量、(B)が35〜80質量部の範囲の量、(C)が5〜45質量部の範囲の量、(D)が0.01〜10.0質量部の範囲の量、(E)が0.01〜15.0質量部の範囲の量で、かつ(B)の量を100質量部としたときに、(D)が0.02〜15.0質量部の範囲の量で、かつ(E)が0.02〜20.0質量部の範囲の量にて含むマスターバッチペレット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロピレン樹脂組成物成形体の製造に有利に用いることができるマスターバッチペレットに関する。本発明はまた、上記のマスターバッチペレットを用いたプロピレン樹脂組成物成形体の製造方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
プロピレン重合体は熱可塑性であり、加熱して溶融させることによって種々の形状に成形することが可能であることから、自動車の外装材、冷蔵庫や洗濯機などの家庭電化製品の外装材、トレー、棚板、包装シートなどの各種成形体の材料として広く利用されている。プロピレン重合体からなる成形体の剛性や衝撃強度などの物性を向上させるために、プロピレン重合体に無機充填材、滑剤、エラストマーなどを添加することは広く行われている。無機充填材としては、繊維状塩基性硫酸マグネシウムなどの繊維状無機充填材、タルクなどの非繊維状無機充填材が用いられている。
【0003】
特許文献1には、第1のプロピレン重合体(A−I)と繊維状無機充填材(B)とを、(A−I)と(B)の重量比とを3/7〜7/3にして、溶融混練して樹脂組成物(MB)を得る第1工程と、第1工程で得られた樹脂組成物(MB)に、さらに第2のプロピレン重合体(A−II)と非繊維状無機充填材(C)とエラストマー(D)とを加えて溶融混練して樹脂組成物を得る第2工程とからなるプロピレン系樹脂組成物の製造方法が記載されている。なお、この特許文献1の実施例に記載されている樹脂組成物(MB)は滑剤としてエルカ酸アミドを含有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−83369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
プロピレン樹脂組成物成形体の用途によっては、耐衝撃性の更なる向上が必要とされる場合がある。例えば、自動車の外装材(バンパー)用のプロピレン樹脂組成物成形体では、剛性を高いレベルで保持しつつ、0℃以下のような低温下でのアイゾット衝撃強度や面衝撃強度を更に高いレベルに引き上げることが望まれる。
従って、本発明の目的は、剛性を高いレベルで保持しつつ、0℃以下のような低温下においても高いアイゾット衝撃強度や面衝撃強度を示すプロピレン樹脂組成物成形体の製造を可能とする方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、(A)オレフィン重合体と、(B)繊維状塩基性硫酸マグネシウムと、(C)エラストマーと、(D)特定の滑剤と、(E)繊維状塩基性硫酸マグネシウムに親和性を有する表面処理剤とを加えたマスターバッチペレットを用いて製造したプロピレン樹脂組成物成形体は、アイゾット衝撃強度や面衝撃強度に優れることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
従って、本発明は、
(A)オレフィン重合体、
(B)繊維状塩基性硫酸マグネシウム、
(C)エラストマー、
(D)炭化水素、ハロゲン化炭化水素、脂肪酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、炭素原子数が16以上の一価アルコール、多価アルコール及び脂肪酸のマグネシウムもしくはマグネシウムよりもイオン化傾向が低い金属の塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の滑剤、
(E)脂肪酸、オキシ脂肪酸、脂肪族リン酸エステル及びカップリング剤からなる群より選ばれる少なくとも一種の繊維状塩基性硫酸マグネシウムの表面処理剤の各成分を、
(A)、(B)及び(C)の合計量を100質量部としたときに、(A)が1〜45質量部の範囲の量、(B)が35〜80質量部の範囲の量、(C)が5〜45質量部の範囲の量、(D)が0.01〜10.0質量部の範囲の量、(E)が0.01〜15.0質量部の範囲の量で、かつ(B)の量を100質量部としたときに、(D)が0.02〜15.0質量部の範囲の量で、かつ(E)が0.02〜20.0質量部の範囲の量にて含むマスターバッチペレットにある。
【0008】
本発明のマスターバッチペレットの好ましい態様は、次の通りである。
(1)(A)が、プロピレン重合体、エチレン重合体及びエチレン−プロピレン共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種のオレフィン重合体である。
(2)(B)が、平均繊維太さが0.1〜1.0μmの範囲にあって、平均アスペクト比が5〜50の範囲にある繊維状塩基性硫酸マグネシウムである。
(3)(C)が、エチレン−ブテン系エラストマー、エチレン−オクテン系エラストマー及びスチレン系エラストマーからなる群より選ばれる少なくとも一種のエラストマーである。
(4)(D)を(A)、(B)及び(C)の合計量を100質量部としたときに0.1〜5.0質量部の範囲の量で、かつ(B)の量を100質量部としたときに0.2〜5.0質量部の範囲の量にて含む。
(5)(E)を(A)、(B)及び(C)の合計量を100質量部としたときに0.03〜10.0質量部の範囲の量で、かつ(B)の量を100質量部としたときに0.06〜15.0質量部の範囲の量にて含む。
【0009】
本発明はさらに、下記の工程からなる繊維状塩基性硫酸マグネシウム含有プロピレン樹脂組成物成形体の製造方法にもある。
下記成分を含む繊維状塩基性硫酸マグネシウム含有マスターバッチペレットを用意する工程;
(A)オレフィン重合体、
(B)繊維状塩基性硫酸マグネシウム、
(C)エラストマー、
(D)炭化水素、ハロゲン化炭化水素、脂肪酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、炭素原子数が16以上の一価アルコール、多価アルコール及び脂肪酸のマグネシウムもしくはマグネシウムよりもイオン化傾向が低い金属の塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の滑剤、
(E)脂肪酸、オキシ脂肪酸、脂肪族リン酸エステル及びカップリング剤からなる群より選ばれる少なくとも一種の繊維状塩基性硫酸マグネシウムの表面処理剤;
繊維状塩基性硫酸マグネシウム含有マスターバッチペレット100質量部に対して、プロピレン重合体を含む希釈樹脂ペレットを100〜2000質量部の範囲となる量にて混合し、溶融混練した後、成形する工程。
【発明の効果】
【0010】
本発明のマスターバッチペレットを用いて製造したプロピレン樹脂組成物成形体は、後述の実施例の結果から明らかなように、剛性(曲げ弾性率)を高いレベルで保持しつつ、0℃以下の低温下においても高いアイゾット衝撃強度や面衝撃強度(デュポン衝撃強度)を示す。このため、本発明のマスターバッチペレットを用いて製造したプロピレン樹脂組成物成形体は、耐衝撃性の向上が望まれている自動車の外装材として有利に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のマスターバッチペレットは、(A)オレフィン重合体、(B)繊維状塩基性硫酸マグネシウム、(C)エラストマー、(D)特定の滑剤、(E)繊維状塩基性硫酸マグネシウムに親和性を有する表面処理剤を含む。
【0012】
(A)の含有量は、(A)、(B)及び(C)の合計量を100質量部としたときに1〜45質量部の範囲の量、好ましくは1〜20質量部の範囲である。
【0013】
(B)の含有量は、(A)、(B)及び(C)の合計量を100質量部としたときに35〜80質量部の範囲の量、好ましくは50〜80質量部の範囲である。
【0014】
(C)の含有量は、(A)、(B)及び(C)の合計量を100質量部としたときに5〜45質量部の範囲の量、好ましくは10〜40質量部の範囲である。
【0015】
(D)の含有量は、(A)、(B)及び(C)の合計量を100質量部としたときに0.01〜10.0質量部の範囲の量、好ましくは0.1〜5.0質量部の範囲の量であり、(B)の量を100質量部としたときに0.02〜15.0質量部の範囲の量、好ましくは0.2〜5.0質量部の範囲の量である。
【0016】
(E)の含有量は、(A)、(B)及び(C)の合計量を100質量部としたときに0.01〜15.0質量部の範囲の量、好ましくは0.03〜10.0質量部の範囲の量であり、(B)の量を100質量部としたときに0.02〜20.0質量部の範囲、好ましくは0.06〜15.0質量部の範囲の量である。
【0017】
次に、(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)の各成分について説明する。
【0018】
(A)オレフィン重合体
オレフィン重合体は、ASTM−D1238(温度230℃、荷重2.16kg)に準拠した方法により測定されるメルトフローレート(MFR)が3〜300g/10分の範囲にあることが好ましい。オレフィン重合体の例としては、エチレン重合体、プロピレン重合体及びエチレン−プロピレン共重合体を挙げることができる。プロピレン重合体の例としては、本質的に結晶性のプロピレン単独重合体、及びプロピレン単位成分が50モル%以上である本質的に結晶性のプロピレン及びα−オレフィン単量体との共重合体を挙げることができる。これらの重合体はそれぞれを単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0019】
(B)繊維状塩基性硫酸マグネシウム
繊維状塩基性硫酸マグネシウムは、平均繊維太さが0.1〜1.0μmの範囲にあって、平均アスペクト比(平均繊維長/平均繊維太さ)が5以上、特に5〜50の範囲にあることが好ましい。ここで繊維状塩基性硫酸マグネシウムの平均繊維長及び平均繊維太さは、走査型電子顕微鏡(SEM)による拡大画像から測定した繊維長及び繊維太さの平均値を意味する。繊維状塩基性硫酸マグネシウムは、複数の繊維状粒子の集合体もしくは結合体であってもよい。
【0020】
(C)エラストマー
エラストマーの例としては、エチレン−α−オレフィン共重合系エラストマー、及びスチレン系エラストマーを挙げることができる。エラストマーは、一種を単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0021】
エチレン−α−オレフィン共重合系エラストマーの例としては、エチレンとα−オレフィンとの共重合体、及びエチレンとα−オレフィンと非共役ジエンとの共重合体を挙げることができる。α−オレフィンの例としては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン及び1−オクテンを挙げることができる。非共役ジエンの例としては、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、ジシクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン及び7−メチル−1,6−オクタジエンを挙げることができる。
【0022】
エチレン−α−オレフィン共重合系エラストマーの具体例としては、エチレン−プロピレン共重合エラストマー(EPR)、エチレン−1−ブテン共重合エラストマー(EBR)、エチレン−1−オクテン共重合エラストマー(EOR)、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合エラストマー(EPDM)、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合エラストマー(EPBR)、エチレン−1−ブテン−非共役ジエン共重合エラストマー(EBDM)及びエチレン−プロピレン−1−ブテン−非共役ジエン共重合エラストマー(EPBDM)を挙げることができる。これらのエチレン−α−オレフィン共重合系エラストマーの中で好ましいのは、エチレンと1−ブテンとを含むエチレン−ブテン系エラストマー及びエチレンと1−オクテンとを含むエチレン−オクテン系エラストマーである。
【0023】
エチレン−α−オレフィン共重合系エラストマーのメルトフローレート(MFR:ASTM−D1238:温度190℃、荷重2.16kg)は、通常0.1g/10分以上、好ましくは0.3〜20g/10分の範囲にある。
【0024】
スチレン系エラストマーの例としては、スチレン化合物重合体ブロックと共役ジエン重合体ブロックからなるブロック共重合体、及びブロック共重合体の共役ジエン部分の二重結合が水素添加されているブロック共重合体を挙げることができる。
【0025】
スチレン系エラストマーの具体例としては、スチレン−ブタジエンブロック共重合エラストマー(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合エラストマー(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合エラストマー(SIS)、スチレン−エチレン−ブテン−スチレンブロック共重合エラストマー(SEBS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合エラストマー(SEPS)等のブロック共重合体、及びこれらのエラストマーを水素添加したブロック共重合体等を挙げることができる。
【0026】
スチレン系エラストマーのメルトフローレート(MFR:ASTM−D1238:温度230℃、荷重2.16kg)は、通常0.1g/10分以上、好ましくは0.1〜100g/10分の範囲、より好ましくは0.5〜20g/10分の範囲にある。
【0027】
これらのエラストマーの中で好ましいのは、EBR、EOR及びSEPSである。
【0028】
(D)滑剤
滑剤は、繊維状塩基性硫酸マグネシウムに親和性を示さないことが好ましい。従って、滑剤は、炭化水素、ハロゲン化炭化水素、脂肪酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、炭素原子数16以上の一価アルコール、多価アルコール及び脂肪酸のマグネシウムもしくはマグネシウムよりもイオン化傾向が低い金属の塩の中から選択して使用する。これらの滑剤は、それぞれを単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの滑剤の中で好ましいのは、脂肪酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド、及び脂肪酸の金属塩であり、特に好ましいのは脂肪酸の金属塩である。
【0029】
炭化水素の例としては、流動パラフィン、天然パラフィン、合成パラフィン、マイクロクリスタリンワックス及びポリエチレンワックスを挙げることができる。
【0030】
ハロゲン化炭化水素の例としては塩素化ナフタリンを挙げることができる。
【0031】
脂肪酸アミドは、飽和脂肪酸アミドであってもよいし、不飽和脂肪酸アミドであってもよい。脂肪酸アミドの例としては、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド、オレイン酸アミド及びエルカ酸アミドを挙げることができる。
【0032】
アルキレンビス脂肪酸アミドの例としては、メチレンビスステアロアミド及びエチレンビスステアロアミドを挙げることができる。
【0033】
脂肪酸エステルは、脂肪酸の一価アルコールエステル、脂肪酸の多価アルコールエステル及び脂肪酸のポリグリコールエステルを含む。脂肪酸は、飽和脂肪酸であってもよいし、不飽和脂肪酸であってもよい。脂肪酸エステルの例としては、ブチルステアレート、ステアリルステアレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、硬化ヒマシ油を挙げることができる。
【0034】
炭素原子数16以上の一価アルコールの例としては、セチルアルコール、ステアリルアルコールを挙げることができる。多価アルコールの例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、エリトリット、ペンタエリトリット、アラビット、ソルビット、ソルビタン、マンニット及びポリグリコール及びポリグリセロールを挙げることができる。
【0035】
脂肪酸のマグネシウムもしくはマグネシウムよりもイオン化傾向が低い金属の塩は、炭素原子数が12〜22の範囲にある脂肪酸の金属塩であることが好ましい。脂肪酸は飽和脂肪酸であってもよいし、不飽和脂肪酸であってもよい。マグネシウムよりもイオン化傾向が低い金属の例としては、亜鉛、銅、鉛、アルミニウム、鉄、コバルト、クロム及びマンガンを挙げることができる。脂肪酸金属塩は、ステアリン酸マグネシウムであることが好ましい。
【0036】
(E)繊維状塩基性硫酸マグネシウムに親和性を有する表面処理剤
表面処理剤は繊維状塩基性硫酸マグネシウムに反応性を有していてもよい。表面処理剤は、脂肪酸、オキシ脂肪酸、脂肪族リン酸エステル及びカップリング剤の中から選択して使用する。これらの表面処理剤は、それぞれを単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの表面処理剤の中で好ましいのは、脂肪酸、脂肪族リン酸エステル及びカップリング剤である。なお、表面処理剤はマグネシウムよりもイオン化傾向の高い金属(例、リチウム、カリウム、ナトリウム、カルシウム)と塩を形成していてもよい。
【0037】
脂肪酸は、炭素原子数が12〜22の範囲にあることが好ましい。脂肪酸は飽和脂肪酸であってもよいし、不飽和脂肪酸であってもよい。飽和脂肪酸の例としては、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデシル酸、アラキジン酸及びベヘン酸を挙げることができる。不飽和脂肪酸の例としては、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸及びエルカ酸を挙げることができる。
【0038】
オキシ脂肪酸は、炭素原子数が12〜22の範囲にあることが好ましい。オキシ脂肪酸はオキシ飽和脂肪酸であってもよいし、オキシ不飽和脂肪酸であってもよい。
【0039】
脂肪族リン酸エステル(脂肪族アルコールとリン酸のエステル)は、リン酸アルキル、リン酸ジアルキルであることが好ましい。脂肪族リン酸エステルの例としては、リン酸ステアリル及びリン酸ジステアリルを挙げることができる。
【0040】
カップリング剤の例としては、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコネート系カップリング剤を挙げることができる。カップリング剤は、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤であることが好ましい。
【0041】
本発明のマスターバッチペレットは円柱状であることが好ましく、そのサイズは直径が1〜5mmの範囲、長さが1〜5mmの範囲にあることが好ましい。ペレット50個の質量は、0.5〜5.0gの範囲にあることが好ましい。
【0042】
本発明のマスターバッチペレットは、例えば、上記(A)オレフィン重合体、(B)繊維状塩基性硫酸マグネシウム、(C)エラストマー、(D)滑剤及び(E)表面処理剤の各成分をドライブレンドによって混合し、得られた混合物を溶融混練した後、ペレット状に成形することによって製造することができる。
【0043】
本発明のマスターバッチペレットには、(C)エラストマー、(D)滑剤そして(E)表面処理剤の三成分が加えられたことによって、(B)繊維状塩基性硫酸マグネシウムが高い均一性で分散している。そして、本発明のマスターバッチペレットを希釈樹脂ペレットと混合して溶融混練すると、マスターバッチペレット中に分散している(B)繊維状塩基性硫酸マグネシウムが円滑かつ迅速に溶融混練物中に分散していく。このため、本発明のマスターバッチペレットを用いて得た溶融混練物から形成した成形体はアイゾット衝撃強度や面衝撃強度が向上すると理解される。
【0044】
本発明のマスターバッチペレットを用いてプロピレン樹脂組成物成形体を製造する方法としては、マスターバッチペレットとプロピレン重合体を含む希釈樹脂ペレットとを混合し、溶融混練した後、成形する方法を挙げることができる。マスターバッチペレットと希釈樹脂ペレットとの配合比は、マスターバッチペレット100質量部に対して、希釈樹脂ペレットが100〜2000質量部の範囲であることが好ましい。
【0045】
希釈樹脂ペレットは、プロピレン重合体のみから形成されていてもよいし、プロピレン重合体の他に、非繊維状無機充填材及びエラストマーを含む組成物から形成されていてもよい。自動車の外装材(例、バンパー)を製造するのに用いる希釈樹脂ペレットは、プロピレン重合体を30〜80質量%の範囲、非繊維状無機充填材を5〜40質量%の範囲及びエラストマーを5〜60質量%の範囲にて含む組成物から形成されていることが好ましい。
【0046】
非繊維状無機充填材の例としては、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、クレー、アルミナ、シリカ、硫酸カルシウム、水酸化マグネシウム、ドロマイト、ガラスフレーク、ガラスバルーン、ガラスビーズ、ケイ酸カルシウム、スメクタイト、モンモリロナイト、ベントナイト、カオリナイト、カーボンブラック及び酸化チタンを挙げることができる。非繊維状無機充填材は、タルクであることが好ましい。非繊維状無機充填材は、平均粒子径が0.1〜10μmの範囲にあることが好ましく、0.1〜5μmの範囲にあることがより好ましい。ここで非繊維状無機充填材の平均粒子径は、レーザー回折法により測定した値を意味する。
【0047】
エラストマーの例は、前述のマスターバッチペレットの場合と同様である。希釈樹脂ペレットに用いるエラストマーは、マスターバッチペレットと同一のエラストマーを用いてもよいし、異なるエラストマーであってもよい。
【0048】
希釈樹脂ペレットは、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、帯電防止剤、腐食防止剤、難燃剤、滑剤、中和剤、発泡剤、可塑剤、気泡防止剤、架橋剤を含有していてもよい。
【0049】
プロピレン樹脂組成物成形体を成形する方法には、射出成形法、押出し成形法、カレンダー成形法、ブロー成形法、発泡成形法及び遠心成形法を用いることができる。
【0050】
プロピレン樹脂組成物成形体は、繊維状塩基性硫酸マグネシウムの含有量が2〜15質量%の範囲にあることが好ましい。
【実施例】
【0051】
[実施例1]
(1)マスターバッチペレットの製造
プロピレン重合体[MFR(温度230℃、荷重2.16kg):49.4g/10分]を10質量部、繊維状塩基性硫酸マグネシウム(平均繊維長:15μm、平均繊維太さ:0.5μm)を70質量部、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合エラストマー(SEPS)[MFR(温度230℃、荷重2.16kg):5.0g/10分]を20質量部、ステアリン酸マグネシウムを1.47質量部、ステアリン酸を0.14質量部の割合にてタンブラーに投入してドライブレンドした。得られた混合物を、二軸混練機に投入し、200℃の温度で溶融混練した後、直径3mmのストランド状に押出し、長さ3mmとなるように切断してマスターバッチペレットを製造した。
【0052】
(2)希釈樹脂ペレットの製造
プロピレン重合体[MFR(温度230℃、荷重2.16kg):50.0g/10分]を62質量部、エチレン−1−ブテン共重合エラストマー(EBR)[MFR(温度190℃、荷重2.16kg):5.0g/10分]を30質量部、タルク(平均粒子径:4.7μm)を8質量部、ステアリン酸カルシウムを0.1質量部の割合にてタンブラーに投入してドライブレンドした。得られた混合物を、二軸混練機に投入し、200℃の温度で溶融混練した後、直径3mmのストランド状に押出し、長さ3mmとなるように切断して希釈樹脂ペレットを製造した。
【0053】
(3)プロピレン樹脂組成物成形体の製造
上記(1)で得られたマスターバッチペレット7.4質量部と、上記(2)で得られた希釈樹脂ペレット92.6質量部とを混合した後、射出成形機に投入し、200℃の温度で射出成形して、プロピレン樹脂組成物成形体のテストピースを製造した。
【0054】
[実施例2〜3]
実施例1の(1)マスターバッチペレットの製造において、ステアリン酸の配合量を0.70質量部(実施例2)、2.10質量部(実施例3)に変えたこと以外は、実施例1と同様にしてプロピレン樹脂組成物成形体のテストピースを製造した。
【0055】
[実施例4]
実施例1の(1)マスターバッチペレットの製造において、ステアリン酸の代わりにオレイン酸を0.70質量部加えたこと以外は、実施例1と同様にしてプロピレン樹脂組成物成形体のテストピースを製造した。
【0056】
[実施例5]
実施例1の(1)マスターバッチペレットの製造において、ステアリン酸の代わりに脂肪族リン酸エステル(アデカスタブAX−71、(株)ADEKA社製)を0.70質量部加えたこと以外は、実施例1と同様にしてプロピレン樹脂組成物成形体のテストピースを製造した。
【0057】
[実施例6〜9]
実施例1の(1)マスターバッチペレットの製造において、ステアリン酸の代わりにチタネート系カップリング剤(KR44、味の素ファインテクノ(株)製)を0.07質量部(実施例6)、0.70質量部(実施例7)、3.00質量部(実施例8)、7.00質量部(実施例9)加えたこと以外は、実施例1と同様にしてプロピレン樹脂組成物成形体のテストピースを製造した。
【0058】
[実施例10]
実施例1の(1)マスターバッチペレットの製造において、ステアリン酸の代わりにチタネート系カップリング剤(KRTTS、味の素ファインテクノ(株)製)を0.70質量部加えたこと以外は、実施例1と同様にしてプロピレン樹脂組成物成形体のテストピースを製造した。
【0059】
[実施例11]
実施例1の(1)マスターバッチペレットの製造において、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合エラストマーの代わりにエチレン−1−ブテン共重合エラストマー(EBR)[MFR(温度190℃、荷重2.16kg):5.0g/10分]を20質量部加え、さらにステアリン酸の代わりにチタネート系カップリング剤(KR44、味の素ファインテクノ(株)製)を0.70質量部加えたこと以外は、実施例1と同様にしてプロピレン樹脂組成物成形体のテストピースを製造した。
【0060】
[実施例12]
実施例1の(1)マスターバッチペレットの製造において、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合エラストマーの代わりにエチレン−1−ブテン共重合エラストマー(EBR)[MFR(温度190℃、荷重2.16kg):5.0g/10分]を20質量部加え、さらにステアリン酸の代わりにチタネート系カップリング剤(KRTTS、味の素ファインテクノ(株)製)を0.70質量部加えたこと以外は、実施例1と同様にしてプロピレン樹脂組成物成形体のテストピースを製造した。
【0061】
[実施例13]
実施例1の(1)マスターバッチペレットの製造において、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合エラストマーの代わりにエチレン−1−オクテン共重合エラストマー(EOR)[MFR(温度190℃、荷重2.16kg):5.0g/10分]を20質量部加え、さらにステアリン酸の代わりにチタネート系カップリング剤(KR44、味の素ファインテクノ(株)製)を0.70質量部加えたこと以外は、実施例1と同様にしてプロピレン樹脂組成物成形体のテストピースを製造した。
【0062】
[実施例14]
実施例1の(1)マスターバッチペレットの製造において、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合エラストマーの代わりにエチレン−1−オクテン共重合エラストマー(EOR)[MFR(温度190℃、荷重2.16kg):5.0g/10分]を20質量部加え、さらにステアリン酸の代わりにチタネート系カップリング剤(KRTTS、味の素ファインテクノ(株)製)を0.70質量部加えたこと以外は、実施例1と同様にしてプロピレン樹脂組成物成形体のテストピースを製造した。
【0063】
[実施例15]
実施例1の(1)マスターバッチペレットの製造において、ステアリン酸の代わりにシラン系カップリング剤(A−1100、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン製)を0.70質量部加えたこと以外は、実施例1と同様にしてプロピレン樹脂組成物成形体のテストピースを製造した。
【0064】
[比較例1]
実施例1の(1)マスターバッチペレットの製造において、プロピレン重合体の配合量を30質量部とし、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合エラストマーとステアリン酸とを加えなかったこと以外は、実施例1と同様にしてプロピレン樹脂組成物成形体のテストピースを製造した。
【0065】
[評価]
実施例1〜15及び比較例1にて製造したプロピレン樹脂組成物成形体テストピースのアイゾット衝撃強度、デュポン衝撃強度及び曲げ弾性率を次の方法により測定した。その結果を、マスターバッチペレットの配合比と共に下記の表1に示す。
【0066】
(1)アイゾット衝撃強度
ASTM−D256に規定された方法に従って測定した。測定温度は−30℃とした。
【0067】
(2)デュポン衝撃強度
テストピースのサイズは、縦80mm×横80mm×厚さ3mmとした。テストピースを−30℃の温度の環境下に5時間静置した後、デュポン衝撃強度測定装置(撃ち型の半径:6.35±0.03mm、錘重の重さ:6kg、錘重の最大落下高さ:90cm)を用いて測定した。
測定には5個のテストピースを用いた。クラックが発生するまで、錘重の落下位置を徐々に高くしていき、5個のテストピースがクラックの発生なしとなる高さのうち最も高い落下位置(cm)と錘重の重さ(6kg)とを掛けた値をデュポン衝撃強度(kgf・cm)とした。
なお、錘重の落下位置を90cmとしてもクラックが生じないテストピースは、デュポン衝撃強度を540kgf・cm以上とした。
【0068】
(3)曲げ弾性率
ASTM−D790に規定された方法に従って測定した。
【0069】
表1
────────────────────────────────────────
マスターバッチペレットの配合比 アイゾット デュポン
───────────────── 衝撃強度 衝撃強度 曲げ弾性率
(A) (B) (C) (D) (E) (J/m) (kgf・cm) (MPa)
────────────────────────────────────────
実施例1 10 70 20 1.47 0.14 85.4 540以上 2165
実施例2 10 70 20 1.47 0.70 94.6 540以上 2197
実施例3 10 70 20 1.47 2.10 82.7 540以上 2255
実施例4 10 70 20 1.47 0.70 84.9 540以上 2192
実施例5 10 70 20 1.47 0.70 91.1 540以上 2270
実施例6 10 70 20 1.47 0.07 93.3 540以上 2129
実施例7 10 70 20 1.47 0.70 94.6 540以上 2376
実施例8 10 70 20 1.47 3.00 85.6 540以上 2179
実施例9 10 70 20 1.47 7.00 85.0 540以上 2186
実施例10 10 70 20 1.47 0.70 84.7 540以上 2140
実施例11 10 70 20 1.47 0.70 77.2 540以上 2330
実施例12 10 70 20 1.47 0.70 76.5 540以上 2284
実施例13 10 70 20 1.47 0.70 78.9 540以上 2263
実施例14 10 70 20 1.47 0.70 82.5 540以上 2105
実施例15 10 70 20 1.47 0.70 85.4 540以上 2165
────────────────────────────────────────
比較例1 30 70 0 1.47 0 68.1 300 2311
────────────────────────────────────────
(A):プロピレン重合体
(B):繊維状塩基性硫酸マグネシウム
(C):エラストマー(実施例1〜10及び15:スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合エラストマー、実施例11〜12:エチレン−1−ブテン共重合エラストマー、実施例13〜14:エチレン−1−オクテン共重合エラストマー)
(D):滑剤(ステアリン酸マグネシウム)
(E):表面処理剤(実施例1〜3:ステアリン酸、実施例4:オレイン酸、実施例5:脂肪族リン酸エステル、実施例6〜14:チタネート系カップリング剤、実施例15:シラン系カップリング剤)
【0070】
表1の結果から明らかなように、プロピレン重合体と繊維状塩基性硫酸マグネシウムとエラストマーと滑剤と繊維状塩基性硫酸マグネシウムの表面処理剤とを本発明の範囲にて含有するマスターバッチペレットを用いて製造したプロピレン樹脂組成物成形体(実施例1〜15)は、プロピレン重合体と繊維状塩基性硫酸マグネシウムと滑剤とを含有する従来のマスターバッチペレットを用いて製造したプロピレン樹脂組成物成形体(比較例1)と比較して、曲げ弾性率は実用的に満足できるレベルにあって、−30℃の低温下においてアイゾット衝撃強度及びデュポン衝撃強度は高い値を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)オレフィン重合体、
(B)繊維状塩基性硫酸マグネシウム、
(C)エラストマー、
(D)炭化水素、ハロゲン化炭化水素、脂肪酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、炭素原子数が16以上の一価アルコール、多価アルコール及び脂肪酸のマグネシウムもしくはマグネシウムよりもイオン化傾向が低い金属の塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の滑剤、
(E)脂肪酸、オキシ脂肪酸、脂肪族リン酸エステル及びカップリング剤からなる群より選ばれる少なくとも一種の繊維状塩基性硫酸マグネシウムの表面処理剤の各成分を、
(A)、(B)及び(C)の合計量を100質量部としたときに、(A)が1〜45質量部の範囲の量、(B)が35〜80質量部の範囲の量、(C)が5〜45質量部の範囲の量、(D)が0.01〜10.0質量部の範囲の量、(E)が0.01〜15.0質量部の範囲の量で、かつ(B)の量を100質量部としたときに、(D)が0.02〜15.0質量部の範囲の量で、かつ(E)が0.02〜20.0質量部の範囲の量にて含むマスターバッチペレット。
【請求項2】
(A)が、プロピレン重合体、エチレン重合体及びエチレン−プロピレン共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種のオレフィン重合体である請求項1に記載のマスターバッチペレット。
【請求項3】
(B)が、平均繊維太さが0.1〜1.0μmの範囲にあって、平均アスペクト比が5〜50の範囲にある繊維状塩基性硫酸マグネシウムである請求項1に記載のマスターバッチペレット。
【請求項4】
(C)が、エチレン−ブテン系エラストマー、エチレン−オクテン系エラストマー及びスチレン系エラストマーからなる群より選ばれる少なくとも一種のエラストマーである請求項1に記載のマスターバッチペレット。
【請求項5】
(D)を(A)、(B)及び(C)の合計量を100質量部としたときに0.1〜5.0質量部の範囲の量で、かつ(B)の量を100質量部としたときに0.2〜5.0質量部の範囲の量にて含む請求項1に記載のマスターバッチペレット。
【請求項6】
(E)を(A)、(B)及び(C)の合計量を100質量部としたときに0.03〜10.0質量部の範囲の量で、かつ(B)の量を100質量部としたときに0.06〜15.0質量部の範囲の量にて含む請求項1に記載のマスターバッチペレット。
【請求項7】
下記の工程からなる繊維状塩基性硫酸マグネシウム含有プロピレン樹脂組成物成形体の製造方法:
下記成分を含む繊維状塩基性硫酸マグネシウム含有マスターバッチペレットを用意する工程;
(A)オレフィン重合体、
(B)繊維状塩基性硫酸マグネシウム、
(C)エラストマー、
(D)炭化水素、ハロゲン化炭化水素、脂肪酸アミド、アルキレンビス脂肪酸アミド、脂肪酸エステル、炭素原子数が16以上の一価アルコール、多価アルコール及び脂肪酸のマグネシウムもしくはマグネシウムよりもイオン化傾向が低い金属の塩からなる群より選ばれる少なくとも一種の滑剤、
(E)脂肪酸、オキシ脂肪酸、脂肪族リン酸エステル及びカップリング剤からなる群より選ばれる少なくとも一種の繊維状塩基性硫酸マグネシウムの表面処理剤;
繊維状塩基性硫酸マグネシウム含有マスターバッチペレット100質量部に対して、プロピレン重合体を含む希釈樹脂ペレットを100〜2000質量部の範囲となる量にて混合し、溶融混練した後、成形する工程。
【請求項8】
繊維状塩基性硫酸マグネシウム含有マスターバッチペレットが、(A)、(B)及び(C)の合計量を100質量部としたときに、(A)が1〜45質量部の範囲の量、(B)が35〜80質量部の範囲の量、(C)が5〜45質量部の範囲の量、(D)が0.01〜10.0質量部の範囲の量、(E)が0.01〜15.0質量部の範囲の量で、かつ(B)の量を100質量部としたときに、(D)が0.02〜15.0質量部の範囲の量で、かつ(E)が0.02〜20.0質量部の範囲の量にて含む請求項7に記載の方法。
【請求項9】
(A)が、プロピレン重合体、エチレン重合体及びエチレン−プロピレン共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種のオレフィン重合体である請求項7に記載の方法。
【請求項10】
(B)が、平均繊維太さが0.1〜1.0μmの範囲にあって、平均アスペクト比が5〜50の範囲にある繊維状塩基性硫酸マグネシウムである請求項7に記載の方法。
【請求項11】
(C)が、エチレン−ブテン系エラストマー、エチレン−オクテン系エラストマー及びスチレン系エラストマーからなる群より選ばれる少なくとも一種のエラストマーである請求項7に記載の方法。

【公開番号】特開2011−214002(P2011−214002A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57712(P2011−57712)
【出願日】平成23年3月16日(2011.3.16)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【出願人】(000119988)宇部マテリアルズ株式会社 (120)
【Fターム(参考)】