マルチパック及びマルチパック展開体
【課題】 指先で確実に把持しやすく、取り扱いの容易な三本の略円柱状の被包装物を包装したマルチパックの提供。
【解決手段】 略円柱状の3本の被包装物30を、互いに側面が接するように寄せ合わせて包装するマルチパック1であって、前記被包装物30の頂面及び底面を被覆する略六角形の天板2及び底板4と、前記天板2と前記底板4を連結する3枚の側板3、5、6とを備え、前記3枚の側板3、5、6は、それぞれ天板2及び底板4の六角形の互いに隣り合わない3辺に接続しており、前記天板2の中央部及び前記側板3、5、6の天板2との接続部には、それぞれ指挿入用の第一の開口7及び第二の開口8を有することを特徴とするマルチパック。
【解決手段】 略円柱状の3本の被包装物30を、互いに側面が接するように寄せ合わせて包装するマルチパック1であって、前記被包装物30の頂面及び底面を被覆する略六角形の天板2及び底板4と、前記天板2と前記底板4を連結する3枚の側板3、5、6とを備え、前記3枚の側板3、5、6は、それぞれ天板2及び底板4の六角形の互いに隣り合わない3辺に接続しており、前記天板2の中央部及び前記側板3、5、6の天板2との接続部には、それぞれ指挿入用の第一の開口7及び第二の開口8を有することを特徴とするマルチパック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料缶、缶詰缶等の略円柱形の容器を3本まとめて包装するマルチパック及びマルチパック展開体に関する。
【背景技術】
【0002】
略円柱状のビールやジュース等の飲料缶や缶詰の缶、略円柱状の瓶等の被包装物(本願では特に断らない限り、円柱缶と記載すれば、上記の略円柱状の缶や瓶等の被包装物の略称とする。)をまとめて包装するパッケージは、通常の四角い段ボール箱をはじめ多くの形態がある。その中でも、缶ビールなどの小型の円柱缶を6本寄せ合わせて簡便に包装でき、取り扱いや持ち運び、開封に便利な厚紙製のマルチパックがよく知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0003】
その他にも、4本や2本の偶数の円柱缶を包装するマルチパックについても比較的知られており、例えば、特許文献1には、2つの缶飲料を板紙で固定する包装用パッケージが開示されている。この包装用パッケージは、取り扱いや開封が容易で、搬送時に缶飲料がパッケージから脱落し難い構造となっている。
【0004】
奇数の円柱缶を包装するマルチパックについては、あまり知られていないが、特許文献2には、少量の材料で包装でき、被包装物の露出部を多くして被包装物の表示内容の露出による訴求効果を高めた3缶用マルチパックが開示されている。このマルチパックは、図13に示すように、3個の缶Cを寄せ合って包装するマルチパックにおいて、天面板201と底面板202と側壁に対応する開立板203と閉立板204を連接している。開立板203は、両側方へ張り出し、開立板203の中間部分が開口してスリーブ209を形成している。天面板201及び底面板202の両側縁と、開立板203の開口の上下縁には、保持片206を連接すると共に、開立板203の外側縁及び開口の両側縁に押圧片207、208を連接している。
【0005】
マルチパックで缶Cを包装するためには、スリーブ209の両端及び開立板203の開口から缶Cを挿入する。そして、包装された缶を固定するために、挿入された各缶Cの上下面の突起部に、内側に折り込んだ保持片206を係合させ、各缶Cの側面外周部に内側に折り曲げた押圧片207、208を弾力的に当接させている。
【0006】
図14には、ビール缶用に使用されている他の例の3缶用マルチパックを示した。このマルチパックは、寄せ合わせた3本のビール缶の3箇所の隣り合う側面に側板を配置し、天板及び底板の一部を内側に折り返し、ビール缶の上下の縁に形成されている突起部を利用して、この突起部に折り返し部が係合することにより、ビール缶がマルチパックから脱落しない構造になっている。このマルチパックは、包装材料の使用量を大幅に削減して、被包装物であるビール缶をできるだけ露出させることを考慮している。これにより、包装材資源の節約、ビール缶表面の表示の見やすさ等が改良されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−131328号公報
【特許文献2】特開2007−137501号公報
【特許文献3】特開平11−278426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
3本の円柱缶を寄せ合わせて包装するマルチパックは、束ねられた3本の円柱缶の平面形状(上面又は底面形状)が三角形又は六角形に近いため、通常の直方体に近いマルチパックでは包装しづらい。この為、特許文献2や図14に示したように、缶の上下に係合させる特別の上面と底面を持つマルチパックであり、缶の縁に係合可能な突起が形成されていることが必要となる。
【0009】
また、一般的なマルチパック(6缶のマルチパック)では、持ち運び用に、手の指を挿入できる指穴を少なくとも二箇所天板に設け、複数の指でマルチパックを持ち運べるようにしたものがある(特許文献3)。しかしながら、3本の円柱缶を寄せ合わせて包装するマルチパックでは、マルチパック天板に二箇所の指穴を設けようとする4と、包装すべき缶の頂面に対応する天板部分に指穴を設けなければならず、指を深く挿入することが出来ないため、持ち運び難くなってしまう。しかも、3缶マルチパックは、そもそも天板の面積が少なく(図14及び特許文献2)、そこに少なくとも二箇所の指穴を設けるとその強度が問題となる。特に被包装物がビール缶やジュース缶のように重量のあるものを取扱う場合、天板が持ち運びに耐えられるようにするには、使用する原材料の紙材の強度を高める必要がある。
【0010】
この場合、ある程度の重量のある被包装物を包装する包装体には、比較的強度のある厚紙などが使用されているが、包装の確実性から厚紙の強度を増すと、開封が困難になる恐れがある。開封を容易にするために、図15に示すように、側板(例えば、図14のマルチパックにおける側板や天板に平行な2本の切れ目線(破断案内線)を水平に形成することが考えられる。しかし、このような切れ目線を形成すると、切れ目線の部分の強度が低下して、この部分から破損する恐れがあった。
【0011】
更に、マルチパックの展開体を組み立ててマルチパックを作製し、円柱缶を包装する場合、紙厚が増すと、組み立て工程の最後に天板や底板を缶の突起部に係合する際、容易に係合部を折り込んで係合しづらくなり、組み立てに時間や熟練を要することになる。特に、上記の切れ目線を形成した側面は、組み立て工程において十分注意しないと、係合部折り込み工程における応力等により切れ目線が折れ曲がりやすく強度が極端に低下する恐れがある。
【0012】
また、上述の3缶の円柱缶用のマルチパックは、いずれの場合も、円柱缶の頂面全体を被覆する構造にはなっていない。これは、円柱缶3缶を束ねた場合の円柱缶の頂面全体の形状と頂面を被覆する略六角形などの天板の形状との相違により、円柱缶の外周部に近い部分が被覆しづらい構造であることと、マルチパックによる包装の目的が運搬や積み置きの際の取り扱いの利便性や内部の缶表面の露出効果などに置かれ、円柱缶の頂面全体を被覆する必要性が無かったからであると考えられる。
【0013】
しかし、上述のマルチパックでは、ビール缶やジュース缶のように頂面に飲み口や注ぎ口のある円柱缶の頂面の汚れや細菌などの付着を防ぐことができない。最近は、インフルエンザや食中毒性の細菌類の付着による汚染には特に注意が必要である。この為、簡単な構造で円柱缶の頂面全体を覆う構造のマルチパックに対する必要性が高まっている。
【0014】
本発明の目的は、上記の課題を踏まえ、指先で確実に把持しやすく、取り扱いの容易な三本の略円柱状の被包装物を包装するマルチパック、及び前記マルチパックとして組み立てるマルチパック展開体を提供することである。
【0015】
さらに、好ましい本発明の目的は、強度が十分で、組み立て時等に強度低下が起こり難く、開封が容易なマルチパック、及び前記マルチパック展開体を提供することである。
【0016】
さらに、好ましい本発明の目的は、組み立てが容易で、組み立てた後に不用意に組み立てが外れにくい前記マルチパック展開体を提供することである。
【0017】
さらに、好ましい本発明の目的は、円柱缶の頂面全体を被覆することができる前記マルチパック、及びマルチパック展開体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明のマルチパックは、略円柱状の3本の被包装物を、互いに側面(胴部)が接するように寄せ合わせて包装するものである。本発明のマルチパックは、被包装物の頂面及び底面を被覆する略六角形の天板及び底板と、天板と底板を連結する3枚の側板とを備えている。そして、3枚の側板は、それぞれ天板及び底板の六角形の互いに隣り合わない3辺に接続している。すなわち、本発明のマルチパックの外観は、三角柱状の容器の3つの三角の角部を柱方向に沿って切り取った形状に近い。そして、略円柱状の3本の被包装物は円柱状の側面(胴部)が互いに接するように束ねられて、本発明のマルチパックに包装される。被包装物の直径が同じ場合は、マルチパックの天板、及び底板は、正三角形の3つの角を切り取ったような六角形状となる。
【0019】
本発明のマルチパックにおいては、天板の中央部、及び側板の天板との接続部に、それぞれ持ち運びのための指挿入用の第一の開口及び第二の開口が形成されている。第一の開口は、天板の中央部に形成されており、被包装物である3本の円柱缶の境界部に対応し、空間上に配置されている。このため、開口から挿入した指をマルチパックの内部で操作しやすい構造である。第二の開口は、ひとつでもよいが、3枚の側板それぞれに設けられていることが好ましい。また、第二の開口は、側板の左右方向の中央部に設けることが好ましい。側板の左右方向の中央部の内側は、被包装物である2本の円柱缶の境界部に相当し、空間が形成されており、開口から挿入した指をマルチパックの内部で操作しやすい構造である。
【0020】
本発明の好ましい形態のマルチパックは、上記構成に加え、さらに側板に開封用の切れ目線(破断案内線)が形成されている。切れ目線は、側板の略中央部から左右の側辺に向かって形成されおり、側板の左側辺及び右側辺に向かう切れ目線は、それぞれ水平線に対し逆方向に傾いている。言い換えれば、切れ目線は、側板上にV字状、又は逆V字状に形成されている。切れ目線は、本発明のマルチパック開封操作時の側板の破断のための破断案内線であり、破線状に不連続に形成した複数の切れ目、ミシン目、不連続に形成した複数の矢羽根状の切れ目など、従来か知られている破断案内線でもよい。
【0021】
本発明のマルチパックにおいては、切れ目線は水平線に対し切れ目線と同じ側に傾きを有する複数の平行な短い切れ目を階段状に配置して形成されていることが好ましく、隣り合う短い切れ目は、マルチパックの垂直方向に重なりを有することがさらに好ましい。また、隣り合う短い切れ目は、切れ目の方向に直角な方向にも重なりを有することが好ましい。切れ目線をこのような形状とすることで、マルチパック組み立て時等において、側板が切れ目線に沿って折れ曲がったり、破断したりする恐れがなくなり、マルチパックの開封操作のときには、容易に切れ目線に沿って側板を破断し、開封することができる。
【0022】
左右の側辺に向かう切れ目線の交差する位置には、指挿入用の第三の開口又は把持用の突出部が形成されていることが好ましい。マルチパックの側板を破断するときには、第三の開口等がなくても、V字状の切れ目線の交点付近を押圧して側板の一部を破り、その部分を引き上げれば、側板は破断できるが、第三の開口又は把持用の突出部が形成されていれば、ここから容易に側板は破断できる。
【0023】
なお、V字状の切れ目線の交点や指挿入用の第三の開口が側板の中央付近に配置してあると、切れ目線の交点や指挿入用の第三の開口が被包装物である2本の円柱缶の境界部に対応し、側板内部に空間が形成されており、開口から挿入した指をマルチパックの内部で操作しやすい。
【0024】
本発明のマルチパックにおいては、天板がビール缶などの3本の被包装物の頂面を完全に被覆する構造とすることが好ましい。ビール缶などの飲料缶や食品瓶などは、頂面に飲み口や内容物の取り出し口があるものが多く、マルチパックで包装しているときは被包装物の頂面を完全に覆っておき、ホコリ等の異物や細菌などが付着しないようにすることが好ましい。被包装物の頂面を完全に被覆する構造とするために、天板の形状を変形させ、例えば、当該マルチパックの6つの側面のうち、側板が接続していない辺を短くしたり被包装物の頂面の形状に合わせて凸状に膨らませたりしてもよい。なお、被包装物の底面の汚れを防止したい場合には、マルチパックの底板の形状を上記の天板の形状と同じように変形すればよい。
【0025】
本発明のマルチパックは、被包装物の表面の特定部分を露出させたり、被覆したりする場合は、目的に応じて、マルチパックの強度を使用不能なほどに損なわない範囲で、天板、側板、底板等の形状を変形させて、被包装物の表面の一部を露出させたり、被覆したり、開口を形成したりしてもよい。とくに、側板の中央部を細くして、被包装物の側面を大きく露出させたり、底板の一部に開口や切り欠きを設けて、被包装物の底面の一部を観察できるようにすることができる。
【0026】
本発明のマルチパック展開体は、略円柱状の3本の被包装物を、互いに側面(胴部)が接するように寄せ合わせて包装するマルチパックを組み立てるための展開体である。本発明のマルチパック展開体は、3本の被包装物の頂面に配置する略六角形の天板と、天板の六角形の第1辺に接続し、3本の被包装物の側面に配置する第一の側板と、それぞれ天板の六角形の第3辺及び第5辺に接続し被包装物の異なった側面を被覆する第二の側板及び第三の側板と、第一の側板の天板との接続辺と対向する辺に接続し、3本の被包装物の底面を被覆する略六角形の底板とを備えている。
【0027】
底板には、第一の側板との接続辺を六角形の第1辺として、第3辺及び第5辺にそれぞれ第二の側板及び第三の側板と接続するためのスリットを有する接続片を設ける。第二の側板及び第三の側板の天板との接続辺と対向する辺には、それぞれ底板に設けた接続片に形成したスリットと係合する係合片を設ける。
【0028】
天板の中央部には、指挿入用の第一の開口を形成し、第一、第二、及び第三の側板の天板との接続部の少なくともひとつには、指挿入用の第二の開口を形成する。
【0029】
そして、本発明のマルチパック展開体は、天板及び底板と第一、第二、及び第三の側板との接続部、底板と接続片との接続部、並びに第二及び第三の側板と前記係合片との接続部には、それぞれ内折りの折り目線を形成することが好ましい。
【0030】
この本発明のマルチパック展開体を折り目線に沿ってそれぞれ約90度ずつ内折りし、第二の側板及び第三の側板に設けた係合片をそれぞれ底板に設けた接続片に形成したスリットに係合すれば、本発明のマルチパックが出来上がる。
【0031】
本発明の好ましい形態のマルチパック展開体は、第一、第二、及び第三の側板の少なくともひとつに、側板の左右方向の略中央部から左右の側辺に向かって開封用の切れ目線(破断案内線)が形成されることが好ましい。切れ目線は、マルチパック組み立て時における折れ曲がりを防ぐため、第一の側板に設けることがことが好ましい。左右の側辺に向かうV字状の切れ目線は、それぞれ切れ目線形成方向に対し外向きの傾きを有することが好ましい。さらに、切れ目線は、組み立てたマルチパックの水平線に対し切れ目線と同じ側に傾きを有する複数の平行な短い切れ目を階段状に配置して形成されることが好ましい。切れ目の傾斜は切れ目線の傾斜よりも緩いことが好ましく、隣り合う短い切れ目は組み立てたマルチパックの垂直方向に重なりを有することが好ましく、隣り合う短い切れ目同士が互いの切れ目に直角方向に重なり合うことが好ましい。このような切れ目線とすることで、組み立てたマルチパックの開封時には、容易に側板を破断でき、マルチパックの組み立て時には、撓み難くなり側板が切れ目線に沿って容易に折れ曲がったり、破断したりすることがない。
【0032】
左右の側辺に向かう切れ目線の交差する位置には、指挿入用の第三の開口又は把持用の突出部が形成されていることが好ましい。切れ目線は、左右の側辺に向かうV字の交差する位置を押圧して破断し、そこから側面のシートの一部を引き上げて破断してもよいが、破断開始用の第三の開口又は把持用の突出部が形成されていることが好ましい。
【0033】
本発明のマルチパック展開体は、係合片の第二及び第三の側板との接続部(付け根)にくびれ部を形成することが好ましい。くびれ部は、係合片をスリットに係合したときに係合片がスリットから外れにくくする機能を有する。この為、接続片に設けたスリットの長さが、それぞれスリットに係合される係合片の長さ以下であり、それぞれくびれ部の長さ以上とすることが好ましい。
【0034】
本発明のマルチパック展開においては、天板がビール缶などの3本の被包装物の頂面を完全に被覆する構造とすることが好ましい。ビール缶などの飲料缶や食品瓶などは、頂面に飲み口や内容物の取り出し口があるものが多く、マルチパックで包装中に被包装物の頂面を完全に覆っておき、ホコリ等の異物や細菌などが付着しないようにすることが好ましい。被包装物の頂面を完全に被覆する構造とするために、天板の形状を変形させ、例えば、六角形状の側面が接続していない辺を短くしたり、被包装物の頂面の形状に合わせて凸状に膨らませたりしてもよい。なお、被包装物の底面の汚れを防止したい場合には、マルチパックの底板の形状を上記の天板の形状変形のように変形すればよい。
【0035】
本発明のマルチパック展開体は、組み立てたマルチパックが被包装物の表面の特定部分を露出させたり、被覆したりする場合は、目的に応じて、マルチパックの強度を使用不能なほどに損なわない範囲で、天板、側板、底板等の形状を変形させて、被包装物の表面の一部を露出させたり、被覆したり、開口を形成したりしてもよい。とくに、側板の中央部を細くして、被包装物の側面を大きく露出させたり、底板の一部に開口を設けて、被包装物の底面を観察できるようにすることができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、三本の略円柱状の被包装物を包装でき、指先で確実に把持しやすく、取り扱いや持ち運びの容易なマルチパック、及び前記マルチパックとして組み立てるマルチパック展開体を提供することができる。また、本発明によれば、上下の端部に係合用の突起がない被包装物に対しても容易に包装できる。
【0037】
さらに、好ましい本発明によれば、強度が十分で、組み立て時等に折れ曲がりや強度低下が起こり難く、開封が容易なマルチパック、及び前記マルチパック展開体を提供することができる。
【0038】
さらに、好ましい本発明によれば、組立が容易で、不用意に外れにくい前記マルチパック展開体を提供することができる。
【0039】
さらに、好ましい本発明によれば、円柱缶の頂面全体を被覆する衛生上優れた前記マルチパック、及びマルチパック展開体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】ビール缶を収納した本発明のマルチパックの斜視図である。
【図2】ビール缶を収納した本発明のマルチパックの平面図である。
【図3】ビール缶を収納した本発明のマルチパックの側面図(図1における左手前を正面としたときの正面図)である。
【図4】ビール缶を収納した本発明のマルチパックの側面図(図1における左手前を正面としたときの背面図)である。
【図5】ビール缶を収納した本発明のマルチパックを持ち上げたときの斜視図である。
【図6】側板に形成した切れ目線の説明図である。
【図7】本発明のマルチパック展開体の平面図(展開図)である。
【図8】底板と側板の係合部の詳細図である。
【図9】底板に形成したスリットの他の例の詳細図である。
【図10】本発明のマルチパック展開体による被包装物の包装工程の説明図(1)である。
【図11】本発明のマルチパック展開体による被包装物の包装工程の説明図(2)である。
【図12】本発明のマルチパック展開体による被包装物の包装工程の説明図(3)である。
【図13】特許文献2に記載のマルチパックの説明用斜視図である。
【図14】3本の円柱缶を包装した従来のマルチパック例の斜視図である。
【図15】従来の切れ目線の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
[第一の実施の形態]
本発明の第一の実施の形態であるマルチパックについて、図1乃至図3を参照して説明する。図1は、ビール缶を収納した本発明の第一の実施の形態であるマルチパックの斜視図であり、図2は、図1に示したマルチパックの平面図であり、図3は、図1に示したマルチパックの側面図(図1における左手前を正面としたときの正面図)である。本形態のマルチパック1は、ビール缶30を3本収納しているが、それぞれのビール缶30の頂面は、略六角形の天板2によって全面を覆われている。マルチパック1の側面には側板が3枚あり、それぞれ天板2の略六角形のひとつおきの辺に接続している。側板と側板の間には間隙があり、このマルチパック1に収納されたビール缶30などの被包装物の表面は、この間隙から観察することができる。マルチパック1の底板は、天板2とほぼ同じ形状であり、略六角形のひとつおきの辺がそれぞれ3枚の側板の天板2と接続している辺に対向する辺と接続している。なお、底板と2枚の側板の接続部は、着脱自在な係合片により係合されて接続している。
【0042】
図1に示すように、本形態のマルチパック1は、ビール缶30を3本収納しているが、それぞれのビール缶30の頂面は、天板2によって全面を覆われている。このように天板2によってビール缶30の頂面全体を覆うことにより、ビール缶30を収納した本形態のマルチパックは、取扱中や店頭陳列中に素手で掴んでもビール缶30の頂面に触れることがない。又、ホコリ等の異物や細菌などの付着の恐れもない。この為、飲み口のついたビール缶30の頂面が、常に衛生的に保たれる。なお、ビール缶30は、肩の部分から絞り込まれており、頂面は、胴部より小径となっているので、略六角形の天板2によって覆われ易い構造になっている。頂面の直径が胴部の直径と同じ円柱缶を収納するマルチパックの場合は、天板2の六角形の側面と接続していない辺の長さを小さくしたり、辺の形状を凸型にして円柱缶の頂面の形状に合わせたりすることにより、円柱缶の頂面全体を被覆することができる。
【0043】
図1、2に示すように、略六角形の天板2の中央部には、指が挿入できる程度の第一の開口7が設けてある。この第一の開口7は、図1においては三角形としているが、円形、四角形、六角形など、取扱者の指が挿入できればどのような形状でもよいが、不必要に大きくしない方がよい。第一の開口7は、挿入した指先が二つのビール缶30の間隙に入り、天板2の内側を挿入した指先で引っ掛けて、マルチパックを持ち上げやすい構造とすることが好ましい。また、第一の開口7は、収納されているビール缶30の頂面にまで及ばないようにしておく形状にしておくことが好ましい。
【0044】
本形態のマルチパック1は、それぞれ3つの側板の最上部中央に、取扱者の指挿入用の第二の開口を備えている。第二の開口は、少なくともひとつの側板、例えば側板3の最上部中央に形成されていればよいが、同じような第二の開口が各側板に設置されている方が、マルチパック1の取り扱いが便利である。図1に示す側板3の第二の開口8で説明すれば、第二の開口8は、第一の開口7と同様、取扱者の指が挿入できればどのような形状でもよく、不必要に大きくしない方がよい。図1においては、半円形の第二の開口8を示したが、天板2側に向かって鋭角に切れ込む形状としないことが好ましい。天板2側に向かって鋭角に切れ込む形状となっていると、第二の開口8に指を入れてマルチパック1を持ち上げたときに鋭角の切れ込み部分に応力が集中して、天板2が破損する恐れがある。なお、側板の最上部(天板との接続部)の中央部に第二の開口8があることにより、第二の開口8に挿入した指先が二つのビール缶30の間隙に入り、指先が天板2の内側を引っ掛けて、マルチパックを持ち上げやすい構造となっている。
【0045】
図4に、ビール缶30を収納した本形態のマルチパック1を、取扱者により取り上げられた状態を示す。通常は、片手でマルチパック1を持ち上げるため、親指を第二の開口8に挿入し、人差し指又は中指を第一の開口7に挿入し、天板2の裏側から持ち上げることになる。このため、第一、第二の開口7、8は、それぞれの指の断面形状を考慮して形成してもよい。なお、本形態のマルチパック1は、上面から見たときに120度回転するとほぼ同じ形になる回転対称形であり、図1には記載されていない側板5、6に、側板3の第二の開口8と同様の第二の開口9、10が形成されている。この為、本形態のマルチパックにおける第一の開口7は120度回転対称形である略正三角形としている。また、マルチパック1を持ち上げたときに応力集中を起こさないよう、それぞれの開口は、鋭角に切れ込んだ部分を形成しない方がよい。
【0046】
本形態のマルチパックは、底板4のビール缶30の底面に対向する位置に第四の開口を設けてもよい。第四の開口は、ビール缶30の底面に表示されている情報、例えば賞味期限や製造年月日などを確認できるようにしてある。第四の開口は、3本のビール缶30の底面に対応して3箇所に設けることが好ましい。また、第四の開口の大きさは、ビール缶30の底面の情報を確認できる範囲の大きさであればよい。
【0047】
[第二の実施の形態]
本発明の第二の実施の形態のマルチパックを、図5、6を参照にして説明する。本発明の第二の実施の形態のマルチパックは、全体の形状は、第一の実施の形態のマルチパックと同じであり、相違点は、側板のひとつ、例えば、図5の側面図に示すように、側板5の中央部から左右の側辺に向かって2本の切れ目線(破断案内線)18が形成されている。この切れ目線18は、破断線、ジッパー、ミシン目などとも呼ばれている側板5の破断用の案内線であり、通常は、細かい切れ目や小孔で破線状又は点線状に案内線を形成したものである。
【0048】
本形態のマルチパック1における切れ目線18は、天板2又は底板と平行な水平線に対し斜めになっており、傾斜を有している。更に、側板5の中央部から左右の側辺に向かっている2本の切れ目線18は、それぞれ逆方向に傾斜しており、V字状に形成されている。2本の切れ目線18が交差する側板5の中央部には、指挿入用の第三の開口17が設けてあり、側板5の破断時に、第三の開口17に指を挿入して、側板5の上部側を外側に引くことにより、側板5は2本の切れ目線18に沿って容易に破断される。これにより、マルチパック1は開封される。
【0049】
第三の開口17を設けない場合は、2本の切れ目線18の交差部分を押圧して破断し、そこに指を挿入して、上述のようにして側板5を破断してもよい。また、第三の開口17の形成位置に、第三の開口17に代えて、第三の開口17に類似した形状の切れ目線を形成しておき、側板5を破断するときにこの切れ目線部分を押圧して第三の開口17を形成してもよい。更に、第三の開口17の形成位置に、第三の開口17に代えて、把持部を形成しておき、側板5を破断するときにこの把持部を引くことにより、側板5を破断してもよい。
【0050】
2本の切れ目線を水平に形成すると、図15を用いてすでに説明したように、被包装物を包装するためにマルチパック1を組み立てるため側板と底板などを係合するときに、側板を湾曲させるため、切れ目線に沿って側板が折れ曲がったり、破断したりする恐れがあり、マルチパック1の組み立てに注意が必要であった。これに対し、本形態のマルチパック1における切れ目線18は、V字状に形成されており、側板を湾曲させても、切れ目線に沿って側板が折れ曲がったり、破断したりし難い。本形態のマルチパック1における切れ目線18は、V字状に形成されているが、切れ目線18は、逆さになったV字状に形成してもよい。また、2本の切れ目線18は、左右対称とすることが好ましいが、かならすしも左右対称としなくてもよい。
【0051】
図6に示すように、切れ目線18の水平に対する傾斜角xは、15〜75度、好ましくは25〜60度程度とすることが望ましい。これにより、側板5の破断操作が容易になると共に、マルチパック1の組み立て時などにおける、望まない折れ曲がりや破断を防止できる。
【0052】
切れ目線18における破断用の一つ一つの切れ目27は、従来から知られている破線状、点線状、破線状に角度の異なる補助の切れ目を付けた矢羽根状などでもよいが、図6に示すように、階段状に形成した多数の平行な切れ目27により形成することが好ましい。さらに、切れ目27は、水平線に対し、切れ目線18と同じ側に傾斜していることが好ましい。切れ目27の水平線に対する傾斜角yは、切れ目線18の傾斜角x以下であり、左右の切れ目線18を形成する切れ目27は、互いに左右対称となっている。また、隣り合う切れ目27は、互いに水平線に対する垂直方向に重なり合っており、切れ目27に直角な方向にも重なり合っている。このような形状の切れ目線は、側板5の折り曲げ応力に対し抵抗力が大きいが、破断操作においては容易に破断できる。
【0053】
本形態のマルチパック1における切れ目線18は、側板5に形成されているが、他の側板、天板、又は底板に形成することもできる。また、ひとつのマルチパック1に複数の切れ目線18を形成してもよい。
【0054】
[第三の実施の形態]
本発明の第三の実施の形態であるマルチパック展開体を、図7を参照にして説明する。本発明の第三の実施の形態のマルチパック展開体は、接着剤や他の部品や道具を使わなくてもマルチパックを組み立てることができるシート状の展開体である。本形態のマルチパック展開体は、通常、厚紙、段ボールなどからなるが、プラスチックシート、金属板、又はこれらの複合シート等、どのような材料で作製してもよい。
【0055】
本形態のマルチパック展開体の平面図を図7に示す。マルチパック展開体100は、略六角形の天板2の六角形のひとつおきの辺に、それぞれ3枚の略長方形の側板3、5、6が接続されている。側板3の天板2との接続辺と対向する辺には、天板2とほぼ同じ略六角形の底板4が接続されている。側板5、6の天板2との接続辺と対向する辺には、マルチパックを組み立てる際に、側板5、6と底板4を係合するための係合片11、13が設置されている。底板4の側板3との接続部を六角形の第1辺としたとき、第3辺と第5辺には、接続辺15、16が設置されている。接続辺15、16には、それぞれ係合片11、13と係合するためのスリット12、14が形成されている。
【0056】
天板2の中央部には、取扱者が指を挿入する略三角形の第一の開口7が形成されている。側板3、5、6の天板2との接続部には、それぞれ取扱者が指を挿入する略半円形の第二の開口8、9、10が形成されている。側板5の略中央部には、取扱者が指を挿入する略三角形の第三の開口17が形成されている。第一の開口7及び第二の開口8、9、10の構造や形態については、第一の実施の形態で説明したマルチパックの第一の開口7及び第二の開口8、9、10の構造や形状と同様であればよい。
【0057】
側板5には、第三の開口17部から天板2の方向に向かってV字状に左右の側辺まで、切れ目線が形成されている。第三の開口17及び切れ目線の構造や形態は、第二の実施の形態で説明したマルチパックの第三の開口17及び切れ目線の構造や形態と同様であればよい。
【0058】
天板2と第一、第二、及び第三の側板3、5、6のそれぞれの接続部、第一の側板3と底板4との接続部、第二及び第三の側板5、6と係合片11、13のそれぞれの接続部、及び底板4と接続片15、16のそれぞれの接続部には、内折りの折り目線を設けてある。この折り目線は、マルチパックの組立の際に約90度の内折りに折り曲げられる罫線である。
【0059】
接続片15、16に形成されるスリット12、14は、マルチパック組み立て時に係合片11、13がそれぞれ差し込まれ、係合片11、13が容易にスリット12、14から外れないように形成されている。図8に係合片11及び接続片15に形成したスリット12の詳細図を示す。
【0060】
図8において、係合片11は、側板5の底板4との接続部の中央に形成された突起であり、略台形状で側板5との接続部の左右の端部にくびれ部28が形成されている。このくびれ部28は、両端に平面形状が略長方形のくびれを有する。
【0061】
底板4に設けた接続片15に形成するスリット12は、接続片15の底板4との接続部の中央部に配置する。そして、スリット12は、マルチパック組み立て時において底板4と側板5を接続する際に、係合片11がスリット12に係合する位置に配置されている。
【0062】
係合片11とスリット12の形状は、相対的な関係があり、スリット12の長さは係合片11の最大長さ(図8における略台形の係合片11のくびれ部28のすぐ上の部分の長さに相当する。)より短く、係合片11のくびれ部28の両端間の長さより長い。図8を参照にして説明すれば、スリット12の長さeは、係合片11の最大長さbよりも短く、係合片11の先端部(台形の短辺)の長さ、及びくびれ部28間の長さaと同じかそれより若干長く形成されている。また、くびれ部28の幅d及びスリット12の幅fは、マルチパック展開体100のシートの厚さと等しいかそれより若干広めとする。
【0063】
このように係合片11とスリット12の相対的な形状を規定しておくことにより、係合片11の先端をスリット12に容易に挿入でき、係合片11の最大長さ部分は係合片11を押圧しながらスリット12に挿入し、係合片11のくびれ部28がスリット12に嵌れば、係合片11の最大長さ部分がスリット12より長いため、係合片11はスリットから容易に外れなくなる。また、スリット12の長さeがくびれ部28間の長さaと等しいか若干長く、くびれ部28の幅d及びスリット12の幅fがマルチパック展開体100のシートの厚さと等しいか若干広くすることにより、係合した係合片11とスリット12にあそびが少なくなり、底板4と側板5とがきっちりと接続され、外れ難くもなる。
【0064】
なお、係合片13及び接続片16に形成したスリット14については説明しないが、対応する係合片11及びスリット12と同じ構造である。また、スリット12、14については、完全な開口としてもよいが、底面4との接続側を残して、他の辺に切り込みを入れて、押圧することにより開口となるスリット形成用切り込みを形成しておき、係合片11、13を差し込むときに押圧してスリット12、14を形成できるようにしておいてもよい。また、スリット形成位置の底面4との接続側は、折り込み案内性を形成しておかないで、接続片15、16をそれぞれ折り込んだときにスリット12、14が形成される形態としてもよい。
【0065】
このような本形態のマルチパック展開体100から、ビール缶のような被包装物をつつみながらマルチパックを組み立てれば、マルチパックは誰にでも容易に組み立てられ、出来上がったマルチパックは、組み立て部が外れたりしない強固なものとなる。
【0066】
[第四の実施の形態]
本発明の第四の実施の形態のマルチパック展開体は、本発明の第三の実施の形態のマルチパック展開体の変形例である。本発明の第四の実施の形態のマルチパック展開体は、第三の実施の形態のマルチパック展開体とほぼ同じであるが、接続片15、16にそれぞれ形成したスリット12、14の形状が第三の実施の形態のマルチパック展開体と相違している。
【0067】
本実施の形態のマルチパック展開体におけるスリット12、14を図9に示すスリット12で説明すると、接続片15に形成したスリット12の長さ方向の両端の底板4側に切り込み又は補助スリット29を形成している。スリット12の長さgは、係合片11のくぼみ部28間の長さaと同じか若干長く、両側の切り込み又は補助スリット29間の長さhは、係合片11の最大長さbよりも若干長い。そして、切り込み又は補助スリット29の幅はマルチパック展開体のシート厚よりも薄い。スリット12の幅iはマルチパック展開体のシート厚以上、好ましくはシート厚に切り込み又は補助スリット29の幅を付加した厚さ以上とする。
【0068】
スリット12の形状をこのようにすることで、マルチパック展開体組み立て時の係合片11のスリット12への係合操作がより容易となり、組み立て後のマルチパックの強固さは第三の実施の形態のマルチパック展開体と同様である。
【0069】
[マルチパック展開体の組み立て]
本発明の第三又は第四の実施の形態のマルチパック展開体の組み立てによる、被包装物の包装の例を図10乃至図12を参照して説明する。図10は、本発明のマルチパック展開体100の天板2の上にビール缶30を3本寄せ合わせて配置した図である。そして、図11に示すように、底板4に接続されている側板3、側板5、側板6をそれぞれ天板との接続部から内側に折り込む。更に、底板4の側板3との接続部を内側に折り込み、側板5、6に設置した係合片11、13と、底板4に設置した接続片15、16をそれぞれ内側に折り込む。そして、折り込んだ係合片11、13を、それぞれ接続片15、16に形成したスリット12、14に押圧しながら差し込む。係合片11、13がスリット12、14に完全に押し込まれると、係合片11、13のくびれ部28がそれぞれスリット12、14に係合し、マルチパック展開体100の組み立てが完成し、ビール缶30を3本寄せ合わせて包装したマルチパック11が出来上がる。このマルチパックの上下をひっくり返して、図12に示すように、正常な配置のマルチパック1とする。
【0070】
このマルチパック1は、片手でも掴みやすく、持ち運びが簡単で、ビール缶取り出し時の開封が容易で、ビール缶の胴部の露出面が多く、ビール缶の表示部分の視認が容易である。また、このマルチパック展開体100は、組立が容易で、組み立て時の強度低下や破損の恐れがなく、組み立てたマルチパックの係合部の外れや緩みが起こりにくい。また、このマルチパック1で包装されたビール缶30は、頂面が完全に被覆されており、取り扱いや持ち運びの際にビール缶頂面に、異物や細菌が付着しにくい構造になっている。
【符号の説明】
【0071】
1 :マルチパック
2 :天板
3 :第一の側板
4 :底板
5 :第二の側板
6 :第三の側板
7 :第一の開口
8 :第二の開口
9 :第二の開口
10 :第二の開口
11 :係合片
12 :スリット
13 :係合片
14 :スリット
15 :接続片
16 :接続片
17 :第三の開口
18 :切れ目線
19 :折り目線
20 :折り目線
21 :折り目線
22 :折り目線
23 :折り目線
24 :折り目線
25 :折り目線
26 :折り目線
27 :切れ目
28 :くびれ部
29 :切り込み(補助スリット)
30 :円柱缶(ビール缶)
100 :マルチパック展開体
101 :マルチパック
102 :天板
103 :側板
105 :側板
118 :切れ目線
201 :天面板
202 :底面板
203 :開立板
204 :閉立板
205 :貼着板
206 :保持片
207 :押圧片
208 :押圧片
209 :スリーブ
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料缶、缶詰缶等の略円柱形の容器を3本まとめて包装するマルチパック及びマルチパック展開体に関する。
【背景技術】
【0002】
略円柱状のビールやジュース等の飲料缶や缶詰の缶、略円柱状の瓶等の被包装物(本願では特に断らない限り、円柱缶と記載すれば、上記の略円柱状の缶や瓶等の被包装物の略称とする。)をまとめて包装するパッケージは、通常の四角い段ボール箱をはじめ多くの形態がある。その中でも、缶ビールなどの小型の円柱缶を6本寄せ合わせて簡便に包装でき、取り扱いや持ち運び、開封に便利な厚紙製のマルチパックがよく知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0003】
その他にも、4本や2本の偶数の円柱缶を包装するマルチパックについても比較的知られており、例えば、特許文献1には、2つの缶飲料を板紙で固定する包装用パッケージが開示されている。この包装用パッケージは、取り扱いや開封が容易で、搬送時に缶飲料がパッケージから脱落し難い構造となっている。
【0004】
奇数の円柱缶を包装するマルチパックについては、あまり知られていないが、特許文献2には、少量の材料で包装でき、被包装物の露出部を多くして被包装物の表示内容の露出による訴求効果を高めた3缶用マルチパックが開示されている。このマルチパックは、図13に示すように、3個の缶Cを寄せ合って包装するマルチパックにおいて、天面板201と底面板202と側壁に対応する開立板203と閉立板204を連接している。開立板203は、両側方へ張り出し、開立板203の中間部分が開口してスリーブ209を形成している。天面板201及び底面板202の両側縁と、開立板203の開口の上下縁には、保持片206を連接すると共に、開立板203の外側縁及び開口の両側縁に押圧片207、208を連接している。
【0005】
マルチパックで缶Cを包装するためには、スリーブ209の両端及び開立板203の開口から缶Cを挿入する。そして、包装された缶を固定するために、挿入された各缶Cの上下面の突起部に、内側に折り込んだ保持片206を係合させ、各缶Cの側面外周部に内側に折り曲げた押圧片207、208を弾力的に当接させている。
【0006】
図14には、ビール缶用に使用されている他の例の3缶用マルチパックを示した。このマルチパックは、寄せ合わせた3本のビール缶の3箇所の隣り合う側面に側板を配置し、天板及び底板の一部を内側に折り返し、ビール缶の上下の縁に形成されている突起部を利用して、この突起部に折り返し部が係合することにより、ビール缶がマルチパックから脱落しない構造になっている。このマルチパックは、包装材料の使用量を大幅に削減して、被包装物であるビール缶をできるだけ露出させることを考慮している。これにより、包装材資源の節約、ビール缶表面の表示の見やすさ等が改良されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−131328号公報
【特許文献2】特開2007−137501号公報
【特許文献3】特開平11−278426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
3本の円柱缶を寄せ合わせて包装するマルチパックは、束ねられた3本の円柱缶の平面形状(上面又は底面形状)が三角形又は六角形に近いため、通常の直方体に近いマルチパックでは包装しづらい。この為、特許文献2や図14に示したように、缶の上下に係合させる特別の上面と底面を持つマルチパックであり、缶の縁に係合可能な突起が形成されていることが必要となる。
【0009】
また、一般的なマルチパック(6缶のマルチパック)では、持ち運び用に、手の指を挿入できる指穴を少なくとも二箇所天板に設け、複数の指でマルチパックを持ち運べるようにしたものがある(特許文献3)。しかしながら、3本の円柱缶を寄せ合わせて包装するマルチパックでは、マルチパック天板に二箇所の指穴を設けようとする4と、包装すべき缶の頂面に対応する天板部分に指穴を設けなければならず、指を深く挿入することが出来ないため、持ち運び難くなってしまう。しかも、3缶マルチパックは、そもそも天板の面積が少なく(図14及び特許文献2)、そこに少なくとも二箇所の指穴を設けるとその強度が問題となる。特に被包装物がビール缶やジュース缶のように重量のあるものを取扱う場合、天板が持ち運びに耐えられるようにするには、使用する原材料の紙材の強度を高める必要がある。
【0010】
この場合、ある程度の重量のある被包装物を包装する包装体には、比較的強度のある厚紙などが使用されているが、包装の確実性から厚紙の強度を増すと、開封が困難になる恐れがある。開封を容易にするために、図15に示すように、側板(例えば、図14のマルチパックにおける側板や天板に平行な2本の切れ目線(破断案内線)を水平に形成することが考えられる。しかし、このような切れ目線を形成すると、切れ目線の部分の強度が低下して、この部分から破損する恐れがあった。
【0011】
更に、マルチパックの展開体を組み立ててマルチパックを作製し、円柱缶を包装する場合、紙厚が増すと、組み立て工程の最後に天板や底板を缶の突起部に係合する際、容易に係合部を折り込んで係合しづらくなり、組み立てに時間や熟練を要することになる。特に、上記の切れ目線を形成した側面は、組み立て工程において十分注意しないと、係合部折り込み工程における応力等により切れ目線が折れ曲がりやすく強度が極端に低下する恐れがある。
【0012】
また、上述の3缶の円柱缶用のマルチパックは、いずれの場合も、円柱缶の頂面全体を被覆する構造にはなっていない。これは、円柱缶3缶を束ねた場合の円柱缶の頂面全体の形状と頂面を被覆する略六角形などの天板の形状との相違により、円柱缶の外周部に近い部分が被覆しづらい構造であることと、マルチパックによる包装の目的が運搬や積み置きの際の取り扱いの利便性や内部の缶表面の露出効果などに置かれ、円柱缶の頂面全体を被覆する必要性が無かったからであると考えられる。
【0013】
しかし、上述のマルチパックでは、ビール缶やジュース缶のように頂面に飲み口や注ぎ口のある円柱缶の頂面の汚れや細菌などの付着を防ぐことができない。最近は、インフルエンザや食中毒性の細菌類の付着による汚染には特に注意が必要である。この為、簡単な構造で円柱缶の頂面全体を覆う構造のマルチパックに対する必要性が高まっている。
【0014】
本発明の目的は、上記の課題を踏まえ、指先で確実に把持しやすく、取り扱いの容易な三本の略円柱状の被包装物を包装するマルチパック、及び前記マルチパックとして組み立てるマルチパック展開体を提供することである。
【0015】
さらに、好ましい本発明の目的は、強度が十分で、組み立て時等に強度低下が起こり難く、開封が容易なマルチパック、及び前記マルチパック展開体を提供することである。
【0016】
さらに、好ましい本発明の目的は、組み立てが容易で、組み立てた後に不用意に組み立てが外れにくい前記マルチパック展開体を提供することである。
【0017】
さらに、好ましい本発明の目的は、円柱缶の頂面全体を被覆することができる前記マルチパック、及びマルチパック展開体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明のマルチパックは、略円柱状の3本の被包装物を、互いに側面(胴部)が接するように寄せ合わせて包装するものである。本発明のマルチパックは、被包装物の頂面及び底面を被覆する略六角形の天板及び底板と、天板と底板を連結する3枚の側板とを備えている。そして、3枚の側板は、それぞれ天板及び底板の六角形の互いに隣り合わない3辺に接続している。すなわち、本発明のマルチパックの外観は、三角柱状の容器の3つの三角の角部を柱方向に沿って切り取った形状に近い。そして、略円柱状の3本の被包装物は円柱状の側面(胴部)が互いに接するように束ねられて、本発明のマルチパックに包装される。被包装物の直径が同じ場合は、マルチパックの天板、及び底板は、正三角形の3つの角を切り取ったような六角形状となる。
【0019】
本発明のマルチパックにおいては、天板の中央部、及び側板の天板との接続部に、それぞれ持ち運びのための指挿入用の第一の開口及び第二の開口が形成されている。第一の開口は、天板の中央部に形成されており、被包装物である3本の円柱缶の境界部に対応し、空間上に配置されている。このため、開口から挿入した指をマルチパックの内部で操作しやすい構造である。第二の開口は、ひとつでもよいが、3枚の側板それぞれに設けられていることが好ましい。また、第二の開口は、側板の左右方向の中央部に設けることが好ましい。側板の左右方向の中央部の内側は、被包装物である2本の円柱缶の境界部に相当し、空間が形成されており、開口から挿入した指をマルチパックの内部で操作しやすい構造である。
【0020】
本発明の好ましい形態のマルチパックは、上記構成に加え、さらに側板に開封用の切れ目線(破断案内線)が形成されている。切れ目線は、側板の略中央部から左右の側辺に向かって形成されおり、側板の左側辺及び右側辺に向かう切れ目線は、それぞれ水平線に対し逆方向に傾いている。言い換えれば、切れ目線は、側板上にV字状、又は逆V字状に形成されている。切れ目線は、本発明のマルチパック開封操作時の側板の破断のための破断案内線であり、破線状に不連続に形成した複数の切れ目、ミシン目、不連続に形成した複数の矢羽根状の切れ目など、従来か知られている破断案内線でもよい。
【0021】
本発明のマルチパックにおいては、切れ目線は水平線に対し切れ目線と同じ側に傾きを有する複数の平行な短い切れ目を階段状に配置して形成されていることが好ましく、隣り合う短い切れ目は、マルチパックの垂直方向に重なりを有することがさらに好ましい。また、隣り合う短い切れ目は、切れ目の方向に直角な方向にも重なりを有することが好ましい。切れ目線をこのような形状とすることで、マルチパック組み立て時等において、側板が切れ目線に沿って折れ曲がったり、破断したりする恐れがなくなり、マルチパックの開封操作のときには、容易に切れ目線に沿って側板を破断し、開封することができる。
【0022】
左右の側辺に向かう切れ目線の交差する位置には、指挿入用の第三の開口又は把持用の突出部が形成されていることが好ましい。マルチパックの側板を破断するときには、第三の開口等がなくても、V字状の切れ目線の交点付近を押圧して側板の一部を破り、その部分を引き上げれば、側板は破断できるが、第三の開口又は把持用の突出部が形成されていれば、ここから容易に側板は破断できる。
【0023】
なお、V字状の切れ目線の交点や指挿入用の第三の開口が側板の中央付近に配置してあると、切れ目線の交点や指挿入用の第三の開口が被包装物である2本の円柱缶の境界部に対応し、側板内部に空間が形成されており、開口から挿入した指をマルチパックの内部で操作しやすい。
【0024】
本発明のマルチパックにおいては、天板がビール缶などの3本の被包装物の頂面を完全に被覆する構造とすることが好ましい。ビール缶などの飲料缶や食品瓶などは、頂面に飲み口や内容物の取り出し口があるものが多く、マルチパックで包装しているときは被包装物の頂面を完全に覆っておき、ホコリ等の異物や細菌などが付着しないようにすることが好ましい。被包装物の頂面を完全に被覆する構造とするために、天板の形状を変形させ、例えば、当該マルチパックの6つの側面のうち、側板が接続していない辺を短くしたり被包装物の頂面の形状に合わせて凸状に膨らませたりしてもよい。なお、被包装物の底面の汚れを防止したい場合には、マルチパックの底板の形状を上記の天板の形状と同じように変形すればよい。
【0025】
本発明のマルチパックは、被包装物の表面の特定部分を露出させたり、被覆したりする場合は、目的に応じて、マルチパックの強度を使用不能なほどに損なわない範囲で、天板、側板、底板等の形状を変形させて、被包装物の表面の一部を露出させたり、被覆したり、開口を形成したりしてもよい。とくに、側板の中央部を細くして、被包装物の側面を大きく露出させたり、底板の一部に開口や切り欠きを設けて、被包装物の底面の一部を観察できるようにすることができる。
【0026】
本発明のマルチパック展開体は、略円柱状の3本の被包装物を、互いに側面(胴部)が接するように寄せ合わせて包装するマルチパックを組み立てるための展開体である。本発明のマルチパック展開体は、3本の被包装物の頂面に配置する略六角形の天板と、天板の六角形の第1辺に接続し、3本の被包装物の側面に配置する第一の側板と、それぞれ天板の六角形の第3辺及び第5辺に接続し被包装物の異なった側面を被覆する第二の側板及び第三の側板と、第一の側板の天板との接続辺と対向する辺に接続し、3本の被包装物の底面を被覆する略六角形の底板とを備えている。
【0027】
底板には、第一の側板との接続辺を六角形の第1辺として、第3辺及び第5辺にそれぞれ第二の側板及び第三の側板と接続するためのスリットを有する接続片を設ける。第二の側板及び第三の側板の天板との接続辺と対向する辺には、それぞれ底板に設けた接続片に形成したスリットと係合する係合片を設ける。
【0028】
天板の中央部には、指挿入用の第一の開口を形成し、第一、第二、及び第三の側板の天板との接続部の少なくともひとつには、指挿入用の第二の開口を形成する。
【0029】
そして、本発明のマルチパック展開体は、天板及び底板と第一、第二、及び第三の側板との接続部、底板と接続片との接続部、並びに第二及び第三の側板と前記係合片との接続部には、それぞれ内折りの折り目線を形成することが好ましい。
【0030】
この本発明のマルチパック展開体を折り目線に沿ってそれぞれ約90度ずつ内折りし、第二の側板及び第三の側板に設けた係合片をそれぞれ底板に設けた接続片に形成したスリットに係合すれば、本発明のマルチパックが出来上がる。
【0031】
本発明の好ましい形態のマルチパック展開体は、第一、第二、及び第三の側板の少なくともひとつに、側板の左右方向の略中央部から左右の側辺に向かって開封用の切れ目線(破断案内線)が形成されることが好ましい。切れ目線は、マルチパック組み立て時における折れ曲がりを防ぐため、第一の側板に設けることがことが好ましい。左右の側辺に向かうV字状の切れ目線は、それぞれ切れ目線形成方向に対し外向きの傾きを有することが好ましい。さらに、切れ目線は、組み立てたマルチパックの水平線に対し切れ目線と同じ側に傾きを有する複数の平行な短い切れ目を階段状に配置して形成されることが好ましい。切れ目の傾斜は切れ目線の傾斜よりも緩いことが好ましく、隣り合う短い切れ目は組み立てたマルチパックの垂直方向に重なりを有することが好ましく、隣り合う短い切れ目同士が互いの切れ目に直角方向に重なり合うことが好ましい。このような切れ目線とすることで、組み立てたマルチパックの開封時には、容易に側板を破断でき、マルチパックの組み立て時には、撓み難くなり側板が切れ目線に沿って容易に折れ曲がったり、破断したりすることがない。
【0032】
左右の側辺に向かう切れ目線の交差する位置には、指挿入用の第三の開口又は把持用の突出部が形成されていることが好ましい。切れ目線は、左右の側辺に向かうV字の交差する位置を押圧して破断し、そこから側面のシートの一部を引き上げて破断してもよいが、破断開始用の第三の開口又は把持用の突出部が形成されていることが好ましい。
【0033】
本発明のマルチパック展開体は、係合片の第二及び第三の側板との接続部(付け根)にくびれ部を形成することが好ましい。くびれ部は、係合片をスリットに係合したときに係合片がスリットから外れにくくする機能を有する。この為、接続片に設けたスリットの長さが、それぞれスリットに係合される係合片の長さ以下であり、それぞれくびれ部の長さ以上とすることが好ましい。
【0034】
本発明のマルチパック展開においては、天板がビール缶などの3本の被包装物の頂面を完全に被覆する構造とすることが好ましい。ビール缶などの飲料缶や食品瓶などは、頂面に飲み口や内容物の取り出し口があるものが多く、マルチパックで包装中に被包装物の頂面を完全に覆っておき、ホコリ等の異物や細菌などが付着しないようにすることが好ましい。被包装物の頂面を完全に被覆する構造とするために、天板の形状を変形させ、例えば、六角形状の側面が接続していない辺を短くしたり、被包装物の頂面の形状に合わせて凸状に膨らませたりしてもよい。なお、被包装物の底面の汚れを防止したい場合には、マルチパックの底板の形状を上記の天板の形状変形のように変形すればよい。
【0035】
本発明のマルチパック展開体は、組み立てたマルチパックが被包装物の表面の特定部分を露出させたり、被覆したりする場合は、目的に応じて、マルチパックの強度を使用不能なほどに損なわない範囲で、天板、側板、底板等の形状を変形させて、被包装物の表面の一部を露出させたり、被覆したり、開口を形成したりしてもよい。とくに、側板の中央部を細くして、被包装物の側面を大きく露出させたり、底板の一部に開口を設けて、被包装物の底面を観察できるようにすることができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、三本の略円柱状の被包装物を包装でき、指先で確実に把持しやすく、取り扱いや持ち運びの容易なマルチパック、及び前記マルチパックとして組み立てるマルチパック展開体を提供することができる。また、本発明によれば、上下の端部に係合用の突起がない被包装物に対しても容易に包装できる。
【0037】
さらに、好ましい本発明によれば、強度が十分で、組み立て時等に折れ曲がりや強度低下が起こり難く、開封が容易なマルチパック、及び前記マルチパック展開体を提供することができる。
【0038】
さらに、好ましい本発明によれば、組立が容易で、不用意に外れにくい前記マルチパック展開体を提供することができる。
【0039】
さらに、好ましい本発明によれば、円柱缶の頂面全体を被覆する衛生上優れた前記マルチパック、及びマルチパック展開体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】ビール缶を収納した本発明のマルチパックの斜視図である。
【図2】ビール缶を収納した本発明のマルチパックの平面図である。
【図3】ビール缶を収納した本発明のマルチパックの側面図(図1における左手前を正面としたときの正面図)である。
【図4】ビール缶を収納した本発明のマルチパックの側面図(図1における左手前を正面としたときの背面図)である。
【図5】ビール缶を収納した本発明のマルチパックを持ち上げたときの斜視図である。
【図6】側板に形成した切れ目線の説明図である。
【図7】本発明のマルチパック展開体の平面図(展開図)である。
【図8】底板と側板の係合部の詳細図である。
【図9】底板に形成したスリットの他の例の詳細図である。
【図10】本発明のマルチパック展開体による被包装物の包装工程の説明図(1)である。
【図11】本発明のマルチパック展開体による被包装物の包装工程の説明図(2)である。
【図12】本発明のマルチパック展開体による被包装物の包装工程の説明図(3)である。
【図13】特許文献2に記載のマルチパックの説明用斜視図である。
【図14】3本の円柱缶を包装した従来のマルチパック例の斜視図である。
【図15】従来の切れ目線の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
[第一の実施の形態]
本発明の第一の実施の形態であるマルチパックについて、図1乃至図3を参照して説明する。図1は、ビール缶を収納した本発明の第一の実施の形態であるマルチパックの斜視図であり、図2は、図1に示したマルチパックの平面図であり、図3は、図1に示したマルチパックの側面図(図1における左手前を正面としたときの正面図)である。本形態のマルチパック1は、ビール缶30を3本収納しているが、それぞれのビール缶30の頂面は、略六角形の天板2によって全面を覆われている。マルチパック1の側面には側板が3枚あり、それぞれ天板2の略六角形のひとつおきの辺に接続している。側板と側板の間には間隙があり、このマルチパック1に収納されたビール缶30などの被包装物の表面は、この間隙から観察することができる。マルチパック1の底板は、天板2とほぼ同じ形状であり、略六角形のひとつおきの辺がそれぞれ3枚の側板の天板2と接続している辺に対向する辺と接続している。なお、底板と2枚の側板の接続部は、着脱自在な係合片により係合されて接続している。
【0042】
図1に示すように、本形態のマルチパック1は、ビール缶30を3本収納しているが、それぞれのビール缶30の頂面は、天板2によって全面を覆われている。このように天板2によってビール缶30の頂面全体を覆うことにより、ビール缶30を収納した本形態のマルチパックは、取扱中や店頭陳列中に素手で掴んでもビール缶30の頂面に触れることがない。又、ホコリ等の異物や細菌などの付着の恐れもない。この為、飲み口のついたビール缶30の頂面が、常に衛生的に保たれる。なお、ビール缶30は、肩の部分から絞り込まれており、頂面は、胴部より小径となっているので、略六角形の天板2によって覆われ易い構造になっている。頂面の直径が胴部の直径と同じ円柱缶を収納するマルチパックの場合は、天板2の六角形の側面と接続していない辺の長さを小さくしたり、辺の形状を凸型にして円柱缶の頂面の形状に合わせたりすることにより、円柱缶の頂面全体を被覆することができる。
【0043】
図1、2に示すように、略六角形の天板2の中央部には、指が挿入できる程度の第一の開口7が設けてある。この第一の開口7は、図1においては三角形としているが、円形、四角形、六角形など、取扱者の指が挿入できればどのような形状でもよいが、不必要に大きくしない方がよい。第一の開口7は、挿入した指先が二つのビール缶30の間隙に入り、天板2の内側を挿入した指先で引っ掛けて、マルチパックを持ち上げやすい構造とすることが好ましい。また、第一の開口7は、収納されているビール缶30の頂面にまで及ばないようにしておく形状にしておくことが好ましい。
【0044】
本形態のマルチパック1は、それぞれ3つの側板の最上部中央に、取扱者の指挿入用の第二の開口を備えている。第二の開口は、少なくともひとつの側板、例えば側板3の最上部中央に形成されていればよいが、同じような第二の開口が各側板に設置されている方が、マルチパック1の取り扱いが便利である。図1に示す側板3の第二の開口8で説明すれば、第二の開口8は、第一の開口7と同様、取扱者の指が挿入できればどのような形状でもよく、不必要に大きくしない方がよい。図1においては、半円形の第二の開口8を示したが、天板2側に向かって鋭角に切れ込む形状としないことが好ましい。天板2側に向かって鋭角に切れ込む形状となっていると、第二の開口8に指を入れてマルチパック1を持ち上げたときに鋭角の切れ込み部分に応力が集中して、天板2が破損する恐れがある。なお、側板の最上部(天板との接続部)の中央部に第二の開口8があることにより、第二の開口8に挿入した指先が二つのビール缶30の間隙に入り、指先が天板2の内側を引っ掛けて、マルチパックを持ち上げやすい構造となっている。
【0045】
図4に、ビール缶30を収納した本形態のマルチパック1を、取扱者により取り上げられた状態を示す。通常は、片手でマルチパック1を持ち上げるため、親指を第二の開口8に挿入し、人差し指又は中指を第一の開口7に挿入し、天板2の裏側から持ち上げることになる。このため、第一、第二の開口7、8は、それぞれの指の断面形状を考慮して形成してもよい。なお、本形態のマルチパック1は、上面から見たときに120度回転するとほぼ同じ形になる回転対称形であり、図1には記載されていない側板5、6に、側板3の第二の開口8と同様の第二の開口9、10が形成されている。この為、本形態のマルチパックにおける第一の開口7は120度回転対称形である略正三角形としている。また、マルチパック1を持ち上げたときに応力集中を起こさないよう、それぞれの開口は、鋭角に切れ込んだ部分を形成しない方がよい。
【0046】
本形態のマルチパックは、底板4のビール缶30の底面に対向する位置に第四の開口を設けてもよい。第四の開口は、ビール缶30の底面に表示されている情報、例えば賞味期限や製造年月日などを確認できるようにしてある。第四の開口は、3本のビール缶30の底面に対応して3箇所に設けることが好ましい。また、第四の開口の大きさは、ビール缶30の底面の情報を確認できる範囲の大きさであればよい。
【0047】
[第二の実施の形態]
本発明の第二の実施の形態のマルチパックを、図5、6を参照にして説明する。本発明の第二の実施の形態のマルチパックは、全体の形状は、第一の実施の形態のマルチパックと同じであり、相違点は、側板のひとつ、例えば、図5の側面図に示すように、側板5の中央部から左右の側辺に向かって2本の切れ目線(破断案内線)18が形成されている。この切れ目線18は、破断線、ジッパー、ミシン目などとも呼ばれている側板5の破断用の案内線であり、通常は、細かい切れ目や小孔で破線状又は点線状に案内線を形成したものである。
【0048】
本形態のマルチパック1における切れ目線18は、天板2又は底板と平行な水平線に対し斜めになっており、傾斜を有している。更に、側板5の中央部から左右の側辺に向かっている2本の切れ目線18は、それぞれ逆方向に傾斜しており、V字状に形成されている。2本の切れ目線18が交差する側板5の中央部には、指挿入用の第三の開口17が設けてあり、側板5の破断時に、第三の開口17に指を挿入して、側板5の上部側を外側に引くことにより、側板5は2本の切れ目線18に沿って容易に破断される。これにより、マルチパック1は開封される。
【0049】
第三の開口17を設けない場合は、2本の切れ目線18の交差部分を押圧して破断し、そこに指を挿入して、上述のようにして側板5を破断してもよい。また、第三の開口17の形成位置に、第三の開口17に代えて、第三の開口17に類似した形状の切れ目線を形成しておき、側板5を破断するときにこの切れ目線部分を押圧して第三の開口17を形成してもよい。更に、第三の開口17の形成位置に、第三の開口17に代えて、把持部を形成しておき、側板5を破断するときにこの把持部を引くことにより、側板5を破断してもよい。
【0050】
2本の切れ目線を水平に形成すると、図15を用いてすでに説明したように、被包装物を包装するためにマルチパック1を組み立てるため側板と底板などを係合するときに、側板を湾曲させるため、切れ目線に沿って側板が折れ曲がったり、破断したりする恐れがあり、マルチパック1の組み立てに注意が必要であった。これに対し、本形態のマルチパック1における切れ目線18は、V字状に形成されており、側板を湾曲させても、切れ目線に沿って側板が折れ曲がったり、破断したりし難い。本形態のマルチパック1における切れ目線18は、V字状に形成されているが、切れ目線18は、逆さになったV字状に形成してもよい。また、2本の切れ目線18は、左右対称とすることが好ましいが、かならすしも左右対称としなくてもよい。
【0051】
図6に示すように、切れ目線18の水平に対する傾斜角xは、15〜75度、好ましくは25〜60度程度とすることが望ましい。これにより、側板5の破断操作が容易になると共に、マルチパック1の組み立て時などにおける、望まない折れ曲がりや破断を防止できる。
【0052】
切れ目線18における破断用の一つ一つの切れ目27は、従来から知られている破線状、点線状、破線状に角度の異なる補助の切れ目を付けた矢羽根状などでもよいが、図6に示すように、階段状に形成した多数の平行な切れ目27により形成することが好ましい。さらに、切れ目27は、水平線に対し、切れ目線18と同じ側に傾斜していることが好ましい。切れ目27の水平線に対する傾斜角yは、切れ目線18の傾斜角x以下であり、左右の切れ目線18を形成する切れ目27は、互いに左右対称となっている。また、隣り合う切れ目27は、互いに水平線に対する垂直方向に重なり合っており、切れ目27に直角な方向にも重なり合っている。このような形状の切れ目線は、側板5の折り曲げ応力に対し抵抗力が大きいが、破断操作においては容易に破断できる。
【0053】
本形態のマルチパック1における切れ目線18は、側板5に形成されているが、他の側板、天板、又は底板に形成することもできる。また、ひとつのマルチパック1に複数の切れ目線18を形成してもよい。
【0054】
[第三の実施の形態]
本発明の第三の実施の形態であるマルチパック展開体を、図7を参照にして説明する。本発明の第三の実施の形態のマルチパック展開体は、接着剤や他の部品や道具を使わなくてもマルチパックを組み立てることができるシート状の展開体である。本形態のマルチパック展開体は、通常、厚紙、段ボールなどからなるが、プラスチックシート、金属板、又はこれらの複合シート等、どのような材料で作製してもよい。
【0055】
本形態のマルチパック展開体の平面図を図7に示す。マルチパック展開体100は、略六角形の天板2の六角形のひとつおきの辺に、それぞれ3枚の略長方形の側板3、5、6が接続されている。側板3の天板2との接続辺と対向する辺には、天板2とほぼ同じ略六角形の底板4が接続されている。側板5、6の天板2との接続辺と対向する辺には、マルチパックを組み立てる際に、側板5、6と底板4を係合するための係合片11、13が設置されている。底板4の側板3との接続部を六角形の第1辺としたとき、第3辺と第5辺には、接続辺15、16が設置されている。接続辺15、16には、それぞれ係合片11、13と係合するためのスリット12、14が形成されている。
【0056】
天板2の中央部には、取扱者が指を挿入する略三角形の第一の開口7が形成されている。側板3、5、6の天板2との接続部には、それぞれ取扱者が指を挿入する略半円形の第二の開口8、9、10が形成されている。側板5の略中央部には、取扱者が指を挿入する略三角形の第三の開口17が形成されている。第一の開口7及び第二の開口8、9、10の構造や形態については、第一の実施の形態で説明したマルチパックの第一の開口7及び第二の開口8、9、10の構造や形状と同様であればよい。
【0057】
側板5には、第三の開口17部から天板2の方向に向かってV字状に左右の側辺まで、切れ目線が形成されている。第三の開口17及び切れ目線の構造や形態は、第二の実施の形態で説明したマルチパックの第三の開口17及び切れ目線の構造や形態と同様であればよい。
【0058】
天板2と第一、第二、及び第三の側板3、5、6のそれぞれの接続部、第一の側板3と底板4との接続部、第二及び第三の側板5、6と係合片11、13のそれぞれの接続部、及び底板4と接続片15、16のそれぞれの接続部には、内折りの折り目線を設けてある。この折り目線は、マルチパックの組立の際に約90度の内折りに折り曲げられる罫線である。
【0059】
接続片15、16に形成されるスリット12、14は、マルチパック組み立て時に係合片11、13がそれぞれ差し込まれ、係合片11、13が容易にスリット12、14から外れないように形成されている。図8に係合片11及び接続片15に形成したスリット12の詳細図を示す。
【0060】
図8において、係合片11は、側板5の底板4との接続部の中央に形成された突起であり、略台形状で側板5との接続部の左右の端部にくびれ部28が形成されている。このくびれ部28は、両端に平面形状が略長方形のくびれを有する。
【0061】
底板4に設けた接続片15に形成するスリット12は、接続片15の底板4との接続部の中央部に配置する。そして、スリット12は、マルチパック組み立て時において底板4と側板5を接続する際に、係合片11がスリット12に係合する位置に配置されている。
【0062】
係合片11とスリット12の形状は、相対的な関係があり、スリット12の長さは係合片11の最大長さ(図8における略台形の係合片11のくびれ部28のすぐ上の部分の長さに相当する。)より短く、係合片11のくびれ部28の両端間の長さより長い。図8を参照にして説明すれば、スリット12の長さeは、係合片11の最大長さbよりも短く、係合片11の先端部(台形の短辺)の長さ、及びくびれ部28間の長さaと同じかそれより若干長く形成されている。また、くびれ部28の幅d及びスリット12の幅fは、マルチパック展開体100のシートの厚さと等しいかそれより若干広めとする。
【0063】
このように係合片11とスリット12の相対的な形状を規定しておくことにより、係合片11の先端をスリット12に容易に挿入でき、係合片11の最大長さ部分は係合片11を押圧しながらスリット12に挿入し、係合片11のくびれ部28がスリット12に嵌れば、係合片11の最大長さ部分がスリット12より長いため、係合片11はスリットから容易に外れなくなる。また、スリット12の長さeがくびれ部28間の長さaと等しいか若干長く、くびれ部28の幅d及びスリット12の幅fがマルチパック展開体100のシートの厚さと等しいか若干広くすることにより、係合した係合片11とスリット12にあそびが少なくなり、底板4と側板5とがきっちりと接続され、外れ難くもなる。
【0064】
なお、係合片13及び接続片16に形成したスリット14については説明しないが、対応する係合片11及びスリット12と同じ構造である。また、スリット12、14については、完全な開口としてもよいが、底面4との接続側を残して、他の辺に切り込みを入れて、押圧することにより開口となるスリット形成用切り込みを形成しておき、係合片11、13を差し込むときに押圧してスリット12、14を形成できるようにしておいてもよい。また、スリット形成位置の底面4との接続側は、折り込み案内性を形成しておかないで、接続片15、16をそれぞれ折り込んだときにスリット12、14が形成される形態としてもよい。
【0065】
このような本形態のマルチパック展開体100から、ビール缶のような被包装物をつつみながらマルチパックを組み立てれば、マルチパックは誰にでも容易に組み立てられ、出来上がったマルチパックは、組み立て部が外れたりしない強固なものとなる。
【0066】
[第四の実施の形態]
本発明の第四の実施の形態のマルチパック展開体は、本発明の第三の実施の形態のマルチパック展開体の変形例である。本発明の第四の実施の形態のマルチパック展開体は、第三の実施の形態のマルチパック展開体とほぼ同じであるが、接続片15、16にそれぞれ形成したスリット12、14の形状が第三の実施の形態のマルチパック展開体と相違している。
【0067】
本実施の形態のマルチパック展開体におけるスリット12、14を図9に示すスリット12で説明すると、接続片15に形成したスリット12の長さ方向の両端の底板4側に切り込み又は補助スリット29を形成している。スリット12の長さgは、係合片11のくぼみ部28間の長さaと同じか若干長く、両側の切り込み又は補助スリット29間の長さhは、係合片11の最大長さbよりも若干長い。そして、切り込み又は補助スリット29の幅はマルチパック展開体のシート厚よりも薄い。スリット12の幅iはマルチパック展開体のシート厚以上、好ましくはシート厚に切り込み又は補助スリット29の幅を付加した厚さ以上とする。
【0068】
スリット12の形状をこのようにすることで、マルチパック展開体組み立て時の係合片11のスリット12への係合操作がより容易となり、組み立て後のマルチパックの強固さは第三の実施の形態のマルチパック展開体と同様である。
【0069】
[マルチパック展開体の組み立て]
本発明の第三又は第四の実施の形態のマルチパック展開体の組み立てによる、被包装物の包装の例を図10乃至図12を参照して説明する。図10は、本発明のマルチパック展開体100の天板2の上にビール缶30を3本寄せ合わせて配置した図である。そして、図11に示すように、底板4に接続されている側板3、側板5、側板6をそれぞれ天板との接続部から内側に折り込む。更に、底板4の側板3との接続部を内側に折り込み、側板5、6に設置した係合片11、13と、底板4に設置した接続片15、16をそれぞれ内側に折り込む。そして、折り込んだ係合片11、13を、それぞれ接続片15、16に形成したスリット12、14に押圧しながら差し込む。係合片11、13がスリット12、14に完全に押し込まれると、係合片11、13のくびれ部28がそれぞれスリット12、14に係合し、マルチパック展開体100の組み立てが完成し、ビール缶30を3本寄せ合わせて包装したマルチパック11が出来上がる。このマルチパックの上下をひっくり返して、図12に示すように、正常な配置のマルチパック1とする。
【0070】
このマルチパック1は、片手でも掴みやすく、持ち運びが簡単で、ビール缶取り出し時の開封が容易で、ビール缶の胴部の露出面が多く、ビール缶の表示部分の視認が容易である。また、このマルチパック展開体100は、組立が容易で、組み立て時の強度低下や破損の恐れがなく、組み立てたマルチパックの係合部の外れや緩みが起こりにくい。また、このマルチパック1で包装されたビール缶30は、頂面が完全に被覆されており、取り扱いや持ち運びの際にビール缶頂面に、異物や細菌が付着しにくい構造になっている。
【符号の説明】
【0071】
1 :マルチパック
2 :天板
3 :第一の側板
4 :底板
5 :第二の側板
6 :第三の側板
7 :第一の開口
8 :第二の開口
9 :第二の開口
10 :第二の開口
11 :係合片
12 :スリット
13 :係合片
14 :スリット
15 :接続片
16 :接続片
17 :第三の開口
18 :切れ目線
19 :折り目線
20 :折り目線
21 :折り目線
22 :折り目線
23 :折り目線
24 :折り目線
25 :折り目線
26 :折り目線
27 :切れ目
28 :くびれ部
29 :切り込み(補助スリット)
30 :円柱缶(ビール缶)
100 :マルチパック展開体
101 :マルチパック
102 :天板
103 :側板
105 :側板
118 :切れ目線
201 :天面板
202 :底面板
203 :開立板
204 :閉立板
205 :貼着板
206 :保持片
207 :押圧片
208 :押圧片
209 :スリーブ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円柱状の3本の被包装物を、互いに側面が接するように寄せ合わせて包装するマルチパックであって、
前記被包装物の頂面及び底面を被覆する略六角形の天板及び底板と、
前記天板と前記底板を連結する3枚の側板とを備え、
前記3枚の側板は、それぞれ天板及び底板の六角形のひとつおきの辺に接続しており、
前記天板の中央部、及び前記側板の天板との接続部には、それぞれ指挿入用の第一の開口、及び第二の開口を有することを特徴とするマルチパック。
【請求項2】
前記側板は、略中央部から左右の側辺に向かって開封用の切れ目線が形成されおり、
前記側板の左側辺及び右側辺に向かう前記切れ目線は、V字状又は逆V字状に形成され、水平方向に対しそれぞれの切れ目線と同じ側に傾きを有する複数の平行な短い切れ目を階段状に配置して形成されており、
隣り合う前記短い切れ目は、互いに垂直方向に重なりを有することを特徴とする請求項1に記載のマルチパック。
【請求項3】
前記左右の側辺に向かう切れ目線の交差する位置には、指挿入用の第三の開口が形成されていることを特徴とする請求項2に記載のマルチパック。
【請求項4】
前記天板は、前記3本の被包装物の頂面全体を覆うように形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のマルチパック。
【請求項5】
略円柱状の3本の被包装物を、互いに側面が接するように寄せ合わせて包装するマルチパックの展開体であって、
前記3本の被包装物の略円柱状の頂面に配置する略六角形の天板と、
前記天板の六角形の第1辺に接続し、前記被包装物の側面に配置する第一の側板と、
前記天板の六角形の第3辺及び第5辺に接続し、それぞれ前記被包装物の異なる側面に配置する第二の側板及び第三の側板と、
前記第一の側板の前記天板との接続辺と対向する辺に接続し、前記被包装物の底面に配置する略六角形の底板とを備え、
前記底板の前記第一の側板との接続辺を六角形の第1辺として、それぞれ第3辺及び第5辺に前記第二の側板及び第三の側板と接続するためのスリットを有する接続片を設け、
前記第二の側板及び第三の側板の前記天板との接続辺と対向する辺に、それぞれ前記接続片に設けたスリットと係合する係合片を設け、
前記天板の中央部、及び前記天板と前記第一、第二、及び第三の側板との接続部の少なくともひとつには、それぞれ指挿入用の第一の開口、及び第二の開口を有することを特徴とするマルチパック展開体。
【請求項6】
前記第一、第二、及び第三の側板の少なくともひとつには、略中央部から左右の側辺に向かって開封用の切れ目線が形成されおり、
前記左右の側辺に向かう前記切れ目線は、V字状又は逆V字状に形成され、且つ、水平線に対しそれぞれの切れ目線と同じ側に傾きを有する複数の平行な短い切れ目を階段状に配置して形成されており、
隣り合う前記短い切れ目は、垂直方向に重なりを有することを特徴とする請求項5に記載のマルチパック展開体。
【請求項7】
前記左右の側辺に向かう切れ目線の交差する位置には、指挿入用の第三の開口が形成されていることを特徴とする請求項6に記載のマルチパック展開体。
【請求項8】
前記接続片に設けた前記スリットの長さは、それぞれ対応する前記第二及び第三の側板に設けた前記係合片の最大長さ以下であり、
前記係合片は、前記第二及び第三の側板との接続部に前記スリットの長さ以下のくびれ部を有することを特徴とする請求項5乃至7のいずれか一項に記載のマルチパック展開体。
【請求項9】
前記天板は、前記被包装物の頂面全体を覆うように形成されていることを特徴とする請求項5乃至8のいずれか一項に記載のマルチパック展開体。
【請求項1】
略円柱状の3本の被包装物を、互いに側面が接するように寄せ合わせて包装するマルチパックであって、
前記被包装物の頂面及び底面を被覆する略六角形の天板及び底板と、
前記天板と前記底板を連結する3枚の側板とを備え、
前記3枚の側板は、それぞれ天板及び底板の六角形のひとつおきの辺に接続しており、
前記天板の中央部、及び前記側板の天板との接続部には、それぞれ指挿入用の第一の開口、及び第二の開口を有することを特徴とするマルチパック。
【請求項2】
前記側板は、略中央部から左右の側辺に向かって開封用の切れ目線が形成されおり、
前記側板の左側辺及び右側辺に向かう前記切れ目線は、V字状又は逆V字状に形成され、水平方向に対しそれぞれの切れ目線と同じ側に傾きを有する複数の平行な短い切れ目を階段状に配置して形成されており、
隣り合う前記短い切れ目は、互いに垂直方向に重なりを有することを特徴とする請求項1に記載のマルチパック。
【請求項3】
前記左右の側辺に向かう切れ目線の交差する位置には、指挿入用の第三の開口が形成されていることを特徴とする請求項2に記載のマルチパック。
【請求項4】
前記天板は、前記3本の被包装物の頂面全体を覆うように形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のマルチパック。
【請求項5】
略円柱状の3本の被包装物を、互いに側面が接するように寄せ合わせて包装するマルチパックの展開体であって、
前記3本の被包装物の略円柱状の頂面に配置する略六角形の天板と、
前記天板の六角形の第1辺に接続し、前記被包装物の側面に配置する第一の側板と、
前記天板の六角形の第3辺及び第5辺に接続し、それぞれ前記被包装物の異なる側面に配置する第二の側板及び第三の側板と、
前記第一の側板の前記天板との接続辺と対向する辺に接続し、前記被包装物の底面に配置する略六角形の底板とを備え、
前記底板の前記第一の側板との接続辺を六角形の第1辺として、それぞれ第3辺及び第5辺に前記第二の側板及び第三の側板と接続するためのスリットを有する接続片を設け、
前記第二の側板及び第三の側板の前記天板との接続辺と対向する辺に、それぞれ前記接続片に設けたスリットと係合する係合片を設け、
前記天板の中央部、及び前記天板と前記第一、第二、及び第三の側板との接続部の少なくともひとつには、それぞれ指挿入用の第一の開口、及び第二の開口を有することを特徴とするマルチパック展開体。
【請求項6】
前記第一、第二、及び第三の側板の少なくともひとつには、略中央部から左右の側辺に向かって開封用の切れ目線が形成されおり、
前記左右の側辺に向かう前記切れ目線は、V字状又は逆V字状に形成され、且つ、水平線に対しそれぞれの切れ目線と同じ側に傾きを有する複数の平行な短い切れ目を階段状に配置して形成されており、
隣り合う前記短い切れ目は、垂直方向に重なりを有することを特徴とする請求項5に記載のマルチパック展開体。
【請求項7】
前記左右の側辺に向かう切れ目線の交差する位置には、指挿入用の第三の開口が形成されていることを特徴とする請求項6に記載のマルチパック展開体。
【請求項8】
前記接続片に設けた前記スリットの長さは、それぞれ対応する前記第二及び第三の側板に設けた前記係合片の最大長さ以下であり、
前記係合片は、前記第二及び第三の側板との接続部に前記スリットの長さ以下のくびれ部を有することを特徴とする請求項5乃至7のいずれか一項に記載のマルチパック展開体。
【請求項9】
前記天板は、前記被包装物の頂面全体を覆うように形成されていることを特徴とする請求項5乃至8のいずれか一項に記載のマルチパック展開体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2011−168317(P2011−168317A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−34892(P2010−34892)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(303040183)サッポロビール株式会社 (150)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(303040183)サッポロビール株式会社 (150)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】
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