説明

マーキング剤濃縮方法、マーキング剤、およびハードイメージング方法

マーキング剤濃縮方法は、粒子中に残される液体の実質的な除去の無い粒子と、残された液体キャリアによって支持される粒子構造の実質的な変化の無い粒子との間にある少なくとも部分的な液体キャリアの除去によってマーキング剤を濃縮するステップを含む。濃縮されたマーキング剤は、代理店もしくは液体マーキング剤の最終使用者へと供給される。濃縮されたマーキング剤は、凝集した粒子の固体塊および、個々の粒子の構造中に残される液体キャリアとを含む。塊は90μmより大きいメジアンサイズを示す。濃縮されたマーキング剤は40重量%から90重量%未満の固形物含量を示す。ハードイメージング方法は、濃縮されたマーキング剤と追加の液体キャリアを混合するステップ(42)と、せん断力を加えるステップ(44)と、塊から粒子を分散するステップ(46)と、液体マーキング剤を形成するステップと、そして、液体マーキング剤を用いてハードイメージを形成するステップ(48)を含む。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
既知の液体電子写真(LEP)プレスは、揮発性有機化合物を持つイメージングオイルを含有するLEPインクを一般的に用いる。製造され、パッケージされ、そしてプリンターへと運ばれるHP ELECTROINK LEPインクは、主に色に応じて75から80重量パーセント(wt%)のイメージングオイルを典型的に含有する。LEPインクは、プレスでの使用前に例えば、約98重量%のイメージングオイルへとさらに希釈されるかも知れない。イメージングオイルは、LEPプレスにおいてオフセットのような印刷品質を達成するのに重要な役割を果たし得る。しかしながら、イメージングオイル中のVOCは、環境への負の影響を避けるためにしばしば規制される。それゆえに、HP INDIGO 7000 Digital Pressのような既知のLEPプレスは、揮発したイメージングオイルを収集し、それをプレス中において再利用するイメージングオイル再利用システムを含む。プレスより回収されるイメージングオイルは、プレス中における追加のイメージングオイルへの需要を超え、規制物であり得る廃棄物のVOCを生じるかも知れない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
イメージングオイル中のVOC成分を非VOC物質と置き換える公知の試みは成功していない。
【課題を解決するための手段】
【0003】
LEPプレスによって作られた最終的なイメージにおけるインクは、約5重量%未満のイメージングオイルを含有するであろう。プレスのインクタンク中に貯蔵される作業用の溶液が約98重量%のイメージングオイル(約2重量%の固形分)を含有すると仮定すると、93重量%以上の作業用の溶液は最終的なイメージから排除される。この排除はいくつかのステージにおいて起こる。インクタンクからの作業用の溶液は現像ユニット(例えばバイナリーインク現像(BID)ユニット)へと供給され、ここでイメージングオイルが適用されるとイメージングオイルの一部が搾り出され、インクを20〜25%の固形分のものとする。搾り出されたイメージングオイルはインクタンクへと戻されても良い。フォトイメージングプレート(PIP)もしくはイメージングドラムからのイメージの移行、ならびに紙もしくは他の媒体への移行前における中間の移行媒体(ITM)もしくはブランケットドラム上のその準備も、より多くのイメージングオイルを排除し得る。いくつかの損失が認められるが、大部分の排除されるインクは再利用のイメージングオイルとして回収される。プレス操作へと供給されるインクは、典型的には75%から80重量%のイメージングオイル(20〜25重量%固形分)を典型的に含有し、それは約98重量%のイメージングオイルへと希釈されるので、再利用のイメージングオイルの供給は、供給されるインクの希釈中に用いられるイメージングオイルへの需要をすぐに超えるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【図1】図1はハードイメージング装置の略図である。
【図2】図2A−2Cは、マーキング剤の粒径分布を表わす表である。
【図3】図3Aおよび3Bは、マーキング剤の粒径分布を表わす表である。
【図4】図4はハードイメージング方法のフローチャートである。
【図5】図5はハードイメージング装置のためのイメージングエンジンの選択された構成要素の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
残念ながら、現行方式に基づくと、30〜35重量%もしくはより多くの固形分含量へと濃縮したLEPインクがインク中の粒子の構造を不可逆的に変化させ、インクの品質を低下させ、LEPプレス中においてそれを本質的に使用できなくするという懸念が存在する。結果として現在の供給されるLEPインクを濃縮し、それを約2重量%の固形分へと希釈するのにプレス操作が再利用のイメージングオイルをより多く使用するようにすることは実行可能であるようにみえない。そうだとしても、ここに記載される実施態様は現行の懸念を克服し、インク品質を維持しつつ40重量%から90重量%未満への固形分含量の達成を可能にする。
【0006】
上述の議論はLEPインクを指向しているが、ここでの実施態様はより広く適応可能である。この理由により、LEPインクおよび他の物質を包含する一般的な用語、「マーキング剤」へと言及がなされる。同様に、上述の議論がイメージングオイルを指向するが、ここでの実施態様はより広く適用可能であろう。この理由により、イメージングオイルおよび他の物質を包含する一般的な用語、「液体キャリア」へと言及がなされる。さらに、上述の議論はLEPプレスを指向するが、ここでの実施態様はより広く適用可能であろう。この理由により、LEPプレスおよび他の物質による印刷を包含する一般的な用語「ハードイメージを形成する」へと言及がなされる。このように実施態様は、液体キャリアを含有するマーキング剤を用いてハードイメージを形成することを含んで良く、これはLEPプレスおよび他の方法においてイメージングオイルを含有するLEPインクを用いることを包含する。
【0007】
一実施態様によると、マーキング剤濃縮方法は液体キャリア中に分散される粒子を含有する液体マーキング剤を提供するステップ、マーキング剤を濃縮するステップ、および濃縮されたマーキング剤を液体マーキング剤の代理店もしくは最終使用者へと供給するステップを含む。濃縮されたマーキング剤は40重量%から90重量%未満の固形分含量を示す。
【0008】
現在、公知のマーキング剤は、液体マーキング剤の代理店もしくは最終使用者へと、40重量%から90重量%未満の固形分含量では供給されない。30から35重量%もしくはそれ以上へと濃縮したマーキング剤が、粒子の構造を変化させる事によってインクの品質を下げるという懸念が存在する。ここで使用されるとき、用語「代理店」は、液体マーキング剤を製造者から他の代理店もしくは最終使用者へと分配するすべての存在を指す。代理店は、卸売業者、小売業者、製造者と最終使用者との間の他のサードパーティの仲介者を含み得る。
【0009】
マーキング剤の粒子はその個々の構造を持って液体キャリアにとどまり、それは残される液体キャリアによって支持される。一例として、公知のLEPインクもしくは液体トナーは、インク粒子中に含有されるポリマー樹脂によって溶媒和される液体キャリアを含んでもよい。樹脂が液体キャリアを溶媒和すると、特定のポリマーおよび液体キャリアに大部分依存してインク粒子は様々な度合いに膨張する。Golodetzらへの米国特許第7,517,622号はいくつかの例を記載する。
【0010】
LEPインク中に残される液体キャリアからの膨張は、LEP印刷においてもっとも望ましい粒子構造をもたらす。この粒子構造はまた、他のハードイメージング方法においても有利であろう。観察は、残される液体キャリアを粒子から取り除くような濃縮方法が粒子構造に不可逆的な障害をもたらすことを示す。それゆえ、30〜35重量%もしくはそれ以上の固形分含量へと濃縮するマーキング剤がインク品質を下げるという懸念がある。
【0011】
ここでの実施態様において、マーキング剤を濃縮する事は、粒子中に残される液体キャリアを実質的に取り除くことなく、そして、粒子構造を実質的に変化させることなく、粒子中の少なくとも部分的な液体キャリアを除去する事によって実施できる。粒子構造を実質的に変えることなく、すなわち粒子構造へごくわずかな変化をもたらすことによって、僅少なもしくはごくわずかな量の残された粒子中の液体キャリアを除去する事は可能であろう。除去される量が実質的かごくわずかかの決定は、除去が粒子構造を実質的に変化させるかどうかを条件にする。さらに、粒子構造の変化が実質的かごくわずかかの決定は、変化がマーキング剤の品質を測定可能な度合いまで低下させるかどうかを条件にする。
【0012】
ハードイメージングを評価するための既知の方法が存在する。そのような方法は、あらかじめ濃縮されたマーキング剤を用いて形成されたハードイメージと、マーキング剤の品質の劣化とを評価するのに用いられ得る。マーキング剤の品質は、主に操作性および印刷品質によって決定される。すなわち、劣化したマーキング剤品質は、ハードイメージング装置中に再分散するマーキング剤が操作される方法を変化させるか、および/もしくはその上に形成されるハードイメージの外観を変化させる。操作性もしくは印刷品質のいずれかにおける測定可能な変化は、粒子構造における実質的な変化を示し、そしてそれによって粒子中に残される液体キャリアの実質的な量の除去を示す。粒子中に残される液体の実質的な除去の無い粒子と粒子構造の実質的な変化の無い粒子との間にある少なくとも部分的な液体キャリアの除去は、下述の例に記載される。
【0013】
例として、濃縮されたマーキング剤は、再分散される液体マーキング剤の粒径分布と同様の粒径分布に再分散可能である性質と、実質的に同じ印刷品質を示す液体マーキング剤の性質とを示すであろう。一貫性のある粒径分布は、マーキング剤品質が維持されるかどうかを決定付ける、一つの重要なファクターを構成する。一貫性のある帯電性は他の重要なファクターを構成する。従って、濃縮されたマーキング剤は、再分散される液体マーキング剤の帯電レベルと十分に同様の帯電レベルをもたらすように再分散可能である性質と、実質的に同じ印刷品質を示す液体マーキング剤の性質とを示すであろう。
【0014】
ここでの実施態様のマーキング剤は電子写真インクを含んで良い。マーキング剤の濃縮は、少なくとも遠心力および/もしくは静電力を用いる事を含む。遠心力および/もしくは静電力の代わりに、またはそれらに加えて、他の方法も使用し得る。マーキング剤の濃縮は、粒子中に残される液体の実質的な除去の無い粒子と粒子構造の実質的な変化の無い粒子との間にある少なくとも部分的な追加の液体キャリアのエバポレーションを用いる事ををさらに含み得る。
【0015】
遠心力、静電力、および/もしくはエバポレーションを用いる事は、個々の粒子上に、もしあったとしても非常に少ない機械的な力を課すことのできる方法として評価できるであろう。ここに記載されるものと一致する産物を得るすべての既知の遠心分離機、静電分離機、および/もしくはエバポレーション装置を使用できる。LEPインク中の粒子は帯電可能であるので、それらは静電分離に使用できる。現在、遠心分離および静電分離は同様の結果を得る事ができるように見え、遠心分離がわずかに高い固形物含量をもたらすように見える。比較して、フィルタープレス、カレンダーローラー、過剰の乾燥などを用いることは、個々の粒子に機械的な力を課し、そして/または、残される液体キャリアを実質的に除去して粒子構造を変化させるであろう。
【0016】
特に熱の形態による比較的大量のエネルギーは、マーキング剤からすべての液体キャリアを除去するのに通常使用される。HP ELECTROINKのような既知のLEPインクのために、大量のエネルギーを与えることは、インク調製の間に形成される化学系において相変化を起こす可能性がある。実施態様において、化学系における相変化はマーキング剤の品質を劣化させ、そして相変化を達成するのに十分な量よりも少ない量のエネルギーを用いる事によって回避される。化学系における相変化は、マーキング剤の膨潤粒子中の液体キャリアの量が個々の粒子構造を支持するのに十分な量を下回る時二起こり始める。結果的に、限られた時間中の、強制換気による、および/もしくは45℃未満、例えば40−45℃への空気の加熱による、空気中の液体キャリアのエバポレーションが、相変化の達成を防ぐために用いられ得る。
【0017】
示される濃縮されたマーキング剤の観察は、約35重量%の固形物含量の固形粒によって分類され得る。約35重量%〜55重量%の固形物含量の範囲において、濃縮されたマーキング剤は、非常に粘性のあるペーストもしくは部分的に乾燥した粘土という外観を持つ。手で崩壊させる場合、濃縮されたマーキング剤は視覚的に識別可能な顆粒であると証明される。約55重量%もしくは約60重量%より高い固形物含量では、濃縮されたマーキング剤は乾燥した外観をとる。たとえそうであっても、40重量%から90重量%未満の固形物含量を持つ濃縮されたマーキング剤は、粒子構造の付加逆の変化を示すことなく、再分散可能であると証明された。
【0018】
90重量%およびそれ以上の固形物含量において、ここに記載されるプロセスを用いる粒径分布と同様の再分散をすることが不可能なことによって示されるように、構造の損傷が示されるようである。本質的に、ここに記載されるように処理されるとき、粒子中で少なくとも部分的な液体キャリアが除去されると、粒子が固体塊へと凝集するが、粒子中に液体キャリアを残す。残される液体キャリアが十分なとき、再分配の際に、凝集が分離し、大元のマーキング剤の粒径分布が再び明白となる。
【0019】
実施態様において、濃縮されたマーキング剤は凝集した粒子の固体塊を含んでもよく、塊はメジアンサイズを示し、粒子はメジアン塊サイズよりも小さいメジアンサイズを示す。塊は90マイクロメートル(μm)より大きいメジアンサイズを持ってよく、粒子は10μmより小さいメジアンサイズを示してもよい。例えば、塊のメジアンサイズは90から200μmであって良い。また、例えば、粒子は1μmのオーダーのメジアンサイズを示してもよい。固形物含量は、55重量%から70重量%であってよく、液体キャリアの含量を減少させ、粒子構造に損傷を与えうるだけの大幅に高い濃縮レベルを避けるように固形物産物をもたらす。濃縮されたマーキング剤は、粒子構造への損傷が起こる程度にまで液体キャリアがさらに損失することを防ぐために操作、分配、貯蔵中には、封入される。
【0020】
マーキング剤の濃縮方法はさらに、自由に流動する濃縮されたマーキング剤としての凝集粒子の固体塊を作製するための、凝集した粒子の固体塊のサイジングを含んでもよい。固形塊の性質に適切な固体塊の処理およびサイジングのための既知の技術および装置が、所望のサイズの分布の顆粒へと固体塊を崩壊させるのに本質的に用い得る。そのような加工およびサイジングの方法および装置が一般的に知られているであろう。しかしながら、液体マーキング剤として最終的に使用されるそのような固体のマーキング剤の処理は、既知の慣例からは有意に異なることを示す。
【0021】
既知の方法では、液体トナーの形成に使用される予定の乾燥したトナー粒子の製造において、乾燥トナーの粒径が液体トナー中の予定されるサイズと合致することを確かにするように細心の注意が払われる。しかしながら、ここでの実施態様において、粒子の凝集は、粒子構造への損傷を少なくするために意図的に残される。それゆえ、代理店もしくは液体マーキング剤の最終使用者へと供給される濃縮されたマーキング剤は、メジアン粒子サイズよりも大きなメジアンサイズを示す塊を含んでいても良い。
【0022】
一実施態様において、濃縮されたマーキング剤は凝集した粒子の固体塊と粒子の個々の構造中に残された液体キャリアとを含み、それは残された液体キャリアによって支持される。塊は90μmよりも大きなメジアンサイズを示し、濃縮されたマーキング剤は40重量%から90重量%未満の固形分含量を示す。そのような濃縮されたマーキング剤はここに記載される方法によって製造されうることは理解されよう。例として、塊によって構成される粒子は、液体キャリアへの分散の後、10μm未満のメジアンサイズを持つ性能を示す。他の実施態様でここに記載される他の特徴はまた、この実施態様へと適用できる。
【0023】
一実施態様において、ハードイメージング方法は凝集した粒子の固体塊と粒子の個々の構造中に残される液体キャリアとを含有し、それが残された液体キャリアによって支持されるような濃縮されたマーキング剤を提供するステップを含む。塊はメジアンサイズを示す。方法は塊を追加の液体キャリアと混合するステップを含み、塊と追加のキャリアとの混合物中にせん断力を適用するステップを含み、追加のキャリア中の塊から粒子を分散させるステップを含み、そして液体マーキング剤を形成するステップを含む。分散された粒子はメジアン塊サイズより小さいメジアンサイズを示す。方法は、液体マーキング剤を用いて基材上にハードイメージを形成することもまた含む。例として、濃縮されたマーキング剤は、たとえば55重量%から70重量%のような40重量%から90重量%未満の固形物含量を示しても良い。
【0024】
上述のように、マーキング剤の粒子中に残される液体キャリアを含む液体キャリアは、揮発性有機化合物(VOC)を含み得る。VOCは製品や廃棄物処理における制限の対象である規制物質と成り得る。結果として、マーキング剤中のVOC含量を減ずることに利点が生じ得る。
【0025】
図1は、ハードイメージング方法が実施されているハードイメージング装置10を示す。他のハードイメージング装置も好適であり得る。ハードイメージング装置10は、濃縮されたマーキング剤が供給されるマーキング剤分注器12を含む。マーキング剤分注器12より伸長する供給パス14は、分注ユニット16へと濃縮されたマーキング剤を提供する。ハードイメージング装置10はまた、液体キャリアが供給され得るキャリヤ分注器18を含む。キャリア分注器18から伸長する供給パス20は、分注ユニット16へと液体キャリアを提供する。せん断力は、濃縮されたマーキング剤と液体キャリアとの混合物に、分注ユニット16によって適応される。
【0026】
例えば10から20重量%のような、4から25重量%の固形物顔料を得るのに十分な濃縮されたマーキング剤と液体キャリアとが分注ユニット16中に供給され得る。すなわち、分注ユニット16は、LEPインクとしてしばしば用いられるような20〜25重量%の固形物含量を持つ液体マーキング剤を製造し得る。代替的に、液体マーキング剤は、作業液中においてしばしば用いられる約2重量%の固形物含量により近いような、より少ない固形物含量を持ち得る。
【0027】
供給パス22は、液体マーキング剤をリザーバ24へと供給する。追加の液体キャリアがリザーバ24へと添加され、所望の作業用固形物含量を得る。追加の液体キャリアは、点線で示される追加の供給パス26を通じてキャリア分注器18へと添加され得る。代替的に、追加の液体キャリアは、異なる源(図示されない)から添加され得る。供給パス28は、液体マーキング剤をその作業用固形物含量において、リザーバ24からイメージングエンジン30へと提供する。返却パス32は、約2重量%固形物から約20〜25重量%固形物の液体マーキング剤の、塗布前における最初のしぼりを反映して、過剰の液体キャリアをイメージングエンジン30からリザーバ24へと返却する。リザーバ24は、液体マーキング剤の密度、導電度、および温度を所望の制限へと維持するように画定されている。結果として、濃縮されたマーキング剤の再分散が実施され、液体マーキング剤は、LEPプレスのようなハードイメージング装置において、ちょうどのタイミングに送達される。
【0028】
図4に示されるフローチャートにより、ハードイメージング方法が実行され、例えば、ハードイメージング装置10は、ステップ40において固体のマーキング剤を提供するステップを含んで良い。ステップ42において、マーキング剤は液体キャリアと混合され得る。せん断力の適応はステップ44において起こり得、そしてステップ46における粒子の分布が後に続く。分散した粒子を含有する液体マーキング剤は、ハードイメージを形成するためにステップ48において用いられ得る。
【0029】
図5に示されるプリントエンジン50は、イメージング30としての使用に好適な一つの例を示す。プリントエンジン50の描写された配置は、潜像は現像画像を形成するために現像され、続いてハードイメージを形成するために出力媒体へと転写されるような実装の電子写真イメージングを画定する。プリントエンジン50は、デジタルプレス(例えばHewlett−Packard Companyより入手可能なINDIGOプレス)中に含まれ得、液体マーキング剤を用いる。しかしながら、他の構成も使用し得る。
【0030】
プリントエンジン50は、プレートシリンダー52、帯電ユニット60、ライティングユニット58、現像ユニット62、ブランケットシリンダー54を含む。プリントエンジン50は、紙もしくは他の好適な印刷基材のような媒体上にハードイメージを形成するように画定されている。他の実施態様において、他のハードイメージング装置はより多くのもしくはより少ない、または代替的な構成要素を持ち得、そして、他の配置であり得る。
【0031】
帯電ユニット60は、ブランケット電荷を、プレートシリンダー52の外部表面の実質的に全体に吸着させるように画定され得る。ライティングユニット58は、プレートシリンダー52の外部表面の選択された部分を開放して潜像を形成するように画定され得る。現像ユニット62は、プレートシリンダー52の外部表面にマーキング剤を提供してその上に潜像を現像するように画定され得る。マーキング剤は液体マーキング剤であり得る。液体マーキング剤の粒子は、プレートシリンダー52の外部表面へともたらされたブランケットの電荷と同じ電気極性に荷電され得、そして潜像へと対応するプレートシリンダー52の外部表面の解放される部分へと分配される。現像されたイメージは、ブランケットシリンダー54によって、ブランケットシリンダー54とインプレッションシリンダー56の間を通る媒体へと転写され得る。
【0032】
当然、プリントイメージ50を用いるハードイメージング装置50は、ハードイメージの形成を達成するための追加の電気的、機械的および、ソフトウェアの構成要素(図示されない)を含み得る。プリントエンジン50が図1に示されるハードイメージング装置10中のイメージエンジン30として使用される機会において、供給パス28が現像ユニット62へと液体マーキング剤を提供する事は理解されよう。現像ユニット62は、プレートシリンダー52上に潜像を現像するために1から7もしくはそれより多くの色を含み得る。結果として、ハードイメージング装置10は、それぞれの色に対応するリザーバ24のようなリザーバを含み得る。マーキング剤分注器12のような対応するマーキング剤の分注器および分注ユニット16のような分注ユニットは、それぞれのリザーバに対して低供され得る。
【0033】
一実施態様において、ハードイメージング装置は、凝集した粒子の固体塊を含有するマーキング剤とともに使用するよう画定されたマーキング剤分注器、液体キャリア分注器および分注ユニットを含む。分注ユニットは分注されたマーキング剤と分注された液体キャリアを混合するよう画定される。分注ユニットは、混合されたマーキング剤と液体キャリアとを混合するためのせん断力を適応するよう画定されたメカニズムを含む。ハードイメージング装置は、分注ユニットからの液体マーキング剤を貯蔵するよう画定されたリザーバと、リザーバからの液体マーキング剤を受容するよう画定されたイメージエンジンとを含む。例として、リザーバおよび/もしくはハードイメージング装置は、液体マーキング剤と追加の液体キャリアとをハードイメージを形成する前にリザーバ中で混合するよう画定されていてもよい。
【0034】
ここでの実施態様は、濃縮されたマーキング剤をマーキング剤品質の劣化なしに最終使用者へと提供することを供給できるので、さまざまな利点が生じる。濃縮方法によって回収される液体キャリアは再利用できると仮定すると、マーキング剤の製造者はより少ない液体キャリアを購入することができる。75〜80重量%の液体キャリア含量は35重量%(65重量%の固体)へと減少できるので、キャリアの購入は2より大きい倍数で減少する。ハードイメージング装置の液体キャリア再利用システムが、濃縮されたマーキング剤の再分散に用いる液体キャリアを提供すると仮定すると、最終使用者はより少ないVOC廃棄物を生じることになり得る。
【0035】
産物におけるより少ない液体キャリアは、供給されるものからどれだけのページが印刷されるかに基づいて等量のマーキング剤の供給に対して、より少ない量の運搬となることをさらに意味し得る。別の方法によると、産物におけるより少ない液体キャリアは、与えられたパッケージングコンテナの量に対し、より少ない回数の運搬を意味する。すなわち、20〜25重量%の固体の代わりに40〜90重量%の固体を持つ濃縮されたマーキング剤によって満たされる場合、マーキング剤の与えられた容量でのコンテナの使用寿命が増加することを意味する。65重量%の固形分含量を達成する事は、VOC規制を満たすこと、ならびに特定のVOCの捕捉とLEPプレスの制御装置を避けることにおいて、有意義であることは証明し得る。これらおよび他の利点は、さまざまな実施態様を例示する以下の実施例からよりよく理解し得るであろう。
【実施例】
【0036】
実施例1
イスラエル国、RehovotのHP INDIGO Digital Press Divisionより入手可能であり、22.0±0.5重量パーセント(重量%)の固形物含量を持つシアンELECTROINK El4.0液体電子写真(LEP)インクは、イスラエル国HolonのM.R.CLtdより入手可能な3リットル容量のBK−24遠心分離機のバスケット中に置かれた。分当たり3000回転(RPM)で30分間遠心され、液体キャリア(すなわち、テキサス州ヒューストンのExxonMobil Chemicalより入手可能なIsopar L)を部分的に除去され、生じる凝集した粒子の塊は47重量%の固形分含量を持つ。遠心産物は部分的に乾燥した粘土の外観を持ち、手で崩壊されると、視覚的に識別可能な顆粒であると示される。
【0037】
実施例2
実施例1の産物は遠心分離機より取り出され、エバポレーションによってキャリア含量をさらに減少させるために外気中におかれた。相対湿度(RH)に応じて20〜50時間のエバポレーションの後、産物は乾燥した視覚的外観を持った。エバポレーションに供された産物の固形分含量は60重量%であった。代替的に、キャリア含量は、強制換気および/もしくは約40〜45℃への空気の加熱によってより急速に減少できる。凝集した粒子の塊は様々なサイズの顆粒へと手で崩壊させ得るが、操作と運搬の便宜のため、約90μmより大きな顆粒への崩壊が最適な崩壊と開示され、さらに、約90から約200μmが最適であると開示される。
【0038】
実施例3
実施例1および2は、イスラエル国、RehovotのHP INDIGO Digital Press Divisionより入手可能であり、21.0±0.5重量パーセント(重量%)の固形物含量を持つシアンELECTROINK El3.1LEPを用いて繰り返され、同様の結果となった。エバポレーションへと供された産物の固形物含量は60重量%であった。凝集した粒子の塊は様々なサイズの顆粒へと手で崩壊させ得るが、操作と運搬の便宜のため、約90μmより大きな顆粒への崩壊が最適な崩壊と開示され、さらに、約90から約200μmが最適であると開示される。
【0039】
実施例4
シアンELECTROINK El4.0から作製された実施例2の60重量%の固形物の産物は、15重量%の固形物含量を得るように十分量のIsopar L液体キャリアを持つ漏斗へと入れられた。漏斗は、混合した塊と追加のキャリアとを抽出し、それらを漏斗へと再循環させるための、3200RPMで運転されるイタリア国ミラノのFluid−O−Techから入手可能なDGD09ダイレクトドライブギヤポンプへと排水される。混合物は、約10分間装置を通してポンプ輸送され、インク粒子を再分散した。代替的に、ブレンダー、高せん断ミキサーもしくはボールクラッシャーが同様の効果をもって使用され得る。代替的な装置は、顆粒サイズにより非依存的であり、より小さいサイズのミリメートルへとインク顆粒を再分散可能であった。高せん断ミキサーは特別に設計された装置であり、せん断適応のためにいくつかの段階を含むものであり、そして、低いせん断力を適応する、より単純に見え、そして既知の家庭電化製品のようであるブレンダーとは区別される。さらに、代替的に、固形物含量は、例えば10から20重量%のように4から25重量%であり得る。
【0040】
実施例5
実施例4はシアンELECTROINK El4.0から作製される実施例1の47重量%の産物によって繰り返され、15重量%の固形物含量を得た。また、代替的に固形物含量は、例えば10から20重量%のように4から25重量%であり得る。
【0041】
実施例6
実施例4はシアンELECTROINK El3.1から作製される実施例3の60重量%の産物によって繰り返され、20重量%の固形物含量を得た。いくつかの他の実施は、実施用溶液中の約2重量%の固形物含量を用いるものに近く、4重量%の固形物含量のように低い再分配を含む。実施例4〜6と比較して、再分散におけるさらなる希釈は、完全な再分散のための循環時間を増加させるこことによって処理の効率を下げると観察された。
【0042】
実施例7
粒径の分析は、実施例1(シアンELECTROINK El4.0)および実施例3(ELECTROINK El3.1)の開始物質のインク、ならびに実施例4〜6の3つの再分散したインクを用いて、英国のWorcestershireのMalvern Instruments Ltd.から入手可能なMastersizer2000粒径分析器を用いて実施され、図2A〜Cおよび3A〜Bに示される粒径分布示した。注目すべきは、開始物質のインクのサイズ分布は、非常に近く維持され、メジアン粒径は約0.3μmもしくは約5%の許容範囲に残っていた。メジアン粒径が約8〜10%の許容範囲に留まると受容可能であると予測される。20.00μmより大きな粒子のvol%はまた、サイズ分布を保っていることの有用な指標を構成する。例えばHP INDIGO LEPプレスにおいて、20.0μmよりも大きな粒子が約6vol%未満であるインクが受容可能であると予測される。粒径分布パラメータは、上述の個々の実施例表1において比較されるが、統計的に代表的なものであるとは考えるべきでなく、製品仕様書を示すとも考えるべきではない。
【0043】
【表1】



【0044】
実施例8
実施例1(シアンELECTROINK El4.0)および実施例4の再分散インクが2.0から2.1%固形物含量の作業用溶液を調製するのに用いられた。両方の作業用溶液において、作業用溶液の10〜13ピコMho(pMho)という範囲低いフィールド導電率が測定された。
【0045】
実施例9
実施例1、3および4〜6のインクがHP INDIGO 5000Digital Pressへと供給され、135グラム/平方メートルCondat Gloss紙へと印刷された。実施例1および3の開始物質のインクならびに実施例4〜6の再分散インクの比較は、材料の操作性および印刷品質において識別可能な違いをまったく示さなかった。一例として、インクの変化における偏差はまったく観察されなかった。印刷品質は、細線、テキスト、および特殊図形の完成度を比較する事によって評価された。80〜90pMho(インク仕様当たり)という作業用溶液の低いフィールド導電率は、インクリザーバへのチャージ剤の調節された添加によってすべての試験されたインクにおいて同様に維持された。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
マーキング剤濃縮方法であって、
液体キャリア中に分散した粒子を含有する液体マーキング剤を提供するステップであって、粒子がそれらの個々の構造中に液体キャリアを残し、そしてそれが残された液体キャリアによって支持されているステップと、
粒子中に残される液体の実質的な除去の無い粒子と、粒子構造の実質的な変化の無い粒子との間にある少なくとも部分的な液体キャリアの除去によってマーキング剤を濃縮するステップであって、濃縮されたマーキング剤が40重量%から90重量%未満の固形物含量を示すステップと、そして
濃縮されたマーキング剤を、代理店もしくは液体マーキング剤の最終使用者へと供給するステップと
を含有する、方法。
【請求項2】
濃縮されたマーキング剤であって、
凝集した粒子の固体塊と、
粒子の個々の構造中に残された液体キャリアであって、それが残された液体キャリアによって支持される液体キャリアと、
90μmより大きなメジアンサイズを示す塊と、そして
40重量%から90重量%未満の固形物含量を示す濃縮されたマーキング剤を含有する、
剤。
【請求項3】
ハードイメージング方法であって、
凝集した粒子の固体塊と、粒子の個々の構造中に残された液体キャリアであって、それが残された液体キャリアによって支持される液体キャリアと、メジアンサイズを示す塊とを含有する濃縮されたマーキング剤を提供するステップ(40)と、
塊と追加の液体キャリアを混合するステップ(42)と、
塊と追加のキャリアとの混合物にせん断力を適応するステップ(44)と、
追加のキャリア中の塊から粒子を分散させ、そして液体マーキング剤を形成するステップ(46)であって、分散した粒子がメジアン塊サイズより小さなメジアンサイズを示すステップと、そして
液体マーキング剤を用いて基材上にハードイメージを形成するステップ(48)と
を含有する、方法。
【請求項4】
前記マーキング剤が電子写真インクを含有する、請求項1もしくは3に記載の方法または請求項2に記載の剤。
【請求項5】
マーキング剤を濃縮することが、少なくとも遠心力および/もしくは静電力を含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
マーキング剤を濃縮することが、粒子中に残される液体の実質的な除去の無い粒子と、粒子構造の実質的な変化の無い粒子との間にある少なくとも部分的な追加の液体キャリアのエバポレーションを用いる事をさらに含有する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
濃縮されたマーキング剤が、再分散される液体マーキング剤の粒径分布と十分に同様の粒径分布に再分散可能である性質と、実質的に同じ印刷品質を示す液体マーキング剤の性質とを示す、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
濃縮されたマーキング剤が、再分散される液体マーキング剤の帯電レベルと十分に同様の帯電レベルをもたらすように再分散可能である性質と、実質的に同じ印刷品質を示す液体マーキング剤の性質とを示す、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
濃縮されたマーキング剤が、凝集した粒子の固体塊を含有し、前記塊が、メジアンサイズを示し、そして粒子がメジアン塊サイズよりも小さいメジアンサイズを示す、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記塊が90μmより大きいメジアンサイズを示し、前記粒子が10μmより小さいメジアンサイズを示す、請求項3もしくは9に記載の方法。
【請求項11】
濃縮されたマーキング剤として自由に流動する、凝集された粒子の固体塊へと塊をサイジングするステップをさらに含有する請求項9に記載の方法。
【請求項12】
塊によって構成される粒子が、液体キャリアへの分散の後、10μm未満のメジアンサイズを持つ性質を示す、請求項2に記載の剤。
【請求項13】
前記濃縮されたマーキング剤が、40重量%から90重量%未満の固形物含量を示す、請求項3に記載の方法。
【請求項14】
前記固形物含量が55重量%から70重量%である、請求項1もしくは13に記載の方法または請求項2に記載の剤。
【請求項15】
粒子を分散させたのちに、液体マーキング剤をさらに液体キャリアとハードイメージ形成前に混合するステップを含有する、請求項3に記載の方法。


【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−532354(P2012−532354A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−519071(P2012−519071)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【国際出願番号】PCT/IB2009/006296
【国際公開番号】WO2011/001199
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(596097844)ヒューレット−パッカード・インデイゴ・ビー・ブイ (6)
【氏名又は名称原語表記】Hewlett−Packard Indigo B.V.
【Fターム(参考)】