ミラーベース
【課題】走行中の振動や風圧等の外力に対して改善できるミラーベースを提供する。
【解決手段】ミラーベース10は、車体側面に取付可能な略板状のベース本体11と、ベース本体11の裏面に突設された複数のボルトと、各ボルトを囲むように裏面に設けられ、車体側面に密着可能なガスケット12と、ガスケット12から車体側面に向かって設けられた突出部25と、ベース本体11の裏面に突設され、ガスケット12における突出部25の基端部26に対応する位置を押圧するボス18と、突出部25の先端面28から基端部26側に向かって連続的に設けられた空隙29と、を備える。
【解決手段】ミラーベース10は、車体側面に取付可能な略板状のベース本体11と、ベース本体11の裏面に突設された複数のボルトと、各ボルトを囲むように裏面に設けられ、車体側面に密着可能なガスケット12と、ガスケット12から車体側面に向かって設けられた突出部25と、ベース本体11の裏面に突設され、ガスケット12における突出部25の基端部26に対応する位置を押圧するボス18と、突出部25の先端面28から基端部26側に向かって連続的に設けられた空隙29と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体側部にサイドミラーを取り付けるためのミラーベースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両の車体側部にサイドミラーを取り付けるためのミラーベースが知られている。車体を構成するフロントドアは、窓部における車両進行方向の前端側に略三角形状の支持部が設けられている。そして、サイドミラーは、ミラーベースに設けられた複数のボルトを支持部に設けられた複数の貫通孔にそれぞれ挿通させ、フロントドアの車室側に突出するボルトにナットを螺合させることによりドアに固定される(例えば、特許文献1参照)。
サイドミラーの固定強度を確保するためには、ミラーベースを支持部に対して3点以上、すなわち3本以上のボルトを用いて固定することが好ましく、かつ、各ボルトの間隔は出来るだけ広いことが好ましい。
【0003】
また、近年では、搭乗者の視界確保を目的として、上下に開閉するドアガラスとは別に、窓部における車両進行方向の先端側に略三角形状の嵌め殺し窓が設けられた車両が知られている。
このような車両では、上下に開閉するドアガラスと、嵌め殺し窓との間に設けられた柱状部分(サッシュ)にミラーベースが固定される(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−315860号公報(図1、段落0023)
【特許文献2】特開2006−168647号公報(図2、段落0026)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献2において開示されたアウターミラーにおいては、搭乗者の視界確保を優先するため、柱状部分の車両進行方向に沿った寸法、すなわち幅寸法を小さくする傾向にある。
このような柱状部分にミラーベースを取り付けた場合、前述した各ボルトの間隔が狭いため、走行中の振動や風圧等の外力がサイドミラーに加わると、柱状部分に対するミラーベースの取付強度が不足して、サイドミラーのミラー部にびびりが生じたり、あるいは柱状部分に対してミラーベースが位置ずれを起こす可能性がある。
特に、近年では、ターニングランプやカメラ等が設けられることにより重量が増加したサイドミラーが増えつつあり、前述したびびりや位置ずれの可能性が高くなっている。
【0006】
本発明は、前述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、走行中の振動や風圧等の外力が加わっても、確実に位置保持できるミラーベースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るミラーベースは、車両用のバックミラーを支持可能であるとともに、車体側面に取付可能な略板状のベース本体と、前記ベース本体における前記車体側面側を向く裏面に突設された複数のボルトと、前記各ボルトを囲むように前記裏面に設けられ、前記車体側面に密着可能なガスケットと、前記ガスケットから前記車体側面に向かって設けられた突出部と、前記ベース本体における前記裏面に突設され、前記ガスケットにおける前記突出部の基端部に対応する位置を押圧するボスと、前記突出部の先端面から前記基端部側に向かって連続的に設けられた空隙と、を備える。
【0008】
本発明に係るミラーベースは、前記ガスケットにおける前記ボスに押圧される箇所に凹部が設けられている。
【0009】
本発明に係るミラーベースは、前記空隙が、前記突出部の初期形状において設けられている。
【0010】
本発明に係るミラーベースは、前記ボスの先端が半球形状である。
【0011】
本発明に係るミラーベースは、前記空隙を囲む前記突出部の壁部が、断面先細りである。
【0012】
本発明に係るミラーベースは、前記ボスの先端が平面状であり、前記凹部の底部が前記ボス側へ突出した凸部状面として形成されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るミラーベースによれば、走行中の振動や風圧等の外力が加わっても、確実に位置保持できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る第1実施形態のミラーベースの車体への取付前の分解斜視図
【図2】本発明に係る第1実施形態のミラーベースの車体側から視た分解斜視図
【図3】本発明に係る第1実施形態のミラーベースのベース本体の背面図
【図4】本発明に係る第1実施形態のミラーベースのガスケットの正面図
【図5】本発明に係る第1実施形態のミラーベースの突出部周りの組付前の断面図
【図6】(a)、(b)、(c)は従来のミラーベースの車体への取付状態を説明する模式図
【図7】本発明に係る第1実施形態のミラーベースの突出部の組付前の断面図
【図8】本発明に係る第1実施形態のミラーベースの突出部の組付前の外観斜視図
【図9】本発明に係る第1実施形態のミラーベースの突出部周りの組付後の断面図
【図10】本発明に係る第1実施形態のミラーベースの突出部の組付後の外観斜視図
【図11】本発明に係る第1実施形態のミラーベースの突出部の変形例の断面図
【図12】本発明に係る第2実施形態のミラーベースの突出部周りの断面図
【図13】本発明に係る第3実施形態のミラーベースの突出部周りの断面図
【図14】本発明に係る第3実施形態のミラーベースの突出部の外観斜視図
【図15】本発明に係る第3実施形態のミラーベースの突出部の変形例の外観斜視図
【図16】本発明に係る第3実施形態のミラーベースの突出部の他の変形例の外観斜視図
【図17】本発明に係る第3実施形態のミラーベースの突出部の他の変形例の外観斜視図
【図18】本発明に係る第4実施形態のミラーベースの突出部周りの断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る複数の実施形態のミラーベースについて図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1に示すように、本発明に係る第1実施形態のミラーベース10は、車体の側部にミラーアッセンブリ93を固定するために、車体90の側部を構成するフロントドアアウタパネル91に取り付けられる。
フロントドアアウタパネル91は、車両進行方向の前端側の上部に形成されたミラー取付部92と、ミラー取付部92の車両進行方向の前方に設けられた嵌め殺しのドアウインドガラス94とを有する。
ミラー取付部92には、複数のボルト挿通孔95が形成されている。
【0016】
ミラーアッセンブリ93は、後方視認用のアウターミラー(図示せず)を有し、特に限定されるものではないが、例えば、ミラーを傾倒可能に保持するそれぞれ不図示のアクチュエータや、ミラーベース10に立設されるシャフトや、ミラーハウジングをシャフト回りに回転させるための駆動手段等から構成される。
【0017】
図2には、ミラーベース10を分解した状態で車体側から見た分解斜視図が示されている。
図2に示すように、ミラーベース10は、ミラーアッセンブリ93(図2に示さず)を支持するベース本体11と、このベース本体11の裏面に覆設されたガスケット12とを備えている。
ベース本体11は、板状のカバー部13と、ミラーアッセンブリ93が載置される支持部14と、ミラー取付部92に固定される固定部15と、を備えている。
【0018】
ベース本体11は、硬質の合成樹脂(ガラス繊維入りのポリブチレンテレフタレート(PBTGF)、またはダイカスト(アルミニウムや亜鉛等)やガラス繊維入りのポリアミド(PAGF)等)を素材としており、カバー部13、支持部14および固定部15は、射出成形等により一体に成形される。
【0019】
カバー部13は、その表面が車外に露出する意匠面であって、例えば、車体色と同一や黒色等に塗装されているか、または、塗装なしで黒色の材料色のままにされている。
カバー部13の裏面には、それぞれ無端状の外リブ16と、内リブ17とが突設されている。外リブ16は、カバー部13の外周縁に沿って形成されており、内リブ17は、外リブ16の内周側において固定部15を囲むように形成されている。
カバー部13は、固定部15の近傍にボス18がガスケット12、すなわち、フロントドアアウタパネル91のミラー取付部92に向けて突出して形成されている。
【0020】
ガスケット12は、ベース本体11の固定部15を覆う囲繞部19と、この囲繞部19の周囲に形成された被着部20とを備えている。
ガスケット12は、ベース本体11よりも軟らかい半硬質の合成樹脂(ポリエチレン(PE)やポリ塩化ビニル(PVC)等)からなり、囲繞部19および被着部20は、射出成形等によって一体に成形される。
【0021】
図3に示すように、ベース本体11には、ボルト21が固定されている。
ボルト21は、ベース本体11をミラー取付部92に固定するためのものであり、ベース本体11の内リブ17の内周部において、上側に1つ、下側の固定部15に2つが、ミラー取付部92に向けて突出して固定されている。
ベース本体11は、内リブ17の内周部において、固定部15に一対のボルト21がフロントドアアウタパネル91のミラー取付部92に向けて突出して固定されている。
【0022】
図4に示すように、ガスケット12は、囲繞部19に、それぞれフロントドアアウタパネル91のミラー取付部92に向けて突出した一対のボルト支持孔22と、配線挿通孔23と、を備えており、被着部20の上部に、ボルト支持孔24を備えている。
ガスケット12は、囲繞部19の裏面に、フロントドアアウタパネル91のミラー取付部92に向けて突出する円柱形状の突出部25を備えている。
【0023】
ミラーベース10は、ベース本体11にガスケット12を固定することにより形成され、このミラーベース10がミラー取付部92に固定される。
そのため、突出部25(ガスケット12)が、ボス18(ベース本体11)によって押圧されるのみならず、ボス18が突出部25を押圧せずに支えた状態においても、ミラー取付部92の面が突出部25を押圧する。
このとき、支持部14にミラーアッセンブリ93が取り付けられた後に、ベース本体11のボルト21が、ガスケット12に設けられたボルト支持孔22およびボルト支持孔24にそれぞれ挿通される。
【0024】
そして、ミラーベース10は、ボルト21が、フロントドアアウタパネル91のミラー取付部92に有するボルト挿通孔95にそれぞれ挿通される。
次に、フロントドアアウタパネル91のミラー取付部92の裏面において、ボルト21に不図示のナットがねじ込まれることにより、ガスケット12が、ベース本体11およびミラー取付部92に密着して車体90に固定される。
【0025】
次に、カバー部13のボス18と、ガスケット12の突出部25とについて詳細に説明する。
図5に示すように、カバー部13のボス18は、その先端部が半球形状に形成されている。一方、ガスケット12は、突出部25の基端部26に凹部27が形成されている。凹部27は、ボス18の直径寸法に対応した有底円筒状に形成されている。
突出部25は、ガスケット12の凹部27にベース本体11のボス18が取り付けられる以前の状態において、ガスケット12の被着部20の表面からの突出寸法が長さ寸法L1とされている。
【0026】
また、突出部25は、先端面28から基端部26側に向かって連続的に設けられた空隙29を備える。空隙29は、突出部25が弾性変形する前の初期形状において略半球形状となっている。
【0027】
ところで、実際の製造において、組み付け前のミラーベース10から見た相対的な車体90のミラー取付部92の位置は、車両製造時の組付誤差によりばらつきを生ずることがある。図6はこのような事情を説明する図であって、従来のミラーベース10の車体90への取付状態を説明する模式図である。
【0028】
図6(a)に示すように、当初の設計においては、ミラー取付部92の位置に関し、例えば0.5mmの公差が設けられ、その公差に対応して突出部の長さが設計されている。ここでは、設計位置におけるA−A位置においてミラー取付部92が位置し、当該位置から0.5mm突出するように突出部の長さ寸法が設定されている。
【0029】
しかしながら、実際の車体90へのミラーベース10の取り付けにあたっては、上記のような公差以上の値をもって、ミラーベース10から見たミラー取付部92の相対的な位置がずれている場合がある。図6(b)は、ミラー取付部92の相対的な位置が、公差以上の値をもってミラーベース10側に接近した位置にある例を示す(プラス公差の位置)。例えば、ミラー取付部92が、設計位置におけるA−A位置から+0.7mmの長さをもってミラーベース10側に接近した位置B−Bにある。
【0030】
図6(c)は、ミラー取付部92の相対的な位置が、公差以上の値をもってミラーベース10から離れた位置にある例を示す(マイナス公差の位置)。例えば、ミラー取付部92が、設計位置におけるA−A位置から−0.7mmの長さをもってミラーベース10から離れた位置C−Cにある。
【0031】
従来においては、突出部25には本実施形態のように空隙29が設けられておらず、中実の合成樹脂によって構成されている。したがって、図6(b)の場合は強い圧力が突出部25、ひいてはボス18に伝達し、ボス18が破損する等のおそれがあった。図6(c)の場合は、そもそも突出部25が全く機能しない。
【0032】
そこで、本実施形態においては、図5に示したように、予め突出部25に空隙29を設けることにより突出部25の撓み易さを確保し、その長さ寸法L1を従来のものに比べ長くすることができる。すなわち、図6(b)のようにプラス公差である場合であっても、空隙部29が設けられている突出部25が撓むことにより突出部25とミラー取付部92が強く当たることを防止することができ、ボス18の破損などの事故を防止することができる。また、図6(c)のようにマイナス公差である場合であっても、突出部25の長さL1が従来のものに比べ長いため、突出部25がミラー取付部92に届かないという問題を解消している。
【0033】
すなわち、突出部25に空隙29を設けることにより、突出部25の撓み易さを確保し、ミラーベース10から見たミラー取付部92の相対的な位置ずれを、大きな範囲で吸収することが可能となる。
【0034】
突出部25についてより詳細に説明する。図7に示すように、突出部25は、当該突出部25が略円柱形状であるとともに空隙29が略半球形状であるため、結果的に空隙29を囲む壁部が突出部25の先端部に向かって、断面先細りに形成されている。つまり、突出部25は、基端部26側における径方向の幅寸法L4よりも先端面28における径方向の幅寸法L5の方が小さい。
【0035】
図8に示すように、突出部25は、空隙29が、先端面28の中心位置に配置されている。そして、突出部25の長さ寸法L1は、従来のものに比べ長く設定されている。そのため、ミラーベース10がフロントドアアウタパネル91のミラー取付部92に取り付けられた際に、空隙29の周囲を均一に弾性変形する。
【0036】
図9に示すように、ミラーベース10がフロントドアアウタパネル91のミラー取付部92に取り付けられることにより、ボス18が、突出部25の凹部27を押圧する。
このとき、ボス18の先端部が半球形状に形成されているために、突出部25の軸線の中心部において凹部27にボス18が点接触する。
そして、半球形状の空隙29の軸線と、突出部25の軸線と、ボス18の軸線とが同一線に沿うことになる。
そのため、ボス18が突出部25の軸線の中心部において凹部27に点接触することにより、ボス18から凹部27に加わる荷重が集中し、突出部25の弾性変形に伴う拡開を促進できる。
【0037】
すなわち、図10に示すように、先端部が半球形状に形成されているボス18が、突出部25の軸線の中心部において凹部27に点接触するために、凹部27からボス18に加わる荷重が集中し、突出部25は、拡開を促進されて均一に弾性変形することになる。
【0038】
上述したように、ミラーベース10は、ベース本体11がフロントドアアウタパネル91のミラー取付部92に取り付けられた際に、突出部25の基端部26がボス18に押圧される。
そして、ミラーベース10は、突出部25の先端面28がミラー取付部92に必ず押圧されて拡開するために、突出部25に蓄積されている所定の圧力でミラー取付部92に密着する。
従って、ミラーベース10は、突出部が無い場合に比較して車体90の側面に対する向きずれが生じ難い。
これは、特に、ボルト21の設置間隔が狭い場合に有効である。勿論、ボルト21の設置間隔が広い場合に使っても有効であることは言うまでもない。
【0039】
なお、突出部25の長さ寸法L1は、個別具体的なケースに応じて適宜設定されるのであり、その絶対値は重要ではない。重要なことは、突出部25に空隙29が設けられることにより、突出部25が弾性変形可能となっていることである。
【0040】
次に、ミラーベース10のガスケット12の突出部の変形例について説明する。
図11に示すように、本変形例は、基端部26に円錐形状の空間を形成する凹状の空隙31を突出部32に備える。
突出部32は、空隙31が円錐形状に形成されているために、基端部26側における径方向の幅寸法よりも先端面28における径方向の幅寸法の方が著しく小さい。
そのため、突出部32は、ミラーベース10がフロントドアアウタパネル91のミラー取付部92に取り付けられた際に、空隙31の周囲の弾性変形を促進できる。
【0041】
以上、説明した本発明に係る第1実施形態のミラーベース10によれば、突出部25,32(ガスケット12)が、ボス18(ベース本体11)によって押圧されるのみならず、ボス18が突出部25,32を押圧せずに支えた状態においても、ミラー取付部92の面が突出部25,32を押圧する。
そのため、ミラーベース10によれば、突出部25,32の先端部がミラー取付部92に強圧されて拡開する。
これにより、ミラーベース10によれば、所定の圧力でミラー取付部92に密着することにより、突出部が無い場合に比較して車体90の側面に対する向きずれが生じ難い。
従って、ミラーベース10によれば、走行中の振動や風圧等の外力が加わっても、確実に位置保持できる。
【0042】
また、ミラーベース10によれば、突出部25,32の凹部27が、ボス18に押圧されて当接される際に、ボス18を誘導できるために、確実に組み付けできる。
【0043】
そして、ミラーベース10によれば、ミラーベース10がミラー取付部92に取り付けられる際に、空隙29,31を介して突出部25,32の弾性変形を促進できる。
【0044】
さらに、ミラーベース10によれば、ボス18を突出部25,32の凹部27に点接触できる。
特に、ミラーベース10によれば、空隙29,31の中心に対応する位置にボス18が点接触するために、ボス18から凹部27に加わる荷重が集中し、突出部25,32を所望形状に変形し易い。
【0045】
加えて、ミラーベース10によれば、突出部25,32における空隙29,31を囲む壁部が、断面先細りに形成されているために、壁部の薄肉部位が荷重により撓み易くなっている。
従って、ミラーベース10によれば、ミラー取付部92に取り付けられた際に、空隙29,31の周囲を均一に弾性変形できる。
【0046】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態のミラーベースについて説明する。
なお、以下の各実施形態において、前述した第1実施形態と重複する構成要素や機能的に同様な構成要素については、図中に同一符号あるいは相当符号を付することによって説明を簡略化あるいは省略する。
【0047】
図12に示すように、本発明に係る第2実施形態のミラーベース40は、基端部26に平面部41を有するガスケット42が適用される。
ミラーベース40は、フロントドアアウタパネル91のミラー取付部92に取り付けられることにより、突出部43の平面部41が、ボス18に押圧されて当接される。
このとき、ボス18の先端部が半球形状に形成されているために、突出部43の軸線の中心部において平面部41に点接触して、突出部43の弾性変形に伴う拡開を促進できる。
【0048】
第2実施形態のミラーベース40によれば、ガスケット42に凹部を形成しないので、成型加工を簡略化でき、走行中の振動や風圧等の外力が加わっても、確実に位置保持できる。
【0049】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る第3実施形態のミラーベースについて説明する。
図13に示すように、本発明に係る第3実施形態のミラーベース50は、ガスケット51の突出部52の基端部26に凹部53が形成されるとともに、先端面28から基端部26側に向かって連続的に設けられた切込54を有する。
【0050】
図14に示すように、切込54は、十字形状に形成されており、ミラーベース50が、フロントドアアウタパネル91のミラー取付部92に取り付けられることにより、突出部52の凹部53が、ボス18に押圧されて当接される。
このとき、ボス18の先端部が半球形状に形成されているために、突出部52の軸線の中心部において凹部53に点接触することにより、ボス18から凹部53に加わる荷重が集中し、突出部52が切込54による空隙を伴って弾性変形されることになる。
【0051】
次に、ミラーベース50の変形例について説明する。
図15に示すように、本変形例は、突出部61に、先端面28から基端部26側に向かって連続的に設けられた切込62を有する。
切込62は、先端面28の中心から放射状に切除されている。そのため、突出部61は、ミラーベース50が、フロントドアアウタパネル91のミラー取付部92に取り付けられる際に、切込62による空隙を伴って弾性変形される。
【0052】
次に、ミラーベース50の他の変形例について説明する。
図16に示すように、本変形例は、基端部26よりも先端部が大径の円錐台形状に形成された突出部71に、先端面28から基端部26側に向かって連続的に設けられた切込72を有する。
切込72は、先端面28において空隙73を有する十字形状に切除されている。そのため、突出部71は、ミラーベース50が、フロントドアアウタパネル91のミラー取付部92に取り付けられる際に、切込72による空隙73を伴って弾性変形される。
【0053】
次に、ミラーベース50の他の変形例について説明する。
図17に示すように、本変形例は、基端部26よりも先端部が大径の円錐台形状に形成された突出部81に、先端面28から基端部26側に向かって連続的に設けられた切込82を有する。
切込82は、先端面28において空隙83を有する放射形状に切除されている。そのため、突出部81は、ミラーベース50が、フロントドアアウタパネル91のミラー取付部92に取り付けられる際に、切込82による空隙83を伴って弾性変形される。
【0054】
第3実施形態のミラーベース50によれば、切込54,62,72,82による空隙73,83を伴って突出部52,61,71,81を確実に弾性変形できる。
【0055】
(第4実施形態)
次に、本発明に係る第4実施形態のミラーベースについて説明する。
図18に示すように、本発明に係る第4実施形態のミラーベース60においては、カバー部13のボス18は、その先端部が平面状に形成されている。一方、ガスケット12は、突出部25の基端部26に凹部27が形成されている。凹部27は、ボス18の直径寸法に対応した有底円筒状に形成されている。そして、凹部27のボス18の平面状の先端部が接触する凹部27の底部は、ボス18側へ突出した凸部状面27aとして形成され、ボス18の平面状の先端部と凸部状面27aは点接触することとなる。
【0056】
なお、本発明のミラーベースにおいてフロントドアアウタパネル、ミラーアッセンブリ等は、前述した各実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形や改良等が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0057】
以上述べたように、本発明のミラーベースによれば、走行中の振動や風圧等の外力が加わっても、確実に位置保持できるものである。
以上の結果として、車両の品質を向上でき、本発明の産業上の利用可能性は大といえる。
【符号の説明】
【0058】
10,40,50 ミラーベース
11 ベース本体
12,42,51 ガスケット
18 ボス
21 ボルト
25,32,43,52,61,71,81 突出部
26 基端部
27,53 凹部
29,31,73,83 空隙
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体側部にサイドミラーを取り付けるためのミラーベースに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両の車体側部にサイドミラーを取り付けるためのミラーベースが知られている。車体を構成するフロントドアは、窓部における車両進行方向の前端側に略三角形状の支持部が設けられている。そして、サイドミラーは、ミラーベースに設けられた複数のボルトを支持部に設けられた複数の貫通孔にそれぞれ挿通させ、フロントドアの車室側に突出するボルトにナットを螺合させることによりドアに固定される(例えば、特許文献1参照)。
サイドミラーの固定強度を確保するためには、ミラーベースを支持部に対して3点以上、すなわち3本以上のボルトを用いて固定することが好ましく、かつ、各ボルトの間隔は出来るだけ広いことが好ましい。
【0003】
また、近年では、搭乗者の視界確保を目的として、上下に開閉するドアガラスとは別に、窓部における車両進行方向の先端側に略三角形状の嵌め殺し窓が設けられた車両が知られている。
このような車両では、上下に開閉するドアガラスと、嵌め殺し窓との間に設けられた柱状部分(サッシュ)にミラーベースが固定される(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−315860号公報(図1、段落0023)
【特許文献2】特開2006−168647号公報(図2、段落0026)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献2において開示されたアウターミラーにおいては、搭乗者の視界確保を優先するため、柱状部分の車両進行方向に沿った寸法、すなわち幅寸法を小さくする傾向にある。
このような柱状部分にミラーベースを取り付けた場合、前述した各ボルトの間隔が狭いため、走行中の振動や風圧等の外力がサイドミラーに加わると、柱状部分に対するミラーベースの取付強度が不足して、サイドミラーのミラー部にびびりが生じたり、あるいは柱状部分に対してミラーベースが位置ずれを起こす可能性がある。
特に、近年では、ターニングランプやカメラ等が設けられることにより重量が増加したサイドミラーが増えつつあり、前述したびびりや位置ずれの可能性が高くなっている。
【0006】
本発明は、前述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、走行中の振動や風圧等の外力が加わっても、確実に位置保持できるミラーベースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るミラーベースは、車両用のバックミラーを支持可能であるとともに、車体側面に取付可能な略板状のベース本体と、前記ベース本体における前記車体側面側を向く裏面に突設された複数のボルトと、前記各ボルトを囲むように前記裏面に設けられ、前記車体側面に密着可能なガスケットと、前記ガスケットから前記車体側面に向かって設けられた突出部と、前記ベース本体における前記裏面に突設され、前記ガスケットにおける前記突出部の基端部に対応する位置を押圧するボスと、前記突出部の先端面から前記基端部側に向かって連続的に設けられた空隙と、を備える。
【0008】
本発明に係るミラーベースは、前記ガスケットにおける前記ボスに押圧される箇所に凹部が設けられている。
【0009】
本発明に係るミラーベースは、前記空隙が、前記突出部の初期形状において設けられている。
【0010】
本発明に係るミラーベースは、前記ボスの先端が半球形状である。
【0011】
本発明に係るミラーベースは、前記空隙を囲む前記突出部の壁部が、断面先細りである。
【0012】
本発明に係るミラーベースは、前記ボスの先端が平面状であり、前記凹部の底部が前記ボス側へ突出した凸部状面として形成されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るミラーベースによれば、走行中の振動や風圧等の外力が加わっても、確実に位置保持できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る第1実施形態のミラーベースの車体への取付前の分解斜視図
【図2】本発明に係る第1実施形態のミラーベースの車体側から視た分解斜視図
【図3】本発明に係る第1実施形態のミラーベースのベース本体の背面図
【図4】本発明に係る第1実施形態のミラーベースのガスケットの正面図
【図5】本発明に係る第1実施形態のミラーベースの突出部周りの組付前の断面図
【図6】(a)、(b)、(c)は従来のミラーベースの車体への取付状態を説明する模式図
【図7】本発明に係る第1実施形態のミラーベースの突出部の組付前の断面図
【図8】本発明に係る第1実施形態のミラーベースの突出部の組付前の外観斜視図
【図9】本発明に係る第1実施形態のミラーベースの突出部周りの組付後の断面図
【図10】本発明に係る第1実施形態のミラーベースの突出部の組付後の外観斜視図
【図11】本発明に係る第1実施形態のミラーベースの突出部の変形例の断面図
【図12】本発明に係る第2実施形態のミラーベースの突出部周りの断面図
【図13】本発明に係る第3実施形態のミラーベースの突出部周りの断面図
【図14】本発明に係る第3実施形態のミラーベースの突出部の外観斜視図
【図15】本発明に係る第3実施形態のミラーベースの突出部の変形例の外観斜視図
【図16】本発明に係る第3実施形態のミラーベースの突出部の他の変形例の外観斜視図
【図17】本発明に係る第3実施形態のミラーベースの突出部の他の変形例の外観斜視図
【図18】本発明に係る第4実施形態のミラーベースの突出部周りの断面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る複数の実施形態のミラーベースについて図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1に示すように、本発明に係る第1実施形態のミラーベース10は、車体の側部にミラーアッセンブリ93を固定するために、車体90の側部を構成するフロントドアアウタパネル91に取り付けられる。
フロントドアアウタパネル91は、車両進行方向の前端側の上部に形成されたミラー取付部92と、ミラー取付部92の車両進行方向の前方に設けられた嵌め殺しのドアウインドガラス94とを有する。
ミラー取付部92には、複数のボルト挿通孔95が形成されている。
【0016】
ミラーアッセンブリ93は、後方視認用のアウターミラー(図示せず)を有し、特に限定されるものではないが、例えば、ミラーを傾倒可能に保持するそれぞれ不図示のアクチュエータや、ミラーベース10に立設されるシャフトや、ミラーハウジングをシャフト回りに回転させるための駆動手段等から構成される。
【0017】
図2には、ミラーベース10を分解した状態で車体側から見た分解斜視図が示されている。
図2に示すように、ミラーベース10は、ミラーアッセンブリ93(図2に示さず)を支持するベース本体11と、このベース本体11の裏面に覆設されたガスケット12とを備えている。
ベース本体11は、板状のカバー部13と、ミラーアッセンブリ93が載置される支持部14と、ミラー取付部92に固定される固定部15と、を備えている。
【0018】
ベース本体11は、硬質の合成樹脂(ガラス繊維入りのポリブチレンテレフタレート(PBTGF)、またはダイカスト(アルミニウムや亜鉛等)やガラス繊維入りのポリアミド(PAGF)等)を素材としており、カバー部13、支持部14および固定部15は、射出成形等により一体に成形される。
【0019】
カバー部13は、その表面が車外に露出する意匠面であって、例えば、車体色と同一や黒色等に塗装されているか、または、塗装なしで黒色の材料色のままにされている。
カバー部13の裏面には、それぞれ無端状の外リブ16と、内リブ17とが突設されている。外リブ16は、カバー部13の外周縁に沿って形成されており、内リブ17は、外リブ16の内周側において固定部15を囲むように形成されている。
カバー部13は、固定部15の近傍にボス18がガスケット12、すなわち、フロントドアアウタパネル91のミラー取付部92に向けて突出して形成されている。
【0020】
ガスケット12は、ベース本体11の固定部15を覆う囲繞部19と、この囲繞部19の周囲に形成された被着部20とを備えている。
ガスケット12は、ベース本体11よりも軟らかい半硬質の合成樹脂(ポリエチレン(PE)やポリ塩化ビニル(PVC)等)からなり、囲繞部19および被着部20は、射出成形等によって一体に成形される。
【0021】
図3に示すように、ベース本体11には、ボルト21が固定されている。
ボルト21は、ベース本体11をミラー取付部92に固定するためのものであり、ベース本体11の内リブ17の内周部において、上側に1つ、下側の固定部15に2つが、ミラー取付部92に向けて突出して固定されている。
ベース本体11は、内リブ17の内周部において、固定部15に一対のボルト21がフロントドアアウタパネル91のミラー取付部92に向けて突出して固定されている。
【0022】
図4に示すように、ガスケット12は、囲繞部19に、それぞれフロントドアアウタパネル91のミラー取付部92に向けて突出した一対のボルト支持孔22と、配線挿通孔23と、を備えており、被着部20の上部に、ボルト支持孔24を備えている。
ガスケット12は、囲繞部19の裏面に、フロントドアアウタパネル91のミラー取付部92に向けて突出する円柱形状の突出部25を備えている。
【0023】
ミラーベース10は、ベース本体11にガスケット12を固定することにより形成され、このミラーベース10がミラー取付部92に固定される。
そのため、突出部25(ガスケット12)が、ボス18(ベース本体11)によって押圧されるのみならず、ボス18が突出部25を押圧せずに支えた状態においても、ミラー取付部92の面が突出部25を押圧する。
このとき、支持部14にミラーアッセンブリ93が取り付けられた後に、ベース本体11のボルト21が、ガスケット12に設けられたボルト支持孔22およびボルト支持孔24にそれぞれ挿通される。
【0024】
そして、ミラーベース10は、ボルト21が、フロントドアアウタパネル91のミラー取付部92に有するボルト挿通孔95にそれぞれ挿通される。
次に、フロントドアアウタパネル91のミラー取付部92の裏面において、ボルト21に不図示のナットがねじ込まれることにより、ガスケット12が、ベース本体11およびミラー取付部92に密着して車体90に固定される。
【0025】
次に、カバー部13のボス18と、ガスケット12の突出部25とについて詳細に説明する。
図5に示すように、カバー部13のボス18は、その先端部が半球形状に形成されている。一方、ガスケット12は、突出部25の基端部26に凹部27が形成されている。凹部27は、ボス18の直径寸法に対応した有底円筒状に形成されている。
突出部25は、ガスケット12の凹部27にベース本体11のボス18が取り付けられる以前の状態において、ガスケット12の被着部20の表面からの突出寸法が長さ寸法L1とされている。
【0026】
また、突出部25は、先端面28から基端部26側に向かって連続的に設けられた空隙29を備える。空隙29は、突出部25が弾性変形する前の初期形状において略半球形状となっている。
【0027】
ところで、実際の製造において、組み付け前のミラーベース10から見た相対的な車体90のミラー取付部92の位置は、車両製造時の組付誤差によりばらつきを生ずることがある。図6はこのような事情を説明する図であって、従来のミラーベース10の車体90への取付状態を説明する模式図である。
【0028】
図6(a)に示すように、当初の設計においては、ミラー取付部92の位置に関し、例えば0.5mmの公差が設けられ、その公差に対応して突出部の長さが設計されている。ここでは、設計位置におけるA−A位置においてミラー取付部92が位置し、当該位置から0.5mm突出するように突出部の長さ寸法が設定されている。
【0029】
しかしながら、実際の車体90へのミラーベース10の取り付けにあたっては、上記のような公差以上の値をもって、ミラーベース10から見たミラー取付部92の相対的な位置がずれている場合がある。図6(b)は、ミラー取付部92の相対的な位置が、公差以上の値をもってミラーベース10側に接近した位置にある例を示す(プラス公差の位置)。例えば、ミラー取付部92が、設計位置におけるA−A位置から+0.7mmの長さをもってミラーベース10側に接近した位置B−Bにある。
【0030】
図6(c)は、ミラー取付部92の相対的な位置が、公差以上の値をもってミラーベース10から離れた位置にある例を示す(マイナス公差の位置)。例えば、ミラー取付部92が、設計位置におけるA−A位置から−0.7mmの長さをもってミラーベース10から離れた位置C−Cにある。
【0031】
従来においては、突出部25には本実施形態のように空隙29が設けられておらず、中実の合成樹脂によって構成されている。したがって、図6(b)の場合は強い圧力が突出部25、ひいてはボス18に伝達し、ボス18が破損する等のおそれがあった。図6(c)の場合は、そもそも突出部25が全く機能しない。
【0032】
そこで、本実施形態においては、図5に示したように、予め突出部25に空隙29を設けることにより突出部25の撓み易さを確保し、その長さ寸法L1を従来のものに比べ長くすることができる。すなわち、図6(b)のようにプラス公差である場合であっても、空隙部29が設けられている突出部25が撓むことにより突出部25とミラー取付部92が強く当たることを防止することができ、ボス18の破損などの事故を防止することができる。また、図6(c)のようにマイナス公差である場合であっても、突出部25の長さL1が従来のものに比べ長いため、突出部25がミラー取付部92に届かないという問題を解消している。
【0033】
すなわち、突出部25に空隙29を設けることにより、突出部25の撓み易さを確保し、ミラーベース10から見たミラー取付部92の相対的な位置ずれを、大きな範囲で吸収することが可能となる。
【0034】
突出部25についてより詳細に説明する。図7に示すように、突出部25は、当該突出部25が略円柱形状であるとともに空隙29が略半球形状であるため、結果的に空隙29を囲む壁部が突出部25の先端部に向かって、断面先細りに形成されている。つまり、突出部25は、基端部26側における径方向の幅寸法L4よりも先端面28における径方向の幅寸法L5の方が小さい。
【0035】
図8に示すように、突出部25は、空隙29が、先端面28の中心位置に配置されている。そして、突出部25の長さ寸法L1は、従来のものに比べ長く設定されている。そのため、ミラーベース10がフロントドアアウタパネル91のミラー取付部92に取り付けられた際に、空隙29の周囲を均一に弾性変形する。
【0036】
図9に示すように、ミラーベース10がフロントドアアウタパネル91のミラー取付部92に取り付けられることにより、ボス18が、突出部25の凹部27を押圧する。
このとき、ボス18の先端部が半球形状に形成されているために、突出部25の軸線の中心部において凹部27にボス18が点接触する。
そして、半球形状の空隙29の軸線と、突出部25の軸線と、ボス18の軸線とが同一線に沿うことになる。
そのため、ボス18が突出部25の軸線の中心部において凹部27に点接触することにより、ボス18から凹部27に加わる荷重が集中し、突出部25の弾性変形に伴う拡開を促進できる。
【0037】
すなわち、図10に示すように、先端部が半球形状に形成されているボス18が、突出部25の軸線の中心部において凹部27に点接触するために、凹部27からボス18に加わる荷重が集中し、突出部25は、拡開を促進されて均一に弾性変形することになる。
【0038】
上述したように、ミラーベース10は、ベース本体11がフロントドアアウタパネル91のミラー取付部92に取り付けられた際に、突出部25の基端部26がボス18に押圧される。
そして、ミラーベース10は、突出部25の先端面28がミラー取付部92に必ず押圧されて拡開するために、突出部25に蓄積されている所定の圧力でミラー取付部92に密着する。
従って、ミラーベース10は、突出部が無い場合に比較して車体90の側面に対する向きずれが生じ難い。
これは、特に、ボルト21の設置間隔が狭い場合に有効である。勿論、ボルト21の設置間隔が広い場合に使っても有効であることは言うまでもない。
【0039】
なお、突出部25の長さ寸法L1は、個別具体的なケースに応じて適宜設定されるのであり、その絶対値は重要ではない。重要なことは、突出部25に空隙29が設けられることにより、突出部25が弾性変形可能となっていることである。
【0040】
次に、ミラーベース10のガスケット12の突出部の変形例について説明する。
図11に示すように、本変形例は、基端部26に円錐形状の空間を形成する凹状の空隙31を突出部32に備える。
突出部32は、空隙31が円錐形状に形成されているために、基端部26側における径方向の幅寸法よりも先端面28における径方向の幅寸法の方が著しく小さい。
そのため、突出部32は、ミラーベース10がフロントドアアウタパネル91のミラー取付部92に取り付けられた際に、空隙31の周囲の弾性変形を促進できる。
【0041】
以上、説明した本発明に係る第1実施形態のミラーベース10によれば、突出部25,32(ガスケット12)が、ボス18(ベース本体11)によって押圧されるのみならず、ボス18が突出部25,32を押圧せずに支えた状態においても、ミラー取付部92の面が突出部25,32を押圧する。
そのため、ミラーベース10によれば、突出部25,32の先端部がミラー取付部92に強圧されて拡開する。
これにより、ミラーベース10によれば、所定の圧力でミラー取付部92に密着することにより、突出部が無い場合に比較して車体90の側面に対する向きずれが生じ難い。
従って、ミラーベース10によれば、走行中の振動や風圧等の外力が加わっても、確実に位置保持できる。
【0042】
また、ミラーベース10によれば、突出部25,32の凹部27が、ボス18に押圧されて当接される際に、ボス18を誘導できるために、確実に組み付けできる。
【0043】
そして、ミラーベース10によれば、ミラーベース10がミラー取付部92に取り付けられる際に、空隙29,31を介して突出部25,32の弾性変形を促進できる。
【0044】
さらに、ミラーベース10によれば、ボス18を突出部25,32の凹部27に点接触できる。
特に、ミラーベース10によれば、空隙29,31の中心に対応する位置にボス18が点接触するために、ボス18から凹部27に加わる荷重が集中し、突出部25,32を所望形状に変形し易い。
【0045】
加えて、ミラーベース10によれば、突出部25,32における空隙29,31を囲む壁部が、断面先細りに形成されているために、壁部の薄肉部位が荷重により撓み易くなっている。
従って、ミラーベース10によれば、ミラー取付部92に取り付けられた際に、空隙29,31の周囲を均一に弾性変形できる。
【0046】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る第2実施形態のミラーベースについて説明する。
なお、以下の各実施形態において、前述した第1実施形態と重複する構成要素や機能的に同様な構成要素については、図中に同一符号あるいは相当符号を付することによって説明を簡略化あるいは省略する。
【0047】
図12に示すように、本発明に係る第2実施形態のミラーベース40は、基端部26に平面部41を有するガスケット42が適用される。
ミラーベース40は、フロントドアアウタパネル91のミラー取付部92に取り付けられることにより、突出部43の平面部41が、ボス18に押圧されて当接される。
このとき、ボス18の先端部が半球形状に形成されているために、突出部43の軸線の中心部において平面部41に点接触して、突出部43の弾性変形に伴う拡開を促進できる。
【0048】
第2実施形態のミラーベース40によれば、ガスケット42に凹部を形成しないので、成型加工を簡略化でき、走行中の振動や風圧等の外力が加わっても、確実に位置保持できる。
【0049】
(第3実施形態)
次に、本発明に係る第3実施形態のミラーベースについて説明する。
図13に示すように、本発明に係る第3実施形態のミラーベース50は、ガスケット51の突出部52の基端部26に凹部53が形成されるとともに、先端面28から基端部26側に向かって連続的に設けられた切込54を有する。
【0050】
図14に示すように、切込54は、十字形状に形成されており、ミラーベース50が、フロントドアアウタパネル91のミラー取付部92に取り付けられることにより、突出部52の凹部53が、ボス18に押圧されて当接される。
このとき、ボス18の先端部が半球形状に形成されているために、突出部52の軸線の中心部において凹部53に点接触することにより、ボス18から凹部53に加わる荷重が集中し、突出部52が切込54による空隙を伴って弾性変形されることになる。
【0051】
次に、ミラーベース50の変形例について説明する。
図15に示すように、本変形例は、突出部61に、先端面28から基端部26側に向かって連続的に設けられた切込62を有する。
切込62は、先端面28の中心から放射状に切除されている。そのため、突出部61は、ミラーベース50が、フロントドアアウタパネル91のミラー取付部92に取り付けられる際に、切込62による空隙を伴って弾性変形される。
【0052】
次に、ミラーベース50の他の変形例について説明する。
図16に示すように、本変形例は、基端部26よりも先端部が大径の円錐台形状に形成された突出部71に、先端面28から基端部26側に向かって連続的に設けられた切込72を有する。
切込72は、先端面28において空隙73を有する十字形状に切除されている。そのため、突出部71は、ミラーベース50が、フロントドアアウタパネル91のミラー取付部92に取り付けられる際に、切込72による空隙73を伴って弾性変形される。
【0053】
次に、ミラーベース50の他の変形例について説明する。
図17に示すように、本変形例は、基端部26よりも先端部が大径の円錐台形状に形成された突出部81に、先端面28から基端部26側に向かって連続的に設けられた切込82を有する。
切込82は、先端面28において空隙83を有する放射形状に切除されている。そのため、突出部81は、ミラーベース50が、フロントドアアウタパネル91のミラー取付部92に取り付けられる際に、切込82による空隙83を伴って弾性変形される。
【0054】
第3実施形態のミラーベース50によれば、切込54,62,72,82による空隙73,83を伴って突出部52,61,71,81を確実に弾性変形できる。
【0055】
(第4実施形態)
次に、本発明に係る第4実施形態のミラーベースについて説明する。
図18に示すように、本発明に係る第4実施形態のミラーベース60においては、カバー部13のボス18は、その先端部が平面状に形成されている。一方、ガスケット12は、突出部25の基端部26に凹部27が形成されている。凹部27は、ボス18の直径寸法に対応した有底円筒状に形成されている。そして、凹部27のボス18の平面状の先端部が接触する凹部27の底部は、ボス18側へ突出した凸部状面27aとして形成され、ボス18の平面状の先端部と凸部状面27aは点接触することとなる。
【0056】
なお、本発明のミラーベースにおいてフロントドアアウタパネル、ミラーアッセンブリ等は、前述した各実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形や改良等が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0057】
以上述べたように、本発明のミラーベースによれば、走行中の振動や風圧等の外力が加わっても、確実に位置保持できるものである。
以上の結果として、車両の品質を向上でき、本発明の産業上の利用可能性は大といえる。
【符号の説明】
【0058】
10,40,50 ミラーベース
11 ベース本体
12,42,51 ガスケット
18 ボス
21 ボルト
25,32,43,52,61,71,81 突出部
26 基端部
27,53 凹部
29,31,73,83 空隙
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用のバックミラーを支持可能であるとともに、車体側面に取付可能な略板状のベース本体と、
前記ベース本体における前記車体側面側を向く裏面に突設された複数のボルトと、
前記各ボルトを囲むように前記裏面に設けられ、前記車体側面に密着可能なガスケットと、
前記ガスケットから前記車体側面に向かって設けられた突出部と、
前記ベース本体における前記裏面に突設され、前記ガスケットにおける前記突出部の基端部に対応する位置を押圧するボスと、
前記突出部の先端面から前記基端部側に向かって連続的に設けられた空隙と、を備えるミラーベース。
【請求項2】
請求項1に記載のミラーベースにおいて、
前記ガスケットにおける前記ボスに押圧される箇所に凹部が設けられているミラーベース。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のミラーベースにおいて、
前記空隙が、前記突出部の初期形状において設けられているミラーベース。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1項に記載のミラーベースにおいて、
前記ボスの先端が半球形状であるミラーベース。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1項に記載のミラーベースにおいて、
前記空隙を囲む前記突出部の壁部が、断面先細りであるミラーベース。
【請求項6】
請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1項に記載のミラーベースにおいて、
前記ボスの先端が平面状であり、
前記凹部の底部が前記ボス側へ突出した凸部状面として形成されているミラーベース。
【請求項1】
車両用のバックミラーを支持可能であるとともに、車体側面に取付可能な略板状のベース本体と、
前記ベース本体における前記車体側面側を向く裏面に突設された複数のボルトと、
前記各ボルトを囲むように前記裏面に設けられ、前記車体側面に密着可能なガスケットと、
前記ガスケットから前記車体側面に向かって設けられた突出部と、
前記ベース本体における前記裏面に突設され、前記ガスケットにおける前記突出部の基端部に対応する位置を押圧するボスと、
前記突出部の先端面から前記基端部側に向かって連続的に設けられた空隙と、を備えるミラーベース。
【請求項2】
請求項1に記載のミラーベースにおいて、
前記ガスケットにおける前記ボスに押圧される箇所に凹部が設けられているミラーベース。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のミラーベースにおいて、
前記空隙が、前記突出部の初期形状において設けられているミラーベース。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1項に記載のミラーベースにおいて、
前記ボスの先端が半球形状であるミラーベース。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1項に記載のミラーベースにおいて、
前記空隙を囲む前記突出部の壁部が、断面先細りであるミラーベース。
【請求項6】
請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1項に記載のミラーベースにおいて、
前記ボスの先端が平面状であり、
前記凹部の底部が前記ボス側へ突出した凸部状面として形成されているミラーベース。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2013−112203(P2013−112203A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260783(P2011−260783)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000148689)株式会社村上開明堂 (185)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000148689)株式会社村上開明堂 (185)
【Fターム(参考)】
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